幼児の「ふさわしい生活」を支える保育の研究
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(2) 148. を用意して、その心身の発達を助け促し、人間形成の 基礎を築くことが肝要である。. うな環境を用意して、その中で幼児期にふさわしい生 活を営めるようにする事が大切である。. <よみとり>. <よみとり>. 幼稚園はふさわ しい環境であると決めつけた考 えの もとに、教育の意義が定義 してある○. 幼稚園は、幼児期にふさわ しい生活を営 めるように 環境を用意することが大切である0 ということは、つ ねに幼稚園が幼児にとってふさわ しい生活環境である ようにするのが、教育の意義であると考え られる○. < 幼稚園教育における指導の基本方針> 幼稚園教育要領では、幼児の指導を行 う場合に念頭. < 幼稚園教育の基本(7)> 幼稚園教育は、幼児期の特性を踏まえ環境を通 して. に置かなければな らない基本方針を 1 1 項目にわけて. 行うものであることを基本とする0 このため、教 師は. 述べている。(中略) l か ら5 までは具体的 なめあて. 幼児との信頼関係を十分に築き、幼児 と共 によりよい. (指導のね らいや内容にかかわ るもの) 6 か ら11 まで. 教育環境を創造するように努めるものとする0 これら. は、教師の心構え ( 6 か ら9 までは実際指導の最 も根. を踏まえ次に示す事項を重視 して教育を行わなければ. 本的な心構え). な らない0 (1) (前略) 幼児の主体的な活動を促 し幼児期にふさわ しい生活が展開されるようにすること○. < よみ とり> 「 基本方針」 と具体的なめあてや教師の心構えを示. (2) (前略) 遊びを通 しての指導を中心に して第 2 章 に 示すね らいが総合的に達成 されるようにすること0. しているが、幼稚園教育の基本 とは何であるかについ. (3) (前略) 幼児一人一人の特性に応 じ発達の課題 に即. ては、示されていない○. した指導を行うようにすること0. < 教育課程の編成>. < 教育課程の編成>. 各幼稚園においては、教育基本法、学校教育法およ. 幼稚園生活の全体を通 して第 2 章に示すね らいが総. び同法施行規則、幼稚園教育要領、教育委員会規則等. 合的に達成されるよう、教育期間や幼児の生活経験や. に示す ところに従い、幼児の心身の発達の実情に並び. 発達の過程等を考慮 して具体的なね らいと内容を組織. に幼稚園や地域の実態に即 して、適切な教育課程を編. しなければならない○(後略). 成するものとする○ この場合においては、第 2 章の健. 一具体的な編成の手順について (参考例) -. 康、社会、 自然、言語、音楽 リズムならびに絵画製作 の各領域に示す事項 を組織 し、幼稚園における里卓上 い幼児の経験や活動を選択 し配列 して、適切な指導が. (前略) ④具体的なねらいと内容を組織する○ . 幼児の発達の各時期にふさわ しい生活が展由 され る. できるように配慮 しなければならない○. ように適切なね らいと内容を設定する○. < よみとり>. < よみとり>. 幼児が体験する経験や活動は、教師が望ましいもの. 教師が組織す るものはね らいと内容で、ね らいは. を選択 し配列することにより組織 した経験や活動で、. 「 育つ ことが期待 される心情、意欲、態度」 であり、. 個人差、発達の実情、興味関心にそったものであって. 内容は 「 幼児が身につけてい くことが望 まれるもの」. も、幼児自身の自発的、 自主的、主体的な経験や活動. である0. ではない○ < ね らい . 内容> 「 ねらい」を示すことによって内容を示唆 し、それぞ. < ね らい . 内容> ね らいは幼稚回修了までに育つ ことが期待 される心. れの幼稚園は、これによって幼児の心身の発達の実情等. 情、意欲、態度などであり、内容はねらいを達成す る. に合 うように具体的な内容を選択 して、幼児に望ましい. ために指導する事項である○. 経験や活動を行わせ、ねらいを達成するのである。. 各幼稚園において実情に応 じ、何を意図 してどのよ うな指導をおこなったらよいかについて一層の理解が. < よみとり> 例えば、自然 2 のねらいは 「 身近かな自然の事象な どに興味や関心、 をもち、 自分で見たり考えたり扱った. 図 られるようにするために、異体的な教育 目標を示す 「 ねらい」 とそれを達成す るために教師が指導す るも のである 「 内容」を区別 して示 した○.
(3) 幼児の「ふさわしい生活」を支える保育の研究. 149. りしようとする」となっており説明文の中に「(前略) 自然科学的事実に気づかせ、 (中略)幼児なりにいろ. <よみとり>. いろくふうしたり、創意を働かせたりするように上里. わりながら直接的・異体的な体験を通して、生きる力 の基礎を身に付けていく時期である。教育課程や指導. 旦、こうした方面-の興味関心を育てるように配慮す ることが望ましい。」とある。指導書の中には下線の ような言い回しが随所にみられ、教師主導で保育を展 開してしまいがちな示し方となっている。. 幼児期は、生活の中で自発的、主体的に環境とかか. 計画は幼児期にふさわしい生活を展開するためのもの だから、知識や技能を接待させるものではなく、幼児 のさながらの生活にそった具体的なねらいや内容をっ くりだしていきたい。. <経験や活動> 教育課程の編成を考えるにあたっては、このような 望ましい経験や活動をそれぞれ取り上げてその意義を. <環境と活動> 環境は(中略)、幼児の興味関心に即して主体的な 活動を促し、その活動の中で必要な体験を重ねていけ. 明らかにすることが肝要である。. るような状況をっくり出すことなのである。 (中略) 幼児の発達は環境との相互作用の中で促されていくも. <よみとり>. のであるので、環境の構成は固定的なものでなく、幼 児の活動の展開に伴って常に幼児の発達に意味のある ものとなるように再構成していく流動的なものとして. 幼稚園教育指導書一般編第4章「望ましい経験や活 動」には、 「幼児の経験や活動はまことに種々雑多で あり、望ましいものとしてどの様なものを取り上げる かが問題であり、またここにそのすべてにわたって述 べることも不可能である」としながらも、 「一般的に よく行われている経験や活動の中で、問題点を多く含 んでいる代表的なものを選んで解明することにする」. 