Polylinear型の復元力特性をもつ1自由度系の地震入力エネルギーに関する研究
E a r t h q u a k e l n p u t E n e r g y o f S i n g l e ‑ D e g r e e ‑ o f ‑ F r e e d o m S y s t e m s w i t h P o l y l i n e a r L o a d ‑ D i s p l a c e m e n t R e l a t i o n s h i p s
平野智久*,小川厚治**
T o m o h i s a H I R A N O a n d K o j i O G A W A
Thispaperpresentsthepredictionofdamage-causmgearthquakeinputenergyusedmenergy-based seismicdesignStructuresconcernedaresingle-degree-ofLfreedomsystemshavingvamouspolylinear load-displacementrelationships、Theapparentnaturalperiodofframes(thetimereqUiredfbronecyC1e ofvibration),accompaniedbyplasticdefbrmationsduringearthquakeS,isIongerthantheinitialnatu‐
ralperiod、Moreover,inputenergydependsprimarilyontheapparentnaturalperiod・Forthepredic‐
tionofmputenergy,thispaperproposesuseoftheapparentnaturalperiodcalculatedfromthemeanof theplasticdissipatedenergyperhalfLcyclemthewholevibration、Acloseagreementbetweenresultsof theproposedmethodandnumericalresponseanalysisisobtamed.
KBymoMs:sj7zgZe-dGg7・ee-O/:プゥ●eeaomSysオe、,poMi"ea7System,Aj"ematjcハarde"2'09, eα対h9ⅢαルemPzzte"e7g)/,clppα7℃"mam7aJperiod
l自由度系,ポリリニア系,移動硬化,地震入力エネルギー,見かけの固有周期
造骨組構成要素の履歴挙動は完全弾塑性型やBilinear型 で近似できるので,それらの要素によって構成される鋼 構造骨組は,多数の完全弾塑性要素と弾性要素の並列結 合で表される移動硬化型の履歴特性を持つものが多い.
このとき,単調載荷時の荷重一変位関係は多数の折れ曲 がり点をもち順次剛性が低下していくPolylinear型とな る.以上のような履歴挙動が鋼構造骨組の一般的な性質 と考えるが,単調載荷時の荷重一変位関係の形状は様々 である.履歴型ダンパーを利用すれば,設計目標に合わ せて,鋼構造骨組の単調載荷時の荷重一変位関係を自由 な形状に制御することも可能となっている7).
本論は,任意のPolylinear型の荷重一変位関係をもつ 1自由度系(以下,Polylinear系と呼ぶ)を対象に,Edm を予測するための見かけの固有周期の評価法を導くこと を目的とするものである.筆者らは既に,Bilinear型の荷 重一変位関係をもつ1自由度系(以下,Bilincar系と呼 ぶ)を対象に,塑性化に伴う見かけの固有周期の伸びを 序
1.
地震の破壊力を表す指標')としての損傷に寄与する地 震入力エネルギーEdmは,擬似速度応答スペクトルSv を使って予測できる2-4).地震動のSvは,短周期域を除 けば概ね_定した値であり,その結果,Edmは降伏耐力 や復元力特性の形状の影響をあまり受けない安定した値 であるという性質がある2'3).
しかし,Edmは初期弾性剛性から算定される固有周期 に対応したSvに依存するのではなく,塑性変形の程度 によって変化する見かけの固有周期(1回の振動に要す る時間)に依存する5).地震動のSvは一定ではなく,短 周期域では固有周期に比例するように増大する傾向があ り,長周期域では減少する傾向も認められている.設計 時に想定される任意のSvに対して的確にEdmを予測す るためには,塑性変形による見かけの固有周期の変動を 考慮に入れる必要がある6,7).
座屈や破断などの不安定現象が起こらない限り,鋼構
*熊本大学自然科学研究科環境科学専攻大学院生・工修
**熊本大学工学部環境システムエ学科教授・工博
GraduateStudent,Dept・ofEnvironmentalScience,
GraduateSchoolofScienceamdlbchnology,KumamotoUniv.,MEng、
Prof,Dept・ofArchitectureandCivUEng.,FacultyofEng.,
KumamotoUniv.,DrEng.
-21‐
履歴曲線の例を図1(b)に示す.単調載荷によって変位 5AのA点に到達した後,除荷して逆方向に載荷する場合 を考える.A点で降伏していた第i番目の完全弾塑性要
素が再び降伏するまでの変位増分は26J,jとなるので,
変位-5AのB点に到達するまでのA→Bの履歴曲線の 形状は,単調載荷時の荷重一変位関係と相似で丁度2倍 の大きざとなり〉B点以降は単調載荷時の荷重一変位関 係に復帰する.B点に到達する前のC点から再び逆方向 載荷したときも同様であり,C→Aの履歴曲線の形状は,
単調載荷時の荷重一変位関係と相似で2倍となり,A点 に復帰した後はA→C→Aの履歴がない場合と全く同じ 挙動を示す.
図1に示したPolylinear型の履歴特`性をもつ1自由度 系を対象に,塑性変形による見かけの固有周期の伸び率
/の予測式を検討する.
考慮してEdmを予測する方法を提案している8).本論で は,このBilinear系に関して得た結果を,複数の完全弾 塑性要素と弾性要素の並列結合で表される移動硬化型の 履歴特性を持つ系に対して拡張する.
2.考察対象
本論では,損傷に寄与する地震入力エネルギーEdmを 弾性歪エネルギーEeと塑性変形による消費エネルギー Epの和の最大応答値と定義し,擬似速度応答スペクト ルSvを用いて次式で近似できると考える4,8).
