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PAGE 2 エグゼクティブサマリー グリーン グリッドは データセンター 及 びビジネスコンピューティング エコシステムのエネルギー 効 率 の 向 上 に 取 り 組 む 企 業 政 府 機 関 教 育 機 関 によって 構 成 される 世 界 規 模 のコンソーシアムです グリーン グリッド

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Academic year: 2021

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水使用効率性(

WUE™):

グリーン・グリッドが提案する

データセンターのサステナビリ

ティーについての指標

編集者:

Michael Patterson/Intel

寄稿者:

Dan Azevedo/Symantec

Christian Belady/Microsoft

Jack Pouchet/Emerson

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エグゼクティブサマリー

グリーン・グリッドは、データセンター及びビジネスコンピューティング・エコシステムのエネルギー効率の向上 に取り組む企業、政府機関、教育機関によって構成される世界規模のコンソーシアムです。グリーン・グリッド はこれまでに、電力効率性(PUE™)、データセンターエネルギー生産性(DceP™)、エネルギー再利用効率 性(ERE™)、データセンター計算効率性(DCcE™)などの一連の指標を開発してきました。グリーン・グリッド はデータセンターにおける水の使用効率を把握するためのこの新しい指標を提案します。水の使用効率は、 今後のデータセンターの設計、設置、運用において極めて重要な意味を持つようになる要素として注目を集 めています。この新しい水使用効率性(WUE™)をPUEや炭素利用効率性(CUE™)指標とともに使用するこ とによって、データセンターの運用者はそれぞれのデータセンターの水、エネルギー、二酸化炭素をサステナ ビリティーの観点から迅速に評価して結果を比較検討し、エネルギー効率やサステナビリティーの改善の必 要性の有無を判定できるようになります。PUEはすでに業界に広く普及していますが、WUEはPUEの延長線 上に位置する指標であり、xUE指標群をさらに充実させるものです。 xUE指標は、データセンターのエネルギーやサステナビリティーに関する重要な各種要素の把握に役立つこ とから、グリーン・グリッドは引き続きデータセンターの生産性などを対象とする高度な指標の開発を推進しま す。これらの指標の普及や、世界中の企業、教育機関、政府機関のデータセンターのエネルギー効率の改 善を推進するために、グリーン・グリッドは今後もホワイトペーパーや技術関連文書、書籍、記事を通じた情 報発信を続けるとともに、これらの指標の使用方法を詳しく説明するための技術フォーラムの運営や同様の ビジョンや目標を掲げる組織との連携構築に取り組みます。

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目次

I. はじめに...3

II. サステナビリティー関連の指標:PUE、CUE™、WUE™...3

III. 水使用効率性(WUE)...4

IV. WUEとWUEsourceの適切な使用方法...7

V. 長期的な展望...9 VI. まとめ...9 VII. グリーン・グリッドについて...10 VIII. 付録A. エネルギー・水相関係数...11

I. はじめに

複数の指標を使用することにより、IT組織は既存のデータセンターのサステナビリティーをより正確に把握し てその改善を図ることができるだけでなく、新しいデータセンターの展開についても、より的確な判断をできる ようになると、グリーン・グリッドは確信しています。 なぜサステナビリティーの向上が必要なのでしょうか。それは、データセンターのエネルギー消費量、二酸化 炭素排出量、そして水の使用量が、成長戦略や立地戦略、アウトソーシング戦略についての企業の決断に 影響を及ぼすためです。すでに電力効率性(PUE™)指標は、インフラのエネルギー効率の測定に有効な ツールであることが業界で認められています。しかし、資源の利用効率を高めて業務効率を最大化し、資源 や環境への影響を抑制することは、業界にとっての重要な課題です。データセンターのサステナビリティーを 改善することによって、IT組織はコンピューティング、ネットワーク、ストレージに対する需要の増大を適切に 管理し、エネルギーコストを削減して総所有コスト(TCO)を抑制しつつ、競争力を維持して将来のビジネス ニーズに対応できるようになります。特に炭素税および水のコストや権利について考えると、将来におけるリ スクの発生は確実です。企業はこのような問題に対して積極的に取り組むことによって、ビジネスリスクを引 き下げて潜在成長力を高め、環境コストを適切に管理できるようになります。

