公 開講座 107
現代社 会学部公 開講座
「 臨 界 事 故 」
こ の 一・
年 を 検 証 す る
編集 小波秀雄
昨年 の プ レ 企 画 に 引 き 続 い て 、 日本 のエ ネ ル ギ ー 政 策 と 原 子 力 の 問 題 を 考 え る た め の公 開 講座 を 開 催 し た 。 講 演 者 に は 、 神 田啓 治 京 都 大 学 教 授 、伊 東 良徳 弁 護 士 、 飯 田哲 也 本 学 部 講 師 を迎 え 、 こ れ ら 三 名 の 立 場 の 異 な る 論 者 か ら の 話 題 と相 互 討 論 を 軸 に進 め ら れ た 。 取 り ま と め に は小 波 秀 雄 本 学 部 教授 が 当 た っ た。公 開講 座 プ ログ ラ 厶
開 催 日時 2000年1一 日(土) 場 所 京 都 女子 大学J校 舎525教 室 司 会 小波 秀 雄 挨 拶 柏 岡 富英(京 都 女 子 大 学 現 代 社 会 学 部 長) 講 演 小波 秀 雄(京 都 女 子 大 学 現 代 社 会 学 部 教 授) 神 田啓 治(京 都 大 学 原 子 炉 実 験 所 教 授) 伊 藤 良徳(弁 護 士 「JCO臨 界 事 故 総合 評 価 会 議 」委 員) 飯 田哲 也(京 都 女 子 大 学 現 代 社 会 学 部 講 師) 質疑応答108 公 開講座
講 演 の 概 要
「 こ の 一 年 を 振 り か え っ て 」小 波 秀 雄
最 初 に 、事 故 以 来 一 年 間 に わた る 内外 の動 き に つい て のま と め と 、そ の流 れ の分 析 がな され た 。 事 故 を 契 機 と して プ ル サ ー マ ル 計 画 や 新 た な 原 発 立地 が一 時 的 に停 滞 した こ と 、海 外 のエ ネ ル ギ ー政 策 に お ける 原 発 依 存 の 見 直 し な ど の流 れ が起 き て い る こ と 、 しか し 情 勢 は複 雑 で 流 動 的な 要 素 を 強 く含 んで い る こ とな ど が 、 報 道 や 関係 機 関 の発 表 をも と に説 明 され た 。「 臨界 事 故 と 日本 の エ ネ ル ギ ー 政 策 の 動 向 」
神 田 啓 治 日本 の 原 子 力 行 政 お よ び 関 係 法 案 の 立 案 に お い て 中心 的 な 役 割 を 果 た し て 来 た 講 演 者 に よ っ て 、 IAEAに お け る 緊 急 報 告 に対 す る 各 国の 反 応 の分 析 、政 府 と 自治 体 の 対 応 の 諸 問 題 、 現 在 進 め られ て い る 原 子 力 長 期 計 画 策 定会 議 の審 議 の 内容 と意 義 な ど が説 明さ れ た 。 さ ら に 、2000年 末 にハ ーグ で 開催 さ れ る 地 球 温 暖 化 国 際会 議 の見 通 し が述 べ られ 、原 子 力 エ ネ ル ギ ー を 、ナ シ ョ ナ ル セ キ ュ リテ ィ へ の役 割 も 考 慮 し た 当面 の 「つ な ぎ 」 と して 一 定期 間維 持 しつ つ 、長 期 的 に新 エ ネ ル ギ ー へ の転 換 を 図る こ と が 必 要 で あ る と い う 結 論 が 提 示 さ れ た。「 臨界 事 故 か ら住 民が 学 ん だ こ と 」
伊 藤 良 徳
市 民の 側 か らの 事 故 原 因 の 究 明 に 、弁 護 士 と して 関わ っ て き た 講 演 者 によ っ て 、政 府 の 事故 調 査 委 員 会 の 報 告 書 の 内容 、お よ び調 査 の 問題 点 が詳 しく 指 摘 され た 。 と り わ け 、投 入 され た ウラ ン の質 量 と い っ た 最 も 重 要 な デ ー タ が 、 多 く の証 拠 と の食 い違 い を無 視 して 薄 弱な 根 拠 によ っ て決 定 さ れた こ と 、本 来 の 行 程 が事 故 を 引き 起 こ し た 工程 へ 変 更さ れ た 動 機 が解 明 され て い な い こ と等 、真 相 解 明 よ りも 早期 打 ち き りを 目指 し た 調 査 の あ り 方 が批 判 され た 。 ま た 、JCOへ の 発 注 者 で あ る 動燃 か ら の 委員 の 派遣 に よ っ て 、動 燃 の 責 任 に関 わ る 記 述 が 削 除 させ られ た こ とも 紹 介 さ れ た 。 さ ら に 、JCOの 作 業 の認 可 申請 の審 査 に 当た っ た 安 全 委 員 会 の 問題 点 と し て 、 作 業 に お け る ヒ ュ ー マ ン フ ァ ク タ ー を 考 慮 して い な い 点 、事 故 想 定 の甘 さ 、事 故 に 際 して の委 員 の不 適 切 な 言 動 、 下部 行 政 機 関で あ る 科 学 技 術 庁 の認 可権 限 の逸 脱 、ず さ ん な 検 査 な ど 、数 多 く の指 摘 がな され 、そ れ ら を踏 ま え た 上 で 、再 発 防 止 が 困 難 で あ る こ と が訴 え られ た 。公 開講座 109