E`nm=(E・÷Ep)…=麦M{sv(fzb)}’(')
ここで,Mは構造物の質量,Tbは初期弾性時の固有周期 であり,/が本論で検討する塑性変形による見かけの固有
周期の伸び率である.
Edmの速度換算値をVtzmとすると,(1)式は次のように
も表せる.
Vam=Sv(/Tb) (2)
ここで,
い,/三i雲(3)
本論では,荷重Pと変位ヴの関係が図1(a)に太線で示 すようなPolylincar型で表される1自由度系を考察対象 とする.単調載荷時の接線剛性は,変位の増大と共に単 調に減少すること,負とはならないことが前提である.
単調載荷時の荷重一変位関係の折れ曲がり点の数は加個 とし,第j番目の折れ曲がり点までの接線剛性をKj,第 z番目の折れ曲がり点での変位をゐi,荷重をBiとす る.繰り返し載荷時の履歴則は移動硬化を仮定し,図1 (a)に細線で示すような、個の完全弾塑性要素と1個の弾 '性要素の並列結合で表きれるものとする.加個の完全弾 塑性要素は,弾性限変位が小さいものから順に第j番目 の弾塑性要素と呼ぶ.第i番目の完全弾塑性要素の弾性
限変位はayiであり,弾性剛性はKi-Ki+,となり,弾性 限荷重Qyjは次式で表される.
Qyi=(Kj-Ki+,)a),i(4)
弾性要素の剛性はK、+1である.
3.Bilinear系の見かけの固有周期の伸び率
Polylinear系の特殊な場合として,折れ曲がり点の数 mが1であるBilinear系については,見かけの固有周期 の伸び率/として,筆者らは既に次式を提案している8).
作厚 (5)
ここで,77maxは図2(a)に示す各半サイクルの塑性変形倍 率77iの最大値である.すなわち川は半サイクル毎に変 化するが,その平均値は最大値〃maxと最小値零の平均 刀max/2で近似できると仮定して,図2(b)に鎖線で示す 剛性Kを用いて,地震応答中の平均的な見かけの固有 周期/Toを近似したものが(5)式である.(5)式を用いれ ば,塑性変形の増大に伴うBilinear系のEdmの変動を予 測できることは既に報告している8).
(5)式の誘導に用いた「〃jの平均値を〃max/2とする」
という仮定の合理性を,エネルギー的に再検討する.
変形が1方向に進む間変位が極値から次の極値をと るまでの間を半サイクルと呼んで,半サイクルの間の地 震入力エネルギーについて考える.弾性歪エネルギーと
塑性変形による消費エネルギーの和Ee+Epの半サイク
Pb,
ljZii=:
qB
リ』
PnJ三 |/ハビ
Qy
(a)単調載荷時 (b)履歴曲線
図1Polylinear型履歴モデル
(a)塑性変形倍率(bWm・蕊による了 図2Bilinear系の/の予測
-22‐
ルの間の増分を,半サイクルの地震入力エネルギー皿 とすると,その値は負になることがある.ここでは,こ のような一時的なEe+Epの減少を無視して,皿の和が 常にEdmとなるように,Ee+EPが極大値のときの,そ れ以前の最大の極大値からの増大量を囮と定義する.
この増大量が負のときは皿は零とする.凪の値は各半 サイクル毎に異なるが,j番目に大きい皿の値を△Eノと
する.ただし,
E`、=二△Ej (6)
図3は,Bilinear系の地震応答解析結果から求めた
皿ノをEdmで無次元化して示したものである.ただし,
入力地震波は表1の4種で,Bilinear系の第2分枝剛性比 は0,1/3,2/3の3種,固有周期Z1oは0.5,1,1.5秒の3種 として,弾性限荷重を適当に調整してりmaxが10となる 解析例を示している.なおJ本論での地震応答解析は,す べてNewmarkβ法を用い,数値積分の時間増分は固有周 期の1/500以下になるように設定している.また,粘性 減衰定数は0.01としている.
図3によると,半サイクルの最大地震入力エネルギー とEdmの比△E,/Edmは0.1~0.5程度,)であり,半サイ クルの最大地震入力エネルギー皿,と比べると,2番目 以降の半サイクルの地震入力エネルギーは順次小さくな るが,皿,と比べて無視できる量ではない.
△Ejが入力きれた半サイクルの間に完全弾塑性要素が
塑性変形で消費したエネルギー(以下,塑性歪エネル
ギーと呼ぶ,付録参照)を皿〃とする.図4は,図3の 解析例について皿〃をその最大値△Epmaxで無次元化し
て示したものである.図4によると,全体的にはノが大
きくなMEjが減少すると△E〃も減少する傾向がある
が,結果は非常に大きなばらつきをもつ.特に,完全弾 塑性系以外では,地震入力エネルギーが最大となる半サ イクルに生じる塑性歪エネルギー△Ep1が,半サイクル に生じる塑性歪エネルギーの最大値mpmaxではない場
合が多いことも注目される.
Edmは多数の半サイクルに分けて入力されるという図 3の結果と,各半サイクルの塑性歪エネルギーが異なる という図4の結果は,単一の半サイクルの挙動からEdm を予測することができないことを示す'0).
