ME革新と日本の労働システム
著者
冨田 義典
号
80
発行年
2000
品
冨
た
田
批
義
功
典
学 位 の 種 類
博
士(経 済学)
学 位 記 番 号
経
第80号
学位授与年月 日
平成12年7月13日
学位授与 の要件
学位規則 第4条 第2項 該当
学 位 論 文 題 目ME革
新 と 日本 の労働 システム
論 文 審 査 委 員(主
査)
教
授
野
村
正
實
教
授
平
本
厚
論
文
内
容
要
旨
本 研 究 の主 題 は 、 日本 の製 造 業 に お け る マ イ ク ロ エ レク トロニ ク ス(以 下ME)革 新 の進 展 と労 働 シ ス テ ム の 変 容 の 解 明 で あ る。 こ の テ ー マ に 関 って 、 踏 ま え る べ き 先 行 研 究 と して は 、1980年 代 の労 働 者 ス キ ル 論(小 池 和 男 の 研 究 な ど)、1990年 代 の 生 産 シス テ ム論 を あ げ る こ とが で き る。 こ れ らは多 くの 実 証 上 の成 果 を あ げ た が 、 労 働 者 ス キ ル 論 は、 労 働 力 編 成 論 や 組 織 論 へ と展 開 しづ ら い点 、 生 産 シ ス テ ム論 は 生 産 分 業 シス テ ム や 生 産 管 理 の観 察 に成 果 を あ げ た 反 面 、 分 析 の射 程 に 技 術 的 要 素 を 含 み え て い な い点 で 、 限 界 を 有 して い た。 ま た 、 両 者 に よ って 得 られ た知 見 が 有 機 的 に 接 合 さ れ た と は い いが た い面 もあ る。 本 研 究 で は、 この 両 研 究 で 採 用 され た 分 析 の枠 組 み を 取 り こ み な が ら も、 そ れ らを 整 序 ・精 緻 化 す る こ と に よ り、 上 述 の 限 界 を多 少 と も踏 み 越 え よ う と試 み た。 本 研 究 で採 用 した分 析 の 枠 組 み は 以 下 の 三 点 に ま と め られ る。 (1)労 働 力 編 成 論:従 来 の労 働 力 構 成 の 研 究 に は、 職 場 を 構 成 す る主 要 な労 働 力 類 型 に 分 析 を集 中 す る き ら い が あ った 。 本 研 究 で は 、 そ う し た典 型 論 で は職 場 の 労 働 組 織 の研 究 に は っ な が らな い と 考 え 、 まず は労 働 力 の 類 型 を 余 す と こ ろ な く描 き、 職 場 の特 性(製 品 の市 場 特 性 、 機 械 設 備 のME 化 の 程 度 な ど)に よ って 職 場 の 労 働 力 類 型 の編 成 の あ り方 に ど の よ うな 特 徴 が あ らわ れ るか に観 察 の主 眼 を お い た。 さ らに そ の労 働 力 編 成 論 を 、 内部 労 働 市 場 の 構 成 要 素 の あ り方 、 そ の 構 成 の 変 化 、 内 部 労 働 市 場 と外 部 労 働 市 場 と の 接 合 関 係 の 変 化 の 分 析 へ と っ な げ よ う と した。② 生 産 分 業 シス テ ム と労 働 の分 析:日 本 の製 造 業 は 多 層 的 な企 業 間 関 係 か らな る生 産 分 業 シ ス テ ム を 有 す る。 本 研 究 で は、 生 産 分 業 シ ス テ ム を 構 成 す る企 業 階 層 に 沿 って 、 ど の よ うに 製 造 工 程 が 分 割 され 、 機 械 設 備 が 展 開 し、 設 備 のME化 が 進 展 して い る か を 観 察 し、 企 業 階 層 ご と の 労 働 者 の技 能 の特 性 を 把 握 す る こ と に よ り、 労 働 力 編 成 の 企 業 階 層 的 特 質 を 探 り、 企 業 階 層 ご と の 労 働 条 件 の 差 の基 礎 を 検 出 し よ う と した 。 ③ 生 産 管 理 シ ス テ ム の 分 析:要 員 管 理 の 観 察 を軸 に、 産 業 部 門 、 当 該 職 場 の 製 品 の 市 場 特 性 、 設 備 のME化 の 進 展 度 の 相 違 に よ る 能 率 管 理 の あ り方 の 変 化 を 検 出 す る。 