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初妊婦の胎児への愛着と生活行動との関連

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市立札幌病院(Sapporo City General Hospital)

2011年 5 月12日受付 2011年12月17日採用

原  著

初妊婦の胎児への愛着と生活行動との関連

The relation between maternal-fetal attachment

and behavior in daily life of primigravid women

相 馬 深 輝(Miki SOUMA)

* 抄  録 目 的  初妊婦の生活行動の実態を明らかにし,胎児への愛着と生活行動との関連を検証すること。 方 法  対象は,妊婦健診を受診している妊娠末期の初妊婦1024名で,北海道内の産科施設40か所に無記名 自己記入式質問紙の配布を依頼,郵送法によって回収した。質問紙は,基本的属性,妊娠関連事項,胎 児愛着尺度(PAI)日本語版翻訳,エディンバラ産後うつ病自己調査表(EPDS)日本語版,Rosenbergの 自尊感情尺度日本語版,妊娠前後の生活行動(食生活,睡眠,運動)の項目で構成した。分析は記述統 計およびノンパラメトリック検定を行なった。 結 果  回収した質問紙575部のうち対象選定基準に適う440名を分析対象とした(有効回答率43.0%)。年齢 は平均29歳,妊娠週数は28∼39週であった。PAIと関連があった項目は,妊娠の希望と計画性,妊娠 が分かった時の気持ち,乳幼児に感じているイメージ,高い自尊感情であった。また,妊娠後の生活行 動でPAIと関連があった項目は,規則的な食事,鉄分を含むものの意識的摂取,日中の睡眠時間,運動 習慣であった。 結 論  本研究より,妊婦の胎児への愛着と関連していた生活行動は,規則的に食事をとること,鉄分を含む ものを意識的に摂ること,日中の睡眠時間の確保,継続的な運動習慣であった。これらの生活行動を把 握することにより,胎児への愛着を推察できることが示唆された。胎児の健康と成長を大切にする妊婦 の意識が,自身の健康に努める生活行動の内発的動機づけとなっていることが推察された。 キーワード:初妊婦,胎児,愛着,生活行動 Abstract Purpose

The purpose of this study is to examine this relation between maternal-fetal attachment and behavior in daily life of primigravid women.

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Methods

The participants of this study were 1,024 primigravid women in their third trimester that had already under-gone an antenatal examination. Anonymous questionnaire were distributed to 40 hospitals and maternity centers in Hokkaido and returned by mail. Contents of the questionnaire consisted of information concerning fundamental at-tributes, pregnancy-related variables, Japanese translations of the Prenatal Attachment Inventory (PAI), Edinburgh Postnatal Depression Scale (EPDS), Rosenberg Self-Esteem Scale, and questions about participants' behavior in daily life during pregnancy (such as meal habits, sleeping and exercise). Data were analyzed using descriptive sta-tistical analysis and nonparametric test.

Results

Of the 575 questionnaires collected, 440 were relevant to the analysis (valid response rate=43.0%). The average age of the subjects was 29, they were between 28 and 39 weeks gestation at the time. Issues that showed significant differences during the height fluctuations of maternal-fetal attachment concerned hopes and plans for the preg-nancy, feelings of the pregpreg-nancy, images of the feelings and experiences subjects would have concerning the in-fant's care (ages 0-6 years), high self-esteem, meal habits during pregnancy, consciousness of consuming foods with higher iron content, sleeping during the day and exercise habits.

Conclusion

It is clinically useful to consider the behavior in daily life such as meal regularity, consciousness of consuming foods with higher iron content, allotting time to sleep during the day, and exercise as an objective index. These are issues that improve the maternal-fetal attachment. Research findings to date indicate that the consciousness of the primigravid women which values fetal well-being and growth serves as intrinsic motivation of the behavior in daily life of health.

Key words: primigravid women, fetus, attachment, behavior in daily life

Ⅰ.緒   言

 妊娠期はわが子を迎えるために重要な準備期であ る。この時期に形成された妊婦の胎児への愛着は,産 後の母親の新生児への愛着に繋がることが明らかであ り(Muller, 1996;大村・光岡,2006),母子相互関係 の基盤は妊娠期にある。  妊婦の胎児への愛着に関する研究は,その形成プロ セスや関連要因について検討されており,胎動知覚に より胎児の存在認識が高まり胎児への愛着が強化され ることは明らかである(Siddiqui & Hagglof, 2000a; 辻野・雄山・乾原他,2000;佐藤,2004)。一方,妊娠 の受容やソーシャルサポート,不安・ストレスなど の心理社会的側面との関連は,個人差が大きいため知 見の一致が得られていない(成田・前原,1993;山本, 1996;Laxton & Slade, 2002;榮,2004;佐藤,2004;