Edmを予測するために,平均的な半サイクルの履歴挙
動を考える.半サイクルの地震入力エネルギー△Eノは,
総量Edmに対して皿j/Edmの寄与率をもち,この半サ
錘郎配012sss一一一一一一oLLKKK
乃乃乃脇酌幻 F》へ皿
0.4 0.3
lll
-l--l-l-
olII ii-↓-↓- 蝿I
山一恥I叫熊帥岾殖’’’
一一
0.3
0.2
0.2 JJC ‐誼UI・ 一旧
:雲蝿」
0.10.1
0.0 0.0
246810
(b)TaftEW 246810
(a)ElCentroNS
6543210
●●●●●●●0000000
0.5 0.4 0.3 0.2 0.1
;8IC 0.0 31[
(c)NTTKobeNS(d)JMAKobeNS
図3△Ej/Edmの分布
⑫〃/幽,… ⑫瓜/△」回j,…
1.0 1.0
一一’1‐Illq’一一◇■固く〈一一一一一一◆』一一一‐‐‐‐‐‐千‐‐.●◇‐‐ロ|■.‐‐‐+‐ロ●Q)》竺一一一一一一】’’’’一。』一一守口|■ロ(》一一一一ニロー・「〒1◇‐‐‐■‐Iip-o’’一一〔】》L‐‐‐]◆一,◇Q回③●一00’’’二〒0I-IIIIII-I0000(〕一〈〉一一一一‐〈〉{[]-100百一●●具一■‐ロ●干恨‐‐.◆‐・‐.《同一◇+‐‐ⅢI‐一‐‐‐』一一一一画一〈)(ロ■一一←ご』一
』一-1I。0‐◇一一Q全一一一一】一一二一一一】□一一』・・‐‐l‐千‐‐‐1口;・‐‐‐●+‐‐◆‐‐《一口||[〉丁◇,一一一一一一口●一Cl(一一一一一一一〉團一一一一・I‐「‐千‐‐国’十‐’一一一一一一一’○・・・‐n一一一〒臼‐‐串ロ一一●一蘂’’’’’一[〕。《一》》i1‐一一一一一一T‐‐Ⅷ‐一《ロ◇●③,▼.◇‐且‐‐’’’’’’一一一〉》。|一凶(〉■一国一一。’一。[Ⅱ【一画》,’千-101〈》一〔〕一▲一一一丁0-’’’’’’一一〈〉00000+0000口一一』▼■ロ一口一一『一一一
0.8 0.8
0.6 0.6
0.4 0.4
0.2 02
0.0 0.0
246810
(a)ElCentroNS 246810(b)TaftEW
1.0 1.0
0.8 0.8
0.6 0.6
0.4 0.4
表1入力地震動
0.2 0.20.0 0.0
5-8-10 S ̄81[
(c)NTTKobeNS(d)JMAKobeNS
図4応答解析例における△E〃/△Epmax
-23‐
最大加速度(cm/SeC2) 継続時間(sec)
E1CentTolVR1940 341.70 ラ3.8 TaftEW-19Fi2 175.90 54.4 JMAKobeNFll99Fi 820.57 30.0 NTTKohPNR199局 330.73 50.6
であると図5から判断できる.
面石/△Epmax=1/2(8)
Bilinear系では,半サイクルの塑,性歪エネルギー△Epj は,半サイクルの塑性変形倍率刀jに比例する.したがっ て,(5)式の誘導に用いた「〃jの平均値はりmax/2で近似 できる」という仮定は,「Edmを予測するための平均的 な半サイクルの塑性歪エネルギーmpは,半サイクル の最大塑性歪エネルギー△Epmaxの1/2である」という
仮定と等価であり,図5の結果から導いた(8)式の近似に 基づくものと説明できる.
1.0 1.
08 0.
●●●(、叩〉》(、叩)》〈{叩u》
654●●●000
0.2 0.
0.0 0.
48121620
(a)ElCentroNS (b)TaftEW 1.0 1.
4.Polylinear系の見かけの固有周期の伸び率
前章に述べたBilinear系の周期の伸び率/の算定方法 をPolylinear系に拡張する.ただし,Bilinear系について は,半サイクルに生じる変形の大きざを塑`性変形倍率で 表したが,初期弾性域が存在しない場合も考察対象に含 めるために,半サイクルに生じる変形を弾性変形を含め た有次元量で表す.すなわち,図6に示すように,2番目 の半サイクルに生じる変形をM1とし,その最大値を A6hlaxとする.ここでは,半サイクルに生じる最大変形 A6inaXから,POlylinCar系の見かけの固有周期の伸び率/
を導く.用いた仮定は次の2つである.
[1]Edmを予測するための平均的な半サイクルの塑性歪
エネルギー皿pは,最大の変形が生じた半サイクル における塑性歪エネルギー△Epmaxの1/2とする.
[2]半サイクル毎の履歴曲線の形状は,初期荷重一変位 関係と相似で,2倍の大きさとする.
仮定[1]はBilinear系について用いた仮定をそのまま利 用したものである.BUmear系では,半サイクルに生じる 変形が同じなら,履歴曲線の形状が決まり,その問の塑 性歪エネルギーも一意的に決まる.しかし,Polylinear系 の荷重一変位関係の履歴曲線は,変位履歴が過去の最大 振幅の内側の時は初期荷重一変位関係と相似で2倍の大 きさとなるが,過去の最大振幅を越えると履歴曲線の形 状が変化する.このような場合でも,半サイクルの履歴 曲線が過去の最大振幅を超える部分は一部に過ぎないと 考えて,半サイクルに生じる変形とその間に生じる塑性
0.8 0.
●●●(叩、)(|皿叩》(一m叩》
6540●●000
0.2 0.
0.0 0.
48121620 Z【
(c)NITKObeNS(d)JMAKObeNS
図5Bilmear系の面7/△Epm趣
イクルの塑性歪エネルギーは△E〃である.したがって,
皿j/Edmを重み関数とする凪」コノの平均値を,平均的な 半サイクルで生じる塑性歪エネルギー面Fの近似とし て採用したz万万と半サイクルの最大塑性歪エネルギー
△Epmaxとの比は次式で表される.
