早期適用会社の概況を中心にして (小椋康宏教授
退任記念号)
著者
増子 敦仁
雑誌名
経営論集
号
85
ページ
47-67
発行年
2015-03
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00007107/
Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja改正退職給付会計基準早期適用会社の開示状況(1)
―早期適用会社の概況を中心にして―Revised Accounting Standards for Retirement Benefits in Japan
: Companies That Apply Revisions Earlier Than Others
増 子 敦 仁 目 次 1. はじめに 2. 平成 24 年改正退職給付会計基準の適用等 3. 早期適用に踏み切った会社の概況 (以上、本号にて掲載) 4. 未認識項目に関係する開示の状況 5. 計算項目に関係する開示の状況 6. 開示の拡充に関する注記の状況 7. おわりに (以上、次号にて掲載予定) 1. はじめに 企業会計基準委員会(ASBJ)は、平成 24 年(2012 年)5 月 17 日、企業会計基準 第26 号「退職給付に関する会計基準」(以下、本会計基準と略す)および企業会計基 準適用指針第25 号「退職給付に関する会計基準の適用指針」(以下、本適用指針と略 す)を公表した。退職給付に関する会計処理および開示については、いわゆる「会計 ビッグバン」の一環で企業会計審議会から初めての包括的な会計基準として平成10 年(1998 年)6 月に「退職給付に係る会計基準」(以下、旧基準と略す)が制定され、 その後退職給付をめぐる環境の変化や制度改正を踏まえて旧基準の一部を改正する形 で対応が図られ、企業会計基準審議会に代わり民間の会計基準設定主体として結成さ れたASBJ より企業会計基準第 3 号、第 14 号および第 19 号が公表されてきた。し かし、ASBJ は国際会計基準審議会(IASB)との間で平成 19 年(2007 年)8 月に会 計基準のコンバージェンスに向けた取組みを加速することで合意(東京合意)し、そ の中に退職給付に関する会計基準を見直すことが盛り込まれ、いわば国際公約となっ た。その後、「退職給付会計の見直しに関する論点整理」が平成21 年(2009 年)1 月 に公表され、何をどのように見直しを進めていくべきか広く意見を求めた結果、ASBJ は退職給付に関する会計基準の見直しを2 つのステップに分離し、まずステップ 1 に 関する事項を先行して改正するアプローチを選択した。その後、上記の3 つの企業会 計基準を引き継いだ上で平成22 年(2010 年)3 月に企業会計基準公開草案第 39 号 「退職給付に関する会計基準」(案)をASBJ は公開したものの、関係各方面からの 意見が寄せられて成案になかなか至らなかったが、IASB から国際会計基準(IAS)第 19 号「従業員給付」が 2011 年 6 月に改訂されたことが直接・間接に影響し、ようや くその翌年に確定したものである。また、これまで日本公認会計士協会から公表され
てきた「退職給付会計に関する実務指針(中間報告)」など会計基準を補足してきた実 務上のガイドラインについても統合・修正が図られ、本適用指針も本会計基準と同時 に公表された。 このように、今回の退職給付の会計に対する見直し作業は5 年にも及ぶ長期的なス パンで進められてきたものであり、しかもようやくステップ1 が完了したにすぎない。 これだけ時間がかかったのは、退職給付の会計の仕組みや計算過程そのものが複雑で あるばかりでなく、企業年金や退職一時金の形で従業員に対する支払いを企業側が規 程や契約などで予め約束している退職給付のうち、認識時点までに発生していると認 められる部分を割り引いた退職給付債務から年金資産の金額を控除した額である「退 職給付に係る負債」(ただし個別財務諸表上は「退職給付引当金」)や退職給付費用の 金額がひと度変動すれば、企業の財政状態や経営成績に及ぼす影響も甚大となると考 えられるため、さまざまな利害関係者からの合意を形成するのは容易ではないからで ある。改正作業に携わった関係者各位の努力に敬意を表するものであるが、会計基準 が確定して公表したらもうそれで終わりというわけではない。むしろ、会計基準がル ールとして企業側に受け入れられなければそれはまさに画餅に帰してしまい、机上の 空論に陥ってしまうであろう。それゆえに、新たに策定された会計基準が現実にはど のように適用されているのか、どのように財務諸表の本体に表示されているのか、あ るいはどのように注記として開示されているのか、新しい退職給付会計の実態を把握 しておくことは極めて重要である。そればかりか、詳しくは後述するが本会計基準等 のように、強制適用に先立って任意で早期適用が認められている場合には、当該早期 適用会社の開示状況を整理しておくことは早期適用を行っていない他の会社にとって も実務上の便宜に役立つ一方、強制適用後の状況を展望するのにかなり有用であると 思われる。さらに、今後退職給付会計基準見直しのプロジェクトがステップ2 に移行 するにあたって、現下の状況を的確に分析しておくことは、新たな課題を浮き彫りに して改善策を模索するうえでも不可欠なことであろう。 そこで、本稿では平成24 年に改正された本会計基準ならびに本適用指針を早期適 用した先進的な会社が実際に作成した平成26 年 3 月期の第 1 四半期報告書および同 有価証券報告書などにおける連結財務諸表の本体や注記事項を基にして、退職給付会 計関連の開示状況を点検・分析するとともに、その上で筆者なりに気付いた早期適用 会社の特徴あるいは若干の所見を表明するものである。ただし、紙幅の関係から本号 においては、まず本会計基準ならびに本適用指針の適用に関係する事項を確認した後 に早期適用会社をフローとストックの両面から概括し、その特質を明らかにすること とし、未認識の数理計算上の差異や未認識過去勤務費用といった、いわゆる未認識事 項に係る注記事項や、当期純利益に影響を及ぼす退職給付債務および勤務費用の計算 方法の見直しに係る事項などについては、稿を改めて詳述する。 2. 平成 24 年改正退職給付会計基準の適用等 2.1 原則的な取扱い 本会計基準および本適用指針は、平成25 年 4 月1日以後に開始する事業年度の年 度末に係る財務諸表から適用することとされている(本会計基準第34 項本文)。した
がって、わが国では3 月決算の会社がおよそ7割を占めている(1)ので、実質的には平 成26 年 3 月期の本決算が新退職給付会計基準にもとづく最初の決算になるが、同項 のただし書きで、平成25 年 4 月 1 日以後開始する事業年度の期首から適用すること ができるとされており、これを早期適用という。上場会社であれば四半期ごとの財務 報告を行っているので、たとえば3 月決算の会社であれば、平成 25 年 4 月から 6 月 までの第1 四半期の財務報告から改正後の退職給付会計基準を適用することが可能に なる。企業側の準備などを考慮しつつも、早期に準備が整った会社は任意で第1 四半 期からの適用を認めてできる限り早期に外部の利害関係者に情報を提供させることを 推奨するための制度設計ではあるが、早期適用を実施しない場合には、平成26 年 3 月期の第1 四半期から第3 四半期までの財務報告での財務諸表は旧基準にもとづく数 値が公表され、年度末の本決算による財務諸表ではいきなり本会計基準にもとづく数 値が公表されることになる。