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触覚インタフェースを用いた支援システムに関する研究

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Academic year: 2021

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(1)触覚インタフェースを用いた支援システムに関する研究 浅川. 貴史※. A Study of an Assistance System Using a Haptic Interface Takashi Asakawa. We make a proposal for a music baton system for visual handicapped persons. This system is constituted by an acceleration sensor. a radio module. and a haptic interface device. The acceleration sensor is built in the music baton grip and the data are transmitted by the radio module. A performer has a receiver with the haptic interface device. The receiver's CPU picks up rhythm from the data and vibrates the haptic interface device. This paper is described about an experiment of comparing the visual and the haptic interface. The result declares that the haptic interface is an advantage for an assistance of visual handicapped persons.. Keyword. Welfare, Haptic Interface, Universal Design. 1.緒言. どの方法にも無理があった。. 近年、社会の高齢化が進む中で、各地の生涯学習セン. そこで著者らは、指揮者の指揮棒の動きを、触覚インタ. タでのサークル活動による「生きがい」の創出が注目を集. フェースデバイス(Haptic Interface Device、 以下 HID)を. めている。サークルで行われている内容は音楽や文学、歴. 用いて歌い手側に伝達する電子指揮棒システムの研究を. 史探求など多岐に及ぶが、その中の合唱サークルは特別な. 進めている(1)。この研究は、指揮棒に加速度センサを内蔵. 機器や技能が必要とされないため、誰もが参加しやすいも. し、無線により測定値を演奏者側に伝送する。演奏者側で. のである。また、加齢による視力の低下や視覚障害者は、. は、受信したデータから指揮棒の特徴的な動きを抽出し、. その障害のために社会参加が困難な場合が多いが、合唱サ. 演奏者の手首に取り付けた HID により伝達する。この電. ークルへの参加は「生きがい」の創出と社会参加の両面に. 子指揮棒システムは、指揮者が視覚障害者に対し、健常者. おいて有用である。. の場合と同様に指揮棒を振るという動作で指示を行うこ. 障害者の社会参加においては、数々の施策や制度の確立 により改善への努力が続けられている。しかし、視覚障害. とができるユニバーサルデザインを考慮したものである。 また、指揮者と歌い手側の関係は 1 人対多数であるため、. 者が健常者と一緒に合唱に参加する場合、視覚障害者から. 有線であれば両者間の配線が多くなり配線が絡まったり、. は指揮者の指揮棒の動きが視覚により認識できないため、. 配線に足が取られたりと問題が発生する可能性があるが、. 全体でリズムを合わせるためには、視覚障害者に対し特別. この電子指揮棒システムは、無線装置を使っているため、. な配慮や対応が必要であり、視覚障害者と健常者が一緒に. 歌い手側が多くなっても、問題なく指揮棒の動きを伝達す. 参加することが可能な合唱サークルはまだ少ない。. ることが可能となる。. 神奈川県ライトセンタ内の合唱サークルでは、視覚障害. 音楽の演奏において、重要なことは同期である。指揮者. 者と健常者が一緒に参加できるための指導方法を長年模. は指揮棒により指示を出すが、視覚と触覚とで反応速度に. 索してきた。練習段階では、カスタネットの音に合わせる. ずれを生じることは問題となる。著者らは、これまで視覚. 方法や、視覚障害者と健常者がペアになり、隣から合図を. と触覚の反応時間についての特性を明らかにする研究を. 送る方法が取られてきたが、合唱祭などの大きな舞台では、. 行ってきた(2)。本研究では、指揮法で予備動作と呼ばれる. *近畿大学工業高等専門学校 総合システム工学科 情報系. 振りかぶりの動作に着目し、反応速度に予備動作がどのよ うな影響を与えるかを実験により検証する。.

