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1 1.1 ( ). z = a + bi, a, b R 0 a, b 0 a 2 + b 2 0 z = a + bi = ( ) a 2 + b 2 a a 2 + b + b 2 a 2 + b i 2 r = a 2 + b 2 θ cos θ = a a 2 + b 2, sin θ =

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定義一覧

定義 1.1 (極形式). z = a + bi, a, b∈ Rを0ではない複素数とする.実数a, bのうちど ちらかが0ではないということと√a2+ b2̸= 0 は同値であるから, z = a + bi =a2+ b2 ( a a2+ b2 + b a2+ b2i ) という変形が可能である.r =√a2+ b2 および実数θを方程式 cos θ = a a2+ b2, sin θ = b a2+ b2 でもって2π×整数のずれを除いて間接的に定めると,z = r(cos θ + i sin θ)となる.こ のような表示を極形式表示という. 定義 1.2 (∞, −∞). 1. は実数ではないが,すべての実数aに対してa < が成り立っていると約束 する. 2. −∞は実数ではないが,すべての実数aに対してa > −∞が成り立っていると約 束する. 3. aが実数もしくは,±∞であることを強調するべくa≤ ∞, a ≥ −∞, −∞ ≤ a ≤ ∞ なる書き方をする. 定義 1.3 (上界). 集合Aにつき,次の条件を満たしているM ≤ ∞のことを上界という. 条件: a∈ Aのときはいつでもa≤ M が成り立つ. (1) 定義 1.4 (上限). 実数の連続性とは,任意の空でない集合Aの上界には最小値M が存 在するという性質である.すなわち,次のような実数M がひとつだけ定まる. 1. (M は上界である.)a∈ Aのときに,a≤ M が成り立つ. 2. (Mは上界の最小値である.つまり,Mより小さい上界は存在しない.)M′< M とすると,a > M′となるa∈ Aが存在する. この数Msup Aと書く. 定義 1.5 (下界,下限). 空でない実数の部分集合Aにつき,次の条件を満たしている m≥ −∞のことを下界(かかい)という. a∈ Aのときはいつでもa≥ mが成り立つ. (2) 定義 1.6 (上に有界,下に有界,有界,非有界,数列の有界性). 実数の部分集合Aが与 えられたとする. 1. 実数値である上界が存在するとき,Aを上に有界という.

(2)

2. 実数値である下界が存在するとき,Aを下に有界という. 3. 上に有界かつ下に有界の集合を有界集合という. 4. 有界集合でない集合を非有界集合という. 5. 数列{an}n∈Nが与えられたとき,A ={an}n∈Nとおいて得られるこれらの概念を 数列が有界などという. 定義 1.7 (数列の記号). 1. 実数列は一般に無限,有限に応じて{an}Jn=1,{an}∞n=1などと書く.たとえば,10 項からなる有限数列a1, a2, a3,· · · , a10は{an}10n=1と表す. 2. 無限数列を{ak}∞k=1{ak}∞k=1でもって表す.無限級数は n=1 anで表す. 定義 1.8 (単調数列). 実数列{an}∞n=1が与えられたとする. 1. {an}∞n=1が単調増大であるとは,a1≤ a2 ≤ a3 ≤ · · · が成り立つことである.が すべて<に置き換わる場合は数列{an}∞n=1が狭義単調増加という. 2. {an}∞n=1が単調減少であるとは,a1≥ a2 ≥ a3 ≥ · · · が成り立つことである.が すべて>に置き換わる場合は数列{an}∞n=1が狭義単調減少という. 3. 単調増大数列,単調減少数列を総称して単調数列という. 定義 1.9 (数列の上限,下限,上極限,下極限). 実数列{an}∞n=1が与えられたとする. 1. {an}∞n=1の上限,下限を    sup n∈N an:= sup{an : n∈ N} inf n∈Nan:= inf{an : n∈ N} と定める.k = 1, 2,· · · に対して      sup n≥k an:= sup{an : n≥ k} inf n≥kan:= inf{an : n≥ k} なども同様である. 2. {an}∞n=1の上極限,下極限を          lim sup n→∞ an:= inf k∈N ( sup n≥k an ) = inf { sup n≥k an : k∈ N } lim inf n→∞ an:= supk∈N ( inf n≥kan ) = sup { inf n≥kan : k ∈ N } と定義する.

(3)

3. {an}∞n=1の極限を次のようにして定める.

(a) lim sup

n→∞

an= lim inf

n→∞ an∈ R のときは

lim

n→∞an= lim supn→∞ an= lim infn→∞ an (3)

と定める. (b) lim inf n→∞ an= ( lim sup n→∞ an= ) のときは lim n→∞an= (4) と定める. (c) lim sup n→∞ an= ( lim inf n→∞ an= ) − ∞のときは lim n→∞an=−∞ (5) と定める. もし,lim sup n→∞ an̸= lim inf n→∞ an のときは,nlim→∞anは存在しないという. 定義 1.10 (ε-δ式の収束,コーシー列の(再)定義). 1. 無限数列{ak}∞k=1αに収束するとは,以下の条件が成立することである.

条件:

すべての正の数ϵに対して, ある自然数N が存在して, すべての自然数nに対して, n > Nならば, |an− α| ≤ ϵが成立する. [注意] lim sup n→∞ an= lim inf n→∞ an と同値である. 2. 無限数列{ak}∞k=1がコーシー列であるとは以下の条件が成立することである.

条件:

すべての正の数ϵに対して, ある自然数N が存在して, すべての自然数n, mに対して, n, m > N ならば, |an− am| ≤ ϵが成立する. [注意] lim sup n→∞ an= lim inf n→∞ anと同値である.しかし,コーシー列は収束 先を特定しないで収束列を表現できるので,よく使われる. 3. 無限数列{ak}∞k=1に発散するとは,以下の条件が成立することである.

条件:

すべての正の数K > 0に対して, ある自然数N が存在して, すべての自然数nに対して, n > Nならば, an> Kが成立する.

(4)

[注意] lim inf n→∞ an= と同値である. 4. 無限数列{ak}∞k=1−∞に発散するとは,以下の条件が成立することである.

条件:

すべての正の数K > 0に対して, ある自然数N が存在して, すべての自然数nに対して, n > Nならば, an<−Kが成立する. [注意] lim sup n→∞ an=−∞ と同値である. 定義 1.11 (複素数列の収束,発散). {an}∞n=1 を複素数列とする. 1. n=1 an が収束するとは, lim N→∞ Nn=1 an が複素数値として存在することと定める. 2. n=1 an が絶対収束するとは, n=1 |an|が収束することと定める. 3. n=1 an が条件収束するとは, n=1 an が収束しているが,絶対収束はしていないこ とを意味する. 定義 1.12 (2重数列). 2重数列とは{am,n}∞m,n=1m, nの2つの文字で与えられる数列 のことである. 定義 1.13 (有限集合,無限集合,可算集合,非可算集合). Aを集合とする. 1. Aが有限集合であるとは,自然数N ∈ Nが存在して,{1, 2, · · · , N}Aの間に全 単射が存在することである. 2. Aが有限でないときにはAは無限集合という. 3. Aが可算集合であるとは,NとAの間に全単射が存在することである. 4. Aが有限,もしくは可算のときにAは高々可算であるという. 5. Aが可算でも有限でもないときにはAは非可算集合という. 定義 1.14 (Rn). Rnとは,実数のn個の対を集めてきて得られる集合のことである.し たがって,x ∈ Rnとは実数x1, x2,· · · , xnを用いてx = (x1, x2,· · · , xn)とあらわされ ることを意味する.以後,x = (x1, x2,· · · , xn)と書いたら,x1, x2,· · · , xn∈ Rおよび, x∈ Rnを意味しているものとする. 定義 1.15 (Rnの演算,ユークリッド球). x = (x1, x2,· · · , xn), y = (y1, y2,· · · , yn), a∈ Rとする.ε > 0とする. 1. 和をx + y = (x1+ y1, x2+ y2,· · · , xn+ yn)と定める.

