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Microsoft Word - 102第Ⅱ章第1節.docx

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- 40 - 【悪化した企業収益が雇用と所得に与える影響】 国内の消費は、政府の景気対策の効果もあって、このところ持ち直しの動きが続いている が、雇用・所得環境は依然として厳しい情勢が続いている。 以下では、昨年末以降の景気後退による製造業を中心とした企業収益の急激な悪化と その後の回復過程において、国内の賃金や雇用がどのような影響を受けているのかを分析 し、国内の消費につながる雇用及び所得が依然として厳しい状況にあることを示す。 (1) 製造業で急速に悪化する企業収益 我が国では、昨年秋のリーマンショック以降の急速な景気悪化による売上高の急減を受 けて、製造業を中心に収益が大幅に悪化している。大企業製造業注)では、昨年秋から21 年1~3月期までの大幅な売上高の落ち込みに、人件費等固定費の削減が追いつかなか ったため(損益分岐点の下落が売上高の下落に追いつかず)、20年10~12月期以降損 益分岐点売上高比率は 100%を超え、企業収益は赤字となった。同様に、中小製造業に おいても、昨年秋以降の売上高の急激な減少と同時に損益分岐点を引き下げたものの、 売上高の減少ペースがあまりにも急激だったため、21年1~3月期には損益分岐点売上 高比率は 100%を超え、企業収益は赤字となっている(第Ⅱ-1-13図)。 足下の21年4~6月期は、大企業及び中小企業ともに、売上高が回復に転じる兆しを 見せているが、売上高の回復が低い水準にとどまっているため損益分岐点売上高比率は 依然として 100%前後の高い水準にあり、企業収益は極めて厳しい状況が続いている。 他方、非製造業は、製造業とは大きく異なった状況にある。景気悪化の影響を受けて、 昨年秋以降非製造業においても大企業を中心に売上高の急激な落ち込みがみられるが、 損益分岐点を引き下げることによって収益の確保が図られており、大企業及び中小企業と もに、損益分岐点売上高比率は目立った上昇を見せていない。 こうした製造業及び非製造業の間で収益状況が大きく異なる背景には、今回の景気悪 化が主に輸出数量の急激な後退を直接の要因とするものであったことが挙げられる。 注) ここではデータの制約から、製造業、非製造業ともに、大企業は資本金 1 億円以上、中小企業は資本金 1 億円 未満の企業としている。

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- 41 - 第Ⅱ-1-13図 産業別、企業規模別にみた損益分岐点売上高比率の推移 (注) 1.損益分岐点=固定費/限界利益率 固定費=人件費+減価償却費+純営業外費用+販管費×0.7 限界利益率=1-変動費比率=1-(売上高―固定費-経常利益)/売上高 2.製造業、非製造業とも、大企業は資本金 1 億円以上、中小企業は資本金 1 億円未満とした。 資料: 「法人企業統計」(財務省) (2) 製造業で急上昇する単位労働コスト 売上高の急速な減少に対応して、多くの製造業では給与カットや人員削減等のコスト削減 努力が行われているが、急速な売上高の減少にこれらコスト削減が追いつけない結果、20年 10~12月期以降、製造業の単位労働コストは大幅な上昇を続けている(第Ⅱ-1-14図)。 単位労働コストとは、物やサービスを1単位生み出すのに必要な労働費用であり、人件費 (名目雇用者報酬)を実質付加価値額で除すことで得られる。単位労働コストが上昇するとき、 一般に、企業はそれを販売価格に転嫁しないと収益が悪化してしまう。 70 80 90 100 110 120 130 140 30 40 50 60 70 80 90 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 年 損益分岐点売上高比率(目盛り右) 売上高 損益分岐点 大企業 製造業 (季調済、兆円) (季調済、%) 70 80 90 100 110 120 130 140 45 55 65 75 85 95 105 115 125 135 145 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 年 大企業 非製造業 (季調済、兆円) (季調済、%) 70 80 90 100 110 120 130 140 20 25 30 35 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 年 中小企業 製造業 (季調済、%) (季調済、兆円) 70 80 90 100 110 120 130 140 0 20 40 60 80 100 120 140 160 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 年 中小企業 非製造業 (季調済、兆円) (季調済、%)

