隠れ端末及びデフネス問題を解決する指向性
MAC プロトコルについて
横田翔子
†萬代雅希
† †渡辺尚
† † † 近年アドホックネットワークにおける指向性アンテナの利用が注目されている. 指向性アンテナは,空間利用効率を向上させ,通信距離を拡大できる.今までに 指向性アンテナを利用した MAC プロトコルが多く研究されている.しかし,ス ループット低下の原因になる指向性隠れ端末問題と deafness 問題が残されてい る.本研究では,通信していない端末を通信中の端末の代理端末として用いるこ とで指向性隠れ端末問題と deafness 問題を同時に解決する MAC プロトコルの提 案をする.性能評価においては,Directional MAC(DMAC)のシミュレーションに より問題発生時の影響を考察し,理論値計算で提案方式におけるオーバーヘッド を算出することで,達成可能な性能を示す.A MAC Protocol Using Directional Antennas
for Hidden-terminal and Deafness Problems
SHOKO YOKOTA
†MASAKI BANDAI
††TAKASHI WATANABE
†††In recent years the use of the directional antenna in the ad hoc network attracts attention. The directional antenna provides spatial reuse and longer transmission range. MAC protocols using a directional antenna are studied so far. However, using directional antennas occurs hidden-terminal problem and deafness problem. These cause throughput degradation. In this paper, we propose a directional antenna MAC protocol to solve the hidden-terminal problem and deafness problem at a same time. The proposed protocol introduces a proxy node which hears neighbor Communications during a communication. We consider impact of these problems by means of Directional MAC(DMAC) Protocol
and show achievable performance by calculating the overhead of the proposed protocol.
†静岡大学大学院情報学研究科
Graduate School of Informatics, Shizuoka University ††静岡大学情報学部
Faculty of Informatics, Shizuoka University †††静岡大学創造科学技術大学院
Graduate School of Science and Technology, Shizuoka University
1. はじめに
近年アドホックネットワークが注目されている.アドホックネットワークは,アク セスネットワークのように基地局やアクセスポイントを必要とせず,自律分散的に端 末のみでネットワークを形成でき,地理的にネットワークインフラが設置不可能な場 所においても通信可能になる.このことから,非常災害時やセンサーネットワーク, 高度道路交通システム(Intelligent Transport System)における有効な通信手段として研 究が進んでいる.従来のアドホックネットワークとは無指向性アンテナの使用を前提 として設計されている.無指向性アンテナとはデータ通信を行う際に,ビームを 360° の方向に放射するアンテナである.アドホックネットワークの MAC プロトコルは無 指向性アンテナの使用を前提として設計されている.しかし,無指向性アンテナの欠 点として,通信しない方向へビームが及ぶことによる近隣端末への干渉や,それによ って通信が制限される端末が増えることから空間利用効率が低下するという問題があ る.そこで,アドホックネットワークへの指向性アンテナの利用が考えられている. 指向性アンテナとは通信したい方向のみにビームを放射することで通信を行うアンテ ナである.指向性アンテナは特定の方向のみと通信を行うので,近隣端末への干渉が 減り,通信制限を受ける端末数が減ることから,ネットワーク内における同時通信ペ ア数が増え,空間利用効率の向上が見込める.さらに指向性アンテナは無指向性アン テナと比較すると,高い利得のビームであるため,同じ送信電力での通信距離が拡大 できる. 従来の MAC プロトコルは無指向性アンテナの使用を前提としているので,指向性 アンテナに置き換えるだけではその効果を発揮できない.これまでに指向性アンテナ を 用 い た MAC プ ロ ト コ ル が 提 案 さ れ て い る . 指 向 性 MAC プ ロ ト コ ル に は DMAC(Directional MAC Protocol)[1]や SWAMP(Smart Antennas based Wider-range Access MAC Protocol)[2]などがある.ネットワーク層においても指向性アンテナを用いたルー ティングプロトコル DDSR[3]が提案されている.しかし,この指向性 MAC プロトコ ルにも問題が発生することが報告されている.指向性隠れ端末問題と deafness 問題で ある.