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日本家政学会誌 Vol. 64 No ~ 653(2013) 報 文 若者のファストファッション意識に関する調査 大枝近子 1 *, 佐藤悦子 2 3, 高岡朋子 1 目白大学社会学部, 2 上越教育大学大学院学校教育研究科, 3 北翔大学生涯学習システム学部 原稿受付平成 24 年

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1.緒 言  現在わが国では 2008 年に H&M(スウェーデン)が日 本に上陸したのを皮切りに,フォーエバー 21(アメリカ) や ZARA(スペイン)などファストファッションと呼ばれ る衣料品が流行している.ファストファッションとは流行 を取り入れつつ低価格に抑えた衣料品を大量生産し,短い サイクルで販売するブランドやその業態をさす.安くて速 い「ファストフード」になぞらえた造語である.  若者にとって「安くて,早くて,おしゃれ」であるファ ストファッションは歓迎されているように見受けられる が,批判も少なくない.例えば,低価格のためか品質が良 くないので長く着ることができない,そして流行に敏感な のでそのシーズンが過ぎると次のシーズンには廃棄処分さ れたり,新品同様の服を捨てる場合も少なくない.このよ うなことから資源の無駄使い,衣料の焼却処理による環境 汚染への懸念などが指摘されている.また,衣服を購入す る時のわくわく感や着用したときの楽しい気分やぜいたく な気分,また思い入れのある服を着用することによって生 み出される美しいしぐさなどが失われてしまったのではな いかという指摘もある1)  このように賛否両論あるもののファストファッション * To whom correspondence should be addressed E-mail:ooeda@ mejiro.ac.jp

若者のファストファッション意識に関する調査

大枝 近子

1

*,佐藤 悦子

2

,高岡 朋子

3 1

目白大学社会学部,

2

上越教育大学大学院学校教育研究科,

3

北翔大学生涯学習システム学部

原稿受付 平成 24 年 9 月 24 日;原稿受理 平成 25 年 6 月 15 日

A Survey on the Consciousness of the“Fast Fashion”of Youth

Chikako OEDA

1

*, Etsuko SATO

2

and Tomoko TAKAOKA

3 1Faculty of Social Science, Mejiro University, Shinjuku-ku, Tokyo 161-8539 2Graduate School of Education, Joetsu University of Education, Niigata 943-8512 3School of Lifelong Learning Support System, Hokusho University, Hokkaido 069-8511 We conducted a survey of 392 university students in order to ascertain young people’s image of “fast fashion” and the connection between their lifestyle attitudes and their approach to “fast fashion.” In connection with the image of “fast fashion,” we found that subjects placed a relatively high degree of importance on attributes such “low-priced,” “casual,” “approachable” and “fashionable.” We extrapolated four factors on the basis of analysis of factors related to approaches to “fast fashion,” namely “approach to dressing,” “interest-provoking,” “dubious quality” and “disposable.” On the basis of analysis of factors related to lifestyle attitudes, we extrapolated the following three factors: “enjoyment of everyday life,” “concern for the environment” and “steady orientation.” The subjects were then divided into a high group and a low group in accordance with factors regarding lifestyle attitudes and we examined the connection between attitudes and “fast fashion.” Among our findings were that people who tend to enjoy everyday life wear “fast fashion” because it has become a focus of interest and also that they pay attention to how they dress when wearing such clothing. Keywords:fast fashion ファストファッション,lifestyle attitudes 生活意識,image イメージ, factor analysis 因子分析 報 文