Cannella, 2005)。有効な結果と論拠を追究には,身体

的側面を包含した検証が有用であると示唆されている (Laxton & Slade, 2002;Cannella, 2005)。

 心身両面の結びつきについて,一般成人では,栄養 バランスや睡眠を整えること,適度な運動習慣など, 健康的な生活と精神的健康との関連が報告されている (北村,2000)。また,妊娠生活におけるアタッチメン ト発達へのケアについて,胎児の発育にハイリスク要 因となる有害物質の摂取を避け,妊婦自身が行動に責 任をもつように妊婦健診時に働きかけることが有効で あると報告されている(Laxton & Slade, 2002)。さら に近年増加している乳幼児虐待の前段として,妊婦が セルフケアを怠り胎児の健康を守るための適切な対応 ができないことは,胎児へのネグレクトとして支援を 開始すべきであると報告されている(片山・坂哉・福 田他,2004;奥山,2006)。したがって,妊婦が胎児を 意識し胎児のために生活基盤を整える行動は胎児への 養育行動であり,出産後には子どもに合わせた生活リ ズムに変化していく重要なプロセスである。行動には 目にみえない感情や思考も含まれており,行動の観察 により個人内における感情や思考を客観的に捉えるこ とができることから(足達,2006),心身両面への健康 に影響する妊婦の生活行動と胎児への愛着との関連が 推察される。  これらのことから,妊婦を心身両面からホリスティ ックに捉え,生活行動と胎児への愛着との関連につい て検証することが新しい視点になる。

Ⅱ.研 究 目 的

 初妊婦の生活行動の実態を明らかにし,胎児への愛 着との関連を検証する。

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本,1996;Siddiqui & Hagglof, 2000a;辻野・雄山・ 乾原他,2000;Laxton & Slade, 2002;榮,2004;佐藤,

2004)。これらに基づき,妊婦の基本的属性,妊娠関 連事項,胎動知覚による胎児の存在認識を含む心理的 状態を包含した妊婦の胎児への愛着が,妊婦の生活行 動と関連している。 3.調査項目と内容 1 ) 基本的属性および妊娠関連事項  年齢,家族構成,就労状況,妊娠週数,妊娠の希望 と計画性,妊娠の受容,乳幼児(0∼6歳)の世話や遊 びの経験と乳幼児(0∼6歳)に感じているイメージ(か わいい・無邪気などプラスイメージ,うるさいがかわ いい・かわいいが疲れるなど混在型イメージ,理解す るのが大変・苦手などマイナスイメージ) 2 ) ソーシャルサポート  サポートの有無,そのサポート者とサポート内容 (気持ちを理解してくれるなどの情緒的サポート,助 言をくれるなどの情報的サポート,身近にいるなどの 交友的サポート,家事を手伝ってくれるなどの手段的 サポート) 3 ) 心理的状態  (1)母親の胎児への愛着尺度(PAI)日本語版翻訳  Muller(1993)が開発したPAI(Prenatal Attachment Inventory)を日本語版翻訳し(辻野・雄山・乾原他, 2000), 信 頼 性 が 確 認 さ れ て い る も の(Cronbach's α=0.89)を研究者の許可を得て使用した。これは母親 が胎児に抱く愛着を測定する21項目からなる質問紙

Ⅲ.研 究 仮 説

 妊婦の健康的な生活行動は,胎児の存在および胎児 の健康と成長を願う意識に基づいている。夫や家族を 含むソーシャルサポートの中で,胎児の存在認識と胎 動知覚を含めた妊婦の身体的・心理的状態が相互に影 響し合う妊婦の胎児への愛着が,妊婦の生活行動と密 接に関連する。

Ⅳ.用語の操作的定義

1.胎児への愛着  妊婦が抱く胎児のイメージは,自己の一部を成す内 部器官として1つのシステム統合体の中に含まれる生 命体であり,赤ん坊に起こることは全て自分に起こる ことと捉えている(Rubin, 1996)。本研究では,妊婦 が胎内に生命を宿している自分の身体を意識し大切に すること,胎児を愛おしいと思う肯定的感情を抱くこ とを胎児への愛着と定義する。 2.生活行動  本研究では,妊婦の心身の健康状態を保ち胎児の健 康に影響する生活行動として,厚生労働省の21世紀 における国民健康づくり(健康日本21)による身体及 びこころの健康を保つための三要素「食生活」「運動」

「休養・睡眠」(厚生労働省,2008)と,Breslow &

Bel-loc(1972)による健康習慣の視点から捉える。

Ⅴ.研 究 方 法

1.研究対象の選定  研究対象は,妊婦健診を受診した妊娠末期の初妊 婦である。妊娠末期は胎児への愛着が最も高まり新 生児への愛着に影響力を持つ時期である(成田・前原, 1993;山本,1996;辻野・雄山・乾原他,2000;榮, 2004;佐藤,2004;Cannella, 2005)。また,妊娠中の 生活行動において,経妊婦は長子との生活が影響する 可能性が高いため初妊婦を対象とした。 2.調査枠組み  研究仮説より,調査枠組みを作成した(図1)。妊婦 の胎児への愛着は,胎動知覚や胎児の存在認識,妊娠 関連事項やソーシャルサポートなど,形成プロセスや 関連要因に関する報告がある(成田・前原,1993;山 食習慣・睡眠状態・運動状況 夫・実母,その他サポート 基本的属性・妊娠関連事項 胎動知覚や胎児の存在認識 心理的側面 〈ソーシャルサポート〉 〈妊婦の生活行動〉 〈妊婦の胎児への愛着〉 本研究 視点 図1 調査枠組み

