国立国語研究所学術情報リポジトリ
現代語いの形成
著者 宮島 達夫
雑誌名 ことばの研究
巻 3
ページ 1‑50
発行年 1967‑03
シリーズ 国立国語研究所論集 ; 3
URL http://doi.org/10.15084/00001752
現代語いの形成
津宮 島 達 夫
この調査は,現代語としてよく使われる単語がいつごろ現れたものかを,おも
に和英辞典の見出し語によってしらべたものである。ここでえたおもな結論は,つぎの二つである。
(1>明治時代は,その前後の時代よりも,語いの変化がはげしかったらしい。
(2)ふえた単語の多くは,明治時代には漢語であり,大正・三和時代には外来 語である。
なお,これと三下の調i査としては,総合雑誌の語い調査をもとにして,林大回 のしらべられたものがあるので,参照していただきたい。(雛四隣二三ア鄭1報
6」 1956)
1 調査語と調査資料
調査語としては,国立国語研究所がま956年(昭和31年)の雑誌90種を対象と しておこなった語い調査でおおく出てきた1000語をとった。ただし,これは機 械約にk位から1000語をとったものではなく,辞書の見出し語によって調査す
る必要上,冤出し語になりにくいものははぶいた。具体的にいうと,語い調査で 度数50以上の!220語から,つぎの220語をのぞいたものを調査語とした。
(圃有名調) 27語
日木アメリカ イギリス ソ連中圃 ドイツ フランス 米国 來京 大阪 京都 北海道 銀座
木村 佐藤 鈴木 高橋 田中 中村 林 山本 明治 大正 昭和 紹(昭和の陥)
巨人 常海 (合戒数詞) 34語
二十 王十 鰻十 五十 六十 七十 入十 九十 二百 三爵 [&hil 五百 六百 七㌶ 八百 九百 二千 三千 四千 五千 六千 七千 入千 九千
.0 (てんれい) .2 .3 。5 .7 .8
1
(助動詞) 6語
れる,られる せる・させる たい よ5(だ) そう(だ) みたい(だ)
(形容詞連二形派生の名講) 2語
︵
︵ ︵謝Cお顯韮誤解・都・輩鰻人糞籾割た藩中善言機代書権ら糊 釧 県ト宵ド三度券 軸性騨中・家部車二二旧い 連近要 ル く
孝成要素)2語
S)かあ(さん) (お)とう(さん)
醗)21語
御
ゑた いく
二二第約
だいしよう あいたい 大小同全総各半無不再新相対
痛)118語
んさまちゃんどの氏君嬢 県郡市七
一トルセンチセンチメートルミリヤール尺寸トン
がつ にち じ みん
月 日 時 分 歳 年度 期 箇月
界 庁 じ寺 院 け家 国 園 霧 校 官隊 り た 長局 山め 条 ト 感 い手館 ンつ 箇 セず化︑・富士団 ﹇
階 パ靴毎は力駄上員省 病枚働縄轡雛隻鷺物戦
臥本じ次八分 流笹目屋窒臥品至高業
8等
静三号渦分 踊風月間恥入社舳船費齢編ら ち
らしい がる
(符号)10語
A B C イ ロ や(休み) +(プラス) ○ ⑳ ク(同じく)
こうしてえらんだ1000語は, 当然基本語い的なものだが,
2
その内容は,常識
的に考える基本語いとはかなりちがう点がある。たとえば・この1000語の中に
は,
えりぐり ダーツ ゴム編 メリヤス編 まつる
などの特殊な(しかし婦人雑誌にはよく出てくる)ことばがふくまれている。
うちあわせ 見返し
も,実例は大部分が服飾用語としての使い方で,それが多いために!000語中に
はいってきたものである。一方,この中には
さむい静かやすむ木うそ世聞
など,だれが考えても基本的だと思われるものがはいっていない。
資料としては,おもに,
た。
︶︶︶︶︶︶︶︶︶︶︶︶︶ 1234567890123 1111
つぎにあげるようなB本語一外国語辞典をつかっ
日ポ辞書 1603〜04(慶長8〜9)