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は,話題性のある現象として日本を席巻している.こうし た中,昨今若者の生活意識の変化も顕著になってきてい る.生まれながらに IT に親しんでいる世代という意味で デジタルネイティブ世代と呼ばれる現在の若者たちである が,2011 年 10 月に内閣府が行った「国民生活に関する 世論調査」2)によると 20 代の若者の 73.5%が現在の生活 に満足していると答えている.40 代の 59.0%,50 代の 58.3%と比較すると,かなり高い割合を示している.リー マンショックに加え,2011 年 3 月の震災の影響で景気は 低迷し,活気がないように思われる状況の中にあっても, 若者たちはそれなりに生活を楽しむことのできる世の中に 満足しており,その価値観は明らかに大人世代とは異なる ように思われる.  こうした若者の生活意識が現在のファストファッション の流行を支えていると考えられるが,ファストファッショ ンに関しては,ビジネス関係の書籍や雑誌ではたびたび取 り上げられているものの,生活意識と関連付けた先行研究 はほとんどなされていない *1  そこで,本研究では若者のファストファションに対す るイメージを明らかにするとともに生活意識とファスト ファッションに対する意識の関係を捉えることを目的に, 大学生を対象に調査を実施した.  なお,今回の調査ではあえてファストファッションのブ ランドは特定しなかった.厳密に言えば,ユニクロや無印 良品はコモディティ商品と呼ばれ,消費者がコーディネー トをする上での部品となる商品であり,消費者が他のブラ ンドと自由に組み合わせてファッションを楽しむものであ る3).したがって,前述の H&M や ZARA とは異なるので あるが,多様化したアパレル業態にあって専門家の間でも 意見の分かれるところであり,ましてや一般の消費者はそ の区別をしているとは思われないので,本調査においては 対象者の判断に任せた. 2.研究方法及び解析方法 2-1 調査対象者及び調査時期  大学生および大学院生 392 名(男性 125 名,女性 267 名)に対して,2010 年 11 月~ 12 月に集合調査法によ る質問紙調査を実施した.調査対象者の年齢は 18 歳 19 名,19 歳 95 名,20 歳 122 名,21 歳 75 名,22 歳 41 名,23 歳以上 40 名,また地域は東京 235 名(男性 46 名, 女性 189 名)地方都市 157 名(男性 79 名,女性 78 名) であった.なお,回答者の地域差についてはフェースシー トの質問項目のうち,ファストファションに興味があるか, ファストファッションの店に行ったことがあるか,ファス トファションの商品を購入したことがあるか等の質問に対 する回答には,大差はみられなかった.したがって,本研 究では全対象者及び男女差についての分析を行った. 2-2 調査内容及び解析方法 (1)調査内容  第 1 項目はファストファッションに対するイメージで ある.イメージ用語の選定は,オズグッドらの意味因子4) とされる評価性・力量性・活動性,ファストファッション の価格性,流行性などを参考とした.後述図 2 に示すよ うにファストファッションに対するイメージを評価用語に 18 対の形容語,5 段階の評定尺度の SD 法を用いて実施し た.5 段階尺度については 1 ~ 5 点を与えて数値化した.  第 2 項目はファストファッションに対する意識につい てである.ファストファションの特徴と考えられる低価格, 流行を素早く取り入れる,短いサイクルで販売する,品質 がやや劣るなどを考えながら,後述表 1 に示すようにファ ストファッションに対する意識を 20 項目選定し,「とて もそう思う」「ややそう思う」「どちらともいえない」「あ まり思わない」「まったく思わない」の 5 段階尺度で回答 してもらった.5 段階尺度については 1 ~ 5 点を与えて 数値化した.  第 3 項目は,生活意識についてである.渡辺ら5)が行っ た生活嗜好調査や若者の生活意識調査6)7)を参考として 後述表 4 に示すように生活信条,生活高揚感,将来展望, 環境資源などに関する 20 項目を選定した.「その通り」「や やその通り」「どちらとも言えない」「ややそうではない」「そ うではない」の 5 段階尺度で回答してもらった.  第 4 項目は,フェースシートである.性別,年齢,ファッ ションへの興味,ファッションの情報源,ファストファッ ションの店に行ったことがあるか否か,ファストファッ ションの商品を購入したことがあるか否か等を質問した. (2)解析方法  単純集計のほか,第 2 項目と第 3 項目に関しては因子 分析(主因子法,バリマックス回転)を行った.次に,因 子分析結果から,男女それぞれの因子ごとに尺度得点の平 均値を算出し,男女の比較を行った.さらに第 2 項目と 第 3 項目の関連性をみるため,生活意識の尺度得点の高 得点者と低得点者に分類し,t 検定を行い,ファストファッ ションに対する意識の差を検討した. 3.結果及び考察 3-1 フェースシート  フェースシートの調査結果を表 1 に示す.  女性と男性のクロス集計によるカイ二乗検定を行った結 果,問 1 と問 3 は 0.1%水準で,問 4 は 1%水準で有意差 がみられた.問 2 には有意差がみられなかった.  問 1 ファッションについて興味があるかを尋ねたとこ ろ,「とても興味がある」「やや興味がある」の回答は,男

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性 76.8%,女性 92.9%,「あまり興味がない」「まったく 興味がない」は男性 23.2%,女性 7.1%であった.ファッ ションへの興味は男女ともに高く,特に女性は 9 割以上 が興味をもっている.  問 2 ファッションの情報入手には,「かなり時間をかけ る」「やや時間をかける」が男性 40.3%,女性 47.6%,「あ まり時間をかけない」「まったく時間をかけない」が男性 59.7%,女性 52.4%であった.男女間に違いはみられない.  問 3 ファストファッションの店に行ったことがあるか を尋ねたところ,「よく行く」「時々行く」が男性 52.1%, 女性 72.5%,「あまり行かない」「まったく行かない」が 男性 47.9%,女性 27.5%であった.男性より女性の方が より多くお店に行っている.  次に,行ったことのあるファストファッションの店の名 前を自由記述(複数回答)で尋ねたところ,ユニクロ(184

