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(1)

総 合 都 市 研 究 第11 1980

仙台市におけるブロック塀の調査報告

‑1978年宮城県沖地震によるその被害と地形の関係並びに残存塀との比較一一

望 月 利 男 * 四 戸 英 雄 …

宮 野 道 雄 村 田 代 侃 山

要 約

19786月12日に宮域県沖に生じたマグニチュード7.4の地震は,宮城県並びにその周辺に少なから ぬ被害を与えた。この地震の被害の特徴は,仙台市を中心とする都市型地震災害といわれ,多面的な被 害調査がなされたが,この報告は,震死者の筆頭尿因をなしたブロック塀の被害実態を主として仙台市 において調査したものである。

この地震により宮城県では27名の死者を生じたが(この他福島県で 1名:石塀倒壊による) ,そのう 13名は仙台市での発生であり 7名がブロック塀倒壊の犠牲となっている(宮城県全体では10名)。

これに対し家屋倒壊による死者は5名であるから,比較的古い地震の人的被害の発生状況に比べ,その 尿因がかなり変質してきていることを推測させる。

すなわち,かつての大地震において家屋倒壊による震死者数(あるいはそれに伴う類焼死)が圧倒的 に多く,その他の原因によるものは相対的に著しく低かったと考えられる。例えば,門柱・石塀の倒壊 による死者も7 (28名のうち)生じており,これだけでも家屋倒壊による死者数を越えるが,これら の構造物はかなり古くから存在していたはずである。

筆者らは人的被害に及ぼす影響という観点から,構造物としては従来軽視されてきた(しかし使用量 は極めて多い)ブロック塀について,その被害実態を調査し,その地震時危険度を検討した。調査地域 は各種被害が多発した仙台市であり(一部泉市を含む),その倒壊率等と地形(地盤)・震度との関係,

残存プロック塀について検討することにより我が国各地の既存プロック塀の地震時危険度と対策を考究 するための基礎資料を得ること並びに今後,施工されるこの種の塀の安全性の確保のためのデータを提 供すべく,この調査を実施した。

1.  はじめに

調査の目的は19786月の宮城県沖地震で被害が多発 した仙台市において i. 補強コンクリートプロック塀

要素となる。 iii. 地震後残存する塀と倒壊ブロック塀の 構造比較による既存ブロック塀の耐震性の評価資料をう る等を主なるものとし,地震直後並びにその後5固にわ たり調査を実施した。

(以下,ブロック塀という)の被害が地形(地盤)とい かなる関係にあったか。 ii. 他の被害との相関性,墓石 転倒による震度との関係,いいかえれば,コンクリート ブロック塀の被害(率)もまた震度の総合評価の重要な

*東京都立大学都市研究センター・工学部 材東京都立大学工学部研究生

***東北工業大学

この地震を契機として,我が国各地でブロ;"17塀の耐 震診断が行われ,また,その設計施工,補強案が少なか らず提案されているが,実際の激震に遭遇した仙台市等 において残存したブロック塀は,それらにある程度の目 安を与えるものであり,その種の調査はそのような点か

(2)

40  総 合 都 市 研 究 第11 ら必要不可欠である。墓石調査によれば,仙台市の低地

の多くは 400gaI内外ないしそれ以上である。さらに,

仙台市では比較的地盤のよい東北大学の強震計も259gaI (1階, N‑S),震度6を記録している。また,仙台市 東南部低地での木造建物被害調査では,昭和20年以前に 建てられたものは, 19.5%の全壊率を生じており,昭和 20年 ~30年代の建物も 10.5%の全壊率となっている(望 月・宮野, 1979)。気象庁は仙台市の震度を5と発表し ているが,それは,仙台市全般の被害状況によるもので あり,構築物全般の質の向上(特に木造建物)並びに上 記の諸事実から推察すれば,作用した地震動の強さは,

震度6ともいえよう。

2.  調 査 概 要

地震直後並びにその一年後の補足(追跡)調査の一部 については,田代・四戸 (1978,1979)に詳しい。さら に望月・宮野らは地形などと被害の関係をより体系的に 把握するために19798月,仙台市が行ったアンケート 調査をもとに,後述する各地形上の主として被害多発地 で聞き込み・観察調査を行った (1442)