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- 42 - また、単位労働コスト(人件費/実質付加価値額)の分子と分母を雇用者数で除せば賃金 と労働生産性の比率となり、単位労働コストの変動が賃金上昇率と生産性上昇率の差で説明 できることがわかる(付注1参照)。 製造業の単位労働コストは、21年1~3月期には前年比 34.8%という記録的な上昇を示し た。足下の21年4~6月期には前年比 26.4%とやや上昇率は鈍化したものの引き続き高い 伸びが続いている。 他方、非製造業をみると、製造業とは対照的に、単位労働コストの上昇は21年1~3月期 が前年比 0.8%、4~6月期が同 4.1%とわずかなものにとどまっている。 第Ⅱ-1-14図 単位労働コストの動向(製造業、非製造業) (注) 単位労働コスト=人件費/実質粗付加価値額。ただし、基準年の品目ウェイトの算定に使用する付加価 値額について、鉱工業指数は減価償却費を除いた付加価値額を、第3次産業活動指数では減価償却 費を含めた粗付加価値額を使用していることに留意。 資料: 「法人企業統計」(財務省)、「鉱工業指数」、「第3次産業活動指数」 実際、単位労働コストの変動(前年比)を賃金上昇率と労働生産性上昇率に分解してみる と、製造業では20年後半以降、売上の急減を受けて賃金の削減が行われているものの、労 働生産性が賃金減少率を上回って大幅に低下していることから単位労働コストの急上昇を 招いていることがわかる(第Ⅱ-1-15図)。他方、非製造業では、賃金は同様に下落して いるものの、労働生産性の低下がそれほど大きくなかったことから、単位労働コストの上昇が 製造業に比べ低く抑えられていることがわかる(第Ⅱ-1-16図)。 34.8 26.4 0.8 4.1 ▲ 20 ▲ 10 0 10 20 30 40 63 元 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21年 製造業 非製造業 (前年比、%)

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- 43 - 第Ⅱ-1-15図 単位労働コストの変動要因分解(製造業) (注) 単位労働コストの分解については付注1を参照。 資料: 「法人企業統計」(財務省)、「労働力調査」(総務省)、「鉱工業指数」 34.8 26.4 ▲40 ▲30 ▲20 ▲10 0 10 20 30 40 61 62 63 元 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21年 賃金上昇率 労働生産性上昇率(逆符号) 単位労働コスト (前年比、%、%ポイント)

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- 44 - 第Ⅱ-1-16図 単位労働コストの変動要因分解(非製造業) (注) 単位労働コストの分解については付注1を参照。 資料: 「法人企業統計」(財務省)、「労働力調査」(総務省)、「第3次産業活動指数」 なお、売上高の増減は、稼働率の増減を通じて、産業の労働生産性に大きな影響を与え る(付注2参照)。第Ⅱ-1-17図は、製造業及び非製造業について、稼働率と労働生産性 の関係を示したものであるが、これをみると、両者は極めて相似した動きを示しており、短期 的な労働生産性の変動がおもに稼働率の変動によるものであることがわかる。そのうえで、 過去からの稼働率の変動幅をみると、製造業では毎期の変動が大きい一方、非製造業では 変動は相対的に小さいことがみてとれる。このようなことから、非製造業は、製造業に比べ景 気循環に対する感応度が低いと言える。 4.1 ▲ 40 ▲ 30 ▲ 20 ▲ 10 0 10 20 30 40 元 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21年 賃金上昇率 労働生産性上昇率(逆符号) 単位労働コスト (前年比、%、%ポイント)

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- 45 - 第Ⅱ-1-17図 労働生産性と稼働率 (注)製造工業の稼働率は、鉱工業生産指数の稼働率指数(原指数)を使用した。非製造業の稼働率は、第 3 次産 業活動指数(原指数)を非製造業の資本ストック(取付けベース)で除したものから下方トレンドを除いたものを 使用した。 資料: 「資本ストック統計」(内閣府)、「鉱工業指数」、「第3次産業活動指数」 生産のグローバル化によって耐久消費財を中心に販売価格の急速な下落が中長期的に持 続するなかで(第Ⅱ-1-18図)、足下での世界的な消費需要の落ち込みは、我が国製造業 の国内での価格転嫁を一層困難なものとしている。 第Ⅱ-1-18図 消費者物価指数の推移 資料: 「消費者物価指数」(総務省) ▲ 50 ▲ 40 ▲ 30 ▲ 20 ▲ 10 0 10 20 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21年 労働生産性 稼働率指数 製造工業 (前年比、%) ▲ 50 ▲ 40 ▲ 30 ▲ 20 ▲ 10 0 10 20 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21年 労働生産性 稼働率指数 非製造業 (前年比、% ) 80 90 100 110 120 130 140 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21年 総合 サービス 耐久消費財 (平成17年=100)

