遺言者生存中の遺言無効確認の訴え
中
野
貞
良
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51一一『奈良法学会雑誌 第7巻3・4号 (1995年3月〉問題の提起
長寿社会への急速な進行とともに、高齢者をめぐる新たな法律問題が数多く生起している。 最近、痴呆老人の遺言能力が争われる訴訟事例が次々に報告されているのも、そのひとつであれ ω 事 案 の 内 容 は 、 もちろん、それぞれ異なっているが、痴呆老人たる遺言者には、遺言当時、遺言能力はなかったとの判断のもとに、 その者の口授によって公証人が作成した公正証書による遺言を無効とする裁判例(東京地裁平成四年六月一九日判決 家裁月報四五巻四号一一九頁、宮崎地裁日南支部平成五年一二月三O
日判決判例時報一四七二号一一一六頁など)がある え一方で、痴呆老人たる遺言者につき、その者が、遺言当時、禁治産宣告を受けていても、遺言能力はなかったとは いないとして、その者のした公正証書遺言を有効と認めた裁判例(名古屋地裁平成五年五月二七日判決判例時報一四 七四号一二八頁)もある。その他にも、従来から、精神機能の障害をもっ高齢者の遺一吉能力の欠歓を主張して遺言無 効確認の訴えを提起する事例が少なくないようであり、近時の遺一言ブlムを反映して、今後ますます増加することが第7巻 3・4号一一52 予 想 さ れ る 。 ここで新たな問題として注目を求めたいのは、遺言をした高齢者がその前後に痴呆状態に陥り、そのまま生き続け ている場合に、その遺言の無効確認の訴えが提起できるか、それとも、遺言者の死亡をまたなければ遺言無効確認の 訴えを提起できないのか、という点である。現在までの判例・学説は、遺言者の生存中の遺言無効確認の訴えを、訴 えの利益がないとして不適法却下すべきものとみているが、常にそのように割り切ってよいのだろうか。現時点で再 考の必要があるように思われる。 ︿ 1 ﹀ 詳 細 に つ い て は 、 太 田 武 男 ﹁ 痴 呆 老 人 の 公 証 書 遺 言 と 遺 言 能 力 ﹂ 私 法 判 例 リ マ l ク ス 一 九 九 四 八 下 ﹀ 八 八 頁 以 下 、 お よ び 、 村 重 慶 一 ・ 平 成 5 年 度 主 要 民 事 判 例 解 説 ・ 判 例 タ イ ム ズ 八 五 二 頁 以 下 参 照 。 判 例 ・ 学 説 の 動 向
1
遺言者生存中に提起された遺言無効確認の訴えの適否を判示した裁判例としては、従来、次に掲げる最高裁昭 和 三 一 年 一O
月四日判決が判例集に登載されているのをみるだけであり、他の例を知らない。 最高裁昭和三一年一O
月四日判決民集一O
巻 一O
号一二二九頁は、最高裁判決としては稀にみる詳細な説示のもと に、遺言者生存中の遺一吉田無効確認の訴えを不適合とした。第一審が請求認容の判決をしていたのを取り消し、第二審 判決が控訴を棄却していたのを破棄して、訴え却下の白判をしている。煩をいとわず、その理由を引用しておこう。 ﹁確認の訴は原則として法律関係の存否を目的とするものに限り許されるのであって、事実関係については訴訟法 上特に認められた﹃法律関係ヲ証スル書面ノ真否ヲ確定スル為一一﹄する場合(民訴二二五条﹀の外はこれを提起する ことはできない。それは法律を適用することによって解決し得ベき法律上の争訟について裁判をなし以て法の権威を維持しようとする可法の本質に由来する。すなわち法律関係の存否は法令を適用することによって判断し得るところ であるに反し、事実関係の存否は経験則の適用によって確定されるのであり、経験則の確認、これが正当な適用とい うようなことは司法本来の使命とは直接的関係はなく法令適用の前提問題たるに過ぎないからである。そしてまたそ の法律関係についてもただ現在時における存否のみがこの訴の対象として許されるのであって、ある過去の時点にお けるその存否、若くは将来時におけるその成否というようなことは確認の対象とすることは許されない。民事訴訟法 は現在の法律関係の確認を許すだけでこの種の訴を認めた立法目的を達成するに必要にして十分であるとしたものと 解せられる。けだし、過去の法律関係の存否は、たとえそれが現在の法律関係の存否に影響を来たすべき場合におい ても、それは単に前提問題としての意義を有するに止まり、当該現在の法律関係の存否につき確認の訴を認める外、 かかる過去の法律関係の存否についてまでこの種の訴を認める必要はないのであり、また将来の法律関係なるものは 法律関係としては現在せず従ってこれに関して法律上の争訟はあり得ないのであって、仮りにある法律関係が将来成 立するか否かについて現に法律上疑問があり将来争訟の起り得る可能性があるような場合においても、かかる争訟の 発生は常に必ずしも確実ではなく、 しかも争訟発生前予めこれに備えて未発生の法律関係に関して抽象的に法律問題 を解決するというが如き意味で確認の訴を認容すべきいわれはなく、むしろ現実に争訟の発生するを待って現在の法 律関係の存否につき確認の訴を提起し得るものとすれば足ると解せられるからである。