II. サステナビリティー関連の指標:PUE、CUE™、WUE™

新しいデータセンターの設立を検討する前に既存のデータセンターの最適化が可能であるかどうかを判断す る場合に、データセンターのサステナビリティーを把握するための指標やプロセスが役立つことが理想です。 そのためグリーン・グリッドは、二酸化炭素排出量を把握するための二酸化炭素使用効率性(CUE)指標に 続き、データセンターにおける水の利用状況を把握するための水使用効率性(WUE)指標を発表しました。 二酸化炭素の排出量と水の使用量は、今後のデータセンターの設計、立地、運用における極めて重要な検 討事項として注目を集めています。PUE、CUE、WUEを組み合わせて活用することにより、データセンター運 用者はデータセンターの重要なサステナビリティーを迅速に評価してその結果を比較検討し、エネルギーの 利用効率やサステナビリティーの改善の必要性の有無を判断できるようになります。xUE指標群は、データ

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センターの構築、委託、運用、廃止に関連するエネルギー、環境、社会およびサステナビリティーの各パラ メータをデータセンターコミュニティが適切に管理できるよう支援するために策定された指標であり、WUEはこ の指標群における(PUE、CUEに続く)第3の指標です。 PUEやCUEと同様に、WUE指標はIT機器のエネルギー量を分母として使用します。PUEまたはCUEのこの 値が決まると、この新しい指標にも同じ値を分母として使用します。このような構造面での共通性は、これら の指標の関連性の維持やその迅速な導入に役立ちます。 PUEとの相違点としては、WUEとCUEには次元がある点が挙げられます(下記のセクションⅢを参照)。 PUEには単位がなく、その値はエネルギー量をエネルギー量で除算することによって求められます。もうひと つの重要な相違点が、値の範囲です。PUEの理想値は1.0ですが、この値はその施設内で使用されるすべ てのエネルギーがIT機器に供給されることを意味します。PUEには理論上の上限はありません。CUEと WUEの理想値は0.0で、この値はデータセンターの業務では二酸化炭素の排出や水の使用が発生していな いことを意味します。CUEとWUEもまた、PUEと同様に理論上の上限はありません(PUEの算出方法の詳細 については、グリーン・グリッドのホワイトペーパー#22「グリーン・グリッドのインフラ指標(PUE/DCiE)の使 用と公開報告のためのガイドライン」を参照してください1)。 この3つの指標はすべて、データセンター業務を対象とし、データセンターやIT機器のライフサイクル全体での 環境負荷は対象外となります。これはたとえば、データセンターの建築やIT機器の製造プロセスにおける水 の使用量の把握を目指すとすれば、WUE指標の測定、算出、使用が極めて困難になるためです。グリーン・ グリッドは、業界のサステナビリティー全体においてはライフサイクル全体での把握が重要な意味を持つと考 えますが、現実的な観点から、現時点ではこれらの要素をWUE指標から除外しました。ライフサイクル全体 での検討は、グリーン・グリッドの今後の課題です。現在は、WUEの対象範囲を施設での業務やソースエネ ルギーの生成プロセスにおける水の使用量に限定しています(スコープ1とスコープ2の温室効果ガス排出量 と同様2)。

III. 水使用効率性(WUE)

データセンターでの水の使用効率に関するこの指標は、ハイレベルでは次のように定義されます。 機器のエネルギー量 年間の水の使用量 IT WUE= (1) WUEの単位は、リットル/キロワット時(L/kWh)です。 1 http://www.thegreengrid.org/ja-JP/Global/Content/white- papers/Usage%20and%20Public%20Reporting%20Guidelines%20for%20PUE%20DCiE 2 http://www.epa.gov/greeningepa/glossary.htm#s