ゴシケビッチ:和魯通言比考 1857 (安政4)
ヘボン:和英語林集成 (初版)1867 (慶応4)
ヘボン:和英下林集成 (再版) 1872 (明治5)
レーマン校定,斉田・那波。国司:和独対訳字林 1877 (明治10)
ヘボン:和英語林集成(3版)1886(明治19)
高橋五郎:三笠対照 いろは辞典 1887〜88 (明治20〜21)
プリンターj一:和英大辞典 1896 (明治29)
ルマレシャル;禰仏大辞典 1904 (明治37)
9=F_ヒート翌ぎ :新馬斑和英辞典 1909 (明治42)
武儒由太郎:和英大辞典 1918 (大正7)
研究祉新癩英大辞典 1931(昭和6)年版 (研新と略)
ク 1954(昭和29)i拝ra (研プくと属各)
一
この調査の冒的は,雑誌でよく使われた単語が,いつごろから使われるように
なったかを知ることであって,辞書論ではない。しかし,各年代の語いを全体的
に見るには,辞書の見出し語によるのが手っとりばやいので,これらをつかっ
た。そのために,本当に年代的な変化なのかどうか,うたがわしい点がでてくる
3が,これはあとで問題にすることにする。
国語辞典をつかわずに・和英などにしたのは・一般に和英の万が敏感に語いの 変化を反映するのではないか・という予想をたてたためである。特に明治時代に
ついては,そういえるとおもう。ある辞書にある単語がのっているかいないかの判定については,つぎのような
方針をとった。1) 見出し語になくても,周回にあるばあいは,あるものとした。たとえば,
「愛する」「ところが」が,それぞれ単独の見出しになくても,薪愛∫ところ」の 用例としてあがっていれば,あるとした。家の意味の「うち」や,時關の経過 をあらわす「たつ」もF内」やr立つ」の用例にあるばあいは,みとめた。
2) より長い見出し語の構成要素として出ているものも,あるとみとめた。単 独の「ある(或)」「国際∫最高」がなくても,「あるとき∫国際法∫最高寒暖計」
があれば,これらをみとめた。ただし,これは,この長い見出し語が,語い調 査で採用したβ単位として,もっと短かく切れるばあいにかぎる。「客人」「客 僧」は,β単位としてこれ以上切れないから,これらがあっただけでは「客」と いう項目があったとはみとめない。なお,「一部始終」「優勝劣敗」だけでは,
r一部」「優勝」という単語があるとはしなかった。
3)見出しについている漢字には,かならずし屯こだわらない。「情態」「必
用」は,「状態」「必要」と同じものとみとめた。4)意味に関係のない語形のわずかなずれは無視した。「あるは∫それぞれ」
たいかい
「だいくおい」があれば,rあるいは∫それぞれIF大会bosあるものとした。
い か がくせい ひ こミ
ただし,「いげ」「がくしょうjrひぎょう」は,「以下∫学生」「飛行」と区別し た。
2概
観調査語としてえらんだ1000語が,上にあげた和英辞典にどのくらい出ている かをみると,つぎのようになる。ただし,ゴシケビッチと高橋とは,それぞれ前
に出た辞書(すなわち日ボ辞書とヘボンの3版)よりも少なくなっているので,増 加語数以下の欄は計算しなかった。4
〔第1表〕
日 ポ
ゴシケビッチ
初2ン3 ンンマン ボボ︹ボ へヘレへ
ブリ ンク リ ー
ルマレシャル
井 上 武 儒 研 新 硫 大〔第1図〕
騒η引η%η%2331368雛兜数︒︒ 667778899999ハソ蕪︒門1
geo
6S・O
?eo
増撫語数
/具 76 0ユ
ー矯腿 菊82017肩−o
前の辞書か 1年あたり らの年数 の憎力;!諾数
3
5
〆O今︼
59 ㎜紛859︑綿23 胴躍鍍讐舶ω如砂M脳
)轟苧η 2
■ 〆
! 1,
!くξ
一
! 〆!
