グローバル人材育成支援部門
1.長崎大学短期留学プログラム(NISP)のコーディネートについて
2004年10月に発足した長崎大学短期留学プログラム(Nagasaki
University International Student Program:NISP)は、長崎大学と外国
の大学との学生交流協定に基づき、外国の大学に在籍する学部学生を受け入れ、主として英語による授業を実施する1年間の特別留学プログラムである。国際 教育リエゾン機構グローバル人材育成支援部門の専任教員1名がプログラム 全体のとりまとめを行うコーディネーターとして、授業科目の履修に関わるオ リエンテーションや手続き等の業務、また参加者の学業及び日常生活全般に関 する相談に対応している。
2015年9月に第12期生23名が来日したことにより、NISPに参加 した留学生の総数は250名に達した(表1参照)。この第12期生について特 筆すべきことは、イギリス及びアメリカからの留学生が初めて参加したことで ある。これは、昨年度に新設された多文化社会学部が、そこで学ぶ邦人学生の 海外留学派遣先として、欧米の大学との学生交流協定締結を積極的に進めてき た結果、欧米の大学から本学への留学を希望する学生が増加し始めたためであ り、その受け皿として本プログラムが利用されることになったからである。今 後、多文化社会学部から欧米の大学へ留学する邦人学生が増加すれば、そのカ ウンターパートとして、欧米から本学への留学生数のさらなる増加も期待され、
NISP参加者の出身国もより多彩になることが予想される。
NISPのカリキュラムは、英語による専門・教養科目と外国語科目として の日本語から成る。英語による科目は、毎年、各学部からそれぞれ3科目程度 提供されている。加えて、国際教育リエゾン機構と言語教育研究センターが英 語による開講科目を数科目提供している。さらに、昨年度から多文化社会学部 による科目提供も始まった。特に同学部では、邦人学生に対して英語で講義さ れている科目が多数あり、それらの科目をNISPに参加する留学生に開放す る形で提供している。これによって、留学生と邦人学生との共修の機会が増し、
キャンパスのグローバル化がさらに推進されるであろう。
国際教育リエゾン機構が過去3年間にNISPで開講した授業科目につい ては、表2に掲載した。ここでは、各学部が2015-16年度に提供してい
る科目を簡単にまとめておく。まず、教育学部は初年度から異文化理解に関す る授業を提供しているが、これは外国人教員によって英語で講義されている既 存の邦人学生用科目を、NISP生に開放する形で提供している。同様に経済 学部も、既存の英語による開講科目である国際経済学及び国際経営学によって、
世界経済における日本の役割について学習する機会を提供している。加えて、
「日本企業における業務と経営」では工場訪問などの実地見学を取り入れてお り、毎年受講生から人気が高い科目である。医歯薬学系の科目としては、「細 胞培養の方法と応用」「生命科学入門」「医薬科学入門」「創薬化学入門」な どが開講されている。環境科学部からは「生命と環境の生物学」「日本文化に おける庭園」などの科目、また工学部からは「電気電子工学」「機械工学」「環 境デザイン工学」の科目が提供されている。さらに、水産学部は邦人学生と共 に受講する「臨海実習」を目的とした乗船実習の機会をNISP生に提供して いる。最後に、新設の多文化社会学部からは、昨年度は「現代日本の大衆文化」
「日本におけるジェンダーと人権」「日本の海洋政策」、そして今年度は「紛 争と平和」「文化の中のエコノミー」「英語からたどる文化」が提供され、こ れらは全て邦人学生との共修の形で開講されている。
NISPは今年で12年目を迎えたが、近年、NISPへの参加をきっかけ として本学の大学院生や研究生として再入学する留学生が増えている。このよ うに、NISPは本学における国際交流促進に少なからぬ貢献をしてきたが、
今後は欧米や豪州など、これまで参加が無かった国々からの留学生が増えるこ とも予想される。その一方で、後述する邦人学生へのグローバル人材育成教育 も始まろうとしており、その試みがNISPと融合される形で多国籍、多文化 の中での共修の機会を増やし、キャンパスのグローバル化がいっそう促進され ることが期待される。また、そのような趨勢の中でこそ、NISPの役割はさ らに重要となるであろう。特に、プログラムの質的充実、なかでも英語による 提供科目の増加が喫緊の課題となっている。そのためには、まず本プログラム の目的を再確認する必要がある。外国の送り出し大学が、類似の短期留学プロ グラムを持つ多くの大学と学生交流を推進しているなかで、本学の協定大学の 学生にとっても、NISPが唯一の日本留学ルートではなくなってきている。
2.長崎グローバル+(プラス)コースの創設について
本学は2015年9月、学部学生の英語力向上及びグローバ人材育成を目的 に、「長崎グローバル+コース」という学部横断型特別教育プログラムを新た に創設した(図1)。これは学部カリキュラムから独立した学部横断型グロー バル人材育成特別プログラムであり、上級英語とともに、「長崎の和華蘭文化」
「核兵器のない世界を目指して」「グローバル社会における健康」「異文化理 解と文化共生」「グローバルな環境と資源管理」「日本社会の理解」などの分 野に関連した、グローバル人材に要求される基盤的素養を涵養する英語による 科目モジュールで構成される。すなわち、グローバル人材としての志とポテン シャルを有する学生に、所属学部教育からは独立した形でグローバル人材とし ての基盤的素養を身に付ける機会を提供することが本コースの目的である。
本コースの受講を希望する学生は、英語力を測る選抜試験を受けて合格しな ければならない。毎年、100名程度の学部1年生をTOEFLによる英語能力試 験で選抜し、2学期間、モンタナ大学から招聘した3名の英語講師による特別 カリキュラム(Special Course in Academic Skills, SCAS)を受講する傍ら、
英語によって行われる教養教育カリキュラム(グローバル・モジュール科目)
を履修させる。本コースを修了するためには、
SCASの科目を9単位及びグロー
バル・モジュール科目を16単位以上修得しなければならない。本コースは、いわゆるサブメジャーであり、この修了要件を満たした学生に対して修了証書 を授与する。
長崎グローバル+コースの創設にあたっては、国際リエゾン機構の専任教員 に加えて、言語教育研究センター教員及び各学部所属の国際通用性に秀でた教 員により成る「国際性豊かな教員団」を組織し、この特別教育プログラムを推 進することに全力を傾注している。本コースは今後、学生の海外留学推進や主 体的学習の充実など、本学の教養教育全体の国際化の中核プログラムとして位 置付けられることになる。この事業は本学初の試みでもあり、現段階では様々 な課題や問題点を抱えていることも否めないが、今後、本コースの充実に向け て国際リエゾン機構グローバル人材育成支援部門の役割が増すことは確かで あろう。
表2 国際教育リエゾン機構提供短期留学プログラム科目受講者数
図 1 長 崎 グ ロ ー バ ル+コ ー ス の イ メ ー ジ