• 検索結果がありません。

静岡県湯日川流域の窒素安定同位体比の変化と土地利用の関係

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "静岡県湯日川流域の窒素安定同位体比の変化と土地利用の関係"

Copied!
12
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

とされている(野中,2005)。さらに,地下水汚染や富栄 養化などの環境問題も指摘されている(久保田ほか, 2005)。環境省による平成 26 年度地下水質測定結果によ れば,NO3-N及びNO2-Nの環境基準値を超過した井戸は 全観測井の26%であり,その割合は他の成分よりも高 い状況にある。お茶については,窒素成分含量が高いほ ど 茶 葉 中 の 遊 離 ア ミ ノ 酸 が 多 く 良 質 と さ れ( 村 松, 1991;森田ほか,2004),大量の窒素肥料が茶畑に使用 される。このため茶栽培が行われる地域においては地下 水や河川水の硝酸態窒素と亜硝酸態窒素はしばしば環境 基準値を上回ることがある。山崎ほか(2011)の研究対 象となる狭山茶園地帯でも同様な現象が報告された。 1.はじめに 河川水は昔から人類の貴重な飲用源や生活用水,農 業,工業などのあらゆる場面に使われ,水資源として水 量・水質を把握する必要があることは言うまでもない。 水質については,日本では環境基本法に基づき,地下水 及 び 公 共 用 水 域 に つ い て 定 め ら れ て お り, 例 え ば, NO3-N と NO2-N を合わせた基準値が 10mg/L 以下とし て1999年に設定されている。 硝酸態窒素(NO3-N)は人間の体に入ると,亜硝酸態 窒素に還元され,酸素を運ぶヘモグロビンと結合する。 そのため,硝酸態窒素は乳児に対してメトヘモグロビン 血症と呼ばれる酸素欠乏症などの健康被害を引き起こす

侯 曹正陽

・中山 裕則

**

・大八木英夫

**

・竹内 真司

**

We have investigated the relationship between variation of water quality and the land use from April to October 2016 at 12 points of the main stream and tributaries of Yui River, Shimada, Shizuoka Prefecture where the biggest tea industry area of Japan has been developed. Major elements and nitrate-nitrogen isotope values of the river water have been analyzed. From the results of the analysis, the electrical conductivity value indicates 350 ∼400 (μS/cm) in the upper stream and 150 ∼180 (μS/cm) in the downstream, respectively. The pH value indicates 4.71 ∼5.49 in the upper stream and 6.90 ∼ 7.23 in the downstream. The concentration of nitrate-nitrogen (NO3-N) in the upper stream exceeds the

environmental standard value (10mg/L), whereas that in the downstream is significantly less than the environmental standard value. The land use of the upper stream basin is mainly characterized by tea plantation and that of in the middle and lower stream is distinguished by paddy field and residential area. The reason of the variation of water quality between in the upper stream and downstream might be associated with the different land use of each stream basin. The higher nitrate-nitrogen isotope value in the upper stream is originated from the tea plantation, whereas the lower isotope value in the downstream has provided by the domestic wastewater from the residential area.

Keywords : River water, Nitrate-nitrogen, Stable isotope, Land use, Spatial change

Relationship between variation of nitrogen stable isotope ratio and land use in the Yui River Basin,

Shizuoka Prefecture

Caozhengyang HOU

, Yasunori NAKAYAMA

**

, Hideo OYAGI

**

and Shinji TAKEUCHI

**

(Accepted November 30, 2017)

Depar tment of Geosystem Sciences, College of Humanities and

Sciences, Nihon Unversity: 3-25-40, Sakurajosui, Setagaya-ku, Tokyo, 156-8550 Japan

** Department of Earth and Environmental Sciences, College of Humanities

and Sciences, Nihon University: 3-25-40 Sakurajosui, Setagaya-ku, Tokyo, 156-8550, Japan

日本大学文理学部地球システム科学科:

〒156−8550 東京都世田谷区桜上水3−25−40

**日本大学文理学部地球科学科:

(2)

