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中小・小規模企業者への省エネ指導モデル調査および実践指導セミナー

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中小・小規模企業者への省エネ指導モデル調査

調査報告書

平成 24 年 2 月 29 日

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目次 はじめに 1. 事業目的 1 2. 事業概要 1 3.対象事業所およびその特性 1 4.省エネ診断の結果 3 4-1省エネ項目 3 4-1-1 運用改善 3 (1)空調換気設備およびその関連 4 (2)照明設備 7 (3)OA機器 8 (4)その他 9 4-1-2 設備更新 11 (1)空調設備 12 (2)照明設備 14 (3)その他 15 4-2 省エネ対策 16 4-2-1 運用改善 16 (1)空調換気設備およびその関連 16 (2)照明設備 20 (3)その他 22 4-2-2 設備更新 24 (1)空調設備 24 (2)照明設備 25 5.省エネ診断結果の分析 28 5-1 省エネルギー効果の可能性 29 5-1-1 省エネ効果の可能性の分布 29 6.省エネ診断フォローアップ調査 31 7.まとめ 32

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はじめに 中小企業、特に小規模事業者の、省エネの取り組みが遅れており、その削減ポテ ンシャルを把握できていないのが実情である。したがって、小規模・中小企業者の 削減ポテンシャルを把握・分析し、取り組みを促し、温室効果ガスの削減につなげ ることを目指す必要がある。さらに、この取り組みは小規模・中小企業者にとって 経費削減・生産性向上にもつながり、企業の競争力の向上になる。また、小規模・ 中小企業者に必要な方策を導き出すためは、省エネの効果測定の経過観測が必要と 一般的には認識されている。 そこで、本調査事業では省エネ診断、および診断後の経過確認やフォローアップ (再指導・相談)を実施し、その実効性について考察した。 1. 事業目的 23区内に拠点をもつ小規模事業所のエネルギー使用の実態を把握するとともに、 小規模・中小企業者への省エネ診断・指導・結果調査を行うことで、省エネルギー や温室効果ガス削減ポテンシャルを把握・分析し、小規模・中小企業者の省エネを 促進するための検討資料や情報発信材料とする。 2. 事業概要 診断先の事業所へ半日程度の実地調査を行い、エネルギー使用の実態を調査し、 改善策の提案に必要な設備状況やヒアリングを行う。また、立ち会った事業所の責 任者に対し、省エネに関する簡単な助言を行う。 調査結果をレポートにまとめ、診断先事業者に提出する。 一定期間経過後に、診断した事業所の改善案の取組状況、エネルギー使用状況の 把握を行ない、さらなる省エネに向けた改善提案、助言を行う。 (1)診断先の事業所への実地調査 平成23年7月~9月 (2)診断先事業所の実施状況確認(フォローアップ) 平成24年1月~2月 3.対象事業所およびその特性 23区内に拠点を持つ事業者およびその工場など30ヶ所

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従業員数 人(有効回答 26) 延べ床面積 m2(有効回答 21) 従業員数 5人以下, 6 6~10人, 7 11~20人, 4 21~50人, 6 51人以上, 3 延床面積 100m2以下, 6 101~500m2, 10 501~1000m2, 1000m2以上, 5 業態(有効回答 30) 所有形態(有効回答 30) 業態 事務所, 22 工場, 8 所有形態 テナント, 11 自社, 19 年間電気料金 円(有効回答 28) 年間電気料金 60万円以下, 11 61~120万円, 8 121~240万円, 3 241~600万円, 3 601万円以上, 3 電気使用量は把握していなかった 事業者が多いため、電気使用料金 を指標とした。 2010 年 8 月から 2011 年 7 月までの 電気料金

