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早期リハビリテーションを安全かつ確実に行うために

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Academic year: 2021

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(1)理学療法学 第 42 巻第 8 号 687 ~ 688早期リハビリテーションを安全かつ確実に行うために 頁(2015 年). 687. 合同シンポジウム 7(日本集中治療医学会). 早期リハビリテーションを安全かつ確実に行うために* ─早期リハビリテーションの効果をどのように示すか?─ 飯 田 有 輝**. はじめに 近年,治療戦略の発展により,集中治療室(intensive care unit:以下,ICU)で治療される重症患者の生存率は飛躍的に 向上した。ICU における治療効果の指標にも変化がみられ,め ざすべきアウトカムが生存率から生活,そして健康関連 QOL とより個人の主観に立脚した概念へと進展しつつあり,長期予 後や社会復帰率も評価の対象となっている。これに伴い,集中 治療領域の早期離床や運動療法が予後改善に向けた取り組みと して展開され,早期リハビリテーションの重要性が認識される ようになった。しかしながら安全かつ確実な介入には,明確な 基準と治療戦略の整備に加え,その効果を示していく体系が必 要である。今回,効果検証のアウトラインについて概括したい。. 早期リハビリテーションの変遷 集中治療室で人工呼吸器装着下の患者が歩行訓練をする姿が 1). 図 1 早期リハビリテーションの構成要素 するのか,多くの場合根拠をもって示されていない。また,患 者管理の一端を担う術としてリハビリテーション体制やマニュ. ,たとえ人工呼吸器装着下. アルが充足している施設は多くない。早期リハビリテーション. であってもむだに安静臥床を続ける必要はないことを広く世界. が ICU の標準的な治療のひとつとして位置づけられるために. に知らしめた。その後,早期離床・運動療法は国内外を問わず,. は,プロトコルなど治療戦略とその介入によってもたらされる. 集中治療室で行われるリハビリテーションのシンボリックな介. 効果について,かかわるスタッフで共有することが必要であ. 入として認識されるようになった。無論,本邦でもこのような. る。詳細な descriptive study は重要だが,早期リハビリテー. 介入は先駆的な施設ですでに行われていたが,医療現場や関連. ションはエポックメーキングの時期から次のステージにあり,. 領域で早期リハビリテーションが広く認識されるようになった. 効果の検証と学術的検討を基にした治療戦略やマニュアルの構. のはごく最近のことといえるだろう。. 築が必要である。. ある国際的な医学雑誌に掲載され. 早期リハビリテーションの意識は,理学療法士だけでなく, 集中治療領域の医師や看護師においても高く,チーム医療のも. 早期リハビリテーションの構成要素. と ICU 入室中の患者に対する立位や歩行など積極的離床の試. 早期リハビリテーションを安全かつ確実に実施するための鍵. みや,様々な機器を用いた運動療法などが行われるようになっ. は,介入の安全性と効果性,それらを検証する多職種連携にある. 2). 。最近は人工呼吸器装着患者だけでなく,一昔前なら到底. と考える。これを基に,多職種連携の中心となる①コミュニケー. 離床を想定しなかった重症循環不全患者や ECMO などのデバ. ション,治療戦略である②プロトコル,医学的リスク管理として. イス装着患者に対しても介入報告がみられる。. 適応や中止などの③基準,施行中の④モニタリング,専門的介. しかし,現段階では実行可能性についての報告が多く,状態. 入効果として⑤評価・アウトカム,専門技術の⑥提供体制,の 6. が落ち着いていない超急性期からリハビリテーション介入を行. つの要素に分けた(図 1) 。さらにこれら 6 つの要素は,プロト. う必然性や安全性,早期リハビリテーションの目標がなにか,. コルや施行基準が示されたマニュアル,介入に対する反応や結果. なにをどれくらい行うのか,いつの時期のなにをもって効果と. など効果検証(データ) ,専門職とコミュニケーションの基であ. た. *. Validation for the Effects of Early Mobilization and Exercise ** JA 愛知厚生連海南病院リハビリテーション科 (〒 498–8502 愛知県弥富市前ヶ須町南本田 396) Yuki Iida, PT, PhD: Department of Physiotherapy, Kainan Hospital キーワード:早期リハビリテーション,アウトカム,効果の検証. るスタッフ(人)などハード面でのカテゴリに分類して考えるこ とができる。つまり,図中 6 つの要素の外側(ソフト面)と内 側(ハード面)は,6 つの要素を介して結びつく関係にある。し たがって,安全かつ確実な早期リハビリテーションの介入には, ここに挙げた構成のどの要素も不可欠であると考える。.