本研究では静岡県中部に位置する牧之原台地を流れる 二級河川の湯日川流域を対象に,茶畑と他の土地利用の 違いが河川中の窒素等の水質に与える影響について検討 することを目的とした。 2.地域概要 湯日川は静岡県島田市に位置し,牧之原台地と大井川 の中間を流れる延長15.86km の二級河川である(図 1)。 牧之原台地は,静岡県の大井川の西岸部に広がる台地 で,台地の東部は駿河湾に南部は遠州灘に面している。 牧之原台地には面積約50km2の大茶園が広がり,静岡 県内の茶園面積のおよそ28%(「平成 28 年果樹及び茶栽 培面積」農林水産省)を占めている。 3.実施内容 土地利用はカシミール3D®を用いて,空中写真(2009, 2013)と国土地理院地図 3D をレイヤー合成で基図とし てAdobe Illustrator®により流域,茶畑域と水田域の境界 を識別し,それぞれ異なるレイヤーとしてベクターデー ターで抽出した。その後,Photoshop®を用いて,ピクセ ル数を算出し,各面積を計算した。なお,湯日川内の茶 畑の面積の変遷を明らかにするために衛星画像(2010年 のLandsat/TM および 2016 年の Landsat/TM の中間赤外 カラー画像で空間解像度30m,1/50,000 地形図に幾何補 正済み)から抽出し,2010年及び2016年に流域内の茶畑 面積を衛星写真からも算出した。 現地調査は2016年4月(本流8地点),7月(本流8地点 および支流4地点),10月(本流8地点および支流4地点) の計3回実施した。現地では,水温,電気伝導率,pHを EC・pH 計(HORIBA 社 DS-54SE)を用いて測定した。 そして,各地点において250mL(水質分析用)と500mL (窒素安定同位体比測定用)のポリエチレン製ボトルを 用いて試料水を採取した。採取した250mL の試料は冷 蔵保存し,500mLの試料が冷凍保存した。 採 取 し た 水 は,HCO3-を4.8 ア ル カ リ 度 法 を 用 い て 20ml の試料水に N/50 の希硫酸で pH4.8 まで滴定し,試 料中のHCO3-アルカリ度濃度を算出し,その他の主要溶 存成分の測定は試料水の電気伝導率を200µS/cm 以下に 調整したうえで10ml 程度を採取しSHIMAZU 社製 LC-10 型装置を用いてイオンクロマトグラフによって分析を 行った。また,窒素安定同位体比を日本大学生物資源科 学部生物環境科学研究センターの全自動窒素炭素安定同 位体比質量分析計(PDZ Europa 社ANCA-SL)を用いて 測定した。窒素や酸素,水素などのような元素は同じ元 素でも軽いものと重いものが存在する。その存在の割合 は環境によって僅かに変化するため,わずかな変化を表 すために,安定同位体比を用いることよって特定の元素 の起源や移動プロセスを推定することができる。 4.結果 4-1 土地利用 図2 に湯日川の流域と流域内の茶畑・水田の分布を示 す。図2 で赤の範囲は茶畑,水色は水田の範囲を示す。 図3 と表 1 は全流域中の各土地利用面積及び各流域の各 土地利用面積を表す。湯日川の流域面積は25.29km2で, そのうち茶畑面積が6.39km2でおよそ全流域面積の25% 図1 湯日川流域範囲と調査地点(国土地理院地図に加筆)

本流

支流1

支流2

支流3

1

8 9

10

11

12

5

(3)

図2 湯日川流域の土地利用分布 図3 湯日川流域土地利用面積(km2

下流域

上流域

中流域

:茶畑

:水田

茶畑

6.40

25%

水田

2.97

12%

その他

15.93

63%

茶畑 水田 その他

表1 流域ごとの土地利用面積 (km2 流域面積 茶畑面積 水田面積 上流域 9.94 4.22 0.12 中流域 9.47 1.94 2.20 下流域 5.93 0.26 0.62