次いで, 19803月仙台市旭ケ丘一丁目(丘陵地の人 工改変地)および同遠見塚二丁目(沖積低地:前縁低地) において残存フーロック堺の構造調査を行った。両地区と も,同一地形のなかでは被害の多かったところである。

illi  if~

2.0 

A丘陵札斗

B台地ト」; j

Cl 

低~い1

O C321Jl

同額

C5 

C6  谷氏低地

Dl  沿 岸

海岸地正1D2 1後背低地

4.0 

なお,調査地域内では意図的なサンプリングを行わず,

ブロック塀のある家を軒並訪問して許諾の得られるもの を両地域全域にわたって調査した。

また調査項目はi.塀の配置・縦断面(実測)のス ケッチ ii 鉄筋配置の測定(パコメータ:P Q‑120  を使用), iii.塀の外観の写真記録, iv.基礎の寸法,配 筋の堀り出しによる実測(測定), V.その他建設年次,

塀の現状,長さ等である。

なお,この両地区については,予め仙台市長名の調査 協力要請を各戸に提示していただいた。

加嘩1t(gal) 

1

425

1 1   ()  37" 

f⑨  325什

II@ 

275

l①  225

h ・",'、仙台市境界

図一1 仙台市の地形区分と推定加速度(墓石による)

6.0  8.0  10.0  12.0  14.0 (5'6) 

仙台市の地形と住家・ブロック塀・人的被害の関係

(3)

以上は,主として標準ブロックによる塀に関する調査 であるが, 19806月,上記の2地区とその近辺におい て化粧コンクリートブロック塀の聞き込みと観察による 調査を行った。

3.ブロック塀の被害と地形・各種被害との関

図 1は,仙台市の地形の大略的な区分表示である。図 中には墓石の転倒調査による幾つかの地形に対する推定 加速度も示してある。図2は,図1の幾つかの地形内を さらに細分化した場合の,各微地形におけるブロック塀 の倒壊率,木造住家(建物) ,被害率,負傷者の人口に 対する発生率(負傷者数は仙台市が行ったアンケート調 査による)を示したものである。

なお,表 1で図 1の各地地形の表層地盤の大略を説明 している。したがって,表1と図1を対応させれば,各 地形の表層地盤の概略は理解しうる。また,そのような 観点、から図2の各種被害(率)をみれば,ほぼ地盤の悪 いところほど被害程度が高くなっていることはわかる。