捉えることが大切である。 幼児が行う活動は環境の構成の仕方によって方向付 けられるが、幼児の発達の実情や環境の受け止め方に よって一定のものとはならず、教師が予想するものと は違った展開をすることが考えられる。そうした場合. ・鬼遊び(3)リズミカルな集団遊び(4)ポール遊. にも、幼児の発想やそこに展開された活動を大切にし ながら、幼児が望ましい方向に向かって自ら活動を展. び(5)砂場遊び・すべり台、ぶらんこ(2)積み. 関していけるように環境を再構成するなどの適切な援. 木(5)飼育栽培(2)見学や遠足・ごっこ(3)刺. 助を行うことが大切である。こうしたことから、幼児. 的な活動(4)絵本・童話・紙芝居(3)テレビ. の行う具体的な活動は教師の適切な援助の下に、幼児. として次のものが羅列して示されている。. ( )内は活動の姿とし、 「追いかけ鬼」のように遊 びの名前であったり、 「投げることを主とした活動」. が環境とのかかわりを通して選択し展開されるもので あり、幼稚園教育要領に示された領域のねらいや内容. のように遊びの内容であったりする。また、ぞれぞれ. と直接的、固定的に対応したものであったり、教師が. の取り上げた次元や性格を異にし順序も特別な組織に. 一方的に選択して幼児に与えたりするものではないと. よったものではない。. 言うことができる。. 稚園教育指導書一般編(1968年)において、 「経験 や活動」は常に一つのことばとして使用されているが、 経験と活動は質的に同じとは思えない。. 上記下線の「望ましい」は、方向であって到達 目標ではない。活動は、幼児自ら行うものであって、 教師が選択したり配列したりして与えるものではない ことは、十分語りつくされたことである。. 2. 「望ましい」と「ふさわしい」での教師の役割. 環境からの刺激を受け止め、自分から興味をもって環境. 旧教育要領では「望ましい」は正しい答えであり、到 達目標として示してある。そして、各領域に示されてい. にかかわることによって様々な活動を展開し充実感を味 わう体験が重視されなければならない。」とし、また. る「経験や活動」は、望ましいものとして、行わせるも. 「教師が周囲の環境の中から必要とされるものを兄いだ. のとして示されているため、どうしても教師が幼児の生. して、発達を促すために構成した「ふさわしい」ものが. 活の主導権をにぎったかたちでの幼児の生活が展開され. 教育環境としての意味をもっ」としている。. ることになってしまった。 現教育要領の「ふさわしい生活」は、幼児自身が生活 の主体者で、教師の役割は①幼児を理解する②信頼関係. Ⅲ.国立大学附属幼稚園における「ふさわしい生活」研 究へのとりくみ. を築く③環境を構成する④直接的な援助の4点が示され ている。そして、何より環境を通して行う教育であるこ が基本として示され、 「幼児が周囲に存在するあらゆる. 平成9年度の研究テ-マより「ふさわしい生活」の表 記が使用されている園は、下記表2に示す8園である。.
(4) 150. 表2 「ふさわしい生活」に関する国立大学附属幼稚園の研究テーマ 幼. 稚. 園. 名. 秋 田大学教育学部 附属幼稚 園. 研. 究. テ. ー. マ. 幼 児期 にふ さわ しい生活 を考 え る ∼ 豊 かな感性 の育 ちをと らえて -. 群馬大学教育学部 附属幼稚 園. 幼児期 にふ さわ しい幼稚 園生活 の創造 ( 4 年次) - 日々の保育 と評価 -. 富山大 学教育学部 附属幼稚 園. 幼児期 にふ さわ しい生活. 考. 7 年度 よ り取 り組み (資料 な し). 6 年度 よ り取 り組 み 5 年計画 7 年度 よ り取 り組 み. 一 子 ど もの育 ちと物的環境 静 岡大 学教育学部 附属幼稚 園. 備. 幼児 にふ さわ しい生活. (資料 な し). 8 年度 よ り取 り組 み. ∼ 個 の思 いの実環 に向 けて l 奈 良女子 大学文学部 附属 幼稚園. 一人一人 が主体 的に活動 し、幼児期 にふ さわ しい園 生 活 を過 ごすため に - 親 と教師が力 を合わせて子 どもの育 ちを支 え る -. 8 年度 よ り取 り組 み. 山口大学教 育学部附属幼 稚 園. 幼児期 にふ さわ しい子 ど もの生活 と環境. 8 年度 よ り取 り組 み. 、 環境 と援助 に視点 をあてて 香川大学教育 学部附属幼 稚 園 高松 園舎. 幼児期 にふ さわ しい生活 を創 る l ふさわ しさ、子どもにとつての意味を問 うことからー 幼児期 にふ さわ しい生活 の中で. (資料 な し) 4 年 度 よ り取 り組 み 5 年 計画 9 年度 よ り取 り組 み. J 身 体 ぐるみのか しこさをそだてる ー 高知大学教育学 部附属幼 稚 園. 新 しい教育課程 の編成を めざ して. 4 年度 よ り取 り組 み. ー 幼児 期にふ さわ しい生活 を送 るために -. 幼 児期 にふ さわ しい生活. 8 年度 より取 り組み. l 一人一人の心の動 きにそった援助のあり方を探 る -. 1.群馬大学教育学部附属幼稚(8) (1)研究のねらい 日々の実践と記録の検討・分析を通して一人一人の幼 児の発達を見極めながら、幼児期にふさわしい幼稚園生 活の在り方について明らかにしていく。 (2)研究の方針 研究の柱を次の点に絞り、研究を進めていく。. にしていきながら、 3年保育課程について再考する。 これまでの研究内容を、実践の中で再確認したり、継 続している事柄の充実に努めたりする共同研究であると を踏まえ主題の共通理解と研究課題の把握に努める。 次の点に考慮しながら研究を進める。 ①幅広い研究であることを考慮し、当面している課題に 焦点を絞って研究を進める。. ①日頃の保育実践を検討しながら園生活の環境の構成に. ②実践・考察・評価を繰り返し、指導計画を見直しなが. ついて考える。. ら研究を進める。 ③実践・指導記録の蓄積を重視し、適切な分析を行うよ. ②家庭や小学校との連携を通して幼児期の教育の在り方 を探る。 ③今後の幼児教育における実践や評価の在り方を明らか. うに努める。. 研究計画(平成6年度より5年計画).
