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小学校体育科における「跳び箱運動」の達成感を高める指導法に関する研究 ―子どもの視点を生かした教材の開発―

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Academic year: 2021

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要 旨 小学校体育科における「跳び箱運動jの達成感を高める指導法に関する研究 一 子 ど も の 視 点 を 生 か し た 教 材 の 開 発 一 学 校 教 育 専 攻 授業開発コース 佐 々 木 一 光 I 問題と目的 本研究は、「跳び箱運動j を中心にして、小 学生の運動技能習得における効果的な方法を明 らかにする。そこで、本研究の目的を次の2点 とする。 ① 小学生の「跳び箱運動Jについてモデル提 示の効果的な方法を明らかにし、具体的な指 導方法を開発する。 ② ①で開発した指導方法により授業を行い、 小学生における「跳び箱運動」の技能習得に 関するモデリングの有効性を検証する。 E 研 究 の 方 法 1 .小学生の「跳び箱運動jに関する意識 (研究1-1) 小学生の「跳び、箱運動Jに関する意識と実態 を明らかにするために、開脚跳び・かかえ込み 跳 び ・ 台 上 前 転 の3つ の 技 を 中 心 に 質 問 紙 調 査 を行った。その結果、以下のことが明らかにな った。 ① 性差(男子、女子)をみると、「跳び箱運 動jにおいて男子より女子の方が苦手意識が 強し、 ② かかえ込み跳びを苦手とする子どもが多 い。苦手の要因としては、「不安j を強く抱 いていることが分かつた。その「不安」は漠 然とした根拠のないものである。また、男女 ともに「怪我」に対する懸念をもっている子 どもが多数みられた。 指 導 教 員 小 野 瀬 雅 人 ③ 台上前転を苦手とする子どもが多い。苦手 の要因としては、「不安j を強く抱いている ことが分かつた。女子においては、「失敗経 験」の割合が非常に多かった。 2.小学生の「跳び箱運動jに関する指導方法 の開発(研究1-2) 実際の子どもの目線から見えると思われる映 像を「映像装置(ワイヤレスカメラ)J を活用 することで子どもの目線に立ったモデルを提示 した。さらに、教師が言語教示や場作りを工夫 し、段階的に指導していくことで子どもがそれ ぞれの技のポイントを正しく把握し、その後意 欲的に学習が行われるのではないかと考えた。 跳び箱運動における不安克服モデルの霞計

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3.開発した指導方法を取り入れた授業の実践 とモデリングの有効性の検証(研究2) 開発した指導法を取り入れた授業を実践し、 子どもの「跳び、箱運動」に関する意識が事前・ 事中・事後においてどのように変容したかをみ るため、調査を行った。その結果、以下のこと ヮ “ 円 ペ U

(2)

が明らかとなった。 ① 運動有能感の変容 ク ラ ス 全 体 の 運 動 有 能 感 の 高 ま り が み ら れ た。さらに、下位尺度ごとにみると、 6年生に お い て 「 身 体 的 有 能 さ の 認 知Ji統制感」の2 因子において有意に得点が高かった。また、 6 年生の「受容感」と5年生の「受容感J におい てプレテストよりポストテストの方が有意に高 い傾向が認められた。 ② 運動有能感の各因子と性差 全ての因子において性(男女)の主効果は、 有意で、なかった。また、交互作用も有意でなか った。このことにより、性(男女)あるいは、 調査時期(プレテスト・ポストテスト)による 効果は認められなかったが、 6年生を比較して みると全ての因子でプレ・ポスト間の伸びは女 子の方が男子より大きかったが、有意で、なかっ た。 ③ 運動有能感における個人差(上位群・中位 群・下位群)の影響 調査時期(プレテスト・ポストテスト)の主 効果が6年生の「受容感J因子で有意であった。 また、「身体的有能さの認知J因子で有意傾向 が認められた。次に、個人差(上位群・下位群) の主効果が6年生の「身体的有能さの認知J 因 子で有意であった。しかし、交互作用はみられ なかった。このことにより、個人差(上位群・ 下位群)あるいは、調査時期(プレテスト・ポ ストテスト)による効果はなかったといえる。 その要因として人数が少なかったことが考えら れた。そこで、各群ごとにさらに詳しくみるた めに、プレテストとポストテストの「運動有能 感得点」の差の分布状況を各因子ごとに上位群 ・中位群・下位群別に示した。その結果、各群 ともプレテストよりポストテストで概ね効果が q u q u 要 旨 みられた。 6年生の下位群に着目すると運動有 能感の全ての項目で概ね伸びていた。 ④ 形成的授業評価の変容 各項目(成果、意欲関心、学び方、協力)と も、時間の経過とともに概ね向上が認められた。 したがって、大多数の子どもは、今回の授業に 高い関心をもって取り組むことができたと考え られる。 ⑤ 形成的授業評価と個人差 6年生全体では、時間の経過と共に高い伸び がみられた。個人差(下位群・中位群・上位群) をみると、特に下位群において「成果Ji学び 方jの項目で2・3時間回以降高い伸びを示して いた。その要因として、 1・2時間目にオリエン テーションや f開脚跳びj といった今まで体験 したことのある技に挑戦したため、「成果Ji学 び方」が、低い得点となったものと思われる。 3時間目から急激に伸びたのは、苦手な技に挑 戦することに対して不安や恐怖心がある子ども が、その技を克服した結果、「成果Ji学び方j などに反映したと考えられる。このことから、 跳び箱の高さなどは関係なく、その技ができた か否かという「成果Jが下位群の子どもは、強 く影響することが示されたものと考えられる。 中位群、上位群においても全ての項目で毎時 間高い得点が認められた。 E 今後の課題 ① f跳び箱運動J以外の種目において、今回 取り組んだ指導方法が有効なのか、検討する 必要がある。 ② 実際の授業で、本研究で開発した f映像装 置(ワイヤレスカメラ)Jの有効な活用場面 について、検討する必要がある。

参照

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