この事は現存する給付請求権 について、それが条件又は期限付であるとき、 ﹃予メ其ノ請求ヲ為ス必要アル場合ニ限リ﹄将来の給付の訴を提起し 得るものとした民訴二二六条の規定の存在することに徴しても容易に理解し得るところであろう﹂ o 本件の﹁請求の趣旨は、これを字義通りに理解するならば遺贈なる法律行為の無効なることの確認を求めるものの 如くであるが、法律行為はその法律効果として発生する法律関係に対しては法律要件を構成する前提事実に外ならな
第7巻 3・4号一一54 いのであって法律関係そのものではない。ある法律行為が有効であるか無効であるかということは、もとより法律判 断を包含してはいるけれども、かかる事項を確認の訴の対象とすることの許されないことは前段説示するところによ り明瞭であろう。またその訴旨を本件遺贈による法律効果としての法律関係の不存在の確認を訴求するものと理解し ても、なおこの訴は不適法たるを免れない。元来遺贈は死因行為であり遺言者の死亡によりはじめてその効果を発生 するものであって、その生前においては何等法律関係を発生せしめることはない。それは遺言が人の最終意思行為で あることの本質にも相応するものであり、遺言者は何時にても既になした遺言を任意取消し得るのである。従って一
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遺贈がなされたとしても、遺言者の生存中は受遺者においては何等の権利をも取得しない。すなわち、この場合受 遺者は将来遺贈の目的物たる権利を取得することの期待権すら持つてはいないのである。それ故本件確認の訴えは現 在の法律関係の存否をその対象とするものではなく、将来被上告人︹原告︺が死亡した場合において発生するか否か が問題となり得る本件遺贈に基ずく法律関係の不存在の確定を求めるに帰着する。しかし、現在においていまだ発生 していない法律関係のある将来時における不成立ないし不存在の確認を求めるというような訴が、訴訟上許されない ものであることは前説示のとおりであって、本件確認の訴はその主張するところ自体において不適法として却下せざ る を 得 な い ﹂ 。 この最高裁昭和三一年一O
月四日判決の事案は、こうである。原告X
は、身寄りのない老女で、唯一の財産として 家屋を所有していたが、ある寺院の女僧である被告Y
の所に身を寄せ、死亡後も菩提を弔ってもらう趣旨で、昭和二 六年一一月一二日付でその家屋を遺贈する旨の公正証遺言をした。ところが、昭和二七年六月ごろからX
・
Y
聞に不 和が生じ、同年九月に至ってX
は新たに公正証書遺言をして前記遺言を取り消し、遠縁に当たる者の所へ移った。と ころが、その間に(昭和二七年七月一O
日 ) 、X
の実印を保管していたY
がその印章を利用して右家屋につき売買名義 で
X
か らY
への所有権移転登記をしたというので、X
は 、Y
を被告として訴えを提起し、前記第一の遺言の無効確 認請求(第二の遺言で取り消されたことを理由とする)と移転登記抹消登記手続請求をした、というものである。す なわち、公正証書遺言をした遺言者自身が改めて公正証書遺言をして先の遺言を取り消しているのであり、併合提起 した抹消登記手続請求の前提を既判力で固める意味で遺言無効確認を求めているにすぎない。じじっ、Y
の 方 で は 、 事実審を通して、第一の遺言が第二の遺言によって取り消されたことを争っていないのであり、もつばら、X
から本 件家屋の贈与を受けたことを主張し、登録免許税の関係で売買名義としたにすぎないと争っているのである。この判 決 を 批 評 し た 一 ニ ヶ 月 章 博 士 が 指 摘 しM
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ように、﹁本件では相手方は終始争っていなかったという事実にももっとウエ イトが与えられてよかったのではないか﹂と思われる事案であり、端的にいえば、第一の遺言が取り消されたことに ついては当事者聞に全く争いがないという点で確認の利益なしとして訴えを却下できたはずの事案であったことを注 意 す る 必 要 が あ る 。 この判決は、二つの点で先倒的意義をもった。第一は、遺言というような法律行為の無効確認の訴えは現在の法律 関係の存否を対象とするものでなく、許されないとした点である。第二は、遺言による法律効果としての法律関係の 存否確認の訴えは、遺言者の生前においては許されない、とした点である。このうち、第一の点が、その後、最高裁 昭和田七年二月一五日判決民集二六巻一号三O
