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糠 塚 亜紀子 平

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(41)

研究報告 :秋 田大学医学部保健学科紀要

12(2):145‑151,2004

新生児 ・乳児 モデルを使用 した小児看護学演習 による 対象理解 の導入 としての効果

糠 塚 亜紀子 平

本研究 は新生児 ・乳児 モデルを使用 した小児看護学演習において,学生が新生児および乳児 をどのよ うにイメージ したかを明 らかに し,対象理解 の導入 としての効果 を検討す ることを目的 とした.短期大学看護学科

2

年生

67

名を対 象 に,小児 の養護 の演習終了後の感想 をデ‑夕とし,質的 ・帰納的に分析 した. 結 果, 【小児看護技術 の特徴】,

【 子 どもの特性】, 【 感想 ・課題】, 【 愛着】, 【 養育者への思 い】 q )カテゴリが得 られた. 【 小児看護技術の特徴】

が最 も多 く記述 され,演習 は学生 にとって技術習得 の意味が大 きか った. 【 子 どもの特性】で は,子 どもの成長発達 上 の特徴を示す内容が記述 され,学生 は子 どもの特性 を具体的にイメージで きた. 【 愛着】, 【 養育者‑の思 い】で は,学生 は子 どもに対す る愛着を喚起 し,養育者へ も思 いを及ばせていることか ら,子 どもとその家族 も含 めて,看 護対象 の理解を深 めた と思われ る.以上 より, モデルを使用す ることは,子 どもの早期 イメージ化をはか り,対象理 解 の導入 として も有効 な教授方法であることが示唆 された.

Ⅰ. は じめに

小児看護学技術演習 において,教員 は様 々な教授方 法 を検討 しているが,新生児 ・乳児 を対象 とす るもの で はモデルを使用 しているのが現状である. モデルを 使用 した小児看護技術演習で は,実際に子 どもの看護 場面 を想定 して演習を行 い,子 どもの 日常生活援助の 実践 に必要 な基礎看護技術演習の習得がで きることを 目指 してお り1 ) ,臨床実習への導入 と して, モデルを 使用 した学 内演習の意義 は大 きいと思われる. しか し, 実際の子 どもの反応を予測 し,特徴 を理解す るには限 界があ り,技術 の手順等がイ ンプ ッ トされるだけで, 援助技術 の意味づ けは実感 で きず,感覚 の統合や相互 作用 はお こらない といわれている

2)3)4)

. しか しなが ら, 子 どもと接す る機会が少 な くな って きている昨今,学 生 にとってモデルを使用す る演習 は,子 どもの存在を 認知 し,子 どもの像を思 い浮かべ るよい機会 とな りえ る. そ して,看護対象である子 どもを具体的にイメー ジ し,学習意欲を高 めることがで きる教授方法ではな

いか と考える. そ こで,初 めての小児看護学技術演習 における学生 の子 どもに対す るイメージ化 を明 らかに し,対象理解の導入 としての効果 を検討 したので報告 す る.

Ⅱ.研究 目的

1

.新生児 ・乳児 モデルを使用 した小児看護学演習 に おいて,学生が新生児 および乳児 をどのよ うにイメー

ジしたかを明 らかにす る.

2.

新生児 ・乳児 モデルを使用 した小児看護学演習の 対象理解の導入 としての効果 を検討す る.

Ⅲ.研究方法

1

.対象

小児 の養護 の演習を実施 した

A

短期大学看護学科

2

年生

77

名 に対 し,成績評価終了後,研究 の趣 旨,参加 方法, プライバ シー保護, 自由参加 の権利 について説 明 し,同意が得 られた

67

名 を対象 とした.

秋 田大学医学部保健学科看護学専攻

秋田大学医学部保健学科紀要 第12巻 第2

KeyWords:

小児看護学演習 新生児 ・乳児 モデル イメー ジ化

145

(2)

2.

データ収集方法および分析方法

演習終了後 に学生が小児 の養護 を実施 した感想 を自 由記述 した レポー トをデータとした.