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4.省エネ診断の結果 4-1省エネ項目 省エネ診断において、下記の省エネ項目の指摘を行ない、その件数を集計した。 4-1-1 運用改善 設 備 省 エ ネ 項 目 件数 空調・換気 設備および その関連 1. 空調機の設定温度の順守励行 23 2. 使用していないエリアの空調停止 9 3. 室内温度計の設置 4 4. 空調機運転始動と停止ルールの設定と励行、外気導入量の低減 3 5. 空気送風機、換気ファン等の運転停止、 3 6. サーキュレータによる気流の循環 3 7. 室外機への散水とフィン洗浄 2 8. サーバーの放出熱の室外放出 1 9. フィルター清掃 5 10. 空調機の時差立上げ 1 11. 室外機のよしず掛け 3 12. 室外機背面すき間を確保 2 照明設備 1. 天井照明の減灯 13 2. 天井照明の間引 16 3. 天井照明スイッチの対応を明示し不要時、不要部の消灯 17 4. ブラインドの採光調整 6 OA機器 1. プリンターなど電源OFF 12 2. コピー機夜間電源OFF 9 3. PC離席時電源OFF 11 その他 1. ウォーターサーバーの利用中止 3 2. 電気ポットの保温使用停止 1 3. 省エネに関するルールと役割分担達成状況の見える化の推進体制 3 4. エネルギー使用実績の見える化 4 5. 半自動梱包機の使用方法見直し 1 6. カーテンなどで室内のゾーン分け 3

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(1)空調換気設備およびその関連 (ア)省エネ項目の現状 省エネ診断で指摘した省エネ項目ごとの改善点をまとめた。 ※項目ごとに問題のある点を記載 1. 空調機の設定温度の順守励行 空調機のリモコン操作管理者を定めず、管理方法が明確になっていない。 2. 使用していないエリアの空調停止 通常業務に使用していない休憩室、書庫などの空調が使用されている。 3. 室内温度計の設置 1.の空調機の設定温度を順守する際、実際の室温を把握する必要がある。 暑い寒いは個人差があるため、室温を管理しながら空調の温度設定をするこ とで、快適な執務・作業環境を確保できる。 4. 空調機運転始動と停止ルールの設定と励行 始業時間に空調の電源を一斉に投入し、しかも共用部、会議室、食堂、休憩 室など空調が入りっぱなしになっている。 5. 空気送風機、換気ファン等の運転停止 換気扇を常時使用すると空調した冷気、暖気を屋外に排出してしまうことに なる。同時に外気が取り込まれ空調負荷が高くなる。 6. サーキュレータによる気流の循環 空調している室内は暖気は天井部に、冷気は床付近に溜りやすく、夏季は空 調に負荷がかかり、冬季は暖房効果が薄れる。 7. 室外機への散水とフィン洗浄 室外機の熱交換部のフィンにごみや汚れが付着したり、スケールと呼ばれる カルシウムが付着すると熱放出を妨げ、空調能力が低下する。またサビが発 生すると空調機の寿命が短くなる。 8. サーバーの放出熱の室外放出 サーバー、ルーターなどのIT機器は 24 時間稼働の上、熱放出が多い。機器 の熱が屋内に流れると、空調負荷を高めることになる。

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9. 空調機の時差立上げ 複数の空調機がある場合、冬場の始業時に空調を一斉に立ち上げすると、契 約電力を超えてしまうこともある。 10. 室外機のよしず掛け 室外機の設置場所および方向は、空調機の能力に影響を及ぼす。特に日中長 時間直射日光が当たるような場合は空調機の能力が大きく低下する。 11. フィルター清掃 室内機のフィルターが目詰まりすると、空気の吸い込み量が減り空調の効率 が悪くなったり、空調の温度センサーの反応に影響を与え、適正な温度によ る運転を妨げる。 12. 室外機背面のすき間を確保 室外機と壁面との間隔がないと、室外機の熱がこもり効率が落ちる。 (イ)改善を要する代表的な実例 1. 空調機の設定温度の設定と順守励行 (設定温度がまちまちにならないこと) 2. 使用していないエリアの空調停止 3. 室内温度計の設置 (空調のリモコンのそばに設置するの が望ましい) 4. 空調機運転始動と停止ルールの設定と 励行、外気導入量の低減 (全熱交換器を使用し換気しているので、 空調時は原則OFFにする)