頁によって改められたことは明瞭であるが、第二の点は、その後、こ れに触れた最高裁判決は出ておらず、実務の動向も明らかでない。 しかし、視野を拡大し、より広く、法律行為の効力確認の訴えの適否というかたちで問題を捉えてみると、この判 決のなされた昭和三0
年代から昭和五0
年代にかけて、判例および学説が大きなうねりを見せながら変動したことが 分かる。この動きのなかでは、最高裁昭和三一年一O
月四日判決は、過渡期に入った当時の裁判例のひとつとして位第7巻3・4号一一56 置づけられなければならない。 2 法律行為の効力確認の訴えについては、昭和四
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年代初めころまでの最高裁判例は、これを不適法とするもの が主流を占めていた。 たとえば、① 遺言無効確認の訴えについての前記最高裁昭和コ二年一O
月四日判決がその例であるが、その他に ﹁当該相続放棄の無効なるに因っていかなる具体的な権利又は法律関係 の存在若しくは不存在の確認を求める趣旨であるかは、明確でなく﹂、このような訴えを許す特別法規もないから、 不 適 法 で あ る と し た 最 高 裁 昭 和 一 一 一O
年九月三O
日判決民集九巻一O
号一四九一頁、③ も、② 相続放棄の無効確認の訴えにつき、 抵当権設定登記の無効ならび に競売手続の無効の確認を求める訴えにつき、競売手続がすでに完結し、現在の法律関係の確認を求めるものでない から不適法、とした最高裁昭和三四年九月一一一一日判決民集二一一巻一一号一四六七頁、④強制執行自体の無効確認を 求める訴えにつき、現在の権利または法律関係の存否の確認を求めるものでないから不適法、とした最高裁昭和三O
年一月二八日判決民集九巻一号一二五頁、⑤過去になされた供託が無効であることの確認の訴えは許されないとし た最高裁昭和四O
年一一月二五日民集一九巻八号二O
四O
頁などがあり、また、⑥ ﹁確認訴訟は特段の規定のないかぎり、現在の権利または法律関係の確認を求め、かっ、これにつき即時確定の利益 がある場合にのみ許されるべきで﹂、過去の法律関係(ないし事実)の確認請求には即時確認の利益がないとして原 判決を破棄した最高裁昭和四一年四月一二日判決民集ニO
巻四号五六O
頁(請求の趣旨を釈明して審理すべきだった、 売買無効確認の訴えについても、 と い う ) が あ る 。 このような最高裁の硬直的姿勢に対して、学説は、厳しい批判の声を挙げているけれども、直ぐには目立った影響 は み ら れ な か っ た 。3 確認の利益の弾力化への大きな転機となったのは、過去の(法律行為ではないが)法律関係の確認につき訴え の利益を肯定した最高裁大法廷昭和四五年七月一五日判決民集二四巻七号八六一頁であった。 その事案は、原告(母親)が恩給法に基づく扶助料請求のために検察官を相手取って、戦死した
A
(
戸籍上は原告 の弟)は自分の子であったことの確認を求めたものである。最高裁大法廷(多数意見)は、 ﹁親子関係は、父母の両 者または子のいずれか一方が死亡した後でも、存在する一方にとって、身分関係の基本となる法律関係であり、それ によって生じた法律効果につき現在法律上の紛争が存在し、その解決のために右の法律関係につき確認を求める必要 がある場合があることはいうまでもなく、戸籍の記載が真実と異なる場合には戸籍法一一六条により確定判決に基づ き右記載を訂正して真実の身分関係を明らかにする利益が認められる﹂とし、人事訴訟手続法二条一ニ項等の規定を類 推 し て 、 ﹁生存する一方において死亡した一方との聞の親子関係の存否確認の訴を提起し、これを追行ずることがで き﹂ると解するのが相当である、と判示するとともに、最高裁の先例(最高裁昭和三四年五月一二日判決民集一一一一巻 五号五七六頁)において類似のケ l スにつき過去の法律関係の確認を求めるもので不適法としていたのを変更し、こ の先例に随従して本件の訴えを却下した原判決を破棄し、第一審に差し戻したのである。 この大法廷判決は、その出現いらい、親子関係の主体の死亡後における親子関係存否確認の訴えの適法性につきリ 1 ディング・ケイスとして定着してい訂r
けでなく、他の場面でも、確認の利益の見直しを導いた o 遺言無効確認の訴えについても、これを不適法とした前記先例(最高裁昭和三一年一O
月 四 日 民 集 一O
巻 一O
号 一 二二九頁)を実質的に変更する最高裁昭和四七年二月一五日判決民集二六巻一号一ニO