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データセンターに関連する水の使用量は、様々なレベルにおいて複雑な問題です。WUEについては、「ソー スベース」対「サイトベース」の考え方で指標を検討する必要があります。最も重要な問題は、水の使用量や 施設での水の使用戦略の変更が、その他の施設における使用量のパラメータに影響を及ぼすことが多いだ けでなく、別のユーティリティのサプライチェーンもこれによって変化する可能性があることです。施設内での 水の使用量については、数多くの削減方法があります。最も魅力的な方法は、単純に最適な設計を採用して 業務効率を高め、既存のシステムを調整する手法です。これはたとえば、施設の再点検時に実行できます。 この業界には、あるコンピューター室の空調(CRAC)ユニットでは除湿機能を、別の空調ユニットでは加湿機 能を作動させて水とエネルギーを浪費するという悪い冗談のような話が数多くあるのが現実です。また、デー タセンターの多くはいまだにASHRAE 2008の拡大された環境条件を採用していません。この条件を採用す ると、推奨の最低湿度を露点温度=5.5°C(42°F)に引き下げることができます。 このような変更を行なった場合、水の使用量は減少しますが、それと引き換えにエネルギー使用量が増加し ます。これは、(水処理システムでの)化学物質の使用量の増大に起因するものです。このエネルギー使用 量の増加によって、「サイト」と「ソース」の両方で特有の変化が発生します。前述のように、施設内での水の 使用量が減少すると、関連するエネルギーコストが発生する可能性があります。水の使用量の減少と購入ま たは生成するエネルギー量の増大というトレードオフは、施設レベルでは魅力的な場合もあります。しかし、 地域や流域レベルで水の使用量を最小限に抑えることを目指すとすれば、このような変化によって、検討を 要する悪影響が発生する可能性があります。発電には大量の水が必要となるためです。必要な水の量は発 電方法によって異なりますが、今日の発電方法においては、ほとんどの場合に非常に多くの水が使用されま す。3 つまり、施設における水の使用量の削減が電力使用量を増大させ、最終的には発電所における水の 使用量の増加につながる可能性があるのです。立地、ビジネス戦略、財務上の課題など多くの要因によって、 水の使用量の増加とエネルギー使用量の減少が望ましい場合もあれば、エネルギー使用の増加と水の使用 量の減少が望ましい場合(砂漠など)もあります。そして、どのような状態が望ましいかにかかわらず、PUE、 CUE、WUEはビジネス面での意思決定を支援する有用なツールとして機能します。 たとえばあるデータセンターで、水の蒸発を冷却メカニズムとして使用するチラーベースの冷却塔ではなく、 水を必要としない直接膨張式(DX:冷媒方式)冷却機を選択したとします。この施設では、DXベースの冷却 システムにより、確実に水の使用量が減少します。しかしその一方で、このシステムは蒸発ベースの技術より も効率が低いために、エネルギーの使用量が増大します。エネルギーの生成方法によっては、このエネル ギー使用量の増大が発電所での水使用量の増大につながることになります。その場合には、水の使用があ る施設から別の施設にシフトしただけに過ぎず、エコシステム全体での水の使用量が実質的に増加する可能 性があります。 3 たとえば、2008年のミネソタ州では、14,040億ガロンの取水のうち、半分以上(8,380億ガロン)が発電に使用 され、第2位の水道水供給量はそれよりもはるかに少ない2,170億ガロンでした。 http://www.dnr.state.mn.us/waters/watermgmt_section/appropriations/wateruse.html

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以上のことから、グリーン・グリッドは少なくともソースベースとサイトベースの2つのWUE指標は有用であると 確信しています。グリーン・グリッドは今後の活動の一環として、それぞれのレベルにおける詳細な調査と個 別の提言に向けた取り組みを行います。 二酸化炭素排出量の説明に使用される直接(スコープ1)と間接(スコープ2)の定義に即して、グリーン・グ リッドはこの新たな指標を次のように定義します。 • WUE:データセンター業務用に施設内で使用される水量を評価するサイトベースの指標。これには、 加湿に使用される水や、エネルギーの生成やデータセンターおよびそのサポートシステムの冷却用 に施設内で蒸発させる水が含まれます(二酸化炭素のスコープ1と同様)。 • WUEsource:施設内で使用される水と、施設内で使用するエネルギーを生成するために施設外で使 用される水を含めたソースベースの指標。通常は、発電元で使用される水量と施設内で使用される 水量を合計します(二酸化炭素スコープ2と同様)。 機器のエネルギー量 使用量 サイトでの年間の水の IT WUE= (2) 機器のエネルギー量 使用量 施設内での年間の水の 年間の水の使用量 エネルギー供給元での IT WUEsource= + (3) エネルギーの供給元での水の使用量を把握するには、その施設におけるエネルギーの総使用量を明らかに する必要があります。施設の総エネルギー量はPUEの分子であり、データセンターとそのインフラの運用の みに使用されるエネルギー(データセンター以外の機能部門が存在する多目的ビルの場合には、この点が特 に重要)で、供給元のユーティリティ企業または施設内での発電において計測されたエネルギーの年間平均 使用量として定義されます。 この値を算出して、エネルギーの生成に使用された水量に基づくエネルギー・水相関係数(EWIF)と組み合 わせて活用できます。EWIFと火力発電の各地域の値についての詳しい説明は、付録Aに記載されています。 付録Aには、設置場所によらない値と設置場所ごとに異なる値の2つのテクノロジーベースEWIF値が記載さ れています。地域によっては、その地域に特化した詳細な情報を入手できる場合もあります。各地域の値に ついての情報源としては、米国立再生可能エネルギー研究所(NREL)の技術レポート「発電に対する水消費 量」などが挙げられます。4火力発電以外の発電についてのEWIFの開発も予定していますが、太陽光、風力、 水力による発電の場合には、基本的にはこの値は0となります。また、米国全体での平均値は1.8リットル/ キロワット時です。ソースエネルギーからの年間の水使用量は、各エネルギー源に占めるその年に使用され た水量の割合によって決まります。WUEsourceは次のように算出します。