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5. 空気送風機、換気ファン等の運転停 止、 6. サーキュレータによる気流の循環 (風が直接人に当たるため空調の吹き出 し口を塞いでいて、温度分布が偏ってしま っている) 7. 室外機への散水とフィン洗浄 (植物が絡まっている) 8. サーバーの放出熱の室外放出 (熱放出対策がされていない) 9. フィルター清掃 (カバーとフィルターの汚れに注意) 10. 空調機の時差立上げ (タイマー設定付きリモコンはタイマー を活用)

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12. 室外機のよしず掛け (直射日光が当たっている) 13. 室外機背面すき間を確保 (建物とのすき間が少ない上、隣接する構 造物が接近している。) (2)照明設備 (ア)省エネ項目の現状 省エネ診断で指摘した省エネ項目ごとの改善点をまとめた。 1. 天井照明の減灯 業務、作業に関わらない場所、外光が入る場所で点灯している。 2. 天井照明の間引き 日本工業規格 JIS で定められた照度基準より明るい場合が多い。 3. 天井照明スイッチのルールを明示し不要時、不要部の消灯 照明の点灯ルールが定まっていない。 4. ブラインドの採光調整 ブラインドで外光の取入れを妨げて、照明を点灯している。

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(イ)改善を要する代表的な事例 1. 天井照明の減灯 (室内に人がいない時にも点灯してい る) 2. 天井照明の間引き (すべて点灯していて、必要照度を超えて いる) 3. 天井照明スイッチのルールを明示し 不要時、不要部の消灯 4. ブラインドの採光調整 (日中もブラインドを閉めたままで外光 を取入れていない) (3)OA機器 (ア)省エネ項目の現状 省エネ診断で指摘した省エネ項目ごとの改善点をまとめた。 1. プリンターなどの電源OFF スリープ機能がない古いレーザープリンターの電源が常時入ったまま。 2. 複合機、コピー機の夜間の電源OFF 複合機はスリープ機能を活用していない。夜間も電源を入れたまま。 3. PC離席時電源OFF 長時間使用しない時もPCの画面がついたまま。

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(イ)改善を要する代表的な事例 1. プリンターなどの電源OFF (主電源がはいったまま) 2. 複合機、コピー機は夜間の電源OFF (スリープ機能を使用していない。) 3. PC離席時電源OFF (PCの電源入れ放しで離席、スタンバ イの設定もされていない) (4)その他 (ア)省エネ項目の現状 省エネ診断で指摘した省エネ項目ごとの改善点をまとめた。 1. ウォーターサーバーの利用中止 電気で常時冷却と加温している。 2. 電気ポットの保温使用停止 常時保温機能で電気を使用している。 3. 省エネに関するルール、役割分担、省エネの達成状況等の見える化体制、空調 等のスイッチの入れる時間、温度管理の担当が決まっていない。

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4. エネルギー使用実績の見える化 毎月の電気の使用量が従業員に共有できていない。 5. 常時使用しない各電力使用機器の電源管理 半自動梱包機のバンド接着用ヒーターが加熱状態であった。 6. カーテンなどで室内のゾーン分け 使用しない空間まで空調している。 (イ)改善を要する代表的な事例 1. ウォーターサーバーの利用中止 (常時加温と冷却している) 2. 電気ポットの保温使用停止 (常時加温している) 3. 省エネに関するルール、役割分担、省 エネの達成状況等の見える化体制をつく る (空調等のスイッチを入れる時間、温度管 理の担当が決まっていない。) 4. エネルギー使用実績の見える化 (デマンド警報(契約電力超過危険時の警 報)の活用)

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5. 常時使用しない各電力使用機器の電源 管理 (半自動梱包機が常時電源が入っている) 6. カーテンなどで室内のゾーン分け (使用時間帯の異なる更衣室と食堂が区 分されていない) 4-1-2 設備更新 設備更新の可能性について下記項目を指摘し、その件数をまとめた 設 備 省 エ ネ 項 目 件数 空調設備 1. 窓ガラス面に遮熱フィルム 2 2. ブランド、カーテンによる日よけ・遮熱 3 3. 室外機への日除け取り付け又は散水の励行 2 4. 高効率空調機への更新 9 5. 24 時間稼働サーバーの温度抑制排気ダクトの改善 2 照明設備 1. 非常口誘導灯のLED化 1 2. FLR 蛍光管を Hf 管又はインバータ安定器への更新 11 3. 個別スタンドを設置し天井灯の間引きを補完 13 4. 壁面塗装の白く塗り替え 2 1. 執務機能別・照度条件別電源系統のリニューアル 1 その他 2. 執務室間仕切りの設置 1 3. サーバーからの熱風の拡散防止(遮断板設置等) ※但し放熱の妨げにならないように 2

