企業のグローバル化と知識基盤経済の進展 : リージョナル競争優位性の構築はなぜ重要なのか
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(2) 12. (154). 第 10 巻第 2 号 (2005年 8 月 ). 横浜国際社会科学研究. 中心は古典派・マルクス・ケインズ・. 新古典派. など 19 世紀と 20 世紀の経済学における 2 つの 柱 ,. すなわち「資本」及び「労働」の 生産的使用へ の配賦の時代は 終わり,今や知識の仕事への 適 用たる「生産性」と「イノベーション」によっ て 価値は創出されるという.さらに ,知識が資 本と労働をさしおいて 最大の生産要素となり. 「ポスト資本主義社会」へと. ,. 導いたと強調してい. る. また J.Dunning も, 90 年代以降の資本主義は. 成り立っている. 特に knoWhow は高いレベルの 知識であ り, 企業には kno ℡how の構成要素を 共有・組合せ る能力が求められている. これは企業間ネット ワークを形成する 最も重要な根拠となるもので あ る.そして kno ℡who は,専門家や研究組 織・研究者へのアクセスを 容易にし,彼らの知 識をより効率的に 活用するように 導く. さらに know-how の共有・組合せに 重要な役割を 担い , そのための特別な 社会関係を形成する 知識でも. 知識基盤経済であ ると述べている ,彼によると ,. あ る". 技術進歩や消費者嗜好が 急激に変化している 今. 一方 C.Anltonelli(1999) は,学習プロセス を用いて習得したコンビタンスの 組合せ,経験 の共同化 (sod㎞ s 血 on), 情報の利用, R&D (研 究 開発 ) 活動の組替え (recombination) によっ て構築された 新しい情報創造の 複雑なプロセス の結果が知識であ る。,と定義している. したがっ て,知識を創造・ 活用することによって 新たな 価値を生み出す 企業のイノベーション 能力は,. 日,企業の競争力は新製品を開発する 能力・既 存製品の質を 高める能力などにより 高められる. したがって,コア・コンピタンスの保有および 他社の中に内部化されている 能力を利用・ 学習 する能力などといった「無形資産」 " が 富の創造. の主要源泉であ ると指摘している (OECD, 1 ㏄ 7. Dunning, 2000). このように,やがて訪れるであ ろう知識基盤 経済について 多くの議論がなされてきた.今日 の経済にとって 最大の生産要素であ る知識は, 目覚しい進展を 遂げている情報通信技術と 相 侯 って創造・拡散・. 活用され,新産業を作り出す. とともに既存産業の 高付加価値化を 実現し生産 性を向上 " させ,グローバル競争優位を支えてい る それでは.知識基盤経済のヵギ であ る知識と. 利用可能な技術情報・. 学習機会へのアクセス. ,. そして各企業の 内部や外部における 暗黙 知 ," の. 蓄積によって 決定される. 第 3 節 知識と企業 企業は,知識の集合体であ る.企業自らが知 識を創造・拡散・ 活用するだけでなく ,それを べ. ー. スに新しい製品を 作り出すからであ る. こ. OECD の研究 (1996) によると,知識とは , ①㎞。℡・What' 事実に関する 知識 (情報とも呼ば れる ), ② know-why: 自然現象や法則に 関する 科学知識,③㎞。 Whow: 個別企業内部の 能力と 技術,④㎞crwWno' あ る能力や技術を 誰が持っ. のような知識と 企業活動にはどのような 関係が あ るのだろうか. それを明らかにするのが 本節 の目的であ る. 前節でみた知識の 性質により,企業は企業間 相互学習 (inter-fErmin 縫 ractivelearning)を 促 進 するリンケージや 外部バートナⅠそして 補 完的資産,1.を生み出すネットワークを 捜し求め ることになる.企業間相互学習によって構築さ れた企業間関係は.企業が新しい研究結果にア クセス・獲得,新しい製品・プロセスの 基盤 技 術 能力獲得,製造・マーケティンバ・流通にお ける資産共有,組織間イノベーション関連のコ. ているのかという ヒト に関する知識,の4 つから. スト・リスク 分散,などに不可欠であ る,, :. は何か , 節を改めて論ずる.. 第2 節. 知識とは何か. 知識基盤経済において 企業は , 新しい知識を 創造あ るいは外部からの 習得といった 方法で , 常に共有・拡散・ 活用しなければならない ,.
(3) (155). 企業のグローバル 化と知識基盤経済の 進展 (鄭 ). 13. Ⅰ・. 技術導入. 経済の発展段階. l. Interna. 技術改良 Ⅰ. on8i. 企業間協力. FDI. ation. Mu. Ⅰ. ina. Ⅰ. ona. Ⅰ. za. Ⅰ. Globalization. on. (グローバル な組合せ ). 力 働 労. 働. 金本 貸費. 低. ス. ト労. 低. 性素 位要 優産 の生 国安 自主. (海外生産 ). (貿 易 ). ハカ. @. べ能. イ. 知識習得手段. 知識の. 技術・知識. 創造・拡散・ 活用. 図. Ⅰ. 知識基盤経済の 発展段階. 学習組織としての 企業は,継続的な学習過程 第 2 章 知識基盤経済の 発展段階 に革新的活動の 基礎を築く.つまり ,企業はそ の 経験から (設計,開発,生産,マーケティン 本章では,経済が知識をいかに 用いて発展し , グを 通じて ) 学ぶのであ る,そして外部 ( 自国 知識基盤経済段階に 至ったのかを 分析する. こ 内外,顧客,サプライヤⅡから 様々な形で ,. こでは,図1 のように模倣,キャッチ・アップ ,. また多くの独立した 組織. 海外適用. (大学・研究機関.政. 府 研究所,コンサルタント ,ライセンス 提供者 ). べ一 ション. から学ぶだけでなく. 折 する 巧 ). ,その他多くの 支援機関. (教育・訓練機関,情報サービス. ). が,こうした. ( 産業基盤経済. )"), グローバル・. (知識基盤経済 ). イ. ノ. の 4 段階に分けて 分. 各段階は , 国や企業のイノベーション 能力 そ. 以上のような 協力関係を企業が 築いていくの も ,知識,特に㎞。 ℡how や㎞。Wwho の性質に よるものであ り,イノベーションは 協力関係 ( イノベーション・システム ) を通じた 柑 立作用. して技術移転・ 融合を促進し ,イノベーション を 加速する直接投資などを 用いた企業戦略や 政 府政策によって 実現される.その際,重要な役 割を果たしているのが ,国や企業を取り巻く グ ローバル環境であ る.本章では,この両面に焦. の 結果であ る. そしてイノベーション・システ. 点 をあ わせて分析する. 学習活動と関わっている , 3:;. ムは, 後に述べるが ,経済の自由化・バローバ ル 化によって整えられた 環境によりグローバル. 第 節. に 展開することになる.. したがって,知識は企 業 と企業を結びつける 働きをしており ,企業グ ローバル化の 重要な根拠として 捉えることがで、. この段階では ,主に天然資源及び豊富で安価 な 労働力など,基礎的な生産要素を国の 優位性 とし,自国の産業が発展していく.技術の 多く. きる. が 他の国を源泉としており. Ⅰ. 模倣段階. ,自国ではほとんど. 創造されない. したがって , 国は主に外国の 技. 術を導入し製品口をつくることになるが ,その際, 模倣あ るいは外国の 資本財の買収を 通じて製造.