4 Consumptive Water Use for U.S. Power Production, P. Torcellini, N. Long, and R. Judkoff, 2003,

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[

]

機器のエネルギー量 使用量 サイトでの年間の水の IT PUE EWIF WUEsource= × + (4) IT機器のエネルギー量(1から4の式で使用)とは、データセンター内でデータを管理、処理、保存、転送する ためにIT機器で使用された年間エネルギー量として定義されます。PUEは年間のPUEです。 これらの指標を構成する負荷の各要素を理解しておくことが重要です。次の説明を確認してください。 • IT機器のエネルギー量:これには、すべてのIT機器に関連する負荷が含まれます。この機器とは、 データセンターの監視や制御に使用されるコンピューター、ストレージ、ネットワーク機器や、KVMス イッチ、モニター、ワークステーション/ラップトップなどの補足装置などです。 • 施設の総エネルギー量:前述したすべてのIT機器のエネルギーと、IT機器の負荷を支えるすべての エネルギー量が含まれます。具体的には、次のような要素があります。 – 電力供給関連:UPS、開閉装置、発電機、PDU、バッテリー、IT機器外部での配電損失など – 冷却システム関連:チラー、CRAC、DXエアハンドラユニット、ポンプ、冷却塔など – その他のさまざまな負荷:データセンターの照明など • 年間の水の使用量(サイトおよびソース):これには、データセンターでの業務やその運用で使用さ れるすべての水の量が含まれます。具体的には、次のような用途での使用が対象となります。 – 加湿 – データセンターやデータセンター関連の発電機器の冷却に使用される水(冷却塔での蒸発、ブ ローダウン、ドリフトなど) – エネルギーの生成に使用される水。施設外での発電に使用される水は、WUEsource指標のみの 対象となる。施設内での発電に使用される水は、WUEとWUEsourceの両方の対象となる。

IV. WUEとWUE

source

の適切な使用方法

実際には、WUEは極めて簡単に測定でき、2つの指標うち報告対象となることが多いです。これはまた、運用 施設での水の使用量を最適化するための最も単純な指標です。最適化は、次の取り組みを通じて実現でき ます。 • ITエネルギーの使用量の削減と、それによる冷却需要の抑制および水の使用量の削減 • 湿度管理システムの最適化と、ASHRAE推奨の最低湿度(露点温度5.5°C)でのデータセンターの 稼動 • 冷却塔(使用している場合)運転の濃縮倍数適正化による補給水量の削減