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- 46 - 第Ⅱ-1-19図及び第Ⅱ-1-20図は、企業の価格転嫁の動向をみるために、製造業並 びに非製造業について単位販売価格の変動を単位労働コスト、単位非労働コスト(=資本コス ト)及び単位利益に分解したものである。 単位販売価格(名目粗付加価値額/実質粗付加価値額)とは、実質付加価値1単位あたり の採算で、産出価格とも呼ばれる。名目粗付加価値額は人件費、減価償却費、支払利息等及 び税引前利益の合計であるから、単位販売価格は、単位労働コスト(人件費/実質粗付加価 値額)、単位非労働コスト(資本コスト/実質粗付加価値額)及び単位利益(税引前利益/実質 粗付加価値額)の3つに分解できる。すなわち、単位販売価格=単位労働コスト+単位非労働 コスト(資本コスト)+単位利益となる(付注3参照) 注) コスト(単位労働コスト及び単位非労働コスト)の上昇局面であっても、コストの増加分を価格 に転嫁することができれば、単位利益はプラスを維持することができるが、コスト上昇分を価格 に転嫁できない場合、単位利益はマイナスとなる。 実際、製造業の単位利益の動きをみると、単位販売価格が大きく低下した19年から20年ま での間は、単位利益を大幅に減少させることで対応していたことがみてとれる。21年以降は、 単位販売価格は改善に転じたものの、単位労働コスト及び単位非労働コストが急増した結果、 単位利益は引き続き大きく減少している。販売価格の下落やコストの上昇に対して、価格転嫁 ではなく、利益の圧縮・削減で対応しなければならない我が国製造業の苦しい立場がみてとれ る。 他方、非製造業についてみてみると、製造業と同様、19年以降、単位販売価格が下落する なか、単位利益は減少しているが、減少幅は製造業に比べ小幅にとどまっており、足下での価 格転嫁は製造業ほど困難ではないことがみてとれる。 非製造業のこうした動きの背景には、「サービス」では、①供給(サービスの提供)と消費(サ ービスの受け取り)が「同時」かつ「相対」で行われる必要があることから、製造業とは異なり、グ ローバル化の影響を受けにくいこと、②家計支出の中で家賃や電力・ガス・水道など人件費と は関係なく価格が決定されている費目が比較的大きなウェイトを占めていること、などといった 非製造業としての特徴が挙げられる。 注) 実際の計算にあたっては、データの制約から、資本コストには減価償却費及び支払利息等の合計、税引前利 益には経常利益を使用した。

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- 47 - 第Ⅱ-1-19図 単位販売価格の変動要因分解(製造業) (注) 単位販売価格の分解については、付注1及び3を参照。 資料: 「鉱工業指数」、「法人企業統計」(財務省)、「労働力調査」(総務省) 第Ⅱ-1-20図 単位販売価格の変動要因分解(非製造業) (注) 単位販売価格の分解については、付注1及び3を参照。 資料: 「法人企業統計」(財務省)、「労働力調査」(総務省)、「第3次産業活動指数」 ▲ 0.3 ▲ 40 ▲ 30 ▲ 20 ▲ 10 0 10 20 30 40 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 元 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 年 単位利益 単位非労働コスト 単位労働コスト 単位販売価格 (前年比、%、%ポイント) ▲ 1.1 ▲ 40 ▲ 30 ▲ 20 ▲ 10 0 10 20 30 40 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 年 単位利益 単位非労働コスト 単位労働コスト 単位販売価格 (前年比、%、%ポイント)