(5)

2. スカラー倍をa x = (a x1, a x2,· · · , a xn)と定める. 3. ノルムを∥x∥ =x12+ x22+· · · + xn2 = v u u t∑n k=1 xk2 と定める.(高校数学でいう ところのベクトルの長さ) 4. ε > 0に対して, B(x; ε) ={y ∈ Rn : ∥x − y∥ < ε}, B(x; ε) = {y ∈ Rn : ∥x − y∥ < ε} (6) と定める.x = 0のときは,x;を省略して,B(ε), B(ε)と表す. 定義 1.16 (開集合,閉集合,有界集合). A⊂ Rnとする. 1. Aが開集合であるとは,任意のx∈ Rnに対して,あるε > 0が存在して,B(x; ε)⊂ Aが成り立つことである. 2. Aが閉集合であるとは,Ac={x ∈ Rn : xAに属さない}が開集合であること を意味する. 3. Aが有界集合であるとは,R > 0が存在して,A⊂ B(R)が成立することである. 4. Aの開集合とは,AとRnの開集合の共通部分として表される集合のことである. 定義 1.17 (写像). A⊂ RnB ⊂ Rm とする.f : A→ Bが写像であるとは,a∈ Aに 対して,f (a)∈ Bが一つ定まっている事を言う. 定義 1.18 (写像による像集合,逆像集合). A⊂ RnB ⊂ Rm とする.写像f : A→ B が与えられたとする. 1. A0 ⊂ Aに対して,Bの部分集合をf (A0) ={f(a) ∈ B : a ∈ A0}と定める. 2. B0 ⊂ Bに対して,Aの部分集合をf−1(B0) ={a ∈ A : f(a) ∈ B0} と定める. 定義 1.19 (一般の関数の極限). aを含む開区間Iで定義された実数値関数fに対して, lim x→af (x) = α (7) であるとは, inf δ>0 ( sup x∈I, |x−a|<δ |f(x) − α| ) = 0 (8) であることと定める. 定義 1.20 (Rn1点における写像の極限,連続性,連続写像). A⊂ Rnとする.また, 写像f : A→ Rmが与えられたとする.

(6)

1. a∈ Aとする. lim x→a, x∈Af (x) = α (9) とは, inf δ>0 ( sup ∥x−a∥<δ, x∈A∥f(x) − α∥ ) = 0 が成り立つことである. 2. a∈ Aとする.faで連続であるとは, inf δ>0 ( sup x∈A, ∥x−a∥<δ ∥f(x) − f(a)∥ ) = 0 (10) つまり, lim

x→a, x∈Af (x) = f (a) (11)

が成り立つことである. 3. fAで連続であるとは,fの各点で連続であることである. 定義 1.21 (閉包). A⊂ Rnとする. 1. Aの閉包AA :={x ∈ Rn : すべてのε > 0に対してB(x, ε)∩ A ̸= ∅}で与えら れる. 2. Aの開核はInt(A) = (Ac)cで与えられる. 定義 1.22 (一様収束). 区間I で定義された実数値関数列{fn}∞n=1fに一様収束する とは, lim n→∞ ( sup x∈I|f(x) − f n(x)| ) = 0 (12) が成り立つことである. 定義 1.23 (広義一様収束). 開集合U 上で定義された実数値関数列{fn}∞n=1 が広義一様 収束するとは任意の閉球BU に含まれるもののうちB上で一様収束することと定義 する. 定義 1.24 (被覆,有限被覆,部分被覆). 1. {Uλ}λ∈Λ⊂ Rn とは (a) Λは何らかの集合で (b) λ∈ Λに対して,Rn の部分集合が与えられている ことである.このとき,{Uλ}λ∈Λ をRnの部分集合族という.

(7)

2. Rnの部分集合族{Uλ}λ∈Λ⊂ Rn に対して, ∪ λ∈Λ ={x ∈ Rn : 少なくとも一つのλ∈ Λにつき,x∈ Uλ} (13) と定める. 3. Rnの部分集合族{U λ}λ∈Λ⊂ Rn に対して, ∩ λ∈Λ ={x ∈ Rn : すべてのλ∈ Λにつき,x∈ Uλ} (14) と定める. 4. Rnの部分集合族{U λ}λ∈Λ⊂ RnAの被覆であるとは, A⊂λ∈Λ (15) が成立することである. (a) {Uλ}λ∈Λ⊂ Rn が開被覆とは被覆であり,それぞれの集合が開集合である ことをさす. (b) {Uλ}λ∈Λ⊂ Rn が有限被覆であるとは,Λが有限であることを意味する. (c) Λ0 ⊂ Λとする.このとき,{Uλ}λ∈Λ0{Uλ}λ∈Λ の部分被覆という. 定義 1.25 (コンパクト性). Aがコンパクトであるとは,Aの任意の開被覆が有限部分被 覆を持つことである. 定義 1.26 (一様連続). A⊂ Rn とする.また,写像f : A → Rmが与えられたとする. fAで一様連続であるとは, lim δ↓0 ( sup x,x′∈A, |x′−x|<δ ∥f(x′)− f(x)∥ ) = 0 (16) が成り立つことである. 定義 1.27 (連結集合,不連結集合,弧状連結集合,領域). A⊂ Rnとする. 1. Aが不連結であるとは,次の条件を満たしている開集合U, V が存在することである. A = (A∩ U) ∪ (A ∩ V ), (A ∩ U) ∩ (A ∩ V ) = ∅, (A ∩ U), (A ∩ V ) ̸= ∅. (17) つまり,Aが不連結であるとは,Aの空ではない開集合の互いに交わらない和とし て表されることである. 2. Aが連結であるとは,Aが不連結ではないことである. 3. Aが弧状連結であるとは,任意のp, q∈ Aに対して連続関数γ : [0, 1]→ Aが存在 して,γ(0) = p, γ(1) = qが成立することである.このようなγを連続曲線という.

(8)

4. 弧状連結である開集合を領域という. 定義 1.28 (微分可能). I = (a, b)を開区間とする.fc∈ (a, b)で微分可能であるとは, f′(c) = lim x→c f (x)− f(c) x− c (18) が存在することを言う.これは, lim x→cf,c(x) = 0 (19) となる関数を用いて f (x) = f (c) + (x− c)f′(c) + (x− c)∆f,c(x) (20) と表されることと同値であることに注意しよう. 定義 1.29 (高次導関数). n≥ 2のとき,f(n)f(n−1)の微分として帰納的に定義してい く.f′′などの記号も必要に応じて使う. 定義1.30 (C1-級,Ck-級,C∞-級). a, b∈ Ra < bを満たしているとする.f : (a, b)→ RがC1-級とはf(a, b)で微分可能で,導関数f′が連続であることを言う.fk階まで の導関数をもち,導関数すべてが連続の時,fCk-級と言う.記号として,f ∈ Ck((a, b)) と表す.C∞-級とは,すべてのkに対して,Ck-級であることを言う. 定義 1.31 (べき級数). n=0 an(x− x0)n, x0∈ R の形の級数を冪(べき)級数という. 定義 1.32 (ex, sin x, cos xの定義). 1. ex = exp(x) = 1 + x +x 2 2 + x3 6 +· · · + xn n! +· · · 2. sin x = x−1 6x 3+ 1 120x 5· · · + (−1)k (2k + 1)!x 2k+1+· · · = k=0 (−1)kx2k+1 (2k + 1)! 3. cos x = 1−x 2 2 + x4 24 x6 720+· · · + (−1)n (2n)! x 2n+· · · また,自然対数ee = e1= 1 + 1 + 1 2+ 1 6 +· · · + 1 n! +· · · (21) で定める. 定義 1.33 (対数関数). 1. 関数log xexの逆関数として定める. 2. ax = ex log a, a > 1と定める.

(9)

3. logab = log b/ log a, a∈ (0, 1) ∪ (1, ∞), b > 0と定める.