ただし,望月・宮野 (1979)の調査結果が示すように木 造住家は建築年代により,その耐震性は大きく異なる

1 各地形の地盤概要説明

AI第二紀層層が露が出,表土とがあっても薄いが部分的に ロ ー ム 厚 数mのころもある。

B 11 lAとBの人工改と変地,部あ分的に盛土 (N<10) 10mを越える ころもる。

B 2躍し、ローム層 (N5)を去っ部分もあるが,主 はよく締った砂礁質土で

C 11層砂磯(!曹が主相N (B2より弛い), 層厚は薄いが泥

当 1~4) をもっ部 も少なくない。

地が表広付く近発でもしている。N値10背湿地った自然(近辺1O~堤防 C 2  

20m厚の達泥層)盛を除けが ,泥質広 層厚はほぼ 数mである。 土 地 か な り い 。

)堤後泥防盛の発達は悪く1(0でい), 大 C3 部は層背湿が地でN値 は 1~

3 15m く分布

する。 土地が極めて

Nld2湿8mCU3)C2 C3の 聞 と

C 4  

m程北部度で近あり( 

盛土地の規模

|ほぼ全域が地表付近N値 1~2 の泥質包の層大部(層分厚 >

5liô~の部分もかなりある)。工業団地

C 61部分的には還暦が伽を越えるがm,そのN も地表付近で5程 度 上b‑f£ は 数

11よく)締った砂層以(平の均厚N以 上 が20m 上 さで20~30内外ないしそれする。

21砂昔{地表付近位同が子、在麗大部分は薄い泥

3~4m厚, N 宇 4 でわれている。

2 仙台市の地形と各種被害の関係 フロ数調ッ壊フク件塀ロ数ブロ害

( 7(

ク塀 ク塀

世帯数 壊全壊数 人 口 査件

丘陵地IA

→ 

台 地 B1 平斜坦化面 7621  421 520ω1 46,叫 1321 叫 夙2631136

B21台 地 面 1 76  34  53)  4.20111m 301 n m

C11緩 斜 面 ( 判 311  4.66115村山421 31 39771  33, 0911 

低;沖 自然堤防│ 901  83723吋 吋 1,吋 11叫 叫 日11

i

: 開 │ 叫

1132.081 106531  . 1391 叫 日791 318661 

!低

│ 判 46114.291 50. 791  15, 3081 判 叫 49751  43, 8541  C41 ~~t田辺| 93i  81  3.23111. 831  87821  121 34181仰 681 地 地 C51前縁低地│ 71  4. 171  33. 331  吋 刊21

C61谷底低地│ 271  1. 61145. 161  6, 9001  551  1, 7181  20, 6601 

海 岸 011沿岸砂州│ 01  2.78 23361 13  低 地 D21後背低地l1 111  14113. 411 30.49)  12141  93 必71 ム 吋 31 

l 71 叫 叫 6.35122. 221210, 叫 吋 3 55,似 6014391 66871 注1) ブロック塀中小被害:部分的落下,亀裂,若干の傾斜などをいう。

2)  ブロック塀倒壊率= (倒壊件数/調査件数)x100 

3)  ブロック塀震害率={ (倒壊件数+中小被害件数)/調査件数}x100  4)  地形C3, C 4もC 2と同様に3種の微地形より成る。 C 5は盛土地である。

C6は氾濫低地と盛土地, D 2は砂堆と堤間低地より成る。

(4)

42  総 合 都 市 研 究 第11 (用途によってもかなりの差異はある)ため,地盤の悪

いD 2の堤問低地などで被害率が小さくなっているなど のばらつきはみられる (D2の砂堆は比較的良い地盤で あるが古い農家が多く,被害率は高くなっている)。

2は,望月・宮野らが行った調査件数と四戸・田代 らのそれを各地形ごとに合計して,ブロック堺の被害内 訳とその比率をやや詳細に示したものである。また同表 には木造住家の被害・人的被害資料も併記した。望月・

宮野らは前述したように,いずれの地形とも被害が集中 しているところを重点的に調査している (1442件〕。

その調査によれば,人工平坦化斜面 B1で、は,擁壁上に ブロック塀が構築されているケースがかなり多い(調査 件数241件のうち142 58.9%)。ところで倒壊した 堺の比率は,擁壁上7.7% (11/142) ,地面上13.1%

13/99)であり,むしろ直接地面左に造られた塀の方 がはるかに倒壊率は高い。このことは,台地 (B2)上 でもいえ,調査総数207件のうち擁壁上の倒壊率は6.5

% (2/32) ,地盤上10.2%(18/176)となっており,一 般にいわれてきた被害傾向とは異なる。

2の調査件数は,地域的にはランダムに調査された 四戸・田代らの資料を各地形に分類し,望月・宮野らの 資料に加え,各地形において実際に生じたであろうブロ ック塀の被害率にできるだけ近い数値を推定しようとし ているが,上述の理由から全般的にやや大きめな値とな っている可能性はある。表2,図2によれば,全般的に 地盤の悪い沖積低地で倒壊率は高いが,谷底低地C 6 は低い。しかし,亀裂・部分的落下(中小被害件数)な どを含めた震害率でみれば, C 6C3に次いで高い数 値を示している。

地形C3は卸町が属する地形で, R C造建物が少なか らぬ被害をうけた。ブロック塀もその地形で最高の倒壊 率14.3%を示している。また全般的に,ブロック塀の倒 壊率の高い地形では住家被害率,人的被害率も高く,墓 石調査結果とも良く調和する(図1,図2)。このよう な調査を前提とし,地形C3に属する遠見塚二丁目を,

また大規模な切土・盛土を行っているため丘陵地あるい は一般の人工平坦化地としては少なからぬ被害を生じた 旭ケ丘一丁目 (B1)を以下に示す地震後,存在するプ ロック塀の調査地として選定した。これらの地区はいず れも前述したように,それぞれの地形内でも比較的被害 が集中したところである(仙台市のアンケート調査も参 照した)。