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• 該当するすべてのベストプラクティスの気流管理戦略の実行による冷却効率の改善 • ASHRAE推奨の上限温度前後でのデータセンターの運用による、冷水温度の上昇への対応と冷水 生成のための水の蒸発量の削減(冷却プラントによって異なる) 一方WUEsourceは、データセンターの施設計画や設計についての意思決定に使用する指標で、次のような課 題の検討に役立ちます。 • 想定施設の水の総使用量の判定(エネルギー生成における水の使用量を含む) • 選択した冷却システムの設計によって施設における水の使用量が削減される一方で、エネルギーの 使用量が増大し、結果的に水の使用量に対するデータセンターの全体的な影響度が高まる可能性 についての検討 • 湿度および気温が低い場所(気流面での節約オプション)と湿度および気温が高い場所を比較し、 施設内と施設外(発電所)の水の使用量を抑制できる可能性についての検討。この場合、WUEが改 善され、WUEsourceはそれ以上の改善となる グリーン・グリッドは、WUEとWUEsourceの両方が優れた価値を持ち、その適用においては、それぞれが独立 しながらも緊密に連携していることを確認しています。少なくとも、既存の施設ではその業務の最適化にWUE を使用し、データセンター以外での水やエネルギーの使用量に影響を及ぼす決定にはWUEsourceを使用する 必要があります。 つまり、WUEは次の事柄の判断に効果を発揮します。 • データセンターのサステナビリティーの改善機会 • 同種のデータセンターとの比較方法 • データセンター運用者による設計や処理の長期的な改善効果の確認 • 代替の冷却方法または水を使用しない再生可能電源についての検討機会 • さまざまな使用状況のシナリオや運用条件などに基づいて、PUE、CUE、WUEを比較することによ る、エネルギー効率戦略におけるトレードオフ グリーン・グリッドは、短期的な取り組みとして、データセンターの所有者に対し、事業のサステナビリティーを 改善するためのWUEやWUEsource指標の導入方法の検討に着手することを提案します。これらの指標につ いての確立した定義はありません。したがって現時点では、これらの活用においては実際の計測よりも推定 や計算に比重が置かれることになります。しかしグリーン・グリッドは、データセンターでの二酸化炭素排出量 と水の使用量の両方について検討し、その業務におけるxUE指標群(PUE、CUE、WUE)の算出を開始する ことに重要な意味があると考えます。グリーン・グリッドはまた、データセンターの所有者に対し、それぞれの PUE、CUE、およびWUE結果を共有することを推奨しています。このような取り組みは、測定方法の分析や 業界全体での結果の比較方法の理解に役立ちます。

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V. 長期的な展望

この短いホワイトペーパーには、WUEを算出、測定、使用するための方法については、詳しく記載していませ ん。グリーン・グリッドは今後、この指標について詳細に説明する予定です。しかし、透明性と緊急性に対する この業界の姿勢を踏まえ、このホワイトペーパーを公表して、WUEなどのxUE指標の共有を進めて業界での 議論を求めることにしました。今後は、下記の項目についてホワイトペーパーの発表を検討しています。 1. WUEの詳細な決定プロセス 2. サイト用とソース用のWUEの開発と、それぞれの使用方法および使用時期 3. 多目的ビルでのWUEの決定プロセス 4. 施設で使用している複数の水源についての詳細な検証 5. 水質(一般には化学物質の含有量)、水源、温度などの詳細データや、特定の水使用スキームのサ ステナビリティー基準に影響を及ぼす要素の詳細データ 6. データセンター施設外のユーザーへの再生・再利用済みエネルギーおよび水の処理方法(データセ ンター施設内での水の再生・再利用によるWUEの改善とその成果) 7. 二酸化炭素/温室効果ガスや、供給された水(kgCO2/liter)に含まれるエネルギーの把握。水処理 そのものが大量のエネルギーを要するプロセスとなる可能性があるため、これについての検討が必 要になる。たとえば、海水の脱塩処理には、融雪水を水源とする水源地からの引水よりもはるかに 多くのエネルギーを要する。また、給水過程で水が蒸発する可能性があることから、水の汲み上げと 給水も重要な要素となる。将来的には、これらの要素をWUEscope3指標に組み込むことも視野に入 れる。さらに、水に関連するこの他のパラメータも、全体のバランスに影響を及ぼす可能性がある。 たとえば、温水または冷水のどちらを使用するかや、そのために費やされるエネルギー量がこれに 該当する 8. 水と二酸化炭素の会計の開発と組み込み 9. 二酸化炭素、水、エネルギーのライフサイクル面からの検討 将来的には、PUE、CUE、WUE、そして供給されるすべてのエネルギーと水の構成、施設内で生成されるエ ネルギー、保存エネルギー、天然資源などを勘案して、データセンターの設置場所、設計、構造、インフラを 決定することになるはずです。上記のリストの6番の項目について理解を深めることにより、これらに関する議 論を一段と深めることができます。

VI. まとめ

グリーン・グリッドは、この新しいCUEとWUEの指標がPUEと同様にプラスの影響をこの業界にもたらすと考 えています。これらの指標は、業界の一体化を進めるための大きな機会となります。またグリーン・グリッドは 業界の他のステークホルダーに対して、グリーン・グリッドとともにWUEを構築することをお勧めしています。 そのうえでグリーン・グリッドは、PUE、CUE、WUEに改善の余地があることを十分に自覚しつつ、その活用 を推奨します。