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(1)空調設備 (ア)省エネ項目の現状 省エネ診断で指摘した省エネ項目ごとの改善点をまとめた。 1. 窓ガラス面に遮熱フィルム 設置費用に対し、空調負荷を下げる効果判定がむずかしいので、直射日光の 遮光など室内環境の改善とあわせての検討が必要。 2. ブラインド、カーテンによる日よけ・遮熱 直射日光が差し込む窓にブラインド、遮光カーテンを設置する場合、遮熱、 保温に効果はあるが、室内が暗くなり照明を余計に使用することのないよう な運用が必要。点灯しないで済むような運用が必要。 3. 室外機に日除け取り付け又は散水の励行 日除けは空気の流れを阻害しない素材、取り付け方法を考慮する。 散水は、電力使用量のピークとなる時間帯を見計らって行うために、担当者 と散水のタイミングを決める必要がある。また、水道水の場合はカルキが含 まれ、フィンに付着するので、定期的な清掃が必要となる。井戸水は、金属 を含んでいることがあり、フィンを腐食させるおそれがあるため注意を要す る。 4. 高効率空調機への更新 15 年以上前の定速型空調機に比べ、最新のインバータ式空調機では 50%以上 の省エネが図れるものある。古い空調機は計画的に更新が必要。 5. 24 時間稼働サーバーの温度抑制排気ダクトの改善 サーバー、ルーター等のIT機器は 24 時間稼働で、熱放出が大きい。 執務室と同じ空間だと、夏季は夜間の内に室温が上がり、始業時の空調開始 時の負荷が高くなる。

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(イ)改善を要する代表的な事例 1. 窓ガラス面に遮熱フィルム (窓の形状が変則的でカーテンが設置で きないケース) 2. ブラインド、カーテンによる日よけ・ 遮熱 (南向き窓に直射日光が当たっている) 3. 室外機への日除け取り付け (南側に室外機が設置されている) 4. 高効率空調機への更新 (古くなった空調機は効率が落ちてい る) 5. 24 時間稼働サーバーからの排出熱の 排気の改善 (サーバーの熱がそのまま室内に放出さ れている)

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(2)照明設備 (ア)省エネ項目の現状 省エネ診断で指摘した省エネ項目ごとの改善点をまとめた。 1. 非常口誘導灯のLED化 非常口誘導灯は常時点灯しているため、LED化による省エネ効果が大きい。 2. FLR 蛍光管を Hf 管又はインバータ安定器への更新 高効率型蛍光灯や LED 交換は灯具の交換、配線工事が伴うため交換時期を見 計らって更新を行う。 3. 個別スタンドを設置し天井灯の間引きを補完 天井照明を減らす代わりに LED の卓上照明を使用する。 4. 壁面塗装の塗り替え 工場などで室内の壁面塗装を白く塗り変えると室内が明るくなる。 5. 執務機能別・照度条件別電源系統のリニューアル 照明機器の多くは、竣工時のままの配線となっている場合が多く、建物用途、 収容人員が大きく変わっている場合もある。照明器具の更新と合わせ、エリ アを分けた配線を検討する。 (イ)改善を要する代表的な事例 1. 非常口誘導灯のLED化 (蛍光灯(15W)を使用している) 2. FLR 蛍光管を Hf 管又はインバータ安定 器に更新 (FLR40 ワット蛍光灯を使用している)