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で,母親の胎児への思いや行動を表すものであり,同 時に産後の母親の新生児への愛着との関連についても 認められている。 (2)エディンバラ産後うつ病自己調査表(EPDS)日 本語版  スクリーニングテストとして考案された10項目か らなる自己調査表で,産後の母親のうつ病を検出する ための特別な尺度としてだけではなく,うつ病のスク リーニングとして,妊婦や産後の母親のパートナーで ある父親,末期疾患患者などに使用されている(John & Jeni, 2003)。産後うつ病に対して,産前スクリーニ ングとして役立つことが示唆されている。  (3)Rosenbergの自尊感情尺度日本語版  Rosenberg(1965)が作成した自尊感情尺度10項目を, 山本・松井・山成(1982)が邦訳したものを使用した。 自尊感情は,他者との比較により生じる優越感や劣等 感ではなく,自身で自己への尊重や価値を評価する程 度であり(Rosenberg, 1965),人が自分自身について どのように感じるかという感じ方,自己の能力や価値 についての評価的な感情や感覚のことである(山本・ 松井・山成,1982)。得点が高いほど自尊感情が高い ことを意味する。  (4)妊婦の妊娠前後の生活行動  妊婦の心身の健康状態を保ち胎児への健康に影響す る生活行動として,身体及びこころの健康を保つため の三要素「食生活」「運動」「休養・睡眠」と「妊産婦の ための食生活指針」の項目(厚生労働省,2008)を中核 として,日常生活習慣と身体的健康度との有意な関連 が報告されている健康習慣7項目(Breslow & Belloc, 1972)を基に作成した。同じ内容の質問項目を,妊娠 する約1年前の状態を振り返り記載する妊娠前の回答 項目と,妊娠後の現在の状態を記載する妊娠後の回答 項目で2分し構成した。 4.データ収集  本調査は2008年5月1日∼8月29日に行なった。研 究協力依頼書を用いて北海道内の産科施設へ研究協力 を依頼し,40か所より研究協力の同意を得た。その後, 各施設において対象選定基準に適う妊婦に,研究協力 依頼書,質問紙および返信用封筒の配布を依頼または 直接配布し,回答は郵送法とした。 5.データ分析  各々の質問項目に関して記述統計を行ない,妊娠前 後の生活行動はMcNemar検定,対応のあるt検定で 比較した。同項目間における関連について,妊娠関連 事項の各相関,乳幼児との関わり経験の各相関,食 習慣の各相関はSpearmanの順位相関係数を,心理的 尺度得点の各相関はPearsonの積率相関係数を用いた。 妊婦の胎児への愛着との関連は,PAI得点を平均値 SDで,低値群(49点以下),中間群(50∼71点以下), 高値群(72点以上)の3群に分け,妊娠前後で変化のみ られた生活行動の項目はχ2検定,尺度得点の比較は 一元配置分散分析で群間の差を検定した。解析は統計 ソフトSPSS 15.0 J for Windowsを使用し,検定の有意 水準は5%未満とした。 6.倫理的配慮  研究主旨と併せて,研究協力は自由意思であり,い つでも中断できること,協力を辞退することにより不 利益が生じないこと,質問紙の回答は無記名で個人が 特定されることはなく,データは厳重に管理し本研究 目的以外には使用しないことを保証し,研究対象者へ 文書および口頭で説明した。質問紙の返送の確認をも って本研究協力に同意・承諾を得たものとした。なお, 本研究は札幌医科大学大学院保健医療学研究科の倫理 的審査による承認を得て実施した。

Ⅵ.結   果

 質問紙は1024名に配布され,575名より回収し(回 収率56.2%),本研究対象基準に適う440名を分析対象 とした(有効回答率43.0%)。 1.対象者の背景  年齢は平均29.0 4.6歳,妊娠週数は平均33.7 2.4 週であった。妊娠の希望は,「望んでいた」が339名 (77.4%),「望んでいなかった」が22名(5.0%)で,妊 娠の計画性は,「予定していた妊娠」が256名(58.3%), 「予定外の妊娠」が183名(41.7%)であった。妊娠が分 かった時の気持ちは,喜びなどの「肯定的感情」が235 名(56.1%),嬉しかったが戸惑ったなどの肯定・否定 の両方の気持ちをもつ「混在型感情」が121名(28.9%), 驚いた・困ったなどの「否定的感情」が63名(15.0%) であった(表1)。乳幼児(0∼6歳)との関わり経験に ついて,世話や遊びの経験は「あり」が302名(69.4%), 「なし」が133名(30.6%)であった。感じているイメー ジについては,「プラスイメージ」が199名(49.0%),「マ イナスイメージ」が37名(9.1%)であった(表2)。