1

人 の学生 の記 述 した内容 が単一要素 にな るように文脈を区切 り,要 約 し, それを

1

件 とした.分析 は質的 ・帰納的に行い, 記述内容 の類似性 ・異質性 に基づ き分類 し,分類 した

ものに含 まれ る類似性 について表現 し, カテゴ リ化 し た.分析 の各段階 において,研究者間で同様の見解が 得 られ るまで内容 を検討 し,分析の信頼性,妥当性 の 確保 に努 めた.

3.

小児看護学演習の概要

小児保健

1

単位

(30

時間) の うち,単元 「 小児の栄 養

」6

時間,「 小児 の養護

」6

時間の講義終了後,調乳 および小児の養護 の技術演習を設定 している.小児 の 養護 の演習項 目は,だ っこ ・おんぶ,衣服 の着脱, お むっ交換, ベ ッ ドの取 り扱 いである.演習 目標 は, 1.

小児 を具体的にイメージし特徴を理解で きる,

2.

小児 の 日常生活 の援助技術 を習得する

, 3.

小児 の安全安楽 を考慮 して養護す る必要性 を理解で きる,

4

ノJ \ 児 の養

表 1 各カテゴリの記述状況 【 小児看護技術の特徴】

護技術を保護者への指導 に活用で きることであ った.

演習の方法 は, は じめに教員が各項 目につ いてデモ ン ス トレーションを行 った後,学生 が各項 目を新生児 ・ 乳児 モデルを使 い実施 した.

Ⅳ.結 果

313

件の記述が抽出 され,

5

つ の カテ ゴ リが得 られ た. その

5

つのカテゴ リは, 【 小児看護技術 の特徴】

148

(47.3%)

, 【 子 どもの特性】

60

(19.2%)

, 【 感 想 ・課題】 が

56

(17.9%)

, 【愛着】

27

(8.6%)

,

【 養育者への思 い】

22

(7.0%)

で あ った. 各 カテ ゴ リの記述内容 は以下 の とお りであ った.

【 小児看護技術の特徴】 は,小児看護特有 の観察点 や留意点および根拠 に関す る気づ きゃ学 びを示す記述 であった. このカテゴ リはさらに

10

項 目に分類できた.

各項 目の内容 は,記述件数 の多 い順 に以下 の とお りで ある ( 表

1).

[ 観察 の必要性 と留意点] は,表情, 顔 負,皮膚,発汗,冷感,泣 き声 の観察が大切,子 ど も のサイ ンを見逃 さない,看護師の気づ さが大切 などの

項 目 記述例 記述件数 (%)

観察の必葺性と留意点 ・ 表情、顔色、皮膚、 発汗、冷感、泣き声の観察が大切である

34(23.0)

・ 赤ちゃんのサインを見逃さないことが重要である

安全への配慮 ・ 安全を考えて実施しなければならない

33(22.3)

・ 周囲の危険なものを確認する

アタッチメント 、コミュニケーション ・ あやしながら実施する

14(9.4)

・ 愛情をもって捧する

根拠を理解する必要性 t 成長. 発達を理解する必要がある

13(8̲8)

・ 原理. 原則を踏まえたケアが必要である

保温に留意した迅速な援助 ・ 保温に気をつけすばやく 援助する

12(8.1)

・ 時間がかかると不快な気持ちにさせてしまう

成長発達に合わせた援助 ・ その子の時期に合った物品の選択や援助が大切である

ll(7.4)

・ 健やかに成長できるよう援助していく 必要がある

養護の必要性 ・ ちょっとしたことにも気配りが必要である

10(6.8)

・ 全てにおいてケアが必要である

安楽の必要性 ・ 安楽への配慮が必要である

8(5.4)

・ 児に負担をかけない

看護技術の熟練の必要性 ・ 高い技術が必要やある

8(5.4)