件),H&M(139 件),Forever21(115 件),ZARA(78 件), しまむら(50 件),Avail(26 件),GAP(20 件),g.u.(13 件),サンキ(11 件),Top Shop(11 件),Honeys(8 件), その他(34 件)であった.  問 4 ファストファッション商品の購入について尋ねた ところ,「よく購入する」「時々購入する」が男性 54.0%, 女性 67.1%,「ほとんど購入しない」「まったく購入しない」 が男性 46.0%,女性 32.9%であった.男性より女性の方 が購入する機会が多い. 3-2 ファストファッションに対するイメージ  ファストファッションに対するイメージの結果を図 1 に示す.  5 段階評価の評定平均値からファストファッションに対 するイメージは,「安価な」(4.36)「気軽な」(4.36)「親 しみやすい」(4.07)「流行の」(4.03)「カジュアルな」(3.99) 「若々しい」(3.94)側に高く,「繊細な」(2.66)「上品な」 (2.89)「素朴な」(2.99)「個性的な」(3.10)側は低かっ た.これらの評定傾向は,昨今のメディア報道がファスト ファッションを取り上げる際の解説内容やイメージを反映 している.  さらに平均値をもとに SD プロフィールを作成し考察し た.項目ごとに男女それぞれの平均値を求め,両者の差に ついて t 検定を行った結果,18 項目のうち 14 項目で 1% 及び 5%水準で有意差がみられた.すなわち,男性に比し て女性のイメージは,より親しみやすく,流行の,カジュ アルな,若々しい,安価で,気軽なものとして捉えている. そして女性は,男性よりも上品な,繊細な,で低くどちら かと言えば,ファッション性の高いイメージとして捉えて いる.  男女間に差がみられない項目は,「無難な―奇抜な」「調 和した―アンバランスな」「着たい―着たくない」「好き― 嫌い」であった.つまり,ファストファッションは,男女 ともに,どちらかと言えば,無難で,調和していると捉え, 着たい,好きといった嗜好性には違いのないことがうかが える. 3-3 ファストファッションに対する意識 (1)平均プロフィール及び男女間の差異の検討  質問項目の各回答に対して,5 段階尺度に 1 ~ 5 点を 与え数値化して平均値を算出した.さらに男性・女性の平 均値を求め t 検定を行った.  ファストファッション意識の質問項目に対する平均値と 男女間の t 検定結果を表 2 に示す.「手持ちの服とのコー ディネートを考えながら購入する」(4.15)「ファスト ファッションも流行のひとつである」(4.12)「同じよう な商品が他の店より安く買える」(4.02)などが相対的に 高い評価であった. 問 1 ファッションに興味がある 回答 性別 とてもある ややある あまりない まったくない 合計 男性 25.6%32 51.2%64 21.6%27 1.6%2 100.0%125 女性 51.7%138 41.2%110 6.4%17 0.7%2 100.0%267 カイ二乗値 33.48 ***p< 0.001 問 2 ファッション情報を得るのに時間をかける 回答 性別 かなりかける かけるやや かけないあまり まったくかけない 合計 男性 4.0%5 36.3%45 44.4%55 15.3%19 100.0%124 女性 7.6%20 40.0%106 43.0%114 9.4%25 100.0%265 カイ二乗値 4.55    N.S 問 3 ファストファッションの店に行ったことがある 回答 性別 よく行く 時々行く ほとんど行かない まったく行かない 合計 男性 3.3%4 48.8%60 32.5%40 15.4%19 100.0%123 女性 22.9%61 49.6%132 21.4%57 6.1%16 100.0%266 カイ二乗値 31.97 ***p< 0.001 問 4 ファストファッションの商品を購入したことがある 回答 性別 購入するよく 購入する時々 購入しないほとんど 購入しないまったく 合計 男性 5.6%7 48.4%60 33.9%42 12.1%15 100.0%124 女性 17.7%47 49.4%132 22.8%61 10.1%27 100.0%267 カイ二乗値 13.00 **p< 0.01 表中の上段は度数,下段は割合を表す.問 1 はカイ二乗検定 において期待度数が 5 未満のセルがあったためフィッシャー の直接確率検定を行った. 表 1.フェースシートのクロス集計結果