(4) 14. (156). 横浜国際社会科学研究. が 行われるようになる.それゆえ. 国内企業は, 製品・工程技術をほとんど 必要としないか ,あ るいは安くどこでも 手に入る技術を 必要とする 産業で,価格だけをべー スに競争する ,。;. 第 10 巻第 2 号 (2005 年 8 月 ). (InternationaIization)段階であ り,主に価格・ 需要・供給関連のシステムによって プロセスをもっている・ 企業側からみたキャッチ・アップは. 技術進歩または 模倣のための 投資から経済 収. 益 が生まれてくるのは ,知識が使用された時か らであ る.技術知識は,さらなる知識または製 品やサービスを 生産するのに 用いられる. この ょう な技術知識を 用いて,新しい製品を最初に 作り出した企業は ィ / ベータ一であ り,その行 為は イ ノベーションであ る.後から別の企業が. 決定される. ,企業内. における技術と 経営の習得過程が 最も重要な要 因 となる.つまり,人間の技能が中心的要素と なり,従来模倣してきた 技術がより洗練され ,. 技術知識は ィ / ベーションとかかわり 合いを持 ちながら進歩していく. したがって,技術進歩. さらに進歩していく 段階であ る.また,より 熟 練した労働力によって 生産性向上が 実現される・ " したがって 国 (途上国 ) は,輸出主導の経済成 長戦略をもって 輸出を奨励する.企業はより熟 練された比較的低賃金労働力を 用いて,低コス ト生産を実現,輸出を 通して世界を 舞台に価格 競争を繰り広げることになる. 日本の場合,通産省を中心に海外の 技術が導 入・応用された.通産省は ,輸出増加による目. は知識進歩を 意味する,, :. 覚しい経済成長を. 先述のように ,この段階でも企業や国が日指 しているのは ,イノベーション能力の向上であ. を綿密に分析し ,導入した外国の技術を主に民 生 技術 (consumer掩chnoIogy) の R&D に応用し. る. しかし。 基礎技術や企業のノウハウ ,熟練 労働力などが 不足しているため ,この段階の国. た. その背景には , 日本の産業における. 同じ技術知識を 活用すると,それは模倣者であ り,そのような行為は模倣であ る.新しい技術 知識は,活用されるがために 常に生み出され ,. や企業は,競争相手 (主に外国の企業. ). を模倣. し, 安い労働力・ 原材料などに 優位の基礎を 置 く. 低コスト立地条件をべ ー スにして事業活動を. 原動力に,潜在的な輸出市場. 強い. R&D 能力があ った. 日本の産業は , 多くの科 学者および技術者を 雇用し,覚国の技術をモニ ター・選択・ 改良した. このプロフェッショナ ルな取り組みによって ,本来の研究がより順応. 展開していく. したがって , 低レベルの技術基. 性の高いものに 生まれ変わることになった ,。:. 盤産業が発達していき ,外国 (技術輸出国 ) と の技術格差も 広がり,国内企業はグローバルな. 術は徐々に応用・ 改良され,. 舞台で競争できず 国内にとどまることになる. 叫ばれることになる.急速な 技術拡散とともに ,. 日本の例にみるよ. う. に,導入された外国の技 ィ. / ベーションが. 国や企業は世界市場での 競争に打ち勝つために ,. 第2 節. キャッチ・アップ 段階. 模倣段階を経ると 外国から導入し 模倣してき. 革新的な新製品を 次々と作り出さねばならない. 激しいキャッチ・アップに 直面した先進国の 企. た技術がさらに 成熟し,また改良されていく. したがって,積極的に投資しょうとする 国や企 業の意欲と能力が 次第に高まり ,より複合的な. 業は,この競争圧力 ". 外国の製品や 工程技術をライセンスなどの. 手段. な技術革新を 促進する政策を 採用することにな. を通じて獲得するためにも 投資するようになる. それは,国や企業の目標がキャッチ・アップで. る. この場合,イノベーションの過程や本質に. あ るということを 意味する.模倣段階も 含め , この段階は財やサービス・. 生産要素,情報の移. 転などに関する 貿易を意味する 「国際化」. を 乗り越えるためにさら. ノベーションを 追い求め,それがまた技 術進歩につながる. したがって国は ,より高度 なる. イ. 基づいた政策が 最も有効的な 政策となる. しか し,一部の先進国以覚に多くの国が模倣,キャ ッチ・アップ 段階にあ るため,経済成長におけ る ィ. / ベーションは ,まだ揺籠期 に過ぎない..
(5) 企業のグローバル 化と知識基盤経済の 進展. R. ㎝ pin は,その理由を次のように指摘して いる.「技術革新を促進または妨害する 知識関連 要因は,非常に試験的なものであ る. したがっ て,イノベーションにふさわしい企業体質の決 定要因・成功的なイノベーションに 不可欠な企 業の内部にあ る資源.そして企業の外部にあ る 政府政策に至るまでの 諸要因,といった様々な 要因のなかで ,何が最も重要な要因であ るかを 認識する必要があ る.そのため,企業に技術機 全やイノベーションのためのインセンティブを 多く与えることが 政府の責務なのであ. る」,,:. (鄭 ). (157). 15. 面 でのメリットは ,現地企業も,他の多国籍企 業も当然享受しており , 他 企業との差別化を 実 現する競争が 海外に事業展開をする 企業には求 2 したがって多国籍企業は ,海外直接 められる,, 投資 (FDI) による資本の 移転のみならず ,競争 優位に不可欠な 知識を海覚に 移転する.その際, その知識の海覚への 適用のみならず ,現地環境 の特異性に対応するためにその 知識の現地適応 もまた必要とされる 場合が多 い .その適応プロ セス から企業は新たな 知識を獲得する 機会を得 る. このような 刮 Ipinの指摘のように ,イノベー ションが 揺監 期から成長期へと 発展していくた めには,その決定的な要因を 解明する必要があ. 競争に打ち勝っためには ,製品の高付加価値化. る.. や マーケティンバの 強化などが不可欠であ. しかし,その解明に至るまでは ,「知識の海. 外適用」を支える「貿易の. 自由化」という 環境. FDI を中心とした 多国籍仝業の 海外展開は , 激しいグローバル 競争をもたらす.その職別な る・. つまり不断の 技術革新を実現し 高 付加価値分野. の変化を待たねばならなかった.. を開拓し続けるためには , 高 付加価値製品の 開. 第3 節. 発やデザインの 活用などといった 非価格競争力 のほか,情報技術の活用をはじめとする 生産・ 在庫管理などの 工夫を通じてコスト 差を少しで. 海外適用段階. 貿易の自由化は. ,戦後成立した「関税と貿易. に関する一般協定」. (GATT) を中心に実現され. (1986 一 94) に 至るまでの交渉の 結果,先進国における工業製 品の平均関税率は 4% 以下にまで下がり ,海外生 産が世界経済の 一部分として 登場した ": そし て,多角的な貿易交渉や各国の 対外経済政策の 自由化,規制緩和などが実現された. さらに 80 てきた. ウ ルグアノ・ラウンド. 年代半ばにおける 情報通信技術の 発展によって ,. 企業はより安 い コストで多くの 情報処理が可能 となり,広範囲に分散されている 生産・サービ ス関連ネットワークの 管理も実現され. ,対外経. 済活動に係わる 取引費用が大きく 低下した. このようなグローバル 環境の変化により。 模 倣およびキャッチ・アップそして 国内の科学技 術や基盤産業をべ ー スに蓄積されてきた 知識が. 海外に適用されることになる.その方法として は ,直接投資を用いた企業のバローバル 化があ. も克服するといった 努力が求められる ,。: それ. は,各知識の組合せを促進するさらなるバロー バル環境の変化を 必要とする. 第4 節. グローバル・イノベーション 段階. GATT を中心に進められてきた 貿易の自由化 は, 95 午に成立された WTO により,さらなる 進展を遂げた.国内 FDI 政策の自由化, 2 国間. 投資協定,地域間・分野別・多国間協定などの 締結により,国や企業を取り巻くグローバル 環 境は急激に変化した.その変化は各国や 地域に. 対し,産業競争力強化への努力を迫るものであ った.特に企業は ,コスト・品質・ 人材面など で 他国・地域の 強みを利用しなければならなく なり,その際の障壁となるものを 除去するため には, WTO. 成立という大きな 環境の変化が 必. げられる.多国籍企業は , 優れた技術や 資金力. 要であ った・ Ⅵ O の GATS Ⅱ. を用いて積極的にバローバル 化を図る. しかし,海外で生産する際に 得られるコスト. 協定 ) , T 田 M 協定 ( 貿易関連投資措置協定 ) の発効に伴い ,各国内における差別的規制, 投. だ. ( サービス貿易に. 関する一般.
