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NIVIR Study of DNA Binding Protein HU

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Academic year: 2021

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博 士 ( 理 学 ) 角 田 佳 充 学 位 論 文 題 名

NIVIR Study of DNA Binding Protein HU

(DNA蛋 白 質 HU NMRに よ る 研 究 )

学位論文内容の要旨

  HUは原核生物に広く存在し、DNAの様々な反応を助ける働きをしている蛋白質である。

HUは分 子サイズ( 分子量9500)、塩基性の等電点、構成アミノ酸にりシンとアラニンが 多 いこと、DNAに超螺旋 を形成させ ることの点で、真核生物のヒストン蛋白質と似てい る ことから、 原核生物に おけるヒストン様蛋白質と考えられている。X線結晶構造解析 の 結果が報告 されており 、HUはホモダイ マ―で存在 し、くさび 型のボディー部分と、

そ こから伸びたロ‑str a'ndからなる2本のアーム部分で構成されている。これまでの研 究 から、HUはDNAの塩基配 列に非特異 的に結合す ることと、 アーム部分でDNAを結合す る ことが示唆 されている 。本学位論 文は、DNA結合蛋白質HUとDNAの相互作用を核磁気 共 鳴法(NMR)を用い て研究した 結果について記述したものである。1章では、これまで のHUの生物学的、物理化学的な研究を概観している。

  2章では、HUのNMRスペクトルの解析について述べる。HUの1H一NMRスペクトルを温度 を変え て測定する ことにより 、HUは70℃で変性することを見いだした。ここで得られ た変性温度70℃は、すでに報告されているCD測定から得られた値とほぽ一致している。

スペク 卜ルは70℃付 近でほば全 てのピークが一斉に変化した。このことは、HUの熱変 性が分 子全体で一斉におこることを意味している。pHを変えて1HーNMR測定を行った。

pH=5.7〜10.0において、ほとんど変化が見られなかった。HUがpHに対して安定である こ とが わ かる 。化 学合成され たHUが、天然 のHUと同じ立体 構造をとっ ていること を 1H‐NMR測定により確かめた。このことは、HUの立体構造が、完全に1次構造の情報のみ で決ま ることを示している。また化学合成により位置特異的にt3C、15N、Dでラベルし たHUを、13Cー、15Nー、D‑NMRにより実際に位置特異的にラベルされていることを確かめ た。ラ ベルされて いる部分は 等価であることがわかった。HUダイマー内のモノマー分     ―219−

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子 同 士 は 、 同 じ 構 造 を し て い る こ と を 示 唆 し て い る 。

  3章 で は 、 HUの ア ー ム 部 分 と ポ デ ィ 一 部 分 の 運 動 性 を13CNMRに よ り 調 べ た 。 ボ デ ィ ー の 疎 水 性 コ ア 内 に あ るPhe47Caと ア ー ム の 先 端 部 分 に あ るGly60Caを 位 置 特 異 的 に13Cに ラ ベ ル し たHUを 使 用 し た 。 こ の2つ の 部 位 の 相 関 時 間rcを 緩 和 時 間T1か ら 求 め 、HU単 独 の 時 と 、HUDNA複 合 体 で 比 較 し た 。 二 重 鎖DNAと し て (dGGAAATTTCC)2 用 い た 。Tt測 定 は5℃ か ら48℃ ま で の5点 の 温 度 で 行 っ た 。DNA存 在 下 、 非 存 在 下 に か か わ ら ず 、Phe47Cゼ の でcの 値 は 、Gly60C口 よ り も24倍 大 き い こ と が わ か っ た 。 こ の こ と は 、Gly60Caが 、Phe47C口 よ り も 速 い 運 動 を し て い る こ と を 示 し て い る 。DNAを 加 え る こ と に よ る 相 関 時 間 の 増 加 量 は 、Phe47Caで 平 均20tXGly60Caで 平 均4096で 、 Gly60Caの 方 が 大 き い 。 す な わ ち 、DNAを 加 え る とPhe47Caの 運 動 よ り もGly60Caに よ り 大 き な 影 響 が 現 れ る こ と を 示 し て い る 。Gly60Caの 活 性 化 エ ネ ル ギ ー の 値 は 、DNA 結 合 し て い な ぃ 状 態 で63KJ/molで あ る の に 対 し て 、DNAを 結 合 す る と 、124KJ/mol に な り 、 約2倍 に 増 加 し た 。 一 一 亠 方 、Phe47Cゼ で は164KJ/mol143KJ/molと な り 、 ほ と ん ど 変 化 し な い 。 し た が っ て 、 ア ー ム 内 の Gly60Caは ボ デ ィ ー 内 のPhe47Caよ り も よ り 運 動 性 が 高 いoX線 結 晶 構 造 解 析 の 結 果 で は 、 ア ー ム の 先 端 部 分 の 構 造 が 見 え な ぃ 。 X線 結 晶 構 造 解 析 に お い て 、 構 造 の 見 え な ぃ 部 分 は 一 定 の 構 造 を 取 っ て い な い こ と に よ る と 考 察 さ れ て い る が 、 本 研 究 の 結 果 は 、 ア ー ム 部 分 の 運 動 性 が 高 く 、 構 造 が ゆ ら い で い る こ と を 示 し て い る 。 又 、Gly60Caの 運 動 性 はDNA結 合 に よ っ て 減 少 す る こ と が わ か っ た 。HUDNA結 合 蛋 白 質 と し て の 機 能 は 、 ア ー ム 部 分 の 高 い 運 動 性 に 関 係 し て い る も の と 考 え ら れ る 。