(2) 688. 理学療法学 第 42 巻第 8 号. 表 1 早期リハビリテーションにおける評価項目とタイミング 項目. 評価方法 筋力測定器・ MRC. 筋力 筋量 精神機能 せん妄の発生. ICU 入室中. ICU 退室後. 退院後. ○. ○. ○. DEXA,CT. △. △. △. 超音波画像. ○. ○. ○. MMSE. △. ○. ○. CAM-ICU. ○. ○. CAM,DST 身体機能. FSS-ICU. 日常生活評価 健康関連 QOL. 歩行速度, 6MWD FIM, Barthel Index SF-36. ○. ○. ○. ○. ○. ○. ○ △. ○. ○. 人工呼吸期間. ○. ○. ICU 在室日数. ○. 入院日数. ○. 死亡率. ○. 退院先. ○. 図 2 早期リハビリテーションにおける効果の実証. 予後ならびに健康関連 QOL など中長期に経過をみていく必要 6) がある内容が多い 。ICU 退室後の介入結果をどのように ICU. に示していくか,連携体制の構築が重要と考えられる。 早期リハビリテーションが少しでも予後を改善できる介入で あるならば,予防的観点からも,退院した先でどのような帰結 となったか社会的システムと連携し,介入結果をフィードバッ クする仕組みを構築することが必要である(図 2)。具体的な. 早期リハビリテーションにおける効果の実証. 取り組みとして,当院では ICU における早期リハビリテーショ ン内容(種類,強度,時間,頻度)や機能評価ならびにせん妄. ICU における早期リハビリテーションの必要性が高まりつつ. 管理について,ICU 退室後も継続して記録している。退院後は. あるが,一方 ICU でリハビリテーションを受けられる患者は. サマリーを作成し,リハビリテーションの経過や帰結について. 約 25%とするデータがある 3)。本邦でどの程度の施行率かは. 集中治療室のスタッフに申し送る。このように,中長期的に得. 不明だが,おそらくそれほど多くはないと思われる。では,な. られた結果から早期リハビリテーションの検証を行い,集中治. ぜ ICU のリハビリテーションは普及しないのか? いくつかの. 療領域での標準的な介入策として一般化させていく作業は,今. 要因が挙げられているが大きく分類すると,1.患者の病態や. 後重要になると思われる。. 協力の問題,2.提供側の早期リハビリテーションに対する認 識の問題,3.施設やマンパワーの問題の 3 つに分けられる 4)。. ま と め. このうち,患者側の問題と提供者の認識には,早期リハビリ. 早期リハビリテーションを安全かつ確実に行うためには,明. テーションの安全性や基準,ならびに効果の不明確さが大きく. 確な基準や治療体系の整備が不可欠である。早期リハビリテー. かかわっている。. ションの定着は,治療戦略とアウトカム指標の設定,ならびに. 安全性の実証には介入の適応,開始,中止などの基準が必要. 効果の検証が鍵となる。早期リハビリテーションの運動機能や. である。早期リハビリテーションの基準は海外よりいくつか報. 精神機能,長期予後に対する効果は,多職種による共有が必要. 告がある. 4)5). 。しかし,これらの基準を参考にするには,本邦. とは医療体制に相違があることや,安全性は施設の規模や体制 ならびにスタッフのスキルに左右されることに注意が必要であ る。それぞれの施設でレベルに合わせた相対的な設定が必要と 思われる。 ICU で行われる早期リハビリテーションの効果として,よ く用いられる指標と評価のタイミングを示す(表 1)。いずれ も多くの報告が見られるが,得られた結果は患者に対する治療 戦略の効果性を実証するものでなければならない。早期リハビ リテーションの効果を示す項目は,時期により示す内容は変わ る。ICU 内で示されるものには即時効果や短期効果が多く,酸 素化能や筋力などの身体機能面,せん妄や認知機能などの精神 機能面,ならびに人工呼吸器装着期間などが挙げられる。これ らはモニタリングから得られる指標や ICU に特化した評価も 多く,介入へのフィードバックも容易である。対して ICU 退 室後の効果指標は,身体機能や精神機能,ADL 自立度,生命. である。. 文 献 1) Bailey P, Thomsen GE, et al.: Early activity is feasible and safe in respiratory failure patients. Crit Care Med. 2007; 35: 139–145. 2) Morris PE, Goad A, et al.: Early intensive care unit mobility therapy in the treatment of acute respiratory failure. Crit Care Med. 2008; 36: 2238–2243. 3) Zanni JM, Korupolu R, et al.: Rehabilitation therapy and outcomes in acute respiratory failure: an observational pilot project. J Crit Care. 2010; 25: 254–262. 4) Pohlman MC, Schweickert WD, et al.: Feasibility of physical and occupational therapy beginning from initiation of mechanical ventilation. Crit Care Med. 2010; 38: 2089–2094. 5) Hodgson CL, Stiller K, et al.: Expert consensus and recommendations on safety criteria for active mobilization of mechanically ventilated critically ill adults. Crit Care. 2014; 18: 658. 6) Schweickert WD, Pohlman MC, et al.: Early physical and occupational therapy in mechanically ventilated, critically ill patients: a randomized controlled trial. Lancet. 2009; 373: 1874–1882..

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図 1 早期リハビリテーションの構成要素
表 1 早期リハビリテーションにおける評価項目とタイミング 項目 評価方法 ICU 入室中 ICU 退室後 退院後 筋力 筋力測定器・ MRC ○ ○ ○ 筋量 DEXA,CT △ △ △ 超音波画像 ○ ○ ○ 精神機能 MMSE △ ○ ○ せん妄の発生 CAM-ICU ○ ○ CAM,DST ○ ○ 身体機能 FSS-ICU ○ 歩行速度, 6MWD △ ○ ○  日常生活評価 FIM,  Barthel Index  ○ ○ 健康関連 QOL SF-36 ○ ○ 人工呼吸期間 ○ ○ ICU 在室日

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