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- 48 - (3) 雇用、賃金の動向 すでにみたように、製造業における単位労働コストは21年1~3月期にいったん大幅に上 昇した後、4~6月期には大きく伸びを鈍化させている。こうした製造業の動きを受けて、全産 業ベースでみた単位労働コストも4~6月期には上昇率が大きく鈍化しているが、失業率(完 全失業率)及び賃金(名目雇用者報酬)の悪化には依然として歯止めがかかっていない(第Ⅱ -1-21図)。単位労働コストの上昇分を価格転嫁などによって吸収することができずに収益 の急速な悪化に直面した企業は、人件費等コストの削減によって対応せざるを得ず、その場 合には、雇用・賃金情勢の一段の悪化は避けられなくなる。実際、単位労働コストの水準が足 下でも引き続き高水準にあることに鑑みれば、改善に転じた企業収益とは対照的に、雇用や 賃金の厳しさは今後もしばらくの間続くことが予想される。 第Ⅱ-1-21図 単位労働コストと雇用者報酬、失業率 (注)各データは平均値と標準偏差を用いて正規化してある。 資料: 「労働力調査」(総務省)、「国民経済計算」(内閣府) 以下では、製造業を中心に厳しい雇用環境が続くなか、リーマンショックの前後で、非製造 業を含めた我が国全体の雇用環境がどのように変化しているのかをみてみる。 第Ⅱ-1-22図は、リーマンショックの20年9月以降21年8月までの間の農林業を除く産 業別雇用者数の増減をみたものであるが、この間、製造業が▲93万人減少した一方で、非 製造業における雇用者増加数は、医療・福祉サービスを中心に計21万人にとどまっている。 7‐9月期 3.7σ ▲ 4 ▲ 3 ▲ 2 ▲ 1 0 1 2 3 4 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 年 名目雇用者報酬(前年比) 単位労働コスト(前年比) 完全失業率(前年差) (σ)

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- 49 - これは、非製造業では、医療・福祉サービスなどで雇用が大幅に増加する一方で、卸・小売 業(▲13万人)や職業紹介・労働者派遣業(▲13万人)、他に分類されないサービス業(▲1 9万人)などで雇用が大きく減少しているためである。こうして、短期的には、製造業での急激 な雇用喪失が、非製造業での雇用創出を大きく上回っていることがわかる。 しかしながら、リーマンショック以前の19年1月から21年8月までのより長期間での産業別 雇用者数(農林業を除く)の増減をみると(第Ⅱ-1-23図)、製造業(▲105万人)及び建設 業(▲22万人)が雇用を計127万人減少させた一方で、非製造業における雇用者数は医療・ 福祉サービスや宿泊業・飲食サービス業を中心に計133万人も増加している注) 第Ⅱ-1-22図 産業別・業種別雇用者数増減(20年 9 月→21年 8 月) 資料: 「労働力調査」(総務省) 注)同図では、この間、郵便局・協同組合の雇用が 19 万人減少する一方で、運輸業・郵便業における雇用が同数 増加しているが、これは、日本郵政公社が19年10月1日に民営・分社化されたことに伴い、産業分類間の移 動が行われたためであることに留意。 非農林業 ▲ 8 0 漁業 ▲ 2 鉱業 , 採 石業, 砂 利 採 取業 3 建設業 2 製造業 ▲ 9 3 非製造業 2 1 電気・ ガ ス・ 熱供 給・ 水道 業 8 情報通信業 ▲ 6 運輸業, 郵便業 1 3 卸売業 , 小売業 ▲ 1 3 金融業, 保険業 3 不動産業, 物 品賃貸業 ▲ 3 学術研 究, 専 門 ・ 技 術 サ ー ビ ス 業 5 宿泊業, 飲食サー ビ ス 業 4 生活関連サー ビ ス 業 , 娯楽業 4 教育, 学 習支援業 ▲ 6 医療, 福 祉 4 2 郵便局、 協同 組合 ▲ 1 サー ビ ス 業 ( 他に分類さ れ な い も の) -1 9 廃 棄 物処理業 ▲ 3 機械等修理業 2 職業紹介・ 労働者派遣 業 ▲ 1 3 そ の他の事業 サー ビ ス 業 ▲4 公務 ▲ 1 0 ▲ 120 ▲ 80 ▲ 40 0 40 80 (万人、20年9月→21年8月の増減)