  4章 で は 、 合 成 し た 二 重 鎖DNAHUと の 間 の 相 互 作 用 を3ip1HNMRに よ り 調 べ た 。2 重 鎖DNAとして8ベースペアの(d‐G(1)G(2)A(3)A(4)T(5)T(6)C(7)C(8))2と20ベースペ ア の(dG(1)G(2)G(3)A(4)A(5)A(6)A(7)A(8)G(9)G(lO)C(ll)C (12)T(13)T(14)T(15) T(16)T(17)C(18)C(19)C(20))2を 用 い た 。8ベ ー ス ペ アDNA3ipNMRス ペ ク ト ル を 色 々 な 濃 度 のHUの 存 在 下 で 観 測 し た 。8ベ ー ス ペ アDNA20ベ ー ス ペ アDNA1HNMRス ペ ク ト ル を色々な濃度のHUの存在下で観測した。

    HUを 加 え る と 、 全 て の31Pの ケ ミ カ ル シ フ ト が 変 化 す る 。C7pC(8) の ピ ー ク の み 低 磁 場 シ フ ト し て 、 他 の ピ ー ク は 、 高 磁 場 シ フ ト す る こ と が わ か っ た 。HUDNAの 塩 基 配 列 に 非 特 異 的 に 結 合 す る こ と か ら 、DNAの り ン 酸 部 分 に 静 電 的 に 結 合 す る と 考 え ら れ

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ている。静電相互作用は、3ipの共鳴を高磁場にシフトさせることが報告されている。

これらのことを考慮すると、C(7)pC(8)の低磁場シフトは構造変化によるものと考えら れ 、HUがDNAの構 造をC(7)〜C(8) 領域で変化さ せることを示唆 している。

  8ベースペアDNAでは、大きなシフトがC(7)とC(8)ベースプロトンとG(2)イミノプロ トンに観測された。20ベースペアDNAでは、T(13)、T(14)、T(15)イミノプロトンにシ フトが観測された。これらのシフト変化は、31Pと同様、HUの塩基配列非特異的結合性 から考えて、DNAの構造変化によるものと考えられる。

  DNAが二重鎖をとっていることを考えると、DNAの構造変化は連続した4ヌクレオチド の両側にある2、3個のヌクレオチドでおこる。この変化は、HUと類似の蛋白質に共通 の 性 質 で あ る DNAを 曲 げ る こ と に 関 係 し て い る と 考 え ら れ る 。

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学位論文審査の要旨

     学 位 論 文 題 名

NIVIR Study of DNA Binding Protein HU

(DNA蛋 白 質HU NMRに よ る 研 究 )