(4)

を占める。そして,水田面積は2.97km2で全流域面積の 12%を占める。上流域面積のおよそ半分は茶畑が占め, 水田面積は11.74km2で1.2%を占める。中流域では茶畑 の面積比率は20.5%,水田の面積比率が 23.3%になる。 下流域では水田が茶畑の約2倍の面積に増加する。 図4は2010年から2016年にかけての6年間にわたる湯 日川流域における茶畑の変遷を示す。2010 年の衛星写真 から抽出した湯日川流域の茶畑面積は約6.2km2であっ たが,2016年には5.4km2に減少し,6年間で流域内の茶 畑の面積は約13%減少した。減少した原因は 2010 年以 降,流域内に建設された静岡空港の影響と考えられる。 4-2 水質分布 図5 と図 6 にそれぞれ湯日川流域の地点ごとの電気伝 導率(EC)およびpHの値と測定結果の平均値からの季 節変動幅をエラーバーで表示す。湯日川上流域(地点1 ∼地点3)の電気伝導率は 350µS/cm ∼ 400µS/cm の電 気伝導率を示した。pH の値は最上流の地点 1 が 4.71 ∼ 5.49の酸性を示した。中流域(地点4 ∼地点8)の電気伝 導率は150µS/cm ∼ 380µS/cm 程度であり,下流ほど電 気伝導率が低下する傾向がある。pH は上流のやや強い 酸性からpH8.5 ∼ 9.8 程度のアルカリ性を示した。下流 域(地点9 ∼地点12)の水の電気伝導率は150µS/cm ∼ 図4 湯日川流域内における年茶畑の変遷 (最下段の図は減少した茶畑面積)

水田

減少した茶畑

茶畑

2010 年 Landsat/TM 画像

静岡空港建設前

静岡空港建設後

静岡空港

2016 年 Landsat/TM 画像

(5)

認されなかった。 主要溶存イオンの濃度変化をヘキサダイアグラムで表 す(図7)。全体的に上流域と中流域の水質分布は Ca-SO4 型 であり,下流域の水質分布は Ca-HCO3型 である。 また,全主要溶存成分濃度は地点6から地点7の間で約 5.0meq/L から約 2.9meq/L に約 41.4%低下した。特に HNO3-,SO42-,HCO3-,Mg2+の変化は著しい。どの季節で も最上流側のHCO3-は検出されず,NO3-,SO42-,Mg2+濃 度が高い値を示す。流下に伴って,HCO3-濃度が高くな る一方で,NO3-,SO42-,Mg2+濃度は低くなった。3回の調 180µS/cm程度であり,pHはほぼ中性を示し,中流域と 比べて電気伝導率の低下は確認されなかった。pH の値 は季節ごとに若干変化したが,明らかな季節変化は確認 されなかった。一方,電気伝導率については支流の地点 8のみに顕著な季節変化が観測された。地点8における7 月の電気伝導率は144.2µS/cm に対する 10 月の電気伝導 率は288µS/cmであり,約2倍の値の変化が観測された。 こ の 電 気 伝 導 率 の 変 化 は 地 点8 の 流 量 の 変 化(7 月 0.33m3/s,10月0.046m3/s)に起因したものと考えられる。 そのほかの地点においては電気伝導率の顕著な変化は確 図5 湯日川の地点ごとの電気伝導率(縦軸)と季節変動 図6 湯日川の地点ごとのpHと季節変動幅

E

C(μ

S

/

c

m)

流下距離(km)

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11 12

p

H

流下距離(km)

1

2

3

4

5

6

7

8

9 10 11 12

(6)