定義 1.34 (円周率). cos x = 0, 0 < x < 2の最小の解の2倍をπと定める. 定義 1.35 (tan). tan x = sin x

cos xと定める. 定義 1.36 (逆関数). 1. sin : [ −π 2, π 2 ] → [−1, 1] の逆関数をsin−1: [−1, 1] → [ −π 2, π 2 ] で表す. 2. cos : [0, π]→ [−1, 1] の逆関数をcos−1 : [−1, 1] → [0, π] で表す. 3. tan : ( −π 2, π 2 ) → Rの逆関数をtan−1 :R → ( −π 2, π 2 ) で表す. 定義 1.37 (分割,細分,細分の幅). −∞ < a < b < ∞とする. 1. 数列{xi}Ni=0[a, b]の分割であるとは,x0 = a, xN = bを満たす単調増加数列で あることを意味する.分割全体の集合をD[a, b]と表す.

2. [a, b]の分割{yi}Mi=0[a, b]の分割{xi}Ni=0の細分であるとは,{yi}Mi=0 ⊃ {xi}Ni=0

を満たしていることを意味する.

3. {ξi}Ni=1[a, b]の分割{xi}Ni=0の分点であるとは,xi−1≤ ξi ≤ xi, i = 1, 2,· · · , N

であることを意味する. 4. {xi}Ni=0∈ D[a, b]に対して, |∆| = sup i=1,2,··· ,n|xi− xi−1| (22) と定める. 定義 1.38 (上限和,下限和,リーマン上積分,リーマン下積分). 有界関数f : [a, b]→ R が与えられたとする. 1. [a, b]の分割∆ ={xi}Ni=0が与えられたとする.fの上限和と下限和はそれぞれ S(f ) = Ni=1 (xi− xi−1) sup xi−1≤x≤xi f (x) (23) s(f ) = Ni=1 (xi− xi−1) inf xi−1≤x≤xi f (x) (24) で与えられる. 2. リーマン上積分とリーマン下積分を ∫ b a f (x) dx = inf ∆∈D[a,b]S(f ) (25) ∫ b a f (x) dx = sup ∆∈D[a,b] s(f ) (26) で定める.

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3. リーマン上積分とリーマン下積分が一致するとき,その値を以ってリーマン積分の 値と定義する.つまり, ∫ b a f (x) dx =b a f (x) dx (27) ならば, ∫ b a f (x) dx =b a f (x) dx =b a f (x) dx (28) と定める. 定義 1.39 (原始関数,不定積分). 1. 関数f の不定積分とは,微分すると与えられた関数f に一致するような新たな関 数(原始関数)を求める操作のこと,およびその原始関数の全体と定める. 2. 同じく(ここでは) ∫ f (x) dxは微分してf (x)になる関数のことと定める. f が定義されている区間の1点aを固定して ∫ f (x) dx =x a f (u)du と定める流儀も ある. 定義 1.40 (fxにおける振動量). 有界関数f : [a, b]→ Rに対して,xでの振動量を f (x) = lim δ↓0 ( sup y∈[a,b]∩(x−δ,x+δ) f (y) ) = lim δ↓0 ( sup y∈(x−δ,x+δ) F (y) ) (29) f (x) = lim δ↓0 ( inf y∈[a,b]∩(x−δ,x+δ)f (y) ) = lim δ↓0 ( inf y∈(x−δ,x+δ)F (y) ) (30) と定める.ここで, F (x) =      f (b) (x≥ bのとき) f (x) (a≥ x ≤ bのとき) f (a) (x≤ aのとき) と定めた. 定義 1.41 (0集合). E ⊂ R が0 集合であるとは,任意のε > 0に対してある区間 I1, I2,· · · , Ij,· · · が存在して, E j=1 Ij, j=1 ℓ(Ij) < ε (31) が成り立つことである. 定義 1.42 (広義積分).

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1. f : [a,∞) → Rを関数とする.任意のb > aに対して,f[a, b]上有界でリーマ ン可積分であるとする.このとき, ∫ a f (x) dx = lim R→∞R a f (x) dx (32) と定める.ただし,極限が存在しないならば,そのときは ∫ a f (x) dxは存在しな いと定義する. 2. f : [a, c)→ Rを関数とする.任意のa≤ b < cに対して,f[a, b]上有界でリー マン可積分であるとする.このとき, ∫ c a f (x) dx = lim R↑cR a f (x) dx (33) と定める.ただし,極限が存在しないならば,そのときは ∫ c a f (x) dx は存在しな いと定義する. 3. f : [a, c)∪ (c, b]を関数とする.任意のa≤ A < c, c < B ≤ bを満たすA, Bにつき, f[a, A]上と[B, b]上でそれぞれ有界でリーマン可積分であるとする.このとき, ∫ b a f (x) dx = lim A↑cA a f (x) dx + lim B↓cb B f (x) dx (34) と定める.ただし,両方の極限が存在しないならば,そのときは ∫ b a f (x) dx は存 在しないと定義する. 4. 上で定義していないそのほかの積分も類似の方法で定義する. 定義 1.43 (連続曲線の長さ). γ(t) = (x1(t), x2(t),· · · , xn(t))[a, b]からRnへの連続 曲線とする.γの長さL(γ)L(γ) = sup    Nj=1 v u u t∑n k=1 (xk(tj)− xk(tj−1))2 : {tj}Nj=0[a, b]の分割    とおく. 定義 1.44 (数列の表記). 数列のあらわし方として, a1, a2,· · · , an,· · · (35) や (an)∞n=1 (36) などがあるが,ここでは {an}∞n=1 (37) という記号を用いる.

(12)

定義 1.45 (有理数のコーシー列). {an}∞n=1 ⊂ Qがコーシー列であるとは,任意の有理 数ε > 0に対してそれに応じてあるN ∈ Nが決まり,m, n≥ N のときに, |am− an| < ε (38) が成り立つことをいう. 定義 1.46 (有理数のコーシー列の相等). {an}∞n=1{bn}∞n=1を有理数のコーシー列とす る.これらが『同じ』であるというのは次の条件を満たしていることである. [条件]任意のε > 0に対してそれに応じてN ∈ Nが決まってn≥ Nのとき に,|an− bn| < ε となる. 定義 1.47 (有界数列). 数列{an}∞n=1が有界であるとは,あるM が存在して,|an| ≤ M, n∈ Nが成り立つことである. 定義 1.48 (コーシー列の演算). {an}∞n=1,{bn}∞n=1 をコーシー列とする. 1. {an}∞n=1+{bn}∞n=1≡ {an+ bn}∞n=1 と定める. 2. {an}∞n=1− {bn}∞n=1≡ {an− bn}∞n=1 と定める. 3. {an}∞n=1· {bn}∞n=1≡ {anbn}∞n=1 と定める. 4. {bn}∞n=1 と0は『同じ』ではないとする.{an}n=1∞ ÷ {bn}∞n=1 ≡ {an/bn}∞n=1 と定 める. 定義1.49 (コーシー列の大小関係). {an}∞n=1{bn}∞n=1をコーシー列とする.{an}∞n=1 {bn}∞n=1 とは,任意の有理数ε > 0に対してある実数N が定まり,n ≥ N のときに bn− an>−ε が成り立つこととする. 定義 1.50 (有理数コーシー列の列). {{am,n}∞n=1}∞m=1 が有理数のコーシー列の列である とは,各m∈ Nに対して{am,n}∞n=1 がコーシー列である事を意味する. 定義 1.51 (有理数コーシー列の列のなすコーシー列). 自然数m = 1, 2,· · · に対して, コーシー列αm ={am,n}∞n=1 が与えられたとする.有理数のコーシー列の列{αm}∞m=1 = {{am,n}∞n=1}∞m=1 がコーシー列であるとは,任意の有理数のコーシー列ε = {εn}∞n=1 で 0より真に大きいものに対してあるN ≥ nが存在して,n, m > N であるなら, −ε < αm− αn< ε (39) が成り立つことを意味する. 定義 1.52 (有理数のコーシー列の列の収束). α = {αn}∞n=1を有理数のコーシー列とす る.有理数のコーシー列の列{αn}∞m=1 ={{am,n}∞n=1}∞m=1αに収束するとは,任意の 有理数のコーシー列ε ={εn}∞n=1 で0より真に大きいものに対してあるN ≥ nが存在し て,n, m > N であるなら, −ε < αm− α < ε (40) が成り立つことを意味する.収束先αを明示しない(もしくは出来ない)場合は,有理 数のコーシー列の列{αn}∞m=1 ={{am,n}∞n=1}∞m=1 が収束するとか有理数のコーシー列の 列{αn}∞m=1 ={{am,n}∞n=1}∞m=1 が収束列であるという.