し
年 1650 1900 1950
この図を見ると,明治時代に急カーブで上昇した語数が,大正・紹和と次第に
.5ゆるやかな線にかわる。ここから,
囚 明治時代(特に前期)における語いの増加は急激だった。
という結論をくだしたくなるのは当然だ。これは,われわれの常識的な見方とも
一致する。しかし,この図は,(B)明治時代には,辞書が急速に改善された。
という事実を示すにすぎないかもしれないし,また,
〈C)このような調査法によるかぎり,いつの時代をとっても,これにちかい
カーブになる。ということかもしれない。これら三つは,おたがいに,かならずしもむじゅんす るものではない。明治時代には,語いの増加も辞書の改善もさかんだったのが事
実だろうが,この点について,もうすこし考えてみよう。まず,辞書がその当時の言語を完全に反映しているといえないことは,もちろ
んである。以上の和英のうちで最新最大の「研究社新和英大辞典」(1954年版)でも,1000語中つぎの8語がおちているQ
えりぐり 九(きゅう) ゴム編 される ダーツ まつる メリヤス編 四(よ・よん)
このうち,
えりぐり ゴム編 ダーツ まつる メリヤス編
の5語は特殊な用語であり,される
は和英辞典として不必要かもしれない。しかし,数詞の 九 四
をおとしたことは,なんといっても手おちといわなければならない。(このミス
は,武信・井上にまでさかのぼる。)このように,当然のるべき単語が不注意からおちたと思われる例は,あとでみ るように高橋や井上に多いが,そのほかの辞書にも多かれ少なかれ見いだされ る。特にはっきりした例は,前の辞書がすでにのせているのにおとしているばあ
いだ。たとえば,「設備」やF大会」は,ブilンクlj一(1896)にないが,高橋(1888)にある。「技術」は,ヘボン〔初〕(1867)にないが,ゴシケビッチ(1857)にある。これ
6
らは,プリンタリーやヘボンが当然のせるべくしておちたもの,と考えれば,そ
れらの年代の語いをおぎなうことができる。語いをおぎなう第2の方法は,和英などとは別系統の,国語辞典などによるも
のである。たとえば,ヘボンや高橋にない「程度」は言海(1889〜91)に,井上や武 信にない「ホテル」はこれらよりも古い辞林(1907)に見いだされる。一般に,和英・和仏などは,たがいに参考にしているから・よくも悪くも先行の辞書に強く
影響される。国語辞典は,これと別系統だから,桐おぎないうる可能性がある。国語辞典としては,つぎの5つをとった。
1) 大槻文彦:蓄海 1989〜91(明治22〜24)
2)藤井・草野:帝国大辞典 1896(明治29)
3) 金沢庄…郎:辞林 1907(明治40)
4) 上懸。松井:大日塞購語辞典 1915〜19(大正4〜8)
5) 金沢崖三郎:広辞林 1925(大正エ4)
また,明治初期の新語辞典としては,当時の漢語を集めたものがあり,これに よってヘボンなどをおぎな5ことができる。ここでは
片偏義助:布令新聞漢語必用 文明いろは字引 1877(明治10)
をつかった。 これは, レーマンの和独辞典と同じ年に出ているものであるが,
レーマンにも,またそれ以前の日ポやヘボンにもない単語がつぎのように多くみ
られる。
委員 一一層 学生 活動 機関 危険 記者 期待 銀行 結果 結婚 決定……(〔初出語詞覧表〕参照。)
これらの意味の説明は,きわめてかんたんであって,多少問題になるのもある が,とにかく,和英や和独に見えないもの,のちにヘボンの3版やプリンタリー
で拾われるものの多くがふくまれている。
最後に,これまでに行なわれた語い調査の結果を利用することができる。ここ では,国語研究所がこれまでにした,つぎの四つの語い調査でひろわれた単語と
対照することにした。1) 郵{更報矢「1新聞 1877年11月〜78年10月(明治10〜ll)
2) 朝澱新聞 1949年6月(昭和24)
3)婦入雑誌2種1950年1月〜12月(昭和25)
rtT
4)総合雑i誌13種1953年7月〜54年6月(昭和28〜29)
(このうち,朝日新開の調査では,数詞を意識的におとしている。)
郵便報知新聞の調査は1877年(明治10)11月から78年10月にいたる期間に ついてであって,これはほぼレーマンや文明いろは字引と岡時期であるが,この
両者に見られない,つぎのよう.な単語をつけたすことができる。愛情 以外 うちあわせ 影響 会議 化学 株式 関する 完全 競争
結局………(〔初出語一覧表〕参照。)また,「研究社和英大辞典」にもなかった「えりぐり∫ゴム編∫ダーツ」の類は,
婦人雑誌の語い調査によっておぎなえる。
このようにしておぎなって,ある時点までの資料に何語あらわれたか,とi,・ P}
観点で見なおすと,つぎのようになる。
〔第2表〕
三878(郵便報知)まで 1891(m海)まで 1896(プリンタリー)まで 1909(井上)まで 1919(大日本)まで 1931(研新)まで 1954(総合雑誌)まで
902 933 944 974 980
99正
IOOO
楢加Ill数
31
1ま
30
6 1王e]
年 数
13
5