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2.ソーシャルサポート  サポートの存在は「あり」431名(98.0%),「なし」4 名(0.9%),無回答5名(1.1%)であった。サポート 者 は(複 数 回 答 ),「夫 」406名(94.2%),「実 母 」384名 (89.1%),「友人」305名(70.8%)であった。サポート 者別によるサポート内容は,情緒的サポートは「友人」 が最も多く275名(90.2%),情報的サポートは「実母」 が最も多く311名(81.0%),交友的サポートと手段的 サポートはそれぞれ「夫」が最も多く,376名(92.6%), 279名(68.7%)であった(表3)。 3.心理的状態  本研究の基軸である胎児愛着尺度(PAI)は平均60.4 11.1(26∼84)点,低値群が65名(15.2%),中間群が 295名(68.7%),高値群が69名(16.1%)であった。エ ディンバラ産後うつ病自己調査表(EPDS)の得点は平 均4.9 4.0(0∼25)点,自尊感情尺度は平均35.4 6.6(12 ∼50)点であった。 4.妊娠前後の生活行動  食習慣について,妊娠後は1日の食事回数「3回食」, 食事の規則性「規則的」,朝食の習慣「ほとんど毎日食 べる」でそれぞれ有意に変化した(p<.001)。さらに, 1日の食事回数,食事の規則性,朝食の習慣はそれぞ れ,1日の食事回数と食事の規則性(r=.258),1日の食 事回数と朝食の習慣(r=.536),食事の規則性と朝食の 習慣(r=.401)において相関がみられた。日々の食品摂 取頻度は,緑黄色野菜,魚介類,大豆・大豆製品,牛 乳と乳製品,鉄分を含むもの(p<.001),卵/チーズ (p=.017)で有意に変化し,いずれも妊娠後の摂取頻度 が増えた(表4)。  睡眠状態について,1日の平均睡眠時間は,妊娠前 6.7 1.2時間から,妊娠後7.5 1.4時間へ有意に延びた (p<.001)。日中の平均睡眠時間は,妊娠前0.2 0.6時 間から,妊娠後1.3 0.9時間へ有意に延びた(p<.001) (表5)。  運動状況について,運動習慣は,妊娠前「あり」153 表1 対象者の背景(n=440) 基本的属性 人数(%) 年齢 平均年齢 SD(範囲) 29.0 4.6(17-42) 同居者 夫と2人暮らし拡大家族 なし 373(84.8) 59(13.4) 8( 1.8) 就労状況 現在仕事をしている 産休・休養中 過去にしていた 全く経験なし 34( 7.7) 76(17.3) 325(73.9) 5( 1.1) 妊娠関連事項 人数(%) 妊娠週数 平均週数 SD(範囲) 33.7 2.4(28-39) 妊娠の希望 (n=438) 望んでいた どちらでもよかった 望んでいなかった 339(77.4) 77(17.6) 22( 5.0) 妊娠の計画性 (n=439) 予定していた妊娠予定外の妊娠 256183(58.3)(41.7) 妊娠が分かった時の気持ち (n=419) 肯定的感情 混在型感情 否定的感情 235(56.1) 121(28.9) 63(15.0) 表2 乳幼児(0〜6歳)との関わり経験 感じているイメージ (n=406) 世話や遊びの経験(n=435) あり なし 人数 (%) 302 (69.4) 133 (30.6) プラスイメージ 199 (49.0) 157 (55.7) 42 (33.9) 混在型イメージ 170 (41.9) 108 (38.3) 62 (50.0) マイナスイメージ 37 ( 9.1) 17 ( 6.0) 20 (16.1)

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表3 サポート者別によるサポート内容(複数回答) (n=406) (n=384)実母 (n=305)友人 (n=223)実父 (n=207)兄弟姉妹 (n=202)義母 (n=128)義父 人数 (%) 人数 (%) 人数 (%) 人数 (%) 人数 (%) 人数 (%) 人数 (%) 情緒的サポート 317 (78.1) 292 (76.0) 275 (90.2) 96 (43.0) 162 (78.3) 91 (45.0) 33 (25.8) 情報的サポート 196 (48.3) 311 (81.0) 218 (71.5) 110 (49.3) 127 (61.4) 141 (69.8) 59 (46.1) 交友的サポート 376 (92.6) 169 (44.0) 86 (28.2) 104 (46.6) 72 (34.8) 69 (34.2) 44 (34.4) 手段的サポート 279 (68.7) 165 (43.0) 4 ( 1.3) 32 (14.3) 15 ( 7.2) 53 (26.2) 11 ( 8.6) その他 11 ( 2.7) 7 ( 1.8) 7 ( 2.3) 9 ( 4.0) 3 ( 1.4) 8 ( 4.0) 5 ( 3.9) ※パーセントはそれぞれ独立した値 表4 妊娠前後の食習慣および食品摂取頻度 食習慣 妊娠前 妊娠後 p 人数 (%) 人数 (%) 1日の食事回数 (n=430) <3回食  3回食 >3回食 157 266 7 (36.5) (61.9) ( 1.6) 52 354 24 (12.1) (82.3) ( 5.6) <.001 食事の規則性 (n=426) 規則的不規則 239187 (56.1)(43.9) 351 75 (82.4)(17.6) <.001a 朝食の習慣 (n=436) ほとんど毎日食べる 週に数回(2∼5回)食べる ほとんど食べない 272 67 97 (62.4) (15.4) (22.2) 371 40 25 (85.1) ( 9.2) ( 5.7) <.001 間食・夜食の習慣 (n=434) ほとんどしない(週2回未満)週2回以上 109325 (25.1)(74.9) 73361 (16.8)(83.2) <.001a 外食の習慣 (n=432) ほとんどしない(週2回未満)週2回以上 259173 (60.0)(40.0) 383 49 (88.7)(11.3) <.001a 食事指導を受けた経験 (n=437) なしあり 413 24 (94.5)( 5.5) 290147 (66.4)(33.6) <.001a 食品摂取頻度 緑黄色野菜 (n=433) ほとんど毎日食べる 週に数回(2∼5回)食べる ほとんど食べない 177 208 48 (40.9) (48.0) (11.1) 281 140 12 (64.9) (32.3) ( 2.8) <.001 魚介類 (n=429) 毎日食べる 週に4∼5回食べる 週に2∼3回食べる ほとんど食べない 11 53 310 55 ( 2.6) (12.4) (72.3) (12.7) 8 79 308 34 ( 1.9) (18.4) (71.8) ( 7.9) <.001 大豆・大豆製品 (n=430) 毎日食べる 週に4∼5回食べる 週に2∼3回食べる ほとんど食べない 149 110 144 27 (34.7) (25.6) (33.5) ( 6.2) 190 133 96 11 (44.2) (30.9) (22.3) ( 2.6) <.001 牛乳と乳製品 (n=430) 毎日食べる 週に4∼5回食べる 週に2∼3回食べる ほとんど食べない 148 76 122 84 (34.4) (17.7) (28.4) (19.5) 226 98 75 31 (52.6) (22.8) (17.4) ( 7.2) <.001 鉄分を含むもの (n=430) 意識的に摂るほとんど摂らない 118310 (27.6)(72.4) 272156 (63.6)(36.4) <.001a 卵/チーズ (n=432) 毎日食べる 週に4∼5回食べる 週に2∼3回食べる ほとんど食べない 95 136 172 29 (22.0) (31.5) (39.8) ( 6.7) 114 127 174 17 (26.4) (29.4) (40.3) ( 3.9)  .017 McNemar 検定  a:2項分布