査結果も同様の傾向を示した。 硝酸態窒素の濃度変化を図8 に示す。上流域(地点 1, 2, 3)と中流域(地点 4)で NO3-N濃度は環境基準値の 10mg/Lを超過し,上流域(地点1, 2, 3)と中流域(地点4) のNO3-N の 平 均 濃 度 は 夏 季, 秋 季 そ れ ぞ れ 14.8, 14.3mg/Lであった。中流域(地点5, 6, 7, 8)と下流域(地 点9, 10, 11, 12)になると,NO3-N濃度は環境基準値を下 回り,それらの地点の平均NO3-N 濃度は夏季,秋季そ れぞれ4.2,5.6mg/L であった。一方,季節ごとの濃度 変化が観測され,4 月の硝酸態窒素濃度は比較的高い値 を示すとともに,地点8における10月の硝酸態窒素濃度 は7月の硝酸態窒素濃度を大きく上回った。 4-3 NO3-N 濃度と K+及びCl-濃度の関係 図9 と図 10 に NO3-N・K+濃度の相関関係とNO3-N・ Cl−濃度の関係をそれぞれ示す。湯日川のNO 3-N濃度と K+濃度,およびNO 3-N濃度とCl-濃度の間には正の相関 が確認された。先行研究により,河川中の硝酸態窒素濃 度が大きくなる原因は①施肥,②畜産廃棄物,③生活排 水の3つとされている(井上・小倉,2000)。調査地域に おいては,②の存在はこれまでに報告されていないこと から,この影響は考えにくい。①の影響の場合にNO3-N 濃度とK+濃度の間には正の相関が期待され,③の場合 にはNO3-N濃度とCl−濃度の間に正の相関があるとされ ている(井上・小倉,2000)。図11と図12は湯日川と井上・ 小倉(2000)の野辺山原における上記の関係を比較した 図7 各調査地点におけるヘキサダイアグラム(7月) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 図8 湯日川の流下に伴う硝酸態窒素濃度変化分布

1

2

3

4

5

6

7

8

9 10

11

12

(7)

4-4 窒素安定同位体比(δ15N) 図13 に 4 月と 7 月の試料を用いて測定した窒素安定同 位体比の値を示す。4月のδ15Nの値は5.44 ∼7.354‰,7 月のδ15N は 5.59 ∼ 8.04 ‰をであった。上流域は軽い同 位体比を示し,平均値は4 月が 6.25 ‰,7 月は 5.99 ‰で あった。流動に伴って同位体比が徐々に重くなり,中流 域の平均値は4 月が 6.19 ‰,7 月は 6.62 ‰であった。下 流域の平均値は4月が7.23‰で7月は7.62‰であった。 ものである。湯日川と野辺山原地域におけるNO3-N・K +濃度の相関係数はそれぞれ0.8643と0.8807であるため, 窒素負荷は同様に施肥由来を示唆したが,生活排水の影 響の度合いについては,図12 の示すように湯日川流域 のNO3-N 濃度と Cl − 濃度の相関係数は0.674 に対して, 野辺山原地域の相関係数が0.2468である。従って,湯日 川流域は生活排水の窒素負荷の影響が先行研究(井上・ 小倉,2000)の研究地域より大きいといえる。 図9 NO3-N濃度とK+濃度の関係 図10 NO3-N濃度とCl−濃度の関係

(8)

5.考察 5-1 電気伝導率と pH 茶畑が多く分布する上流域の水質は電気伝導率が高く (351 ∼ 391µS/cm),pH が酸性(4.79 ∼ 6.55)である。 また,流下に伴って,下流域の電気伝導率が低くなり (168 ∼189µS/cm),pHが中性(7.14 ∼7.99)に変化し, NO3-,SO42 −,Mg2+濃度が低下した。これらの変化は茶 栽培によく使用される(NH4)2SO4のような窒素肥料の 影響によるものと考えられる。 即ち,下の式(1)のように(NH4)2SO4の分解により, NO3-,H+とSO42 −が放出され,これによりpH が下がり, 電気伝導率が上昇する。