13 10 12 23
1年あたり 増kH語数
2.4・
2.2 2.3 0.6 0.9・
O.4 このようにして,辞典のもつ欠点をある程度「修正」したのが,第1園の点線の グラブである。このような「修正」は,かならずしも辞典の欠点を正すものとはい
えない。そのためのマイナスも生じるのである。辞典に登録されたということ
は,すでにそれがある程度まで一一eeに使われている単語であると,編集者が判断 したことを意味する。一方,語い調査でたまたまひろわれたものの中には,まだ当時単に存在したというにとどまって,一般に広く使われるにいたっていなかった ものもまじる可能性がある。したがって,外国語辞典という等質の資料による結
果に,語い調査の結果という異質の資料をつけたすことには闘題が残るが,とにかく,このような修正をした上でも,やはり明治期における増加率は,大正・昭和 期をかなり上まわっているのが注目されるQ
8
つぎに,このように現代に近くなるほどカーブがゆるやかになるというのは,
この調査法につきまと5一般的傾向だろうか。今,日ポ辞書からさらにさかの ぼって,源氏物語・万葉集のばあいをしらべてみると,源氏では446語,万葉で
は326語がつかわれている。〔第2図〕参照。〔第2図〕
語数
研 へ誉
ざ 勃駐
41
150G 20GO
これでみると,万葉からヘボンの初版までは,ほとんど一一一Utt線に上昇しており,
それにくらべてヘボン以後90年の急上昇ぶりはいちじるしい。また,日ポ辞書 が室町末期の語いをもうらしているほどには,万葉や源氏はその当時の語いをつ くしていないだろうということを考えに入れると,カーブはむしろ時代をさかの ぼるにつれてゆるくなるべきものではないかと思われる。とすれば,近代には いってから,しだいにカーブがゆるくなるのは,この巨視的傾向に反する。この ことを説明するためには,明治時代はその購後の時代にくらべて語いの変化のは
げしい,特殊な時代だった,と考えるべきではないだろうか。3語
種1,000語を語種によってわけると,
和語 564 漢語 383 外来語 17 混種語 16 である。
語種の認定上,問題になりそうなものの処羅の例をあげると,つぎのようなも
のがある。これらは語い調査の際の処置にしたがった。9
〔和 語〕 馬 絵 え.がく 試合 ちょうど 〔漢語〕単に 特に ばか
〔混種語〕 感じ けっして ひどい 語種の変化についての結論としては,
明治時代には主として漢語がふえたが,大正・昭稲時代には外来語の増加が
これをおいこしたQということができる。
今・第2表にならって,各年代までにそれぞれの語種の単語が何語あらわれて いるか,それは各語種の総数の何%にあたるかを示すと,第3表・第3図のよう
になる。( )内は%Q〔第3表〕
三878 (郵便報知)まで 189工(雷海)まで 1896 (プリンタリー)まで 1909 (井上)まで 19三9 (大H本)まで 1931(醗新)まで 1954 (総合雑誌)まで
(第3図)
%
100
50
和語
575
(98.5)
580
(99.3)
582
(99.7)
582
(99.7)
582
(99.7)
582
(99.7)
584
(100.0)
漢語
3王5
(82.2)
339
(88.5)
347
(90.6)
376
(98.2)
379
(99.0)
382
(99.7)
383
(iOO.O)
外来語
1 (5.9)
(11.8)
(11.8)
3
(17.6)
6
(35.3)
13
(76.5)
17
(100.O)
3}
P
一一⁝/靭!
+ 々︸ /︸ ◎ γ語体語和全漢 ノ 〆︐1 考 ノp
艸 ノ
鋭
ゲ
語種
呂比
かザ
げ
語未外
混種語
ロ
(68.8)
ユ
(75.o)
13
(81.3)
13
(81.3)
13
(81.3)
14
(87.5)
!6
(100.○)
計
9e2 933 944 974 980 991 1000
年 1900 1950
10
これによってみても,和語ほほとんど動いていないこと,外来語の増加が急激
であること溺わかる。つぎに,郵便報知(明治10〜11)から言海(明治22〜24)までを明治前期,以後,
井上(明治42)までを明治後期,研究社新和英(昭和6)までを大正,それからあ
とを昭和とよぶことにして,各時期における増加語数をみると,第4表のとおり
である。
〔第4表〕
明治前期 明治後期
大 正 昭 和
計
和 語
5 2 0 2 9
漢
語24376三68
外来語 混種語 計1 1 31 1 1 41 10 1 17
4 2 9
16 5 98
すなわち,漢語の増加は明治時代には圧倒的だったが,大正・昭和時代には,
増加率だけでなく,増加度数でも外来語においぬかれたのであるQこの結論は,
調査資料のえらび方に,おそらくあまり左右されていないとおもう。和英などで は,外来語を見出しとしてとらない傾向があるのではないか,とも予想したが
(事実, キングaking 程度の自明と思われる語はとらない,とことわっている
例もある一研究社和英小辞典)ここで使ったよ5な大きな和英では,その心配