実際には、下記のように、退職給付債務および勤務費用 の計算方法の見直しに関しては1 年適用を遅らせているので、未認識の数理計算上の 差異等の処理(いわゆる即時認識)や用語の変更など原則として当期純利益には影響 を与えない事項であることから、年度末の財務諸表から適用したとしても特段支障は ないと判断したのであろうが、私見ながら企業もしくは運用環境の如何によっては市 場にサプライズや無用の混乱を生じさせるおそれがあるため、このような形での適用 には若干の違和感が残るものである。また、例えば早期適用に踏み切ったA 社の四半 期報告は新退職給付会計基準に拠っているのに対し、同業ながら早期適用を見送った B 社の四半期報告は旧基準に拠っているということになるため、財務諸表の利用者の 意思決定にあたり、企業間の比較可能性の観点からも問題が全くないわけではない(2)。 2.2 退職給付債務及び勤務費用の定めならびに特別損益における表示の定めの取扱い 本会計基準の適用によって生じうる会計方針の変更には、①未認識数理計算上の差 異および未認識過去勤務費用の会計処理(貸借対照表上での即時認識)、②退職給付見 込額の期間帰属方法を含む退職給付債務および勤務費用の計算、および③特別損益に 計上できる過去勤務費用、がある(同第80 項)。これらのうち、②の変更には新たな 年金数理計算のために一定の準備期間を要するという意見が寄せられたことを考慮し て、①と適用時期を分けることとし、②に関連する定め(本会計基準第16 項から第 21 項および第 28 項ただし書き)については、上記 2.1 に拘わらず、平成 26 年 4 月 1 日以後に開始する事業年度の期首から適用することとされた(本会計基準第35 項)。 「期首から」とされたのは、当期純利益および利益剰余金に影響を与えることを踏ま え第1 四半期から適用させるためである。③についても、当期純利益に影響を与え得 ることになるので、②と連動させて適用することとされている。したがって、本会計 基準を適用後、退職給付債務及び勤務費用の定めならびに特別損益における表示の定 めを適用しない期間がある場合には、当該期間については、旧基準に基づく退職給付 債務および勤務費用に関する定め(同 二2、三 2(1)および(2)、ならびに四 2)に従 うこととなる(本会計基準第36 項)。なお、退職給付債務及び勤務費用の定めならび に特別損益における表示の定めについても、平成25 年 4 月 1 日以後開始する事業年 度の期首から適用する早期適用が容認されている。
2.3 退職給付債務及び勤務費用の定めならびに特別損益における表示の定めを適用す ることが実務上困難な場合の特例 退職給付債務及び勤務費用の定めならびに特別損益における表示の定めを適用する にあたって、数理計算の準備状況(適用上の判断に係る準備を含む)等から平成26 年 4 月 1 日以後に開始する事業年度の期首から適用することが実務上困難となる場合が 懸念されるとの意見が審議の過程で示された。そこで、このような実務側からの懸念 を踏まえて、これらの定めを適用することが実務上困難とされる場合には、特例とし て①四半期財務諸表においては、当該定めを適用していない旨およびその理由および ②年度末に係る財務諸表においては、当該定めを適用していない旨、その理由ならび に退職給付債務および勤務費用の定めにもとづき算定した当該事業年度末の退職給付 債務の概算額、を注記することを条件に、平成27 年 4 月 1 日以後に開始される事業 年度の期首から適用することができるとされている(本会計基準第35 項ただし書き および同第82 項)。そのため、強制適用の場合からさらに 1 年の猶予が与えられたこ とになるので、早期適用の場合と較べて2 年のタイムラグが生じることになる。 2.4 遡及処理の不適用 本会計基準では、第34 項(未認識項目の処理方法、開示など)および第 35 項(退 職給付債務及び勤務費用の計算方法の見直し、複数事業主制度の会計処理並びに過去 勤務費用の特別損益における表示)を適用するにあたり、過去の期間の財務諸表に対 しては遡及処理しない、と定められている(本会計基準第37 項前段)。 また、第35 項にしたがって本会計基準を適用するにあたっては、その適用前に第 19 項(1)で定めている期間定額基準(退職給付見込額の期間帰属の算定において、退職 給付見込額について全勤務期間で除した額を各期の発生額とする方法)を採用してい た場合であっても、適用初年度の期首において、同項(2)で定めている給付算定式基準 (退職給付制度の給付算定式に従って各勤務期間に帰属させた給付にもとづき見積も った額を、退職給付見込額の各期の発生額とする方法)を選択することができる(同 第38 項)。 これに関して、遡及適用とは、新たな会計方針を過去の財務諸表に遡って適用して いたかのように会計処理することをいう(企業会計基準第24 号第 4 項(9))。一般論と しては、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更の場合には、会計基準等に特定の経 過的な取扱い(適用開始時に遡及適用を行わないことを定めた取扱いなど)が定めら れていない場合には、新たな会計方針を過去の期間のすべてに遡及適用することとな っている(企業会計基準第24 号第 6 項(1))。 しかしながら、本会計基準の「結論の背景」では、過去の財務諸表に対して当該会 計基準が定める新たな会計処理の遡及適用を求める場合、変更後の未認識数理計算上 の差異の残高を算定するために、平成10 年に制定された旧基準の適用時と制度の開 始時のいずれか新しい方の時点以後の各事業年度の退職給付債務のすべてを再計算し なければならないという過度な負担が生じることになるため、過去の財務諸表への遡 及適用は求めないこととしたと説明されている(本会計基準第82 項本文)。 もっとも、退職給付債務および勤務費用の定め(本会計基準第16 項から第 21 項)
の適用初年度の後において、正当な理由により退職給付見込額の期間帰属方法を変更 する場合には、原則として、企業会計基準第24 号第 6 項(2)の定めにしたがって遡及 適用することとなる(本会計基準第82 項なお書き)。 2.5 適用に伴う会計方針の変更の影響額 上記の結果として、本会計基準等の適用に伴って生じる会計方針の変更の影響額に ついては、本会計基準第34 項の適用に伴うものは純資産の部における「その他の包 括利益累計額」の区分の「退職給付に係る調整累計額」に、同第35 項の適用に伴うも のは期首の利益剰余金に加減することになる(本会計基準第37 項後段)。けだし、退 職給付見込額の期間帰属方法の変更によって生じる退職給付債務の変動は、年金資産 の期待運用収益と実際の運用成果との差異、退職給付債務の数理計算に用いた見積数 値と実績との差異および見積数値の変更等により発生した差異という本会計基準第 11 項での数理計算上の差異の定義とは必ずしも整合しないからである。当該変動を含 めた同第35 項の適用によって生じる退職給付債務の変動については、期首の数理計 算上の差異に加減するのではなく、期首の利益剰余金に加減するものとされている(本 会計基準第83 項)。 2.6 税効果会計の適用 また、会計方針の変更の影響額の算定にあたっては、税効果会計の影響を反映する こととされている(本適用指針第69 項)。本会計基準および本適用指針の適用によっ て会計方針が変更され、退職給付に係る負債(または退職給付に係る資産)の金額が 変動した結果、新たに繰延税金資産または繰延税金負債が計上されることがある。こ の場合、会計方針の変更の影響額には、適用時点で企業会計審議会による「税効果に 係る会計基準」や、日本公認会計士協会監査委員会報告第66 号「繰延税金資産の回収 可能性の判断に関する監査上の取扱い」等に照らして判断された当該繰延税金資産の 回収可能性の判断に伴う影響額も含まれる。なお、本会計基準第34 項の適用に伴う 即時認識によるものは、税効果会計を適用した上で連結貸借対照表純資産の部におけ るその他の包括利益累計額に反映させることになる。 2.7 新たに導入された注記事項に関する財務諸表の組替えの不実施 上述のように本会計基準の適用にあたっては、過去の期間の財務諸表に対する遡及 処理は行われない(本会計基準第37 項)。したがって、本会計基準が定めている新た な注記事項(本会計基準第30 項)についても、新たに導入された注記の表示方法を過 去の財務諸表に遡って適用していたかのように表示を変更する、過去の期間に対する 「財務諸表の組替え」(企業会計基準第24 号第 4 項(10))も行われない(本会計基準 第84 項)。 2.8 適用に関するその他の留意事項 (1) 複数事業主制度の会計処理 本適用指針の適用により、複数事業主制度の会計処理について、会計方針の変更が