4.残存ブロック塀の調査結果

調査数は,表3に示すように66 148件である。同 一敷地内にあるブロック塀でも立地条件,方位までは構 造の異なるものは,それぞれ1件として記録した。なお

3 残存ブロック塀の調査数

元 美 子 」 ヂ │ 健 全 │ 損 傷 │ 無 耐 力 │ 補 強 │ 合 計 N‑sl  11  1  51 

地盤上

E‑wl叫 川

N‑sl  161  51 

丘 擁壁上

E‑wl  131  81 

地盤上 N‑sl  171

E‑wl  191  61 

11 │ 判 501

注)塀の状態で,それぞれ損傷とは,亀裂あるいは 一部脱落のあるもの,無耐力とは押すとぐらつく

もの,補強は補強してあるもの。

3で無耐力となっているもの(手で押すとぐらつく) 4件と補強してあるもの6件は,被害程度大であるから 残存塀はこれらを除いた138件と以降みなす。ところ で,この138件のうち,塀の高さ 1.2 m以下は,旭ケ丘 47件,遠見塚35件,同様に1.6 mは31件と20 1. 以上は2件と3件である。

また基礎またはそれプラス擁壁の高さ(低い方の地面 からの)は旭ケ丘,遠見塚で, それぞれ20cm以下:25  42件,50cm以下:23 16件,それ以上は遠見塚に はなく 1.0 m以下17 1.5 m以下8 1.5 m以上

7件(いずれも旭ケ丘)である。

また塀の長さは,旭ケ丘,遠見塚のそれぞれについて 5 m以下:3 8件,10m以下:22 17件,15m 下 :28 18件,15m以上:27 15件となっている。

次いで,スカシブロックについては, 138件中101 がそれをもっている。うち旭ケ丘は80件のうち, 53 遠見塚では, 58件中48件を数える。ところで,スカシブ

ロックが塀の下段(最下段および下から2段目)のみに 単独分散で入っているものは旭ケ丘15件,遠見塚2 同中段に入っているもの14件と11件,最上段のみは両地 区ともゼ円以下最上段,中段,下段のいずれか両方に 単独分散で入っているケースは旭ケ丘15件,遠見塚20 (いずれもほとんど中段と下段に設けられている)。そ れ以外の24件は,いずれかの位置に2個以上の連続配置 をしており,それも最上段全面,下段単独配置が7件と 最も多い。いずれにしろスカシブロックを配置すれば,

そこでの鉄筋の付着は不完全なものとなるし,それが連 続配置の場合は特にその条件は悪、い(鉄筋はその部分に は入らない)。なお138件中,フェンス兼用は7件であ

以下,この138件を地震力に耐えた塀の事例として,

建築基準法施行令第62条の8に規定されている事項につ

(5)

4 基準法による不合格率

目 │ 旭 日 │ 旭 叶 重 量 塚 │ 合 計地 盤 上 擁 壁 上

μ 。%│ 0% 

厚 │

27 

基礎の横筋│ 76 

韓合隅角の i 71 

壁内の縦筋│ 12 

壁内の横筋│ 28 

控壁の間隔 1 100  94  I 100  99 

21 

控壁の突出巾│

基礎のせい│ 45 

基礎の根入れ│ 731 100 59 

│累計不合格率1 513  1 5 │ ω 1  438  いて調査した塀(地震に耐えた)の合・否の判定を行っ

4は,それぞれの上記事項の不合格率を地域別に示 したものである。まず高さは,いずれも 3m以下であっ たので不合格率はゼロ,厚さは高さが全て2 m以下であ ったことから10cm以上でよく,不合格率はゼロである。

壁頂に横筋のない塀が全体で27%である(不合格率の 高いのは,旭ケ丘地盤上で38%)。基礎に横筋のない塀 は極めて多く,特に旭ケ丘では90~91% に達する。

以下,不合格率の高い事項は,端・隅角に鉄筋なし,

また控壁の間隔については,高さ102m以上の塀につい てのみ集計したが,控壁の設けられているものが少な く,旭ケ丘地盤上で13%,同擁壁上で36%,遠見塚では 15%の塀がこれをもっているに過ぎない。また,基獲の せい,根入れ深さの2項目も不合格が高い(特に旭ケ丘