△Ep-」--Z(▲壁△E") (7)
面万云云一△EpmaxjE`、
図5は,刀maxを変化させて,(7)式右辺の値を応答解析 から調べたものである.図5によると,(7)式による
面75/△Epmaxの値は031~0.75程度のばらつきをも
ち,直下型地震であるNTTKobeやJMAKobeでは大き くなる傾向も認められる.しかし,塑性変形の程度を表 す刀maxに応じて一定の傾向で変化するというような性 質は認められず,平均的には面75/△Ep…は'/2程度
F1『
〃 3B, K1 3月]
月月2
」
肝』〃
1Pb,, P1,1
ハ
(a)Iype-A(b)Type-B
図7Trilinear型の解析モデル
(c)Type-C
図6Polylinear系の半サイクルの変形
-24‐
4息》00111→0010国Ⅱ一〈〉‐一目一◇、OII。画xa、p□
岨
守今』 103‐[]坐□ 囚』丁 醒、01110ヶ001『〃,。
00001トー000■■口
一口0白0■P■0■6■0-ロユ)◆一
、----トーーーートー ̄-- 00 10 91 00 00
歪エネルギーとを関係付けるために設けたのが仮定[2]で
ある.
上記の仮定の適用性を,Trilinear型の荷重一変位関係 をもつ1自由度系(以下,Trilinear系)の地震応答解析 例と対比して検討する.解析対象としたTrilinear系の単 調載荷時の荷重一変位関係の形状は,図7に示す3種と
した.Type-Aは第2分枝剛性と第3分枝剛性共に比較的 小さいTrilinear型であり,その逆に,Type-Bは第2分枝 剛性と第3分枝剛性共に比較的大きいTrilinear型として 考えている.Type-Cは第2分枝剛性が初期弾性剛性に近 い値をとるTrilinear型である.単調載荷時の荷重一変位 関係の第2折れ曲がり点と第1折れ曲がり点の変位の上上
5y2/6,,,はいずれMとしている.
図8は,図5と同様に,(7)式右辺で算定した平均的な 半サイクルの塑性歪エネルギー万万万と半サイクルの最 大塑性歪エネルギーmpmaxの比を示したものである.
A6h1ax/ら,が8程度を越えるとTrilmear系としての特性 が現れ始めるが,図8によると△amx/ay1が変わっても z【瓦と△Epmaxの比は特に変化する傾向は認められず,
図5と同様にこの比は1/2程度となっている.ここで対 象としたTrilinear系についても(8)式の近似が可能であ り,仮定[1]は種々の剛性変化を生じるPolylinear系に対 して広い適用性をもつと判断した8
Aa/を生じる半サイクルの問に第'2番目までの完全弾
塑性要素が降伏するとすれば,仮定[2]からこの半サイク ルの問に生じる塑性歪エネルギー△Epjは次式で与えら
れる.
△E,'薑`皇(Q,`(△いい (9)
ただし,
2ガッ"≦△。/≦2毎"+,(10)
上式が示しているように,仮定[2]に基づけば,半サイク ル開始点の変位は,半サイクルの間に生じる塑性歪エネ ルギーに影響しない.
図9は,仮定[2]を検討したもので,(9),(10)式による
△E〃-△弓関係を応答解析結果と比較している.ただ し,△E〃は初期弾性限歪エネルギーEy(=B4,/2)
で無次元化しており,△a/は初期弾性限変位ら,で無次元 化している.応答解析結果は,固有周期Tbが1秒で
△Dinax/a),,が12と22の場合についてのもので,鎖線で 示しているのは(9),(10)式から求められる値である.仮定 [2]を用いた(9)式のAER/は△弓に対応する塑性歪エネル
ギーの下限値であるが,図9によると,応答解析による 大部分の半サイクルの履歴挙動は(9)式で近似できる.し たがって,仮定[z]も合理的な近似となると考えた
仮定[Z]による(9),(10)式を用いると,最大変形△anaXを 生じる半サイクルの塑性歪エネルギー△Epmaxは次式で
与えられる.
1.0 1.0
1.0 0.8 0.8
鎧篭"_|_二
0.8 ◆◆11’
零1轤謹
-KT--「--「--9-●‐
oo●ElCentro「灘i
△△▲Taft
◇◇◆NTT
□国■JMA
654●●●000 654
●●●000
654
0●●000
0.2 0.2
0.2 ----トーーーート----トー---十-'---
lMmm`/6J,,
0.0 0.0
0.0 22--2610141822-26
(b)Iype-B
図8Trilinear系のZ万万/△Ep…
10141822
(c)Type-C
26101418(a)Type-A
可』
1J
5Ⅱ(」 Ⅲ
(a)Type-A (b)Type-B (c)Type-C
図9Thilincar系の△a//ay1-△Epj/E,関係
-25-
60 50 40 30 20 10 0
I
2610141822 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0■
I
2610141822
AEpj/囮
00y 00,- ̄ ̄ ̄可一一一一一T ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
0 0
--
-
0 00。
△ 一●。}『』『一 1y6一一』璽“ 一一.』一Mノ一 》一』一一。。一
弓i‐『‐‐‐一
I一一.』一一。、。0000「II0ll囮一一
。二0一
の『一
i勲撚仕十州
222111yy66ノノ巫璽、、 or此ec66lAAE
F 鋤
TⅦ川
●▲◆■o△◇ロたがって,A6inaxを生じる最大変形時および平均的な半 サイクルの履歴曲線の形状を図10に示すように一定振 幅で表すと,半サイクル開始点および終了点はいずれも 単調載荷時の荷重一変位関係上の点となる.ここで,(12)
式は,最大変形minaxを生じる半サイクルの開始点およ び終了点が単調載荷時荷重一変位関係の7番目の折れ曲 がり点と7+1番目の折れ曲がり点の間にあることを表 し,(14)式は,平均的な半サイクルの開始点および終了点 が単調載荷時荷重一変位関係のs番目の折れ曲がり点と s+1番目の折れ曲がり点の間にあることを表している.