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2

定理一覧

定理 2.1 (ド・モアブルの定理). θ∈ R, n ∈ Zとする.このとき, (cos θ + i sin θ)n= cos nθ + i sin nθ が成り立つ. 定理 2.2 (実数の完備性). 1. 単調増加な数列{an}∞n=1に対してnlim→∞an が存在して, lim n→∞an= supn∈Nan が成り立つ.ただし,両辺がになる場合を認める.したがって,あるM ∈ Rが存 在して単調増加な数列{an}∞n=1an≤ M, n = 1, 2, · · · を満たすならば,{an}∞n=1 は収束する. 2. 単調減少の場合は省略. 定理 2.3 (コーシー列=収束列). 数列{an}n∈Nにつき,次の命題は同値である. 1. lim n→∞an が存在する. 2. 任意のε > 0に対して,あるN ∈ Nが存在して,n, m > Nのときに,|an−am| < ε が成り立つ. 定理 2.4 (絶対収束,条件収束の言いかえ). {an}∞n=1 を複素数列とする. 1. n=1 an が絶対収束する必要十分条件は sup N∈N Nn=1 |an| < ∞ (41) が成立することである. 2. n=1 an が収束すると仮定する. n=1 an が条件収束する必要十分条件は n=1 |an| = ∞ (42) が成立することである. 定理 2.5 (コーシー判定法). {an}∞n=1 を複素数列とする.また,{bn}∞n=1 を正数列とす る.|an| ≤ bnn = 1, 2,· · · に対して成り立ち, n=1 bn が収束するならば, n=1 an は絶 対収束する.

(14)

定理 2.6 ((ライプニッツの)交項級数). {an}∞n=1an≥ an+1, n = 1, 2,· · · , lim n→∞an= 0 (43) を満たしているとする.このとき, n=1 (−1)n−1an は収束する. 定理 2.7 (条件収束の性質). {an}∞n=1を条件収束する実数列とする.このとき,任意の 実数αに対してある全単射σ :N → Nが存在して, k=1 aσ(k) = α が成立する. 定理 2.8 (正値2重数列の和の順序交換). {am,n}∞m,n=1を正値2重数列とする.つまり, m, n ∈ Nに対して非負の実数am,nが与えられているとする.このとき,次の意味でこ の数列は足し方によらない. m=1 (n=1 am,n ) = n=1 ( m=1 am,n ) = n=1 ( nm=1 am,n+1−m ) . (44) 定理 2.9 (複素絶対収束2重数列の和の順序交換). {am,n}∞m,n=1を複素2重数列とする. m=1 (n=1 |am,n| ) , n=1 ( m=1 |am,n| ) , n=1 ( nm=1 |am,n+1−m| ) (45) のうちどれかひとつが有限であるとする.このとき,次の意味でこの数列は足し方によ らない. m=1 (n=1 am,n ) = n=1 ( m=1 am,n ) = n=1 ( nm=1 am,n+1−m ) . (46) 定理 2.10 (Rの非可算性). Rは非可算無限である. 定理 2.11 (可算集合の例と性質). 1. Zは可算である. 2. 可算集合Aの部分集合は高々可算である. 3. 可算集合Aとの全単射が存在する集合Bは可算である. 定理 2.12 (像集合,逆像の基本性質). f : X → Y を集合XからY への写像とする. A, B⊂ X, C, D ⊂ Y とする. 1. f (A∪ B) = f(A) ∪ f(B)が成り立つ. 2. f (A∩ B) ⊂ f(A) ∩ f(B)が成り立つ. 3. f−1(C∪ D) = f−1(C)∪ f−1(D)が成り立つ. 4. f−1(C∩ D) = f−1(C)∩ f−1(D)が成り立つ.

(15)

定理 2.13 (点列による極限の書き換え). aを含む開区間Iで定義された実数値関数f に 対して次は同値である. 1. lim x→af (x) = α. 2. I内の数列{an}∞n=1nlim→∞an= a を満たしていれば,lim n→∞f (an) = α. 3. 任意のε > 0に対してあるδ > 0が存在して,y ∈ (x − δ, x + δ) ∩ Iのときに, |f(y) − α| < εとなる. 定理2.14 (ε-δによる極限の書き換え). A⊂ Rn とする.また,a∈ Aと写像f : A→ Rm が与えられたとする.このときに次は同値である. (1) lim x→a, x∈Af (x) = α が成り立つ. (2) 任意のε > 0に対してあるδ > 0が存在して,もし,x∈ A∥x − a∥ < δを満た すならば,∥f(x) − α∥ ≤ ε となる. (3) A内の点列{an}n∈Naに収束していれば,{f(an)}n∈Nαに収束する. 定理 2.15 (引き戻しによる連続性の書き換え). A ⊂ Rnを開集合とする.また,写像 f : A→ Rmが与えられたとする.このときに次は同値である. 1. fAで連続である. 2. 任意の開集合U ⊂ Rmに対してf−1(U )Aの開集合である. 定理 2.16 (閉包による連続性の書き換え). 写像f : A→ Rmが与えられたとする.この ときに次は同値である. 1. fAで連続である. 2. 任意の集合E ⊂ Rnに対してf (E∩ A ∩ A) ⊂ f(E ∩ A) となる. 定理2.17 (一様収束による連続性の伝播). 区間Iで定義された実数値連続関数列{fn}∞n=1f に一様収束するならfも連続である. 定理 2.18 (ハイネボレルの定理1). R > 0につき, [−R, R]n={x = (x1, x2,· · · , xn) : すべてのi = 1, 2,· · · , nにつき,− R ≤ xi≤ R} (47) はコンパクトである. 定理 2.19 (ハイネボレルの定理2). A⊂ Rnにつき,次は同値である. 1. Aは有界閉集合である. 2. Aはコンパクトである.

(16)

定理 2.20 (コンパクト性の保存). A ⊂ Rnをコンパクト集合とする.f : A→ Rmが連 続写像のときに,f (A)はコンパクト集合である. 定理 2.21 (ワイエルストラスの定理の一般化). コンパクト集合上定義された実数値連続 関数は最大値を取る. 定理 2.22 (一様連続性のε-δによる書き換え). A ⊂ Rn とする.また,a ∈ Aと写像 f : A→ Rmが与えられたとする.このときに次は同値である. 1. fAで一様連続である. 2. 任意のε > 0に対してあるδ > 0が存在して,任意のx, x′ ∈ Aにつき,|x − x′| < δ ならば,|f(x) − f(x′)| ≤ ε となる. 定理 2.23 (ルベーグ数). K をRnのコンパクト集合とする.{Uλ}λ∈Λ を開被覆とする とき,次の条件を満たしている数δ > 0が存在する.x, y∈ Kかつ|x − y| 5 δならば, x, y∈ Uλとなるλ∈ Λ が存在する. 定義 2.24. このようなδを被覆{Uλ}λ∈Λのルベーグ数という. 定理 2.25 (連続の一様性). コンパクト集合上定義された実数値連続関数は一様連続で ある. 定理 2.26 (Rの連結性). Rは連結である. 定理 2.27 (弧状連結集合の連結性). Rnの弧状連結集合は連結である. 定理 2.28 (Rn,Rの区間の連結性). Rnは連結である.Rの区間も同様に区間である. 定理 2.29 (Rの連結集合の特徴づけ). Rの連結集合は区間である. 定理 2.30 (Rの開集合の特徴づけ). R の開集合は互いに交わらない高々可算個の開区間 の和集合として表される.ただし,R, (a, ∞), (−∞, a) の形の無限区間も開区間であると する. 定理 2.31 (Rnの開集合の連結性の言い換え). 開集合G⊂ Rnに対して次は同値である. 1. Gは連結である. 2. Gは弧状連結である. 3. Gは領域である. 定理 2.32 (連結性の保存). A⊂ Rnを連結集合とする.f : A→ Rmが連続写像のとき, f (A)は連結集合である. 定理 2.33 (中間値の定理). A⊂ Rnを領域とする.また,f : A→ Rを連続関数とする. このとき,f (A)は区間である. 定理 2.34 (中間値の定理,ワイエルストラスの定理). I = [a, b]を閉区間,f : I → Rを 連続関数とする.

