• 検索結果がありません。

小学校における「キャリア発達」を促す組織的取組に関する実践研究

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "小学校における「キャリア発達」を促す組織的取組に関する実践研究"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

小学校における「キャリア発達」を促す組織的取組に関する実践研究

-児童の課題から始める教職員の協働を通して-

高度学校教育実践専攻 実習責任教員 大 林 正 史 教職実践力高度化コース 実習指導教員 金 児 正 史 山 下 克 也

キーワード:キャリア教育,キャリア発達,協働,RPDCAサイクル 第1章 課題設定の理由・経緯

1 課題意識

学校現場で担任経験を重ねるにつれ,子ども たちの将来に向けて自分を高めていこうとする 意識が年々低下しているような気がしていた。

その中で「キャリア教育」こそが,子どもたち の「今」と「将来」とを結びつけ「今の学びを,

真に子どもたちのものとする」ことができるの ではないかと感じ始めるようになった。そこで,

「小学校においてのキャリア教育」についてさ らに深く学び,「将来の夢に向かって一歩一歩自 分を高めていく子ども」を育てていくための実 践を行うことができればと考えた。

2 学校アセスメントより

実習校は,児童数 171 名の小規模の小学校で ある。学級数は,特別支援学級3クラスを含む 全 10 学級であり,3 年生以外は単学級となって いる。教職員数は 19 名である。2014 年度の学 校アセスメントの結果から児童・教職員のよさ と問題点を整理すると図 1 のようになった。

図 1 実習校の児童・教職員のよさと問題点

そして,児童の諸問題の大元となっている「根 っこの課題」(児童の基本課題)は,「自分の現 状になんとなく満足しているために『向上心が ないこと』」であると捉えた。この児童の基本課 題を解決していくためには,教職員の協働的な 組織展開を進展させながら,「キャリア教育」を 積極的に推進していくことが効果的ではないか と考えた。

3 先行研究の分析

(1)「キャリア発達」と「基礎的・汎用的能力」

中央教育審議会は「今後の学校におけるキャ リア教育・職業教育の在り方について(答申)」

(平成 23 年 1 月)の中で、キャリア教育におけ る「キャリア発達」を「社会の中で自分の役割 を果たしながら、自分らしい生き方を実現して いく過程」と説明している。さらに、キャリア 教育で育成するべき力を「基礎的・汎用的能力」

として示し、「人間関係形成・社会形成能力」「自 己理解・自己管理能力」「課題対応能力」「キャリ アプランニング能力」の 4 つの能力によって構 成されるとしている。

(2)教職員の協働による RPDCA サイクル展開 佐古(2014)は,「教育活動の良循環サイクル」

を回していくために,R(児童生徒の実態の確 認)からスタートする

RPDCA

サイクルを教職 員の協働により展開していくことが有効である と述べている。

(2)

第2章 実践研究の目的と計画 1 実践研究の目的

実習校の児童の課題解決には,「キャリア発達」

を促進していくことが有効であると考えた。そ の上で「児童の実態の洗い出し,基本課題の設 定,基本課題解決に向けた方策の決定とその実 践,といった一連の過程を全教職員の協働によ って展開していくことができれば,自ずと児童 のキャリア発達が促されていくだろう」という 仮説を設定した。また同時に,協働的な組織展 開を図っていくことは,「他の職員とのつながり 感や児童とのコミュニケーション不足」「個業化 傾向」といった教職員の課題についても,改善 することができるのではないかと考えた。

実践研究の目的としては次の

2

つを設定する。

① 児童の基本課題解決をめざすことで,「キャ リア発達」を促す

② ①を実現するために,教職員の協働的な組織 体制の構築をめざす

2 実践の計画

実践研究の目的を達成するために,表 1 のよ うな具体的実践内容を設定した。

表 1 具体的実践内容

◇「教職員の協働による組織的な取組」の導入

① 教職員の協働によるRPDCAサイクルの組織的展開

②「コアシステム」と「ファシリテートチーム」の連動による研究組織

③「重点ステージ展開計画」の作成

◇ 児童会活動の活性化

① 新6年生による「こんな学校にしたい」WS

② 「スマイルリーダー」の活動の再開&活性化

③ 「代表委員会」の再開

④ 集会活動の充実・活性化

⑤ 委員会活動の活性化

さらに,実践の計画は図 2 のように設定した。

図 2 実践の計画

第3章 実践の経過

1 教職員の協働による組織的な取組

(1)Research 期:2015 年 2 月

2 月に校内研修「児童の実態把握と『根っ この課題』設定」の第 1 回目 WS を実施し,「現 状に満足している子どもたちに向上心をどう もたせるか」「聴く力の育成」が課題として浮 かび上がった。その後ファシリテートチーム

(以下 FT)にて検討した結果,実習校児童の 基本課題として「聴く力の育成」と「向上心

(主体性)の育成」の 2 つが設定された。

(2)Plan 期:2015 年 2 月~5 月

2 月下旬,拡散型の WS「児童の基本課題解 決に向けた具体的手立ての話し合い」を実施 した。その際に出された様々な手立ては,新 年度の 4 月末~5 月初旬の校内研修において収 斂され,「A小学校重点ステージ展開計画」に位 置づけられた。さらに重点ステージ計画を基盤 として,「学力向上実行プラン」や「キャリア教 育全体計画」の作成を行った。

図 3 決定した具体的手立て

(3)

(3)Do 期(含 Check・ActionⅠ期)