頁が出た。そこでは次のように 判示している。﹁いわゆる遺言無効確認の訴は、遺一一百が無効であることを確認するとの請求の趣旨のもとに提起され るから、形式上過去の法律行為の確認を求めることとなるが、請求の趣旨がかかる形式をとっていても、遺言が有効第7巻3・4号一一58 であるとすれば、それから生ずべき現在の特定の法律関係が存在しないことの確認を求めるものと解される場合で、 原告がかかる確認を求めるにつき法律上の利益を有するときは、適法として許容されうるものと解するのが相当であ る。けだし、右の如き場合には、請求の趣旨を、あえて遺言から生ずべき現在の個別的法律関係に還元して表現する ま で も な く 、 いかなる権利関係につき審理判断するかについて明確さを欠くことはなく、また、判決において、端的 に、当事者聞の紛争の直接的な対象である基本的法律行為たる遺言の無効の当否を判示することによって、確認訴訟 のもつ紛争解決機能が果たされることが明らかだからである﹂と。 同様の動きは、団体の決議無効確認についても生じた。学校法人の理事会・評議員会の決議の無効確認の訴えにつ き、原審は、法律に特別の規定のないかぎり単なる事実の確認または過去の法律関係の存否の確認を求めることは許 されず、私立学校法は商法二五二条のような規定を設けていないから、決議に基づいて発生した現在の具体的権利ま たは法律関係の存否の確認を求めるのは格別、過去の決議の無効確認を求めるのは、その利益を欠き、訴えは不適法 としたが、最高裁昭和四七年一一月九日判決民集二六巻九号一五二三具は、次のように整然たる判示をして、原審の 判断は違法たるを免れない、とした。﹁およそ確認の訴におけるいわゆる確認の利益は、判決をもって法律関係の存 否を確定することが、その法律関係に関する法律上の紛争を解決し、当事者の法律上の地位の不安、危険を除去する ために必要かつ適切である場合に認められる。このような法律関係の存否の確定は、右の目的のために最も直接的か つ効果的になされることを要し、通常は、紛争の直接の対象である現在の法律関係について個別にその確認を求める のが適当であるとともに、それをもって足り、その前提となる法律関係、とくに過去の法律関係に遡ってその存否の 確認を求めることは、その利益を欠くものと解される。しかし、ある基本的な法律関係から生じた法律効果につき現 在法律上の紛争が存在し、現在の権利または法律関係の個別的な確定が必ずしも紛争の抜本的解決をもたらさず、か
えって、これらの権利または法律関係の基本となる法律関係を確定することが、紛争の直接かつ抜本的な解決のため 最も適切かっ必要と認められる場合においては、右の基本的な法律関係の存否の確認を求める訴も、それが現在の法 律関係であるか過去のそれであるかを問わず、確認の利益があるものと認めて、これを許容すべきものと解するのが 相 当 で あ る ﹂ と 。 最高裁判例のこのような進展は、学説のほぼ全面的な賛同を得た。確認対象は(特別の規定がないかぎり)現在の 権利または法律関係でなければならないとしていた曽ての通説は改められ、確認の対象となる権利関係が現在のもの か過去のものであるかは請求適格の問題ではなく確認の利益の問題であることが共通の認識となり、それが過去の法 律行為の効力の確認にも及ぶとともに、確認訴訟の機能や救済の必要性に着眼して、事実を対象とする確認の訴えや 将来の法律関係の確認の訴えについても、確認の利益を肯定すべき場合の存在を認める方向に向かっている。実定法 上も、事実や過去の法律関係ないし法律行為の効力の確認の訴えの適法性を前提とする個別規定が、さらに加わった (従来の民訴二二五条、人訴二条・二四条、商法二五二条、行訴三六条に加え、民執三九条一項二号、昭和五六年改 正法により株主総会決議不存在確認の訴えを明定した商法二五二条﹀。 冒頭に提起した、遺言者の生存中の遺言無効確認の訴えの適否という問題に戻ろう。 4 この点については、不適法説を採った前記最高裁昭和三一年一
O
月四日判決の後に、直接の判示をした上級審裁判 例は見当らない。遺一一一口無効確認の訴えを適法とした前記最高裁昭和四七年二月一五日判決も、行文上、遺言無効確認 の訴えが﹁遺言が有効であるとすれば、それから生ずべき現在の特定の法律関係が存在しないことの確認﹂を求める ものと解される場合であること、したがって、すでに遺言が発効したことを適法要件としているようにみえる。学説 ( 7 ) も、この問題にふれるものは、最高裁昭和三一年一O
月四日判決を引用しつつ、不適法説にとどまっている。第7巻3・4号一一60 最近、下級審裁判例で最高裁昭和三一年一
O
月四日判決の判示をそのまま踏襲したものに接した。大阪地裁平成六 年 一O