:いずれも高さ102mを越える塀について集計)。

なお,鉄筋は9五百以上とされているが,今回の調査で は径の探査はできなかった。また,第62条の86に規 定されている鉄筋の定着も探査できなかった。ただし,

壁頂の横筋,基礎の横筋,並びに端・隅角部の不合格率 をみれば,多くの塀において鉄筋の定着はなされていな いと推定できる(特に旭ケ丘において)。

ところで,表4の12項目の不合終率の累計は,旭ケ丘 地盤上で513%,同擁壁上で532%,遠見塚(地盤上の み)349%となる。これは調査した残存ブロッグ塀の不

合格事項 (12項目)の平均重複度である。いいかえれ 12項目のうち,上記地域,立地条件11原に5.13事項,

5.32事項(旭ケ丘全体では, 5.23事項) ,並びに3.49 項に不合格であったということである。旭ケ丘の地盤上 と擁壁上では,上記の数値をみる限り,ほとんど差異は ない。そして旭ケ丘と遠見塚の最大の差異は,基礎の横 筋・せい・根入れの3項目による。因みに,その3項目 を差引いて比較すれば,旭ケ丘地盤:同擁壁上:遠見塚 306: 271 : 232となる。

したがって,大きな差異ではないが,遠見塚の残存塀 は,他の筒(援項の横筋,壁内の横筋など)においても,よ り欠陥の少ない側にあることがわかる。いいかえれば,

倒壊率のはるかに高い(地震動の強かった)遠見塚にお けるブロック塀は,旭ケ丘に比べ,より欠焔の少ないも のまで地震により淘汰されたと推定される(倒壊率:旭 ケ丘;調査件数200件に対し倒壊24 12%。遠見塚

(一部南小泉を含む) ; 65件のうち17 26%)。

5.  地 震 で 倒 壊 し た 塀 と の 比 較

地震直後の筆者らの倒壊調査で,構造スケッチを行っ た70件について,残存ブロック塀との比較を行う。ただ し,地震直後の調査と残存ブロック塀の調査では手法が 異なるため,比較しうる事項はかなり限定されるが,次

の幾つかの点で大きな差がみられる。

すなわち,基準法にもとづいて判定すると表5のごと くである。表5によれば,倒壊した塀の不合格率は,残 存したものに比べ, 2.3~4倍に達する。特に縦筋におい て著しい (4倍)。

5 配筋の不合格率と被害の関係

│倒 壊 │ 残 縦筋の間爾不合格率 48%  12% 

横筋の潤隔不合格率 65%  28% 

壁頂の横筋不合格率 74%  27% 

6 縦筋,横筋の有無と被害の関係

縦筋 横筋

実数 1 %  実数 1 %  ナ シ

アリ

ナ シ

アリ 41  1 1

必 !

96 

注)倒壊例では横筋の有無が不明のもの12例あるた め合計実数は58例である。

(6)

44  総 合 都 市 研 究 第11 7 縦筋,横筋の施工良否と被害の関係

1

縦筋 横筋

実数 実数

50 

37 

不良

不良

1)縦筋は間隔80cm以下を良とした。

2)横筋は間隔80cm以下で,壁頂にも横筋がある ものを良とした。

3)縦・横筋とも定着は考慮に入れていない。

4)倒壊調査で鉄筋が6必以下のものは不良とし である。

ぷ:ワ寸円合:

この配筋の事項をさらに詳細にみたものが表6であ る。表が示すように,縦筋・横筋とも入っているものが 残存の場合は96%あるのに対し,倒壊したものでは, 41 

Mと少なく,しかも無筋が%を占めていることがわか

7は,縦筋・横筋ともに入っているものについて,

その良否を示したものである。表から,縦・横筋ともに 配筋不良なものが,倒壊では%あるのに対し,残存では 7 %と低く,逆に縦・横筋共に満足しているものは,残 存では50%あるのに対し,倒壊では21%と少ない。

さらに配筋で比較できるものとして縦筋の基礎への定 着深さ(長さ)があげられる(倒壊ブロック塀の場合,

判明13件と少ないが)。表8にその比較を示す。なお,

残存ブロック塀で,この事項の判明しているのは84件で ある。表より,定着長さ(深さ)(cm)が10cm未満の ものが倒壊では100%に達するのに対し,残存では37%