単調載荷時の荷重一変位関係上で変位6bに対応する荷 重をPbとすると,図10(b)に示すように平均的な半サイ
クルの割線剛性KはPb/6bであり,Polylinear系の見か けの固有周期の伸び率/は次式で与えられる.
、Ⅱ
が
pmax)>Miil1
竺;竺十;zfIjj≦
(a)最大変形時の履歴曲線(b)平均的な履歴曲線 図10履歴曲線の形状
△E…=裏{Q,`(M、錘-2M (11)
ただし,
25,r≦Minax≦25,,『+,(12)
仮定[']から,塑性歪エネルギーが△EPmaxの1/2とな る平均的な半サイクルを考え,この半サイクルに生じる 変形を2几とすると,凡は次式の解として求められる.
△E…X小畠{Q,,(26h-2卯}
S(13)
ただし,
ays≦Md≦ays+’Ⅱ'4)
仮定[2]に基づけば,半サイクル開始点および終了点で の変位は履歴曲線の形状に全く影響しないので,半サイ クルの履歴挙動を正負定振幅と考えても同じである.し
ト傷-V芸子云了 (15)
5.応答解析例による検討
ここでは,(15)式による周期の伸び率/を用いて(1)式か らEdmが予測できるかを,地震応答解析結果との比較に
よって検討する.、=1のBilinear型については既に検討 を終えているので,本論では折れ曲がり点が少ない例と して、=2のTrilinear型を取り上げる.また,折れ曲が り点が非常に多い場合の挙動も検討するために,単調載 荷時の荷重一変位関係がRamberg-Osgood式で表される 場合についても検討する.
。、(kine
Vam(kine)
150
liWHlhi4狂
100
50 「1J
/Tb(sec)
0 0 12
(c)IS7pe-C,ElCentroNS
12
(a)Iype-A,ElCentroNS
0
400 4IDI
VtZm(kine)
300
二F藤''化
'--Tr------T---- ̄ ̄ ̄200 ▲
100 --..--L-------1------..』--.--,---
/TMsec)
0 12
(d)Type-A,NTrKobeNS
0
(e)Type-B,NTTKobeNS(DTS7pe-C,NTrKobeNS
図I1Vam-To関係とVtlm-/no関係
-26‐
だし,lumaxは最大変位と初期弾性限変位弓,の比である.
似max=1は弾性応答であり,’…=3,5は応答が第3分 枝の領域に入る直前および直後の応答を,似maX=’0,20
は第3分枝の領域で十分に大きな変形が生じる場合の応 答を調べている.
図11には,Edmを(3)式で速度換算した値VbImと固有周 期Tbの関係を白抜きの記号で表し,('5)式による/T・と 5.1Trilinear型
単調載荷時の荷重一変位関係の形状が図7に示した3 種のTrilinear系について検討した.
E1CentroNSとNTrKobeNSに対する応答解析結果の 例を図11に示す.固有周期Zbは,0.4,0.8,1.2秒の3 種とし,弾性限強度&’を適宜変化させて最大塑性率 /Umaxが1,3,5,10,20の時の応答結果を求めている.た
150 150
Vam
100
一J」よど工-------..上一一一一一一一一一 一J」よど工-------..上一一一一一一一一一
100
50 -------句・---=------- ̄T---- ̄ ̄------ 50
/70
00 3 12 3
(c)Type-QElCentroNS
12 0(a)Type-AElCentroNS
0 (b)mype-B,ElCentroNS
100 100
Vam
50 50
/Tb
0
/Tb
0 3 】 0 12 3
(D1ype-C,TaftEW 12
(d)Type-A,TaftEW
0 (e)Type-B,TaftEW
400 400
40【
vam
300 一一一一・・----丁一一 ------T ̄---・・・.・・ 300
200 200
100  ̄----------------------L------------00 100
0
/no
00 123 ̄O
(h)Type-B,NTTKobeNS (i)Type-QNTTKobeNS
12 3(9)Type自A,NTTKobeNS
5 500 500
4 400 400
3 300 300
2 200 200
1 100 100
0 0
0123 ̄0
(k)Iype-BJMAKobeNS 図l2Trilinear型のVblm-/210関係
] 12 3
(1)Type-QJMAKobeNS
(j)Type-AJMAKobeNS
-27‐
400
30
2 0
00
100
00123
Va
刀8U
IO OD IO
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〃2OU OI OI OI
1. B●●●●●654321O
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1.
1.
1.
1.「1J
51015
(b)Type-B 図13ノー似max関係
20 5101520
(c)type-C
(a)Iype-AA6max/似max6y,
A6max/似max6y,
A6max/似max6y,
2 2
雲!'騨鍵篭
10--------」----------------------------
1 1 10
lImax
0 0
51015
(b)Type-B
図14△6inax/amax6y1
5 101520
(c)type-C
20
]
(a)Type-A
各履歴モデルについて,どの程度の/の値が(15)式か ら算出されているかを調べるために,固有周期Toが05,
10,15秒の3種について,似maxと/の関係を図13に示 す.図13によるとMumaxが同じでも/の値はばらつく がML4max=20のときの/の平均的な値は,Type-Aでは 1.8程度,Type-B,Cでは1.4程度である.図12の amax=20のVblm-/Z10関係は,Vblm-Ib関係を周期軸 の方向に上記の倍率で引き伸ばしたものであり,その結 果が“maxにかかわらず図12に示したように概ね一致す ることは,本論で提案した/の算定方法の広範な適用性 を示すものと判断している.