月二八日判決判例タイムズ八六五号二五六頁がそれである。すなわち、痴呆状態となって生存している遺言者 がした遺言の無効確認の訴えを推定相続人が遺言者および受遺者を被告として提起した事案につき、 ﹁遺贈は死因行 為であり、遺言者の死亡によりはじめてその効果を発生するものであって、その生前においては何ら法律関係を発生 させることはなく、受遺者において何らの権利も取得しない。のみならず、遺言者が何時でも遺言を取り消すことが できるだけでなく、遺言発効当時、受遺者が必ずしも生存しているとはいえないから、 かかる将来不定の利益ないし 地位を現在保護する必要はなく、 したがって、原告の有する権利または法律的地位に危険または不安が生じ、これを 除去するため被告らに対し確認判決を得ることが必要かっ適切な場合であるとはいいえない﹂と判示し、訴えの利益 なしとして訴えを却下している。 最高裁昭和三一年一O
月四日判決と大阪地裁平成六年一O
月二八日判決は、判文の要旨がほとんど同一であるけれ ども、両者の事案が著しく異なっていることを注意しなければならない。 さきにみたとおり、最高裁昭和三一年判決の事案は、公正証書遺言をした遺言者自身が新たに公正証書遺言をして 先の遺言を取り消したうえで、取り消された遺言の無効確認を求めたものであるのに対し、大阪地裁平成六年一O
月 二八日判決の事案は、全く異なる。遺言者である乙は、明治四四年二月一五日生まれの老女で、平成五年三月一五日、 アルツハイマ 1 型老年痴呆により心神喪失の常況にあるとして禁治産宣告を受け、その甥である丙が後見人に選任さ れている。これに先立ち、平成元年一二月一八日、乙が遺言したとして公正証書遺言が作成されたが、その遺言内容 は、乙所有の土地建物を丙に遺贈するというものであった o 原告甲は、乙の養子で、乙の唯一の推定相続人であり、 本件遺言は乙の意思能力が欠如した状態で作成され、公正証書遺言の方式に違反している(乙は遺言の趣旨を公証人に口授せず、公証人は筆記した内容を読み聞かせておらず、遺言者が筆記の正確なことを承認していない﹀として、 乙および丙を被告とする遺言無効確認の訴えを提起したものである。ここでは、現実に紛争があり、法的に解決され るべき深刻な利害の対立がある。すなわち、遺言が有効であるとすれば、乙が死亡したさいの遺産の主要部分である 土地家屋を丙が遺贈により取得することになるが、もし遺言が無効ならば、甲が遺産の全部を相続により取得するこ とになる。しかも、遺言者は、現在、アルツハイマ l 型痴呆により入院中の高齢者であり、この種の痴呆は回復する ことがなく、確実に進行するから、先にした遺言の取消しをしたり、新たな遺言をして先の遺言を失効させる可能性 は皆無なのである。 最高裁判例が、昭和田
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年代の中ごろ以降、確認の利益の弾力化・拡大化の面で大きく転回したことは、さきにみ たとおりであり、遺言者の生存中の遺言無効確認の訴えの適否について古く昭和三一年になされた裁判例を単にその まま踏襲してよいのかどうか、もっと突っ込んだ検討が必要であるといわなければならない。 61 ハ 2 ﹀三ヶ月章・判例民事訴訟法一九八頁以下・ニO
五 頁 。 ( 3 ﹀ と く に 、 石 川 明 ﹁ 過 去 の 法 律 関 係 と 確 認 訴 訟 ﹂ 法 学 研 究 一 一 一 一 巻 一 一 一 号 一O
入O
頁 以 下 ︹ 昭 和 三 三 年 ︺ 、 上 杉 晴 一 郎 ﹁ 過 去 の 法 律 関 係 の 確 認 訴 訟 ﹂ 民 商 法 雑 誌 四 六 巻 四 号 五 九 一 一 良 ︹ 昭 和 三 七 年 ︺ が 、 厳 し く 的 確 な 批 判 を 浴 せ た 。 ハ 4 ) 大 法 廷 判 決 後 の 親 子 関 係 存 否 確 認 の 訴 え を め ぐ る 判 例 と 学 説 に つ き 、 林 淳 ﹁ 過 去 の 法 律 関 係 の 確 認 ﹂ 小 山 H 中 野 H 松浦 H 竹 下 編 ・ 演 習 民 事 訴 訟 法 三 五 五 頁 以 下 参 照 。 ( 5 ) 新 堂 幸 司 ・ 民 事 訴 訟 法 ︹ 二 版 補 正 版 ︺ 一 八 三 頁 以 下 、 三 ヶ 月 章 ・ 民 事 訴 訟 法 ︹ 三 版 ︺ 六 六 頁 以 下 、 中 野 H 松浦 H 鈴 木 編 ・ 民 事 訴 訟 法 講 義 ︹ 有 斐 閣 大 学 双 書 ・ 補 訂 二 版 ︺ 一 六 九 頁 以 下 ︹ 福 永 有 利 ︺ 、 吉 村 H 竹 下 H 谷 口 一 編 ・ 講 義 民 事 訴 訟 法 ︹ 二 版 補 正 版 ︺ 五 四 頁 以 下 ︹ 本 間 義 信 ︺ 、 谷 口 安 平 ・ 口 述 民 事 訴 訟 法 一 二 二 頁 以 下 、 上 回 徹 一 郎 ・ 民 事 訴 訟 法 二O