(17)

(1)  (中間値の定理)f (a), f (b)の間にある任意の数をfI上でとることができる. すなわち,γ ∈ R(f (a)− γ)(f(b) − γ) ≤ 0 を満たしているなら,あるc∈ Iが 存在して,f (c) = γを満たす. (2)  (ワイエルストラスの定理)fI上で最大値と最小値を取る. 定理 2.35 (m乗根の存在). mを2以上の整数とする.また,a > 0とする.このとき, 方程式xm = aは唯一の実数解をもつ.この解xm√aと記す. 定理 2.36 (微分可能関数の連続性). I = (a, b)を開区間とする.f が微分可能であると する.このとき,fは連続である. 定理 2.37 (微分の公式). 次の公式が成り立つ.f (x), g(x)を関数, 1. (f (x) + g(x))′ = f′(x) + g′(x) 2. (a f (x))′= a f′(x) 3. (f (x)g(x))′= f′(x)g(x) + f (x)g′(x) 4. g′(x)̸= 0とする. ( f (x) g(x) ) = f (x) g(x) f (x)g′(x) g(x)2 = f′(x)g(x)− f(x)g′(x) g(x)2 また,kをを自然数とするとき,xk= k xk−1 が成り立つ.さらに,定数関数の微分は0 である. 定理 2.38 (連鎖率,合成関数の微分). I, JをRの区間とする.f : I→ J, g : J → Rを 微分可能な関数とするとき,g◦ f : I → Rは微分可能で, f (g(x))′ = f′(g(x))g′(x) (48) が成り立つ. 定理2.39. I = (a, b)を開区間とする.fが微分可能で最大値もしくは最小値をx = c∈ I で取るとする.このとき,f′(c) = 0である. 定理 2.40 (平均値の定理). a, b∈ Ra < bを満たしているとする.f : [a, b]→ Rが連 続で,f(a, b)で微分可能であるとする.このとき, a < c < b, f (b)− f(a) b− a = f (c) (49) を満たしている実数cが存在する. 定理 2.41 (コーシーの平均値の定理). a, b ∈ Ra < bを満たしているとする.f, g :

[a, b]→ Rが連続で,f, g(a, b)で微分可能であるとする.さらに,g′(a, b)におい

て0にならないとする.このとき, a < c < b, f (b)− f(a) g(b)− g(a) = f′(c) g′(c) (50) を満たしている実数cが存在する.

(18)

定理 2.42 (ロピタルの定理). a, b∈ Ra < bを満たしているとする.f, g : [a, b]→ R が連続で,f, g(a, b)で微分可能であるとする.さらに,g′(a, b)において0になら ないとする.このとき,p∈ (a, b)に対して右辺の極限が存在するなら lim x→p f (x)− f(p) g(x)− g(p) = limx→p f′(x) g′(x) (51) を満たしている. 定理2.43 (逆関数定理). fを開区間I上で定義されたC1-級関数とする.f(x)̸= 0, x ∈ I が成り立つならば,fは逆関数をもち,逆関数g : f (I)→ IC1-級である. 定理2.44 (マクローリン展開). A < x, a < Bとする.n = 1, 2,· · · につき,f : (A, B)→ Rがn回微分可能なときには,a, xの間の数cが存在して,

f (x) = f (a) + (x− a)f′(a) +· · · + (x− a)

n−1 (n− 1)! f (n−1)(a) + 1 n!(x− a) nf(n)(c) (52) が成り立つ. 定理 2.45 (テーラー展開). f : (A, B)→ Rは何回でも微分可能であるとする.もし,定 数M, Rが存在して, |f(n)(x)| ≤ MRn (53)A < x < Bで成り立つならば,任意のA < x < bに対して,

f (x) = f (a) + (x− a)f′(a) +· · · +(x− a)

n−1 (n− 1)! f (n−1)(a) +· · · (54) が成り立つ. 定理 2.46. 関数f : (a, b) → RC2-級で,f′(c) = 0, f′′(c) > 0を仮定する.このと き,fは極小値である.つまり,ある区間δ > 0が存在して,(c− δ, c + δ) ⊂ (a, b)かつ f (c) = min{f(x) : x ∈ (c − δ, c + δ)} が成り立つ. 定理2.47 (収束半径,アダマールの公式). 冪級数 n=0 an(x− x0)n に対して,R∈ [0, ∞] を 1 R = lim supn→∞ n|an| (55) で定めると次のことが成り立つ.このRを冪級数 n=0 an(x− x0)n の収束半径という. 1. |x − x0| > Rなら,冪級数 n=0 an(x− x0)n は発散する. 2. |x − x0| < Rなら,冪級数 n=0 an(x− x0)n は絶対収束する.

(19)

3. |x − x0| < Rに対してf (x) = n=0 an(x− x0)n とおくと, f′(x) = n=0 (n + 1) an+1(x− x0)n (56) が成り立つ. 特に,fは何回でも微分可能である. 定理 2.48. 正数列{an}n∈Nに対して, lim n→∞ an+1 an が存在するならば,lim n→∞ n an が存在 して,この値に等しい. 定理 2.49 (微分公式). 1. (sin x)′= cos x 2. (cos x)′ =− sin x 3. (ex) = ex 定理 2.50 (指数関数の加法定理). x, yを実数とする. 1. 加法定理ex+y = exeyが成り立つ. 2. ex > 0となる. 定理 2.51. 1階微分可能なx関数f :R → Rf′(x) = f (x)f (0) = aを満たすとき, f (x) = a exp xが成り立つ. 定理 2.52 (sin, cosの加法定理). α, β ∈ Rにつき,

sin(α + β) = sin α cos β + cos α sin β cos(α + β) = cos α cos β− sin α cos β となる. 定理2.53 (2階線形常微分方程式の基本解). 2階微分可能なx関数f :R → Rf′′(x) = −f(x)f (0) = a, f′(0) = bを満たすとき,f (x) = a cos x + b sin xが成り立つ. 定理 2.54 (微分公式). 1. aを実数とするとき,(xa) = a xa−1 2. (tan x)′ = tan2x + 1 = 1 cos2x 3. (ax) = ax log a, a > 0 4. (log x)′= 1 x

(20)

5. (logax)′ = 1 x log a, a∈ (0, ∞) \ {1} 定理 2.55 (逆三角関数の微分公式). 逆関数の微分は次の式で与えられる. d dxsin −1x = 1 1− x2, x∈ (−1, 1) d dxtan −1x = 1 1 + x2, x∈ R 定理 2.56 (ダルブーの定理). f : [a, b]→ Rを有界関数とする.このとき,任意のε > 0 に対してあるδ > 0が存在して,|∆| < δ のときに, ∫ b a f (x) dx− ε < S(f ) (57) が成り立つ. 定理 2.57 (ダルブーの定理の定理の言い換え). f : [a, b] → Rを有界関数とする.この とき,任意のε > 0に対してあるδ > 0が存在して,|∆| < δ のときに, ∫ b a f (x) dx− S(f ) + ∫ b a f (x) dx− s(f ) < ε (58) が成り立つ. 定理 2.58 (リーマン積分の線形性). f, g : [a, b]→ Rをリーマン積分可能な関数とする. このとき,f + g, f· gもリーマン積分が可能である.さらに,lをスカラーとするとき ∫ b a (f (x) + g(x)) dx =b a f (x) dx +b a g(x) dx,b a lf (x) dx = lb a f (x) dx (59) が成り立つ. 定理 2.59 (リーマン積分の加法性). a < b < cとする.f : [a, c]→ Rがリーマン積分可 能な有界関数であるならば,f[a, b]上,[b, c]上でもリーマン積分可能で, ∫ c a f (x) dx =b a f (x) dx +c b f (x) dx (60) が成り立つ. 定理 2.60 (微積分学の基本定理I). f : [a, b] → Rが連続であるとする.このとき, F (x) =x a f (t) dt, x∈ (a, b) は微分可能で, F′(x) = f (x) (61) が成り立つ.