生じる場合がある(本適用指針第119 項および第 121 項)。複数事業主制度とは、事 業主が単独で企業年金制度を設立するのではなく、複数の事業主により設立された確 定給付型企業年金制度を採用している場合で、わが国では連合設立型または総合設立 型厚生年金基金、あるいは連合設立型または総合設立型確定給付企業年金制度がこれ に該当する。これに関し、合理的な基準により自社の負担に属する年金資産等の計算 をした上で、確定給付制度の会計処理および開示を行うことを原則とするが(本会計 基準第33 項(1))、自社の拠出に対応する年金資産の額を合理的に計算することができ ない場合には、確定拠出制度に準じた要拠出額をもって費用処理するとともに注記を 行うこととされている(同項(2))。当該変更は、当期純利益および利益剰余金に影響を 与えるものであることから、当該複数事業主制度の会計処理に関する定めについては、 本会計基準第35 項の対象となる定めと併せて平成 26 年 4 月 1 日以後開始する事業 年度の期首から適用することとされている(本適用指針第127 項)。 (2) 利息費用および期待運用収益の計算 利息費用は期首の退職給付債務に割引率を乗じて計算することを原則とするが(本 会計基準第21 項)、期中に退職給付債務の重要な変動があった場合には、これを反映 させること(本適用指針第16 項)、および期待運用収益は、期首の年金資産の額に長 期期待運用収益率を乗じて計算することを原則とするが(本会計基準第23 項)、期中 に年金資産の重要な変動があった場合には、これを反映させること(本適用指針第21 項)の両規定は、ともに今回新設された規定ではあるが、いずれも改正前の従来の実 務指針の取扱いを明確にしたものである。したがって、これらは本会計基準および本 適用指針の適用による会計方針の変更には該当しない(本適用指針第129 項)。 2.9 財務諸表等規則などの改正 金融庁は、ASBJ による本会計基準等を踏まえて平成 24 年 7 月 6 日、「財務諸表等 の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令」(案)を公表し た。これは、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(財務諸表等規則)、 「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(連結財務諸表規則)、「中間 連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(中間連結財務諸表規則)、お よび「四半期連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(四半期連結財務 諸表規則)並びにこれらのガイドラインについて所要の改正を行うものである。この 案に対して1 か月間のパブリックコメントの期間が設けられ、寄せられた意見を基に 一部修正のうえ、平成24 年 9 月 21 日に「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関 する規則等の一部を改正する内閣府令等」が公布・施行されている。
(1) 退職給付に係る科目の表示規定の整備及び様式の改正 諸規則・ガイドラインの改正の内容は、基本的に平成24 年「退職給付に関する会計 基準」等と同様であるが、連結財務諸表における「退職給付に係る資産」、個別財務諸 表における「前払年金費用」は、今般の改正により、新たに区分表示項目とされるこ とになった(連結財務諸表規則第30 条第4号、財務諸表等規則第 32 条第 1 項第 12 号)。ちなみに「退職給付に係る負債」は、「退職給付引当金」から名称が変わり連結 財務諸表規則第38 条第 1 項第 6 号に新設されたが、従前より引当金は区分表示項目 (同項第5 号)であるので、変更はない。 また、未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用等(以下「未認識数理計算 上の差異等」という。)については、連結貸借対照表上、「退職給付に係る調整累計額」 等の適切な科目で「その他の包括利益累計額」の項目に表示し、数理計算上の差異及 び過去勤務費用等については、当期の発生額と組替調整額(未認識数理計算上の差異 等のうち、当期に費用処理された額に対応する額)の合計額を、連結包括利益計算書 (又は連結損益及び包括利益計算書)上、「退職給付に係る調整額」等の適切な科目で 「その他の包括利益」の項目に表示することとされた(連結財務諸表規則第43 条の 2 第1 項第 5 号、同第 69 条の 5 第 1 項第 4 号、および中間連結財務諸表規則及び四半 期連結財務諸表規則においても同様の改正が行われている)。併せて連結財務諸表な どの様式も改正されている(連結財務諸表規則様式第4 号、第 5 号の 2、および第 6 号)(3)。 (2) 注記の規定の整備 本会計基準等では確定給付制度に基づく退職給付に関する注記について、退職給付 債務の期首残高と期末残高の調整表及び年金資産の期首残高と期末残高の調整表等が 求められるなど、注記事項の拡充が行われている(本会計基準第30 項)ので、財務諸 表等規則等の規定も整備されている(財務諸表等規則第8 条の 13 及び同ガイドライ ン8 の 13 等、連結財務諸表規則第 15 条の 8 および同ガイドライン 15 の 8 等)。 (3) 諸規則・ガイドラインの適用日 本会計基準等の規定と同じく、平成25 年 4 月 1 日以後に開始する事業年度および 連結会計年度に係る財務諸表及び連結財務諸表について適用することとされている。 また、中間連結財務諸表ならびに四半期連結財務諸表については、平成26 年 4 月 1 日以後に開始する中間連結会計期間ならびに連結会計年度に属する四半期連結累計期 間及び四半期連結会計期間(以下「四半期連結累計期間等」という)より適用するこ ととされている。平成25 年 4 月 1 日以後に開始する中間連結会計期間に係る中間連 結財務諸表ならびに同日以後に開始する連結会計年度に属する四半期連結累計期間等 に係る四半期連結財務諸表について早期適用できることも本会計基準等と同様である。