もあまりなさそうだQ
ただし,ここで注意しなければならないのは,この調査の基準とした現代雑誌九
十種の語い調査では,長さの単位としてβ単位をとっていることだ。この単位に よれば3字以上の漢語は原則として2字以下に分解される。「自動1車」「資塞}
主義」のように。辞書の見嵐し語は,一般にこのβ単位に近いので,辞書による
調査には便:利だが,常識的にいう単語よりはみじかいことが多いQしたがって,大正・昭和期に漢語の増加がにぶったといっても,それはあくまで2字の漢語に ついてであって,3字・4字の漢語は,明治期とおなじ程度に,あるいはそれ以 上にふえているかもしれない。ただ,語構成上,2字の漢語こそもっとも代表的 な漢語だから,これのふえ方がにぶったことは,漢語全体の変化を代表するもの
とみてよいだろ5。
なお,第4図に,古くからの各資料における語種の割合の変化を示した。ヘボ
11
ンのところで急に折れて,漢語が急増している点に注意していただきたい。
(第4図)
4 品詞・意味分野
この1000語を品詞別,意味分野別に分類すると,つぎのようになる。意味の
分類は林大氏のものによる。1)名 詞 1の抽象的圏係
12) 人閥活動の主体
13)人間活動
14) 生産物。罵具物昂 15) 自然物・自然親出
2)動 詞 21)抽象的関係 23)精神・行為 25) 自 然現象 3)形容詞・副詞
3ゆ抽象的関係 33)精神・行為
35)自然現象
和 語 漢 語 外来語 混種語
IL)
f498 玉只︶3
2
○︵d97︹013玉 2 66門つへ∠ 19
︵∠− 玉651 Q〆−1 認U58519M﹁3 笈
1
﹇3934
婆 圭ア2428互
モ7i15 74︑3V 22 13185440953292 800835229 6311 しギ5211 21 11
妻口4)その他 31 1 −
41)接続詞類 15 一 一
43) 痩こ述冨ヨ詞.感動講彗類 16 1 一一 二十 584 383 17
3)のところを普通の品詞分類になおすと,つぎのとおり。
和語漢語混種語 計
形形副連名雲
容容動
体
動
講詞詞序詞調
ただし,
十分 大変 特別 普通 わずか
968351 4 41
7り点2玉
1
1 5361 G31351
ww
@32
一 15
一 玉7 匪6 匪000
のように,副詞としても形容動詞としてももちいられるものは形容動詞に,
いかに(いかなる)大いに(大いなる)単に(単なる)
は副詞に入れた。
上の表でみると,漢語は,11)抽象的関係 13)人間活動 に,外来語は,14)
生産物・用具物贔 に多い。いいかえれば,漢語は抽象名詞に,外来語は具体名 詞に多い,ということになる。そして,漢語の増加が明治時代に,外来語の方は
大正以後に多いことを考えると,これは,古くは抽象名詞,新しくは具{本名詞が ふえつつある,という傾向を示すものといえるかもしれない。これはおもしろい事実だが,今度の調査だけでは,そういう結論をだすのは,ま
だ早すぎるとおもわれる。その一つの理由は,この調査で,漢語を2字以下に分
解するβ単位をとっていることだ。「自動一:車」「飛行一機」など,全体としては具 体名詞であって,β単位に分解すると抽象名詞÷接尾語になってしまうものが,漢語にはかなりある。それで,β単位以外の,屯つと長い単位を基準にしたらど
うなるかということもしらべなければ,漢語 抽象名詞,外来語一具体名詞
という図式をみちびくのは危険かもしれない。もう一つの問題は,1000語をえ
らぶ基準にした語い調査の対象の姓質である。.、雑誌のなかでもっとも外来語のお13
おいのは婦人雑誌だが,記事の性質上,婦人雑誌は他の種類の雑誌にくらべて具 体名詞の外来語がおおく出てくると思われ,あるいはこれがここでとった調査語 中の外来語に具体名詞のおおい原因になっているかもしれないQ
さて,いくつかの資料について,品詞・意味分野劉の語数をみると,つぎのよ
うになっている。万葉源氏H・・葡ン井上 D名
詞ll)抽象的関係
12) 人間活動の主体
13) ノY 問 7舌 動
14) 生三物・用具物晶 茎5) 自然物・自然現象
2)動
詞21)抽象的関係
23) 精 孝申。?「テ 為 25) 自 薫ミ 現 象 3) 形容言司。覆雇蓋司
3⇒紬象的関係 33)精神・谷為
35)虚然現象 4)そ の 他
41)接統詞類
43) 陳述副詞・感動詞類
言†
7 匪2
61玉王2375 54 2 3 15308675495954 ユ3◎
174 302 370 539 79 130 145 194
3ま 51 68
8821 57 86 177
三3 20 21 27
30 44 50 53
176 2e8 219 218
1GO ま14 1玉7 117
7三 89 97 96
5 5 s or
87 120 la2 163 68 93 !12 132
n
圭7 三8 王98 玉O l2 12
9 24 30 31
3 11 13 三4 6 13 17 玉7
A46 654 761 951
131854409532922570 800835229 6311311G r5211 2玉 11
0
一.