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3.個別スタンドを設置し天井灯の間引き を補完 (天井からの照明のみで不要な部分も明 るくしている) 4. 壁面塗装を白く塗り替える (壁面が暗い色で照明) 5. 執務機能別・照度条件別電源系統のリ ニューアル (照明のスイッチが分かれていないた め、窓際の明るい場所も点灯している) (3)その他 (ア)省エネ項目の現状 省エネ診断で指摘した省エネ項目ごとの改善点をまとめた。 1. 執務室間仕切りの設置 同じ室内で使用頻度の異なる執務スペースと打合せスペースを共有している 場合、全体を空調するため無駄が出ている 2. サーバーからの熱風の拡散防止(遮断板設置等) サーバーは放出熱が多いためを執務スペースに設置すると、室温を上昇させ空調 の負荷が大きくなる。熱が室内に発散しない対策が必要。 ※但し放熱を妨げないように注意する

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1. 執務室間仕切りの設置 (間仕切りを外してしまっており、不在 エリアも空調されている) 2. サーバーからの熱風の拡散防止(遮断 板設置等) (サーバーからの熱が室内に発散してい る) 4-2 省エネ対策 省エネ診断でわかった問題点の解決策 4-2-1 運用改善 (1)空調換気設備およびその関連 1. 空調機の設定温度の設定と順守励行 空調機のリモコン操作管理者を定め、管理方法をリモコンのそばに掲示するなど して、従業員に周知する。 リモコンのそばに空調機の配置図を掲示 リモコンに設定温度を明示

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2.室内温度計の設置 空調機の設定温度と室温は一致しないため、業務に支障をきたさない温度は温 度計で管理する。 空調機のリモコンにそばに温度計を設置 執務場所の温度を測り過度な運転を防ぐ 3. 空調機の運転始動と停止ルールの設定と励行 始業、終業時の空調のON・OFFをルール化し、共用部、会議室、食堂、休 憩室など個別に管理する 入出退時空調機の管理を明記 4. 空気送風機、換気ファン等の運転停止 空調使用時、換気は建築基準で定められた CO2 濃度以下の場合は換気を停止し、 空調効率を上げる。 CO2 濃度計で計測し、1000ppm 以下であれば換気は不要。

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全熱交換器の停止 5. サーキュレータによる気流の循環 サーキュレータ、扇風機を使い気流を循環させ、室温を均等にする。 室内の温度分布を調べ、暖かい所から冷えた所へあるいはその逆に風を送ると 効果的である。 サーキュレータで空気を撹拌 冷気を部屋の奥に送る 6. 室外機への散水とフィン洗浄 室外機の熱交換部のフィンに散水すると冷房能力が上がる。特に夏季の日中は 効果があり、デマンド電力の抑制につながる。ただし、水道水に含まれるカル キがフィンに付着するため、定期的な清掃が必要になる。また井戸水は金属が 含まれているためフィンを腐食することがあるので注意を要する。

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手動で散水 7. 空調機の時差立上げ 複数の空調機がある場合、デマンド対策(一気に電力が上がらないように)と して、空調の起動はタイマー機能を使用し、始業時に一斉起動させず、段階的 な起動を行う。 リモコンのタイマー機能 8. 室外機のよしず掛け 室外機に直射日光が当たる場合、よしずや遮熱シートを掛けることで、冷房時 の能力が向上する。

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室外機に遮熱シートを掛け、さらに植物に よるカーテンも利用 (2)照明設備 1. 天井照明の減灯 業務、作業に関わらない場所、外光が入る場所はできる限りこまめに消す。 執務場所を中央に集め、窓際、入口側の 照明を消している プルスイッチ付き灯具で、必要な箇所の み点灯 2. 天井照明の間引き 日本工業規格 JIS で定められた照度基準より明るい場合が多い。事務所は 300~ 750 ルックスと定められている。

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不要箇所の蛍光灯の間引き 照度計による計測、基準内を確認

3. 天井照明スイッチの対応を明示し不要時、不要部の消灯 照明の点灯ルールを定める。

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4. ブラインドの採光調整 ブラインドを開け外光取り込む。 ブラインドカーテンを開け外光を取り込 み減灯している ブラインドの開閉で採光量を調節 (3)その他 1. ウォーターサーバー、電気ポットの利用中止 ウォーターサーバーは冷却と加温を同時にしているため、消費電力が大きい。 電気ポットも保温のため電気を多く使う。冷蔵庫、電気ケトルを利用する。 電子ケトル お湯が必要なときに必要な量を沸かす 3. 省エネに関するルールと役割分担達成状況の見える化の推進体制 照明、空調等のスイッチの入れる時間、担当を決める。