本論の/は半サイクルの変形の最大応答値Minaxに基 づいて算定している.図13で似maxと/の関係がばらつ くのは似maxとA6inaxの関係がばらつくことによる.図 14は,図13に示した解析例について,△6inaxと最大変位
’maxay1の比を示したMである.図14によると,接 線剛性と初期剛性の比が1/3以上の範囲では,△6inaxと 似、a』A,,の比は2に近い値となり,最大変位時には正負
の振幅が概ね等しくなる傾向があることがわかる.一 方,Type-AおよびTypc-CではMumaxが4以上になると 接線剛性が1/3より小さくなり,Minax/似max6y1は徐々 に減少すると共に,Minax/lumax恥の値のばらつきが大 vamの関係を黒塗りの記号で示して,実線で示した擬似
速度応答スペクトルSvと比較している.
図,,によると,白抜き記号で示したVtZm-To関係は,
固有周期、。が同じでも塑性率似maxによってVtZmは大き く変動することを表している.特に短周期域では浜maxが 大きくなるほどvamが大きくなる傾向が顕著に現れてお り,塑性化による固有周期の変動を無視して,損傷に寄 与する地震入力エネルギーEdmを予測することの危険性 を示唆している.一方,('5)式によって固有周期の伸びを 考慮した黒塗り記号で示すVam-fTo関係は'Svに近い 値となっている.
図,2には,表1に示した4種の地震動について,
Vam-/To関係を示している.この図の解析例において も,塑性率似maxは3,5,10,20の4種としたが,固有周 期Tbは0.0,秒刻みで計算し細線で繋いでVam-fIb関 係を示す.ただしMumaxの違いを示すための記号は,固 有周期Tbが0.2秒毎の応答値に付けている.また,太線 で示しているのはSvである.
図,2によると,鰹maxが大きくなるほど各曲線は滑らか になる傾向4,5.10)は認められるが,いずれの似…に関す るVbzm-/210関係も類似した形状になり,Svと近い値を
とっている.
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(a)最大変形時の履歴挙動(b)平均的な履歴挙動 図15〃=5の履歴曲線の例
図16Ramberg-Osgood型の履歴挙動の仮定 きくなる傾向も認められる.なお,図13によると,接
線剛性が大きいほど/一匹max関係のばらつきが小さく なっているが,これはJUmax-A6inax関係のばらつきが小 さくなるだけでなく,/が△ひinaxに鈍感になることも影響
している.
本論では,A5in趣に基づくEblmの予測法を提案してい るが,この方法だけではEdmを予測することはできな い.Edj,zに応じてどのようなA6hnaxが生じるかは,構造 物側の特性として予測可能であること6,7)が,本研究の前 提である.Edmに応じてどのような△6inaxおよび/jmaxが 生じるかは,別報であらためて検討したいと考えてい
る.
5.2Ramberg-Osgood型
構造物の荷重一変位関係として,Ramberg-Osgood型が 現実的とは筆者らは必ずしも考えないが,本論で提案し た方法の広範な適用性を検討するため,Polylinear型にお いて折れ曲がり点の数が無限の場合として,Ramberg- Osgood型を取り上げた.Ramberg-OSgood型には〆荷重 一変位関係に厳密な意味での初期弾性域が存在しないと いう特殊性もある.
Ramberg-Osgood型の単調載荷時の荷重P-変位bi関係 を次式で与える.
.P---O
lJjjL。IJJJDH=
3
2
1
1510
図l7Ramberg-Osgood型の解析モデル 図10(a)と同様に正負定振幅と考えて図16(a)のように 仮定すると,この半サイクルの塑性歪エネルギー
△EPmaxは次式となる.
皿…=恥2缶、(警桝』 (18)
ここで, 鼎一月
+
烏一月 蜘両
(19)
また,平均的な半サイクルにおいて塑性歪エネルギーが
△Epmaxの1/2とすると,図16(b)に示す平均的な半サ イクルの荷重振幅Bは次式で表きれる.
学竺薑恥旦号L盲子』(豊川: (20)
(18),(20)式から,PIDは次式で算定できる.
巳臺(会)市PM (21)
平均的な半サイクルの変位振幅6世は次式から得られる.
几
PlB
+
PlB
-一身U|父」“
(16)
上式は,割線岡I性が初期剛性の1/2になるときの荷重を
B,と定義し,Bに対応する初期剛性上の変位を61,と定 義したものである.〃は硬化指数であり,Ramberg- Osgood式の形状を表すパラメータである.初期剛性K1 は,単調載荷時の荷重一変位関係の荷重零での接線剛性 であり,次式となる.
K,=B/ay('7)
履歴則は,既に経験した最大振幅の範囲内での履歴曲 線が単調載荷時の荷重一変形関係と相似で,丁度2倍の 大ききになるというものであり,図1(b)で説明したとお
りである.履歴曲線の一例を図15に示しておく.
最大の変形△6inaxが生じる半サイクルの変位振幅を,
篝÷(聟1段 (22)
Ramberg-Osgood型の荷重一変位関係をもつ系の周期の 伸び率/は,上式によるBとめを(15)式に代入して計算
できる.