ハR 量
また,3)の部分をふつうの贔詞になおすと,つぎのようになる。
詞詞詞詞詞講
動 容 体 動 容 形形副連名助 万葉三民・・ポπ謝井上譜 33 41
1 6
17 29
5 7 2 3 1 1
14
Qu8Q/95ー バ雪13 030351 5251 0313門01 ﹁036玉 031351 5361
以.しの表から,つぎのようなことがいえる。
(1)晶惜別にみると,増加率のいちじるしいのは,名詞。形容動詞および第4の
類(接続詞・感動詞など)でありsあまりふえていな㍉・のは動詞・形容詞である。これは,ほぼ,名詞・形容動詞に漢語が多いという事実と対応する。ただ
し,第4の類の増加率は,こオ■では説明できない。② 名詞の分野のなかで,もっとも増加率のたかいのは,!3)人閥活動であり,
これは動詞の増加率のひくさをおぎなっている。すなわち,ここに属するの
は,動作性の抽象名詞(大体は漢語)がおおく,「〜する」をつければ動詞として はたらくものである。{3)第1〜第3の各分野を通じて,自然物・自然現象の分野では増加率がひく
い05 辞典の比較
ここでは,100G語が見出し語にどの程度とられているか,とい5観点から,
三二辞典と和英辞典との比較をすることにする。
(1)ヘ ボ ン 「翻英語林集成(第3版)」1886(明治19)
高橋五郎 「漢英対照 いろは辞典」1887〜88(明治20〜21)
大槻文彦「欝海」!889〜91(明治22〜24)
ヘボンの3版が再版にくらべてひじょうに多くの単諮をおぎなっていること は,よく知られており,今贋の調査でもそれがわかる。ヘボンの再版と3叛との あいだには,残念ながら目ぼしい和英辞典はなく,レーマンの和独はヘボンの再 版よりもかなりの語数をましているが・これとくらべてもヘボン3版の増趣語数 は飛躍的である。しかし,このことからただちに10年代に語いが増加したとする
ことが危険なことは,王に文明いろは字引や郵便報知から実例をあげたとおり だ。レーマンになくてヘボン3板にある見旨し語は86語で,ひじょうに多い が,このうち55語はレーマンと轡型の郵便報知にすでに出ている。したがっ て,10年代における急激な変化が,語いの上のものか辞書の中にとどまるもの
かは,今後一層くわしい調査にまたなければならない。、高橋のいろは辞典は,ひじょうに特色のある辞典だ。一一・meに,あとで出る辞典
15
は,前の辞典の見出し語をそのまま含んでこれに増補していくのであり,ヘボ ン:初一→ヘボン2一→レーマン→ヘボン3一→プリンタリーという系列では,
このことがはっきりみとめられる。ところが・高橋はこの系列に属しておらず・
直前に出たヘボン3版の見出し語と無関係である。すなおち,ヘボン3版にない 30語をふくんでいる一方,ヘボンにある86語をおとしている。
和語漢語外来語混種語
誰ヘボンだけにあるもの 57 26 1 2 86 高橋だけにあるもの 4 26 0 0 30 高橋に和語が少ないのが目立つが,これは
あんな おぼえる きめる 死ぬ たのしい できる どの ねがう のこ
すはじまるまったくヨつみえるもっともどるわかるわたし
のような・いちばん基本的とおもわれる多くの単語がおちているためで,この点
からみると,高橋はきわめて不完全だといえる。漢語についても,高橋は,
気逆急 七 食:三番
など,わりに日常諮的なものをおとし,一方ではヘボンにない 影響 技術 需要 態度 発表 文化 労働
など,文章語的なものをひろっている。そのうちでも,
技術 設備 大会
の3語は,あとのプリンタリーにもないものだ。このような点からみて,「(近時
著述ノ和英字書ノ如キハ)現今専ラ流行スル所ノ漢語ヲ蒐集スル極メテ少クシテ 実用二巴キノ憾多シ」とい5編者の意見は,実際にこの辞典の見出し語選定方針
に反映しているといってよい。
高橋五郎は,ヘボンの3版を出すにあたって特に協力した人として,その序文 にもことわってある人である。その高橋がすぐあとで出した辞典だから,ヘボン と似ていてもよさそうなものなのに,こうもくいちがっているのは,意外な気が
する。しかし,この「いろは辞典」は,材料南無排列などは,漢学の力のある横地正邦・渡辺精次郎など数人にあたらせたよ5だから,見出し語については高橋個
人の責任はあまりないのかもしれない。16
つぎに・ヘボン3版と醤海との差について。予想としては,ヘボンの方がよく 当時の漢語をひろっているだろう,言海は冷語に璽点をおいているだろう,と考
えたが3これははずれてしまった。和 語 漢 語 外来語 混種語 計
ヘボンだけにあるもの 19 19 1 0 39
書海だけにあるもの 7 19 0 3 29和語がヘボンの方に多いのは,雷海でつぎのような口語的要素をとおしているた