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名(35.2%)から,妊娠後「あり」209名(48.0%)へ有意 に増えた(p<.001)。1回の平均運動時間は,妊娠前0.9 0.6時間,妊娠後0.3 0.2時間で,妊娠後有意に少な かった(p<.001)(表6)。 5.胎児愛着尺度(PAI)3群間による比較(表7)  妊娠関連事項では,妊娠の希望は,「望んでいた」の 割合が高値群に多く,「どちらでもよかった」の割合が 低値群に多かった(p<.001)。妊娠の計画性は,「予 定していた妊娠」の割合が高値群に多く,「予定外の妊 娠」の割合が低値群に多かった(p=.002)。妊娠が分か った時の気持ちは,「肯定的感情」の割合が高値群に多 く,「否定的感情」の割合が低値群に多かった(p=.005)。 乳幼児(0∼6歳)との関わり経験では,感じているイ メージについて,「プラスイメージ」の割合が高値群に 多く,「マイナスイメージ」の割合が低値群に多かった (p=.011)。また,妊娠の希望,妊娠の計画性,妊娠が 分かった時の気持ちはそれぞれ,妊娠の希望と妊娠の 計画性(r=.556),妊娠の希望と妊娠が分かった時の気 持ち(r=.487),妊娠の計画性と妊娠が分かった時の気 持ち(r=.353)において相関がみられた。また,世話や 遊びの経験の有無と感じているイメージは相関がみら れ(r=.226),経験がある者にプラスイメージを抱いて いる者が有意に多かった(p<.001)。  心理的状態との比較では,自尊感情尺度得点で有意 差があり,低値群よりも高値群の平均値が高かった (p=.007)。  妊娠後の生活行動において,食習慣では,食事の規 表5 妊娠前後の睡眠状態 睡眠状態 妊娠前 妊娠後 p 人数 (%) 人数 (%) 1日の睡眠時間 (n=437) 平均時間 SD 6.7 1.2 7.5 1.4 <.001b 7時間未満 7∼9時間未満 9時間以上 213 201 23 (48.7) (46.0) ( 5.3) 102 261 74 (23.3) (59.8) (16.9) <.001 日中の睡眠時間 (n=429) 平均時間 SD 0.2 0.6 1.3 0.9 <.001b なし 2時間未満 2時間以上 364 44 21 (84.8) (10.3) ( 4.9) 83 191 155 (19.3) (44.5) (36.2) <.001 不眠の有無 (n=433) なしあり 325108 (75.1)(24.9) 124309 (28.6)(71.4) <.001a 睡眠満足感 (n=435) 満足 まあまあ満足 どちらとも言えない 不満足 147 141 72 75 (33.8) (32.4) (16.6) (17.2) 168 142 73 52 (38.6) (32.6) (16.8) (12.0)  .198 McNemar 検定  a:2項分布  b:対応のあるt検定 表6 妊娠前後の運動状況 運動状況 妊娠前 妊娠後 p 人数 (%) 人数 (%) 運動習慣 (n=435) ありなし 153282 (35.2)(64.8) 209226 (48.0)(52.0) <.001a 1回の運動時間 (妊娠前n=153、妊娠後n=209) 平均時間 SD 0.9 0.6 0.3 0.2 <.001b 運動の内容 (n=96) ウォーキング、散歩 ストレッチ、体操、ヨガ ランニング、ジム、スポーツ その他 25 18 46 7 (26.0) (18.8) (47.9) ( 7.3) 59 30 2 5 (61.5) (31.3) ( 2.0) ( 5.2) <.001 運動の頻度 (n=91) 月に数回 週に数回 ほとんど毎日 6 44 41 ( 6.5) (48.4) (45.1) 3 27 61 ( 3.3) (29.7) (67.0)  .005 McNemar 検定  a:2項分布  b:対応のあるt検定