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質 問 項 目 全体 男性 女性 t 検定 1.同じような商品が他の店より安く買える 4.02 3.88 4.08 * 2.縫製はそれほど良くないと思う 3.74 3.44 3.89 *** 3.上下ともファストファッションでコーディネートはしない 3.49 3.37 3.55 4.飽きたらすぐに捨てても惜しくない 3.05 2.83 3.15 * 5.多少肌触りが悪くても気にしない 2.81 2.78 2.83 6.有名人が着てるので,自分も購入した 2.20 2.41 2.11 * 7.流行ものを買うときに利用する 3.04 2.90 3.10 8.洋服の廃棄のことは気にしたことがない 2.96 3.17 2.86 * 9.ワンシーズン楽しめれば良いと思う 3.07 3.01 3.10 10.失敗しても惜しくないので,試着はしない 2.37 2.26 2.42 11.安い服で上手に着こなすことを考えるのが楽しい 3.62 3.54 3.66 12.洗濯後,どのようになるのか心配である 3.52 3.39 3.58 13.自分に合わなければ,誰かに譲ればよい 2.93 2.81 2.99 14.他人とかぶるのはイヤなので,コーディネイトを工夫する 3.75 3.60 3.82 * 15.材質はそれほど良くないと思う 3.68 3.40 3.82 *** 16.ファストファッションも流行のひとつだと思う 4.12 3.88 4.23 *** 17.手持ちの服とのコーディネートを考えながら購入する 4.15 3.82 4.30 *** 18.皆の話題になっているから買う 2.40 2.53 2.34 19.長く着る定番品は買わない 2.68 2.58 2.72 20.店員が寄ってこないので,気軽に買い物できる 3.88 3.51 4.05 *** 有意水準 : *p< 0.05 ***p< 0.001 表 2.ファストファッションに対する意識の平均値と男女間t検定結果 図 1.ファストファッションのイメージ 有意水準 : *p < 0.05 **p < 0.01  ●男性 ○女性 ■全体

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 逆に「有名人が着ているので,自分も購入した」(2.20) 「失敗しても惜しくないので,試着はしない」(2.37)「皆 の話題になっているから買う」(2.40)は相対的に低い評 価であった.  男女間の比較では 0.1%水準で有意差がみられた項目は 20 項目中 5 項目であった.「縫製はそれほど良くいない と思う」「材質はそれほどよくいないと思う」「ファストファ ションも流行のひとつだと思う」「手持ちの服とのコーディ ネートを考えながら購入する」「店員が寄ってこないので, 気軽に買物できる」であり,これらはいずれも女性の方が 男性より高い評点値を示した.  ファストファッションは流行の服を安価で購入できると 思っているが,使い捨てでも良いと考えているわけではな く,話題になっているからということで購入するわけでも ない.  また,女性の方が男性よりも品質に疑問を持っており, 流行ものだと捉えていた. (2)因子分析による検討  ファストファッションに対する意識の因子構造について は,男女間の比較をするにあたり,因子名を揃えて検討す る必要があるため,全体での因子分析を行い,因子を抽出 した.  ファストファッションに対する意識 25 項目を変数に, 全対象者 392 名を観測回数として因子分析を行い,基本 因子を抽出した.因子の抽出法は主因子法を用い,バリマッ クス回転を行った.質問項目に関しては,天井効果と共通 性が極端に低い項目を削除して 13 項目とした.その結果, 固有値 1.0 以上で 4 因子が抽出された.バリマックス回 転後の累積寄与率は 43.22%とやや低いものの,クロン バックのα係数で因子ごとに信頼性を検討したところ,4 因子とも内的整合性がみとめられたために,解釈可能と判 断した8).これらの各因子の意味の解釈は因子負荷量をも とに行った.バリマックス回転後の因子負荷量と因子名を 表 3 に示す.なお,累積寄与率が低かった理由としては 4 因子では説明のつきにくい他の要因が介在していたことが 推察される.  第 1 因子は「手持ちの服とのコーディネートを考えな がら購入する」「ファストファッションも流行のひとつだ と思う」「安い服で上手に着こなすことを考えるのが楽し い」などの因子負荷量が大きいことから「着こなしの工夫」 因子とした.第 2 因子は「有名人が着ているので,自分 も購入した」「皆の話題になっているから買う」などから「話 題性」因子,第 3 因子は「材質はそれほど良くないと思 う」「縫製はそれほど良くないと思う」などから「品質不信」 因子,第 4 因子は「ワンシーズン楽しめれば良いと思う」 「飽きたらすぐに捨てても惜しくない」などから「使い捨て」 因子とした. (3)ファストファッションに対する意識の下位尺度得点 からの男女比較  ファストファッションに対する意識の因子分析結果か ら,各因子の下位尺度平均得点を男女別に算出し,t 検定 を行った.なお,因子ごとの男性の人数,女性の人数に差 がみられるのは欠損値である.  その結果を表 4 に示す.0.1%水準で有意差が認められ 質 問 項 目 第 1 因子 第 2 因子 第 3 因子 第 4 因子因 子 手持ちの服とのコーディネートを考えながら購入する 0.618 0.033 0.014 0.059 ファストファッションも流行のひとつだと思う 0.567 0.039 0.137 0.118 安い服で上手に着こなすことを考えるのが楽しい 0.523 0.152 0.079 0.007 他人とかぶるのはイヤなので,コーディネートを工夫する 0.519 0.071 0.091 0.068 店員が寄ってこないので,気軽に買い物できる 0.470 0.030 0.036 0.182 有名人が着ているので,自分も購入した 0.045 0.769 0.036 0.082 皆の話題になっているから買う 0.094 0.728 0.104 0.059 流行ものを買うときに利用する 0.229 0.509 0.083 0.168 材質はそれほど良くないと思う 0.149 0.006 0.824 0.104 縫製はそれほど良くないと思う 0.002 0.053 0.733 0.207 ワンシーズン楽しめれば良いと思う 0.157 0.190 0.089 0.757 飽きたらすぐに捨てても惜しくない 0.117 0.061 0.253 0.565 失敗しても惜しくないので,試着はしない 0.094 0.139 0.035 0.404 寄与率(%) 17.11 11.79 9.34 4.98 累積寄与率(%) 17.11 28.90 38.24 43.22 因子名 着こなしの 工夫 話題性 品質不信 使い捨て α係数 0.67 0.71 0.77 0.60 表 3.ファストファッションに対する意識の因子分析結果 (バリマックス回転後の因子負荷量と因子名)