(5) 幼児の「ふさわしい生活」を支える保育の研究. 151. 1年次・ ・幼児にとって必要な環境の構成. (1)研究の目的. 2年次・ ・家庭との連携 3年次・ ・小学校との連携. 幼児期を次の時期への準備期問として捉えるのではな く、幼児期という掛けがえのない発達の時期を、その時. 4年次・ ・幼稚園における評価. 期にふさわしい生活の中で幼児らしく充実して過ごすこ. 5年次・ ・ 3年保育の教育課程 2.静岡大学教育学部附属幼稚園の場合(9) (1)研究のねらい 幼児にとってよりよい環境を、 「幼児にふさわしい生 活」と捉え、物的にも人的にも子どもをまるごと受け入. とを大切にする。また、自立に向けて、子どもに"しっ かりした自己への信頼"と"生活や遊びを能動的に進め ていく意欲や態度"を培っていくという「保育の意図」 は幼児期にふさわしい生活を構想し展開していくことを 通して、最も効果的にその実現を図ることができる。. れられる環境づくりをめざす。. 「保育を構想する」際の具体的手続きとしての指導計 画の在り方に研究の視点をおき、その在り方を明らかに. (2)研究の進め方. することから私たちの保育実践の質の向上を図る。. 平成8年度は研究テーマ設定1年目であるため、子ど. (2)研究計画. ものありのままの姿を丸ごと受けとめた上で「育ててい. ①教育課程編成と保育の構想(指導計画作成). きたい子どもらしさ」を考えながら、一人ひとりの子ど もを検討していく。平成8年度の紀要にはそれぞれの保. (塾教育目標の具現化を図る教育課程編成 <平成4年度∼平成6年度>. 育者が「子どもらしく育つとは」という視点で自分なり. ・教育課程編成にかかる基礎資料のまとめ. の考えを自由な形でまとめている。. ・教育期間を通しての園生活の全体構想. 3.奈良女子大学文学部附属幼稚園(10). ・ 3年間の研究のまとめとして「高松園舎教育課程」 発行. (1)研究の目的 平成8年度から前研究テーマを引き継いで「一人一人 が主体的に活動し、幼児期にふさわしい園生活を過ごす. ③子どもの生活を充実させるための保育の構想(指導計 画作成) <平成7年度∼平成8年度>. ために」という研究主題を決め、 「親と教師が心を合わ せて子供の育ちを支える」という視点から取り組む。. ・-どのように保育を構想するか ・考え方とその実際. (2)研究の進め方. ・ 「幼児期にふさわしい生活を創る-その構想と. ①8年度に入園した3. 4歳児の保護者へのアンケート をとる。. 展開-1 (仮題)としてまとめる。. ・幼稚園教育に期待すること. 5.高知大学教育学部附属幼稚園(12). ・当園を選んだ理由. (l)研究目的. ・先生や我が子に期待すること ・改善してほしいこと. 「保育の見直し」と「幼児期にふさわしい生活を送る ための教育課程の見直し」をする。. ②従来の方法の見直し. 「ふさわしい生活」を送る幼児の姿としての観点. ③グループ参観の実施. ・子ども達が、いろいろなことに興味や関心をもち、. ④参観後約1時間グループで担任と話し合う。. 十分に楽しんで自分なりに考えたり試したりする。 ・友達と遊ぶ中で、人とのかかわり方を知ったり、一. ⑤第2回目のアンケートをとる。 (3)今後の方向 ①いつでもみたいときに自由に参観できるようにする。 ②希望者には保育後、懇談できるようにする。 ③教師が見て欲しい活動や、親が見たいと希望する活動. 緒に過ごす楽しさを味わう。 ・ありのままの自分を素直に出し、自分や友達のよさ を見つける。 そのためには、私達教師は、子どもが安心して過ごせ. も見てもらえるようにする。. るように、また、その時期にふさわしい経験を十分に積. ④子供について相談したいことがある時は、降園時等に. み重ねることができるように援助をしたい。. 個人的に話し合っているが、それ以外に、相談日を設け たり保育時間中にも副園長などが相談を受けたりできる. (2)研究の経過. ようにする。. ②全期の指導のまとめをっくる。 ③指導のまとめを教育課程にむけてつくり直す。. ⑤親の得意な分野での保育参加なども考える。. ①本園の保育の特色をよくあらわした教育課程にする。. ④指導のまとめから教育課程へ(入園から卒園までを見. 4.香川大学教育学部附属幼稚園高松園舎(】1). 通した教育課程).
(6) 152. ⑤各期の事例や資料を書く。. 4.香川大学教育学部附属幼稚園 幼児期にふさわしい生活とは、子どもの側から考える. Ⅳ.各附属幼稚園の紀要(研究会冊子)における「ふさ. と「楽しさ(充実感)を実感できる生活」と捉え、楽し. わしい生活」の構成観点. さの中身として11の項目を上げている。 ・自分のやりたいことを存分にする楽しさ(自主性・ 主体性の発揮). 1.群馬大学教育学部附属幼稚園. ・精一杯力を出し切って活動する楽しさ(充足感). 幼児が「ふさわしい生活」をするために教師がどのよ. ・できなかったことができるようになる楽しさ(諸能. うに「必要な環境」を構成していけばよいか(6年度). 力の伸長). として次の3つの視点を上げている。 (1)幼児が示す興味や欲求に応じた環境. ・未知のことを知る楽しさ(知識の獲得). (2)幼児の意識の流れ(患い)にそった環境. ・新しいことを考えだし、工夫し、創りだす楽しさ (創造の喜び). (3)幼児が発達の課題を乗り越えるための環境. ・他者の役に立っこと、喜ばれることをする楽しさ 2.静岡大学教育学部附属幼稚園 「幼児にふさわしい生活」は「子どもらしさを出せる. (有用感) ・存在を他者に認められる喜び(存在の承認). 環境」として捉え、 「子どもらしく育つとは」 「育ててい. ・他者と心を通わせ、共感する楽しさ(共感). きたい子どもらしさとは」に視点をあて、生活の姿から. ・より美しいもの、真実なもの、善いものに出会う楽 しさ(価値との出会い). まとめている。 (1)子どもがやりたいと思っていることを身近な大人が. ・心を通わせる仲間と共にある楽しさ. どのように受けとめどのように子どもに返していくか。 ・時間的、空間的なゆとりをもっ. (友との親しみ) ・難儀なことを乗り越える楽しさ(成就感). ・約束をできるかぎり守る. また、子どもの生活する姿から保育の意図(ねらい). (2)育てていきたい子どもらしさを「けんかやトラブル. を決めだし、育ちを支える、よりふさわしい「ねらい」. は子ども同士の成長のとき」と捉え、仲間の中で試行錯 誤した上で周囲のことに目を向けていく、そのホットな. を決めだしていく。. 関係の築きの中でやさしさが生まれる。. 5.高知大学教育学部附属幼稚園. (3) 「子どもらしさ」とは、様々な葛藤体験を味わう中 で表出される。. 「幼児期にふさわしい生活を送るために」以下の諸点 を、保育の基本姿勢として大切にしていくことを把握し. (4)子ども同士の中で、泣いたり笑ったり怒ったりしな. た。. がら自分の思いを相手に伝えられるようにしていくこと. ・子どもを信頼し、子どもから信頼される教師. で、 「自分らしさ」が育っていく。 (5)子どもらしく育つ姿として-一・. ・子どもが自分からかかわり、自分で気付いたり、発 見する喜びを大切にする教師. ・日分の素直な気持ちにしたがって、意志表示ができ m. ・一人一人の思いやかかわり方を大切にする教師. ・自分のペースにしたがって、やりたいと思うことを. ・子ども達が園の主人公であるための援助ができる教 節. 存分にする。 そのためには子どもたちの迷いや葛藤など心の育ちを 大切にし、保育者以外の環境(物的環境、友達関係)の. ・子ども同士のかかわりを大切にする教師. ・身近な自然を遊びに生かし、感動する心を大切にす る教師. 中で子どもらしさが育っているということ、子どもらし さが育っ時期は子どもによって違いがあることを敏感に キャッチし援助していく必要がある。 3.奈良女子大学文学部附属幼稚園 「幼児期にふさわしい生活」を支えていく方向を、保 護者と心をあわせることから始める。 (1)アンケートを分析し保護者の考えや願いを知る. (2)保護者に自信をもたせる保育参観や懇談会をもっ。 (3)保護者と信頼関係を築くと共に教師の資質を高める。. Ⅴ. 「ふさわしい生活」を支える保育の実際 (姫路市立網干幼稚園の実践から(13)¥ 1.姫路市立網干幼稚園の概要 (1)組織 幼稚園の学級編制(1997年9月現在) 2学級(5歳児1年保育:男児25名/女児24名) ちゅうりっぷ(男児12名/女児12名) すみれ(男児13名/女児12名).