・ 基礎看護技術の応用である

146

秋田大学医学部保健学科紀要 第

12

巻 第

2

(3)

糠塚亜紀子/新生児 ・乳児 モデルを使用 した小児看護学演習 による対象理解 の導入 と しての効果

2

各カテゴリの記述状況 【 子どもの特性】

項 目 記述例 記述件数 (%)

モデルとの相違 ・実際の赤ちゃんは動いたり泣いたりするだろう 18(30.0)

・人形は反応がない

苦痛を表現できない ・乳幼児は苦痛を言葉で表現することができない 13(21.7)

・赤ちゃんは言葉を話せない

大きさ、重さ ・乳児は思つたより重い 9(15.0)

・新生児は小さい

危険を回避できない ・乳幼児は自ら危険を回避することができない 7(ll.7)

・大人と違いけがをしやすい

抵抗 力が弱い '乳幼児は抵抗力が弱い 6(10.0)

・赤ちゃんは 自分では清潔は保てない

関節の不安定 ・首が不安定である 3(5.0) 成長 .発達 ・児の成長は急速である 3(5.0)

記述か らな り,観察 ポイ ン トや観察 の重要性を示す内 容であ った. [ 安全への配慮] は,安全 を考えた実施, 危険物 の除去,股関節脱臼予防,転落防止 などの記述 か らな り,安全確保 と事故防止,環境整備, さらに関 節可動域 の注意等 を示す内容であ った. [ア タ ッチ メ ン ト, コ ミュニケーシ ョン] は, あやす,愛情 を もっ て接す る,声 かけ, 目線 など,接 し方や コ ミュニケー シ ョン技術 に関す る内容であ った. [ 根拠 を理解す る 必要性] は,成長 ・発達 を理解す る必要性,養護 の知 識 を持っ必要性,援助 の根拠 など,成長発達など小児 の看護 に関す る知識 を持 ち,根拠 のある看護 の必要性 に関す る内容 であ った. [ 保温 に留意 した迅速な援助]

は,すばやい援助,物品の準備,確認,手順 など,保 温 に留意 した準備 と実施 に関す る内容 で あ った. [ 成 長発達 に合わせた援助] は,個 々の子 どもに合 った援 助 の必要性,物品の選択,成長の促進,定頚前後 を考 慮 した援助 など,対象 に応 じて援助 を選択 し,成長発 達 を促進す る必要性 に関す る内容 で あ った. [ 養護 の 必要性] は,気配 りの必要性,守 られるべ き存在,す べてにおいてケアが必要 など,小児 は養護 の対象であ ることを踏 まえた看護 に関す る内容 で あ った. [ 安楽 の必要性] は安楽への配慮,負担をかけない,苦痛を 与 えないなど,安楽に留意する必要性を示す内容であっ た. [ 看護技術 の熟練 の必要性] は, 確実 な看護技術 が必要 など,小児看護 は確実で熟練 された技術が必要 であ るとい う内容であ った.

【 子 ど もの特性】 は, モデルを通 して,実際の子 ど

秋 田大学 医学部保健学科紀要 第12巻 第2

(43)

もの特徴を具体的に思 い浮かべ,理解 し,表現 した記 述 であ った. このカテゴ リはさ らに

8

項 目に分類で き

た.各項 目の内容 は,記述件数 の多 い順 に以下 の とお りである ( 表

2).

[ モデルとの相違] は,実 際の子 ど もは動 く,泣 く,嫌が る,人形 は無反応,思 い通 りに で きるなど, モデルと実際の子 どもとのギ ャップを想 像 している内容であ った. [ 苦痛 を表現で きない] は, 苦痛 を言葉で表現で きない,新生児 は言葉 を話す こと がで きないなど,子 どもの言語表現能力の不確立 に関 す る内容であ った. [ 大 きさ,重 さ] は, 思 った よ り 重 い,乳児 は重 い,新生児 は小 さい,頭が大 きいなど, 子 どもの重量,大 きさ,体型 に関す る内容であ った.