と くに 先 端 の 設 備 で あ る FA、CIMに お け る能 率 管 理 に ど の よ うな特 徴 が み られ るか に 観 察 の重 点 を お く。 能 率 管 理 の あ り 方 は労 働 組 織 の あ り方 の 大 枠 を規 定 し、 ま た設 備 革 新 の 進 展 を反 映 す る もの で あ る か ら、 能 率 管 理 の分 析 が 本 研 究 の 分 析 の締 め く く りの 位 置 を しめ る こ と に な る。 本 研 究 は、 以 上 の よ うな 分 析 の 枠 組 み を 設 定 した上 で 、 製 品 の市 場 特 性 が 多 品 種 で あ る機 械 産 業 、 相 対 的 に量 産 特 性 の 強 い 自動 車 産 業 、 量 産 特 性 の 顕 著 な 自動 車 部 品 産 業 、 多 品 種 特 性 と量 産 特 性 を 並 存 させ る化 学 産 業 、 多 品 種 特 性 が 強 く設 備 革 新 の 進 ん だIC産 業 を対 象 と して 、 事 例 調 査 を 実 施 した。 そ れ らか ら引 き 出 さ れ た実 証 結 果 を ま と め る と以 下 の とお りで あ る。 得 られ た知 見 を 上 記3 項 目 に そ って 紹 介 す る。 (1)労 働 力 編 成 に つ い て:本 研 究 の実 証 が 示 唆 す る と こ ろ は、 一 般 に 日本 の製 造 業 に た い して い だ か れ る こ と の多 い、 フ ラ ッ トな イ メ ー ジで そ の 労 働 力 編 成 を 捉 え る こ と は む ず か しい と い う点 に あ る。 職 場 に は、 多 様 な労 働 力 の類 型 が 存 在 して お り、 現 場 エ ン ジ ニ ア、 職 長 、 保 全 工 、 段 取 り専 門 工 、 機 械 オ ペ レー タ等 が 存 在 し、 そ れ ら は職 場 の お か れ た 環 境 条 件(産 業 部 門 、 企 業 の 階 層 上 の 位 置 、 製 品 の 市 場 特 性 、ME化 の 程 度)に よ っ て さ ま ざ ま な形 で 組 み 合 わ さ れ て い る。 多 品 種 特 性 の 強 い職 場 で あ れ ば、 段 取 り専 門 工 と職 長 ク ラ ス の 労 働 力 の 厚 み が 増 す 。ME化 の 進 ん だ 職 場 で は保 全 工 が 多 くな り、 と くに 先 端 的 設 備(CIMな ど)で あれ ば 保 全 工 と機 械 オ ペ レー タ の技 能 形 成 キ ャ リア が 独 立 的(別 建 て)と な り、 さ らに は保 全 工 の 内部 に 専 門 分 野 ご との 技 能 形 成 キ ャ リア が 分 化 す る傾 向 が み られ る。 と くに 本 研 究 で は、 これ ま で の 実 証 上 の1っ の争 点 と な って き た 保 全 工 の 人 数 規 模 や 仕 事 内容(オ ペ レー タ と の分 担 関 係)、 キ ャ リア展 開 に つ い て の 一 定 の 結 論 を提 示 す る こ と が で き た 。 以 上 の よ うな 労 働 力 類 型 ご と の キ ャ リ ァ の分 立 化 傾 向 は 内 部 労 働 市 場 の 構 成 に も影 響 を与 え る こ と に な る。 そ の キ ャ リ アの 分 立 化 は設 備 が 先 端 化 す る ほ ど 顕 著 に な り、 そ う した職 場 で は各 労 働 力 類 型 の 柔 軟 な配 置 が む ず か し くな る傾 向 が あ る。 そ の こ と は、 内 部 労 働 市 場 の 編 成 原 理 に そ く して 言 え ば 、 内 部 労 働 市 場 の 内 部 の仕 切 りが 強 くな りっ っ あ る と い う こ と で あ る。 内部 労 働 市 場 の こ う した 内 部 の 仕 切 りの 存 在 は、 人 員(数)管 理 の 柔 軟 性 を 低 下 させ る こ とに な る。 そ こで そ れ を緩 和 しよ う と して 、 現 在 ブ ル ー カ ラ ー の人 員 管 理 の単 位 を よ り高 次 の(工 場 レベ ル か ら本 社 レベ ル で の) 管 理 へ と移 す な ど の 管 理 様 式 の変 化 が 生 じつ っ あ る。 さ ら に そ う し た 内部 労 働 市 場 の硬 直 化 を、 内 部 と外 部 の 労 働 市 場 の 境 界 を緩 め る こ と に よ り緩 和 しよ う とす る動 き もみ られ る。 そ の さ い 、 内部 労 働 市 場 内 部 の 、 仕 切 られ た 領 域 ご と に外 部 労 働 市 場 と の接 合 関 係 を 有 す る形 が と られ る こ と(保
