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体力・運動能力から見た加齢特性定量化の試み

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Academic year: 2021

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- 405 - 体力・運動能力から見た加齢特性定量化の試み 教科・領域教育専攻 生活・健康系(保健体育)コース 山 田 昌 弘 1.緒言 近年、世界的に身体不活動の常態化に伴う生 活習慣病などが重要課題となってきた。 我が国においても、国民の健康づくりを目指し、 「健康日本21Jや「健康づくりのための運動基準 2006Jなど多くの施策を掲げ、生活習慣病対策な ど健康づくりに取り組んでしも。そして、近年、こ れら健燦づくりに関し従来の日常的身体活動操 や運動地とともに体力が:持目され、体力づくりが 重要となってきた。 体力づくりには生涯的身体活動の実践が不可 欠であるが、身体は加齢とともに変化するため、こ の加齢特性を理解しつつ、年齢に相応した至適 身体活動の実施が望まれる。 本研究では日常生活を維持しつつ活発な身体 活動を継続する水泳群や陸上群、そして、基礎 的運動能力に関わる新体力テスト群に視点を

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泣 き、至適な身体活動によって形成される体力・運 動能力の加齢特性を考察することを目的とした。

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研 究 方 法 1.研究対象 活発な運動群としてマスターズ、水泳(世界記 録・日本記録)と学童記録 日本記録、及びマス ターズ陸上(世界記録)、そして、一般対象の新 体力テスト群を研究対象とした。 2.研究の進め方 各種身体活動データは多様であり、その統合的 分析を進めるために、各身体活動群の最高値な 指導教員 松 井 敦 典 どを基準値とした指数特性を分析した。 そして、対象年齢によって異なったテスト項目が計 量されているケースなどでは、同種機能項目の統合 化を図り、データの有効活用に努めた。 また、加齢特性の分析では健康づくりに視点をお き、より多くの身体機能が関連する各運動群の平均 値に者眼し分析した。 ill. 研究結果 ill-l 新体力テストから見た加齢特性 体力・運動能力の加齢に伴う変化を見るために、 運動j設や性別など多様な群の特性を分析した。 (1)各群別の加齢に伴う変化特性 運動量や性別に関わる各群の加齢特性を見ると、 性別や年齢的な身体活動状況の影糠が現れる機 能項目もあるが、全機能平均値でみると、全群の加 齢特性は類似性が高くほぼ同じとあった。 (2)加齢特性と運動効果 運動盛に関わる4群の特性を比較するために、最 も運動する群を基準として4群の特性を見ると、最も 運動する群の加齢特性が;最も高く、運動しない群が 最も低い。この差(15"'-'20%)は生涯継続し、運動し ない群の加齢特性は約 10歳早く減退する。健康づ くりには運動の生涯的継続が不可欠である。 (3)男女の加齢特性 男女の加齢特性はほぼ同じであるが、世代的民 見ると、成長期で女性特性が高く、成人期ではほぼ 同じとなるが、年齢層による身体活動量の影響が少 し現れる。 75歳以上では女性の低下が大きい。

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- 406 - m - 2 水泳群の加齢特性 (1)対象 20歳区分以下では、学童・中皐・高校記録と日 本記録を一つの群とし、そして、 25歳以上で、はマ スターズ水泳記録を対象とした。 (2)マスターズ水泳世界記録(25歳基準) 距離種目で見ると、加齢特性は短種目が高く、 距離の増加とともに低くなり、400rn以上の種目で はほぼ同じとなった。また、泳法的に見ると、自由 形の特性が高く、パタフライが低くなる。これは男 女ともに同じである。 そして、年齢的に見ると、20歳区分以下(成長 期)では女性特性が高く、 25'"'-'60歳区分(成人 期)では男女ともほぼ同じとなる。そして、 75歳以 上の高齢期では男女とも減退が進み、特に女性 の減退が大きい。 (3)マスターズ日本記録(25歳基準) 世界記録の加齢特性とほぼ同じで、あった。 (4)加齢特性の経年変化(2001/2011年) この10年間で、全年齢層でタイム向上があるが、 加齢特性としてほぼ同じパターンとなる。これを年 齢的に見ると、高齢腐の加齢特性は大きく向上し、 特に女性群の向上が大きい。 (5)日本マスターズ、水泳群の活動状況 加齢特性の経年変化と各年齢層の活動状況を 見るために、日本マスターズ水泳のケースを調査 した。近年マスターズ水泳への参加者数は増加し、 特に高齢層の増加が著しい。そして、 10年 継 続 など長期の大会継続者が多くなっている。これら が加齢特性の向上に寄与している。

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マスターズ陸上群 (35歳基準) 走・競歩及びフィーノレド、(跳躍e投てき)種目を 対象とした。 (1)走種目と競歩種目 距離的には、男女ともに、短距離種目の特性 が高く 400rn以上の種目はほぼ同じとなった。年齢 的に見ると、 50歳頃まで、は男女同じで、るが、その後 女性の減退が大きくなる。競歩種目は距離的に類 似の走種目とほぼ同じ特性で、あった。 (2)フィールド、種目(跳躍・投てき) 種目的なバラツキが大きいが、各群平均値で見 た特性はバラツキが少なく直線的に低下する。跳躍 種目では男女ともにほぼ同じであるが、 65歳以降で 女性の減退がはやい。そして、投てき種目では 45 歳頃から女性の減退がはやくなる。

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各種身体活動の加齢特性の統括 (1)平均値特性(成人期 高齢期) 個別項目では、有酸素・無酸素系、持久力・瞬発 力系などに対する男女の年齢層の運動議の影響が でる機能もあるが、各種目平均値特性は運動量や 男女別の全群の加齢特性はほぼ同じであった。 (2)目指すべき加齢特性 水泳群の加齢特性が最もi向く、健康づくりで目指 すべき加齢特性は水泳群のパターンノで、あった。 (3)生涯的加齢特性の特質 加齢特性が最高値に達する年齢は、新体力テス ト群 (17歳)と水泳群(25歳区分)で数年以上の差が ある。スポーツ的複合運動能力の育成には基礎的 運動能力(新体力テスト)が形成された後、数年 10年を要すると見られた。 また、生涯的運動の効果は大きく、運動しない群 の加齢特性は 10歳以上早く減退する。 N おわりに 体力・運動能力の加齢特性は、運動する群・しな い群や活発な運動群(水泳・陸上)、そして、男女群 などの各群別に見ると、全群においでほぼ同じ特性 となった。これは恒常性維持機能に基づき形成され る人間の生態機能の基本的な加齢変化と見られ、 ホメオスタシス論が体力・運動能力やその加齢特性 に現れる実証となったと考えられた。

参照

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