[ 危険を回避で きない] は,子 ど もは 自 ら危 険 を回避 で きない, けがを しやすい,事故 が起 きやす いなど, 危険の認知, 回避能力 の不足 を示 す内容 で あ った.

[ 抵抗力が弱 い] は,子 どもは抵抗 力 が弱 い, 自 ら清 潔 を保てないとい う,抵抗力不足や清潔保持 の困難 を 示す内容であった.

【 感想 ・課題】 は,演習を行 った実感,実施の成否, 今後 の実習への意欲や学習課題 を示す記述であ った.

このカテゴ リはさ らに以下 の

3

項 目に分類で きた ( 義

3).

[ 課題] は,復習が必要,確実 にで きるよ うに し たい,今後実習や子 どもと接す るときに生 か したいな ど,今後の実習や実生活 における学生 自身 の学習課題 に関連す る内容であ った. [ 感想] は, 戸惑 った, 時 間がかか った,楽 しか ったなど,演習の際の不安 や戸 惑 い,素直な実感 を示す内容であ った. [ 経験] は,

147

(4)

表 3 各カテゴリの記述状況 【 感想 ・課題】

項 目 記述例 記述件数(鶴)

課題 ・確実に技術を習得したい 21(37.5)

・今後の人生に生かしたい

感想 ・時間がかかった 19(33.9)

・楽しかつた

経験 ・初めての体験だった 16(28.6) t子供の世話をしたことがあるのでなんなくできた

4

各カテゴリの記述状況 【 愛着】

項 目 記述例 記述件数(鶴)

かわいい ・人形でも赤ちゃんはかわいい 17(63.0) t実際の赤ちゃんはもつとかわいいだろう

愛情、思いやり ・自然と声をかけたくなる 10(37.q)

5

各カテゴリの記述状況 【 養育者への思い】

項 目 記述例 記述件数(鶴)

育児の実感 ・子育ての大変さがわかった 12(54.5)

・育児は手間 がかかる

養育者への配慮 ・育児の負担を軽減できたらいい 6(27.3)

・母親にきちんとした技術と知識を指導したい

初 めての経験 だ った,乳幼児 と触れ合 う機会がなか っ た,子 どもの世話 の経験があ ったのでスムーズにで き たなど,子 どもと関わ った経験 の有無や経験の効果を 示す内容であ った.

【 愛着】 は, モデルを通 じて実際の子 どものかわい らしさを感 じとり,愛情 や思 いや りの気持 ちを表現 し ている記述であ った. このカテゴ リはさらに以下 の

3

項 目に分類で きた ( 表

4).

[ かわいい] は, 人形 で も 新生児 はかわいい,実際 はもっとかわいいだろうなど, 子 どもがかわいいとい う感情表現で あ った. [ 愛情, 思 いや り] は, 自然 と声 をか けた くなる,新生児 を見 ていると笑顔 になる,大切 に したい,いとお しいなど, 学生 自身の子 どもに対す る愛情 の情動,すなわち母性 愛 を表現 している内容であ った.

【養育者への思 い】 は,演習 を通 して,擬似的に育 児体験 を し,育児 の大変 さを実感 した結果,養育者へ

148

の援助や配慮 を示 し, さらには自身 の母親への尊敬 や 感謝 を感 じ取 っている内容であ った. このカテゴ リは さらに以下の

3

項 目に分類で きた ( 表

5).

[ 育 児 の実 感] は,育児 は大変,育児 は手間がかか る,育児 は疲 れ るなど, 育児 の大変 さを実感 した内容 で あ った.

[ 養育者への配慮] は,育児 の負担 を軽減 で きた らい い,母親 に助言,指導がで きるようにな りたいなど, 養育者の育児への配慮や,養育者への看護 に関す る内 容であ った. [自身の母親への尊敬] は, 育 児 を して きた自身の母親 に感謝す る,尊敬す るなど, 自身の母 親への尊敬 を示す内容であ った.

Ⅴ.