3. 早期適用に踏み切った会社の概況 3.1 早期適用会社の一覧 上記のとおり、本会計基準等では会社側の自主的な判断で、平成25 年 4 月 1 日以 後開始する事業年度の期首から早期適用することができるとされている(本会計基準 第34 項ただし書き)。『週刊経営財務』誌(4)の調査(2013,p.2)によれば、平成 26 年 3 月期第 1 四半期の財務報告において早期適用に踏み切った 35 社の会社名を紹介し ている(表1 参照)。東京証券取引所他による統計(2013)によると、平成 25 年 3 月 末時点で東京、大阪、名古屋、福岡、札幌の各証券取引所に上場していた内国上場会 社は3,533 社であったので(東証他,2013,p.1)、上場会社のおよそ 1%に相当する。 全国の上場会社の約1%という数字は高いものではないが、強制されるまで開示を 行わない、あるいは準備がなかなか整わない会社が数多い中、しかも新しい退職給付 会計基準を適用すれば、未認識の積立不足が生じている場合、その実情が連結貸借対 照表に如実に現れてしまうため、会社側にとって不利な影響をもたらすと思われる情 報を任意で、他社よりも1 年も早く開示を行った姿勢は高く評価されるべきである。 下記No. 23 からNo.33 の会社はすべて日立製作所の連結子会社であり、同様にNo.34 はNo.13 の川崎重工業の連結子会社である。また、No.29 の日立メディコは、平成 26 年3 月に日立製作所の完全子会社になったため、第 3 四半期の財務報告が最後になっ ているほか、No.8 の東海ゴム工業は、2014 年 10 月 1 日に「住友理工」に社名を変 更している。さらに、No. 34 と No.35 の会社は、連結子会社が存在しないため、連結 財務諸表を作成していない。したがって、個別決算のみの開示となっている。具体的 に言えば、未認識の数理計算上の差異や未認識の過去勤務費用の処理に関して、貸借 対照表における即時認識はあくまで連結決算のみでのことであり、個別財務諸表では 従来どおり遅延認識である(本会計基準第39 項)ので、当該会社は対象外となる。本 稿では両社の「計算項目」に関しては、個別ベースでの数値を用いて分析を行う。 表1 早期適用会社名等一覧 No. 会 社 名 証券コード 上場市場 業 種 担当監査法人 1 シンクレイヤ 1724 東証ジャスダック 建設業 監査法人トーマツ 2 日本サード・パーティ 2488 東証ジャスダック サービス業 監査法人トーマツ 3 味の素 2802 東証第1 部 食料品 新日本監査法人 4 日清食品ホールディングス 2897 東証第1 部 食料品 監査法人トーマツ 5 野村総合研究所 4307 東証第1 部 情報・通信業 新日本監査法人 6 参天製薬 4536 東証第1 部 医薬品 あずさ監査法人 7 伊藤忠テクノソリューションズ 4739 東証第1 部 情報・通信業 監査法人トーマツ 8 東海ゴム工業(現:住友理工) 5191 東証第1 部 ゴム製品 あずさ監査法人 9 LIXIL グループ 5938 東証第1 部 金属製品 監査法人トーマツ 10 鉱研工業 6297 東証ジャスダック 機械 新日本監査法人 11 デンソー 6902 東証第1 部 輸送用機器 監査法人トーマツ 12 日東電工 6988 東証第1 部 化学 あずさ監査法人
13 川崎重工業 7012 東証第1 部 輸送用機器 あずさ監査法人 14 島津製作所 7701 東証第1 部 精密機器 監査法人トーマツ 15 ヤマハ 7951 東証第1 部 その他製品 新日本監査法人 16 長瀬産業 8012 東証第1 部 卸売業 新日本監査法人 17 みちのく銀行 8350 東証第1 部 銀行業 新日本監査法人 18 MS&AD インシュアランス グループホールディングス 8725 東証第1 部 保険業 あずさ監査法人 19 T&D ホールディングズ 8795 東証第1 部 保険業 新日本監査法人 20 九州電力 9508 東証第1 部 電気・ガス業 監査法人トーマツ 21 北海道電力 9509 東証第1 部 電気・ガス業 新日本監査法人 22 因幡電機産業 9934 東証第1 部 卸売業 監査法人トーマツ 23 日立化成 4217 東証第1 部 化学 新日本監査法人 24 日立金属 5486 東証第1 部 鉄鋼 新日本監査法人 25 日立建機 6305 東証第1 部 機械 新日本監査法人 26 日立工機 6581 東証第1 部 機械 新日本監査法人 27 日立国際電気 6756 東証第1 部 電気機器 新日本監査法人 28 クラリオン 6796 東証第1 部 電気機器 新日本監査法人 29 日立メディコ 6910 東証第1 部 電気機器 新日本監査法人 30 日立ハイテクノロジーズ 8036 東証第1 部 卸売業 新日本監査法人 31 日立キャピタル 8586 東証第1 部 その他金融業 新日本監査法人 32 日立物流 9086 東証第1 部 陸運業 新日本監査法人 33 日立機材 9922 東証第2 部 金属製品 新日本監査法人 34 川重冷熱工業 6414 東証ジャスダック 機械 あずさ監査法人 35 ハウス オブ ローゼ 7056 東証第1 部 小売業 新日本監査法人 (出所)『週刊経営財務』第3130 号(平成 25 年 9 月 16 日号)を基に一部筆者改変 3.2 早期適用会社の基本的属性 (1) 上場市場の区分 早期適用をした35 社中 30 社が東京証券取引所第 1 部に上場している。残りの 5 社 についてもそのうち2 社は東証第 1 部上場企業の子会社である。改正後の退職給付会 計基準を早期適用することが可能になるためには、質・量ともに一定水準以上の経理・ 財務部門の陣容を整えることが必要であるため、どうしても社内体制が整備されてい る東証第1 部に上場している企業がほとんどにならざるを得ないものと思われる。 また、近年地方証券取引所の廃止が相次いだり、日本取引所グループの誕生により 平成25 年 7 月に東京証券取引所と大阪証券取引所とが合併し現物市場を統合したこ とに加えて、相当数の会社がコスト削減のため東京証券取引所に集約化する傾向を加 速させたり、地方圏の会社が東京に本社を移転し、東京証券取引所に上場しているこ とも背景にあるが、東京証券取引所以外の地方の証券取引所に単独上場している地方 の会社で早期適用を行っている会社は1 社もないという点も特徴として挙げられる。
(2) 業 種 表1 の業種欄からは、製造業を営む会社が比較的多いことが読み取れるものの、そ れ以外の非製造業の会社や、銀行・保険といった金融業、さらには電力会社など多岐 にわたる会社が早期適用を行っており、業種の偏りはほとんどない。ただ、卸・小売 業やサービス業など、いわゆる労働集約型産業の会社が少ないという傾向が見受けら れる。これだけで判断してはならないが、従業員数が企業規模に比して相対的に多い 会社であればあるほど、労務費用がかさんで新しい退職給付会計基準による影響がそ れだけ大きくなることを勘案すれば、強制されてもいないのにこれをわざわざ早期適 用するインセンティブがあまり高くはならなかったものと推察される。 なお、業種ではないものの、上述したように日立製作所の上場連結子会社が11 社 も含まれていることが特筆される。親会社の日立製作所自身は早期適用会社に含まれ ていないが、これは同社の連結財務諸表は米国の会計基準等を採用しているためであ ると考えられる。日立グループは連結経営を標榜しているだけあって、上場している 子会社に対しても、制度改正に迅速に対応できるように相当早くから企業集団単位で 準備を進めてきた証左であると思われる。 (3) 担当監査法人 表1 の担当監査法人欄からも明らかなように、35 社すべてがいわゆる3大監査法 人による監査を受けている会社になっている。監査法人の業界は合併を繰り返して規 模拡大により多様かつ複雑化するリスクに対応しつつ、コスト削減に取り組んでいる が、新日本監査法人、監査法人ト―マツ、およびあずさ監査法人の3 大監査法人にあ らた監査法人を加えた4法人による寡占化が進んでいる状況にある。しかしながら、 中小規模の監査法人による監査を受けている会社も少なからず存在しているにもかか わらず、早期適用の会社は1 社も存在していないというのは注目に値しよう。クライ アント企業が新しい退職給付会計基準を早期適用するにあたって、クライアントから の質問や相談に的確に対応し、なおかつ適切に監査の手続きを実施するためには、監 査法人の側も質・量ともに相当高い水準の体制が整っていなければ、適切な意見を表 明できないだろうと思われる。そのため、早期適用は大手の監査法人の顧客に限られ てしまうのが現実なのではないかと推察される。 3.3 早期適用会社のフロー(経営成績)の側面 (1) 平成 26 年3月期第1四半期の売上高等の状況 早期適用した35 社の平成 26 年 3 月期第 1 四半期報告書において開示された連結 財務諸表に基づいて、同第1 四半期(平成 25 年 4 月 1 日から同年 6 月 30 日)の連 結ベースの売上高、経常利益(損失)および四半期純利益(損失)の状況は、次の表 2 のとおりである。