指向性隠れ端末問題とは,送信元端末が宛先端末の通信を知らずに宛先端末に 向かって高利得な指向性ビームを送信することで宛先端末側の通信を破壊してしまう 問題である.Deafness 問題とは,送信元端末が宛先端末への通信を知らずに送信する ことで,宛先端末からの返答を得られない送信元端末が何度も再送を繰り返すことで, バックオフが増加し,通信遅延が発生する問題である.これまでにこれらの問題を解 決する指向性 MAC プロトコルが多く提案されている.指向性通信において,自身が 通 信 中 に は 他 の 端 末 の 通 信 状 況 を 知 る こ と が で き な い . 指 向 性 隠 れ 端 末 問 題 と deafness 問題は共にこれが原因で起こる問題であるといえる. 「マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2009)シンポジウム」 平成21年7月
本研究では,代理端末の導入することで,両方の問題を同時解決する指向性MACプ ロトコルを提案する.指向性通信において,通信中の端末は他の端末の通信状況を知 ることができないことが指向性隠れ端末・deafness 問題の原因である.そこで近隣端 末の中で通信していない端末を代理端末として選択し,通信中の端末の代わりに,周 囲の状況を知り,隠れ端末やdeaf 端末に通信を延期するように通知することで,二つ の問題を同時解決する.
2. 指向性隠れ端末問題と deafness 問題
アドホックネットワークで指向性アンテナを利用する問題点として挙げられるの が指向性隠れ端末問題である.これは宛先端末が通信しているのを知ることができず, 送信元端末が高利得な指向性ビームを出すことで,宛先端末の通信を破壊する問題で ある.図 2.1 に DMAC の例を使って指向性隠れ端末問題が発生するメカニズムを示す. 1. S が D と通信中であるとする. 2. X(指向性隠れ端末)に S 宛のパケットが発生すると,X は物理キャリアセンス によって周りで通信が行われていないが確認するが,X はアイドル状態では無 指向性で待機するため,S-D 間の通信を知ることができず,送信を開始する. 3. X の高利得な指向性ビームが D の受信ビームにまでも届くため,衝突が起こ り,S-D 間のリンクを破壊する. 指向性隠れ端末は自信の通信が行えないだけではなく,現在行われている通信まで も 破 壊 す る . こ の 問 題 は RTS を 高 利 得 な 指 向 性 ビ ー ム を 送 信 す る DMAC や SWAMP(EC-mode)などの MAC プロトコルにおいて発生しやすく,性能低下の原因と なると考えられる. deafness 問題とは,送信元端末が宛先短津の通信状況を知らずに送信し,宛先端末 が受信に失敗することで送信元端末は再送を繰り返し,バックオフの増加,通信遅延 が起こるという問題である.以下に指向性通信において deafness 問題が発生するメカ ニズムを示す.(図 2.2) 1. S が D と通信中であるとする. 2. X(deaf 端末)に S 宛のパケットが発生すると X は物理キャリアセンスを行う がビジーは検出できないので送信を開始する. 3. S は受信ビームを D の方向に向けているため X の送信を聞くことができな い 4. X は CTS が返ってこないため RTS を再送する. X S D ① on-going communication ②send Deaf Terminal X S D ① on-going communication ②send Deaf Terminal 図 2.2. deafness 問題の発生 deafness 問題は RTS を送信しても相手からの CTS を受信することができないため RTS の再送による不要なバックオフタイムが増加し,性能低下を引き起こす. X S D3. 関連研究
指向性隠れ端末問題は MAC 層での問題であるため,MAC 層での対処が研究されて きた.指向性隠れ端末問題への対処の方式として Backward RTS(BRTS)[4]や Relayed CTS(RCTS)方式[5]などが提案されている. 3.1 Backward RTS(BRTS)方式[4] 送信元端末が宛先端末への RTS 送信よりも先に宛先端末の方向に対して後方に向け て RTS を送信し,宛先端末の方向に対して後方に向けて RTS を送信し,隠れ端末か らの通信を抑制する方式である. 図 3.1 に BRTS による指向性隠れ端末問題の抑制の様子を示す.S が後方に送信した BRTS によって指向性隠れ端末 X は NAV を設定する.その後,S と D は X に妨害さ れることなく通信が可能となる. ③collision ① on-going communication ②sendDirectional Hidden Terminal
X S ③collision D ① on-going communication ②send
Directional Hidden Terminal
しかし,送信元端末が宛先端末からの CTS を受信できない場合でも,BRTS を受信 した隠れ端末問題及びその周辺端末は自身の通信を禁止するので空間利用効率が悪く なる可能性がある. 3.2 Relayed CTS(RCTS)方式[4] 送信元端末から受け取った CTS を後方に転送することで隠れ端末からの通信を抑制 する方式である.送信元端末が宛先端末から CTS を受信しない場合は RCTS を送信し ないため,隠れ端末は自身の通信を開始することができ,空間利用効率の向上につな がる. 図 3.2 に RCTS による隠れ端末問題の抑制の様子を示す.送信元端末 S は,宛先端 末 D に RTS を指向性ビームで送信し,D からの CTS を受信した端末は NAV を設定す る.その後 DATA/ACK が送受信される.