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運用方法の明示 4. エネルギー使用実績の見える化 毎月の電気の使用量を従業員に共有する。 節電行動計画作成と電力使用量のグラフ 電力使用量の実績グラフ 5 カーテンなどで室内のゾーン分け 使用しない空間をカーテンで仕切り、無駄な冷暖房をなくす。 作業場の間仕切りカーテン

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4-2-2 設備更新の事例 (1)空調設備 1. 窓ガラス面に遮熱フィルム 直射日光の遮光は室内環境の改善と空調負荷(冷房)を下げる効果があるが、冬 季は外光による温熱効果が減少し、暖房のエネルギー増になることもある。なお、 空調負荷(冷房)の低減効果は条件によって変わるため、見込んだ効果が出ない こともある。 遮熱フィルムの原理(参考) 3. 室外機への散水 デマンドコントローラーと連動させ電力使用量のピークとなる時間帯に散水する 装置の導入。水道水の場合はカルキが含まれ、フィンに付着するので、定期的な 清掃が必要となる。冬季は送水管が凍結する可能性もあり水抜きが必要。 自動散水装置

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4. 高効率空調機への更新 15 年前の定速型空調機に比べ、最新のインバータ式空調機では 50%近い省エネが 図れる。 空調機の性能・10 年前との比較(参考) 5. サーバー等の放出熱対策 サーバー、ルーターからの熱放出は大きいので、サーバー室に隔離または密閉 型サーバーラックに収納し、熱を屋外に放出あるいは専用の空調機で冷却する 等の対策をとる。 サーバールームの冷却 サーバーラッククーラー (2)照明設備 1. 非常口誘導灯のLED化 蛍光灯型に比べ1割程度の消費電力に抑えられる。

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LED誘導灯 蛍光灯型との比較 2. FLR 蛍光管を Hf 蛍光管又はインバータ安定器への更新 照明は、費用と削減される電力とを勘案しながら更新する。また点灯時間が長い箇 所の更新が有効である。 FLR40 蛍光管(40W)2 灯を 蛍光管 照明器具 安定器 電気工事 削減量 省エネタイプ(36W)に交換 交換 利用可 利用可 なし 8W Hf 蛍光管 2 灯に交換 交換 交換 交換 必要 約 22W Hf 蛍光管 1 灯反射板付に交換 交換 交換 交換 必要 約 40W インバータ安定器に交換 利用可 利用可 交換 必要 約 22W LED 交換 利用可 使用停止 必要 約 40W 高効率反射板付き 1 灯型 LED ベースライト

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【参考】蛍光灯と LED の比較表 Hf 形 LED 消費 電力 寿命 (時間) 参考価格 (円) 消費 電力 寿命 (時間) 参考価格 (円) FLR40W(36W) 32W 12,000 1500 22W 40,000 8,000~12,000 FLR110W(100W) 84W 12,000 3700 59W 40,000 21,000~25,000 Hf 形に交換する場合は灯具を交換する必要がある。LED に交換する場合は、灯具内の 配線変更工事が必要になる。消費電力は代表的な数値。 【参考】電球と蛍光灯、LED の比較表 電球形蛍光灯 LED 消費 電力 寿命 (時間) 参考価格 (円) 消費 電力 寿命 (時間) 参考価 格(円) 白熱球 40W 8W 13,000 400~800 7W 40,000 1,700 白熱球 60W 10W 13,000 400~800 9W 40,000 2,200 白熱球 100W 20W 10,000 1,100 ― ― ― クリプトン球 40W(36W) 7W 13,000 1,050 6W 40,000 4,000 クリプトン球 60W(54W) 10W 13,000 1,050 ― ― ― ハロゲン球 40W 4.2W 25,000 5,700 ハロゲン球 75W 10W 30,000 5,800 クリプトン球を電球型蛍光灯、LED に交換する場合は灯具に取り付けられない場合が ある。ハロゲン球は異なる形状、口金があるため、LED も同じ形状、口金のものを選 ぶ必要がある。消費電力は代表的な数値。