(7) 幼児の「ふさわしい生活」を支える保育の研究. 153. (2)教育体制. <研究主題>. <教育目標>. 友達と遊びを創りだし、自信をもって生活する幼児の 育成. 一〇明るく健やかな子ども ○友だちと伸びやかに遊ぶ子ども ○心豊かで思いやりのある子ども. -幼稚園・家庭・地域との連続的な生活を通して <教育課程>. ○見て感じて考えて素直に表現するこども. 教育課程の構造を表3に示す。. 表3姫路市立網干幼稚園の教育課程構造図 毒丈青目棟 ・明るく健やかな子供 ・友達と伸びやかに追ぶ子供 ・心勘、で患いやりのある子供 見て感じて考えて素直に表資する子供. (幼児の実態) 対トで明るく、人な つっこい。 幼稚園の広い敷地の 中で、興味をもった ことに喜んでかかわ ろうとする。. 研究テ-マ 友達と遊びを創りだし 自信をもって生痛する幼児の育成 I-幼稚園・家庭・地域との潮的な生活を通して-. 遊び側tlぎ. つぎ変わることから 片付けができにくく aSfl 入園前の保育轍は 97. 5%におよび、同 -1柵、らの入園 が大多数を占める。 一二人っ子の割合l淵 で、家庭内において の三者馳上の人 とのかかわりがあり 入園当初より友達と かかわり合って選ぶ ことができる。. (具体的な内容) ◎自信をもって生活できる確l車の工夫 O亡のなごむ保育環境を工夫する。 Q友達とかかわり合う場所と遊びを名噂する。 ○園内外の環境を生かした体験活動の充実をはかる j寸lあいファームの活用・米作り 地域の自魚群境との感動狩な出会い ほ互罰5Z:uffiSEらEBULSHS. 環境の工夫. (地域の実態) 泊岸工莞地帯と、拘千 両苫街を中山こ西姫路 として発展してきた。. 開港lEJKECtgg 方であるが、浜手気質 の残る地峡であるO 祭りが盛んで園区内に 神杜やお寺が多く、歴 史・文化の香る地域で :J」9 教欄閑に対しては、 慰Ⅷ田HfflftSSJ るが、我のニーズの変 :i 7ssxis E星空翌日 低下してきている。 (我の酷い) おおらかで活発な子に。 友達と元気に、よく遊 ぶflL 明るく思いやりのある 子IG 自然に親しみ、感性の KBES記ig. 城に叔づく和太鼓を保育に I興浜太鼓「」銀J-PTAOB 「胴iJ ). 凹as-a ・文化 ・祭り ・人. to出会い 「細干抹換」. mourns㌍宴召還ヨISMi患矧 遊びの基地作り、 wォサキング 絵本の貸出や謹み固カせ・ ・ ・など ◎幼児自らが遊びを作りだせる環境 ○幼児が主体者となる行事を工夫する。 〇年間を通した遵紬)中で遊びを創りだす。 Q遊びに必要な物や人を幼児と共に拝す勺. 2.幼児の育ちを支える視点 幼児の「ふさわしい生活」を実現するために、育ちを 支える視点表を作成した。 (1)作成理由と生かし方. 次の諸点である。 ○幼児一人一人の生活や発達の姿(育ち) 日々の記録は活動の断片的な姿をとるのではなく、一 人一人の生活のリズムの中で、前後の経過を含め、小見. 幼児を育てるためには、一人一人の幼児の発達の姿を. 出し(内容)で捉えて記録していく。記録した幼児の姿. 的確にとらえ、次の育ちへの適切な指導が必要である。 そのためには、幼児の発達の姿を的確にとらえているか. を視点表にプロットすることにより、育ちの方向がつか. どうか、とらえた姿をどのように評価し、どのように指 導していくかを明確にしていく必要がある。. ○指導(実践)の達成状況の把握. そこで、 「幼児の育ちを支える視点表」 (表4)m成 した。 この視点表を使用することにより、よみとれるものは. め、個に合った指導が可能となる。 月ごとに幼児の「育ち」を視点表の枠組みにプロット することによりクラスの幼児の発達の姿が把握できる。 先月・先々月と比較することにより様々な事柄が読み取 れる。.