deafness 問題も指向性隠れ端末問題と同様,MAC 層で起こる問題であるので,MAC 層での対処が考えられてきた.Deafness 問題の対処方式として,Circular RTS MAC[5] と Circular RTS and CTS MAC[6]という方式が提案されている.それぞれの説明を以下 に示す.
3.3 Circular RTS 方式[5]
送信元端末が RTS を全方位に指向性送信することで近隣端末に自身の送信を知ら せる方式である.しかし,図.2.15 のように,全方位カバーするための送信は遅延の 増加や空間利用効率の低下をもたらす.そして受信側の deafness は回避できない.
3.4 Circular RTS and CTS MAC 方式[6]
送信元端末が RTS を全方位に指向性巡回送信し,RTS を受信した宛先端末は CTS を 送信元端末の方向に対して反対の方向に指向性巡回送信を行う.これによって送信側 と受信側の deafness 問題を回避する.この方式を以下の図 2.16 に示す.しかし,DATA 送信前に指向性で RTS/CTS フレームを巡回送信させることは,遅延や空間利用効率が 低下するだけではなく,ビーム数が増えることにつれて,制御メッセージ同士の衝突 が起こりうるという問題がある. X D ②NAV ①
4. 提案方式
指向性通信において,通信中の端末は他の端末の通信状況を知ることができないこ とが指向性隠れ端末・deafness 問題の原因である.そこで近隣端末の中で通信してい ない端末を代理端末として選択し,通信中の端末の代わりに,周囲の状況を知り,隠 れ端末や deaf 端末に通信を延期するように通知することで,2 つの問題を同時解決す る.隠れ端末と deaf 端末に対する代理端末の役割を以下に述べる. 1. 代理端末は周囲の端末の通信状況を観測 2. 代理端末は隠れ端末に送信を待機するよう通知 代理端末は deaf 端末からの送信を受信し,且つ通信が終わるまで送信を待機す るように通知 4.1 指向性隠れ端末対問題処方式 代理端末が送信元端末の真後ろに向かって,Backward CTS(BCTS)フレームを送信す ることで隠れ端末に送信元端末と宛先端末の通信終了まで自身の送信を延期させる方 式である.その際に新たに加えたフレームの説明と対処プロトコルの動作を以下に述 べる.その時の通信シーケンスは図 4.1 に,評価モデルは図 4.2 に示す. 1.RES(REServation)フレーム RES フレームは送信元端末が近隣端末の中から代理端末を選ぶために用いられる. RES フレームは送信元端末によって代理端末に送られる. 2.BCTS(Backward CTS)フレーム BCTS フレームは代理端末が宛先端末の方向に対して後方に向け,CTS を送信する 方式である. 1. S と D が RTS/CTS 交換をする. 2. S は RES フレーム送信することで代理端末として M を選択する. BRTS S Directional Hidden Terminal③RTS X
X DD
②NAV
①BRTS SS Directional Hidden Terminal
③RTS
図 3.1.Backward RTS(BRTS)方式
X D
④NAV
③RCTS S
Directional Hidden Terminal ①RTS
②CTS X
X DD
④NAV
③RCTS SS
Directional Hidden Terminal ①RTS
②CTS