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表7 胎児愛着尺度(PAI)3群間による比較 妊娠に対する受けとめ※1 低値群 人数(%) 人数(%)中間群 人数(%)高値群 p 妊娠の希望 (n=427) 望んでいた どちらでもよかった 望んでいなかった 38(58.5) 24(36.9) 3( 4.6) 232(79.2) 47(16.0) 14( 4.8) 62(89.9) 3( 4.3) 4( 5.8) <.001 妊娠の計画性 (n=428) 予定していた妊娠予定外の妊娠 2738(41.5)(58.5) 174120(59.2)(40.8) 4920(71.0)(29.0) .002 妊娠が分かった時の気持ち (n=408) 肯定的感情 混在型感情 否定的感情 24(41.4) 19(32.7) 15(25.9) 164(57.6) 77(27.0) 44(15.4) 42(64.6) 21(32.3) 2( 3.1) .005 乳幼児との関わり経験※1 世話や遊びの経験 (n=424) ありなし 3728(56.9)(43.1) 203 88(69.8)(30.2) 5117(75.0)(25.0) .061 感じているイメージ (n=396) プラスイメージ 混在型イメージ マイナスイメージ 21(34.4) 29(47.5) 11(18.1) 138(50.7) 110(40.5) 24( 8.8) 34(54.0) 28(44.4) 1( 1.6) .011 心理的状態※2 自尊感情尺度得点 (n=414) 平均点 SD 33.1 7.9 35.7 6.1 36.6 7.3 .007 EPDS (n=428) 平均点 SD 5.6 4.5 4.8 3.7 5.0 4.7 .337 食習慣・食品摂取頻度※1 1日の食事回数 (n=421) <3回食  3回食 >3回食 9(14.5) 49(79.0) 4( 6.5) 33(11.3) 243(83.5) 15( 5.2) 9(13.2) 54(79.4) 5( 7.4) .351 食事の規則性 (n=418) 規則的不規則 4320(68.3)(31.7) 243 45(84.4)(15.6) 58 9(86.6)(13.4) .006 朝食の習慣 (n=425) ほとんど毎日食べる 週に2∼5回食べる ほとんど食べない 5( 7.8) 5( 7.8) 54(84.4) 16( 5.5) 29( 9.9) 248(84.6) 3( 4.4) 6( 8.8) 59(86.8) .297 鉄分を含むもの (n=417) 意識的に摂るほとんど摂らない 3131(50.0)(50.0) 185104(64.0)(36.0) 5016(75.8)(24.2) .01 睡眠状態※1 1日の睡眠時間 (n=427) 7時間未満 7∼9時間未満 9時間以上 14(21.5) 34(52.3) 17(26.2) 69(23.5) 181(61.5) 44(15.0) 15(22.1) 41(60.3) 12(17.6) .31 日中の睡眠時間 (n=420) なし 2時間未満 2時間以上 19(29.3) 22(33.8) 24(36.9) 56(19.5) 129(45.0) 102(35.5) 3( 4.4) 38(55.9) 27(39.7) .004 不眠の有無 (n=426) ありなし 4421(67.7)(32.3) 213 79(72.9)(27.1) 4722(68.1)(31.9) .565 睡眠満足感 (n=425) 満足 まあまあ満足 どちらとも言えない 不満足 25(39.7) 20(31.7) 9(14.3) 9(14.3) 114(38.9) 99(33.8) 49(16.7) 31(10.6) 27(39.1) 20(29.0) 12(17.4) 10(14.5) .939 運動状況※1 運動習慣 (n=426) ありなし 1648(25.0)(75.0) 151143(51.4)(48.6) 3830(55.9)(44.1) <.001 PAI得点:低値群(49点以下),中間群(50∼71点以下),高値群(72点以上) ※1 χ2検定 ※2 一元配置分散分析,多重比較(TukeyのHDS法)

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則性で有意差があり,「規則的」の割合が高値群に多く, 「不規則」の割合が低値群に多かった(p=.006)。日々 の食品摂取頻度では,鉄分を含むもので有意差があり, 「意識的に摂る」の割合が高値群に多く,「ほとんど摂 らない」の割合が低値群に多かった(p=.01)。睡眠状態 では,日中の睡眠時間で有意差があり,「なし」の割合 が低値群に多かった(p=.004)。運動状況では,運動習 慣「あり」の割合が高値群に多く,「なし」の割合が低 値群に多かった(p<.001)。

Ⅶ.考   察

 本研究対象はその約9割以上が夫や実母,友人から 情緒的・情報的・交友的サポートを受けており,ソー シャルサポートは充足している環境下であった。妊娠 末期における良好な家族機能の維持は,胎児へのat-tachmentと肯定的関係にあり(Fuller, Moore & Lester,