表2 早期適用会社の平成26 年3月期第1四半期の連結売上高等の状況 No. 会 社 名 売上高 経常利益 四半期純利益 1 シンクレイヤ 1,228 △310 △195 2 日本サード・パーティ 1,073 △16 △30 3 味の素 242,080 16,389 11,329 4 日清食品ホールディングス 94,854 8,212 5,255 5 野村総合研究所 88,250 12,249 7,804 6 参天製薬 34,314 8,218 5,562 7 伊藤忠テクノソリューションズ 65,248 432 △281 8 東海ゴム工業(現:住友理工) 80,789 1,670 433 9 LIXIL グループ 348,419 13,614 8,936 10 鉱研工業 1,457 51 43 11 デンソー 997,574 116,753 86,043 12 日東電工 179,336 17,084 12,040 13 川崎重工業 282,509 9,400 4,496 14 島津製作所 62,582 1,563 2,631 15 ヤマハ 97,004 6,290 5,818 16 長瀬産業 171,328 5,106 3,527 17 みちのく銀行※1 12,846 2,266 2,628 18 MS&AD インシュアランス グループホールディングス ※1 1,045,065 118,070 83,148 19 T&D ホールディングズ ※1 522,668 47,074 21,999 20 九州電力 ※2 388,992 △64,633 △59,152 21 北海道電力 ※2 141,956 △15,836 △17,748 22 因幡電機産業 46,638 2,628 1,629 23 日立化成 119,199 8,499 8,158 24 日立金属 135,448 8,988 3,690 25 日立建機 186,557 2,809 △1,105 26 日立工機 31,468 400 172 27 日立国際電気 26,739 △373 △698 28 クラリオン 43,603 △772 △987 29 日立メディコ 30,633 △1,074 △1,633 30 日立ハイテクノロジーズ 131,504 457 △1,480 31 日立キャピタル ※2 30,990 8,160 5,511 32 日立物流 142,869 2,816 669 33 日立機材 7,178 855 537 34 川重冷熱工業(個別ベース) 3,842 △42 32 35 ハウス オブ ローゼ (個別ベース) 3,438 2 △30 上記35 社の平均値(参考値) 155,750 9,629 5,678 (単位:百万円、損失が生じている場合は△印にて示す) ※1 は四半期ベースの売上高ではなく、経常収益である。 ※2 は四半期ベースの売上高ではなく、営業収益である。 (出所)早期適用各社の平成26 年 3 月期第 1 四半期報告書を基に筆者作成
① 売 上 高 表2 からもわかるとおり、四半期ベース、すなわち 3 か月間の売上高が 10 億円台 にとどまっている会社から1 兆円近くに達している会社まで幅広く広がっている。な お、銀行・証券といった金融業や、電力会社の連結損益計算書では、売上高ではなく、 経常収益または営業収益と表示されているので注意が必要である。そのため、表2 で は平均値を算出してはいるものの、あくまで参考値として取り扱うべきである。 ② 利益(または損失) 上記の表2 からは、35 社中 27 社は経常利益を出しているものの、8 社が経常損失 を計上している。また、特別利益・特別損失などを経たのちの最終的な四半期純利益 または四半期純損失では35 社中 24 社が黒字であるのに対し、11 社は赤字となって おり、経常利益ベースよりもやや悪化していることが判る。退職給付会計の制度変更 に早くから準備を着手し、かつ強制されてもいないにかかわらず、任意で自主的に早 期適用に踏み切る会社は、巨額かつ安定した売上を誇り、かつ利益も堅調に確保して いる会社が過半であろうと予測していただけに当初、この結果に筆者自身は意外感を 禁じ得なかった。 それぞれの会社によって業種が異なるばかりか、抱えている競争条件などの経営環 境や事情はさまざまであるから、一概にはいえないものの、平成25 年の 4 月から 6 月にかけての時期はいわゆるアベノミクスによる株価上昇が一服したころであるが、 円安が進行していたことに加え、平成25 年度の実質経済成長率が 2.3%と近年では比 較的高い数値であったことに鑑みれば、大抵の企業にとっては一般論として好業績を 上げやすい経営環境にあったと言える。そのようななかで3 分の 1 が赤字であったと いうことは、この時期に必ずしも業績が好調な会社ばかりが早期適用に踏み切ったわ けではないということがいえるのではないかとも思われる。 (2) 通期ごとの2期間の比較 しかしながら、四半期財務報告は3 か月間の状況を表しているに過ぎず、情報開示 が迅速に行われることによって、投資意思決定に有用な情報がよりタイムリーに提供 される反面、季節的な変動によって業績が大きく左右されてしまう側面がある。その ため、上記(1)で示した数値はあくまで 1 年間を 4 分割した第 1 四半期のみであるた め、季節的変動要因が大きく作用している可能性があることからこれを割り引いて考 える必要がある。そこで、年間を通した通期ベースで見直してみる必要がある。 本会計基準等を早期適用した35 社の平成 25 年 3 月期(平成 24 年 4 月 1 日から平 成25 年 3 月 31 日)および平成 26 年 3 月期(平成 25 年 4 月 1 日から平成 26 年 3 月 31 日)の各有価証券報告書において開示された連結財務諸表に基づいて通期の売上 高、経常利益(経常損失)および当期純利益(当期純損失)の状況を示せば、下記の 表3 のとおりである。なお、表 3 ではスペースの都合で会社名を省略しているが、ナ ンバリングした項番はそのまま表2 のそれと同じである。
表3 早期適用会社の直近2期間における連結売上高等の状況 平成25 年3 月期 平成26 年3 月期 No. 