3. M は S の後ろに向かって BCTS フレーム送信することで隠れ端末 X に S 方向 への送信を,S と D の通信が終わるまで待機させることができる. 4.2 deafness 問題対処方式 代理端末が指向性巡回受信をすることで,deaf 端末からの RTS を受信する.Deaf 端末からの RTS の受信をした後,代理端末は RCR フレームを送信する.RCR フレー ム送信は依頼元端末の通信終了時間まで待機するように deaf 端末に通知するためのも のである.これによって deaf 端末が RTS を再送し続けバックオフの増加による通信遅 延を防ぐことができる.その際に新たに加えたフレームと指向性巡回受信の説明,対 処プロトコルの動作を以下に述べる.その時の通信シーケンスは図 4.3 に,評価モデ ルは図 4.4,図 4.5 に示す. 1.RCR(ReCoveRy)フレーム 代理端末が deaf 端末に依頼元端末の通信期間を通知して,deaf 端末自身の通信を延期 させるためのフレームである. 2.指向性巡回受信 アイドル状態で,各端末は指向性ビームをセクタごとに切り替え,制御フレームを指 向性ビームで受信することを指向性巡回受信という.巡回受信することにより,DATA 受信中の衝突を回避することが可能となる.1つのフレームを受信している間は,他 のフレームを受信できないという問題点がある.しかし 360°の無指向性ビーム受信 で衝突となる場合も指向性巡回受信では衝突にならないため有利といえる. 1. S と D が RTS/CTS 交換 2. S は RES フレームを送信し代理端末として M を選択する. 3. M は S と D 以外の方向に巡回受信を行う.(図 4.4) X S M D RTS CTS RES BCTS DATA ACK RTS X S M D RTS RTS CTS CTS RES RES BCTS BCTS DATA DATA ACK ACK RTS RTS 4. Deaf 端末 X からの送信を M が受信する. 5. M は巡回受信を一旦止め,X に RCR フレームを送信する.(図 4.5) このフレームを送ることで X に S と D の通信終了まで S への送信を待機さ せる. 6. M は RCR フレームを送信したら S と D の通信終了まで再び巡回受信を繰り 返す. D S M X S M D X X D M S X D M S X S M D RTS CTS RES DATA ACK RTS RCR X S M D RTS RTS CTS CTS RES RES DATA DATA ACK ACK RTS RTS RCR RCR 図 4.2.指向性隠れ端末問題の抑制 図 4.1.指向性隠れ端末問題抑制の通信シーケンス 図 4.4.代理端末による指向性巡回受信 X D S M X D S M 図 4.3.deafness 問題抑制の 通信シーケンス 図 4.5.代理端末による RCR フレーム送信 指向性隠れ端末問題と deafness 問題のそれぞれの対処方式を提案した.そこでこれ らを組み合わせることで,2 つの問題の両方に対処する方式を考える. 問題の対処の順番として,最初に指向性隠れ端末問題を抑制し,次に deafness 問題 を対処する.つまり,代理端末を選択した後に BCTS フレームを依頼元端末の後ろに 送信し,次に巡回受信を行う.このプロトコルにおける通信シーケンスを以下に示す.
図 4.6 のように,端末 S,D の RTS/CTS 交換後,RES によって選択された代理端末 M は BCTS 送信,その後に巡回受信を行う.このとき指向性隠れ端末 Y と deaf 端末 X は,M によって知らされる待機時間が同じである.S と D の通信終了後に,X と Y か ら同時に S に送信をすると衝突が起こってしまう.このことから指向性隠れ端末と deaf 端末からの通信のどちらを優先するかは今後検討する必要がある.