(NH4)2SO4+4O2 → 2NO3-+4H++2H2O+SO42− (1) 図8 に示すようにNO3-の放出によって,上流域の硝酸 態窒素濃度が環境基準値を上回り,硝酸態窒素が過剰な 環境が認められた。式(2)は茶栽培に使う中和剤炭酸 苦土石灰の反応式である。 2H++(Ca,Mg)CO 3 → CO2+(Ca2+,Mg2+)+H2O (2) 7 月の調査中に中流域において中和剤の使用を確認し た。下流域及び中流域のpH は弱アルカリ性(地点 4: 9.65)からほぼ中性(地点12:7.29)を示す。この原因は 式(2)の反応によりH+CO 32-中の酸素と結合し水にな る。図5 に示すように,支流の地点 8 は季節的な変化が 観測されたがそれ以外の調査地点における電気伝導率は 図11 NO3-N濃度K+濃度の関係 図12 NO3-N濃度とCl−濃度の関係

(9)

にプロットされることから上流と下流の窒素負荷源が異 なることが考えられる。 一方,土地利用の観点から窒素の起源を推定するた め,流域ごとの種類別の土地利用面積と平均窒素安定同 位体比(δ15N)を求めた(図15)。その結果,茶畑の面積 と流域の平均δ15N 値の間に負の相関が確認されたが, 水田面積と流域平均δ15N 値の間には相関関係は確認さ れなかった。 したがって湯日川の窒素負荷源は,上流側は茶畑から の負荷で,中流域から下流域までは生活排水の負荷が考 えられる。 6.まとめ 図16 に湯日川流域の土地利用の形態の変化と水質変 化を表す模式図を示す。日本最大規模で茶栽培が盛んで ある静岡県牧之原台地地域において,減肥対策が進んで いる一方で,茶園から流出する硝酸態窒素濃度は環境基 準値を超過した。窒素の動態については,土地利用と流 量の変化によるものであると考えられる。すなわち,上 流域では茶畑が広がり,茶栽培の肥料として,主に硫安 が使われ,窒素汚染の主要因であると考えられる。また, 窒素安定同位体比については,茶畑面積とδ15N の間に 負の相関が認められたが,水田とδ15N の間には相関性 は確認されなかった。さらに,同位体比の値について三 村ほか(1999)の基準に従うと上流域における窒素の負 季節変化が観測されなかった。その原因は流量が大きく 低下したことによって,(7月0.33m3/s, 10月0.046m3/s) 溶存成分が濃縮し,電気伝導率が上昇すると推定する。 この流量の変化は支流の地点8周辺における季節的な放 流などが原因と考えられる。 5-2 窒素安定同位体 窒素供給源別の窒素安定同位体比については幾つかの レビューがあるが,降水で-8 ∼2‰,化学肥料で-7.4 ∼ 6.8‰,家畜ふん尿で10 ∼22‰,下水処理水で8 ∼15‰, 有機肥料で1 ‰以上,畑地土壌が 2 ∼ 8 ‰などの値がと りまとめられている(環境省水環境部地下水・地盤環境 室監修(2002),田瀬(1996)など)。三村ほか(1999)は, 地下水を採水した地域の土地利用と水質組成などから, 硝酸性窒素濃度が20mg/L,窒素安定同位体比が+ 6 ‰ を境界として,汚染原因をそれぞれ し尿・生活排水系:NO3-N <20mg/L,δ15N >6‰ 自然・無機肥料系:NO3-N<20mg/L, δ15N<6‰ 家畜糞尿系:NO3-N >20mg/L,δ15N> 6‰ と分類できると報告している(三村ほか1999)。 湯日川の試料水の4月のδ15Nの値は5.44 ∼7.354で,7 月のδ15N の値は 5.59 ∼ 8.04 であった。湯日川流域の土 地利用状況と考え併せ,これらの範囲に収束する窒素同 位体比は肥料または生活排水由来の窒素負荷が考えられ る(三村ほか1999)。図 14 に硝酸態窒素濃度と窒素安定 同位体比の関係を示した。上流域と下流域は異なる領域 図13 各地点の窒素安定同位体比の変化

(10)