三頁以下、上原敏 夫 H 池田辰夫 H 山 本 和 彦 ・ 民 事 訴 訟 法 九 一 頁 以 下 な ど 。 ( 6 ) 確 認 の 利 益 を め ぐ る 学 説 の 動 向 に つ い て は 、 と く に 、 青 山 善 充 ﹁ 確 認 の 利 益 ﹂ 民 事 訴 訟 法 の 争 点 一 四 二 頁 以 下 、 林 淳 ﹁ 確第7巻3・4号一一62 認 の 利 益 ﹂ 民 事 訴 訟 法 の 争 点 ︹ 新 版 ︺ 一 六 六 頁 以 下 、 伊 藤 田 県 ﹁ 確 認 訴 訟 の 機 能 ﹂ 判 例 タ イ ム ズ 三 コ 一 九 頁 以 下 、 野 村 秀 敏 ﹁ 紛 争の成熟性と確認の利益﹂判例時報一一二三号・二二四号・一一二六号・一一二七号・二二九号・一二二
O
号 ・ 一 二 二 九 号 ・ 一 二 三 二 号 、 と く に 、 二 一 二 九 号 二 一 一 良 以 下 ・ 一 二 三 二 号 一 四 頁 以 下 参 照 。 ( 7 ) 山 木 戸 克 己 ﹁ 法 律 行 為 の 効 力 確 認 訴 訟 の 適 法 性 ﹂ 民 事 訴 訟 法 論 集 一O
一 頁 以 下 ・ 一 一 一 一 貝 、 上 回 ・ 民 事 訴 訟 法 二O
六 頁 、 倉 田 卓 次 ・ 遺 一 マ 一 口 ・ 公 証 一 三 七 頁 な ど 。 な お 、 ド イ ツ の 学 説 ・ 判 例 に つ き 、 後 注 ( 円 以 ﹀ 参 照 。 遺 言 者 生 存 中 の 遺 言 無 効 確 認 の 訴 え の 適 法 性 1 遺言無効確認の訴えの適法性は、現在では、判例・通説の認めるところであり、要は具体的・個別的場合にお ける確認の利益にかかる。このことは、遺言者が生存中であっても異なるところはない。 遺言者の生存中に提起された遺言無効確認の訴えにおける請求(訴訟物﹀としては、次の=ス J が 考 え ら れ る 。 ① 過去になされた法律行為である遺言を訴訟物とし、その遺言が法律要件としての効力を有しないことの確認を 求 め る 。 ② 遺言の成立によって生じた現在の権利または法律関係を訴訟物とし、その権利または法律関係の不存在の確認 を 求 め る 。 ③ 遺言の発効によって生やすべき将来の権利または法律関係を訴訟物とし、その権利または法律関係の将来におけ る不存在の確認を求める。 訴訟物が右の①②③のいずれである場合でも、請求適格には問題がなく、確認の利益(即時確定の利益﹀だけが問 題 で あ る 。、 、 , , , 唱 E A ( 過去の法律行為たる遺言を訴訟物とし、遺言、が法律要件としての効力を有しないことの確認を求めることは許 さ れ る 。 遺言や売買などの法律行為の効力の確認については、その性質上、過去か現在かを論じることは、意味がない。遺 言や売買じたいが法律関係変動の要件事実であり、過去になされた法律行為であることはいうまでもないが、それら 法律行為の無効確認といろのは、とくに山木戸克己博士によって明らかにされたとおり、それらに法律要件としての 価値が認められないという、現在の時点における法的な価値判断であって、単なる過去の事実の確認ではなく、過去 の権利または法律関係の確認でもない。この法的な価値判断は、法律要件を定めた法の解釈・適用によってなされる のであるから、法律行為の効力の確認請求は、その請求適格に問題はない。 (2) 遺言の成立によって生じた現在の権利または法律関係を訴訟物とし、その現在の権利または法律関係の存否の 確認を求めるのであれば、請求適格に全く問題はない。 ただ、遺一マ一口者が生存している場合においては、果たして遺言者の死亡をまたずに遺言の成立だけで現在すでになん らかの法律効果が生じているものかどうかが問題となる。 遺言の本来の効力は、遺言者の死亡の時から生じるが(民法九八五条一項﹀、それまで何の効果も生じないわけで はない。とくに、遺言の内容が遺贈を含む場合には、それが特定遺贈であるかぎり、対象たる具体的な権利につき、 受遺者は、遺言の成立により、遺言者の死亡したときにその権利を取得する期待権をもっ。 遺言には撤回の自由があり、容易に遺贈の効力発生を回止しうるのが普通であるにしても、しかし、遺言者が死亡 するまでの聞に遺言を撤回せず、受遺者が遺言者よりも先に死亡するようなことが起こらないかぎり、遺言者の死亡 と同時に確定的に遺贈の効力が生じるのであって、不確定期限付きの法律行為たる性質を有する。しかも、遺贈の効
第 7巻 3・4号一一64 力には強い法的保護が与えられている(民法九九六条
1
一OO
一条)。異論はあるが、このような法的に強く保護さ れる受遺者の地位は、単なる事実上の希望や期待にとどまるものではなく、法律上の期待権以外の何ものでもない。 この期待権については、不動産登記法二条二項後段にいう﹁将来-一於テ確定スヘキ﹂請求権として仮登記ができるこ とを認めた裁判例(東京地裁昭和四O