(21)

定理 2.61 (微分積分学の基本定理). Iを開区間,a, b∈ Iとする.fI上で微分可能で f′がリーマン積分可能なときに, ∫ b a f′(x) dx = f (b)− f(a), a, b ∈ I (62) が成り立つ. 定理 2.62 (テーラー展開の積分形). n = 1, 2,· · · につき,fn回微分可能なときには,

f (x) = f (a)+(x−a)f′(a)+· · ·+(x− a)

n−1 (n− 1)! f (n−1)(a)+ 1 (n− 1)!x a (x−s)n−1f(n)(s) ds (63) が成り立つ. 定理 2.63 (不定積分公式). 次の公式が成り立つ. ∫ √ 1− x2dx = 1 2 ( x√1− x2+ sin−1x)+ Cdx 1− x2 = sin −1x + Cdx 1 + x2 = log(x +x2+ 1) + Cdx x2− 1 = log(x +x2− 1) + C ∫ √ 1 + x2dx = 1 2 ( x1 + x2+ log(x +x2+ 1))+ C ∫ √ x2− 1 dx = 1 2 ( xx2− 1 − log(x +x2− 1))+ C 定理 2.64 (積分の単調性). f, g : [a, b] → Rをリーマン積分可能な有界関数とする.不 等式f (x)≤ g(x), x ∈ [a, b]が成り立つなら ∫ b a f (x) dx≤b a g(x) dx (64) が成り立つ. 定理2.65 (三角不等式). f : [a, b]→ Rをリーマン積分可能な有界関数とする.このとき, ∫abf (x) dx b a |f(x)| dx (65) が成り立つ. 定理 2.66 (積分の(第一)平均値の定理). f : [a, b]→ Rが連続であるとする.このとき, ∫ b a f (x) dx = (b− a)f(c) (66) となるc∈ [a, b]が存在する.

(22)

定理 2.67 (ヘルダーの不等式). 1 < p, q <が関係式 1 p+ 1 q = 1 (67) を満たしているとする.このとき, 閉区間[a, b]上でのリーマン積分可能な実数値有界関 数f, gに対して, ∫abf (x)g(x) dx (∫ b a |f(x)|pdx )1 p(∫ b a |g(x)|qdx )1 q (68) が成り立つ. 定理 2.68 (ミンコフスキーの不等式). 閉区間[a, b]上でのリーマン積分可能な有界関数 f, gに対して, (∫ b a |f(x) + g(x)|pdx )1 p (∫ b a |f(x)|pdx )1 p + (∫ b a |g(x)|pdx )1 p (69) が成り立つ. 定理2.69 (コーシー・シュワルツ(Cauchy-Schwarz)の不等式,三角不等式). 閉区間[a, b] 上でのリーマン積分可能な実数値有界関数f, gに対して, 1. (∫ b a f (x)g(x) dx )2 5 ∫ b a (f (x))2dxb a (g(x))2dx. 2. (∫ b a (f (x) + g(x))2dx )1/2 5 (∫ b a f (x)2dx )1/2 + (∫ b a g(x)2dx )1/2 . 定理 2.70 (limと積分の入れ替え定理). 区間I = [a, b]で定義された連続関数列{fn}∞n=1f に一様収束するなら lim t→∞b a fn(t) dt =b a f (t) dt (70) が成り立つ. 定理 2.71 (limと微分の入れ替え). 区間I = (a, b)で定義されたC1-級関数列{fn}∞n=1 が与えられたとする. 1. {fn}∞n=1f に各点収束する. 2. {fn′}∞n=1は連続関数gに一様収束する. このとき,g = f′で lim n→∞f n(x) = f′(x), x∈ (a, b) が成り立つ. 定理 2.72 (ルベーグの定理). f : [a, b]→ Rに対して次の条件は同値である.

(23)

1. fはリーマン積分可能である. 2. fの不連続点全体の集合B ={x ∈ [a, b] : f(x) > f(x)} は0集合をなす. 定理 2.73 (広義積分のコーシー判定法). 1. f, g : [a,∞) → Rを関数とする.任意のb > aに対して,f, g[a, b]上有界でリー マン可積分であるとする.|f(x)| ≤ g(x)で ∫ a g(x) dx が有限値として存在する ならば, ∫ a f (x) dx が存在する. 2. f, g : [a, c)→ Rを関数とする.任意のa≤ b < cに対して,f, g[a, b]上有界で リーマン可積分であるとする.|f(x)| ≤ g(x)で ∫ c a g(x) dxが有限値として存在す るならば, ∫ c a f (x) dx が存在する. 定理 2.74 (ガンマ関数の基本性質). n = 0, 1, 2,· · · とする. 1. Γ関数を定義している積分は収束する. 2. Γ(x + 1) = xΓ(x), x > 0. 3. 0! = 1と定義する. ∫ 0 tne−tdt = lim R→∞R 0 tne−tdt = n!. (71) とくに,nが自然数のとき,Γ(n) = (n− 1)!. 【注意】ガンマ関数Γ(x) = 0 tx−1e−tdt, x > 0を用いると, ∫ 0 tne−tdt が計算しや すい.実際,これはΓ(n + 1) = n!である. 定理 2.75 (ガンマ関数の特徴づけ). 1. k∈ Nに対して, Γ(k)(α) = 0 (log t)ktα−1e−tdt (72) が成り立つ.また,積分は次の意味で絶対収束している. ∫ 0 | log t|ktα−1e−tdt < (73) 2. Γ関数は次の条件が成り立つ2回微分可能な正値関数として特徴付けられる. (a) log φは凸関数. (b) φ(1) = 1.

(24)

(c) φ(x) = (x− 1)φ(x − 1), x > 1. 定理 2.76 (ベータ関数の基本性質). α, β > 0とする. 1. B(α, β) = ∫ 1 0 xα−1(1− x)β−1dx は収束している. 2. B(α, β) = Γ(α)Γ(β) Γ(α + β) となる. B(α, β)をベータ関数という. 定理 2.77 (Γ(12)とその周辺). 1. Γ ( 1 2 ) =√π. 2. −∞e −x2 dx =√π. 定理 2.78 (1/2公式). Γ(2x) =√πΓ(x)Γ ( x +1 2 ) , x > 0 となる. 定理 2.79 (ガンマ関数の相補公式). sin πx = π Γ(x)Γ(1− x)x∈ (0, 1)に対して成り 立つ. 定理 2.80. γ : (A, B)→ RnC1-級とする.つまり,γの各成分x1, x2,· · · , xnが微分 でき,その各成分が連続であるとする. L(γ) =b a v u u t∑n k=1 x′k(t)2dt となる. 定理 2.81 (有理数のコーシー列の書き換え,等号に関する注意). 有理数列{an}∞n=1⊂ Q につき次は同値である. 1. 任意の有理数ε > 0に対してそれに応じてあるN ∈ Nが決まり, m, n≥ N のときに, |am− an| < ε (74) が成り立つ. 2. 任意の有理数ε > 0に対してそれに応じてあるN ∈ Nが決まり, m, n > N のときに, |am− an| < ε (75) が成り立つ.