(6) 16. (158). 第 10巻第 2 号 (2005年 8 月 ). 横浜国際社会科学研究. 資 制限措置が撤廃・ 緩和された " 加えて 90 年代 以降主要先進各国において 規制緩和・民営化が. 構築されてきたかを 分析する.. 実施された結果,企業の国際的な事業展開の. 自. 第 節. 由度,予見性,透明性.安定性が 高まるよ. に. M. Porter によると,競争優位には 低コスト 優位と差別化優位の 2 つの種類があ る.低コスト とは,競争企業よりも効率よく同種類の 製品を 設計,製造・販売できる能力であ る.差別化と は ,製品の品質や特別な特徴,または販売後の サービスという 形で,特異で優れた価値を 顧客 に提供できる 能力であ る. 競争優位は,企業が個々の活動をど う 組織し ど う 実行するか。 そのやり方から 構築される. 個々の活動を 通じて,企業は買 い 手のために価. う. なった ".. 自由化,技術進歩.企業間競争などのダイナ ミックな環境変化は ,企業が最適な万法で競争 力を維持・強化するために ,新しい環境をさら に活用するようにと 導いた. さらに情報化や 製 品 ライフサイクルの 短縮化なども 加わり,企業 の投資活動に 一層のスピードが 要求された. ま た,人材・製品ライン・ 製造さ イ ン・顧客デー タ,流通網・ノウハウなどの有形・無形資産の 効率的な獲得が 目指された.. Ⅰ. 競き 優位とは何か , ". 今日のような 急激な経済環境変化のなかで ,. 値を創造する.企業が 創造する究極の 価値は , 買 い手がその企業の 製品またはサービスに 進ん. 企業の知識基盤資産は 様々な不利点を 相殺する. で支払う金額で 測定される. もしこの価値が ,. 唯一の資産となり ぅる .その知識資産こそ ,企 業内部の資源と 外部の資源をうまく 用いて自社 の 強みとするカギであ る.つまり,企業内ネッ トワーク ( 垂直統合 ) と企業間ネットワーク ( 資源・情報・ 製品・サービスの 流れ ) を構築 し,本来企業が目指していた イ ノベーション 能 力の向上を知識のバローバル な 組合せを通して 実現していくのであ る.. 全ての必要とされる 活動遂行のコスト 総額を超 えていたら,企業は利益を手にする. ライバル 以上の競争優位を 獲得するために ,企業はライ. そのようなグローバル・. ィ. / ベーションは ,. 市場需要とともに 新しい科学技術との 結合によ. って実現される.また新しい知識は ,先見性と 優れた企業能力の 結合によってもたらされる. このような結合現象は , 国の科学研究や 技術開. 発における優れた 能力を発展させる.そして回 の比較優位性は ,科学技術や商業的開発に 至る までの進展から 生まれる (㎝ pin, 1975). 第3 章. 知識基盤経済における 企業の競争優位. 知識基盤経済は , 国や企業のイノベーション. 能力と深く関連しており ,今日のようなグロー バリゼ - ジョン時代において ,その能力は国と 企業の競争優位を. 左右する.. 本章では優位性の 源泉であ グローバル・. イ. / ベーシ. コ. る. R&D を中心に,. ンがどのようにして. バル. と. 同じぐらいの 買 い 手に対する価値を 提供. しながら,より 高率よく活動を 遂行するか (低 コスト ), それとも,活動を特異なやり方で 遂行 して,ライバルより 大きな買い手の 価値創造を 実現しプレミアム. 価格を要求するか (差 g(K 化). しなければならない・ このような競争優位は. ,どのようにして創造. されるのだろうか. Po れer は , 次のように説明. している.「産業内での新しく優れた 戦い方を知 るか発見して ,そのやり方を市場に持ち込むこ とで,企業は競争優位を創造する.それはイノ ベーション行為であ り,製品変革,工程変更, マーケティンバの 新方法,流通の新方式,スコ ープの新しい 捉え方といった 形で示される」. イノベーションは ,主に R&D から生まれて くる. R&D は. 高 付加価値の製品・プロセ ス・サービスを 作り出すイノベーション 主導の 成長 (innovaはon-ledgro耐h) を持続可能なも のにする主要要素であ り,市場における企業の 競争優位を高めるものとして. ,経済の多くの部. 門において不可欠なものであ. る ":.
(7) (159). 企業のグローバル 化と知識基盤経済の 進展 (鄭 ). 次節からは, R&D. がなぜ,競争優位の 源泉. であ るかについての 従来の議論を 検討しながら ,. R&D. のグローバル 化を明らかにする.. 17. な 先進国で研究開発組織を. 内部化できるほどの 資本 方 を持った大企業によって 行われた. した がって,イノベーションの主体は企業内部であ る. 第 2 節 独占的優位性確保のための 垂直統合,。 , R&D のグローバル 化は,直接投資の 独占競 争理論とともに 発展してきた. 多国籍企業は FDI を用いて市場の 寡占支配を拡大しょうと 努 力し,そうした寡占支配の維持と 拡大のための 主要な要素の 1 つが技術であ った. このため多国 籍企業は研究施設を 設けて,製品ロイノベーショ ンと開発により 製品を差別化しようとする. S.Hymer (1972) は,直接投資を寡占競争に 打ち勝つ新しい 武器として捉えており ,それゆ え外国の顧客・サプライヤー・ 競争柏手に対し 直接投資が行われるという.そしてコミュニケ ーションにおける 技術開発は,バローバルな挑 戦・脅威への 新しい自覚をもたらし ,新しい競 争 資源を開拓する 施設を設立させる. したがっ て,企業は新しい環境の可能性を 認識し,積極 的に対応していくと 論じている. 一方 F. K㏍ckerbocker (1973) は,規模, ィ ノ ベーション努力,製品差別化の 3 つを競争柏手 の脅威に対する 保護形態とし ,そのカギとして R&D を取り上げている.彼によると ,企業が 積極的に R&D 活動を行 う のは,競争相手の脅. 以上のように ,企業は極めて不完全な市場で 競争するために ,技術から得られるある種の独 占的優位,性を 必要とするが ,この技術は R&D 活動に依存している. したがって,国際貿易に おける自社のポジションは , R&D. による技術. リーダシップや 生産性向上によって 決定され, 途上国や先進国の 競争柏手企業の 激しいキャッ チ・アップによる 競争圧力を克服し ,技術優位 を維持するために 垂直統合が選択された. 的. 第 3 節 R&D 資源共有のための 技術協力 企業が事業活動を 様々な国に拡大すればする ほど,現地市場に対応し,現地市場と結び付い た現地 R&D. 施設を利用して. イ. ノベーションを. 行 う ことが求められる , " それには様々な 要因が. るが,最も大きな要因はバローバル 環境の変 的性質 化であ る.そして,知識のネットワーク もその要因として 指摘しなければならない. 企業は知識を 求めて仝案問相互学習を 促進す る ネットワークを 捜し求めている ( 第 1 章 ). グ あ. ローバル な 競争が激化しているなか. ,どんな製. 品やサービスが ュ 一ザ一に支持されるか 予測が. 入 障壁を構築することによって 競争免疫力を 高 めるとともに ,多様化を促進させ競争柏手の脅 威から逃れさせる. また 5. ぬ11 (1979) も,企業が不完全性の高. 難しく,株主から利益確保への 圧力も高まって いる今日,企業が技術をタネの 段階から育てる 基礎研究部門を 現状維持することは 容易ではな くなってきた.技術進歩の先行きが見通しにく い現在,世界のどこでいつ ,既存技術を覆す革. ぃ 製品市場や要素市場での 競争に打ち勝っため. 新が起こるか 分からないだけに ,技術シーズの. には,何らかの独占的優位性が 必要であ ると指 摘している.その 優位性こそ, R&D をべ ー ス にした技術的優位であ り,技術の創造や持続が 企業に強力な 競争優位をもたらし ,垂直統合と. 探査網を広く 張っておく必要性が 高まっている , , ;. 威から自社を 守るためであ り,技術革新は, 参. い. う. 形で現れる.. R&D. う. . この. ような垂直統合は ,アメリ ヵや イギリスのよ. う. 成果の習得,技術支援施設の 設立などで. るが,最も重要な理由は外国の 研究能力を共 有しょうという 企業の意思であ る.直接投資に よる技術知識の 拡散効果に関する 実証分析によ ると (L. Branstetter,2000), 企業の進出目的 あ. ぬltoneIli (1999) によると,企業は知識創造 組織を内部化するために 垂直統合を行. 企業が外国で R&D 活動を行う理由は 様々で あ る・ Dunning (1988) によると, 他 企業の.