めである。いけない いらっしゃる こんな そんな なさる まあ まるで もっと われわれ
漢語については,ヘボンも内海も岡程度であり,ひろわれているものの性質のち
がいも,ヘボン鴛高橋のばあいとちがって感じられない。② 藤井。草野 「帝国大辞典」1896(明治29)
プリンタリー 「和英大辞典」1896(明治29)
同年に出たこの二つの辞典では,和英の方が和語・漢語ともかなり多い。
和語漢語外来語混種語 計
帝園だけにあるもの 2 7 0 3 12 プリンタリーだけにあるもの 15 28 1 0 44
国語辞典の方は,言海のばあいと同じく,
いけない いらっしゃる そして でかける もう もっと
などの口語的要素がすくないようだ。(3}金沢珪1三郎 r辞林」 1907(明治40)
井上十吉 「新訳和英辞典」 1909(明治42)
ここになると,国語辞典が和英辞典をおいぬいている。つまり,辞林の方が見
出し語のぬけおちが少ない。和 語 漢 語 外来語 混種語 計 辞林だげにあるもの 13 6 1 0 20
弁上だけにあるもの 5 4 0 0 9
井上も,その序文で,これまでの和英辞典が普通の臼本語をおとしていることを
指摘し,できるだけ多くの語いを集めるのに努力したといっている。たしかに・17
翻英辞典だけの系列をみていると,
意識 印象 解決 可能 傾向 縞入 作家 出演………
と,井上になってはじめてひろわれた漢語がかなりある。しかし,これらは,す
でに辞林によって採用されているものであって,国語辞典まで考慮に入れれば,井上の手柄にすることはできない。
しかも,一:方,井上は基:本的な和暦のいくつかをおとし,ている。
よロ ト サ れ い
お前折る 居る そして はじめる 王つ 四 わたし われわれ
など。漢語をよくひろって,基本駒な和語に手おちがある点で,井一上はちょっと高橋に似たところがある。これらの単語は,プリンタリーには出ていたものだか ら,和英辞典の系統はプリンタリーと井上とのあいだにやや断層があることを感
じさせる。そして,井上にはじまる手おちのいくつか,たとえば,i数詞の 四(よ,よん) 九(きゅう)というよみの脱落は,以後の武信や研究社大和英にうけつがれて,現代にいたっ ているQ
このあとの,武信と大日本出語などについても,それぞれ見出しに戯入りがあ るが,1,000語の範齪ではすでに大部分があらわれてしまっているので,比較し
ても,あまりはっきりした特色は鵬てこないQ〔初出語一覧表〕
臼ポ辞書・和暦通言比考およびヘボン初版にない単語で,はじめて現れるもの
の表レー一 ?ンと文明いろは字弓bプリンタリーと帝函大辞典,武信と大日本外語は,出た時 期がほとんど岡じなので,初出の挙語も亟回して出しli をつけた。
ヘボン「;秘英語林集戒」(再版)1872(明治5)
一般 会社 監督 教育 研究 される 事務 生活 繊維 組織 注意 ばあい 比較 法律
レーマン校定「和独対訳字林」1877(明治10)
外国 鶉望 ve警察bl原因軒 健康M 幸福曇 時間曇 資本曇 社長 状態鱒 制度 : 地方ve努力N 批評 部分bl 報告 :
18
片岡義助「文明いろは字引」 1877(明治10)
委員 一厨 学生 活動 機関 危険 記者 嬬待 希望幹 銀行 警察 「e 結果 結婚 決定 原因曇健康弊建設 幸轡 時間ec4事業 資金 事件 実際 資本it 手衛 三1三張 準備 使用 条件 状態鱒 将来 制度N一青年 選挙 存在 地方幹 照査 特男1j努力ec 発見 表蒔 部分ec 編集 報倍幹方法 方面 猛 労働 郵便報知新聞 娼77〜78(明治10〜11)
愛情 以外 うちあわせ 影響 会議 化学 株式 関する 完全 競争 結厨 行為 工業 今後 際 最後 最高 撮影 雑誌 時期 白信 1ξ働 祉会 主義 需要 消費 白 政策成績 製品 資任 説明 線 戦後 全:隣 増加 卒業 大会 大体 単に 中心 面接・程度 でかける 読者 特に 人気 販売 方針 保険 岡題 要求 要する(源氏に「要ず」) 予建 理由
ヘボン「和英語林集成」(3版)1886(明治19)
科学 簡単 計醸 姫子 エ場 材料 女性 絶鮒 代表 男性 電話 ところが
ページ見返しもっとまく予想
高橋五郎 「漢英対照 いろは辞典」 1887〜88(明治20〜21)
安定 一汁 興味 交渉 麟際 参照 指導 趣味 設備 態度 発表 文化 ブく槻ラ之滲 「謬〜海」 1889〜91(1夢ヨ治22〜24)
感じ 身頃
藤井・草野 /一帝網ブく辞典」 エ896(明治29)
気もち きりかえ* 燈台 行動 ぬいしろ プリンターl一ほか 「和英大辞典」 1896(明治29)
