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1. はじめに

2001年9月11日に米国で発生した同時多 発テロを契機として、IMO(国際海事機関) では港湾施設と船舶の保安対策を新たに盛り 込むため、SOLAS(海上人命安全)条約を 改正し、2004年7月に発効した。 このような背景から、2007年2月タイの バンコクで開催された「日ASEAN交通大臣 会合」にて、日本及びASEAN域内の港湾保 安対策の強化を目的とした「日ASEAN港湾 保安向上行動計画」が承認された。この計画 は、日ASEAN交通連携プロジェクトの一つ である「日ASEAN海事セキュリティプログ ラム」の一環として、ASEAN地域を対象に より効率的かつ効果的に地域全体の港湾保安レベル を向上させるものとなっている。 この計画をうけて、我が国と社会的・経済的に関係 の深いASEAN諸国の港湾保安対策の向上を目的と して、港湾保安共同訓練を2008年11月にベトナム (ハイフォン港)にて、国土交通省港湾局のご指導の もと実施したものを報告する。

2. 概 要

これまで、第1回港湾保安訓練を2007年2月(イ ンドネシア/ジャカルタ)、第2回港湾保安訓練を 2008年1月(フィリピン/マニラ)に実施しており、 今回の訓練は、「第3回日ASEAN港湾保安共同訓練」 として、2008年11月5日、日本時間12:00(ベト ナム時間午前10:00)より実施した。 本訓練でのシナリオは、国際的なテロリストにより 大量破壊兵器を詰められたコンテナを積んだ船がア セアン地域に向かったということを想定して、共同 訓練を実施した。 港湾保安訓練実施状況

3. 訓練の目的

日本およびASEAN諸国の港湾保安対策強化を目 的とした。 ハイフォン ヤンゴン バンコク レムチャバン シハヌークビル シンガポール コタキナバル ラブアン ムアラ ミリ シブ クチン マニラ サンダカン ラハダトゥ タワウ タンジュンプリオク 図 1 AESAN 諸国位置図

第 3 回 ASEAN 港湾保安共同訓練の実施

( ベトナム ハイフォン港)

山﨑 剛

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OCDI QUARTERLY 77

4. 訓練体制

1) 参加国 訓練に参加した国及び港は、ASEAN諸国9ヵ国 及び日本の計10ヵ国、19港である。図1に位置図、 表1に参加港を示す。 2) ベトナム国の訓練参加機関 ・ VINAMARINE

Maritime Administration of Hai Phong ・ Port of Hai Phong

Customs of Hai Phong Maritime police

Anti-terrorism Department Viet Nam MRCC

・ Immigration of Hai Phong ・ Military Force

Public Secutity Department of Hai Phong 3) 連絡体制

訓練の連絡体制は、ベトナム・ハイフォン港に Overall Exercise Coordinatorと称する総括調整者 (国土交通省職員)が滞在し、想定した訓練シナリ オに基づき、港湾保安に係る情報を各国の指定当 局者にメール、FAXで伝達する。それを受けた各 国指定当局の訓練指示者は、港湾保安委員会に伝 達する。それを判断した港湾保安委員会は、管轄 表 1 参加国・参加港 Country Port Brunei Muara Cambodia Sihanoukville

Indonesia Tanjung Priok

Japan Nagoya Yokkaichi Malaysia Kuching Sibu Miri Labuan Kota Kinabalu Sandakan Lahad Datu Tawau Myanmar Yangon Philippines Manila Singapore Singapore Vietnam (DA) VINAMARINE Hanoi Country A Exercise director (Designated Authority (DA)) Overall Exercise Coodinator

Country B, C, D.... VINAMARINE Haiphong Haiphong Port Company Chua Ve terminal Port Security Committee(PSC) Port Security Officer(PSC) Port Facility Security Officer 下の港湾保安官に伝達する。港湾保安職員は、港 湾施設職員に連絡することになる。 連絡系統図を図2に示す。

5. 訓練内容

1) 訓練概要 訓練は、総括訓練調整者よりASEAN各国へ刻々 とテロ情報などの港湾保安に係る情報(表2参照) をFAX及びメールで伝達し、その情報を受けた各 国の指定当局が適切な判断を行えるか、あるいは 指定当局から情報を受けた各港が各港湾施設保安 計画(埠頭保安規定)などに基づき、適切な行動 を実施できるかなどを試すものである。 今回の訓練では、過去2回の共同訓練で試され た情報指示の伝達、保安レベルの変更に関する判 断のほか、保安宣言(船舶と港湾施設との間で交 わされる保安措置を規定する協定)の完成が求め られる訓練シナリオとなっている。表2で示した 各国共通の訓練シナリオ以外に各国が自国内のみ の訓練用に独自シナリオを付け加えて良いことと しており、ベトナムでは表3に示す情報を総括訓 練調整者からベトナム指定局に伝達し、適切な行 動を実施できるかを試した。 訓練には、シンガポール国から保安の専門コンサ