(8) 18@. (160). 横浜国際社会科学研究. が 現地での製造を. 主とするケースよりも ,研究 開発であ るケースにおいてその 効果が大きくな る傾向があ. り,技術の波及は進出企業から 受入. 国に一方的にもたらされるのではなく. ,双方向. に存在する,, ) ことが分かる.. UNCTAAD. を設立すると 主に R&D に着手する傾向があ り, R&D 関連会社は 2001 年に 45 カ国 ( 受入国 ) に 上っている (1985 年には 26 カ国であ った 円そ して, R&D 施設の海外立地はいくつかの 国に 集中する傾向があ るが,その理由は,高度に熟 練した科学者・エンジニア・ 技術者の供給,大 学やその他の 研究機関への 近接性などといった ,. イノベーションに 不可欠な専門化された 資源の イ. と 指摘し,「独占的優位性が FDI. ノベーションは 集中するか. を誘発する」. という,。 :. 実際アメリカの 多国籍仝業は ,製品またはプ ( 商標,資本調 ロセスにおけるイノベーション 口. 達における優位. (2001) によれば,海外に関連会社. 比重が高い地域で. 第 10 巻第 2 号 (2005 年 8 月 ). ). といつた寡占的優位性を 得る. ために FDI を用いた. さらに,独占的優位性の 低下や国内外の 競争他社による 市場シェア拡大 に対する不安などが , FDI をより一層刺激した. という事実があ る (㎝ pin, 1975). このようなアプローチによると ,企業は基本 的に自国経済システムをべ. ー スに海外活動を 展. 開し,組織および生産におけるコントロールや 海外での売買活動を 行 う .本稿では,これを 「多国籍仝 業 (multina廿onaIente 印 rise) と呼 び ,多国籍企業が中心的な役割を 担 う 経済段階 を「多国籍化」 (mu ㎡ nationaIization)段階と呼 」. らであ る.最も重要なのは,クラスタ一便益を ぶことにする , 創出する革新的な 諸企業がそのような 地域に立 地しているということであ る・ しかし, GATT やⅥ @TO による貿易・ 投資の このように技術協力は ,企業間の技術協力シ 自由化および 情報通信技術の 目覚しい発展によ ステム内で行われるものであ り,企業間協力に るグローバル 環境の急激な 変化により,企業の よる知識活用がその 目的であ る.つまり,技術 事業活動に関わる 取引コストが 著しく低下した. 協力を通して 研究開発コストやリスクを 分散さ そして,技術面での潜在能力を持った 企業はそ せるとともに ,知識習得のための組織や活動を れらをグローバル 市場で直接活用することも 可 仝柴内で行 う 必要性があ るかどうかを 適切に判 能 となり,企業に新しい機会が 与えられた.つ 断し,関連活動や機能を分割していく.そして,. まり,企業間協力によるグローバル・イ. グローバル化や 情報通信技術の 進展により共同. 、ンコ ンが現実的なものとなったのであ. 化されていく.従来の垂直統合に代わって 専門. ようなグローバル 環境の変化は ,垂直統合を通. 的なサプライヤー への アウトソーシンバが 増大. コントロールによる 独占的優位性獲得とい った従来の FDI の本質を変化させた. まず,関税・ 非関税障壁の 縮小により, FDI の立地に関わる 様々な要因が 相対的に変化した. したがって,立地間のコスト 格差,インフラの. しているのも ,この共同化によるものであ. り. 企業間協力がイノベーションの 主体となる. 第4 節. 長期的な企業間関係を 構築するための FDl. ソベ一 る. この. じた. 従来, FDI は独占的優位性の 源泉として捉え られてきた. Hynler (1976)によると,「投資家. 質. が外国企業を 直接支配するならばその 投資は直. めとする,企業活動のグローバル な 展開により, 地域の要素市場や 地域産業,制度などの重要性. 接投資であ. り,外国企業を支配することによっ. ,事業活動の容易さ,技術の有効性,などが. より重要になってきた.そして海外生産をはじ. て得られる超過利潤がその 動機」であ る 穏 また C. Kindleberger(1969) は,「海覚に 投資を行 う 外国人側に現地企業家の 持っ優位性を 相殺す. 効果的に対応できる ロ 一ヵ ル ,サプライヤー. る以上の独占的優位性を 持たなければならない」. の リンケージを 深めようとするため ,現地の技. も 増大した,. さらに,ほとんどの産業はサプラ イヤーとの近接,性を 望んでおり,新しい需要に と.
(9) 企業のグローバル 化と知識基盤経済の 進展. *2 ハス 性ビ 質期 軟 一. 腐刑. 力 競争 の 産 生. Ⅰ一一価格. (鄭 ). (161). 19. 価格競争力. ( コスト ). 革新性・新規性 商品企画 力 " 商品競争力 ". 開発コスト 開発期間 ば生). 新製品の生産Ⅰ ヒ ,多品種少量生産,オプション対応など *2 : アフターサービス ,品質,性能保証,メンテナンス *3 : 商品ロコンセプトのうまさ ,タイミンク, *4 : 他社の同種の 商品に対する 魅力 度 , 差 B[K化の カ. ( 出所 ) 康 陽一郎. (2002). 図2. 企業競争力の 総合的な構造. 術 能力,サプライヤー・ネットワーク ,支援機 関. に依存することになる (UNCTAD,. 1996,. 1999). したがって,企業は自社の収益性を 改善する ために特定の 活動における 外部化を図る. そし て 過去の下請や 様々な現地・ 外国のパートナー より,より大きな資源を獲得するためにバロー バル化を選択する.その結果,企業間ネット ヮ 一ク , 特に R&D 関連の協力協定が 進展し , 企 業間 におけるノウハウの 流れがもたらされる (OECD. , 1999) .. 以上のように FDI は,長期的な企業間関係を 構築するための 手段として用いられている. こ のような FDI を用いる企業を 本稿では「バロー バル企業」 (9lobalente印 HSe) 「 と呼び,グロー バル企業が中心的な 役割を担っている 経済の発 展段階を「バローバル. 化」. (9lobalization) 段階. と 平ぶことにする Ⅱ. 力度で決まる.市場競争の実際を見ると ,顧客 が 商品を評価する 要素は多様で ,商品の性格や 顧客の立場によって 異なる.現実には決して 価 格 だけでは決まっていない. 市場における 競争力は個々の 事業ごとに論じ られる.個々の事業における 競争力の総和が 企 業 全体の競争力であ る.図2 のように総合的な 事. 業の競争力は。 「生産の競争力」と「新製品開発 の競争力」で 構成されるが ,価格競争力に関す る 要素よりも非価格競争力に 関する要素の 方が はるかに多いことが 分かる.現実の市場競争は 価格ではなく ,非価格競争力を軸に展開されて いることが多 い 3。1. 日本経済研究センターが 実施した「日本企業 の国際競争力に 関するアンケート」 ( 調査時点 2003 年 9 月 ) によれば,企業は「主力事業の 国際 競争力を維持する 上で最も重視する 点 」として, 「価格競争力」. 質 第 5 節 非価格競争力と 補完的資産 従来,市場競争の優位性はコストあ るいは 生 産 性の差で説明されてきたが ,今日では価格競 手力と非価格競争力で 説明することができる. あ る商品の市場での 優位性は顧客から 見た魅. 」. (18.1%). (30.4%),「技術力」 (26.2%), 品 「. 「販売力」. (9.8%) の順で,価格. 競争力が第 1 位にランクされている・. しかし,企業は価格競争力の 強化だけで国際 競争力の維持が 可能であ るとは考えていない. 上記のアンケート 調査で,「主力事業の 国際競争 力維持のため ,投資行動を通じて最も強化した.