謝辞 本研究を進めるにあたり,実験分析の協力を頂いた生物資 源科学部地域環境保全学研究室の對馬孝治専任講師,調査や 分析に協力頂いた加島拓実氏をはじめの同級生の皆様に感謝 致します。 荷は茶畑の施肥の由来であり,下流域の窒素負荷は生活 排水由来と考えられる。 また,中流域から下流域における窒素の起源に関して は,この流域に広がる水田による窒素の希釈効果などが 考えられる。 図14 NO3-N濃度とδ15Nの関係 図15 流域平均窒素安定同位体比と土地利用面積の関係 4 4 4 4..55 5 5 5 5..55 6 6 6 6..55 7 7 7 7..55 8 8 8 8..55 0 0..0000 22..0000 44..0000 66..0000 88..0000 1100..0000 1122..0000 1144..0000 1166..0000 1188..0000

窒窒

素素

安安

定定同

位位体

体比

((‰‰

))

N

NO

O

33

-

-N

N濃

濃度

度(

(m

mg

g/

/L

L)

)

7月上流域

7月中流域

7月下流域

4月上流域

4月中流域

4月下流域

(11)

井上千晶,小倉紀雄(2000):大規模農業地域における土地利 用と地下水水質の関係−長野県野辺山原を研究対象地域 として−.日本水文科学会誌,30.(4),pp.149 ∼162 環境省水環境部地下水・地盤環境室監修(2002):硝酸性窒 素による地下水汚染対策の手引,公害研究対策センター, 359p. 久保田富次郎,増本隆夫,松田 周,古江広治(2005):水 質環境と水循環からみた笠野原台地の水文地質特性.農 業工学研究所技報 No.203,pp.81 ∼100 田瀬則雄(1996):地下水中の硝酸性窒素濃度と窒素安定同 位体存在比−汚染源の同定は可能か−,水,38,(8), pp70 ∼78 野中邦彦(2005):茶園における窒素環境負荷とその低減の ための施肥技術,茶研報 No.100,pp.29 ∼41 引用文献 三村春雄,福井 博,飯田和義,宮下雄次,石坂信之,横山 尚秀(1999):硝酸性窒素による地下水汚染対策検討調 査−神奈川県大和市の汚染機構解明調査−神奈川県環境 科学センター研究報告,第22,pp.26 ∼32 山崎秀太朗,中山大地,松山 洋(2011):施肥に伴う硝酸 態窒素の河川流出に関する実証的研究,水門・水資源学 会誌,24(4),pp.202 ∼215 森田明雄,田中辰明,原野雅子,横田博実(2004):水耕栽 培条件下でのチャにおけるアミノ酸吸収,日本土壌肥料 学雑誌,75,pp.679 ∼684 村松敬一郎(編)(1991):茶の科学,pp.107 ∼115 図16 湯日川流域の土地利用及び水質変化模式図

(12)

参照

関連したドキュメント

(Construction of the strand of in- variants through enlargements (modifications ) of an idealistic filtration, and without using restriction to a hypersurface of maximal contact.) At

It is suggested by our method that most of the quadratic algebras for all St¨ ackel equivalence classes of 3D second order quantum superintegrable systems on conformally flat

[11] Karsai J., On the asymptotic behaviour of solution of second order linear differential equations with small damping, Acta Math. 61

This paper develops a recursion formula for the conditional moments of the area under the absolute value of Brownian bridge given the local time at 0.. The method of power series

Related to this, we examine the modular theory for positive projections from a von Neumann algebra onto a Jordan image of another von Neumann alge- bra, and use such projections

Answering a question of de la Harpe and Bridson in the Kourovka Notebook, we build the explicit embeddings of the additive group of rational numbers Q in a finitely generated group

Then it follows immediately from a suitable version of “Hensel’s Lemma” [cf., e.g., the argument of [4], Lemma 2.1] that S may be obtained, as the notation suggests, as the m A

In our previous paper [Ban1], we explicitly calculated the p-adic polylogarithm sheaf on the projective line minus three points, and calculated its specializa- tions to the d-th