(8) 表4幼児の育ちを支える視点表 互 い に認 め 生 か し合 つ て生 活 を創 る E 友達 とかか. 人とかかわる生活. わ り協 力 し て遊 びや生 活を進 める D 気 の 合 った 友 達 と遊 び や生 活 を楽 しむ C 身 近 な他 者 に関心 を も つ B. 自分 に関 心 を もつ. A. 受け糊 相 自己中 L約封吉相. (E - 1 ) ○友達の よ さを受 け 入れて遊 びや 生 活 を楽 しむ. (E - 5 ) 〔 主体的生活相〕 ○友達 と遊びや生活 に必 要な環境を見通 しをもつ て創 りだして いくプロ セスの中で充実感 を味 わう ○豊か仁自分の もち味 を 出 し生かし認 めあって 幼稚園生活を楽 しむ 環 7 、言 5 、表 8. 言 1 . 7. (E - 2 ) (E 一 3 ) (E - 4 ) ○ ま わ りの 人 の 気 持 ○ まわ りの人 と 互 い ○ 遊 び の イ メ ー ジ を ち を 受入 れ 自分 の に認 め合 つ て よ り も って 友 達 と試 行 思 い も出 しな が ら 遊 びや 生 活 を 高 め 錯 誤 しな が ら環 境 遊 び や生 活 を 広 げ て い こ うとす る にか か わ っ て い こ て い こ うと す る 人 6 -10、環 5 う とす る 人 5 、言 4 言 5 、表 7 人 6 、言 5. (D - l ) ○ 友達 とかか わ り合 つ て遊 びや 生 活 を 進 め て い こ う とす る. (D - 2 ) ○友達 とともに環境 にかかわ り遊 びや 生 活 を広 げ て い く. (D 一 3 ) ○友達 と好 奇 心 を もつ てつ なが り遊 び や 生活を深めて い く. 健 7 、言 1. 人9. 言 5.8. CC - 1 ) ○気 の合 った友達 と ふ れあ って遊 ぶ楽 しさ を 味 わ う. (C - 2 ) ○ まわ りの で き ご と を 自分 な り に 受 け 止 めつ なが りを もつ て 遊 ぼ う とす る. (C - 4 ) ○ 同 じめ あ て を も つ た 友達 と か か わ り 遊 びや生 活 を楽 し む. (C - 5 ) ○ 同 じめ あ て を も つ た友 達 と 積 極 的 に か か わ り遊 び や生 活 を深 め て い く. 言 1 、表 6. 人 4 . 7 、環 2 、言 l. ( C - 3 ) 〔意 欲 的 生活相〕 ○気の合 った友 達や 誘 って み た い 友 達 とお も しろ そ う な 遊 び に 取 り組 む -l_1'- ・ -o. 表 3. 環 7 、人 6. (B - l ) 〇 日分 は安 定 で き る 遊 び を し な が ら友 達 や先 の して い る こ とに 関 心 を も. (B - 4 ) ○ 工 夫 した り確 か め た り しな が ら友 達 との か か わ りを も と う とす る. (8 - 5 ) ○ 友 達 や 先 生 か ら遊 び に必 要 な もの を 、め な り に生 活環境 を広 げて い †つ ーとす る 」. 健 3 .6 、環 1. ( B - 2 ) 〔自発 的生 し13 - 3 → 活相〕 ○ まわ りの で き ご と ○友達 の してい るお も に好 奇 心 を も ち 自 しろそ うな遊 びを知 な りの えを もつ り自分 もして み たい て 試 して み よ う と とい う気持 ちを もつ す る 環 4 、言 7 . 9 環 3 . 8 、言 2 (A 一 2 ) (A - 3 ) 〇 日分 の したい遊 びを 〇 日分 の 力 で 行 動 す 見つ けて十分 に楽 し る事 の充 実 感 を 味 む わう ○身 の回 りので き ご と に興味 関心 をもつ 人 2 . 3 、環 1 健 2 . 9 、環 1 . 8 、 表 健 2 ・5 ・6 ・8 ・9. . 新 しい 環 境 に 気 付. . 環境 に興味 関心 を. つ 健 1 、人 1 、言 6 (A - l) 〔 安 定 した生 活 相〕 〇 日分な りに思 いを もっ て遊 ぼ うとす る ○ 園生 活 に関心 を もち 新 しい環境 に親 しむ. く. もつ 1. . 好 奇 心 を も って 環 境 にかかわる. 0. ( D ー 4 ) 〔自 主 的 (D ー 5 ) 生活 相 〕 ○ よ り多 く の人 々 か ○ 友 達 と協 力 し合 つ ら生 活 に 必 要 な 情 て積極的 に遊 びや 報 を取 り入 れ 豊 か 生 活を創 りだ そ う な環 境 を 創 り だ そ とす る う とす る 人 6 . 8 、言 5 環 7 . 9 、 言 5 - 10. 言 3. 環 7 、言 3. (A ー 4 ) 〇 日分 な り に 疑 問 を も った り試 した り しな が ら遊 び を 進 め て い こ つ とす る 健 4 、環 1 . 6 、 表 2. (A - 5 ) ○ 創 意 工 夫 し集 中 し て 遊 び に 取 り組 む. . 疑 問 を もった り、 試 した り、 めあてをもっ. 環 1 . 7 、表 4 . 遊 びや生活 に必要 な環 境 を創意 工 夫 する. て環 境 にかかわ る 4. 3. 5. 環境とかかわる生活 ※健3の番号は、指示書の示す内容。 (環境の10は上記の表に含まれていない) ※指示書の示す内容は含まれている姿が多様なので上記の表では各セルにまたがる場合もある。. 表5研究テーマを受けとめた実践例 循環 した 「 くらし」の中でこ ころのふるさとをつくる. 幼稚 園 を 「く らし」 の基 盤 とす る 育ちの側面 実. 践. 例. 友だ ちと か V i->る 力を育て る. 遊 び を創 りだ す力 を育て る. (1)地域 の生活 を幼稚園生 活 に散 り 入れ る. 自信 を も ▼ 1. 生活 す る 力を 育 て る. ○. (2) ふ るさとの 自然 のあたた か さを 感 じとつて遊ぶ. ○. (3) 幼稚園 に自分の居場所 をつ くり、 もって いる力を発揮 する. ○. (4) 自分 な りの必要感を もって、 当 番 の仕 事を考えて取 り組 む. ○. (5)友達 と一緒に、大人 の力 をか り なが ら匠の技を会得す る楽 しさ をわかち合 う. ○. ◎. ○. (6)友達 と力を合わせて、 幼稚 園 の くらしを進め る楽 しさを知 る. ◎. ○. ○. ○. ◎. ○. ○. ㊨. 海や土の あ ま さに ふ れる. 人 のあた たかさに ふ れる. ○. ◎. うさぎの餌 もらい . ノ ヾン工場見学 だん ご作 り . 魚市場 へ買い物 カ レー作 り .小 中学生 との継続 交流. ◎. ○. 魚釣 り (揖保川 .網 干港) 貝取 り船見学. 活. 例. 飼育 動物 の世話 給食当番 トイ レ掃除 ○. ○. 生. ○. 魚釣 り 大工仕事 和太鼓 わんぱ くフェステ ィバル 七夕の集 い お化け屋敷.