(10) 20@. (162). 横浜国際社会科学研究. 第 10 巻第 2 号 (2005 年 8 月 ). 技術機会. 需要. 社会的利益. 専有可能性 ( 出所 ). 後藤晃 (2000) 図3. イノベーションのプロセスと 補完的資産. い点 」は何か,という設問に「技術力に 裏 付け られた新製品の 開発」 (3U.3%) が 1 位にランク. 出された知識やそれをべ. されており,具体的な投資項目として「応用 所 究の充実」 (44.2%) があ げられている.企業は , 競争力構成要素の 中の「新製品" 開発の競争力」 (非価格競争力 ) 強 ヒを 重視している 3,. ことがこ. いて最も重要な ィ / ベーションは ,販売や流通 (補完的資産 ) から起こるからであ る (Po れer& S.Stern, 1999).. れで分かる・. 通じて競争優位を 実現する.企業にとっての ィ. このような非価格競争により ,企業は技術効 率の向上や事業継続のための 市場動向 (貿易活. / ベーションは 非常に広い範囲に 及んでおり,. 新しい技術も 新しい物事のやり 方もそのなかに. 動 だけでなくサービス や インフラも ) により敏. 含まれている ,。: そして後に述べるが ,情報やモ. 感にならなければならなくなった.. ノの流れを円滑にし ,. Ⅰ. したがって ,. ー. スにした新しい 製品. およびプロセスと 同じく重要であ る.今日にお. このように,企業は 一連の ィ / ベ シ ン を. ィ. / ベーションを 支えて. グローバル企業にとって 海外での事業活動の 展 開における各活動の 改革や資産の 効率的な配置 は 極めて重要であ る.その際,重要な 決め手と なるのが補完的資産であ る. R&D の結果新たに 生み出された 技術知識,. いる情報通信・ 国際物流インフラは ,知識基盤 経済において 極めて重要な 補完的資産となる.. それだけでは. 自由に移動するようになった 現在,それらを海 外から取り込むとともに 海外へと送り 出すこと に 成功する国は ,競争力の向上,ひいては 経済. ィ. / ベーションは 実現しない. そ. の技術知識を 活かした製品を 生産する,または 生産設備を建設することが 必要になる, また 生 産された製品は 販売しなければならず ,そのた めには販売網を 展開しなければならない. これ らの補完的資産は 新しい技術知識と 組み合わさ って,イノベーションが実現する ( 図 3 周. イ べ一 ションは科学や 技術のみではなくそ. れ 以上のもの,つまり顧客のニーズを 明確に理 解し,顧客を満足させる必要があ る.マーケテ イング や 流通,そしてサービスにおける改善も ィ. / ベーションであ り,それは研究所から生み. 第4 章. 知識基盤経済における 国の競争優位. ヒト ,モノ,カネ ,,情報が大量に 国境を越え. 成長を実現させることができる. ヒト ,モノ,. ,情報は生産活動に不可欠な要素であ るこ とから,それらを受け入れることで.生産活動 は量的に拡大する. さらに,高度な能力を持っ ヒトや 技術などの有益な 情報の受け入れは 生産 活動の効率性を 高めることを 通じて,経済成長 に 貢献する,一方,ヒト ,モノ,カネ ,情報が 海外に排出されることで ,海外とのネットワー クが 構築され,それらのネットワークを 通じて, ヵネ.
(11) 企業のグローバル 化と知識基盤経済の 進展 (鄭 ). 新たに ヒト ,モノ,カネ ,情報が流人し.競争 力を高めるとともに 経済成長を促す ". 本章では,グローバル化時代における 国の競. (163)@ 21. であ り,その知識は将来の製品化など 社会的価 値の付与を目指したものであ. る. (文部科学. 省編 ,. 2003. 産業研究院, 1999).. 争力の中で,上記のような知識の排出と 流入を. 本稿では,このような見方に立って「知識の. 促進する国の 環境の重要性に 焦点をあ てて分析. 流れを円滑にし ,国内外のニーズを先取りする ことによって イ ノベーションを 起こす国の能力. する. 第 節 Ⅰ. 国の競争優位。。. ・. およびその環境」を 国の競争優位と 定義する. 国が競争優位を 必要としている 主要要因は, 世界市場の開放化であ る. それによってグロー バル化が進み ,グローバル企業は最適な 条件で. 事業活動を行い 得る立地を選び 事業展開をする よ う になった.その結果,国には様々な分野に おける優位,桂が 求められ,各国はバローバル企 業を引き付ける 魅力を高めようと 競い合 う こと になる.それは ,競争力のある企業こそ国の 競 手 力を高める主要エンジンであ り,富の創造の 源泉であ るという認識から 出発している. 今日の経済において ,国は製品やサービスだ けに依存しない.国は 知識を持って 競争する. 知識は最も重要な 競争力の構成要素であ り, 各 国はより多くの 知識をもって ,グローバル市場. で競争しながら 自国の繁栄を 追求する. したが って,知識をいかに習得・マネージするかによ. グローバル化しているバローバル 企業を誘致し , 自国の経済発展に 結び付けていくためには. ない・. ・. IMD (2003) によると国の 国際競争力とは , 「企業のさらなる 付加価値創造活動を 持続させ, 企業の競争力を 高める環境条件を 構築する国の 能力」であ る.国と国が市場競争をしているわ けではないが ,国はその政策や制度をもって 長 期的な繁栄を 目指して競争している.その意味 で国の国際競争力を「現在および 将来の企業の と捉えることができる・ また Po れer (1998) によると,国の競争力は その国の産業においてイノベーションを 起こし. グレードアップしていく 能力によって 決定され る.そのためには,知識が必要である, 高 付加 価値または新しい 価値を創造する 能力こそ知識. , グ. ローバル な 企業活動にふさわしい 環境を整える. ことが,最も重要であ ろう. イノベーションは ,それを実現した企業に利 益をもたらすが ,同時により良い製品,より安 い 製品を買うことができるようになった 買い手 や,新技術から学ぶことができる 他の企業にも 利益をもたらす. この利益は,需要が大きい製 品の場合のほうが 当然大きくなる.図3 で示した ように,イノベーションが社会にもたらす 全体 の 利益は大きい. って各国の能力が 問われるといっても 過言では. 競争力を支える 国の環境要因が 持っている能力」。,. 第 2 節 国の環境 知識基盤経済において ,国に求められている 役割は何であ ろうか. より多くの知識を 求めて. (後藤,. 2000). それゆえ,. ィ. /. ベーションを 促進する環境は 重要であ る, Porter (1998) によると,あ る地域に持続的 な競争優位が 生まれるのは ,企業が生産性の高 い 業務活動を実現し ,より高いレベルを目指し て競争の方法を 革新・向上させ ,さらには生産 性を改善できるという 環境があ るからであ る. そしてグローバル 企業は,その活動をイ ソベ一 、ンコ ンまたは生産性向上の 点で最も魅力のあ る. 環境を持っ国々に 配置する.また ,そのような 企業が競争優位を 得ることになる. また, Schumpeter と原も,環境の 重要性を 強調している・㏄ humpeter は,「競争概俳の 中 心 には企業内における 革新的な追及があ り・そ の追求にとって 適切な環境条件が 重要であ る. そしてその追水の 成功が,企業や国の競争上の 地位を決定する」としている。 ". 原 (2002) は, 「国の競争優位と 経済成長を生み 出すのがイ ソベ.