(2) 2.電子指揮棒システムの概要 2.1. 指揮の概要. 視床を経て大脳皮質へ送られる。 視覚と触覚は、最初の受容器から脳までの伝達経路は違. 一般的に、指揮とは集合による演奏に対して統一を与し. うが、最終的に大脳皮質に信号が伝達され知覚され、その. ていく行為である(3)。人間は外界からの刺激に対して無意. 後に他の情報と連動し、指揮の動きとして認識されること. 識にそれ相応の反応をする習性があり、指揮者は指揮棒を. になる。. 使って演奏者に次の「音」を、統一性をもって出させるこ とが、その役目である。 指揮の中で、最も重要なことは拍子を刻むことである。. 2.3. システム概要. 無線装置には、アサップシステム製の 2.4GHz データロ. 音楽には、行進曲などの 2 拍子、ワルツなどの 3 拍子、そ. ガを使用した。送信側の装置は、指揮棒内に 3 軸加速度セ. して最も多くの曲で用いられている 4 拍子などがあり、こ. ンサを内蔵しており、指揮棒の動きを 10ms 間隔で測定し. の拍子のテンポを演奏者全員で合わせることが重要であ. ている。図 2 がその外観である。. る。. 受信側の装置は、伝達装置として携帯電話などで使われ. 指揮者は、この拍子を指揮棒の動きにより演奏者に指示 する。指揮棒の振り方には、「叩き」、「平均移動」、「しゃ. ている小型振動モータを用いている。このモータを図 3 の ように手首部分に装着する。. くい」などがあり、図1は最も代表的な「叩き」によるも のである。. Fig. 2 The baton and the radio transmitter. Fig.1 Basically swing method of music baton. 2.2. 視覚と触覚. 視覚では、外界からの光刺激はレンズに対応する水晶体 を経て、網膜に至る。網膜は高度に発達した構造を持ち、 その性能を十分に発揮するために、瞳孔径調節(光量調節)、 焦点調節、眼球運動などの精密な制御がある。網膜で処理 された視覚情報は視交叉、外側膝状体を経て大脳皮質に運 ばれる(4)(5)。 一方触覚では、皮膚の上皮および真皮にはさまざまな受 容器が存在し、それぞれの受容器ごとに関与する刺激が決 まっている。HID からの振動は、パチニ小体が主に関与す る。パチニ小体から送られた触覚情報は、脊髄から延髄、. Fig. 3 The radio receiver and the vibrator.

(3) Accelerometer [V]. 3 2.5 2. Z-axis. Z-axis. 1.5 1 0.5 0. X-axis. Y-axis 1. 148 295 442 589 736 883 1030 1177 1324 1471 Time [ms]. Fig. 5 Accelerometer value of the baton motion Y-axis. Jerk [m/s-3]. 3. Fig. 4 The directions of the sensor axis. 2 1 0. -1 Time 2.4. 拍子の抽出方法. Fig. 6 The calculation result for jerk. 指揮棒の動き、すなわち拍子の抽出は、指揮棒に内蔵し た 3 軸加速度センサにより行う。センサの軸の向きは、図. 3.反応速度実験. 4 のように前後が X 軸、左右が Y 軸、上下が Z 軸とし、 今回 X 軸は使用せず Y、Z 軸の出力を使用した。指揮棒の. 被験者が、図 7 のパソコン画像の表示や図 8 の振動モー. 加速度 a として、式 1 により Y、Z 軸の合成ベクトルの大. タの振動を認識し、ボタンを押すまでの時間を計測する。. きさを計算する。. それぞれの計測は、非定周期(ランダム)と定周期(リズ. 拍子を刻んでいるポイントは、図 1 中の Beat point の部. ム)の場合の実験を行った。非定周期は、単純に刺激に対. 分であり、指揮棒が下向きから急激に上向きに転じる部分. する反応速度を測定するためである。定周期は、実際の音. である。このような部分を抽出する方法として、脈波など. 楽が定周期であり、次のタイミングを予測しながら認識し. の解析(2)で用いられる式 2 の加加速度(Jerk)による演算処. ていると考えられるため、重要であると考えた. 理を使用する。加加速度は躍動ともよばれ、生体的な動作. また、実際の指揮者の動作では、予備動作がタイミン. の中でパルス的な動き、脈波でいえば心臓から血液が送り. グを合わせる上で重要となる。そこで、視覚での非定周期・. 出された瞬間を捉えることができる。指揮棒の動きでも. 定周期の実験では、図 9 のように予備動作の代わりに図. Beat point のタイミングは、緩やかな円弧を描いた動作か. 形がV字を描くように動き、V字の折り返し点を拍子のタ. ら急激に方向が変わるタイミングであり、加加速度を適用. イミングとして反応速度を測定した。. することとした。. 実験の被験者は、視覚による実験が 20 歳 12 名、触覚に よる実験が 20 歳 10 名で行った。それぞれの実験の反応時 間の平均と標準偏差(SD)を表 1 と図 10 にまとめた。 なお、. a =. y2 + z2. (1). 標準偏差については、被験者の人数が少なく、視覚と触覚 の実験では人数が異なるため、統計上の係数により調整を. j = an − an −1. 行った。 (2). なお、表中と図中での実験項目の表記は以下のとおりで ある。. 図 5 は、 「叩き」2拍子の Y 軸と Z 軸の加速度センサか. VRA-NM : 視覚、不定周期、予備動作なし. らの出力であり、図 6 が式1と式 2 により計算した加加速. VRA-WM : 視覚、. 度データである。Beat point の位置ではっきりとしたピー. VRH-NM : 視覚、不定周期、予備動作なし. ク波形を抽出することができる. VRH-WM : 視覚、. 定周期、予備動作あり 定周期、予備動作あり. HRA-NM : 触覚、不定周期、予備動作なし HRH-NM : 触覚、. 定周期、予備動作なし.