5. 基礎評価
DMAC プロトコルを用いて,提案方式で達成可能な性能を評価する.そして指向性 隠れ端末問題発生時や deafness 問題発生時におけるスループット特性を評価する.パ ケットはソースノードに平均到着率λ(packet/sec)のポアソン分布に従い到着する. シミュレーションにおける,共通シミュレーションパラメータを表 5.1 に示す. 計算機シミュレーションにより,固定ルートにて指向性隠れ端末問題発生時と deafness 問題発生時のデータ発生レートに対するスループットを計測する.提案方式 で達成可能な性能を示すために 3 ノードでの基礎評価を行う. 隠れ端末問題発生時のシミュレーションは図 5.1 に示すトポロジで行った.ノード 2 はノード 3 へ,ノード 1 はノード 2 へデータを送信する.この固定ルートの場合, ノード 2 に対する隠れ端末はノード 1 である.ここではノード 1-2 間のデータ発生レ ートを 10.0,1.0,0.01Mbps にそれぞれ固定し,ノード 2-3 間のデータ発生レートを 1.0~10.0Mbps とした場合の 2-3 間のスループットを計測した.結果を以下のグラフ に示す. 2-3 間のみの場合は 2 端末だけの通信なので,隠れ端末問題が起きず最もスループ ットが高い.1-2 間のデータ発生レートが 1.0Mbps のように大きくなると隠れ端末問 題が起こりやすくなるためスループットが低下する.1-2 間のデータ発生レートを 0.01Mbps にして,指向性隠れ端末問題を低減すると,スループットの向上が見られる. Y BCTS X S M D RTS CTS RES DATA ACK RTS RCR Y BCTS X S M D RTS CTS RES RES DATA ACK ACK RTS RCR RCR 11 22 33 250m 250m 図 4.6.指向性隠れ端末問題と deafness 問題抑制の通信シーケンス 図 5.1.指向性隠れ端末発生ルート 0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 2-3間のデータ発生レート(Mbps) 2 -3 間のス ルー プ ッ ト (K bp s) 1-2間が0.01Mbps 1-2間が1.0Mbps 1-2間が10.0Mbps 2-3間のみ 表 5.1.共通シミュレーションパラメータ 指向性送信距離 500m ビーム幅 30° シミュレーション計測時間 300s データレート 11Mbps パケットサイズ 1024byte MAC プロトコル DMAC 図 5.2.指向性隠れ端末問題発生時のスループット特性提案方式で新たに用いるフレームの送受信などによるオーバーヘッドが発生する ため,指向性隠れ端末問題を抑制した場合,スループットがどの程度向上するかを理 論値計算[7][10][12]にて求める.図 5.3 に 2 点リンク間における DMAC(4way)の通信シ ーケンスを示す.表 5.2 に DMAC の諸元を示す. 図 5.3 を元に 1 シーケンス(RTS-CTS-DATA-ACK)の通信時間(Air time)を算出する. バックオフの期間の算出は式(5.1)に示す. (5.1)
)
(
3637
.
2370
_
4
s
TIME
PLCP
ACK
SIFS
DATA
SIFS
CTS
SIFS
RTS
Backoff
DIFS
time
Air
μ
=
+
+
+
+
+
+
+
+
+
=
)
(
4560
.
3
10
4560
.
3
10
3637
.
2370
8192
6 6Mbps
time
Air
size
Data
Throughput
=
×
=
×
=
=
S D RTS Backoff CTS SIFS DATA ACK SIFS SIFS DIFS S D RTS Backoff CTS SIFS DATA ACK SIFS SIFS DIFS 図 5.3.DMAC による 2 点リンク間における通信シーケンス S D RTS Backoff CTS SIFS DATA ACK SIFS SIFSDIFS RESSIFS
S D RTS Backoff CTS SIFS DATA ACK SIFS SIFS
DIFS RESSIFS
(5.2) 提案方式のとき,図 5.4 を元にした 1 シーケンス(RTS-CTS-RES-DATA-ACK)の通信時 間を算出する. 図 5.4.提案方式による 2 点リンク間における通信シーケンス 表 5.2.DMAC の諸元 1
)
(
7273
.