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ルタントを招聘し、訓練の実施要領や伝達内容の 助言を受けた。

6. 実施訓練の評価

現場での訓練を実施した翌日、11月6日同ハイフォ ン市内で「評価会」を実施した。評価会には、現場 の訓練に参加した方に出席をしていただき、各機関 から今回の反省点や今後の改善点等について活発な 意見交換がなされた。主な評価内容を以下に示す。 ・今回、訓練の実施ができ、成功したことに感謝 する。セキュリティ体制について、国々の違い を感じる。ベトナム国は、開発途上であるため、 日本からの指導を真摯に受け止め、改善に努め る。 ・ハイフォン港は、国際港としての開発が進んで いる。今後、保安体制についても同様に改善し ていく。 ・各国の訓練計画の立案能力を高めるためには、 事前に用意している各国共通の訓練シナリオの 伝達情報を少なくし、各国の現場で議論して判 断する各国の独自シナリオの伝達情報の数を増 やした方がよい。 ASEAN諸国及び日本における全体的な評価会は、 2009年2月に名古屋で予定されている「第6回港湾 保安専門家会合」で実施される予定である。この会 合では、ASEAN各国の代表者に参加してもらい、今 回の訓練結果等を含めた報告を受ける予定である。

7. 状況写真

港湾保安訓練状況を巻末に示す。 4 Nov 14:00 通信テスト(メール、FAX) 5 Nov 10:00 訓練開始 5 Nov 10:30 国際的なテロリストグループがアセアン 諸国及び日本の海事経済を崩壊させるた め、 襲 撃 し よ う と し て い る と の 情 報 を ASEAN 各国が受けた。 5 Nov 11:00 各 国 の 情 報 機 関 の 協 力 の 結 果、ASEAN 諸 国と日本には以下のような警告がされた。 「国際的なテロリストグループが大量破壊 兵器を仕掛けたコンテナを積んだ船が、 ASEAN アセアン諸国に向かった。」 5 Nov 12:00 ASEAN 諸国と日本の各港において、各港よ り保安レベルの高い船舶が入港しようと している。状況にある。船長(もしくは 船舶保安職員)は、港湾施設保安職員に 対して、保安宣言の完成を要求している。 5 Nov 12:30 各国の情報機関からの最新の情報による と、何隻かの疑わしいコンテナ船が一週 間前にすでにハイフォン港に到着してお り、これらの船舶は、テロ攻撃の準備の ための大量破壊兵器を運んでいる疑いが ある。 5 Nov 13:00 記録から、10 隻のコンテナ船がこの 1 週 間にハイフォン港に寄港していた。うち 9 隻のコンテナ船は荷降ろしを行い、すで にハイフォン港を出港している。残りの コンテナは、チュアベターミナルに接岸 して、荷降ろし中である。ベトナムの指 定当局は荷下ろしを止めるように指示し た。チュアベターミナルのオペレーター によると、疑わしいコンテナ船により運 ばれた 150 個のコンテナが降ろされ、ま だコンテナヤードにある。 5 Nov 14:00 降ろされたすべてのコンテナは、次の手 段により確認された。--- コンテナの 開梱や X 線検査により、2 個コンテナから 次の品目が発見され、押収された。 ・硝酸アンモニウム 100kg ・別々に箱に入れたれた置かれた化学的薬 品、導火線、点火装置 ・小麦粉と申告された白い粉 爆弾・生化学兵器などの大量破壊兵器と して使われる可能性大。 5 Nov 15:30 訓練終了 5 Nov 12:15 シティー列車ターミナルで 30 分前に大き な爆発が発生し、少なくとも 20 名が死亡 したと警察が発表した。新聞社に送られ た手記で、黒の 11 月勇士として知られる 革命グループにより実行されたと明らか にされた。

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写真 3 情報処理体制 写真 6 保安宣言(船舶-港湾間の保安対策の協定) 写真 2 総括訓練調整者による情報送受信 写真 4 ハイフォン港コンテナヤード 写真 1 事前会議 写真 5 不審者追跡

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中部地方整備局(名古屋港、四日市港)、ベトナム国 Vinamarineの皆様の協力のもと、シナリオの検討、 現地での実施等を無事進められたことに深く感謝す るものである。 なお、本訓練及び2008年2月に予定されている 「第6回港湾保安専門家会合」は、海洋政策研究財団 (OPRF)の平成20年度海外交流基金事業の一環とし て実施されている。 (やまさき つよし 第二調査部主任研究員) 写真 8 参加者集合写真 写真 7 評 価 会

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