スクールカーストに組み込まれる教師たち―教師の立場と「学級文化」―

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スクールカーストに組み込まれる教師たち唾女師の立場と「学級文化」ー 人間教育専攻 現代教育課題総合コース 木色 大輔 はじめに 児童・生徒は学校で、多くの生活時間を過ご している。決められた学級集団の中で多くの児 童生徒は意識的あるいは無意識的に自分の存在 位置を認識し、複数のグループにわかれること でクラスを分断する。このような学級集団にお いて形成される人間関係の序歹肝匕をスクールカ ーストと呼ぶb 本論では、スクールカーストどのようなもの なのか、その構造についてもまとめ、中学校以 降のスクールカーストを弱めるために小学校段 階からの対策を目的として、現在の小学校、中 学校の教師に着目して考察する。 第1章 スクールカーストについて 研究において、スクールカーストという用語 が初めて紙面上で登場したのは、2007 年の森口 朗の『いじめの構造』である。森口はいじめの 但才且みを解き明かすためにスクールカーストと いう概念を用いた。その後、スクールカースト は2007 年に雑誌『AERA』紙上に登場し、2012 年には鈴木翔によって『教室内カースト』が刊 行された。スクールカーストについては様々な 研究がなされ、近年はさらに増加傾向にある。 しかし、スクールカーストが広く認知されるよ うになったのが比較的最近であり、研究の数は 必ずしも多いとは言えず、それに関する知見は 断片的である。スクールカーストの弊害として 指導教員 太田 直也 中位層・下位層の意見が上位層に届かないこと や、行動に制限が設けられること、グループ間 の地位は不変であることがある。 第2 章 スクールカーストの素因 スクールカーストが形成される根本的なもの はなにカ~児童・生徒の中には、学級集団の他 に地域の集団、スポーツクラブやサークルなど に所属している者も少なくない。しかし、スク ールカーストのようなグループ間の地位が顕著 に表れるのは学校のみである。つまり、スクー ルカーストの素因として、学校の教室という限 定された環境・構造の糊蜘&あると考えられる。 その中でも、児童・生徒に教授する立場の教師 の影響は大きいと考えられる。 また、スクールカーストは第二次陛徴と言わ れる思春期と同時期に顕在化することが多し、 思着り切とは、自己のアイデンティの確立をなそ うと思考覚悟している時期である。この時期の 子どもは、チャム・グループと呼ばれる共通の 興味・関心を持つ同陛同士でグループを形成す る。その中で、自分の存在を他者に認めてもら い、存在価値を証明してもらうことがこの時期 の若者にとって最優先事項である。否定される ことを恐れ、グループに依存することで存在の 証明を試みる。その中で、スクールカーストは ある種の評価されたという事実として、児童‘ 生徒に受け入れられていると考えられる。

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第3 章 スクールカーストの決定要因と共有 スクールカーストを決定する要因として挙げ られる共通点は「コミュニケーション能力」で ある。これは現代社会において若者が、身近な 人間関係を重要視していることからも伺える。 しかし、この「コミュニケーション能力」がス クールカーストを決定づける要因になるには、 その能力がスクールカーストを構成する成員に 「優れているもの」として共有されている必要 がある。ヒトは生きている中で、様々な社会集 団に所属しており、それらの社会集団に所属す ることで、その集団個々の概念を自分自身と関 連付け、目的や価値観を個人のアイデンティと して取り込んでいる。このように集団には、子 供に影響を与える大人が存在しており、スクー ルカーストにおける共通の優勢能力においても 大人の影響を受けていることが考えられる。 グループ間の地位の差は、完成されたグルー プ間が接触することによって学級全体に共有さ れる。小さな接触と過度な接触を繰り返すこと によって地位は確立されていく。また、スクー ルカースト上位のグループには、キャラに似た 立場や義務が存在するが、その価値はグルーープ が個人より優位である。このことから学級内格 差はグループから個人に付与されると考える。 第4 章 大人とスクールカースト スクールカーストは、外部と内部の影響に支 えられていると考えられる。内部とは児童・生 徒の発達段階における‘居]春期であり、外部とは 評価・能力の共有による価値観の統一や教室等 の環境である。子どもの価値観や判断基準は、 児童が判断・行動するために大人の許可を有す る陛質上、大人に同化していく。このことから、 大人の存在・言動が児童・生徒のスクールカー ストに影響を与えている可能性は大きい。児 童・生徒の生活時間の多くを占める学校の教師 に本論文では特に着目する。 教師は、意図的な顕在的カリキュラムと非意 図的な潜在的カリキュラムの両面から糸断売的に 児童にアプローチし、影響を与える。教師の思 概旺里念が時に、自らの意図を超えて、異なる 内容を児童に掲示される場合がある。このよう な教師の価値観が、長期的な接触において児童 に潜在的階層意識を植え付けるのではない加 小学校では、学級担任制が多く、児童は多く の時間を教師と過ごす。そのため、中学校以降 に比べ、児童への影響力は大きい。その中で、 教師の個人、グループへの評価が反復されるこ とで児童に共有され、階層意識が植えつけられ ている可能性がある。また、本来多様であるは ずの児童の評価を教師が統一することによって、 児童は「共通のものさし」を獲得し、評価基準 の明確化が起きる。そして、その植え付けられ た階層意識が、思春期において芽吹くことで、 教師もまたスクールカーストに組み込まれる。 中学校・高校教師がスクールカーストを学級経 営に利用していることがある。これは、教師が スクールカースト上位層と学級を指揮する権力 を共有している、もしくはしなければその権力 を行使できなくなっている可能性がある。 おわりに 教師がスクールカーストを利用するべきもの と考えているが、その実態は教師の枠を超え、 制御できなくなっている可能性がある。スクー ルカーストの関係性を弱めるために小学校段階 から具体的な方策を行う必要があると考える。 今後、具体的な方策について考えていく必要が ある。

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