考 察

モデルを使用 した演習 によって技術 の準備 や手順 を 確認す ることは,実践的な関心 を高め,技術 の基礎 を 習得す ることが可能であ り,効果的な学習方法である

秋 田大学 医学部保健学科紀要 第12巻 第2

(5)

糠塚亜紀子/新生児 ・乳児モデルを使用 した小児看護学演習による対象理解の導入 としての効果 (45)

ことは先行研究等ですでに明 らかで あ る5 ) . そ こで今 回 は技術習得や講義 と実習の統合をはか る目的だけで な く,学生が子 どもを具体的にイメージ化す る目的 と して もモデルを使用 した演習 は効果があるのかを明 ら か にす ることに注 目 した. そ して,演習終了後 の学生 の感想 を分析 した結果, 【小児看護技術 の特徴】,

【子 どもの特性】, 【 感想 ・課題】, 【 愛着】, 【 養 育者への思 い】 の

5

つのカテゴ リが得 られた.

【 小児看護技術 の特徴】 は,小児看護特有の観察点 や留意点 および根拠 に関す る気づ きゃ学 びを示す記述 であ った.技術習得 に関す る内容であ り,演習 目標 と 照 らし合わせて も演習 の効果 として予測 された結果で ある. このカテゴ リが最 も多 い記述数だ った ことは, 学生 にとって演習 は技術習得の意味が大 きか った と考 え られ る. また, カテ ゴ リ内の記述の約半数を [ 観察 の必要性 と留意点

]23.0%

と [ 安全 へ の配慮

]22.3%

2

つの項 目が 占めた. この結果 は,学生 は小児看護 学技術演習 において,「 安全への配慮 ・事故 防止

」6),

「 観察 と安全への配慮

」7)

を学んだ とい う研究結果 と一 致す る. その他 の項 目も子 どもを援助す るときの具体 的なかかわ り方や留意点 を示す ものである.学生 はこ れ らを単 にテクニ ックとして とらえているのではな く, 子 どもの特性 をイメージし,理解 した上で,基礎看護 技術 を発展 させ,小児看護技術 の特徴を習得 しようと

していると考え る.学生 は根拠 を もった観察をす るこ とが子 ど もの安全 につなが り,看護師には熟練 した技 術 が要求 されていると感 じていると思 われ る.

【 子 どもの特性】 は, モデルを通 して,実際の子 ど もの特徴 を具体的に思 い浮かべて表現 した記述であ っ た.小児看護学技術演習 において学生 は 「 小児の特性 を理解 して援助す る必要性」 7 ) ,「乳児 の特徴 や表現 の 意味を理解 し,成長す る存在 として とらえることが養 育者 として大切であること

」6)

を学 んだ とい う研究結 果 と類似す る. このカテゴ リの項 目である [ 大 きさ, 重 さ], [ 関節 の不安定], [ 抵抗力が弱 い], [ 活発], [ 成長 ・発達] は,子 どもの身体 的形態 や機能上 の発 達 の特徴 を示 している. また, [ 苦痛を表現できない] ,

[ 危険を回避 で きない] は,子 ど もの精神 ・運動機能 上 の特徴 を示 している.学生 はモデルを使 った演習 に よ って,講義で得 た知識 と統合 して,身体的機能,知 的機能,情緒 ・社会性 の全般 にわたる子 どもの成長発 達 に関す る特徴 を とらえて,具体的にイメージし,義 現で きた と考える. また, このカテ ゴ リ内で は, [モ デル との相違] が

30%

を占め,学生 はモデルと実際の 子 どもを比較 して認識 している.小児看護臨床実習 に おいて,泣 く,動 くな ど人形 とは違 う反応 をす る患児 に対 して苦労 した体験 を持っ学生 も存在す る

8)

が, 演

秋田大学医学部保健学科紀要 12巻 第2

習 に リア リテ ィを求 めるのは難 しい現状である.一方, 実習 において学生 は,看護師や教員 の患児 との関わ り 方 のモデルを見た り,患児か らよい反応 を得 られ る体 験 があると,実習の困難 さを軽減 させ るとい う報告が ある9 ) . したが って,演習での介入 よ りも, 実 習 にて 教員やスタッフが, モデルの提示や助言 を してい くこ とがギ ャップを埋 めるのに効果的なので はないか と考 える.