    HUは原 核生 物に広く存在し、DNAの様々な反応を助ける働きをしている蛋白質であ る。HUは真核生物のヒストン蛋白質と似ていることから、原核生物におけるヒストン様蛋 白質と考えられている。X線結晶構造解析の結果が報告されており、HUはホモダイマーで 存在し、くさび型のボディー部分と、そこから伸びた2本のアーム部分で構成されている。

こ れ ま で の 研 究 か ら 、HUはDNAの 塩基配 列に 非特 異的 に結合 し、 アー ム部分 でDNAを 結 合 し てDNAを 折 り 曲 げ て いる こ とが示 唆さ れて いる 。本論 文は 、HUとDNAの 相互 作 用 を 、 結 合 に 伴 うHUの 分 子運 動 の変 化、DNAの構 造変 化の観 点か ら、NMRを用 いて 研 究した結果について記述したものである。

  第1章 は 序 論 で 、 こ れ ま でのHUの 生 物 学 的 、 物 理 化 学的 な 研 究を 概観 して いる 。   第2章 で は 、HU単 独 の 構 造 ・ 性 質 を 、1H― 、13C― 、15N― 、2H−NMRス ベ ク 卜 ル の解 析か ら研 究した結果を記述している。1H―NMRスベクトルの温度変化から、他の 方法で求められた変性温度を確かめ、また、熱変性が協同的であると述べている。HUが pH=5. 7〜10.Oにおいて安定であることも見出した。化学的に合成されたHUが、天然のH Uと 同じ立 体構 造を とっ ている こと を1H―NMRス ベク トルか ら確 かめ 、立 体構造 が1次 構造で決まることを示した。

  第3章で は、HUの アーム部分とボディー部分の運動性を13Cの緩和時間Tエにより調べ た結果を述べている。ボディーの疎水性コア内にあるPhe47Caとアームの先端部分にある Gly60Cくニ£を13CでラベルしたHUを使用した。その結果、アーム部分は運動性が高く、構造 がゆらいでいることを見出している。又、DNA結合によって、アーム部分に大きな影響が 現 れ る こ と を 見 出 し 、 DNAが ア ー ム 部 分 に 結 合 す る こ と を 確 認 し た 。   第4章 で は 、31Pと 1H−NMRに よ り 、HUとDNAの 相 互 作 用 をDNAの 構 造 変 化 の 観 点か ら調 べた 結果を 記述 して いる。8およ ぴ20べ ースベアのDNAを用いて研究してい る 。HUを 加 え る と 、 全 て の31Pの ケ ミ カ ル シ フ ト が 変 化す る 。8べー スベアDNAで は

男利 勲 邦勝 地田 中 引新 田 授授 授 教教 教 査査 査 主副 副

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C(7) pC (8)のピークのみ低磁場シフトして、他のピークは、高磁場シフトすることがわかっ た 。DNAの りン 酸基 の静 電相互 作用 は、31Pを高 磁場 にシフトさせることが知られてい るので、C(7) pC (8)リン酸の低磁場シフトはDNAの構造変化によるものと考え、HUの結 合がC(7)〜C(8)の領域の構造を変えたことを示唆するとしている。1H−NMRスベクトル の観測により、8べースペアでは、大きなシフト変化がC(7)とC(8)べースプロトンとG(2) イミノプロトンで起こることを見出した。20べースベアでは、T(13)、T(14)、T(15)のイ ミノプロトンに大きなシフト変化が観測された。これらのシフト変化は、31Pと同様、H Uの 塩基 配列 非特異 的結 合性 から 考えて 、DNAの 構造 変化 によ るもの とし てい る。DNA が二重鎖をとっていることを考慮して、DNAの構造変化は連続した4ヌクレオチドの両側 の2、3個 の ヌ ク レ オ チ ド で起 こ り 、 こ の 部 分 でDNAが 折り 曲 が る と 示唆し てい る。

  本 論 文 は 、 主 に1H− お よ ぴ31P―NMRを 用 い てDNA結 合 蛋 白 質HUとDNAの 相 互 作用を調べたもので、結合に伴う運動性の変化、およぴDNAの折れ曲がりについての新し い知見を提供するもので高く評価される。審査員一同は申請者が博士(理学)の学位を得る 充分な資格があると認めた。

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