2496
s
ACK
SIFS
DATA
SIFS
RES
SIFS
CTS
SIFS
RTS
Backoff
DIFS
time
Air
μ
=
+
+
+
+
+
+
+
+
+
+
=
Slotted time 20[μs] DIFS 50[μs] SIFS 10[μs] データサイズ 1024[byte] データレート 11[Mbps] CWmin 32 CWmax 1024 PLCP_TIME 192μs 最大再送回数 7 回 (5.3)3
.
2810
(
)
10
2810
.
3
10
7273
.
2496
8192
6 6Mbps
time
Air
size
Data
Throughput
=
×
=
×
=
=
RES フレーム追加の分のオーバーヘッドは DMAC におけるスループット式(5.2)と 提案方式のスループット式(5.3)の差である.したがってオーバーヘッドは以下のよう になる.)
(
175
.
0
2810
.
3
4560
.
3
(5.3)
)
.2
(5
Mbps
=
−
=
-式
式
time
slotted
CW
time
Backoff
=
×
2
min このようにオーバーヘッドは 0.175Mbps 分であるので,提案方式を用いたスループットは,DMAC を用いた 2 端末通信の場合よりも 0.175Mbps 分低いスループットになる と考えられる. deafness 問題発生時のシミュレーションは図 5.5 に示すトポロジで行った.ノード 2 はノード 3 へ,ノード 1 はノード 2 へデータを送信する.ノード 2 にとっての deaf 端 末はノード 1 である.ここではノード 2-3 間のデータデータ発生レートを 10.0,1.0, 0.01Mbps にそれぞれ固定し,ノード 1-2 間のデータ発生レートを 1.0~10.0Mbps とし た場合の 1-2 間のスループットを計測した.結果のグラフを以下に示す. 1-2 間の 2 端末のみの通信の場合は,deafness 問題は発生しない.2-3 間のデータ発 生頻度が 1.0Mbps の場合は 0.01Mbps の場合よりも 1-2 間のスループットは低下してい る.2-3 間の通信が多くなるにつれて deafness 問題は発生しやすくなるからである. 2-3 間が 10.0Mbps のときに 1-2 間のスループットが 0 になったのは,2-3 間での通信 が多くなり,1 と全く通信できなくなるからである.2-3 間のデータ発生レートを 0.01Mbps にして,deafness 問題を低減するとスループットが向上する. 提案方式を用いて deafness 問題抑制の際にフレームの送受信におけるオーバーヘッ ドを計算する.この際に再送回数は 1 回と 2 回の場合を考える.図 5.7 と図 5.8 に再 送処理の通信シーケンスを示す. 図 5.7.再送回数 1 回の通信シーケンス 1 33 22 250m 45° 図 5.5.Deafness 問題発生ルート 図 5.8.再送回数 2 回の通信シーケンス 0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 1-2間のデータ発生レート(Mbps) 1 -2 間のスルー プ ッ ト (K bp s) 2-3が0.01Mbps 2-3間が1.0Mbps 2-3間が10.0Mbps 1-2間のみ ) ( 1818 . 6352 _ 8 4 2 2 s TIME PLCP ACK SIFS DATA SIFS CTS SIFS RTS Backoff DIFS out Time RTS Backoff DIFS out Time RTS Backoff DIFS time Air
μ
= + + + + + + + + + + + + + + + + + =)
(
28963
.
1
10
1818
.
6352
8192
2
6Mbps
time
Air
size
Data
Throughput
=
×
=
=
提案方式による1シーケンスの通信時間(Air time)を算出する.提案方式の 1 シーケ ンスを図 5.9 に示す. 図 5.6.Deafness 問題発生時のスループット特性S
D
RTS Backoff CTS SIFS DATA ACK SIFS SIFS DIFSX
DIFSBackoff RTS CTS SIFS RCR SIFSM
SIFS SIFSRTS RES SIFSS
D
RTS Backoff CTS SIFS DATA ACK SIFS SIFS DIFSX
DIFSBackoff RTS CTS SIFS RCR SIFSM
SIFS SIFSRTS RES SIFS 図 5.9.提案方式 deafness 問題抑制の通信シーケンスAir 再送回数が 1 回の場合,提案方式を用いると RCR フレームを受信する時間と待機時 間(DATA 通信期間)の合計時間が,再送時のバックオフ時間よりも長い.したがってオ ーバーヘッドの方が大きく,性能の向上は見られないが,再送回数が 2 回になるとバ ックオフ期間が長くなるため提案方式の方が有効であると言える.また,データサイ ズが大きい場合は,再送回数の増加に伴うバックオフ期間の増加よりも,提案方式に よるオーバーヘッドの方が小さくなるため,有効性があると言える.