に過ぎなL

ところで,すでに旭ケ丘,遠見塚の残存ブロック塀に ついて,高さ,長さ等について示したが,ここでそれら が判明している78事例について,その分布を示す。まず 塀の高さについては 1.2 m以下:30 1.6 m以下:

33 1.m : 13 2 m以上:2件,また基礎または それプラス擁壁高さについては,20cm以下:43件,50cm  以下:26 1.m以下 4 L5m以下 4件,次 いで長さについては 5m以下:18 10m以 下 :40 

件,15m以下 7件,15m以上 :13件である。

これひの数値を直接比較することは,サンプリングの 方法(地域等) ,量的な問題などはあるが,倒壊・残存 ブロック塀の間にどのような差異があるかを若干比較検 討してみる。

まず塀の高さについては,残存ブロック堺の59.4%

(82/138 )が1.2m(6段)以下であるのに対し,倒壊 ブロッグ堺では,それが38.5%(30/78)となっており,

高さの大なほど倒壊率が高くなっていることは確かなよ うである(倒壊 1.8 m以上:19.2% (15/78) ,残存1.8 m以上:3. 6.%  (5/138) )

基礎またはそれプラス擁壁高さについては,20cm以 下 の場合,倒壊:55.1 %  (43/78) ,残存:48.6%(67/ 

138)であり,両者の間に実質的な差異はない。ただし,

倒壊ブロック塀の詳細な調査は,ここにいう高さの低い!

ものに集中しているため,量的な検討は十分できない 次いでブロック塀の長さについては,15m以上のケー;

スについて,倒壊;16.7% (13/78),残存:30.4% (42:  /138),また10m以上とすれば,倒壊:25.6% (20/78),  残存;63.8% (88/138)となっており,長い塀ほど倒壊

しているとの結果はみられない(控壁がいずれも極めて;

不十分であるにもかかわらず)。

6.  化粧コンクリートブロ...,クについて このブロックは,ブロック単体上の表面を自然石(あ るいは大谷石)状なとーの仕上けeを行ったもので,ここ15 年間程度の聞に序々に普及しつつあるもので,大きさ

50,60c‑90c揖(長さ)など大き目なものが多い。ま た単価も標準のものに比べて数倍はするとのことであ

そして仙台市における追跡調査で感じたことである が,標準ブロック塀の倒壊後の建て替にかなり多く使わ れている。それゆえ,既存の塀としては標準プロック塀 に比べて少ないが,今後さらに多くの比率で用いられる ものと考え,この地震における被害(率)を遠見塚(南 小泉を含む) ,旭ケ丘で調査した。調査件数は前者の地 区で50件(うち倒壊5,10%,また亀裂など中小被害は 12件,健全33件) ,旭ケ丘では, 53件調査したが(存在 数からみてほとんどしっ皆ともいえる) ,完全に倒壊し ているものは1件も見出せなかった。ただ部分的に落下 (5段のうち上から2段,フェンス間ブロッグ1列)寸 前,倒壊寸前(頂部の番線で支えられている,門柱隅角 1 5段)各1件が認められたのみで,他は被害が 多くても極めて局部的(目地亀裂など11件)な段階に止 っていた。調査は上記2地区のみであるが,調査もれの ないよう十分配慮した聞き込みと観察によっている。し たがって,この種の塀が標準ブロックにより残存率が著

(7)

しく高かったのは事実である。

なお,配筋等の調査は行ってはいないが,調査実感と しては,この種の塀は価格が高い等の理由で,より入念 な施工がなされているようである。それが最もよく感じ られたのは基礎である(外見のみによるが)。ただし,

控壁は調査数103件のうち5件に設置されていたに過ぎ ない。

7.  まとめと考察

残存ブロック塀の調査を行った旭ケ丘と遠見塚の地震 の際の被害は,木造住家については旭ケ丘0.06%(2 /3361世帯) ,遠見塚1.34% (20戸/ 1490世帯)の全 壊率,またブロック塀の倒壊率については前述したよう

に,それぞれ12%,26%である。すでに述べたようにこ の数値は,同一地形内ではかなり高い(旭ケ丘を含む人 工平坦化地B1の平均値は5.51%,遠見塚の属する旧広 瀬川低地C3における平均値は14.29%)。