(12) 22 一. (164). 横浜国際社会科学研究. 第 10巻第 2 号 (2005 年 8 月 ). ションであ り,イノベーション・パフォーマ. トの 削減,生産・ 物流における 経営効率の向上。. ンスは国の環境要因に 支配される.それゆえ ,. マーケティンバ 効率の向上,競争の増加などに. 各国はイノベーション・システムのパフォーマ ンスを競い合うことになる」と 述べている.. よる市場効率の 向上に貢献している.そして新 しい知識流通の 窓ロとして知識の 流入を増加さ. 国連の報告書によると ,仝業が国の環境を重 祝 して各活動を 配置していることが 分かる.報 告書には,「企業機能の 移転,特に R&D のよう. せ,さらなる技術革新を促進すると 考えられる.. な高付加価値活動と 関連した機能の 移転は途上 国より先進国間での 移転が多 い .. しかし,地域. 間 特に先進国とアジアでは. ,企業機能が最もバ ランスの取れた 地域であ る. これは先進国とア ジアが,生産・ 物流・販売・ R&D . 地域本社機 能・ロジスティクス・ 支援機能など ,全ての企 業機能に対して 直接投資を誘致する 能力を持っ ているということを 意味する」と , 国の能力・ 環境を強調している 4。:. 第 3 節 情報通信インフラ 固定電話回線,パソコン ,携帯電話,インタ ーネット,インターネットホスト,ブロードバ. ンドなどといった 情報通信インフラは ,企業に おける情報の 共有を促進させ ,効率的な経営に 寄与するとともに ,顧客への高 付加価値サービ スの提供を実現することによって ,経済成長に 資するものであ る。,2 特に,情報技術は経済成長. および生産性向上の 主要貢献者であ り,情報技 術 における競争は 革新的な低コストや 高品質の 情報サービスを 海外に広げた。。:. 情報通信インフラは ,知識基盤経済において 最も重要な知識の 創造・拡散・ 活用にも大きな 影響を与えている.特にインターネットの発展 は ,知識の取引費用低下・ 知識の再生産性向 上・知識の形式知化・ 内外部の意思伝達促進な. ど,様々な貢献をしている. インターネットは , 既に 60 年代から活用され. てきたが,技術革新における重要性が画期的に 増大し始めたのは ,個別企業中心の技術開発か ら企業間協力を 通じた. ィ. / ベーションが 実現さ. れてからであ る 4" インターネットは ,相互技術 革新が求められる 新しい環境の 中で,取引コス. 第4 節. 国際物流インフラ。,). 道路,港湾,空港などといったインフラは ,. 情報通信インフラとともに 経済活動の基盤を 支 える主要要素であ る.一般に,このようなイン フラ整備の度合いが 高ければ高いほど ,その国 の 経済活動が促進される.企業の 生産性上昇,. コスト削減が 進むほか,国内市場が 創出され, 海外市場との「距離」が 近づくことも 期待され る.事実,東アジアの 新興工業経済 群 (NIES) や東南アジア 諸国連合 (ASE ぬv) が高成長を遂 げた背景には ,適切なマクロ経済運営や有能か つ勤勉な労働力の 存在などに加えて ,インフラ 整備が進んだことがあ った, 今日のようなグローバル 化の時代,国際物流 コスト低減や 海外市場へのアクセス 強 などと いったビジネス 環境の改善は 非常に重要であ り, インフラ整備はその 大きなカギを 握っている. Ⅰ. ヒ. 第 5 節 リージヨナル 競争優位性 今まで,知識を 中心に企業のグローバル 化を 分析し,その結果としてグローバル 企業を支え ている国の環境の 重要性を導き 出した.本節で はそれをべ ー スに「リージョナル 競争優位性」 を 示す.ここで「リージョナル」とは,. 1 つの地. 国家群を指す.つまりリ ージョナル競争優位性とは ,それらの地域内で. 域内競争単位としての. のあ る国の競争上の 優位性を指している. 図 4 のように,リージョナル競争優位性は 国内 外の科学知識や 企業の技術知識といった 知識の. ストック と ,企業間を中心とした知識の創造・ 拡散・活用といった 知識のフローからなってい る.両側は情報通信・ 国際物流インフラを 通し て 流れ,リージョナル競争優位性が 構築される. ここでのインフラとは ,グローバル経済と交流.
(13) 企業のグローバル 化と知識基盤経済の 進展 (鄭 ). (注 ) OECD. (165). 23. (1995.1996) を参考に著者作成. 図4. できるリージョナノ. し. リージョナル 競争優位性の 概念図. なインフラ,つまり地域経. 位 ,性 として捉えることができる.. 済 圏をリードするインフラを 指す. 知識基盤経済において ,ある国や地域に 蓄積 された資源,すな む ち R&D. 知識・技術関連 の 資源は,その国や地域の産業全体の 発展基盤 としてもいわばインフラのように 大きな意味を. 優位関係に大きな 変化がもたらされた.また ,. 持ち,企業間に (各企業が自社の 組織内部に蓄積. 分野によっては 途上国も変化を 主導し得る能;. しなくても ) 共通に木 吐円 できる産業基盤となる 49,. そのようなインフラの 排出および流人が 自国内. を 持つよ. 第5 章. 東アジアにおけるリージョナル. 競争優位性 瑚. 進展により,アジアにおいて も 産業構造の再編が 促進され,国や企業の競争 知識基盤経済の. で 円滑に行われ ,海外とのネットワークが構築. になった.これは ,従来叫ばれてき た 日本および日本企業を 頂点とする「雁行的 発 展 パター ンの 崩壊」を意味するものであ り,. されていくシステムがリージョナル 競争優位,性. 一 ジョナル競争優位性構築の 重要性を各国が 認. であ る.その根拠は, 今までの分析どおり , 知. 識し,積極的に取り組んだ結果でもあ る.. 講やバローバル 環境の変化による 企業のグロー バル 化 (R&D を中心とした 分野別のグローバル 化 ) とそれに伴う 知識のバローバル 化であ る. したがってリージョナル 競争優位,性は ,グロー バル およびリージョナ か な統合が進んでいるな か. ,リージョナル経済圏をリードしうる 競争 優. う. リ. リージョナ ルな 経済統合が進められている 今 日. ,日本・韓国・ 中国の 3 カ国は , 東アジアの 経. 済を自国がリードしようと 競い合っている. 知 識 基盤経済において ,イノベーション・システ ム をどのように 構築し機能させるかが 各国にと って重要な課題であ り,またそのような環境を.
(14) 24. (166). 横浜国際社会科学研究. 表. 第 10 巻第 2 号 (2005年 8 月 ). 東アジア 3 カ 国の R&D 予算比較. Ⅰ. 12. (出所 ) 韓国産業技術評価 院 (2004) より作成. いかに提供するかが ,自国競争優位の源泉とな るからであ る,. そこで本章では ,この3 カ国を対象にして 各国 の環境を分析するが ,その際,知識基盤経済を 支える基本要素 ",.を踏まえ. ィ / ベーションを 促進する R&D 関連政策や各国の 科学技術政策, リージョナルインフラを 中心に論ずる ,. 第 Ⅰ節 日 本,, 世界トップレベルの 技術力を持った 日本は, 従来からアジアをリードしてきた.表. 1 にみるよ. に,韓国や中国に比 べ 圧倒的に多い 予算を編 成し , R&D に力を入れている.持続的な 経済 成長のためには R&D 投資が非常に 重要であ り, イノベーションとそれによる 生産性の向上が 不 可欠であ る. また,日本の科学技術競争力はアメリカに 次 ぐ 世界第 2 位であ る.それは,モノづくりの 技術 う. 力のみならず. ,研究開発活動の量や質,人材な. ど様々な側面での 強い国際競争力を 意味する. 科学技術基盤をもとに R&D 活動が行われ ,新 たな知識が創造され ,それは時期を経て特許の 取得や新製品の 開発へと結実するからであ る. 政府の取り組みとしては. ,経済産業省の「新. 産業創造戦略」 (2004) があ げられる.この戦略 は,高利益率企業の研究開発・事業化への 取り 組みが,新商品・新サービスといったイノベー ションの排出と 消費者の潜在需要を. 喚起し,雇. 用および国民所得が 増加してさらなる 需要の喚 起につながるという「イノベーションと. 需要の. 好循環」を目的としている. したがって,日本 政府はイノベーションを 数多く生み出し ,今後. とも世界市場を 舞台に職 別 な競争に勝ち 抜く強 靭な産業の創出に 向けて,積極的に取り組んで いる・ このように,日本は圧倒的な技術力をべ. ー. ス. にした強い競争優位性を 保有している.言 うま でもなく,これは知識の創造・ 拡散・活用によ るものであ り,またそれにふさわしい環境が日 本に整っていたということを 意味する. しかし.インフラ ( とりわけ国際物流関連 ィ ンフラ ) 面での競争力は ,大きく低下しつつあ る.特に,日本の 港湾の不振が 目立つが,釜山 や高雄など近隣 港に 荷動きが流れ ,コンテナ基 地としての機能を 低下させていることが 主因で あ る.その背景には,港湾コストが高く , 通関 手続きに要する 時間が長いという ,日本の港湾 競争力の低さがあ る.世界の海運会社は低コス トでサービスの 良い港湾をコンテナ 拠点として 選ぶから,コスト面などで魅力に 乏しい日本の 港湾を敬遠しているのが 現状であ る. 以上のように ,今後とも日本がアジアのなか で揺るぎのないリージョナル 競争優位,性を 構築 していくためには ,モノの流れを円滑にする国 際物流インフラの 整備および低コスト 実現とい った 課題を解決して い かなければならない. 第2 節. 韓. 国,,、. 韓国は,「世界第2 の経済大国」日本,「世界の 工場」中国にはさまれており ,経済的な競争条 件は厳しい.そのなかで競争力を強める 戦略と して,知識基盤産業" ( とりわけ情報技術 [IT] 産業 ) を集中的に育成してきた. IT 製品のなかでは 液晶, D. ℡M などがあ. る.
