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発達障害者に対する支援体制の現状と課題

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Academic year: 2021

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発達障害者に対する支援体制の現状と課題

〜雇用・所得に関わる制度運用に焦点をあてて〜

  及川 夏美

 発達障害は近年ようやく社会的認知が進んできた分 野である。発達障害者支援に関わる制度に着目すると、

他の障害に比べて発達障害が後発的に認知され始めた ことから、「追加的・補足的」に制度に組み込まれて おり、実際の支援が発達障害者にとって使いやすいも のなのか、有効なのか、「生きづらさ」は解消できて いるのか、といった疑問が生じた。その問いから本研 究がスタートしている。

 この「生きづらさ」は、発達障害が、「わかりにくい」

障害であることに起因すると考えられる。「わかりに くい」とは、本人が障害の存在に気づかない、周囲の 人々も気づかない、医学的診断における不明瞭さ(症 状の多様性、重複性、二次障害の発生等)、社会的認 知が他の障害に比べ低い等である。

 この「わかりにくさ」ゆえ、多くの発達障害者が「生 きづらさ」を解消できずに悩んでいる。それを支援し ようとするときに、多くの法律・制度は客観的な診断 をもとにした医学モデルを基準に対象者を選別してい るため(特に身体障害)、その診断自体に不明瞭さを かかえる発達障害は、その枠組みに入りにくいと考え られる。また、発達障害自体、基本的に完治すること がないと考えられているため(変化や対策によって困 難が軽減することはある)、医学モデル重視での解決 は難しい。よって、支援制度における選別の基準につ いて社会モデルをより重視すべきであり、その事情は 特に発達障害において顕著である。

 本研究ではオープン就労の推進を基本指針としたう えで、障害特性に起因する「生きづらさ」によって生 じる問題から、実際はそれが困難であることに対し、

対応策を検討する。発達障害者支援の制度が充実する ことで、クローズ就労からオープン就労へ移行する選 択をする者が増える。それが波及してグレーゾーン層 が縮小し、制度の実質的な有効性が向上する、そのこ とでさらにオープン就労への移行が進み…という好循 環を期待し、具体的に雇用率制度、手帳取得、障害年 金等について検討を行った研究である。

職員の主体性に着目した組織開発

―社会福祉行政における組織学習―

  及川 実祝

 生活保護行政に従事する職員が抱える負担や職務遂 行上のジレンマを解決するためには変化に対応できる 柔軟な組織に近づいていくことが必要である。生活保 護の運営は厳格な枠組みの中で細かく業務が決められ ており、職員たちはその枠組みのなかで業務をこなす ことで手いっぱいの状態である。そのため、生活保護 制度の本来持っている被保護者の自立助長といった本 質をとらえることができないまま業務の処理を迫られ ている。

 本研究においては、専門職の本質である社会的使命 と組織における業務の両立を組織開発と位置づけてい る。両立への第一歩として効率化を資源の節約だけで はなく、業務全体・成果全体との関係から考える発想 の導入が必要である。

 とはいえ現実的には生活保護行政は組織全体の成果 を求めていきにくい組織である。業務枠組みが厳格に 決められているため、柔軟な裁量行使は難しい。この ように枠組みに制約された中であっても、福祉的視点 からの支援という生活保護制度本来の目的を志向して 業務を行っていくことはできないのだろうか。

 生活保護制度の本質に即して業務を遂行しようとす ると、自己の職責と社会的期待との関連、いわば公益 観が必要になる。しかし、社会的期待は多岐にわたり、

一貫した職務意識を持つことが難しい。制度の本質を 志向するためには、職員自身が枠組みにとらわれず、

専門職的価値を大事にし、制度の本質を想定しながら 仕事をしていく柔軟性が必要なのである。

 以上のことから、専門職の社会的使命と、組織にお ける業務遂行の両立には、業務全体、組織全体での組 織学習を通じた組織開発によってアプローチできる可 能性がある、とする議論を本論文において展開する。

県立大社会福祉学部.indb 132 16/03/18 8:56

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