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5. 省エネ診断結果の分析 省エネ診断を 30 社実施した結果、診断の効果が認められるものになったかどうかは、 その事業者の業種、規模、エネルギー使用量の多寡等に関係なく、事業者の省エネに 対する取り組み姿勢によるところが大きい。なお、建物が新しい場合は省エネの余地 が少なく、効果が限定的な場合もあった。 中小企業、小規模事業者の場合、経営層が率先して節電、省エネを実施しており、 経営改善のひとつであるという認識を持たれており、省エネの手法については、様々 な実践を試みている。 しかしながら、技術的な裏付けについての知識を持ち合わせていないことから、効 果的な対策になっていない例も見受けられたため、今回の省エネ診断で適切なアドバ イスを行った。 今回の省エネ診断で得られた診断先の属性と、診断成果に対する期待に関して類型 化したのが下表である。 省エネ診断の成果期待の類型 項 目 本省エネ診断で適切な効果が 期待できる事業者 診断効果が限定的になる事業者 業種 業種による差は認められない 業種による差は認められない 建物規模 設備内容 従業員が 15 名以上 導入時期が古い設備を有する 竣工および改修が 5 年以内の事業 所 従業員が 5 名以下 占 有 形 態 ( 自 社 ビ ル、テナント等) 自社所有 テナント エ ネ ル ギ ー 消 費 規 模 年間電気料金が 100 万円以上の事 業者 年間電気料金が 100 万円未満の事 業者 使 用 エ ネ ル ギ ー の 特徴 熱利用が多い事業者 高圧電力契約の事業者 低圧電灯契約の事業者 対応者の役職(経営 者 の コ ミ ッ ト 度 合 いの差が影響する) 経営層(社長、役員) あるいは経営層から全面的に支援 された担当管理職 経営層(社長、役員) あるいは経営層と目的共有が図ら れていない担当者 省 エ ネ 診 断 全 般 に おける留意事項・確 認事項 節電要請を受けほとんどの企業が省エネに節電に関する何らかの取り 組みをしている。各企業の取り組みの目的、方針を踏まえた診断および 報告書の作成を心掛けた。

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5-1 省エネルギー効果の可能性 省エネ診断の結果、省エネルギーの対象となるエネルギーはほぼ電気であった。省 エネ効果の可能性は運用改善、設備投資を合わせた全体の平均は 15%の削減、運用 改善だけでも 9%の削減が見込まれた。 5-1-1 省エネ効果の可能性の分布 省エネ診断から判明した省エネ効果の可能性の分布(下グラフ)を見ると、運用改 善と設備更新を実施すると全体の 8 割近い事業者で 10%以上の省エネが可能という 結果になった。 なお、運用改善に絞ると、10%以上の省エネが可能なのは約 5 割程度に下がっている。 省エネ効果の可能性の分布グラフ 運用改善 ~9% 13 10~15% 12 16~20% 1 21%~ 1 0% 20% 40% 60% 80% 100% 1 省エネによるエネルギー費用の年間削減額の可能性をグラフにすると、運用改善と 設備更新ともに実施しても、9 割以上は効果が 50 万円以下であった。一方、運用改 善のみでの効果を見ると、20 万円以下が 8 割以上であるが、前ページの表にあると おり、電気料金の削減可能金額の平均額は、運用改善のみでも 123,277 円であり、 運用改善は原則として資金が不要なので、削減効果がある程度得られるものと言え 運用改善+設備更新 ~9% 6 10~15% 10 16~20% 4 21%~ 7 0% 20% 40% 60% 80% 100% 1

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エネルギー費用削減の可能性の分布グラフ 運用改善+設備更新 20万円以下 21 21~50万円 7 101万円以上 2 0% 20% 40% 60% 80% 100% 1 運用改善 20万円以下 26 21~50万円 3 51~100万円 1 0% 20% 40% 60% 80% 100% 1