1993;Wilson, White, Cobb, et al, 2000),夫や実母と

の関係性が良い妊婦は胎児への愛着が有意に高いこと から(岡山,2002),妊婦の胎児への愛着を検討する上 では,夫や実母を中心としたサポート状況を把握し, 環境を整える支援が重要である。  以下では,胎児への愛着と生活行動に焦点を当てて 考察する。 1.妊娠と生活行動の変容  健康行動変容の促進は,知識伝達型やコンプライア ンスを重視した指示型のアプローチでは繋がらず,個 人の自発的な行動変容を支援するアプローチが必要で ある(中村,2002)。さらに,妊婦のセルフケア行動の 形成を促し生活行動変容をもたらすには,無事な出産 や赤ちゃんの順調な発育への願い,赤ちゃんの成長へ の興味,自己変容への期待から構成される内発的動 機づけを育てることが重要である(眞鍋・瀬戸・上里, 2001)。このことから,妊婦が胎児の存在を意識する ことにより生じる胎児の健康への希求が,自身の健康 的な生活行動変容の内発的動機づけとなり,胎児への 愛着に繋がると考える。  食習慣について,妊娠前は,1日3回食の規則的な食 事,朝食をほとんど毎日食べる,外食の習慣がほとん どない(週2回未満)がそれぞれ約60%,間食・夜食の 習慣がほとんどない(週2回未満)が25%であった。全 国調査(厚生労働省,2005)と比較して朝食摂取頻度 は低く,外食・間食(夜食を含む)の習慣については 高い結果であった。妊娠後は,1日3回食の規則的な食 事,朝食をほとんど毎日食べる,外食の習慣がほとん どない(週2回未満)が80%を超えて増加し,間食(夜 食を含む)の習慣は「週2回以上」が高かった。外食の 機会が減り家庭内での食事が増え,間食の習慣も増え たと考える。日々の食品摂取頻度について,緑黄色野 菜,魚介類,卵/チーズ,大豆・大豆製品,牛乳と乳 製品,鉄分を含むものの摂取は,ほとんど食べない者 が妊娠前と比べ妊娠後に減少したが,本調査の食品摂 取頻度は,土取の調査(2007)と比較して高かった。  睡眠状態について,妊娠前の平均睡眠時間は約6.5 時間であり7時間未満が約半数を占め,健康維持のた めに必要とされている7∼8時間(Breslow & Belloc, 1972)よりも短い睡眠時間であったが,睡眠満足感は 「満足」「まあまあ満足」で約66%と高かった。妊娠後 の平均睡眠時間は妊娠前より増え,7時間∼9時間未満 が約60%に増加したが,不眠ありが約70%に増加し ており,睡眠満足感は妊娠前後で大きな変化はなかっ た。短時間の睡眠でも満足感が高かった妊娠前の状態 は,全国調査(厚生労働省,2002)と同様の結果であっ た。さらに,妊娠前よりも妊娠後は有意に睡眠時間が 長くなり,有井・名取の調査(2005)とは異なる結果 であった。また,妊婦の睡眠は中途覚醒など質的に悪 化しているため,充分な睡眠時間の確保により満足感 を得ていることから(駒田・廣瀬・白川,2002;鈴木 ・大井田・曽根他,2003),本調査結果も同様に,日 中に睡眠を補うことで睡眠満足感が維持できている結 果に繋がっていると推察される。必要な睡眠時間は個 人差が大きく睡眠パターンや日中の眠気の状態により 過不足が評価されるが,中途覚醒などの障害が多い妊 婦は,日中に睡眠時間を補うことでトータルした睡眠 時間が充足され,睡眠満足感に繋がると考える。  運動状況について,妊娠前は運動習慣「あり」は約 35%で,妊娠後は48%とさらに高くなった。全国調 査(厚生労働省,2005)と比較すると,本調査対象は, 妊娠前から運動習慣が高く,妊娠経過が順調で妊娠に 関するリスクがほとんどない対象であったことから, 妊娠前から引き続き運動を継続することが可能であ ったと推察される。運動の時間・内容・頻度について, 妊娠後は1回の運動時間は減少したが,ウォーキング, 散歩といった軽い運動をほとんど毎日継続して行なっ ている者が増え,妊娠後の運動は,無理なく継続でき る運動を工夫して取り入れていると考える。