(9) 幼児の「ふさわしい生活」を支える保育の研究. 155. 3. 「くらし」する幼稚園生活. ○クラス集団の中での個の位置が視覚で理解 ○クラス集団としての遊びや生活へのかかわりの様子 ○担任の幼児を見る目の確かさや指導観. 「幼児の生活は、本来区分し難いものであるが・--強 いて分けてみるならば、生活習慣にかかわる部分と、遊. よみとった事柄を考察することで、一人一人の幼児は もとよりクラスとしての「ねらい」や「内容」を実態に. びを中心とする部分がある(7)」と指導書にある。 倉橋惣三は「生活としての実質と離れず、生活として. 合わせて組織することができる。また、他のクラスとの. の自然を失わせないこと一一」とのべ「どこまでも幼児. 比較により、担任の幼児の見方の方向や指導観を評価す. の生活を主体として--・」の幼稚園生活であるべきと述 べている(4)。. ることができる。. 網干幼稚園では、幼児の「ふさわしい生活」を支える. ○指導計画の見通し さらに、年間指導計画及び月別指導計画の内容をプロッ トしていくことにより、計画・実践・評価の循環の中で. ために、生活の主体者として、幼児はもちろんのこと、 幼児にかかわる全ての人達が「生活を、より豊かにしよ. 教育を進めていくことができる。. う」という原臥、をもって、つくりだす生活をすることを. (2)構造. 「くらし」と考える。. 視点表は2つの軸・ 5つの位相でなりたっている。縦 軸は「人とかかわる生活」、横軸は「環境とかかわる生 活」であり、二つの軸から育ちの過程を捉えることにし た。 各セルには、網干幼稚園の教育課程に即したねらいを. 幼稚園での「くらし」の構成要素として次の3点が考 えられる。 ①自発的活動(遊び) ②自立を促す活動(生活習慣・安全の習慣) ③集団としての活動(クラスまたは園全体で行う活動). あてはめ、教育要領に示されている5領域の「内容」を. これら3つの要素が、それぞれが重なり循環し合うこ. プロットすることにより視点表の客観性の裏付けとした。. とで活動がっながり、幼稚園生活が展開されていくので. ①から⑤の五つの層は、年間指導計画の期でもあり、 育ちの姿の節目でもある。 ①は「安定した生活相」 ②は. ある。また、 ①②③の構成要素が、幼稚園・家庭・地域 との連続的な生活を通すことにより、豊かに膨らみ循環. 「自発的生活相」 ③は「意欲的生活相」 ④は「自主的生. するので、幼児の生活はより「くらし」に近づいた形で. 活相」 (勤は「主体的生活相」とした。. 展開することができるものと考える。. 主体 的よ. ⑤ 4.実践の見取り図. 人. ー 自主的. と か か. 幼児の「ふさわしい生活」をめざした、研究テーマを 受けとめた実践であるかどうかの確かめとして、 (表5) を作成した。表5より(4)の実践例を抜粋し記載する。. 意 欲的. 実践例4日分なりの必要感をもって当番の仕事を考え てとりくむ。. わ る 坐 請. (1)期間4月下旬∼ 7月中旬. 発的. (2)ねらい ○幼稚園生活の中で、したい仕事・できると思う仕事を. A -t I. 考え、自分の力で行うことの充実感を味わう。. 環 境. と か. か わ. る 生 活. (3)内容 ・自分で考えて行動したり、友達と一緒に仕事を進めた. この視点表は、幼児をあたたかい視点で見ようとする 「ねらい」で構成しており、能力・技能を評価するもの. りする楽しさを知る。 ・自分の恩いや考えを周囲の人々に分かるように話し、. ではないO幼児一人一人に対する「ねらい」や「内容」. 相手の思いにも気付く。. の面から受けとめ実践の方向性を示していこうとするも. (4)活動が生まれるきっかけ. のである。. ○生活グループづくりをして初めてのパン給食の日、コッ. この視点表で幼児の育ちを見る場合、 (Aの1)から. プやお皿の準備が一番早くできたグループに「給食の当. 上に、又は桟に、斜めにと幼児の育ちがあると考えるが. 番してくれる」と声をかけた。二つ返事の幼児に「当番. 直線的な育ちを期待するのではなく、人とかかわる力や. のしるしよ」と手作りバッジをわたした。. 環境にかかわる力を着実につけていくには、蛇行しなが. ○次の日もバッジを付けた人が当番ということで、食事. らの歩みとなるであろうと考えている。. のあいさつも保育室の掃除もした。その次の日も一一そ の次の日も-・-何日も同じ幼児が当番を続けた。.
(10) 156. (5)実践の展開 (4/末) T ・当番の仕事を幼児自身が必要感をもってできるよう. 分の当番としての仕事を決めた。 (5月28日). 考察・反省. に、また仕事内容も方法も幼児の考えで決めていけた. 当番内容の・小鳥当番・ウサギ当番・便所掃除・給. ら一一と教師の顧いをもってきっかけとなる情況を与. 食配り・部屋掃除の五つは幼児自身が幼稚園生活に. えた。. 必要な仕事と捉えたものであるが、教師と今まで経. C ・昼食を食べながら「私も当番したいわ-」 「いっつもあの子らだけが当番?」 T・ 「ほんまやね-、どうしょう?当番の子にかわってっ て言ってみたら?」と交代の言葉を助言する。. 験してきた仕事でもある。中でも便所掃除は、小鳥 やウサギは自分で掃除ができないと話し合っている 内に、意識した仕事内容で、教師も予測していなかっ た仕事であった。給食配りは仕事の内容に比べ、希. ・何E]かたっ中で、幼児同士バッジをっけかえ当番交. 望人数が多いことに気付くよう話しても、当事者も. 代が始まった。 ・そのうち一一給食くぼりとあいさつだけして、掃除. 他の幼児も人数の多少は気にならないようだ。今ま で教師がおこなっていた人数調整は、幼児の育ちに. になるとバッジをはずし次の当番をやりたい友達をさ. 合わせた「ねらい」 ・ 「内容」に添わない教師サイ. がす。 -‥-・いない時は、当番バッジを予備の入って. ドの考えであることに気付いた。. いる袋に戻してしまう幼児が多くなりはじめた。 ・当番の仕事を通して様々な幼児の育ちが見えてきた。 しばらくの間は、給食配りがしたい幼児と掃除がし. 「T. S児の場合」. たい幼児とのバランスがとれていたのだが昼からの. ・入園当初は緊張することが多く、教師の側から離れら. 遊びにめあてをもっ幼児がふえてきたため、掃除の. れなかったが、教師と共に当番として小鳥小屋の掃除と 餌やりをすることで安定し、ほうきがうまく使えるよう. 希望者が少なくなってきたようだ。. になったことで自信がつき、クラスの友達からも「そう. T・ 「あれー当番の人はこれだけ?」と問いかけクラス での話し合いに、今日の掃除当番は一人だったことを 話すようにうながす。 (5/16) C ・ 「遊びたいから当番せ-へんのや」. 名人」として認められていった。 ・その後、ウサギ当番を手伝ったり、保育室の掃除やト イレのスリッパを並べたりと、他の当番の仕事も喜んで 手伝うようになる。また遊びに対しても積極性が見られ だした。. (5/20). 「S. K児の場合」. ・そこでクラスで話し合い、グループに一つバッジを. ・入園当初は初めての環境-の興味から、教師の行って. もち、グループ内で交代することになった。