1)聴く力の育成

聴く力の育成のために,児童に対して「目と 耳と心で人の話を聴くこと」と,「聞き方名人あ いうえお」の意識化を図った。中間評価におい て,教職員間での聴くことの共通認識が不十分 であり,児童の意識化も十分に図れていないこ とが見えてきたため,9月初旬の校内研修で WS を行い,「聴くことに関する評価規準」を決定し,

以後の実践へとつなげていった。

2)向上心(主体性)の育成

向上心(主体性)を育成するための取組とし ては,「児童の自尊感情を高めること」や「授業 の改善」等が決定していた。自尊感情を高める 取組は,実践交流会等で教師たちの経験を情報 交換しながら進められた。また,「授業の改善」

に関しては,全学年統一の「授業の基本展開」

を作成し,まずは算数においてその展開に沿っ た提案授業を行うことで基本展開の共通理解を 図り,各学級での実施につなげていった。

3)実践交流会

教職員が新たな実践の知識を得たり自分の 実践をふり返ったりする機会をもつとともに,

協働的な雰囲気をより高めていくことをねら いとして,5 月下旬に実践交流会を行った。2 学期は,児童の基本課題に対する取組の進捗 状況を報告する機会が実践交流の場となった。

4)6 年生総合における「職場体験学習」

6 年生総合の学習において,児童が自分自身 について考えたり理解したりしながら,働くと いうことを考えるきっかけをつくることを目的 とする「職場体験学習」を実施した。学習のま とめにおけるふり返りの感想から,この目的は ある程度達成できたのではないかと考えた。

2 児童会活動の活性化

(1)新 6 年生による「こんな学校にしたい」WS 3 月に,新 6 年生となる 5 年生児童全員で,「A 小学校をこんな学校にしたい」というテーマの WS を行った。WS と話し合いの結果,「A小学校 を日本一『一人ひとりが自信をもった学校』に しよう」という目標をもって,次年度のいろい ろな活動に挑戦していくことが決定した。

(2)「スマイルリーダー」の活動の活性化 6 年生による輪番制の児童会役員「A小スマ イルリーダー」により,3 月に決定したA小日 本一プロジェクトに関わる活動や代表委員会が 積極的に進められた。これらの活動を通して,6 年生児童の主体性が高まった。

(3)集会活動の充実・活性化

年間を通して行われる各種集会活動を見直し たり充実させたりしていったことで,集会委員 をはじめ高学年を中心とした児童の自主性や自 発性が徐々に高まってきた。

(4)委員会活動の活性化

各委員会や児童会の活動を活性化し,児童の チャレンジを積極的に推進することで,自治的・

自発的態度を養おうと考えた。結果,全校発表 等の大きなことへのチャレンジは,全ての委員 会では行われなかった。しかし,自分の役割を きちんと果たすという「日々の小さなチャレン ジ」はしっかりとなされていると考えた。

第4章 実践研究の総括(Check・ActionⅡ期)

1 実践研究を通しての成果

(1)児童の変容から

総括評価としての児童アンケートの結果から,

次の 3 点が成果として捉えられた。

① 児童の基本課題として取り組んできた「向 上心(主体性)」と「聴く力」に関しては,

両者ともある程度の向上が見られる

(4)

② 児童の自尊感情が高まってきている

③ キャリア発達に関わる「基礎的・汎用的能力」

の 4 能力全てに,ある程度の向上が見られる

図 4 児童の「向上心(主体性)」に関わる項目

図 5 児童の「聴くこと」に関わる項目

図 6 児童の「自尊感情(自己理解・自己管理能力)

に関わる項目

(2)教職員の変容から

教職員の協働による組織的な取組を積極的に 進めてきたことで,実習校の教職員の協働性は 一定の進展を見せている。

図 7 「児童の基本課題」に関わる項目(教職員)

図 8 教職員の「協働性・同僚への意識」

に関わる項目 2 実践研究から見えてきた課題

児童・教職員へのアンケート結果から見えて きた課題は,「児童のキャリア発達を促すための 教職員の意図的な取組が十分とは言えないこと」

「教職員の個業性が十分には改善されなかった こと」の 2 点である。これらの課題の根底にあ る要因を考えたとき,今年度の実習校における 児童の基本課題設定と取組には,“曖昧さ”と“複 雑さ”があったことが見えてきた。

3 小学校におけるキャリア教育に対する実践的示唆 本実践研究から,一般的な小学校においても まず児童の実態から始め,段階を追いながら校 内のキャリア教育体制を整えていくことをめざ していけば,着実にキャリア教育を根付かせて いくことができるのではないかということが見 えてきた。これは,小学校におけるキャリア教 育展開の 1 つの可能性を示唆していると考えた。

参照

関連したドキュメント

にしたいか考える機会が設けられているものである。 「②とさっ子タウン」 (小学校 4 年 生~中学校 3 年生) 、 「④なごや★こども City」 (小学校 5 年生~高校 3 年生)

定期的に採集した小学校周辺の水生生物を観 察・分類した。これは,学習指導要領の「身近

プログラムに参加したどの生徒も週末になると大

学校に行けない子どもたちの学習をどう保障す

(2)施設一体型小中一貫校の候補校        施設一体型小中一貫校の対象となる学校の選定にあたっては、平成 26 年 3

副校長の配置については、全体を統括する校長1名、小学校の教育課程(前期課

小学校 中学校 同学年の児童で編制する学級 40人 40人 複式学級(2個学年) 16人

イ小学校1~3年生 の兄・姉を有する ウ情緒障害児短期 治療施設通所部に 入所又は児童発達 支援若しくは医療型 児童発達支援を利