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2.妊婦の胎児への愛着と生活行動  妊婦の胎児への愛着と妊娠による生活行動の変容で 関連がみられたのは,規則的に食事をとること,鉄分 を含むものを意識的に摂ること,日中の睡眠時間を確 保すること,運動を継続的に行なうことであった。食 習慣の変化や日々の食品摂取頻度の増加は,健康的な 習慣や栄養価値を意識した行動変容であり,妊娠を機 に食意識が向上したものと考える。妊娠を早期に前向 きに捉えることは食への関心を高める契機となり(坂 本・三好,2003),妊娠の肯定的受容は妊婦の胎児へ の愛着を高めることから,食への関心の高さは間接的 に胎児への愛着の高さと関連があると推察できる。さ らに,規則的な食事への変化の背景には朝食の摂取率 の向上があり,朝食摂取習慣は身体的健康と関連して いることから(Breslow & Belloc, 1972),妊婦の胎児 への愛着は朝食摂取習慣の向上を通して身体的健康に 繋がっていると推測される。睡眠状態は,日中睡眠を 補うことで充足感を得ること,すなわち睡眠に関して どの程度健康だと自分が感じているかを意味する主観 的健康感により精神的健康を保つことができ,胎児へ の愛着を高めると考える。運動習慣は,本調査対象は 妊娠経過が順調な妊婦であり,妊娠前からの運動習慣 を身体的負荷のかからない程度に楽しみながら継続す ることができていたと推察される。運動するという前 向きで積極的な姿勢の基盤にある精神的安定が胎児へ の愛着を高めるというKelly(2001)の報告と同様の結 果が得られた。  また,本調査において生活行動以外で胎児への愛着 に関連していたのは,妊娠の希望と妊娠の計画性,妊 娠が分かった時の気持ち,乳幼児(0∼6歳)に感じて いるイメージであった。妊娠を希望し計画的であった 者は,有意に妊娠に対して肯定的感情を抱いており胎 児への愛着が高く,妊娠の希望がなく計画外であった 者は,妊娠に否定的感情を抱きやすく胎児への愛着 が低いことから(成田・前原,1993;岡山,2002;榮, 2004;安藤・無藤,2006;大村・光岡,2006),本調査 結果も同様に,胎児への愛着を高める要素として,妊 娠の希望を背景とした妊娠の肯定的受容が強く影響し ていると考える。しかし,妊娠初期はアンビバレンス な状態にあり,待ち望んだ妊娠でも当惑や不安の感情 を持つ場合も多く,妊娠している自己をどのように捉 えているか妊娠経過の中で随時確認し,妊娠に対する 肯定的受容を保持できるサポートが必要である。また, 乳幼児(0∼6歳)に感じているイメージについて,妊 娠前までに乳幼児との関わり経験がない者が有意にマ イナスイメージを抱いていた。妊娠前から乳幼児と触 れ合う経験により,子どもへの関心を高め,子どもの 感情表現や対応への理解を深めることから(Siddiqui, Eisemann & Hagglof, 2000b),乳幼児と触れ合い理解 することにより,プラスイメージを持つことで胎児へ の愛着を高めると考える。妊婦がこれまで抱いてきた 子どもに対するイメージを確認し,否定的内容を表出 する場合には,育児に対する不安や想像とのギャップ による苦悩など,産後の状況を見通した妊娠期からの 継続的なサポートが重要である。 3.助産実践への示唆  本研究は経妊婦に言及することはできないが,妊婦 の胎児への愛着は,規則的な食事,鉄分を含むものの 意識的摂取,日中の睡眠時間,運動習慣に関する生活 行動からも着眼できることが示唆された。したがって 臨床では保健指導など生活支援の場において,妊婦の 胎児への愛着を背景とする生活行動として,これらの 情報を具体的に把握することが客観的指標になると考 える。

Ⅷ.本研究の限界

 本研究対象の約9割が妊婦健診を毎回受診し,保健 指導や母親学級などで生活指導を受けており,その内 容がデータに影響する可能性がある。さらに,本研究 は妊娠末期の1時点の横断的調査であり,妊娠前の回 答項目は妊娠する約1年前からを振り返った記載であ ることから,その時点のデータは個人の記憶による差 の影響を受けていることが考えられる。

Ⅸ.結   論

 本研究では,初妊婦の生活行動の実態を明らかにし, 胎児への愛着と生活行動との関連を検証する目的で無 記名自己記入式質問紙調査を行なった結果,以下のこ とが明らかになった。 1 .妊娠後の生活行動の変化では,健康的な食習慣 に改善し日々の食品摂取頻度が有意に増えた(p <.001)。睡眠状態は,1日の平均睡眠時間,日中の 平均睡眠時間は長くなったが(p<.001),不眠が増 え睡眠満足感で有意差はなかった。運動習慣は,1 回の平均運動時間は有意に減少したが(p<.001),

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軽い運動を毎日継続している者が有意に増えた(p <.001)。 2 .妊婦の胎児への愛着と関連していた生活行動は, 規則的に食事をとること,鉄分を含むものを意識的 に摂ること,日中の睡眠時間を確保すること,運動 を継続的に行なうことであった。 謝 辞  本研究にご協力いただきました当該施設の院長,看 護部長をはじめスタッフの皆様,妊婦の皆様に心より お礼申し上げます。また,研究方法についてご指導い ただきました札幌医科大学保健医療学部片倉洋子准教 授,研究の全過程を通じてご指導いただきました天使 大学学長丸山知子教授に深く感謝いたします。  本研究は,平成20年度札幌医科大学大学院保健医 療学研究科に提出した修士論文を加筆修正したもので, 第24回日本助産学会学術集会で結果の一部を発表した。 文 献 足達淑子(2006).行動科学の応用.畑栄一,土井由利子 編集.行動科学健康づくりのための理論と応用.58-59, 東京:南江堂. 安藤智子,無藤隆(2006).妊娠期の抑うつと胎児への 感情に関する仮説モデル検討.小児保健研究,65(5), 666-674.

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