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- 50 - 第Ⅱ-1-23図 産業別・業種別雇用者数増減(19年 1 月→21年 8 月) 資料: 「労働力調査」(総務省) さらに、第Ⅱ-1-24図は20年1月以降の産業別の雇用者数の増減(前年同月差)を示 したものであるが、これをみると、低迷を続けていた製造業雇用者数の伸びが21年3月以降 大幅な減少に転じている反面、非製造業の雇用はほぼ一貫して増加を続けている。そして、 21年3月以降製造業の雇用が大幅な減少に転じた後は、逆に非製造業は増加幅を拡大さ せており、製造業で失業した雇用者の一部が非製造業によって吸収されている実態がうかが える。 非農林業 5 漁業 3 鉱業, 採石業 , 砂 利 採取業 2 建設業 ▲ 2 2 製造業 ▲ 1 0 5 非製 造 業 1 3 3 電気 ・ ガ ス ・ 熱 供 給 ・水 道 業 ▲3 情報通信業 2 運輸業, 郵便業 1 9 卸売 業, 小売業 9 金融業, 保険業 1 0 不動 産業, 物品賃貸業 3 学 術 研 究 , 専 門・ 技術 サー ビ ス 業 ▲ 3 宿泊業, 飲食 サー ビ ス 業 2 9 生活関連サー ビ ス 業 , 娯 楽業 1 3 教育, 学 習支援 業 ▲ 1 3 医療 , 福 祉 7 2 郵便局、 協同組合 ▲ 1 9 サー ビ ス 業 ( 他に 分 類 さ れ な い も の ) 2 0 廃棄物処理業 ▲ 1 機械等修理業 8 職業 紹 介 ・ 労 働者 派 遣 業 ▲ 4 そ の他の事業 サ ー ビ ス 業 1 9 公務 ▲ 6 ▲ 120 ▲ 80 ▲ 40 0 40 80 120 160 (万人、19年1月→21年8月の増減)

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- 51 - 第Ⅱ-1-24図 産業別雇用者数増減 資料: 「労働力調査」(総務省) その一方で、完全失業者から非労働力(15歳以上人口から就業者及び完全失業者を除 いたもの)に移動した者の数はリーマンショックの20年秋以降急増している(第Ⅱ-1-25 図)。 一般に、景気後退期における失業者から非労働力への移動は、なかなか就職先が見つか らないことによる就業意欲の低下を反映したものとされるが、実際に、非労働力となった原因 を把握するためには、ストックとしての失業者数の増加による効果と、就業状態間のフローの 変化による効果(推移確率という。この場合は完全失業者が非労働力に移動する確率)注)の2 つに分解してみることが必要である。 注)就業状態間のフローとは、15 歳以上人口のうち、就業している者(就業者)、失業している者(完全失業者)及び それらのいずれにも属さない者(非労働力)の 3 つの状態間の人の移動を指す。 また、推移確率とは、ある状態の者が別の状態に移動する確率をいう。ここでは、前月に完全失業者で当月非 労働力となった者の数を前月の完全失業者数で割ったものを使用した。この数値が上昇していれば、何らかの 理由によって就業意欲が低下していることが疑われる。 非農林業 ▲ 83 建設業 ▲ 11 製造業 ▲ 106 非製造業 35 ▲ 120 ▲ 100 ▲ 80 ▲ 60 ▲ 40 ▲ 20 0 20 40 60 80 1 └ 2 3 4 5 6 20年 7 8 9 10 11 12 ┘ 1 └ 2 3 4 5 6 21年 7 8 9 10 11 12 ┘ (前年同月差、万人)

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- 52 - 第Ⅱ-1-25図 就業状態間のフロー(全産業ベース) (注) 中心化12か月移動平均 資料: 「労働力調査」(総務省) そこで、完全失業者が非労働力に移動する確率(推移確率)をみてみると(第Ⅱ-1-26 図)、リーマンショックの20年秋までは、推移確率の変動が、完全失業者から非労働力に移動 した者の数の変動と極めて近い動きを示している。これは、完全失業者の数が低位で推移す るなか、推移確率の変動が、そのまま完全失業者から非労働力に移動する者の数の変動に 表れていることを示している。 他方、20年秋以降は、推移確率が低下を続ける中で、完全失業者から非労働力に移動 する者の数が反転上昇しており、両者の相関は完全に失われている。 推移確率が低下しているにもかかわらず、非労働力に移動する者の数が20年秋以降増加 に転じているのは、推移確率の低下傾向を上回って新たに失業者となる者の数が急増してい るからにほかならない。 こうしたことから、完全失業者から非労働力に移動した者の数が増加に転じた理由は、完 全失業者が非労働力に移動する確率(割合)が高まったのではなく、完全失業者の数自体が 急増したことによるものであることがわかる。 そして、完全失業者が非労働力に移動する確率が低下していることは、雇用環境が厳しさ を増すなか、人々の求職意欲がますます高まっていることを表している。 26.5  27.0  27.5  28.0  28.5  29.0  29.5  30.0  30.5  31.0  └ 18 年 ┘└ 19 年 ┘└ 20 年 ┘└ 21 年 ┘ (万人) 完全失業者 → 非労働力