年一一月二五日判例タイムズ一八七号一七六頁)もあり、この仮登記は、遺贈 の対抗要件としての登記(最高裁昭和三九年コ一月六日民集一八巻三号四三七頁参照)のために順位を保全することが で き る 。 このように遺言の成立と共に受遣者の期待権が生じうるかぎりでは、前記の最高裁昭和四七年二月一五日判決に従 って、遺言無効確認の訴えは、 ﹁遺言が有効であるとすれば、それから生ずべき現在の特定の法律関係が存在しない ことの確認を求めるもの﹂でなければならないと解する場合でも、遺言者生前の遺言無効確認の訴えに請求適格が失 われるわけではない。 遺言者生存中の遺言無効確認の訴えが、遺一言の発効によって生ずべき将来の権利または法律関係を訴訟物とし、 その権利または法律関係の将来における不存在の確認を求める趣旨である場合には、請求適格の判断に微妙な面があ る。将来の権利関係の確認請求適格を積極的に明言する者は、未だ必ずしも多くない。しかし、現在の学説は、確認 対象たる権利関係の時間的性質を問題とせず、具体的事件において確認の利益が認められるかどうかにより訴えの適 否を決するに至っている。 2 遺言者生存中の遺言無効確認の訴えであっても、請求適格に問題はなく、要は、遺言者がまだ生存しているに もかかわらず遺言無効の確認を求めるだけの具体的利益なり現実の必要性があるかどうか、という狭義の訴えの利益 (確認の利益、即時確定の利益)の有無に帰する。一般に、確認の利益は、原告の権利または法的地位に危険・不安が現存し、 かっ、その危険・不安を除去する方法 として原告・被告聞にその請求について判決することが有効適切である場合に、認められる。したがって、どのよう な場合がこれに該当するかは、個別・具体的に判定するほかはない。 前記の最高裁昭和三一年判決の事案のように、遺言者自身がその遺言の無効確認を求める訴訟であれば、確認の利 益を否定すべきことは当然である。遺言者は何時でも遺言を撤回できるのであり、判決を得る必要はない。現実の間 題は、遺言者の推定相続人が自己に不利な内容の遺言の効力を争う場合であり、とくに、遺言者自身がその遺言を取 り消すことができない状態に陥った場合の確認の利益である。 推定相続人が有する﹁相続権﹂ (民法八八七条二項・ゴ一項・八八九条二項の用例)は、その性質を期待権とみるの が通説であり、判例にも、推定相続人の地位を期待権とよぶものがある(最高裁昭和三
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年一二月二六日民集九巻一 四 号 二O
八二頁)。推定相続人は、被相続人の死亡という事実が発生すれば遺産の一部または全部を承継できるであ ろうという期待を法律上もつことができるから、その地位(相続権)は期待権である。それは、将来の相続によって 権利を取得すべき現在の期待を保護するために認められる現在の権利であって、相続の発生によって取得される将来 の権利とは区別されなければならない。 一般に、期待権に対しては、第三者も不可侵義務を負うものとされる。とく に、前述 ( 1 ω ) のように、遺言により財産を取得すべき受遺者の地位が法的に保護された期待権であるとすれば、 その遺言によって推定相続人の相続権の内容に不安定が生じる。遺言の有効・無効が判決をもって確定されれば、こ の不安定を除去することができる。 遺言無効確認の訴えであっても、遺言者が生存中であるからといって、常に必ず確認の利益がないとはいえない。 たしかに、遺言者は、何時でも、遺言の方式に従って、その遺言の全部または一部を取り消すこと(撤回)ができる第7巻 3・4号一→6 し ( 民 法 一
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二二条)、前の遺言と抵触するような後の遺言や生前処分等をすれば、抵触部分は後の遺言等で取り消さ れたものとみなされる(民法一O
ニコ一条)から、遺言者の生前には遺言無効確認の訴えについて判決することは適切 でなく、普通の場合には、確認の利益を否定すべきであろう。しかし、遺言の撤回や新たな遺言をするには遺言能力 が必要である。進行したアルツハイマ 1 型痴婦げように、遺言者がすでに意思能力を失ぃ、その回復の見込みが全く ない場合には、もはや遺言の撤回や抵触する遺一言・生前処分等が有効になされる余地はないのであり、遺言の内容に 関するかぎり、固定した状態が存する。また、遺言者が高齢であり、推定相続人や受遺者が先に死亡するという事態 が普通は起こり得ないという場合には、右のような事態の可能性を理由として確認の利益を否定するのは、不合理で ある。遺言の内容が遺贈を含む場合には、遺言が有効か無効であるかによって、遺産の範囲、相続分、遺産分割の方 法等が異なってこざるをえないし、推定相続人の相続権が実質的に形骸化することも起こり得る。 したがって、遺言内容が固定し、遺言の撤回や抵触処分の可能性が皆無であり、遺言者の近い死亡がマ了見される場 合に、推定相続人と受遺者の聞に遺言の有効・無効をめぐって争いがあるようなときは、遺言者の生存にかかわらず、 推定相続人または受遺者が提起する遺言の効力の存否確認の訴えにつき、確認の利益を肯定すべきである。