【 感想 ・課題】 は,演習全体 に対す る抽象的表現で はあるが,実習や学習への意欲の高 ま りを示す もので あった.演習は臨床実習への意欲を高め,講義へのフィー ドバ ックの動機付 けとな っていると思われ る. また, [ 経験] の項 目が抽 出された ことよ り, 実生活 で子 ど もとかかわ った経験が,少なか らず援助 の実施 に影響 していると考え られる.

【 愛着】 は, モデルを通 じて実際の子 どものかわい らしさを感 じとり,愛情 や思 いや りの気持 ちを表現 し ている記述であ り, いずれ も子 どもに対す る肯定的感 情であった. [ かわいい] は,素直な感情であ り, [ 愛 情,思 いや り] は,学生 自身の母性愛 を表現 している 内容であった.学生 の母性愛 の表 出が, モデルによっ て も促進 されることは興味深 い.看護学生 は,子 ど も に対 して肯定的なイメージを持っ といわれて い る

10).

河上 ら

11

)は,看護学生 は子 どもに対 して 「 好 き」 とい う感情が強 く, また 「 苦手意識」が低 くな り,接触体 験 が増えるにつれ,子 どものイメージを多方面か らと らえることがで きるようにな った と報告 した.今回モ デルを使用 した演習が,子 どもとの接触 の擬似体験 と な り,愛着 とい う肯定的感情 を持 った ことで,子 ども の特性等のイメージが描 出され,子 どもを多面的にと らえる一助 とな ったので はないか と考え る. このよ う な演習 は,学生 の母性意識,つ まり,子 どもが 「かわ いい」,「 好 き」,「 庇護 したい」 などと思 う気持 ち1 2 )の 表 出や,人間性の発達 を促す ことに も効果的なので は ないか と思われ る.

【 養育者への思 い】 は,演習 を通 した擬似的育児体 験 により,学生 自身が育児困難 を感 じた結果,養育者 への援助 の必要性を感 じて配慮 を示 し, さらには自身 の母親 を尊敬 し,感謝 している内容であ った.学生 は 子 どもの特性 を理解で きたため, モデルを使 った短時 間の演習で も育児の大変 さを実感 した.一方で愛着 を もっ こともで きた. その

2

つを引 き寄せて育児が大変 だ ったにもかかわ らず,愛情 を持 って育てて くれた自 身 の母親 に感謝す ることがで きたのだ と考 え る. さ ら に, 自身の母親 を尊敬で きた ことは,子 どもだけでな く,子 どもの養育者 も含 めて看護対象 ととらえ,共感 で きる素地が得 られたと考え られる. その結 果, [ 養

149

(6)

育者への配慮] と して,子 どもの家族 に対す る援助 の 必要性 を理解で きたと考える. モデルを使用 した演習 によ り,子 どもの親 に対す る共感か ら援助 の行動化へ 発展 させてい くことも可能 なのではないだろうか.

以上 のカテゴ リ問の関連 か ら 【 子 どもの特性】を と らえ ることは, 【 小児看護技術 の特徴】 の理解 につな が ると同時 に,学生 の 【 愛着】 を喚起 して情緒発達 を 促 し, 【 養育者への思 い】 にまで考 えを及 ぼせ,看護 対象 としての理解 を深 めた と推測 される.つまり 【 子 ど もの特性】 を とらえ ることは,小児看護学の学習の 基盤 とな っていると考 え られ る.