全 工 の ア ゥ トソ ー シ ング な ど)に 注 意 す べ きで あ る。 ② 生 産 分 業 シス テ ム と労 働:こ の テ ー マ に 関 して は 自動 車 部 品 工 業 を 分 析 した 。 同 工 業 の な か か らME化 の 進 ん だ ギ ア製 造(金 属 切 削 加 工)系 列 と、ME化 の 進 展 の 緩 や か な 車 体 部 品 製 造(金 属 プ レス)系 列 を選 択 した 。 車 体 部 品 製 造 系 列 の 観 察 か らは、 生 産 分 業 シス テ ム を 形 成 す る企 業 階 層 間 に さ した る量 産 規 模 の 差 は 見 られ な い が 、 企 業 階 層 ご と に労 働 装 備 率 に 差 が あ り、 そ れ が 生 産 設 備 に階 層 的 特 性 を もた ら し、 技 能 に お け る階 層 的 特 質 を生 じさ せ、 労 働 条 件 の 階 層 差 の基 礎 と な っ て い る こ とを しめ した 。 他 方 、 ギ ア製 造 系 列 に お い て は、 生 産 分 業 シ ス テ ム の下 位 階 層 の 企 業 に も ME技 術 が 浸 透 し、 同 時 に 自動 車 部 品 工 業 の需 要 規 模 の 大 き さ が そ う した 下 位 階 層 の 企 業 に ま で 高 い 量 産 性 を もた らす の で、 下 位 階 層 の 企 業 に も上 位 階 層 の 企 業 と比 べ て さ して 遜 色 の な い 高 い 専 用 性 を もっME設 備 が 展 開 し、 そ う し た職 場 で は エ ン ジニ ア と ボ タ ン プ ッ シ ャ ー化 し た低 熟 練 オ ペ レ ー タ とか らな る単 純 な労 働 力 編 成 の 形 が と られ る こ とが 多 くな る。 こ の よ う にME化 の 進 展 に よ って 技 能 の 階 層 的 性 格 は希 薄 化 して い る と推 量 で き るが 、 他 方 で 労 働 条 件 の 階 層 差 は厳 然 と して 残 って い る。 そ の 差 の根 拠 は 技 能 の あ り方 等 の 経 済 的 要 素 か ら は説 明 しづ ら く、 賃 金 交 渉 制 度 な ど か らな る労 使 関 係 の 諸 制 度 の あ り方 か ら説 か れ る べ きで あ る こ と を 本 研 究 で は示 唆 した。 自動 車 部 品 工 業 の もっ 量:産的 特 性 は 生 産 分 業 シス テ ム を 構 成 す る各 階 層 の 企 業 の 労 働 需 要 の あ り 方 に も1つ の 特 徴 を もた らす こ と に な る。 同 工 業 で は一 般 に い わ れ て き た よ う な 同 一 部 品 の 併 注 は 少 な く、 同 一 部 品 は1社 へ の 全 量 発 注 が 基 本 とな って い る(量 産 性=規 模 の 経 済 を 保 証 す るた め)。 した が って 同 一 車 種 の部 品 の受 注 に 観 察 の 局 面 を 限 定 す る な ら、 当 該 車 種 の 部 品 を 受 注 して い る企 業 で あ れ ば企 業 階 層 の い か ん を 問 わ ず 、 そ の 労 働 需 要 の 増 減 率 は 当 該 車 種 の 生 産 台 数 の増 減 率 に一 致 す る こ と に な る。 各 企 業 は複 数 の 車 種 の部 品 を 受 注 して い るの が 実 際 で あ り、 企 業 階 層 が 異 な れ ば 受 注 車 種 の組 み合 わ せ が 異 な る の で 、 階 層 ご と、 企 業 ご と に労 働 需 要 の 増 減 率 に 差 は 出 る が 、 量 産 特 性 に 富 む 自動 車 部 品工 業 の 圏 内 に あ る企 業 に は 階 層 を 問 わ ず 一 定 の 比 率 で 労 働 需 要 を 増 減 さ せ る上 記 の特 性 が 作 用 す る構 造 に な って い る 。 