(15) (167). 企業のグローバル 化と知識基盤経済の 進展 (鄭 ). 表2. 日. 本. 韓. 国. 中. 国. (出所 ). 131,970 10,028 8,199. 東アジア 3 カ 国の R&D 支出 (1999 年 ). 4,499. 2.93. 7.6. 406. 6.2. 991. 100 . 0. が . 2002 年の TFT 液晶表示装置は 韓国が上位. 2. 皿. , Samsung. る. , IT 製品で世界的なシェアを 持つよ. 20.0. 2.47. 71.4. 12.0. 16.6. 0 83. 47.0. 10.4. 42.6. ・. 社を占め,約3 割のシェアを 持っている. DR M も. 70.7. 9.3. (2002) より作成.. 経済産業省産業技術環境局技術調査室. 電子だけで世界の 3 割を占めてい う. になっ. たのは,あ る特定の製品に 集中的に投資して 比 較 優位を得ようとしたためであ. 25. る. 目覚しい TT 産業の発展とともに IT インフラ の整備も進み ,韓国の「IT 化度」。",ランキング. る R&BDHUB. を目指し , R&BD. 環境改善, ク、. ローバル な 技術協力ネットワーク 構築,バロー. バル企業の R&BD. 地域本部誘致などを 積極的. 1. に 推し進めている. 5 2003 年に成立した 盧武 文政権 は,「東 アジア経済中心国家建設」,,計画の 一環として さ. は .インターネットユーザー 比率で 3 位,パソコ. 「東アジア物流中心基地構築」という 画期的な構 想を打ち出し ,空港や港湾を整備し円滑な 国際 物流を支援しており ,リージョナル物流インフ. ン 普及率で 4 位とインターネット. ラ 構築に力を注いでいる.. 関係では世界の. トップレベルであ る.そして,情報通信インフ ぅや 人的資源で評価する「電子政府準備指数」 (E-government Readiness Index) は世界 5 位 ( アジアⅡ 立 ),6) であ る.つまり,東アジアを リ一 ド. しうるようなリージョナル ,情報通信インフラ. が 韓国に構築されているということであ. る.. このような背景には ,積極的な政府による取 0 組みがあ った・ 1999 年に決定された「 2025 年 に 向けた科学技術発展長期ビジョン」では. 2025 年までに世界の 科学技術競争力 7 位に到達す. このように,韓国では東アジアの HUB を 目 指し,積極的に 取り組んでいる. R&D 支出の 対 GDP 比率が 2.47% であ り, OECD 諸国の平 均 (2.2%) と比べて遜色がなく ,また公的部門 のみならず民間企業などによる R&D 比率 (71.4%) が高い (表 2). 研究者数の総人口に 対 する割合は日本に 比べて小さいが ,産業として のモノづくりにおける 技術力等においては , そ の 格差以上の成果を 出している,. しかし,日本との技術格差は依然として 存在. るために,①政府主導開発中心から 民間主導 へ. しており,技術面での対日依存度も 高く,この. ②投資の供給拡大重視戦略から 効率的活用を 重 祝 する配分戦略 へ, ③研究開発体制の 国内完結. ような対日依存度ないかに. 今後のリージョナル 競争優位性構築における 大. 型からグローバル・ネットワーキンバ. きな課題であ る,. 技術開発の短期需要対応型から. 型 へ, ④. 克服していくかが ,. 長期市場創出型. へ,の大きく 4 つの転換を政策基調に 打ち出して. 第3 節. いる. 中国の「世界工場」としての 台頭は「安い 人 件費」を武器に 外国の直接投資を 吸収した結果. そして,グローバル競争力を高めるべく ,座 業 資源省や情報通信省を 中心に「東アジア R&BD HUB ",戦略が積極的に 進められている.韓国を 東アジアの R&D 拠点, 寺に R&D がマーケテ インクとともにビジネス 化につながる 形態であ 」. ヰ. 中. だけでなく,中国のィ / ベーション能力による. ものも多い.特に,数千万人の人材資源がイ べ一 ションを支えている・. ソ. さらにシリコンバレ. 一の華人専門家とそのネットワークがバローバ.
(16) 26. (168). 第 10巻第 2 号 (2005 年 8 月 ). 横浜国際社会科学研究. ルな 知識開拓のチャネルとなっている.. 関する調査. 80 年代より改革・ 開放に取り組み ,貿易・投 資の自由化を 推し進めるとともに. ,科学技術の. り方が見直されることになった.そして国家 のナショナル・プロジェクトとして 科学,工学 技術の開発に 力が入れられてきた・そのような プロジェクトは ,ハイテク開発とその生産への 応用が中心となっている. さらに, 2000 年までの「第 9 次 5 ヵ年計画」に おいて急速に 科学技術の水準を 上げており,ま た 2001 年からスタートした「 第 10 次 5 ヵ年計画」 においても,「科学技術の 発展の加速と 国民の資 質の向上」は 国防 力 と経済力の増強などと 共に, 「総合国力を 増強するための 決定的要素」として 21 世紀国家発展戦略の 4 本柱の 一 っとして掲げら. (2003年 ) によると,中国は最下位. であ ったが, 10年後の予測では 日本に次ぐ 3 位で, 今後の R&D 能力の向上が 期待されている 刊. あ. 終わりに. 以上のように ,「知識」対象に,企業のグロー バル化と知識基盤経済の 進展を分析した.そし て,その結果をもとに「リージョナル競争優位 性」を示した. グローバル化とともに , lTA ( 自由貿易協定 ). などリージョナル 化が進展して いる今日,特に国は自国内で 不断に ィ / ベーシ ョンが実現され. ,新製品が作り出される環境を. 構築する必要性が 高まっている. 本稿では,理論的な展開にとどまっているが ,. 今後,各国の取り組みに加えて ,各国の知識基. れている・. 盤産業における 競争力を中心にした「東アジア. 2005 年までの数値目標としては ,①基礎研究 の水準を世界の 5 一 10 位以内までに 向上させる, ② R&D 支出の対 GDP 比を現在の 0 . 7% から 1.5% までに引き上げる ,③ハイテク 企業の R&D 支出を総売上収入の 5% 以上にする,④ R&D 要 員者数を現在の 約 50 万人から 90 万人にまで増加 させる,などがあげられている. このように,中国は「科数 興国」をスローガ ンとし科学技術の 近代化を掲げるなど ,政策的 に科学技術の 強化を推進している.その結果と して,「世界の 工場」と称されているとうに ,今 やローテク製品口からハイテク 製品までを輸出す る 国として発展した. しかし,宮主導の R&D が定着しており ,自 国資本の企業の R&D は未成熟であ るなど,他 のアジア諸国とは 異なった R&D 体制を持って いる (表 2), WTO 加盟後,徐々に 自由化が進 展し,日本や欧米諸国をキャッチ・アップして きたが,それのほとんどは中国に進出したバロ ーバル企業によるものであ り,多くの技術は外 国製であ るため,まだ自主技術開発の 段階には ない.そのような状況であ るが,期待は高まっ ている. 日本経済新聞社が 行ったアジアや 欧 / の主要Ⅰ 0 カ国・地域を 対象にした R&D 能力に. のリージョナル 競争優位性」に 関する比較分析 が必要であ ろう・. サィ. 、、 ア. 三支三. 1) 彼の著書『経済発展の. 理論』. (1926) には,イ. ノベーションの 例として,次の5 つ があ げられて. いる.①新しい財貨,すなむち消費者の間でま だ知られていない 財貨,あるいは新しい 品質の 生産,②新しい生産方法,すなわち 当該国の当 該 産業部門において 実際上未知な 生産方法の導 入,③新しい販路の開拓,すなむち 当該国の当 該産業が従来参加していなかった 市場の開拓, ④原料あ るいは半製品の 新しい供給源の 獲得, ⑤新しい組織の 実現,すなむち独占的地位の 形 成あ るいは独占の 打破. (塩野合祐一個. 訳 , 1980 ,. p.152). 2) 文部科学 省編 (2002), p.3. 3) 生産関数とは ,資本や労働といった 生産に投入 される要素と ,それらを用いて生産活動を行っ た結果得られる 生産物との間の 関係を示すもの であ る.国のレベルで考えると,資本と労働を 投入して, GDP という生産物を 生産するその 間の関係を示す (後藤晃, 2000 , p.5).. 4) 国際貿易及び 直接投資に関する 理論において は,技術が果たす役割を極めて 重視する. もっ とも,従来この役割は,工業生産の 国際化にお いて一般に外生的要因として 扱われてきた.他 方,企業レベルのミクロ 経済研究においては ,. 技術は多くのパフォーマンスと 組織的特徴を 分 析するのに用いられるモデルのほとんどに 組み.