が一一一. いる小鳥やウサギの世話を面白がって手伝っていたが、. 週間で問題がおきた。. 幼稚園生活に慣れるにしたがって、自分なりに遊びにめ. ・誰もかわってくれず一人で何日も当番をしなけれけ. あてをもつようになると、仕事と割り切り、責任をもっ. ばならない幼児がいる。. て行い手早く済ませて好きな遊びへとうっる。 「T. U児の場合」. うまく交代ができているグループとできないグルー. ・初めての集団生活で、友達とどの様にかかわったらい. プがあるのは、グループ内での力関係の微妙なとこ. いのか分からず自己主張し、自分の思いが通らない時は. ろであろう。また、交代ができなかったグループは. 大声で泣いたりわめいたり相手をたたくこともあった。. 互いの思いを受け止め合う信頼関係を築いていなかっ. 当番の仕事につの話し合いで誰も気付かなかった「トイ. たからであろうが、このような事をきっかけとし相. レ掃除」に気付いて、友達と二人で行う中で「昨日、私. 手の思いにも気付いていくようになると考える。. 食事が遅かったから、 Nちゃんが(トイレ掃除)してく れたから、今日は私がするの!」と認め合った友達関係. T ・幼稚園生活を快適に過ごすために必要な仕事は何だ ろう?したい仕事、自分の力でできると思う仕事は何. をつくっていけるようになってきている。 「Y. A児の場合」. だろう?と幼児に問いかける。. ・U子とは気が合い、誘いあって遊ぶことが多くなって. ・再びクラスで話し合い当番の仕事について考え合っ. いる時、 U子の欠席が蝣3 S続いたあるE]のN子との. た。. 会話。 「U子ちゃんお休みの時、私、手伝おうか?」 N. ・保育園での経験から、家庭での生活から具体的にど のような仕事があるか話し合った後に、幼児自身が自. 子は喜んで申し出を受け、二人で毎日誘い合って当番の 仕事をするようになった。.
(11) 幼児の「ふさわしい生活」を支える保育の研究. ・二人が楽しそうなのを見て、他の幼児も時々手伝うよ. 157. Ⅵ求められる「ふさわしい生活」のかたち. うになった。 「K. K児とN. A児の場合」. 「幼児をしてそれにふさわしさ幼稚園生活に生かしめ. ・はじめはウサギのうんちや野菜くずの掃除を嫌がり、. よ」の倉橋から「幼児にふさわしい環境を用意して、そ. 友達に二人で押しつけていたが、教師と共に毎日掃除す. の中で幼児を生活させることがきわめてだいじである」. ることにより、「毎日したら、うんち、少ない」と、気. の旧教育要領をへて、幼児期にふさわしい教育のあり方. 付き抵抗感がなくなっていった。この二人は、当番につ. として「環境を通して行う教育」とし、 「幼児の主体的. いて話し合うきっかけとなったグループの幼児で、自分. な活動を促し、幼児期にふさわしい生活が展開されるよ. の思いを出し合える友達との間では活動的に遊べるが、. うにすること」の現教育要領につながっている。. 意に添わない全体の掃除や片付けに対しては、消極的で あった。 ・そこで職員室へ荷物をとりに来るよう頼んだ。先生方. つまりは、幼児教育の本質は変わらず、 「幼児のふさ わしい生活」はこれからも守り、育てていくべきもので ある。. に朝の挨拶をしたり、 「今日も頼むわね。ありがとう、. 幼児にとっての「ふさわしい生活」は、幼児が生涯に. 毎日えらいね」の言葉をかけてもらったりすることで、. わたって自分に正直に「前向き」に歩み、人と育ち合う. 責任をもって仕事をすると自分も周りの人も気持ちいい. 関係をっくっていく土壌をっくり、 「生きる力」を培う. ことが分かり、当番の仕事に対しても友達と誘い合って. 生活である。そして、教師が幼児にとっての「ふさわし. 進めることができるようになった。. い生活」を構成する際に留意したい点は、生活環境を単. (6)考察. なる「場所」 「物」 「人」とのかかわりをっくるだけでな. それぞれの幼児が、自分の生活に必要だと感じ考えて 取り組む当番(仕事)は、幼稚園生活を幼児自身が快適. く、 「情況」をつくっていくことである。. 「情況」は、幼稚園生活においては、幼児個人が「友. に過ごすための方法や技術を身につけ、友達とのかかわ. 達とのかかわり」の中で、 「家庭生活との意識の循環」. りや教師の援助により、 「自分でくらしを創る力」を育 てる直接的・具体的体験であったと考える。. の中で、 「地域社会とのかかわり」の中で、教師と共に. (7)実践上の課題 自分で考え取り組んできた当番の仕事であったが、自. つくりだしていきたいものである。 最後に、 「幼児のふさわしい生活」の側面と育つもの を、日々の幼児の姿を通し、教師の願いを込めて示し、. 分の仕事がうまくできるようになると他の友達がしてい る仕事に関心が向き、 7月に入ると自分達で交代を行う. (表6)まとめとしたい。. ようになった。しかし、その交代がうまくいかず、保育. 引用・参考文献 (1)大場牧部夫・高杉白子・森上史朗編著1989 『幼稚 園教育要領解説』フレーベル館 (2)高杉白子・野村睦子監修1989 『新幼稚園教育要領. 室の掃除が二人だけになってしまったり、トイレ掃除の 幼児がいなくなってしまったり、交代した仕事に対する 責任感が薄い状態になる。クラスで何か困ったことがあ るたびに、もっと過ごしやすい「くらし」にするために また、より豊かな「くらし」にするために、話し合う習 慣をもちたい。 当番(仕事)をどのように幼児の「くらし」に結び付. を読みとるために』ひかりのくに (3)高杉白子1989 「これからの幼稚園教育の方向を探 る①生活の場としての幼幼稚園」 (女性文化研究所紀. けるか!教師側に課題がある。当番(仕事)は「幼稚園. 要pl3-26) (4)倉橋惣三1976 『幼稚園真諦』フレーベル館. 教育指導書」にあるように、 「生活習慣」と「遊びを中. (5)文部省1968 『幼稚園教育指導書一般編』フレーベ. 心とする」の区分にあてはめると、どちらであろうか。 「生活習慣」としてぜひとも身につけさせたい「自立を. (6)文部省1989 『幼稚園教育要領』大蔵省印刷局. 促す活動」として指導するのか、 「遊び」として楽しん で行おうとする「自発的活動」として指導するのか。当. ル館. (7)文部省1989 『幼稚園教育指導書』フレーベル館 (8)群馬大学教育学部附属幼稚園1997 「幼児期にふさ. 番の仕事を毎日の役割と幼児が自覚した場合、幼児にとっ. わしい幼稚園生活の創造一小学校との連携-」 (平成. て当番(仕事)は「遊び」であろうか。 「生活習慣」で. 8年度研究紀要). あろうか?本来、区分Lがたいものとしてぼかしたまま でいいのであろうか? そこで、本園では、 「遊び」として導入すると共に、 「集団としての活動」としての自覚を促し、 「自立を促す 活動」として身につけさせていく方向で進めていく。. (9)静岡大学教育学部附属幼稚園1997 「幼児にふさわ しい生活-こどもらしく育っとは-」(平成8年度研究 紀要) (10)奈良女子大学文学部附属幼稚園1996 「一人一人が 主体的に活動し、幼児期にふさわしい園生活を過ごす.