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たのは「着こなしの工夫」と「品質不信」の因子であり, 女性は男性よりもファストファッションを着用する際には 着こなしの工夫をしており,またファストファッションの 品質に関して不信感を抱いている.さらに,5%水準で有 意差がみられたのは「使い捨て」因子であり,女性の方が ややその傾向にあった. 3-4 生活意識 (1)各項目の平均値及び男女間の差異の検討  質問項目の各回答に対して,5 段階尺度に 1 ~ 5 点を 与え数値化して平均値を算出した.さらに男性・女性の平 均値を求め t 検定を行った.  生活意識の質問項目に対する平均値と男女間の t 検定結 果を表 5 に示す.「理想や夢をもって生活したい」(4.14)「向 上心と努力の積み重ねが結果につながると思う」(4.16) 「細かいことは気にせず,おおらかでいたい」(4.11)な どが相対的に高い評価であった.これに対して「資源の再 利用を考えてリサイクル商品を選ぶことがある」(2.73) 「リサイクルショップやフリーマーケットなどを利用する」 (2.85)「ゴミを減らすために 3R を実行している」(2.77) 「結果がよければ,その過程は問題にしない」(2.88)「流 行を追いかけるのは,むなしいと思う」(2.90)が相対的 に低い評価であった.リサイクルや処分廃棄のような環境 配慮に対する意識は低いことがうかがえる.  男女間で有意差が認められたのは,20 項目のうち「理 想や夢を持って生活したい」「いつもワクワク・ドキドキ していたい」「向上心と努力の積み重ねが結果につながる と思う」「細かいことは気にせず,おおらかでいたい」の 4 項目であった.これらは全体としても評定の高い項目で もあり,より女性の方が高かった.  以上のことから,男女ともに現在の生活をよりよくする ための努力を惜しまないなど,自分の生活を前向きに捉え ようとしており,その傾向は女性の方が高いと推察される. (2)因子分析による検討  生活意識の因子構造についても,男女間の比較をするに あたり,因子名を揃えて検討する必要があるため,全体で の因子分析を行い,因子を抽出した.  生活意識 20 項目を変数に全対象者 392 名を観測回数 として因子分析を行い,基本因子を抽出した.因子の抽出 法は主因子法を用い,バリマックス回転を行った.質問項 目に関しては,共通性が極端に低い項目を削除して 9 項 目とした.その結果,固有値 1.0 以上で 3 因子が抽出さ れた.バリマックス回転後の累積寄与率は 43.25%とやや 質 問 項 目 全体 男性 女性 t 検定 1.環境負荷を少なくするために省エネ,省資源に気を配る 3.12 2.98 3.18 2.理想や夢をもって生活したい 4.14 4.01 4.19 * 3.先のことを心配しても仕方ないと思う 3.11 3.06 3.13 4.生活全般にこだわる方だ 3.26 3.30 3.24 5.資源の再利用を考えて,リサイクル商品を選ぶことがある 2.73 2.70 2.75 6.結果がよければ,その過程(プロセス)は問題にしない 2.88 2.97 2.84 7.何事も地道にこつこつと積み上げていきたい 3.64 3.65 3.64 8.新しいもの,話題性のあるものは試してみたい 3.79 3.75 3.81 9.人とは違う自分の個性を追求したい 3.95 3.92 3.97 10.いつもワクワク・ドキドキしていたい 4.09 3.85 4.21 *** 11.今を楽しむよりも将来に向けて貯蓄したい 3.11 3.10 3.11 12.向上心と努力の積み重ねが結果につながると思う 4.16 3.98 4.24 *** 13.リサイクルショップやフリーマーケットなどを活用する 2.85 2.80 2.87 14.流行を追いかけるのはむなしいと思う 2.90 2.94 2.88 15.他人に影響されず,自分の好みや考えをはっきり示す 3.74 3.71 3.75 16.細かいことは気にせず,おおらかでいたい 4.11 3.79 4.25 *** 17.たとえ高価であっても本物を手に入れたい 3.67 3.62 3.69 18.ゴミを減らすために 3 R を実行している 2.77 2.72 2.80 19.人から注目されるようなことをしたい 3.17 3.30 3.12 20.これまでの習慣にあまりこだわらない 3.23 3.27 3.21 有意水準 : *p< 0.05 ***p< 0.001 表 5.生活意識の平均値と男女間t検定結果 性 別  ファスト ファッション に対する意識 男性 女性 t 値 人数 平均値 人数 平均値 「着こなしの工夫」因子 124 3.67 267 4.01 5.149*** 「話題性」因子 124 2.61 266 2.52 「品質不信」因子 125 3.42 267 3.85 4.667*** 「使い捨て」因子 125 2.70 267 2.89 1.984* 有意水準:*p< 0.05 ***p< 0.001 表 4.ファストファッションに対する意識の下位尺度平均得点 からみる男女比較