(4) Table 1 The result of the response experiment VRA. VRA. VRH. VRH. HRA. HRH. -NM. -WM. -NM. -WM. -NM. -NM. Max.[ms]. 252.9. 56.6. 218.2. 34.0. 293.9. 209.7. Min.[ms]. 190.5. -40.4. -22.5. -56.3. 199.8. 32.0. Ave.[ms]. 207.9. 5.2. 77.4. -7.4. 247.7. 137.9. Std. dev.. 19.2. 31.1. 72.0. 26.5. 27.1. 60.1. Fig.7 The view of the visual characteristic experiment. Vibration motor. ? ?. Fig.8 The view of the vibration motor. Fig. 10 Graph of response time. 4.考察 まず、実験の結果の非定周期より定周期の関係について 考察する。視覚と触覚の両方で定周期の方が反応時間は短 Trajectory of the icon. いが、標準偏差は逆に大きくなっている。これは定周期で は、次のタイミングを予測しようとするが、その予測が不 完全であることを意味している。今回の実験では、被験者 に数回の練習を行ったのち実験を行った。練習を続けるこ とで、このばらつきが減少することも考えられるが、定周 期の予測のみでは、反応時間にある程度のばらつきが発生 するといえる。 次に、視覚と触覚の反応時間では、視覚の方が短くなっ ている。今回の実験では、HID に携帯電話で使用されてい る振動モータを使用しているが、このデバイスは起動時間 が 100ms 前後かかる。触覚の反応時間からこの起動時間を 差し引くと、視覚と触覚の反応時間は、ほぼ同程度あると いえる。触覚の反応時間を短くするためには、起動時間の. Fig.9 The screen shot of pre-motion experiment. 速いデバイスが必要となる。 一方、視覚の予備動作ありの実験では、反応時間がほぼ.

(5) 0ms となっている。これは理想的な状態であり、予備動作 の重要性を示している。 しかし、現在の電子指揮棒システムでは、触覚による予. iii. 視覚の実験で予備動作を加えた場合、反応時間が非定 周期、定周期ともにほぼ 0ms となり、予備動作の重 要さを確認した。. 備動作に相当する伝達方法を備えていない。そこで、予備 動作の代わりに、加速度センサの測定値から速度を計算し、. 参考文献. 速度が最大となるタイミングを演奏者に伝達することで、. (1) 浅川貴史、斎藤信之、河原崎徳之、吉留忠史、西原主. 予備動作の変わりとする方法が考えられる。. 計、”視覚障害者の音楽学習支援のための電子指揮棒の開 発”、日本機械学会福祉シンポジウム2009講演論文集、. 5.まとめ 視覚障害者支援のための電子指揮棒の研究として、視覚. pp.112-113、2009 (2) 浅川貴史、河原崎徳之、西原主計、斉藤信之、”視覚. と触覚による反応時間測定のための実験を行い以下の結. 障害者支援のための触覚インタフェースに関する研究”、. 果を得た。. 日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会2010、. i.. 非定周期と定周期による反応時間は、定周期の方が短 いが、ばらつきは大きかった。また、触覚と視覚で同 じ傾向であった。. ii. 触覚の反応時間は、HID の起動時間の影響で視覚よ り遅くなっており、起動時間の改善が必要である。. 1A1-C26、2010 (3) 斉田好男、”はじめての指揮法学”、音楽之友社、2008 (4) 赤澤堅造、”生体情報工学”、東京電気大学出版局、 2001 (5) 八木昭宏、”知覚と認知”、培風館社、1997.

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Fig. 2 The baton and the radio transmitter
Fig. 5 Accelerometer value of the baton motion 00.511.522.531 148 295 442 589 736 883 1030 1177 1324 1471Time [ms]Accelerometer  [V]Z-axis Y-axis
Table 1 The result of the response experiment  VRA  -NM  VRA -WM  VRH -NM  VRH  -WM  HRA -NM  HRH -NM  Max.[ms]  252.9  56.6  218.2  34.0  293.9  209.7  Min.[ms]  190.5  -40.4  -22.5  -56.3  199.8  32.0  Ave.[ms]  207.9  5.2  77.4  -7.4  247.7  137.9  Std

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