売 上 高 経常利益 当期純利益 売 上 高 経常利益 当期純利益 1 7,135 △209 △147 8,434 133 47 2 4,597 58 1 4,708 89 14 3 964,967 77,167 48,373 991,332 69,541 42,795 4 382,793 30,964 18,855 417,620 34,840 19,268 5 363,891 45,858 28,612 385,932 52,360 31,527 6 119,066 25,602 16,520 148,663 27,924 17,109 7 322,475 27,340 16,025 349,454 23,997 14,096 8 263,725 9,226 3,003 369,093 11,041 4,076 9 1,436,395 53,063 21,347 1,628,658 74,937 44,755 10 5,194 △207 △164 6,753 493 406 11 3,580,923 296,017 181,682 4,095,925 419,571 287,388 12 671,253 67,182 43,696 749,835 71,658 51,018 13 1,288,881 39,328 30,864 1,385,482 60,605 38,601 14 264,048 13,472 7,578 307,532 24,804 9,724 15 366,941 8,580 4,122 410,304 26,146 22,898 16 666,272 17,927 14,182 723,212 17,905 11,663 17 43,533※1 3,890 3,579 41,676※1 5,967 3,725 18 4,315,787※1 150,300 83,625 4,362,754※1 190,259 93,451 19 2,418,959※1 151,689 63,733 2,085,734※1 186,224 78,982 20 1,545,919※2 △331,206 △332,470 1,791,152※2 △131,449 △96,096 21 582,990※2 △128,184 △132,819 630,340※2 △95,370 △62,972 22 197,380 9,371 4,872 233,695 11,936 6,624 23 464,655 27,344 18,818 493,766 32,081 24,103 24 535,779 21,251 12,955 807,952 60,898 39,417 25 772,355 36,391 23,464 802,988 53,671 28,939 26 115,645 6,287 4,691 133,327 4,451 1,696 27 138,801 6,461 6,165 167,365 17,394 15,326 28 177,288 3,326 1,358 191,337 4,441 3,342 29 104,353※3 △253※3 △1,346※3 107,209※3 552※3 △3,033※3 30 575,468 20,098 12,166 639,116 31,102 18,032 31 103,304※2 27,401 16,546 127,979※2 33,619 22,195 32 547,517 19,568 11,156 624,504 19,961 5,433 33 23,125 1,810 1,364 26,706 2,682 1,613 34 15,994※4 188※4 112※4 16,773※4 471※4 404※4 35 14,364 511 240 14,675 606 275 (単位:百万円、損失が生じている場合は△印にて示す) ※1 は通期ベースの売上高ではなく、経常収益である。 ※2 は通期ベースの売上高ではなく、営業収益である。 ※3No.29 の日立メディコは年度途中で日立製作所の完全子会社になったため、平成26 年3 月期の有 価証券報告書を作成していない。そのため、ここでは便宜上2 期間の第3 四半期連結累計額を用い て比較している。 ※4 のNo. 34 とNo.35 の両社は、連結子会社が存在しないため、連結財務諸表を作成していない。そ のため、いずれも個別ベースでの通期の数値を示している。 (出所)早期適用各社の平成26 年 3 月期の有価証券報告書などを基に筆者作成
上記の表3 で早期適用することを社内で決定したと思われる平成 25 年 3 月期に着 目すると、原子力発電所が稼働していないため燃料費がかさむ火力発電に頼らざるを えないという、特殊な事情を抱えている電力会社の2 社を除けば、損失を計上してい る会社は 3 社にとどまっており、ほとんどの会社は黒字であることが分かる。また、 平成26 年 3 月期を通期でみれば、上記の電力会社 2 社と年度途中で組織再編が行わ れた日立メディコを除けば総じて黒字であることから、先の表2 で第1四半期での赤 字を計上している会社が続出しているのは主として季節的要因が原因であると捉えら れる。 さらに、表3 で 2 期間を比較すると、増収増益(ただし、損失減少も含む)が 28 社、増収減益(ただし、損失拡大を含む)5 社、減収増益 2 社、減収減益がゼロであ ることから、概ね社業を順調に伸ばしている会社が多い。したがって、新退職給付会 計のルールを他社に先んじて適用に踏み切れる会社は、主に業績の安定性があり制度 改正に対する準備を早くから始められる余裕のある会社ということが裏付けられる。 3.4 早期適用会社のストック(財政状態)の側面 (1) 早期適用直後の総資産等の状況 本会計基準等を早期適用した35 社の平成 26 年 3 月期第 1 四半期報告書において 開示された連結財務諸表に基づいて、同第1 四半期(平成 25 年 4 月 1 日から同年 6 月30 日)末の総資産額(退職給付に係る負債などの諸負債と純資産との合計額に等 しい)、自己資本(株主資本とその他の包括利益累計額を加えた合計額)および自己資 本比率(自己資本を総資産で除した安全性に関する指標)の状況を示せば、次の表4 のとおりである。 表4 早期適用会社の平成26 年3月期第1四半期末の総資産等の状況 No. 会 社 名 平成25 年6 月末の 総資産額(百万円) 平成25 年6 月末の 自己資本(百万円) 平成25 年6 月末の 自己資本比率(%) 1 シンクレイヤ 6,976 1,607 23.0 2 日本サード・パーティ 2,668 1,687 63.2 3 味の素 1,096,701 588,803 53.7 4 日清食品ホールディングス 449,764 312,837 69.6 5 野村総合研究所 428,297 295,159 68.9 6 参天製薬 203,556 168,199 82.6 7 伊藤忠テクノソリューションズ 254,063 159,706 62.9 8 東海ゴム工業(現:住友理工) 365,202 163,121 44.7 9 LIXIL グループ 1,498,822 571,626 38.1 10 鉱研工業 6,546 1,474 22.5 11 デンソー 4,189,506 2,451,877 58.5 12 日東電工 754,011 481,141 63.8 13 川崎重工業 1,525,071 313,998 20.6
14 島津製作所 305,485 172,274 56.4 15 ヤマハ 402,076 234,295 58.3 16 長瀬産業 494,216 233,628 47.2 17 みちのく銀行 2,089,030 74,825 3.6 18 MS&AD インシュアランスグル ープホールディングス 16,009,515 2,110,771 13.2 19 T&D ホールディングズ 13,839,861 903,850 6.5 20 九州電力 4,458,771 528,354 11.8 21 北海道電力 1,681,361 172,345 10.3 22 因幡電機産業 13,294 86,046 61.8 23 日立化成 486,506 309,879 63.7 24 日立金属 547,814 246,685 45.0 25 日立建機 1,074,355 350,838 32.7 26 日立工機 147,022 107,528 73.1 27 日立国際電気 147,812 68,485 46.3 28 クラリオン 120,870 21,313 17.6 29 日立メディコ 152,426 69,156 45.3 30 日立ハイテクノロジーズ 442,536 245,553 55.5 31 日立キャピタル 2,206,362 276,578 12.5 32 日立物流 379,504 163,060 43.0 33 日立機材 22,562 16,287 72.2 34 川重冷熱工業 (個別ベース) 12,428 3,780 30.4 35 ハウス オブ ローゼ (個別ベース) 9,398 5,430 57.8 上記35 社の平均値 1,594,982 340,348 21.3(加重平均) 43.9(単純平均) (出所)早期適用各社の平成26 年 3 月期第 1 四半期報告書を基に筆者作成 ① 総資産額 表4 のように、早期適用会社の総資産額は、銀行や保険といった金融業を営む会社 や電力会社などのように1 兆円を超える巨大会社が 11 社もあれば、その一方で総資 産額が100 億円未満の会社が 4 社存在しているところもあり、かなりのバラツキがみ られる。