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低いものの,クロンバックのα係数で因子ごとに信頼性を 検討したところ,3 因子とも内的整合性がみとめられたた めに,解釈可能と判断した9).これらの各因子の意味の解 釈は因子負荷量をもとに行った.バリマックス回転後の因 子負荷量と因子名を表 6 に示す.なお,累積寄与率が低かっ た理由としては 3 因子では説明のつきにくい他の要因が 介在していたことが推察される.  第 1 因子は,「いつもワクワク・ドキドキしていたい」「人 とは違う自分の個性を追求したい」「新しいもの,話題性 のあるものは試してみたい」などの因子負荷量が大きいこ とから「生活エンジョイ」因子とした. 第 2 因子は「ゴ ミを減らすために 3R を実行している」「環境負荷を少な くするために省エネ,省資源に気を配る」「資源の再利用 を考えて,リサイクル商品を選ぶことがある」の項目に因 子負荷量が大きく「環境配慮」因子とした.第 3 因子は, 「向上心と努力の積み重ねが結果につながると思う」「何事 も地道にこつこつと積み上げていきたい」で因子負荷量が 大きく「堅実志向」因子とした. (3)下位尺度得点からの男女比較  生活意識の因子分析結果から,各因子の下位尺度平均得 点を男女別に算出し,t 検定を行ったが有意差は認められ なかった.このことから,生活意識の因子構造 3 因子は 性差に関わりなく抽出されていたと推察される. 3-5 生活意識とファストファッションに対する意識の関連  上述のように生活意識については男女間の差がみられな かった.そのため生活意識とファストファションに対す る意識の関連性に関しては男女を分けずに全体で考察を 行った.  生活意識の因子分析により抽出された 4 因子それぞれ について尺度得点の平均値よりも高い群と低い群に分け, ファストファッションに対する意識因子の下位尺度平均得 点を算出して高低得点者間で平均値の差の検定を行った. なお,生活意識の因子ごとの高得点者の人数,低得点者の 人数に差がみられるのは欠損値である.  その結果を表 7 に示す.0.1%水準で有意差が認められ たのは「生活エンジョイ」因子と「着こなしの工夫」因子 であった.また,1%水準で有意差がみられたのは「堅実 志向」因子と「着こなしの工夫」因子及び「使い捨て」因 質 問 項 目 第 1 因子 第 2 因子 第 3 因子因 子 いつもワクワク・ドキドキしていたい 0.705 -0.053 0.165 人とは違う自分の個性を追求したい 0.689 0.118 0.183 新しいもの,話題性のあるものは試してみたい 0.570 0.049 0.076 人から注目されるようなことをしたい 0.495 0.190 0.082 ゴミを減らすために 3 R を実行している 0.032 0.785 0.002 環境負荷を少なくするために省エネ,省資源に気を配る 0.141 0.625 0.143 資源の再利用を考えて,リサイクル商品を選ぶことがある 0.055 0.499 0.143 向上心と努力の積み重ねが結果につながると思う 0.252 0.057 0.731 何事も地道にこつこつと積み上げていきたい 0.098 0.185 0.507 寄与率(%) 18.21 14.98 10.06 累積寄与率(%) 18.21 33.19 43.25 因子名 エンジョイ 環境配慮生活 堅実志向 α係数 0.72 0.68 0.57 表 6.生活意識の因子分析結果 (バリマックス回転後の因子負荷量と因子名) 「ファストファッション に対する意識」 の各因子 「生活意識」の各因子 着こなしの工夫 話題性 品質不信 使い捨て 人数 平均値 t 値 人数 平均値 t 値 人数 平均値 t 値 人数 平均値 t 値 生活エンジョイ志向 高得点 239 4.06低得点 152 3.66 6.267*** 239 2.62151 2.44 2.018* 240 3.76152 3.65 - 240 2.88152 2.76 - 環境配慮志向 高得点 213 3.93低得点 177 3.87 - 213 2.59176 2.49 - 214 3.69177 3.75 - 214 2.74177 2.95 2.328* 堅実志向 高得点 235 3.98低得点 156 3.79 2.897** 235 2.52155 2.59 - 236 3.76156 3.64 - 236 2.75156 2.95 2.159** 有意水準:*p< 0.05 **p< 0.01 ***p< 0.001 - n.s. 表 7.生活意識とファストファッションに対する意識の関連 (尺度得点の高・低平均値と下位尺度得点平均値の有意差検定)