こ の 観 察 結 果 は 、 下 請 シ ス テ ム=雇 用 バ ッ フ ァ ー説 (生 産 の 低 迷 局 面 で は、 上 位 企 業 は下 位 企 業 か ら生 産 を 吸 い 上 げ、 増 産 期 に は上 位 企 業 は下 位 企 業 へ の 発 注 を 増 加 させ る傾 向 が あ る とす る説)へ の 反 証 を な して い る。 (3)生 産 管 理 シス テ ム:生 産 管 理 に 関 して は、 シ ス テ ム化 し大 型 化 し たME設 備(CIM、FA)に お け る 管 理 に重 要 な 変 化 の 兆 しを 観 察 す る こ と が で き た 。 大 型ME-設 備 で 、 か っ モ デ ル チ ェ ン ジ の 多 い 職 場 で は 、 モ デ ル チ ェ ン ジ当初 は 設 備 の 稼 働 率 が 低 迷 す る こ とが 多 く、 そ れ ゆ え 保 全 業 務 の 工 数 が 嵩 み 、 定 型 的 能 率 管 理 が 利 か な くな る ケ ー ス が 多 い 。 と りわ け今 日の 組 立 系 の 大 型ME設 備 で は モ デ ル チ ェ ン ジが 頻 繁 で あ るか ら、 稼 働 率 の 低 迷 と保 全 業 務 の 工 数 の増 加 と い う事 態 は め ず ら し くな い 。 そ の 結 果 、 保 全 工 の 要 員 管 理 に以 前 に は な か った む ず か しさ が 加 わ る こ と に な る。 そ れ に対 して は 、 保 全 工 の作 業 の 見 直 しを 徹 底 し(作 業 改 善)、 定 型 的 保 全 部 分 を リス トア ップ し、 定 型 保 全 を 機 械 オ ペ レー タの 担 当 業 務 に振 り替 え る、 ま た は外 部 化(派 遣 労 働 化 な ど)す る 方 策 が と られ っ っ あ る。 前 者 に つ いて は、 そ も そ も工 数 の設 定 の 容 易 で な い 保 全 業 務 を少 なか らず オ ペ レー
タ業 務 に抱 え こむ こ と に な る の で 、 オ ペ レ ー タの 要 員 配 分 に む ず か しい 面 を 持 ち こ む こ と に な る。 先 に も紹 介 した よ うな 各 種 労 働 力 類 型 間 の キ ャ リア が 分 立 化 す る状 況 の な か で は 、 そ う し た要 員 管 理 の困 難 は よ り深 刻 化 し、 労 働 者 類 型 間 の 仕 事 の 割 り振 り と要 員 配 分 に新 た な 工 夫 が 求 め られ る よ うに な って い る。 今 の と こ ろ新 機 軸 と よ べ る ほ ど の新 た な 手 法 が 生 ま れ て い る わ け で は な く、 そ う した管 理 の行 き詰 ま り は、 職 長 の 管 理 能 力 に 依 拠 して 解 消 さ れ る の が 一 般 的 で あ る。 そ の 結 果 、 職 長 層 へ 昇 進 す る労 働 者 の 選 抜 と職 長 の 育 成 に 徐 々 に変 化 が 生 じっ っ あ り、 そ れ が 職 場 の 労 働 者 集 団 (組織)の これ ま で の あ り方 を強 くゆ さ ぶ る お そ れ が あ る こ とを 示 唆 した 。 能 率 管 理 に つ い て は、 も う一 点 重 要 な観 察 結 果 が 得 られ た 。 大 型ME設 備 の 稼 働 す る職 場 に お いて は、 と く に モ デ ル チ ェ ン ジの 前 後 に は、 保 全 工 の 能 率 実 績 と機 械 オ ペ レー タの 能 率 実 績 との 間 に大 き な 差 が 生 ず る こ と が しば しば あ る。 と こ ろが 両 者 の 処 遇(一 人 あ た りの 賃 金 額)に お い て は 両 者 の 学 歴 が 同 一 で あ る こ と を根 拠 に差 を っ け な い こ とが 基 本 と され て い る。 