判決によ る確認を受けることによって、それぞれの期待権についての不安・危険を険去し、遺産をめぐって将来必至の紛争を 予防することができるからである。このような場合に、もし便々として遺言者の死亡をまたなければならないとする ならば、年月の経過とともに、遺言に関与した人々の死亡や記憶喪失、あるいは遺言者の遺言能力の判定に役立つ資 料の廃棄(医師法二四条参照)などが生じるのを避けることができず、結局、徒に証拠の散逸と消失を待つ結果とな り、適正な判決はついに得ることができないであろう。 3 ドイツでも、遺言者の生前における遺言無効確認の訴えを不適法とするのが判例・通説であることは、 わが国と同様であるが全く例外を認めないというわけではなく、相続法土の規整が現在すでに法的解決を迫られている個別 ( ロ ) の場合につき、被相続人となるべき者の生存中に提起された相続関連の確認の訴えが許容されている。わが法の解釈 にとっても参考とすべきである。 67 ( 8 ) 山木戸・前掲論文・民事訴訟法論集一
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一 一 貝 以 下 。 異 論 は 出 て い な い 。 ハ9﹀中川善之助 H 泉久雄・相続法(法律学全集・三版)五六O
頁、中川編・注釈相続法下八三頁︹舟橋誇一︺など。遺言無効 確認の訴えを不適法とした前掲最高裁昭和三一年一O
月四日判決も、﹁受遺者は将来遺贈の目的たる権利を取得することの 期待権すら持つてはいない﹂といったが、これを評釈した三ヶ月博士会二ヶ月・判例民事訴訟法・二O
五頁)は、遺言者生 存中の受遺者にも﹁微弱ながら期待権としては││観念的にはーーーある、ただそれを確定しても(訴訟制度という観点から は)意味がないから確認訴訟を認めないだけだというのが、むしろ正しい認識だというべきであろう﹂としていた。普通は 意味がないことが多いとしても、訴訟による確認に意味がある場合もあることは、本文で後に述べるごとくである。 (叩)我妻栄・新訂民法総則四二ハ頁、中川善之助・相続法(法律学全集)一一一一一頁以下、中川編・注釈相続法上三O
頁︹於保不 二 雄 ︺ 、 於 保 一 編 ・ 注 釈 民 法ω
三コ一四頁︹金山正信︺など。最近では、異説もあるが(とくに、中川 H 泉編・新版注釈民法部 五四頁以下︹山畠正男︺)、期待権の例としてまず相続権を挙げるのが普通である公有斐閣・新法律学辞典︹一一一版・平成元 年︺、同・法律学小辞典︹新版・平成五年︺などの﹁期待権﹂の項目を参照)。 (日)平井俊策(群馬大学医学部教授)編・アルツハイマ l 型痴呆と脳血管型痴呆︹医薬ジャーナル社・平成六年︺四三頁以下・ 一三五頁以下︹平井俊策︺参照。とくに、アルツハイマ i 型老年痴呆は、現在、これに対する有効な予防法も治療法もなく、2
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よりも2
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といわれる段階にある。アルツハイマ l 型痴呆の知的機能の低下は、ほぼ一定の割合で確実に進行する。 しかし、発症後の生存期聞は、最近、ケアや合併症の治療の進歩などにより伸長の傾向にあり、最近の調査では発症後五年 を経でもなお半数は生存しているという報告がなされている。 ( ロ ) 岡 山 O 団 四 ロ v m H ・ 問 ¥ ω 円 H H d 司 M w t ¥の 0 2 耳 目 5 ・ NZ 出 向 肖 O N 相 田 門 町 n F F 同 日 ・ ﹀ ロ 2 ・ HU 甲 山 Y ω ・ 閉 山 口 一 ∞ 同 町 山 口 ¥ ﹄ O 口 町 w m w ¥ ω n F ロ 吉 田 口 P N 旬 。 ・ N0 ・ K F g 出 ・5
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は、原告への遺第7巻3・4号一一68 贈を含む公正証書遺言をした者がその後に精神虚弱に基づき行為能力を剥脱され、付された後見人が遺言は無効としたため、 遺言の有効確認の訴えが提起された事案であるが、原告には相続権はなく、遺言者より先に死ぬ可能性もあり、遺言者が精 神能力を回復して別の遺言をし、あるいは先の遺言を撤回する可能性もあることを考慮に入れなければならない、という理 由で訴えを不適法としたものであった。近時のドイツ連邦大審院裁判例には、遺言および相続契約に関連し、訴えは生存者 の遺産についての相続権の確認を求める趣旨と解して不適法としつつ、生存中の被相続人の現在の法的な行動自由の制限と しての遺留分権の存在確認の訴えなら許されるとした例(切の出 Nω ア