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子であった.さらには,5%水準で有意差があったのは「生 活エンジョイ」因子と「話題性」因子,「環境配慮志向」 因子と「使い捨て」因子であった.  つまり,生活を楽しむ傾向にある人はそうでない人より もファストファションを着る際に着こなしの工夫をしてお り,ファストファションが皆の話題となっているために着 用していることがうかがえた.環境に配慮した生活を送っ ている人はそうでない人よりもファストファションを使い 捨てとは考えず,なるべく環境負荷が少ないように衣服の 廃棄についても心配りをしていた.堅実的な生活を送って いる人はそうでない人よりもファストファッションを使い 捨てとは考えず,流行を追ったファストファッションで あってもすぐに捨ててしまうことなく,着こなしの工夫を して上手に着まわしをしていることが示唆された. 4.まとめ  本研究は若者のファストファッションに対するイメージ 及び生活意識とファストファッションに対する意識の関連 を明らかにすることを目的とした.  その結果,以下のような知見を得た. (1)ファストファッションのイメージでは「安価な」「気 軽な」「親しみやすい」「流行の」などが相対的に高く評価 され,これらは昨今のメディア報道がファストファッショ ンを取り上げる際のイメージの反映であった.また,男女 の比較では,女性の方が親しみやすさを感じており,安価 で気楽なファストファッションを楽しんでいることがうか がえた. (2)ファストファッションに対する意識ではファスト ファッションも流行のひとつであると認識しており,安価 なために購入し,その際手持ちの服とのコーディネートを 考えながら購入するとしていた.また,男女間の比較では 女性の方が縫製や材質など品質を懸念している一方で,気 楽に買い物できる点は男性より評価していた.  ファストファッション意識の構造に関して因子分析した 結果,4 因子が抽出され,それぞれ「着こなし工夫」因子, 「話題性」因子,「品質不信」因子,「使い捨て」因子とした.  因子分析により抽出された因子の下位尺度得点から男女 間の比較をした結果,「着こなしの工夫」因子と「品質不信」 因子,「使い捨て」因子において女性の方が高く反応した. (3)生活意識では「理想や夢をもって生活したい」「向上 心と努力の積み重ねが結果につながると思う」「細かいこ とは気にせず,おおらかでいたい」などの生活心情に対す る項目が高く評価された.  男女間で有意差が認められたのは,20 項目のうち「理 想や夢を持って生活したい」「いつもワクワク・ドキドキ していたい」「向上心と努力の積み重ねが結果につながる と思う」「細かいことは気にせず,おおらかでいたい」な どの生活心情や将来展望の 4 項目であった.これらは男 女共に評定の高い項目でもあるが,より女性の方が高い評 定平均値であった.  生活意識の構造に関して因子分析した結果,3 因子が抽 出され,それぞれ「生活エンジョイ」因子,「環境配慮」因子, 「堅実志向」因子とした. (4)生活意識の因子分析により抽出された因子の下位尺 度得点から男女間の比較をした結果,生活意識に関して差 はみられなかったため,全対象者の生活意識とファスト ファッションに対する意識との関連性を検討した.  生活を楽しむ傾向にある人は,ファストファションを着 る際に着こなしの工夫をしており,ファストファションが 皆の話題となり流行しているために着用していた.また, 環境に配慮した生活を送っている人はファストファション を使い捨てだとは考えず,なるべく環境負荷が少ないよう に衣服の廃棄についても心配りをしていた.さらに,堅実 的な生活を送っている人はファストファッションを使い捨 てとは考えず,流行を追ったファストファッションであっ てもすぐに捨ててしまうことなく,着こなしの工夫をして 上手に着まわしをしていることが示唆された.  以上のことより若者の生活を楽しむ考え方がファスト ファッションの流行を促していると思われるが,堅実志向 の若者たちもそれなりにコーディネートを工夫するなどし て利用しており,ファストファッションの流行を後押しし ている.また,昨今話題になっている衣服の環境問題に関 しては,全体的に若者は身近な問題として捉えていない傾 向にあるものの,堅実志向の若者や環境に配慮した生活を 志向している人たちはファストファッションを使い捨てと は考えていない.そのため購入後比較的長く着用し,気楽 で安価で親しみやすいファッションのひとつとしてファス トファションを楽しんでいることがうかがえた.  今回の調査から,若者の生活意識とファストファッショ ンの関連性がいくつか示唆された.ただし,前述したよう に現状において,ファストファッションの範疇は明確に区 分されているわけではなく用語の定義がはっきりしていな いため,フェースシートからも明らかなように調査対象者 がファストファッションの店と問われた時に回答したブラ ンド・業態はさまざまであった *2.したがって,ファス トファションに対するイメージや意識を的確に把握できた かという点においては課題も残る結果となった.  今後の調査ではブランド・業態を限定することも視野に 入れ,若者の生活意識とファストファッションの関係をさ らに考えていきたい.