保険業の2社の総資産が突出しているため、平均値を大きく押し上げている。 業種や業態、あるいはビジネスモデル等々により、総資産の金額は当然に異なってく るものではあるけれども、必ずしも大規模な会社ばかりが早期適用に踏み切っている わけではないということは注目に値すると思われる。 ② 自己資本および自己資本比率 本会計基準では、連結貸借対照表において、未認識の過去勤務費用や未認識の数理 計算上の差異を即時認識し、税効果を考慮のうえ「退職給付に係る調整累計額」が純 資産の部のその他の包括利益累計額に現れるため、連結ベースでの自己資本にも影響
を及ぼすことになる。企業の自己資本は株主が出資した拠出資本や留保利益、それに 保有している資産などの含み損益などからなるが、一般に自己資本が増加すれば経営 の安定度が増すばかりか、それだけ新たな資金調達も有利に行いやすくなるため、新 規の設備投資やM&A など新たな成長に向けての経営展開余力も高まることになる。 そこで、早期適用直後の株主資本の金額ならびに、自己資本比率を上記表4 に示し たものである。業種の特性上、金融業を営む会社では総資産額が膨らむため多くの会 社で自己資本比率が一桁になっている一方で、8 割を超える会社も存在するなど、か なり広い範囲に分布している。早期適用35 社の自己資本比率の加重平均値は 21.3% ((単純)平均値は 43.9%)であったように、金融業を営む会社が平均値を押し下げ ている。財務省傘下の財務総合政策研究所の調査結果(2014)によると、金融業、保 険業を含む資本金10 億円以上の5,471 社を対象にした平成25 年度の自己資本比率は 15.8%である(財務総合政策研究所,2014,p.13)ので、上記の早期適用会社の平均 値は高い水準にある。その結果、未認識項目を貸借対照表上即時認識したとしても、 安全性に優れ(5)耐久力を備えていると経営者が判断したからこそ、早期適用に踏み切 る判断を行ったものと推察できる。 また、折りからのアベノミクスで円安・株高の効果で業績面での貢献に加えて、そ の他有価証券評価差額金や為替換算調整勘定が自己資本を増加させる方向に作用して いたので、自己資本比率向上に寄与しているが、その他の包括利益累計額(連結財務 諸表を作成していない会社は評価・換算差額等)のトータルの金額がプラス、すなわ ち自己資本の増加をもたらしている会社が18 社、逆にマイナス、すなわち自己資本 の減少をもたらしている会社は17 社とほぼ拮抗している状態であった。 (2) 早期適用直前の総資産等の状況 早期適用直後の連結貸借対照表には即時認識された退職給付に係る負債や、純資産 の部には税効果を考慮した退職給付に係る調整累計額が含まれている。そのため、早 期適用による影響を把握するためには早期適用直前の数値と比較する必要があるほか、 早期適用することを最終的に決定したのは直近の決算時であるから、平成25 年 3 月 期末のデータの分析も重要である。さらに、退職給付は企業規模に較べて従業員数が 多ければ多いほどそれだけ負担が重くなることから、従業員数(6)にも着目する必要が ある。そこで、早期適用35 社の平成 25 年 3 月期末の総資産額等や自己資本比率およ び従業員数の状況を示せば、表5 のとおりである。なお、表 5 ではスペースの都合で 会社名を省略しているが、ナンバリングした項番はそのまま表4 のそれと同じである。 表5 早期適用会社の平成25 年3月期末の総資産等の状況 No. 平成25 年3 月期末の 総資産額(百万円) 平成25 年3 月期末の 自己資本(百万円) 平成25 年3 月期末の 自己資本比率(%) 平成25 年3 月期末の 従業員数(名) 1 8,139 1,851 22.7 307[28] 2 2,976 1,734 58.3 419[133] 3 1,091,741 635,287 58.2 27,518[12,984]
4 446,132 306,581 68.7 7,822[4,983] 5 432,249 289,373 66.9 7,738[1,812] 6 199,640 164,808 82.6 3,050 7 270,025 165,641 61.0 7,659[4,387] 8 324,134 159,908 49.3 18,035[2,813] 9 1,465,689 561,159 38.3 45,602[11,403] 10 6,093 1,371 22.5 197 11 3,979,093 2,300,064 57.8 132,276[22,680] 12 741,473 488,179 65.9 25,476[4,921] 13 1,466,290 338,240 23.0 34,010 14 300,259 173,298 57.7 10,395[1,322] 15 390,610 226,871 58.1 19,688[8,198] 16 486,747 228,504 46.9 5,897 17 1,979,405 74,797 3.8 1,289[955] 18 15,914,663 1,999,578 12.6 36,643[7,833] 19 13,668,719 917,180 6.7 20,497[1,950] 20 4,526,513 539,684 11.9 20,853 21 1,660,740 179,089 10.8 10,938 22 132,850 76,818 57.8 1,371[230] 23 477,880 306,979 64.2 17,732 24 541,286 250,298 46.2 17,308[2,920] 25 1,099,901 361,163 32.8 20,440[5,186] 26 144,933 109,706 75.7 5,014[1,224] 27 152,520 81,282 53.3 5,193 28 117,398 21,803 18.6 9,978 29 158,028 74,378 47.1 5,294 30 433,639 266,798 61.5 10,436 31 1,891,431 279,426 6.1 4,920[900] 32 374,206 169,327 45.2 22,793[15,107] 33 22,252 15,764 70.8 379[37] 34 12,604 4,009 31.8 499 35 8,864 5,623 63.4 1,075[314] 上記35 社 の平均 1,569,403 336,473 21.4(加重平均) 44.5(単純平均) 15,964 ※No. 34 とNo.35 の両社は、連結子会社が存在しないため、連結財務諸表を作成していない。そのた め、いずれも個別ベースでの数値を示している。また、従業員数欄の[ ]は、平均臨時雇用者数であ り、外数で示している。 (出所)早期適用各社の平成25 年3月期有価証券報告を基に筆者作成