(12) 158. ために」 (幼年教育研究会研究報告). るために-」 (第28会高知大学教育学部附属幼稚園研. (ID香川大学教育学部附属幼稚園高松園舎・附属高松小 学校1996 「幼児期にふさわしい生活を創る」 (学習指. 究会冊子) (13)姫路市立網干幼稚園1996 「友達と遊びを創りだし. 導研究発表会冊子). 自信をもって生活する幼児の育成」 (平成8年度姫路. (12)高知大学教育学部附属幼稚園1995 「新しい教育課. 市立幼稚園教育自主研究会冊子). 程の編成をめざして-幼児期にふさわしい生活を送る. 表6生活相にあった「ふさわしい生活の側面と育つもの」. ふさわしい生活の側面. 育つもの. 「. . 自尊 感 情 . 他 者 との信 頼 感. ①. . た だ一 人 の存 在 と して受 け入 れ て くれ る大 人 と の生 活. 安 定 した. . 気 持 ち の よ り ど こ ろ とな る居 場 所 のあ る生 活. . 安 定 した 心 情. . 物 語 や イ メ ー ジ の世 界 に存 分 に ひ たれ る生 活. . 想 像力. 生活相. ②. . 興 味 関心 の 中 に 楽 しさ を見 つ け る生活. 自発 的. . 直 接 的、 具 体 的 体 験 が得 られ る生 活. . 本 物 と の 出会 い の 喜 び. . 感 動 や思 い を 共 有 す る友 達 との 生 活. . 共 有 す る喜 び. 生活相. ③. . 自 由 な発 想 や イ メ ー ジを実 現 で き る生 活. 意欲的. . 自分 の よ さを発 揮 し認 め られ る生 活. 生活相. ④ 自主 的 生活相. ゥ 主体的 生活相. . 思 い っ き り身 体 を動 かす 生 活. 全生活 相 に かか わ る. . 自 己表 現 の 楽 しさ . 創 りだ す 喜 び . 自己 実 現 の承 認 . 生 活 実 感 . 身 体 を 動 か す 喜 び と尊 さ. . 自分 な りの課 題 に取 り組 む生 活. . 達成感、次 への意欲. . 思 い を循 環 させ な が ら営 む生 活. . 思 い を豊 か に、 確 か に表 現 す る力. . 体 験 に よ り知 識 や 技 能 を獲 得 す る生活. . 知 識 技 能 を獲 得 す る喜 び. . 自 由 に な らな い 自然 の生 き物 と付 き合 う生 活. . 自然 観 (矛 盾 の肯 定 ). . 乗 り越 え られ そ う な困 難 に立 ち 向 か う生 活. . 失 敗 に く じけ な い 意 欲. . 違 う価 値 感 を も っ た友 達 と (主 張 や ぶ つか り拒 否 葛 藤. . 他 者 も大 切 に す る態 度. を へ て) 認 め合 う生 活. CD -. . 充実感 . 満 足感. . 手 に負 え る 自然 の生 き物 と付 き合 う生 活 . 夢 中 で取 り組 む 友 達 か ら学 ぶ 生 活 . 大 人 の技 能 や技 に触 れ た り、 生 活 を共 に した り して 、 文 化 や生 活 の仕 方 を身 に つ け る生 活 . 美 しい もの、尊 い もの、 あた たか い もの、にふ れ る生 活. . 様 々な感情. . 自然 観 (喜 び . 感 謝 ) . 真 似 る喜 び . 人 の あ た た か さ に触 れ る喜 び . 地 域 の文 化 . 生 活 力 . 循 環 す る意 識 . よ り豊 か な 価 値 観.
(13) 幼児の「ふさわしい生活」を支える保育の研究. 159. A Study of the Curriculum and Instruction for Early Childhood Based on the Worthy Life in Kindergarten. Tetsuya. SATO・Kinko. INOUE. 'Yukitane. TANAKA. This paper attempts to show the ``WORTHY LIFE " for early childhood education. Nowadays the conditions around the little children is not "WORTHY" for them. Because the social environments and the sense of values in our society have drastically changed. With the domestic enviromnment, "home" is not becoming the best place for the children but just the place for eating and sleeping. And it seems that parents tend to eager for the visible success of the education. Also with the local environments around the little children, there has been becoming little space in which they can play feeling easy even in the countryside, so they are going away from the nature, and they can't have time to play together. Among the kindergartens they can't stop giving some ``UPBRINGINGS" according to parents'requests. We (above three persons) want to make clear that we all the Japanese do need the space for the ``WORTHY LIFE" for the early childhood just now to prove this assertion. We compare the. new and the old "course of study for the kindergartens by the ministry of education and examme the research and education by the kindegartens attached to national universities and the daily education in Aboshi Kindergarten in Himeji City. 1. Introduction: The Motive and Purpose of the Research 2. Thinking of the Meanings of the ``WORTHY LIFE" showing in the "course of study for kindergartens by the Ministry of Education 3. "WORTHY LIFE" in the Research by the National Kindegartens 4. A real "UPBRINGING" Supporting "WORTHY LIFE"(from the daily education by Aboshi Kindergarten in Himeji City) 5. Conclusion: Requested ``WORTHY LIFE". key. words:. worthy. life・early. education・course. of. study.
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