(25)

3. 任意の有理数ε > 0に対してそれに応じてあるN ∈ Nが決まり, m, n≥ N のときに, |am− an| ≤ ε (76) が成り立つ. 4. 任意の有理数ε > 0に対してそれに応じてあるN ∈ Nが決まり, m, n > N のときに, |am− an| ≤ ε (77) が成り立つ. したがって,これらの4条件はどれもコーシー列の定義として採用できる. 定理 2.82 (有理数のコーシー列の書き換え,N, εに関する注意). 有理数列{an}∞n=1⊂ Q につき次は同値である. 1. 任意の有理数ε > 0に対してそれに応じてあるN ∈ Nが決まり, m, n≥ N のときに,|am− an| < ε (78) が成り立つ. 2. 任意の有理数ε > 0に対してそれに応じてあるN ∈ Nが決まり, m, n≥ N のときに,|am− an| < 2ε (79) が成り立つ. 3. 任意の有理数ε > 0に対してそれに応じてあるN ∈ Nが決まり, m, n≥ N + 1のときに,|am− an| < ε (80) が成り立つ. 4. 任意の有理数ε > 0に対してそれに応じてあるN ∈ Nが決まり, m, n≥ N のときに,|am− an| < 1 2ε (81) が成り立つ. したがって,これらの4条件はどれもコーシー列の定義として採用できる. 定理2.83 (コーシー列に関する同値律). {an}∞n=1,{bn}∞n=1,{cn}∞n=1 を有理数のコーシー 列とする. 1. (反射律){an}∞n=1{an}∞n=1 は『同じ』である. 2. (対称律){an}∞n=1{bn}∞n=1 が『同じ』であるなら,{bn}∞n=1{an}∞n=1 は『同 じ』である.

(26)

3. (推移律){an}∞n=1{bn}∞n=1 が『同じ』で,{bn}∞n=1{cn}∞n=1 が『同じ』で あるなら,{an}∞n=1{cn}∞n=1 は『同じ』である. 定理 2.84 (コーシー列の有界性). 有理数のコーシー列は有界である. 定理 2.85 (有理数の稠密性). 有理数のコーシー列α = {an}∞n=1に対して,有理数列 αm ={am}∞n=1αに収束している. 定理 2.86 (コーシー列の言い換え). 有理数のコーシー列のコーシー列は収束列である. 定理 2.87 (有界な単調増大数列の性質). K ={kn}∞n=1 を有理数のコーシー列,{αm} = {{am,n}∞n=1} を有理数のコーシー列の列とする.もし, α1 ≤ α2 ≤ · · · ≤ αm≤ αm+1 ≤ · · · ≤ K (82) が成り立つならば,α ={αm}∞m=1 は収束する. 定理 2.88 (上限の存在). 実数の部分集合Aが次の条件を満たしているとする. あるMが存在して,a∈ Aならば,a≤ M となる. このとき,このようなMには最小値M0が存在する.つまり,次のような条件を満たし ているM0が存在する. 1. a∈ Aならば,a≤ M0となる. 2. m < M0であるなら,あるa∈ Aが存在して,a > mとなる.

(27)

3

定義の理解確認

定義 3.1 (極形式). z = a + bi, a, b∈ Rを0ではない複素数とする. 定義 3.2 (∞, −∞). 定義 3.3 (上界). 集合Aにつき,次の条件を満たしているM ≤ ∞のことを上界という. 定義 3.4 (上限). 実数の連続性とは,任意の空でない集合Aの上界には最小値M が存 在するという性質である.すなわち,次のような実数M がひとつだけ定まる. 1. 2. この数Msup Aと書く. 定義 3.5 (下界,下限). 空でない実数の部分集合Aにつき,次の条件を満たしている m≥ −∞のことを下界(かかい)という. 定義 3.6 (上に有界,下に有界,有界,非有界,数列の有界性). 実数の部分集合Aが与 えられたとする. 定義 3.7 (数列の記号). 定義 3.8 (単調数列). 実数列{an}∞n=1が与えられたとする. 1. {an}∞n=1が単調増大であるとは, 2. {an}∞n=1が単調減少であるとは, 3. 単調増大数列,単調減少数列を総称して単調数列という. 定義 3.9 (数列の上限,下限,上極限,下極限). 実数列{an}∞n=1が与えられたとする. 定義 3.10 (ε-δ式の収束,コーシー列の(再)定義). 1. 無限数列{ak}∞k=1αに収束するとは, 2. 無限数列{ak}∞k=1がコーシー列であるとは 3. 無限数列{ak}∞k=1に発散するとは, 4. 無限数列{ak}∞k=1−∞に発散するとは, 定義 3.11 (複素数列の収束,発散). {an}∞n=1 を複素数列とする. 1. n=1 an が収束するとは,

(28)

2. n=1 an が絶対収束するとは, 3. n=1 an が条件収束するとは, 定義 3.12 (2重数列). 定義 3.13 (有限集合,無限集合,可算集合,非可算集合). Aを集合とする. 1. Aが有限集合であるとは, 2. 無限集合 3. Aが可算集合であるとは, 4. 高々可算 5. 非可算集合 定義 3.14 (Rn). 定義 3.15 (Rnの演算,ユークリッド球). x = (x1, x2,· · · , xn), y = (y1, y2,· · · , yn), a∈ Rとする.ε > 0とする. 1. 和を 2. スカラー倍を 3. ノルムを 4. ε > 0に対して, B(x; ε) (83) と定める.x = 0のときは,x;を省略して,B(ε), B(ε)と表す. 定義 3.16 (開集合,閉集合,有界集合). A⊂ Rnとする. 1. Aが開集合であるとは, 2. Aが閉集合であるとは, 3. Aが有界集合であるとは, 4. Aの開集合とは, 定義 3.17 (写像). A⊂ RnB ⊂ Rm とする.f : A→ Bが写像であるとは, 定義 3.18 (写像による像集合,逆像集合). A⊂ RnB ⊂ Rm とする.写像f : A→ B が与えられたとする. 1. A0 ⊂ Aに対して,Bの部分集合をf (A0) =

(29)

2. B0 ⊂ Bに対して,Aの部分集合をf−1(B0) = 定義 3.19 (Rnの1点における写像の極限,連続性,連続写像). A⊂ Rnとする.また, 写像f : A→ Rmが与えられたとする. 1. a∈ Aとする. lim x→a, x∈Af (x) = α (84) とは, が成り立つことである. 2. a∈ Aとする.faで連続であるとは, (85) つまり, lim

x→a, x∈Af (x) = f (a) (86)

が成り立つことである. 3. fAで連続であるとは, 定義 3.20 (閉包). A⊂ Rnとする. 1. Aの閉包A2. Aの開核は 定義 3.21 (一様収束). 区間I で定義された実数値関数列{fn}∞n=1fに一様収束する とは, (87) が成り立つことである. 定義 3.22 (広義一様収束). 開集合U 上で定義された実数値関数列{fn}∞n=1 が広義一様 収束するとは 定義 3.23 (被覆,有限被覆,部分被覆). 1. {Uλ}λ∈Λ⊂ Rn とは (a) Λは何らかの集合で (b) λ∈ Λに対して,Rn の部分集合が与えられている ことである.このとき,{Uλ}λ∈Λ をRnの部分集合族という. 2. Rnの部分集合族{Uλ}λ∈Λ⊂ Rn に対して, ∪ λ∈Λ ={x ∈ Rn : 少なくとも一つのλ∈ Λにつき,x∈ Uλ} (88) と定める.