すなわち,この旭ケ丘,遠見塚は図1,図2,表1 2の地形B1とC3内の被害をミクロにみたものであ るが,この地震における両地域の地震動の差異は明白で ある。また,地動加速度はN‑Sの方が大きかったよう であるが,ブロック塀の倒壊率はN‑S方向10.5%

‑w方向9.1%であり,有意な差異は認められない。

さらに,地盤上と擁壁上では,後者におけるブロック 塀の方が被害が大きかったともいわれてきたが,筆者ら の調査結果では,全く逆の結果が得られた。その理由の 一つは,擁壁上の塀は高きが一般に低いことがあげられ る(旭ケ丘の調査では 7段積以上の比率は,地盤上:

63%,擁壁上:29%)。また,同地域の残存壁で鉄筋の 入った控壁をもっているのは地盤上4 %,擁壁上13% あった。したがって,擁壁が崩壊しない限り,その上の ブロック塀も地盤上のそれに比べ倒壊しにくい要因はあ ったと考えられる。仙台市の擁壁は玉石練積みが多く,

これは少なからず被害をうけたが,それらは大規模(例 えば,高さが大)なものが多い。そして,そのような高 い擁壁上にブロック塀は少ない(必要性がかなり限定さ れる)。

ところで,以上に述べてきたように倒壊したもの,残 存しているものの間の比較は限定された項目でしか行い 得なかったが,構造的に欠陥をより多くもつものが,そ れぞれ作用した地震動の強さに対応して倒壊したと考え られる。いいかえれば,欠陥の多いブロック塀は,一応 この地震で淘汰され,被害の多かった地域的条件のブロ ック塀ほど,残存する塀の構造的欠陥は少なくなってい ると考えても大きな誤りはないように思われる。ただ し仙台市などにおいては残存するブロック堺に損傷を 生じている場合も少なくない(表2,表3)。これらは

耐力が低下していることも考える必要があり,その補修

・補強などが早急に望まれる。

なお,この地震を契機として少なからぬ地域において ブロック塀の調査が行われており,それらの極めて多く が基準法に抵触するとして問題になっている。この報告 は,そのような問題に対する対策を考える場合の資料を

うることも目的としている。

結果的に,この地震に残存しているブロック塀もその ほとんどが基準法の規定を満していない。この地震にお ける仙台市の地震動の強さをどのように位置付けるかに より,結論は様々になるであろう。この地震で直接的に 観測された最大加速度は石巻市においてである(闘北 EW: 294gal)。しかし,仙台市の方がはるかに大 きな各種の被害(率)を生じており,墓石転倒(率)に よる推定加速度も高い(特に低地において)。そして,

加速度的にみれば,比較的地盤のょいところでも震度は (気象庁の震度階)である。

以上のような諸点を考慮すれば,一般的な地域の場 合,防災的な立場からみて早急に補強等を要するブロッ ク塀の目安はある程度得られるように思われる。それ は,建築基準法に抵触する塀の全てではないであろう (理想的にはそうであるにしても)。すなわち,その対 象になるのは特に大きく抵触するレベルの低い方から10

~30%程度(主として地盤条件により差異を設けること になろう)の塀であり,それも通学路などに限定すれ ば,比較的現実的な対応がとれると考える。

なお,図3は,ブロック塀の倒壊率の予測のために作

15 

10 

• •

Y=1.70+2.37X  R=0.85 

3  4  5  6 

‑ムム

3 住家震害率Xとブロック塀倒壊率 Yの関係

表 4 基準法による不合格率 目 │ 旭 日 │ 旭 叶 重 量 塚 │ 合 計 地 盤 上 擁 壁 上 上 。 μ │ 。%│ 0%  厚 │ O  2 7  一 基礎の横筋│ 7 6  韓合隅角の i 7 1  壁内の縦筋│ 1 2  四 壁内の横筋│ 2 8  控壁の間隔 1 1 0 0  1  9 4  I 1 0 0  1  9 9  五 2 1  控壁の突出巾│ O  基礎のせい│ 4 5  七 基礎の根入れ│ 7 3 1 1 0 0 1  5 9  │累計不合格率 1 5 1 3  1 5 沼

参照

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