あくまで平均値での比較であるが、平成25 年 6 月末では同 3 月末と比べ、総資産 額では1.6%の増加、自己資本額では 1.15%の増加であり、ほとんど変化がないに等 しい。それゆえに自己資本比率でもみても加重平均では0.1%の低下((単純)平均で は0.6%の低下)にとどまっており、本会計基準の早期適用による自己資本比率の低 下は全体的に見る限りでは極めて限定的であると結論づけられる。 他方で、退職給付は退職する従業員に対して給付するものであるため、早期適用直 前の従業員数(7)も示した。35 社で平均化すれば 16,000 人弱ということになるが、個 別に見ればデンソーのように13 万人以上の正規従業員を抱えている会社から 200 名 にも満たない会社も存在するなどバラツキが非常に大きいことが読み取れる。 一般に、従業員が比較的少ない小規模な企業等において、高い信頼性をもって数理 計算上の見積りを行うことが困難である場合または退職給付に係る財務諸表項目に重 要性が乏しい場合には、期末の退職給付の要支給額を用いた見積計算を行うなどの簡 便な方法を用いて、退職給付に係る負債および退職給付費用を計算することができる という「簡便法」の適用が容認されている(本会計基準第26 項)。そこで、本適用指 針では、簡便法を適用できる小規模な企業等とは、原則として従業員300 人未満の企 業をいうこととしているが、従業員数が300 人以上の企業であっても年齢や勤務期間 に偏りがあるなどにより、原則法による計算の結果に一定の高い水準の信頼性が得ら れないと判断される場合には簡便法によることができると容認している(本適用指針 第47 項)。加えて同適用指針は、従業員数は毎期変動することが一般的であるので、 簡便法の適用は一定期間の従業員規模の予測を踏まえて決定することとしている(本 適用指針同項)ように、会社側の柔軟な判断を尊重し、簡便法をいわば弾力的に適用 することを容認している。しかも、通常は「簡便法から原則法への変更は認められる が、原則法から簡便法への変更は原則として認められない」(井上,2015,p.92)。 それらにも拘らず、早期適用会社の中には従業員数が300 人を下回っている会社や 300 人前後の会社が複数存在しており、安易に簡便法に頼らずに原則法を厳格に適用 し、しかも任意で早期適用まで行っている積極的な開示姿勢は高く評価すべきである。 3.5 早期適用項目の内容 今般の退職給付会計に係る改正事項は多岐に及んでいるが、大別すれば、①未認識 の数理計算上の差異や未認識の過去勤務費用といった未認識項目の連結貸借対照表に おける即時認識や開示の拡充などの「未認識項目関係」と、②退職給付債務の期間帰 属方法や割引率の見直しなどの退職給付債務の計算方法に関連する、「計算関係」に分 けることができる。そこで、上記35 社の状況を示せば、次の表 6 のとおりとなる。
表6 早期適用会社ごとの早期適用事項一覧 No. 会 社 名 未認識項目関係 計 算 関 係 1 シンクレイヤ ○ ○ 2 日本サード・パーティ ○ ○ 3 味の素 ○ ○ 4 日清食品ホールディングス ○ ○ 5 野村総合研究所 ○ ○ 6 参天製薬 ○ ○ 7 伊藤忠テクノソリューションズ ○ 早期適用見送り 8 東海ゴム工業(現:住友理工) ○ ○ 9 LIXIL グループ ○ ○ 10 鉱研工業 ○ ○ 11 デンソー ○ ○ 12 日東電工 ○ ○ 13 川崎重工業 ○ ○ 14 島津製作所 ○ ○ 15 ヤマハ ○ ○ 16 長瀬産業 ○ ○ 17 みちのく銀行 ○ ○ 18 MS&AD インシュアランスグループホールディングス 早期適用見送り ○ 19 T&D ホールディングズ ○ ○ 20 九州電力 ○ ○ 21 北海道電力 ○ 早期適用見送り 22 因幡電機産業 ○ 早期適用見送り 23 日立化成 ○ ○ 24 日立金属 ○ ○ 25 日立建機 ○ ○ 26 日立工機 ○ ○ 27 日立国際電気 ○ ○ 28 クラリオン ○ ○ 29 日立メディコ ○ ○ 30 日立ハイテクノロジーズ ○ ○ 31 日立キャピタル ○ ○ 32 日立物流 ○ ○ 33 日立機材 ○ ○ 34 川重冷熱工業 (連結財務諸表不作成) 即時認識対象外 ○ 35 ハウス オブ ローゼ (連結財務諸表不作成) 即時認識対象外 ○ 上記「○」印が早期適用実施を示す。 (出所)早期適用各社の平成26 年 3 月期第 1 四半期報告書を基に筆者作成
以上をまとめると、「未認識項目関係」および「計算関係」の双方とも同時に早期適 用したのが29 社、「未認識項目関係」のみ早期適用したのが3 社、そして「計算関係」 のみ早期適用したのも3 社であるがそのうち2 社は連結財務諸表を作成していない会 社である。早期適用に踏み切った会社のほとんどは、早期適用の当初から本会計基準 でのすべての項目を適用した会社であることがわかる。(以下、次号にて掲載予定) 【注】 (1) 会社の決算期については、青木(2012)を参照のこと。 (2) さらに、3 月決算以外の企業、例えば流通業では2 月末に決算を実施する会社が多いが、平成 26 年2 月期の本決算には旧基準が適用され、翌平成27 年2 月期から改正後の本会計基準に基づ くことになるため、3 月決算の会社と比べて決算日がわずか1 か月ずれただけで実質的に1 年間 近く適用が遅くなってしまうことも、財務諸表の企業間の期間比較可能性の観点から懸念される。 (3) 中間連結財務諸表規則様式及び四半期連結財務諸表規則様式でも同様の改正が行われている。 (4) 『週刊経営財務』は、株式会社税務研究会が刊行している昭和24 年の創刊の雑誌で、平成26 年12 月 22 日号で通巻 3193 号を数える企業会計と企業財務に関する唯一の専門週刊誌である。 (5) 一般に連結ベースでの自己資本比率は、親会社の投資と子会社の資本とが相殺消去されてるた め、個別ベースでの自己資本比率よりも低下することになる。連結ベースで5 割以上の自己資本 比率を保っていれば、強固な財務基盤を有していると言え、35 社中16 社を占めている。 (6) 従業員数は、年度ベースの有価証券報告書には必ず記載されることになっているものの、四半 期報告書には開示事項とされていない。そのため、残念ながら早期適用直後の従業員数を把握す ることはできないものの、大型の企業買収や組織再編を平成26 年3 月期の第1 四半期に実施し ていない限り、前期末よりも大幅に従業員数が変動しているとは考えにくい。 (7) 有価証券報告書では平均臨時雇用者数を外数で示すが、臨時雇用者数が従業員の100 分の10 未満である場合には、開示しなくても良いという規定がある。したがって、上記の表5 で[ ]が ない会社であっても、臨時雇用者が存在しないというわけではない。また、ここでの臨時雇用者 数は、単純な頭数ではなく比較的短時間で勤務している臨時雇用者の総労働時間を正規雇用者の 平均労働時間で除して求めた換算値であることにも注意が必要である。もっとも臨時雇用者は、 契約社員や派遣、あるいはパートタイマーなど非正規の雇用形態で働いている従業員であるので、 一般に退職給付を受けることはない。したがって、全体の従業員に占めている臨時雇用者の存在 割合は重要であるが、本稿での退職給付に関連する分析ではこれを含めないで検討している。 【参考文献】 青木茂男(2012)『要説 経営分析』(四訂版)森山書店. あらた監査法人(2013)『従業員給付』第一法規. 井上雅彦(2013)『キーワードでわかる退職給付会計』(三訂増補版) 税務研究会出版局. 井上雅彦・江村 弘志(2013)『退職給付債務の算定方法の選択とインパクト』中央経済社. 井上雅彦(2015)『退職給付会計実務の手引き』税務経理協会. 奥村雅史(2005)「退職給付債務に関する裁量的な情報開示」『早稲田商学』第404 号,早稲田大学商 学学術院,pp.27-49. 菅野浩勢(2013a)「退職給付会計基準の改正に伴う数理計算上の差異の会計処理の変更が財務報告の
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