6. まとめ
本研究では,指向性隠れ端末問題と deafness 問題への対処する指向性 MAC プロト コルを提案した.この方式では通信中の端末の他に,通信していない端末を代理端末 として用いることによって,それぞれの問題に対処している.そして,従来の方式 DMAC プロトコルを用いてのシミュレーションとスループット理論値計算を行い,提 案方式による達成可能な性能を評価した.シミュレーション結果,理論値計算からわ かるように,提案方式では,指向性隠れ端末問題抑制においては新しいフレームの追 加というオーバーヘッドにより,スループット向上は相殺され,効果が小さい.一方, deafness 問題抑制においてはスループット向上が期待できることがわかる.このこと から deafness 問題解決を重点的に行うことを考える.7. 今後の課題
本研究の提案プロトコルでは代理端末を用いるため,フレームを追加した.その際 におけるオーバーヘッドを考慮する必要があるため,提案プロトコルの実装・基礎評 価が必要である.また,deafness 問題を抑制する方式では,RCR フレームを受信した deaf 端末の待機時間によって,再送処理をした場合と比較しても性能が上がらない可 能性があるので,deaf 端末の待機時間の動的決定は今後の重要な課題である.また, 代理端末における位置情報取得の方法や,代理端末の地理的条件,選択範囲などの検 討を行う必要がある. ) ( 7273 . 4384 _ 8 ) ( s TIME PLCP ACK SIFS DATA SIFS CTS SIFS RTS SIFS ACK SIFS DATA SIFS RCR RTS Backoff DIFS timeμ
= + + + + + + + + + = + + + + + + + そして,ノード配置によるシミュレーション評価も行う必要がる.今回は固定トポロ ジで行ったが,ランダム配置での評価も行う.そして,それぞれの問題に対処できる ことを確認したら,この 2 つの方式を組み合わせ,指向性隠れ端末問題と deafness 問 題に対して同時に対処できるようなプロトコルにする.)
(
8683
.
1
10
7273
.
4384
8192
6Mbps
time
Air
size
Data
Throughput
=
×
=
=
8. 謝辞
本研究は科研費基盤研究 A(20240005)の助成を受けておこなった.9. 参考文献
[1] R. R. Choudhury, X. Yang, R. Ramanathan and N. H.Vaidya, “Using Directional Antennas for Medium Access Control in Ad Hoc Networks,” Proc. ACM MobiCom 2002 pp. 59-17,Sep. 2002.
[2] 長島勝城,高田昌忠,渡辺尚,”スマートアンテナを用いた 2 種アクセス併用指向 性メディアアクセス制御プロトコル”,電子情報信学会論文誌,Vol.J87-B,No.12,
pp.59-17,sep.2002
[3] Romit Roy Choudhury,Nithin H.Vaidya,”Impact of Direcitonal Antennas on Ad Hoc Network”,Proc.Personal Wireless Communication 2003
[4] M.Sekido,M.Takata, M.Bandai and T. Watanabe,”A Directional Hidden Terminal Problem in Ad Hoc Network MAC Protocols with Smart Antenna and its Solutions”, Proc. IEEE Globecom 2005, pp. 2579-2583, Nov. 2005.
[5] G. Jakllari,I.Brouustis,T. Korakis,S.V.Krishunamurthy, L. Tassiulas,”Handling Asymmetry in Gain in Directional Antenna Equipped Ad Hoc Networks”, Proc.PIMRC
2005
[6] T. Korakis, G. Jakllari and L. Tassiulas, “A MAC protocol for full exploitation of Directional Antennas in Ad-hoc Wireless Networks,” Proc. ACM Mobile Ad Hoc