(30)

3. Rnの部分集合族{Uλ}λ∈Λ⊂ Rn に対して, ∩ λ∈Λ = (89) と定める. 4. Rnの部分集合族{Uλ}λ∈Λ⊂ RnAの被覆であるとは, A⊂λ∈Λ (90) が成立することである. (a) {Uλ}λ∈Λ⊂ Rn が開被覆とは被覆であり,それぞれの集合が開集合である ことをさす. (b) {Uλ}λ∈Λ⊂ Rn が有限被覆であるとは,Λが有限であることを意味する. (c) Λ0 ⊂ Λとする.このとき,{Uλ}λ∈Λ0 は{Uλ}λ∈Λ の部分被覆という. 定義 3.24 (コンパクト性). Aがコンパクトであるとは, 定義 3.25 (一様連続). A⊂ Rn とする.また,写像f : A → Rmが与えられたとする. fAで一様連続であるとは, (91) が成り立つことである. 定義 3.26 (連結集合,不連結集合,弧状連結集合,領域). A⊂ Rnとする. 1. Aが不連結であるとは,次の条件を満たしている開集合U, V が存在することである. (92) つまり,Aが不連結であるとは,Aの空ではない開集合の互いに交わらない和とし て表されることである. 2. Aが連結であるとは, 3. Aが弧状連結であるとは, 4. 弧状連結である開集合を 定義 3.27 (微分可能). I = (a, b)を開区間とする.fc∈ (a, b)で微分可能であるとは, (93) が存在することを言う.これは, lim x→cf,c(x) = 0 (94) となる関数を用いて (95) と表されることと同値であることに注意しよう.

(31)

定義3.28 (C1-級,Ck-級,C∞-級). a, b∈ Ra < bを満たしているとする.f : (a, b)→ RがC1-級とは 定義 3.29 (べき級数). 定義 3.30 (ex, sin x, cos xの定義). 1. ex = 2. sin x = 3. cos x = また,自然対数ee = e1= 1 + 1 + 1 2+ 1 6 +· · · + 1 n! +· · · (96) で定める. 定義 3.31 (対数関数). 1. 関数log x2. axと定める. 3. logab = と定める. 定義 3.32 (円周率). 定義 3.33 (tan). 定義 3.34 (逆関数). 1. sin : [ −π 2, π 2 ] → [−1, 1] の逆関数を 2. cos : [0, π]→ [−1, 1] の逆関数を 3. tan : ( −π 2, π 2 ) → Rの逆関数を 定義 3.35 (分割,細分,細分の幅). −∞ < a < b < ∞とする. 1. 数列{xi}Ni=0[a, b]の分割であるとは,

2. [a, b]の分割{yi}Mi=0[a, b]の分割{xi}Ni=0の細分であるとは,

3. {ξi}Ni=1[a, b]の分割{xi}Ni=0の分点であるとは,

4. {xi}Ni=0∈ D[a, b]に対して,

|∆| = (97)

(32)

定義 3.36 (上限和,下限和,リーマン上積分,リーマン下積分). 有界関数f : [a, b]→ R が与えられたとする. 1. [a, b]の分割∆ ={xi}Ni=0が与えられたとする.fの上限和と下限和はそれぞれ S(f ) = (98) s(f ) = (99) で与えられる. 2. リーマン上積分とリーマン下積分を ∫ b a f (x) dx = (100) ∫ b a f (x) dx = (101) で定める. 3. リーマン積分の値 定義 3.37 (原始関数,不定積分). 1. 関数fの不定積分とは, 2. ∫ f (x) dx 定義 3.38 (fxにおける振動量). 有界関数f : [a, b]→ Rに対して,xでの振動量を f (x) = (102) f (x) = (103) と定める.ここで, F (x) =      f (b) (x≥ bのとき) f (x) (a≥ x ≤ bのとき) f (a) (x≤ aのとき) と定めた. 定義 3.39 (0集合). E ⊂ Rが0集合であるとは, 定義 3.40 (広義積分). 1. f : [a,∞) → Rを関数とする.任意のb > aに対して,f[a, b]上有界でリーマ ン可積分であるとする.このとき, ∫ a f (x) dx (104) と定める.ただし,極限が存在しないならば,そのときは ∫ a f (x) dxは存在しな いと定義する.

(33)

2. f : [a, c)→ Rを関数とする.任意のa≤ b < cに対して,f[a, b]上有界でリー マン可積分であるとする.このとき, ∫ c a f (x) dx (105) と定める.ただし,極限が存在しないならば,そのときは ∫ c a f (x) dx は存在しな いと定義する. 3. f : [a, c)∪ (c, b]を関数とする.任意のa≤ A < c, c < B ≤ bを満たすA, Bにつき, f[a, A]上と[B, b]上でそれぞれ有界でリーマン可積分であるとする.このとき, ∫ b a f (x) dx = (106) と定める.ただし,両方の極限が存在しないならば,そのときは ∫ b a f (x) dx は存 在しないと定義する. 4. 上で定義していないそのほかの積分も類似の方法で定義する. 定義 3.41 (連続曲線の長さ). γ(t) = (x1(t), x2(t),· · · , xn(t))[a, b]からRnへの連続 曲線とする.γの長さL(γ)L(γ) = とおく. 定義 3.42 (数列の表記). 数列のあらわし方として, 定義 3.43 (有理数のコーシー列). {an}∞n=1⊂ Q がコーシー列であるとは, 定義 3.44 (有理数のコーシー列の相等). {an}∞n=1{bn}∞n=1を有理数のコーシー列とす る.これらが『同じ』であるというのは次の条件を満たしていることである. [条件] 定義 3.45 (有界数列). 数列{an}∞n=1が有界であるとは, 定義 3.46 (コーシー列の演算). {an}∞n=1,{bn}∞n=1 をコーシー列とする. 1. {an}∞n=1+{bn}∞n=1≡ 2. {an}∞n=1− {bn}∞n=1≡ 3. {an}∞n=1· {bn}∞n=1≡ 4. {bn}∞n=1 と0は『同じ』ではないとする.{an}∞n=1÷ {bn}∞n=1 定義3.47 (コーシー列の大小関係). {an}∞n=1{bn}∞n=1をコーシー列とする.{an}∞n=1 {bn}∞n=1 とは,

(34)

定義 3.48 (有理数コーシー列の列). {{am,n}∞n=1}∞m=1 が有理数のコーシー列の列である とは, 定義 3.49 (有理数コーシー列の列のなすコーシー列). 自然数m = 1, 2,· · · に対して, コーシー列αm ={am,n}∞n=1 が与えられたとする.有理数のコーシー列の列{αm}∞m=1 = {{am,n}∞n=1}∞m=1 がコーシー列であるとは, 定義 3.50 (有理数のコーシー列の列の収束). α = {αn}∞n=1を有理数のコーシー列とす る.有理数のコーシー列の列{αn}∞m=1 ={{am,n}∞n=1}∞m=1αに収束するとは,

(35)

4

定理の理解確認

定理 4.1 (ド・モアブルの定理). 定理 4.2 (実数の完備性). 1. 単調増加な数列{an}∞n=1に対して 定理 4.3 (コーシー列=収束列). 数列{an}n∈Nにつき,次の命題は同値である. 1. lim n→∞an が存在する. 2. 定理 4.4 (絶対収束,条件収束の言いかえ). {an}∞n=1 を複素数列とする. 1. n=1 an が絶対収束する必要十分条件は (107) が成立することである. 2. n=1 an が収束すると仮定する. n=1 an が条件収束する必要十分条件は (108) が成立することである. 定理4.5 (コーシー判定法). {an}∞n=1を複素数列とする.また,{bn}∞n=1を正数列とする. 定理 4.6 ((ライプニッツの)交項級数). 定理 4.7 (無条件収束の性質). {an}∞n=1を条件収束する実数列とする. 定理 4.8 (正値2重数列の和の順序交換). {am,n}∞m,n=1を正値2重数列とする.つまり, m, n∈ Nに対して非負の実数am,nが与えられているとする. 定理 4.9 (複素絶対収束2重数列の和の順序交換). {am,n}∞m,n=1を複素2重数列とする. 定理 4.10 (Rの非可算性). 定理 4.11 (可算集合の例と性質). 定理 4.12 (像集合,逆像の基本性質). f : X → Y を集合XからY への写像とする. A, B⊂ X, C, D ⊂ Y とする. 1. f (A∪ B)f (A)∪ f(B)が成り立つ.

参照

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