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 なお,本研究の一部は日本家政学会第 63 回大会におい て発表したものである. *1 ファストファッションを被服心理学の視点で研究した最 近の論文としては以下のものが挙げられるが,いずれも 生活意識とファストファッションの関係を論じているも のではない. 蔵本暢浩,久保田綾.徳島県在住大学生のファストファッ ションに関する意識調査-ブランドイメージと被服購買 行動との相関-.四国大学紀.2010,vol.31,p.15-22 白坂文,橘喬子,弘津真澄他.『新人類』女性におけるファッ ション意識と行動に関する一考察…10 年間のライフスタ イルの変化を探る ファッションビジネス学会論文誌. 2011,p.89-98 *2 2011 年 5 月 6 日~ 19 日に 11954 名を対象に調査し た NTT ドコモ『みんなの声』の「よく利用するファスト ファッションランキング」でも,1 位ユニクロ,2 位し ま む ら,3 位 GAP,4 位 ZARA,5 位 Forever21 と な っ ており,厳格な意味では線引きしなくてはならないと思 われるユニクロやしまむらと ZARA や Foreever21 が混 在していることがわかる. http://www.excite.co.jp/news/net_clm/20110714/ Goorank_18973.html また,日本衣料管理協会刊行委員会編「衣生活のための 消費科学」.2011 年 4 月,p.92 にも,アパレルを扱う 小売り・サービス業態が多様化していると述べられてお り,ファストファッションを定義付けることがむずかし いことがうかがえる. 引 用 文 献 1) 川島蓉子.ファストファッション隆盛に一言 不況疲れ 潤い与えて.朝日新聞 2010 年 6 月 5 日 2) 内閣府「国民生活に関する世論調査」,世論調査報告書平 成 23 年度調査 3) 山村貴敬.ファッション産業の現状と今後の展望.日本 貿易会月報 2011 年 2 月号 No.689,p.12 4) 日本繊維機械学会被服心理学研究分科会編「被服心理学」, p.179,p.205 5) 渡辺久哲.“ 消費者行動と価値観の変化 ”,消費行動の社 会心理学.福村出版,1994,p.152-172 6) 家庭問題研究所.“ 青年の生活意識 ” 青年のライフスタイ ルに関する調査研究報告書.(財)兵庫県長寿社会研究機 構,2000,p.5-13. 7) JMR 消費動向調査 2006,“J-marketing.net.”JMR 生活 総合研究所「生活者の価値意識」 8) 小塩真司.SPSS と Amos による心理・調査データ解析. 東京図書,2005,p.143 9) 同書

参照

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