Title
Indigenous bacterial flora of medicinal leeches and their
susceptibilities to 15 antimicrobial-agents( 内容の要旨
(Summary) )
Author(s)
野々村, 秀彦
Report No.(Doctoral
Degree)
博士（医学）甲 第367号
Issue Date
1998-03-25
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/14761
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。
氏名 (本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 審 査 委 員 野々村 秀 彦(岐阜県) 博
士(医学)
甲第 367 号 平成10 年 3 月 25 日 学位規則第4条第1項該当Indigenous bacterialflora of medicinalIeeches and their susceptibiJities
to15∼antimicrobiaトa9entS (主査)教授 清
水
克 時 (副査)教授 渡 連邦
友 教授 宮 田 英 雄 論文内容の要旨 近年Microsurgeryの発展とともに,切断指･肢の再接着や各種遊離皮弁術などが盛んに行われている｡これ らの術後には移植組織がしばしば静脈性還流不全を来すが,その溶血に医療用1eech(ヒル)が応用されている｡ その原理としては,医療用ヒルの牙から分泌されるヘパリン様物質hirudinの作用により嘆傷部から24時間以上 持続的に微量出血させ一 局所の血流改善を図るものである｡ この際,皮膚には医療用ヒルによる嘆傷が生じ,ヒルの常在菌による創傷感染の危険がある｡実際,ヒル腸内 の常在菌であるAeJ℃mOJl鮎んッdJ℃pん〟αによる創傷感染が海外では18例報告されている｡報告は局所の軽度感染 例が多いが.敗血症や患肢切断に至った重傷例もある｡ 申請者は細菌学的な見地から医療用ヒルの安全性を知る目的で.ヒルの体表およびホモジネートより常在菌を 分離同定した｡また分離株の各種抗菌薬感受性を測定し,感染が起こった際に使用すべき抗菌薬を明らかにした｡ 1.研究方法 河野製作所より購入した医療用ヒル〃れdo medわわαJ∠g5匹および純化di几αrよαmα几よ脱化ぶよぶ5匹を用いて以下 の実験を行った｡ 1)医療用ヒル常在菌の分離同定 好気培養の培地には血液寒天培地,BTB寒天培地を用い,嫌気培養にはBrucella HK血液寒天培地を用いた｡ 各培地を.好気培養では37凰 5%CO2の環境にて48時間培養し,嫌気培養ではanaerobic chamberにて培養し た｡ ヒル体表の常在菌の分離 〃よmdo medよcよ几αJi55匹および〃よr乙Jdよ几αrよαmα几よ〃飢5よぶ5匹を血液寒天培地上に30分間這わせた後,上記手法 にて培養し分離株を得た｡ ヒルのホモジネートからの常在菌の分離 無菌的にf茄mdo medよc血αJiぶ5匹をホモジナイズし,そのホモジネートを上記手法にて培養し分離株を得た｡ 分離株の同定`同定にはAPIidentification systems(Bio Merieux)を剛､た｡Aeromonas spp.については0-129感受性 試験などを追加した｡ 2)ヒル常在菌の抗菌薬感受性試験 微量液体希釈法に従い.15種類の抗菌薬(ampicillin,Piperacillin,Cefotiam,Ceftazidime,Cefmetazole, flomoxef,Sulbactam-Cefoperazone,imlpenem,pamPenem,debekacin,arbekacin, gentamicin, minocycline,fosfomycin,Ofloxacin)に対する抗菌薬感受性試験を行った｡ 2.研究結果 1)医療用ヒル常在菌の分離同定 ヒル体表の常在菌
-45-A.sobria,A.hydrQPhila/cauiaeを含むAeromonas spp.と,Pseudomonas spp.などのglucose
non-fermenting gram-negative rods(NF-GNR)を,全ての医療用ヒルの体表から分離した｡H.Tnanillensis4匹 からEnterobacteriaceae,Citrobacter spp.,Serfutia sp.を分離したが,H.Tnedicinalisからは1匹しか
enterobacteriaを分離しなかった｡またH.Tnedicinalisl匹から2種独のStqphylococcus spp.を分離した｡嫌気 性歯は分離する事か出来なかった｡ ヒルのホモジネートからの常在菌 5匹全てのホモジネートからAeromonas spp を分離した｡またNF-GNRとYersiniainteTmediaを二つのホ モジネートから分離した｡嫌気性菌は分離する事が出来なかった｡ 2)ヒル常在菌の抗菌薬感受性試験 ヒル体表から分離した39株の抗菌薬感受性試験を測定し,MIC60およびMIC9｡を求めた｡Ampicillin, cefotiam,fosfomycinのMICkは≧32pg/mlであり,医療用ヒルからの分離株では耐性を示すものが多かった｡ Piperacillin,Panipenem,debekacin,arbekacin,gentamlCln,minocycline,Ofloxacinは≦4FLg/mlであり, 良好な感受性を示した｡ 3.考察 今回の研究において,医療用ヒルの常在菌はAemmoJlが毎dJ叩ん〟αのみであるという通説と異なり, AeromonashydrQPhila以外のAerornoTWSSpp.や.PseudoTnOnaS Spp.を含むNF-GNRも存在することが明 らかとなった｡分離株はcephalosporinsに高度耐性を持ち,Carbapenems,aminoglycosidesおよびofloxacinに 感受性を示した｡ 患者に医療用ヒルを用いる際には,上記常在菌による感染が起き得ることに十分留意する必要がある｡ 論文審査の結果の要旨 申請者 野々村秀彦は医療用ヒルf茄mdo medici几α∼iぶおよび仇r比dよ几αriαmα几よ抽那よ5の常在菌を明らかにし た｡さらに分離株の抗菌薬感受性試験を行い,ヒル使卿こ伴う感染症が起こった際,治療に適切な抗菌薬を示し た｡この成果は整形外科学ならびに細菌学の発展に少なからず寄与するものと認める｡ [主論文公表誌]
Indigenous bacterialfloraofmedicinalleechesandtheir susceptibilitie?tO15antimicrobialagents
平成8年発行Journalofmedicalmicrobiology 45:490∼493