家鷹 完成 企業 きりかえ*効果 重要 率 ルマレシャル r和仏大辞典」 1904(明治37)
共産 向上 最近 全然 内容 金沢座三郎 「辞林」 1907(明治40)
意識 印象 解決 可能 傾向 現代 原料 個人 作品 作家 週間 際寅 女優 性格 選手 増資 発展 飛行 表規 表情 ホテル 野球 恋愛
井上十吉 ド新訳和英辞典」 1909(明治42)
投資 優勝
武僑由太郎 「和英大辞典」 1918(大正7)
航空 チp・ntム 投乎* ポケット* 魅力
上膿・松井 「大払水岡語辞典」 1915〜19(大IE 4〜8)
カメラ 投手* ポケット*
金碧:ミ庄三三良に 「広辞冷{こ」 1925(ti〈III 14)
スカーi・ スター デザイン ファン 放送 ラジオ 19
武信由太郎 「研究社新和英大辞典」 1931(昭和6)
映爾 彼女 スポーツ バス 本誌 婦人雑誌2種 1950(昭和25)
ウエスト えりぐり 高校 ゴム編 ダーツ ブラウス まつる メリヤス編 総含甕懸誌13種 1953〜5荏(昭和28〜29)
テレビ
この調査では,原則として初版(第1刷)の辞典を使うことにした。ただ
し,「帝園大辞典」は再版(初版と同年同月),「広辞林」は43版(圭928年)であ り,「大臼本国語辞典」は部分的に初版から7版までまじっている。ご教示をいただいた森田武氏,辞典類を見せていただいた三省堂編修所にお毬を申 しあげたい。
20
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フゴ;フゴ葉軸≦ 源:源氏物語 P:日ポ辞書1603〜04(慶長8〜9) r:ゴシケビッチr南新通雪姥考」1857(安政4) /:ヘボン「和英語弊集成」(初版)1867(慶応4) 2:ヘボン「和英語呂集成」(再版)1872(明野5) d:レーマン校定,斉田・那波・臨同「和独対訳字林」1877(明泥}lo) 垂[S:ヨ封虚報矢矧新碑」 1877〜78(PJヨ?f一:)10〜1圭) 3:ヘボン「湘英語林集成」(3版)1886(明治19) G:高橋五郎「漢英対照いろは辞典」 1887〜88(明治20〜21) 言孕 :大番規二文:彦 r言汀ri_3 1889〜91(「1月澹窟22〜24) 帝:藤井・草聾「帝麟大輪妻塾」1896(明治29) B;プリンタリーほか「和英大辞典」1896(明治29) f:ルマレシャル「和仏大辞典」1904(明治37) 辞:金沢庄董郎「辞林」1907(明治40) 1:井上十資「新訳和英辞タ契」三9G9(明治42) T:武信由太郎「和英大辞典jI918(大正7) 大:上田・松井「大EEI本国語辞典j l915〜19(大鷲4〜8) 広:金沢庄三郎「広辞林」1925(大蕉1の K二:武イ言E擁メscfilS 「EJf暴富L新養蜂ミ大引縛{U !931Gi耀飛璽6) 峠灘:}拶1駐峯斤擢胃2カ月=分・ 1949(ll豊島024) 婦:婦人雑誌2穂ig50(昭和25) 総:総合劉窪言ま13種 玉953〜54(擁召零】28〜29) e:勝俣鈴吉郎「研究案1二新和英大辞典」1954(Ilf!i i{1.1 29) (文:片岡義助「文明いろは字引」1877(明治10〕)
(fl)
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漢 墾蕉 ≡菰 Il 翼口 (584) % (383) 326 10e.O 一
05124519776896749662090 21066636155777677777878 尋5555555555555555555555 27296299023629635278775 48圭32134342229999989888 97877766666665555555555 34604087672390876402602 23190289992337677786788 圭1︸2222223333333333333
%x (17) o.e 一 5.2 %は各資料ごとの語種の止瞬
5803879131145796478ユ55
⑳角器%皿肱協託肱臆駈風鎗鎗瞼瞼瞼瞼鉱瞼鎗瞼鰹
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も りるる L れ ろ 入摺入色い
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凶戯
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辞辞題辞辞
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