以上の方法で算定したRamberg-Osgood型の系の周期 の伸び率/を,地震応答解析結果と比ぺる.Ramberg‐
-29‐
 ̄
テープ一一一
一〆
0
-1
-
-2
L
2二 =
IILIIII0Ill02
○0-101100 1
OlLmax=1 口似max=3
◇似max=5
△似max=10
150 OFLmax=」 150
口似max=3
◇似max=5
△似max=10 Vam
◇似max=5
△似max=10
100-」
100 -」
50 ----- ̄-コ一一一一一一一一一一一一T-- ̄ ̄ ̄------- 50
/Tb
00 0 12
(c)〃=20,E1CentroNS
(a)〃=2,ElCentroNS
12 3 30 (b)〃=5,ElCentroNS
100 100
Vam Vam
50 50
/Tb
/Tb /Tb /Tb
0 0
.(d)〃=2,TaftEW
12 0 (f)〃=20,TaftEW120 3
(e)〃=5,TaftEW
400 400
400
Vam
300 300
300 一一一一一一一一一一一丁一一 ----- ̄T ̄ ̄ ̄ ̄------ ̄ ̄
200 200
200
100 100 -..-J--..-..-J------------L---...---
100
0
/Tb
0 0
(9)〃=2,NTrKobeNS
12 3 ̄0(h)〃=5,NTTKobeNS
12(i)〃=20,NTTKobeNS
120 3-0 3
5071L」 50 50F1L=」
40rlL」 40、L」 4011
30「1L」 30] 30
20F‐L11 20 20
10U 10 10
0 0 12 0 0
0)〃=2,JMAKobeNS
3-0123VO(k)〃=5,JMAKobeNS
図l8Ramberg-Osgood型のVam-/To関係
12
(1)〃=20,JMAKobeNS
3Osgood式の硬化指数〃は2,5,20の3種を用いた.各〃
に応じた単調載荷時の荷重一変位関係の形状を図17に 示す.〃=2は接線剛性が緩やかに低下するモデルであ り,〃=20は完全弾塑,性やBilinear型に近い形状である.
最大塑性率以maxは,最大変位と必との比としており,
jumaxが1,3,5,10の4つの場合について解析した.
Ramberg-Osgood型では似max=1も弾性応答ではない.
結果を図18に示す.図18は図12と同様に表示した もので,記号を付けた細線はVam-/To関係を表し,太 線は擬似速度応答スペクトルSvである.
図18によると,図12と同様に,似maxが大きくなる程 Vam-/70関係が滑らかになる傾向が認められるが,
,UmmKが異なるVblm-/Zb関係がよく似た形状を示し,
Svとも近い値をとっている.本論による/の算定方法
-30‐
←
》
00000
Va
刀、UU IO OO IO
は,RambeIE-Osgood型の荷重一変位関係をもつ系にも適
一用できる.
8)谷本憲郎・小川厚治:塑性化に伴う鋼構造骨組の地震入力エ ネルギーの変動に関する研究,JSSC鋼構造論文集,第6巻第 23号,pp、71-79,1999.9
9)小川厚治・黒羽啓明・待鳥賢治:強震をうける1自由度系の 正負2方向の損傷分布に関する研究,日本建築学会構造系論 文集,第481号,ppll7-126,19963
10)桑村仁・秋山宏・桐野康則:フーリエ振幅スペクトルの平 滑化による地震入力エネルギーの評価,日本建築学会構造系論 文報告集,第442号,pp53-60,199212
11)山田嘉昭:塑'性力学,日刊工業新聞社発行,1971.12 6.結論
本論では,多数の完全弾塑性要素と弾性要素の並列結 合で表される移動硬化型の履歴特性をもつ系を対象に,
損傷に寄与する地震入力エネルギーの予測に用いる見か けの固有周期の算定方法について検討した.その結果,
「平均的な半サイクルの塑性歪エネルギーは,半サイク ルの最大塑性歪エネルギーの1/zである」という仮定を 採用して,この平均的な半サイクルの割線剛性に基づい て系の見かけの固有周期を算定することを提案した.
本論で提案した方法と地震応答解析結果との比較は,
Bilinear型については既に文献8)で行っている.本論で は,初期降伏後の接線剛性と大変形時の接線剛性が異な る3種のTrilinear型と共に,無限の折れ曲がり点をもつ Polylinear型としてRamberg-Osgood型について検討を 行ったこれらの比較結果は,本論で提案した見かけの 固有周期を用いれば,種々の荷重一変位関係をもつ系の 損傷に寄与する地震入力エネルギーを,塑性化に伴う変 動を考慮して予測できることを示している.したがっ て,本論で提案した方法は,移動硬化型の履歴特性をも つ系に対して,広範な適用性をもつものと判断できる.
ただし,単調載荷時の接線剛性が変位の増大と共に低下 すること,負とならないことが,本論の前提条件である.
付録塑性歪エネルギー
本論で塑性歪エネルギーと呼んでいる量は,一般的に用いら れている定義と必ずしも一致しないので,説明を加えておく.
本論2章の冒頭では,弾性歪エネルギーEeと塑`性変形によ る消費エネルギーEpの和という量を扱っているが,この量は 系の全内部仕事を表し,1自由度系では荷重一変位関係の面積 で表される.図A-1のように,Bilinear系がA点まで単調載 荷を受ける場合について表せば,灰色で示した四角形OYAA,
の面積がEe+DPである.すなわち,
ロハ-17AⅢ(畑
本諭では,B2+Epを弾性歪エネルギー風と塑性変形による 消費エネルギーE,に分けて表すことを行っていないが,まず,
塑性変形による消費エネルギーEpの定義を明確にしておく.