技術演習 は,子 どもにかかわ る体験 の少 ない学生が 演習す ることによって, その状況をイメージし, 自分 で取 り組 む ことがで きるよ うになるのを助 けるとい う 意味がある1 ) .本研究おいて も, 対象理解 の導入 と し て,小児看護学演習 にモデルを使用す ることは,子 ど もの早期 イメージ化 をはか る学習 目的 として も有効 な 教授方法であることが示唆 された.

今後 は,学生が対象 を理解す るための効果的な教授 方法 について, さらに検討 を重ねることが必要である.

Ⅵ.結 論

1.

新生児 ・乳児 モデルを使用 した小児看護学演習は, 学生 が小児看護技術 の特徴 を理解 し,子 どもの特性を

イメージで きると同時 に,愛着 や養育者への思 いを感 じとることもで きた.

2.

新生児 ・乳児 モデルを使用 した小児看護学演習は, 子 どもの早期 イメージ化 をはか り,対象理解の導入 と

して,有効 な教授方法であることが示唆 された.

文 献

1)中林雅子,平井 るり ・他 :実習準備 としての演習 モデ ル.

QualityNursing8(9):7177,2002

150

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3)兼松百合子 :小児看護 における学内実習論.看護教育 30(5):262267,1989

4)

成島澄子 :小児看護 の学内実習のあ り方 一対象の抽象 と具体を統合す る視点か ら‑.看護教育

30(5):284 288,1989

5

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QualityNurs ing4(7):4750,1998

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5253,2000

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年制看護系大学 の学生 が持つ子 どもイメージの構造.第

34

回 日本看護学会論 文集 一看護教育 ‑ :

103105,2003

12)

新道幸恵,和 田サ ヨ子 :母性 の心理社会的側面 と看護

ケ ア.

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秋田大学医学部保健学科紀要 第12巻 第2

(7)

糠塚亜紀子/新生児 ・乳児 モデルを使用 した小児看護学演習 による対象理解の導入 としての効果 (47)

I ma ge sFo r me do fNe o na t e sa ndI nf a nt si nChi l dHe a l t hNur s i ng Pr a c t i c eut i l i z i ngNe o na t ea ndI nf a ntMo de l s

AkikoNukazuka lzumiHiramoto

CourseofNursing,SchoolofHealthScience,AkitaUniversity

Thepresentstudyaimstodeterminetheimagesthatstudentsform ofneonatesandinfantsaftercomplet ingacourseonchildhealthnursingpracticeutilizingneonateandinfantmodels.Furthermore,theeffectas introductionofobjectunderstandingisexamined.Sixty‑sevensecond‑yearcollegenursingstudentsweresur veyedaftercompletingthechildhealthnursingpracticecourse,anddatawerequalitativelyandinductively analyzed.Thefollowingcategorieswereidentified:"characteristicsofchildhealthnursingtechniques","char acteristicsofchildren","impressionsandtopics","affection"and"concernsforguardians".Contentwashighest forthecategoryof"characteristicsofchildhealthnursingtechniques",suggestingthatstudentsvaluedmost thenursingtechniquestaughtonthecourse.Thecategoryof"characteristicsofchildren"containeditemsthat wererelatedtothegrowthanddevelopmentofchildren,andenabledthestudentstoform concreteimagesof children.Thecategoriesof"affection"and"concernsforguardians"includeditemsthatwererelatedtoaffec tiontowardchildrenandconcernsfortheirguardians,suggestingthatthestudentsgainedanunderstanding ofchildrenandtheirfamilieswithinthescopeofnursing.Takentogether,thefindingsindicatethattheuse ofmodelsforintroducingstudysubjectsmaybeaneffectiveteachingmethodenablingstudentstoquickly form imagesofchildren.

秋 田大学医学部保健学科紀要 第12巻 第2151

表 3 各カテゴリの記述状況 【 感想 ・課題】 項 目 記述例 記述件数( 鶴) 課題 ・ 確実に技術を習得したい 21( 3 7. 5) ・ 今後の人生に生かしたい 感想 ・ 時間がかかった 1 9( 3 3

参照

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