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6.省エネ診断フォローアップ調査 夏季の省エネ診断の実施状況を見るべく、平成 24 年 1 月~2 月にかけフォローアップ 調査を実施した。 東日本大震災を受け、今年度は事業者も危機感を持ちながら省エネ、節電に取り組ん だため、想定以上の結果が出た事業者もある。しかし、来年度も同じ節電、省エネが達 成できる保証はないことから、継続的なフォローアップを希望する事業者に対しては、 次のステップへのアドバイスを行うと、さらなる効果が期待できるものと思われる。 フォローアップ調査の評価 項 目 本省エネ診断の効果が 認められた事業者 診断効果が少なかった事業者 業種 業種による差は認められない 業種による差は認められない 建物規模 設備内容 規模による差異はなし 規模による差異はなし 占 有 形 態 ( 自 社 ビ ル、テナント等) 差異はなし 差異はなし エ ネ ル ギ ー 消 費 規 模 差異はなし 差異はなし 使 用 エ ネ ル ギ ー の 特徴 電気(空調、照明) 電気 対応者の役職(経営 者 の コ ミ ッ ト 度 合 いの差が影響) 経営層(社長、役員) あるいは経営層から全面的に支援 された担当管理職 経営層(社長、役員) あるいは経営層と目的共有が十分 図られていない担当者 取組内容 運用改善(空調温度の設定、管理 者の選任、掲示による喚起) 少人数の事業者では、従来から空 調や照明の節約意識が浸透済みで ある 今後の取り組み 今年度は、多くの事業者では運用改善を中心に取り組まれた。一方、 老朽化した設備が多く見受けられたことから、来年度以降のさらなる 省エネには、設備更新に目を向けた対策が必要になる。このためには、 省エネ対策の資金的な援助策が必要になってくる。

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フォローアップ調査の結果、ほとんどの事業者は省エネ診断からまだ半年というこ ともあり、設備更新をせず運用改善による省エネを実施していた。 省エネ効果が認められた事業者が 30 社中 21 社あり、平均で 17.8%と省エネ診断時 の想定の 15.4%を上回る結果となった。しかも省エネ診断時の省エネ率は設備更新を 見込んでいる数値であったが、運用改善が中心であったにもかかわらずこれを上回る 結果が出た。 取り組みでは、省エネ診断でのアドバイスを取り入れて削減した事例が多いが、特 にアドバイスによる対策は行わなかった事業者においても、ある程度の省エネ実績が 出ており、これは東日本大震災がもたらした電力供給に対する不安と危機感が影響し たものと推測される。 なお、設備投資した 2 事業者は、工事が小規模で済む蛍光灯の LED への更新である。 老朽化した旧式の効率の悪い空調機や照明器具を使い続けている事業者も多く見ら れたが、空調設備などの大規模更新は一部の事業者では計画されているものの、多く の事業者は多額の資金が必要なため、具体的に進んでいない。 これには、自治体等による空調設備、照明器具等の更新を促進する支援・助成が必 要と考える。各種補助金、支援制度の申請手続きの相談窓口を設けることも有効な手 立てと考えられる。 7.まとめ 今回の省エネ診断およびフォローアップ調査から中小企業および小規模事業者にお いても、潜在的な省エネのポテンシャルがあることが明らかになった。また、実訪に よるフォローアップ調査を実施したことで各事業者の真剣かつ熱心な取り組みの様子 を伺うことができた。 中小企業および小規模事業者は「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」が少なく、省エネす る方策がわからないという声が多い。したがって、本事業の省エネ診断およびフォロ ーアップ調査を継続して実施することで、全ての中小企業において省エネが定着し実 施されると、多大な電力需要の抑制につながるものと思われる。 また今後予定されている電力料金の値上げによるコストアップは、中小企業および 小規模事業者にとって経営を圧迫する要因となる。省エネに取り組みによって実現さ れる電気使用量の抑制が電気料金上昇分の吸収に役立ち、また省エネの基本である「計 画~実施~効果検証~さらなる実施」といったPDCAのサイクルを会社経営や従業 員の意識づけなどに活かすことで、経営体質の改善につなげていくことが重要である。

参照

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