ど ち らか と い え ば 能 率 実 績 の 波 動 が 小 幅 で あ るオ ペ レー タ の 実 績 が べ 一 ス とな って 両 者 の 賃 金 額 は決 め られ る。 す な わ ち、 処 遇 の 均 等 慣 行 と能 率 実 績 の 上 下 の バ ラ ッ キ の 拡 大 とが 齪 擁 を 来 す お そ れ が 生 じて い る。 そ れ は、 保 全 工 数 の 増 加 傾 向 、 モ デ ル チ ェ ン ジ の 頻 度 の 高 さ、 さ らに は モ デ ル チ ェ ン ジ に要 す る期 間 の 短 縮 要 請 の 強 ま り と あ い ま っ て 、 能 率 管 理 を 製 造 コ ス ト管 理 へ と連 鎖 させ る回 路 上 の 障 害 を大 き く す るお そ れ に も な って い る。 こ う した 管 理 の あ り方 と コス ト管 理 に か か わ る 問 題 は、 保 全 工 とオ ペ レー タ との 技 能 上 の 隔 た りが 大 き くな りっ っ あ るな か で 、 両 者 の キ ャ リア上 の 関 係 の再 編 と、 両 者 の処 遇 制 度 上 の 変 更(処 遇 の 別 建 て 化 、 実 績 給 化 な ど)を 要 請 して い る。 こ う し た困 難 な 制 度 変 更 を要 請 さ れ る地 点 に 今 日 の製 造 業 の現 場 管 理 は逢 着 しっ っ あ る と い う こ とが で き る。
論 文 審 査 結 果 の 要 旨
本 論 文 は、 実 態 調 査 に よ って 、 マ イ ク ロ エ レ ク トロ ニ ク ス革 新 が 労 働 シス テ ム に ど の よ うな 影 響 を 与 え た の か を 分 析 した もの で あ る。 分 析 対 象 は 自動 車 産 業 、 化 学 産 業 、 半 導 体 産 業 な ど、 加 工 組 立 産 業 と装 置 産 業 を カ バ ー して い る。 本 論 文 の重 要 な論 点 は 、 以 下 の ご と くで あ る。 第1に 、 生 産 労 働 者 の 中 に さ ま ざ ま な労 働 力 類 型 が あ る。 保 全 工 とオ ペ レー タ と で は技 能 形 成 キ ャ リア が ま った く異 な っ て お り、 訓 練 シ ス テ ム も は っ き り と分 け られ て い る。 内 部 労 働 市 場 と い っ て も、 保 全 工 と オ ペ レー タ とで は異 な る労 働 市 場 に属 して い る の で あ る。 第2に 、ME化 は設 備 投 資 を増 大 させ た だ け で な く、 労 働 編 成 に お い て保 全 工 の 役 割 を量 的 に も 質 的 に も増 大 さ せ た。 そ の た め 能 率 管 理 と要 員 管 理 の両 面 に お い て新 しい 管 理 方 式 が 要 請 され て い る。 新 しい管 理 方 式 は 、 これ ま で の 職 場 集 団 あ り方 を大 き く変 え る可 能 性 を 持 っ て い る 。 本 論 文 は、 こ れ ま で 研 究 さ れ る こ と の ほ と ん ど な か った 保 全 工 に っ い て、 保 全 工 の キ ャ リア が 直 接 生 産 労 働 者 と別 個 の もの で あ る こ と を 実 証 す る と と もに 、 保 全 工 の 仕 事 内 容 を 明 らか に して い る点 で 、 内 部 労 働 市 場 論 と分 業 論 に 貢 献 して い る。 ま た 、 日本 型 企 業 間 関 係 の な か でME化 が 労 働 の 質 に及 ぼ す 影 響 を分 析 した こ と も、 学 界 へ の貢 献 で あ る。 本 論 文 の 問 題 点 と して は、 総 括 の 部 分 に お いて 、 個 別 の 実 証 か ら は直 接 に はや や 無 理 な 一 般 的 命 題 を打 ち 出 して い る こ と が 指 摘 で き る。 も う少 し慎 重 な 総 括 が 必 要 で あ っ た と思 わ れ る。 しか し こ の 問 題 点 は、 丹 念 な事 例 研 究 の 価 値 を 否 定 す る もの で は な い 。 よ って 本 論 文 は博 士(経 済 学)論 文 と して合 格 で あ る と判 定 す る。