(17) 企業のグローバル 化と知識基盤経済の 進展 込まれている. ( 日本経済調査協議会試,. 2000 ,. p.17). 5) J.H.Dunning は,資本主義の発展段階を次の ように区分している.①産業革命以双 (Iandbased) , ② 19 一 20 世紀 (machine-and Enance-. based), ③ 90 年代 (㎞。Ⅵ edge-based). 6) Dunning によると,市場経済における富 (将来 の収益源を創造する 資産を増やす 活動 ) の主要 ソースの発展段階は 次のとおりであ る.①自然 資産 (na 抽 ral assets) : 土地や比較的非熟練 (単純 ) 労働者,②有形資産㎏ 皿giblecreated assets) : 建物・機械・ 設備・金融,③無形資産 (市tanl目blecrea㎏nasse ㎏ ) : 全ての形態の 知識や. 情報等,ヒト・ 組織・物的資産から 具体化され たもの. 7) 生産性向上とは ,技術進歩などによって , 同じ 量の資本と労働の 役人でより多くの 生産物がで. きるようになることを 意味する. ( 後藤,前掲。. p.5). 8) ㎞。Wwhat と㎞。℡why は,コード化・デジ タル化され広く 共有・移転される 形式 知 (COd 士ed ㎞。Ⅵ edge) であ り,㎞0 ℡ how と kno ℡who は,測定が難しく 習得に長い時間を 要するとともに 移転困難な暗黙 知 (tacit ㎞。Ⅵ。 ㎏e) であ る・紺野 登 ・野中郁次郎 (1㏄ 5) によると,知識は形式 知と 暗黙知の相互交換・ 循環プロセスにより 創造され,発展する,. g) C.AIltonelli(1999) によると,技術知識は 次 のように分類される.内部・外部の暗黙 知 ,内 部・外部の形式 知 ,の4 つであ る.内部暗黙知 (intemal ぬcit ㎞。Medge) は,行動 (doing) による学習プロセスと 利用 (using) による学習 プロセスによって 生み出される.覚部暗黙知 (e鶏em 田 ぬcit㎞。Ⅵ edge) は,非公式交換や共同 化によって習得することができる.内部形式知 (㎞tem 田 cod Ⅲed ㎞ 0wledge) は , R&D 活動の結 果であ る.最後に外部形式知 (eXtemalcod桁ed ㎞。Medge) は,技術情報の組替えによって 習得 可能となる. 10) 暗黙 知は ついては,上記の注 8, 9 を参照. 11) 技術は基本的には ,何をどのようにつくるか に関する情報であ る.情報は,同時に 複数の人 が所有可能な 特殊 財 であ る.情報としての技術. を市場で取引することは 困難であ り,新技術を 用いた製品や 新製法で生産した 製品を市場で 販 売することによるほうが 大きな利益をあ げられ る.そのためには ,生産設備や販売網などが 必 要であ る. これらが技術と 組合わさってはじめ て イ ノベーションが 実現されるので ,生産設備. や販売網は「補完的資産」と 呼ばれる 前掲, p,31). 12) OECD (1996),pp.l5-16.. ( 後藤,. 13) 愛知大学東アジア 研究会編 (2002), P.43 444 一. (169). (鄭 ). 27. 14) 労働と資本をべ ー スにした大量生産から 経済 的利益を追求する 経済を指す. これに対し知識 基盤経済は,個別経済主体が持っている ( また は利用可能な ) 知識をべ. ー. スにして付加価値を. 生み出す経済を 指す ( 本且吾 村巷科せ干せ , 2001. p.37). 15) 図 1 の「経済の発展段階」の 部分は O ECD (1999) を参考にした.. 16) 土岐神仙 訳 (1992) 下巻, p.202 17) J.Schmookler(1966),pp. ト 2. 18) L.C,murow (1999),p5l. 1g) R. ㎝pin (1975),pp.6Ⅰ 61. 20) Congress ofthe United S ねtes (1964), P.59 に は ,アメリカの経験が紹介されている. 2l) Congress ofthe United S ぬtes (1976),pp.l卜 18.. 22) UNCrAD (1996),pp.95 り 6. 23) 経済産業省・ 厚生労働省・ 文部科学 省編 (2003),p.87. 24) 同上, p.90. 25) TMM 協定においては ,モノの貿易に関連す る投資措置規定がなされており ,例えば,現地 調達要求. (投資受入国が. 進出企業に対して 現地. 生産品の購入・ 使用を要求すること.結果とし て,国際貿易が恐竜的に歪められるという. 問題. が 生じる ) や 為替規制といったパフォーマンス 要求が禁止されている.一方の GATS において. は,サービス分野における 投資 (業務上の拠点 を通じたサービス 提供 ) に関する最恵国待遇, 透明性の確保などが 求められている (経済産業 省 編 , 2001, p.130). 26) 同上, p.126. 27) 土岐 他訳 ,前掲上巻, pp.55 千 0 , p.66. nentofTrade ㎝ d Indus 坤r(2004), 28) Ⅲle Depa 由 p.4. 29) 日本経済調査協議会試,双掲,pp.17-19. 30) 同上, p.19. 31). 日本経済研究センター・. 日本経済新聞社. (2004), p.110. 32) 経済産業省 編 ,前掲, p.123 33) 詳細は, UNC Ⅸ D (2001) の丘雙 resD . 25 Ⅰ 7 及び anneX 廿四resD.A.gH1 を参照. 34) 宮崎義一編訳 (1979), p.Z, p.22, p.144. 35) 小沼 敏監訳 (1970), pp.26 Ⅰ 8. 36) 康陽一郎 (2002), pp.5 千 . 37) 日本経済研究センター・ 日本経済新聞社,双 掲, 12 章.増田貴司 (2004), p.7.. 38) 後藤。 前掲, pp.41-3. 39) 竹内弘高調 (1999), p,7. 40) 日本経済研究センター (2004), p.49 41) IMD (2003),P.702,p.704. 42) 増田貴司,双掲, p.4. 43) 愛知大学東アジア 研究会編,前掲, p.39,.
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