塑性理論'1)では,弾`性歪エネルギーの増分dEeと塑性変形に
よる消費エネルギーの増分dEpは次式で表される.
dEC=Pd4
(a、2)
dEp=Pd6p
ここで,処は弾性変形増分,d6pは塑性変形増分であり,次の
関係がある.
d6=d6b+d6p
(a、3)。P=K1d凡 謝辞
本研究は,文部省科学研究費補助金(基盤研究c)の 助成を受けて行ったものである.ここに記して,謝意を 表します.
参考文献
1)棚橋諒:地震の破壊力と建築物の耐震力に関する私見,建築 雑誌,1935.5
2)GWHousner:LimitDesignofStructurestoResistEarthquakes,
Proc・oflstWCEE,BaIkeley,CalifOmia,pp、5.1-5.13,1956.6 3)加藤勉・秋山宏:強震による構造物へのエネルギ入力と構造
物の損傷,日本建築学会論文報告集,第235号,pp9-l8,
1975.9
4)小川厚拾・井上-朗・中島正愛:損傷に寄与する地震入力エ ネルギーに関する考察,日本建築学会構造系論文集,第530 号,2000.4,掲載予定
5)秋山宏:建築物の耐震極限設計,初版,1980.9
6)小川厚治・井上-朗・小野聡子:柱・梁を弾性域に留める履 歴ダンパー付架構の設計耐力(1質点系による考察),JSSC 鋼構造論文集,第5巻第17号,ppl3-28,19983
7)(社)日本鋼構造協会耐震要素の効果と耐震設計法WG:履歴 型ダンパー付骨組の地震応答と耐震設計法,(社)日本鋼構造協 会・(社)鋼材倶楽部,19989
9,
図A-lEe+Ep
」ん`、
図A-2弾性歪エネルギーE‘
-31‐
性要素と弾性要素との並列結合と見なせば,本論の塑性歪エネ ルギーと塑性変形による消費エネルギーの差は,系に閉じ込め られ解放されることがない各要素の弾性歪エネルギーを表して
いる.本論では,図A-4に示すA→B→Cのような履歴をとる場 合も,この半サイクルの始点と終点を結ぶ割線の剛性を使って 見かけの固有周期は近似できると考えている.このような履歴 は,系の固有周期より十分に長い周期で変動する外力成分のた めに起こり,この準静的な外力に相当する荷重を中心に系は振
動していると判断されるからである.したがって,半サイクルの履歴曲線の始点や終点の荷重や変位は問題ではなく,その形 状だけが見かけの周期に影響する.本論では,この形状を表す パラメータとして,完全弾塑性要素の塑性変形で消費されたエ ネルギーを用いており,これを塑性歪エネルギーと略称してい る.完全弾塑性要素が塑性変形で消費するエネルギーは,A→
B→Cの半サイクルもC→D→Aの半サイクルも同じになる.
半サイクルにおける履歴曲線の形状を表す指標として,一般的
な定義による塑性変形による消費エネルギーE,と異なる量を 定義して,本論では塑性歪エネルギーと呼んでいることに注意 してほしい.なお,図A-4のA→B→C→D→Aのような 閉じた1サイクル,図10や図16に示した正負定振幅の半サ イクルを対象にすれば,塑性歪エネルギーの増分は塑'性変形に
。曇i篝iii鑿が'
P1図A-3Epと完全弾塑性要素の塑性歪エネルギー
したがって,塑'性理論による弾性歪エネルギーユは次式とな
る.
1'昨rA舌仏鑑
B2= (M)
(a,4)式による弾性歪エネルギーユは,図A-2に斜線を施した 三角形UAA,の面積で表される.図A-Z(a)の例では,A点か ら除荷するとU点に至り,このときに解放されるエネルギー が弾性歪エネルギーE`である.しかし,図A-2(b)の例では,A 点から除荷するとB点を経てC点に至り,四角形CBAA,の 面積に相当するエネルギーが解放される.塑性変形による消費 エネルギーが解放されて運動エネルギーなどになることはない ので,除荷することによって解放されるエネルギーは弾性歪エ ネルギーである.図A-2(b)では,灰色で示した部分を含めて,
A点で保持する弾性歪エネルギーE`は四角形CBAA,の面積 と定義するのが適当である.この定義は(a、4)式と異なる.これ は,(a、2)~(a4)式に示した塑性理論が,「応力空間における原点 は,降伏曲面の内側になければならない」という前提条件に基 づいているからである.図A-2(b)のA点では,この前提条件
が満たされていない.塑性変形による消費エネルギーEpは,内部仕事E‘+Epから 弾性歪エネルギーEeを減じた値であり,図A-3に斜線を施し た面積となる.A点以降にどのような履歴を受けてもE`十画p
は,図A-3の斜線部の面積以下になることはないので,この面
積を塑性変形による消費エネルギーEpと定義するのが適当で
あり,かつ一般的と筆者らは考えている.
一方,本論では,Bilinear型を含めPolylinear型の荷重一変 位関係を,完全弾塑性要素と弾性要素との並列結合したものと して扱っており,完全弾塑性要素が塑性変形で消費したエネル ギーを,塑性歪エネルギーと呼んでいる.
図A-3では,塑性歪エネルギーは灰色部分の面積で表され
る.斜線部で示した前記の塑性変形による消費エネルギー画,
とは異なっている.本論で定義した塑性歪エネルギーは塑性変
形による消費エネルギーEpより小さい.Bilinear系を完全弾塑
よる消費エネルギーの増分と一致する.
A'
図A-4半サイクルの履歴曲線の割線剛性
-32‐