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京都東山における1185年元暦地震による斜面崩壊堆積物の分布Distribution of landslide deposits by 1185 Genryaku earthquake in Higashiyama, Kyoto

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Academic year: 2021

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D08

京都東山における 1185 年元暦地震による斜面崩壊堆積物の分布

Distribution of landslide deposits by the 1185 Genryaku earthquake in Higashiyama, Kyoto

〇釜井俊孝

〇Toshitaka KAMAI

The brief history of sediment discharges in mountain slopes around Kyoto basin was described. In the upper river basin, humid black soil layers were buried by landslide deposits in several horizons (ages). The Mountain developments started 7th to 9th century, and landslide deposits that would be induced by the 1185 earthquake were widely discovered in the eastern mountains of Kyoto basin. Plenty of historical records in Kyoto could be expected to fill chronological gap of landslide deposits.

1.はじめに 山地においては、堆積物の年代資料を得られる 機会が限られていることから、崩壊、地すべり等 の土砂生産と歴史イベントの関係を空間的に追跡 することは難しかった。その結果、河川の上流(山 地)における土砂生産量の変化が、中下流域の環 境に及ぼした影響について、堆積物の年代資料に 基づく具体的な議論はほとんど行われていない。 しかし、近年では、直下地震や極端気象の増加 に対応して、土砂環境を流域一体として捉え、過 去のイベントを編纂する必要性が増している。ま た、近年の AMS 放射性炭素年代測定法の普及と測 定の低価格化によって、多数の年代資料を得やす い研究環境も整備されてきた。ここでは、多くの 年代測定試料が蓄積されつつある京都盆地東山地 域を対象に、土砂生産の歴史的変遷について、環 境変化の重要な要因である内陸地震、及び人間活 動との関係から検討を試みたので報告する。 2.歴史時代における山地開発と地震の影響 京都周辺の山地内部では、斜面堆積物がしばし ば見られる。図-2 はこれらの堆積物の年代値分 布を示している。これらの特徴は、それぞれの堆 積物の年代が、歴史時代のイベントに対応してい ると考えられる点である。すなわち、白川上流部 における山地開発の始まりを示す遺跡の年代は、 ほぼ比叡山の開基時期に一致する。 一方、この地域には、数世紀にわたる継続的な 山焼きの結果形成された厚い黒色土が、複数の層 位に分布する。これらの黒色土の埋没年代は、大 規模な土砂生産イベントの年代を示すと考えられ が、それは、多くの地点でほぼ 12 世紀末を示して いる。1185 年に東山一帯を襲った元歴の地震は、 「方丈記」に、「地裂け山崩る」と描写され、大き な被害をもたらした。この時期の堆積物は、山科 の牛尾観音近くでも認められ、東山において、最 も空間的に広く分布する。すなわち、白川上流か ら山科にかけて、黒色土の埋没をもたらした広範 囲のイベントは、この地震による山地の崩壊とそ れに続く土石流災害に相当すると推察される。 この 12 世紀の埋没黒色土層以後に形成された 埋没黒色土層は 4 層準(Ⅲ-Ⅵ)で認められる。 一方でそれ以前に形成された黒色土は、2 層準(Ⅰ -Ⅱ)に過ぎない。未発見の黒色土層準が存在す る可能性は否定できないが、少なくとも現時点で の調査結果からは、12 世紀以降に崩壊が頻発化し た傾向が認められる。現代においても、強震動を 受けた山地斜面は脆弱化し、長期間にわたって不 安定になることが知られている。したがって、東 山を中心とした京都盆地周辺の斜面堆積物の編年 は、山地斜面の長期的安定度評価の点からも注目 される結果である。 3.おわりに 1185 年元暦地震に対応すると思われる斜面堆 積物を確認した。この堆積物は白川から山科まで 分布しており、文献資料の記述と一致する。逆に、 調査地域では、1596 年慶長伏見地震や 1662 年寛 文地震の堆積物をほとんど発見できなかった。こ のことは、堆積物を残すような顕著な崩壊の分布 は、大規模直下地震の感震器と考えられる事を示 している。

(2)

Fig.1 京都盆地周辺における斜面堆積物(A、B、 C、L)、洪水堆積物編年試料の採取地点

Fig.2 Site B (Fig.1) 周辺の年代試料採取地点

Fg.3 埋没黒色土壌の層序

参照

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