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- 53 - 第Ⅱ-1-26図 就業状態間のフローと推移確率(全産業ベース) (注)1.t 期に完全失業者であった者の数を Ut、非労働力であった者の数を Nt 、前月の状態X から当月の 状態Y へ移動した者の数をXYt とすれば、t-1 期に完全失業者であった者がt期に非労働力になる 確率(推移確率)untは、 unt=UNt /Ut-1 と表される。 2.前月完全失業者で、当月非労働力となった者の数は中心化12か月移動平均を施している。 資料: 「労働力調査」(総務省) (5) まとめ 以上のように、個人消費を取り巻く雇用・所得環境は依然厳しい状況にある。輸出の回復 や政府の景気対策等を背景に企業収益は底打ちから回復に向かっているが、生産活動は依 然として極めて低い水準にある。こうしたことから、企業は引き続き人件費等のコスト削減を進 めている。賃金や雇用の先行き不安が広がるなか、国内の消費にとっては、依然、厳しい環 境が続いている。 9% 10% 11% 12% 26  27  28  29  30  31  └ 18 年 ┘└ 19 年 ┘└ 20 年 ┘└ 21 年 ┘ 前月完全失業者で、当月非労働力となった者の数 推移確率(目盛り右) (万人)

完全失業者 → 非労働力

20年9月

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- 54 - 付注1 単位労働コスト、単位非労働コスト及び単位利益 単位労働コスト ULC 人件費 実質粗付加価値額 人件費 雇用者数 実質粗付加価値額 雇用者数 賃金 労働生産性 …………..(1) 単位非労働コスト UNLC 資本コスト 実質粗付加価値額 減価償却費 支払利息等 実質粗付加価値額 …………..(2) 単位利益 UP 実質粗付加価値額経常利益 …………..(3) 付注2 売上高、稼働率及び生産性の関係 売上高と付加価値(Y )は異なる概念であり、両者は明確に区別して考える必 要がある。 売上高と付加価値は必ずしも比例関係にはない(売上高が増えても、それを上 回って労働投入等生産要素の投入量が増加してしまえば、付加価値は逆に減少し てしまう)。売上高の増加が労働生産性の上昇をもたらすのは、短期的には稼働率 の上昇を通じてのみである。以下はその過程の概略である。 1) 売上高 → 稼働率の関係 企業が稼働率Zを上げるのは、売上(出荷及び在庫)を増加させるために、生 産を拡大するときである。 そして、生産を拡大させるとき、企業は、まず、既存設備の稼働率Zを上げる ことで対応する。 逆に、売上高の減少を受けて、生産を縮小させるとき、企業は、まず、稼働率 を下げることによって対応する。 よって、売上高 → 稼働率の関係が成立する。 2) 稼働率 → 労働生産性の関係 一般的なコブ・ダグラス型の生産関数に、明示的に稼働率Z を組み込んだ生産 関数を以下のように定義する。

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- 55 - Y = A・(ZK )αL (1-α ) , 0<α<1 ただし、 Y : 実質付加価値 A : 全要素生産性 L : 労働投入 Z : 稼働率 K : 資本ストック残高 α : 資本分配率 Yは一次同次であるから、 Y /L = A・(1/L・ZK )α・(1/LL )(1-α ) = A・( ZK/L )α が成立する。左辺のY /Lは労働生産性、右辺のZK /L は資本装備率を示す。 すなわち、労働生産性Y /Lは、全要素生産性A、稼働率Z 及び資本ストッ クK に比例し、労働投入L に反比例する。 ここで、A、K及びLが一定とすると、稼働率Zの上昇(低下)は、左辺の 増大(減少)、すなわち、労働生産性の上昇(低下)をもたらす。 3)結論 以上から、売上高の増加(減少) → 稼働率の上昇(低下) → 労働生産性 上昇(低下) という関係が成立する。 付注3 単位販売価格の変動要因分解 単位販売価格 名目粗付加価値額 実質粗付加価値額 …………..(1) 人件費 実質粗付加価値額 減価償却費 支払利息等 実質粗付加価値額 経常利益 実質粗付加価値額 …………..(2) 単位労働コスト 単位非労働コスト 単位利益 …………..(3)

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正社員 多様な正社員 契約社員 臨時的雇用者 パートタイマー 出向社員 派遣労働者

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4 アパレル 中国 NGO及び 労働組合 労働時間の長さ、賃金、作業場の環境に関して指摘あり 是正措置に合意. 5 鉄鋼 カナダ 労働組合

問 11.雇用されている会社から契約期間、労働時間、休日、賃金などの条件が示された