Title
Hepatocyte growth factor promotes Proliferation and neuronal
differentiation of neural stem cells from mouse embryos( 内容の
要旨(Summary) )
Author(s)
石澤, 錠二
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(医学)甲 第550号
Issue Date
2003-07-16
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/14574
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氏 名(本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 審 査 委 員 石 澤 錠 二(岐阜県) 博 士(医学) 甲第 550 号 平成15 年 7 月 16 日 学位規則第4条第1項該当
Hepatocyte growth factor promotes proliferation and neuronaI differentiation of neuralstem ce=s from mouse embryos
(主査)教授 坂 井 昇 (副査)教授 岡 野 幸 雄 教授 囲 貞 隆 弘 論文内容の要旨 緒言 近年,自己複製能と多分化能を有する神経幹細胞の同定とneurosphere培養法の発見により神経幹細胞の分離, 増殖が可能になった。これらの細胞を移植することによって神経機能の回復を図ろうとする新たな治療を目指し て,より多くの神経幹細胞を作成し,その分化をコントロールする培養技術が今日大きな課題となっている。増 殖因子やサイトカインなどの外的因子が注目され,神経幹細胞の増殖と分化に対して様々な作用を有することが 報告されている。一方,hepatocyte growth fattor(以下HGF)は,1989年に初めてクローニングされた増
殖因子であり,肝細胞に対する増殖作用のみならず,他の細胞系に対しても多彩な機能を持っことが分かってき た。中枢神経系には発生初期よりHGF受容体であるc-Metの発現が認められ神経の発生および成熟において何ら かの役割を担っているiと考えられており,実験的には神経細胞に対してmitogenesis,mOtility, morphogenesis,antiapoptosisなどの作用が報告されている。申請者は,かかるHGFに着目し神経幹細胞作成 と分化におけるその作用に関して研究をおこなった。 方法 1)primary cultureにおけるHGFの作用
胎生14日目マウス(C57BL/6)の線状体細胞を20ng/mlfibroblast growth factor 2(FGF-2),20ng/ml
epidermalgrowth factor(EGF)混入無血清培養液中で7日間浮遊培養すると細胞塊(neurosphere)を形成する。 培養液中に段階的に作成したHGF(0∼100ng/ml)を加え,neurOSphereの形成に及ぼす影響を検討した。
2)secondary neurosphere formation assay
primary neurosphereをトリプシンを用いてsingle cellとし,再度1)の培養液中に7日間浮遊培養し, neurosphereの形成を再現させることにより自己複製能を検討した。
3)primary cultureにおけるTUNEL assay
浮遊培養液中のneurosphereをTUNEL染色し,HGFの有無とその濃度による陽性細胞数を比較検討した。 4■)BrdU陽性細胞の検出 浮遊培養により形成されたneurosphereに10FLMBrdUを加え,2時間後に染色し,HGFの有無による分裂能 の差を比較検討した。 5)neurosphereの分化誘導 HGFのみ,FGF-2+EGF,FGF-2+EGF+HGFを混入した培養液中で浮遊培養されたneurosphereをpoly-D-1ysineにてコ「ティングした培養プレート上で分化誘導させ,MAP-2,GFAP,04を用いた免疫染色を行い, それぞれの陽性細胞の比率を検討した。また,分化誘導の際に分化用培養液中にHGFを加えることにより分化 の比率が変化するか否かについて検討を行った。
結果 1)primary cultureにおいて,HGFを加えることにより,形成されるneurosphereの数が増加し,サイズも大 きくなった。また,それらの効果はHGFの濃度が20ng/mlまでは濃度依存性を示し,以後はプラトーに達した。 HGFのみで浮遊培養しても少数のneurosphereの形成を認め,これらのneurosphere中にはnestin陽性細胞が多 数存在しており,分化誘導実験により多分化能を有していることを確認した。また,neurOSphere内の細胞に HGFのreceptorであるc-Metを有していることを免疫染色により確認した。
2)secondary neurosphere formation assayにおいて,HGFのみで形成されたneurosphereは継代を繰り返 すたびにその数が減少することが示された。 3)HGF存在下で浮遊培養されたneurosphereにはTUNEL陽性細胞が減少しており,BrdU陽性細胞が増加し ていた。 4)HGF存在下で浮遊培養されたneurosphereは,分化誘導すると神経細胞の比率が増加を示した。また,分化 誘導時にHGFを加えることにより,さらに神経細胞の比率が増加した。 考察 PeurOSphere法による神経幹細胞の分離において・FGF-2,EGFは,必要不可欠なものと考えられてきた0し かし今回,HGFのみを含んだ無血清培養液中で神経幹細胞のマーカーであるnestin陽性で多分化能を有してい る細胞を含んだneurosphereが形成されることを見い出した。さらにprimary culture時にFGF-2やEGFを含む 培養液にHGFを加えることにより,抗アポトーシス効果と分裂促進によりneurosphereの増加を認めた。一方, HGFのみで形成されたneurosphereを継代すると,その数は徐々に減少していくことが示された。また,HGF 存在下で浮遊培養するか,分化誘導時にHGFを加えることにより,神経細胞の比率が増加することが明らかと なった。神経幹細胞の分裂は,純粋に幹細胞自身の数を増やしていくsymmetric divisionと,分化方向の規定 された前駆細胞へと分化していくasymmetric divisionに分けられる。aSymmetric divisionの初期はneuronal progenitorに分裂するneurogenic phaseとその後にglialprogenitorへと分裂するgliogenic phaseが存在する。
またneurosphereの形成や分化の過程において,多くの細胞がアポト,シスにより死滅していくと考えられてい る。以上の知見と今回の実験結果を総合的に考察すると,HGFは神経幹細胞に対し抗アポトーシス効果を有し, 主に神経幹細胞のasymmetric divisionを促進するものと考えられた。また,分化誘導時に神経細胞の増加を認 めたことから,aSymmetric divisionの中でも特にneurogenic phaseの分裂促進に働くものと考えられた。 論文書査の結果の要旨 申請者 石澤錠二は,neurOSphere培養法を用いてHGFの神経幹細胞に対する作用を検討し,神経幹細胞の分 化方向を変えることが可能であること,また,中枢神経の発生,成熟に強く関与していることを見いだし明らか にした。本研究の成果は,脳神経外科学,再生医科学の発展に少なからず寄与するものと認める。 [主論文公表誌]
Hepatocyte growth factor promotes proliferation and neuronaldifferentiation of neuralstem
cells from mouse embryos.
Molecular and Cellular Neuroscience.2003;in press