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VII. グリーン・グリッドについて

グリーン・グリッドは、データセンター及びコンピューティング・エコシステムのエネルギー効率の向上に取り組 む企業、政府機関、教育機関によって構成される世界規模のコンソーシアムです。グリーン・グリッドは特定 のベンダの製品やソリューションを推奨するのではなく、データセンター全体のエネルギー効率の向上に役立 つベストプラクティス、指標、技術を業界全体の視点から推奨することを目指しています。グリーン・グリッドに はデータセンターの運用効率に関心を持つ組織が加入でき、推進会員、一般会員、アソシエイト会員のメン バーレベルで構成されます。詳細については、www.thegreengrid.orgをご参照ください。

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VIII. 付録A. エネルギー・水相関係数

WUEsourceの算出には、エネルギー・水相関係数(EWIF)が不可欠です。EWIFの値とは、エネルギーの生成

に使用された水の測定量です。多くのエネルギー生成方法は、そのプロセス(主に冷却段階)において大量 の水を使用します。施設の選択やシステム設計にあたっては、データセンターのエネルギー供給元でのエネ ルギー生成における実際の水の使用量を検討する必要があります。 表A-1. グリーン・グリッド推奨のEWIF値(地域の特定データが不明な場合) 発電方法 推奨EWIF L/kWh) コメント 水力 0 発電では、水使用量の最大部分を蒸発が占める。しかし、水力発電所の 貯水池で蒸発によって失われる水量が、火力発電で冷却によって失われ る水の量よりも多い場合には、蒸発量はエネルギー使用量の増加や減 少に応じた限界率とはならない。データセンター用の水力発電所を建設 する場合には、68 L/kWhのEWIFを使用する。 太陽光(PV) 0 太陽光(集光型) 3.3 風力 0 石炭 2.2 二酸化炭素隔離の石炭の場合には、2.8 L/kWhを使用 原子力 3.3 天然ガス 0.8 不明 1.8 米国全体の火力発電所単位の値 EWIF値は、本ペーパーのセクションIIIで引用しているNRELの「発電に対する水消費量」テクニカルレポート で使用されている算出方法に基づき、火力発電には5%の発電損失や9%の送電損失などを適用しています。 上記のEWIF値は、「水源に対するエネルギー需要、エネルギーと水の相互依存に関する会議への報告(米 エネルギー省、2006年)」5とNRELレポートから算出しています。 表A-2. 米国の各地域のEWIF値(「発電に対する水消費量」から引用)(L/kWh) 西部インターコネクト 1.4 東部インターコネクト 1.9 テキサスインターコネクト 1.7 米国合計 1.8 5 http://www.sandia.gov/energy-water/docs/121-RptToCongress-EWwEIAcomments-FINAL.pdf

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A-3. 米国の各州のEWIF(「発電に対する水消費量」から引用)(L/kWh)

EWIF EWIF EWIF

アラバマ 0.53 ルイジアナ 5.91 オクラホマ 1.93 アラスカ 1.17 メイン 1.10 オレゴン 3.10 アリゾナ 1.21 メリーランド 0.11 ペンシルバニア 2.04 アーカンソー 1.10 マサチューセッツ 0.00 ロードアイランド 0.00 カリフォルニア 0.19 ミシガン 1.89 サウスカロライナ 0.98 コロラド 1.93 ミネソタ 1.67 サウスダコタ 0.04 コネチカット 0.30 ミシシッピ 1.48 テネシー 0.00 デラウェア 0.04 ミズーリ 1.17 テキサス 1.67 D.C. 6.09 モンタナ 3.63 ユタ 2.16 フロリダ 0.53 ネブラスカ 0.72 バーモント 1.32 ジョージア 2.27 ネバダ 2.12 バージニア 0.26 ハワイ 0.15 ニューハンプシャー 0.45 ワシントン 1.10 アイダホ 0.00 ニュージャージー 0.26 ウェストバージニア 2.23 イリノイ 3.97 ニューメキシコ 2.38 ウィスコンシン 1.85 インディアナ 1.55 ニューヨーク 3.22 ワイオミング 1.85 アイオワ 0.45 ノースカロライナ 0.87 カンザス 2.20 ノースダコタ 1.36 ケンタッキー 4.16 オハイオ 3.60

表 A-3.  米国の各州のEWIF(「発電に対する水消費量」から引用)(L/kWh)

参照

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