Japan Advanced Institute of Science and Technology
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https://dspace.jaist.ac.jp/ Title 日本、タイ、ベトナムにおける農村への再生可能エネ ルギー導入 Author(s) 石原, 慶一 Citation 年次学術大会講演要旨集, 32: 134-135 Issue Date 2017-10-28Type Conference Paper Text version publisher
URL http://hdl.handle.net/10119/14992
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日本、タイ、ベトナムにおける農村への再生可能エネルギー導入
○石原慶一(京都大学エネルギー科学研究科) 1. はじめに 世界中で、地域開発として再生可能エネルギーの導入が進んでおり、中でもコミュニティ(地域社会) が主導して導入、運用するコニュニティ再生可能エネルギープロジェクト(以下、CRE と略す)が注目 されている。これらについて、多くの分析がなされている[1]。本稿では、特にこの CRE が成立する条 件について、日本と東南アジアを対象に考察し、今後の CRE の普及および問題解決の方策を提案するこ とを目的とする。 2.CRE の定義と特徴 まず、CRE の定義についてであるが、これは成立要件とも関連しており独立して論ずることは難しいが、 理想的な CRE とは、再生可能エネルギーの導入にあたって、企画、構築、運用の全ての場面でコミュニ ティが主体的に関わっていることである。日本を含めた先進国においては次のような利点が考えられる。 地球温暖化ガス排出量削減効果 エネルギーの非集中化による総合効率改善 地方民主化の推進 地域経済の発展 これに加えて、発展途上国ではエネルギー供給の安定化がある。 もちろん問題点もある。例えば、 資金調達 技術者の確保 コミュニティの指導者の欠如 安全対策 コミュニティ自体の持続性 などがあげられる。しかし、エネルギーの分散化は地域のエネルギーセキュリティ向上や、そもそも再 生可能エネルギーは地産池消に向いており、今後ますます重要になってくると思われる。 3.日本の事例 平成 25 年 11 月に農山漁村再生可能エネルギー法(農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネ ルギー電気の発電の促進に関する法律)が成立し、平成 26 年 5 月 1 日に施行され農林水産省で促進の ため予算措置を行なっており、多くの取り組みがなされている[2]。さらに、再生可能エネルギーの固 定買取制度(FIT)[3]により、収益事業として成立するようになった。農水省から補助を受けたもののう ち成功例として紹介されている 29 プロジェクトを分析すると、55%が太陽電池、14%が風力、その後に 小水力、バイオマスと続く。予算規模ではバイオマスが大きく、太陽光が最も小さい。成功例の特徴は 発電事業には別会社を立てているが、その収益は農家に帰る仕組みになっている。また、観光農園とし ての収入も得ている。これらにより、天候不順などによる農業収入以外の収益が農家に入ることにより 農家の収入安定化につながっている。 4.タイの事例 エネルギー省が 2013 年から CRE のパイロットプロジェクト補助事業を展開しており、タイ各地で説明 会を行い、公募を行なった。その結果、2016 年までに 147 のコミュニティからの提案があり、その後、 各コミュニティと調整した結果、64 件の提案があった。その中から 42 件が採択され、実施に移された が、26 件は順調に進んだ一方、16 件については様々な理由で実施には至らなかった[4]。タイの場合は、 バイオガスのプロジェクトが多く、家畜廃棄物や一般廃棄物を利用して得られるバイオガスを地域社会 にパイプラインにより供給し調理ガスとして用いる例が多い。各戸ではこれまでに利用していた LPG を 1D09.pdf― 135 ― バイオガスに置き換えることにより、より少ない費用で十分な燃料を得られ、また廃棄物処理に生ずる 悪臭を減らし液体、固体の残留物は農地に還元し有効に利用されている。実施に至らなかった事例の約 半数はバイオマス利用であり、かつ大型のプロジェクトであった。これらは木質チップとして売却する 計画を立てていたが、木質チップの価格の下落により収益が十分得られなかったり、設立を予定してい た法人が資金調達や自治体の認可がおりなかったりした理由で中止となっている。タイでは電力価格が 10 円/kWh と安いために、FIT により比較的高価格で買い取られる小水力発電を除き、電力事業はほとん ど成立していない。 5.ベトナムの事例 ベトナムでは事情が全く異なり、政府が再生可能エネルギー導入計画を立てている[5]ものの CRE とみ なされるケースはごく稀である。例えば、養豚場からの廃棄物を利用してバイオガスを生産するような 大きな設備が導入されていても、自家消費以外は大気放出されている例もある。また、各農家には個別 にバイオガスプラントが設置されているが、近隣で融通・共有することはほとんどない。これには、ド イモイ政策以前に導入されていた合作社(Hop Tac Xa)の悪い印象が残っており、協同で何かを実施する ことに抵抗があることや、共産党政権化ではコミュニティを作ること自体に制限があることなどの理由 による。また、電力価格がタイよりも安く約 6 円/kWh であり、コミュニティにおける電力生産にはほと んど魅力がないことも要因の一つである。しかし、最近、CRE をタイから学び導入しようとする動きが 出てきており、今後それらが成功すれば CRE が普及する可能性はある。 6.まとめ CRE について、その特徴を述べた後、日本、タイ、ベトナムにおける事情について紹介した。これらを 通じて、CRE はコミュニティが主体となって初めてうまく運用されるものであり、極端に大規模にして 大きな収益を得ようとしたり、コミュニティが十分機能していないような場合は成功しない。特に東南 アジアでは生物系廃棄物は容易にメタン発酵することができ、燃料化でき、加温が必要な日本に比べて 簡単に導入できる。一方、電力料金の高い日本では、FIT により太陽光発電を導入できるが、電力料金 が安いタイやベトナムにおいては、太陽光発電には魅力がない。しかし、電力化率の低い、ミャンマー やカンボジアでは、コミュニティソーラーによる電力供給がなされている。このような地域において電 力網が完備された後も利用されるかどうかについては不明である。また、多くの研究者が指摘している ように、投資や技術に関する障害よりも、持続的なコミュニティが存在しているか、コミュニティ内で の意思疎通が十分図られているかなどの社会的な要因が CRE 成否にとって重要であることが指摘される。 参考文献
[1] Yoshihiro Yamamoto, Renew. Energy Environ. Sustain. 1, 18 (2016) [2] http://www.maff.go.jp/j/shokusan/renewable/energy/
[3] http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/index.html
[4] http://jastip.org/sites/wp-content/uploads/2017/03/JASTIP-Annual-Workshop-Chatchawan.pdf [5] http://www.vn.undp.org/content/dam/vietnam/docs/Publications/Mr%20Thuc.pdf