Author(s)
玉城, 隆雄
Citation
沖縄県女性史研究 = BULLETIN OF WOMEN'S HISTORY
IN OKINAWA(1): 5-32
Issue Date
1997-03-28
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12001/8444
家 族 は どう 変 わ っ た か 一 近 ・ 現 代 家 族 を 中 心 に
玉
城
隆
雄
は じ め に 本 稿 の 目 的 は、 新 沖 縄 県 史 の 女 性 史編 の 一 環と して、 家 族 に関 す る 調 査 研 究 の 視 点 を 明 ら か に し、 同 時 に そ の 視 点 に 基 づく 調 査項 目 を系 統 的 に 提 示す る こ と で あ る。 本 稿 を た た き 台 (案) と し て、 女 性 史 編専 門 部会 は今 後 議論 を 積 み 重 ね、 沖 縄 の 家 族 と そ の 変 動 に 関 す る 調 査 項 目 を 設 定 す る こ と に な ろ う。 家 族 が 結 婚 の 機 能 と し て 形 成、 離婚 の 機 能 と して 解 体 する か ぎり、 当 然 の こ と な が ら 結 婚 ・ 離 婚 ・ 再 婚 も 調 査 事 項 に 含 め る 必 要 が あ る 。 家 族 は 社 会 体 系 と し て 社 会 に 開 か れ て い る の で、 社 会 変 動 によ る 家 族 へ の 諸 影 響 を 正 し く 認 識 し た 上 で、 家 族 変 動 を 考 察す る こ と が 肝要 で あ る。 工 家 族 へ の ア プ ロ ー チ (1) 制 度 的 ア プ ロ ー チ 社 会 ・ 文 化 に よ っ て 家 族 の 類 型 は 違 う と 言 わ れ る。 ま た、 研 究 者 の 数 ほ ど、 家 族 の 定 義 が あ る と 言 わ れ る 。 つ ま り、 家 族 を 捉 え る 視 点 の 違 い に よ っ て 描 き 出 さ れ る 家 族 像 は さ ま ざ ま で あ ろ う。 し か も、 方 法 論 上 の 視 点 や ア プ ロ ー チ の 枠 組 み を 構 成 す る 概 念 は、 社 会 ・ 文 化 に よ っ て 異 な ろ う 。 例 え ば、 家 族、 夫 婦 関 係、 親 子 関 係 等 の 言 葉 が、 言 葉 と し て は 共 通 に 使 わ れ て い る に し て も、 そ の 概 念 内 容 は 社 会 ・ 文 化 ・ 地 域 ・ 時 代 等 に よ っ て 一 致 し て い る と は か ぎ ら な い。 従 っ て 、 家 族 の 近 代 化 を 「制 度 か ら 友 愛 へ」 (E.Burgess) と、 変 化 の 方 向 性 を 図 式 的 に 描 い て も、 そ の 内 容 は 当 該 社 会 の 歴 史 的 刻 印 を 受 け て 多 様 な 道 筋 を た ど る で あ ろ う 。 例 え ば、 家 族 史 に お け る 近 代 化 と い え ば、 一 般 に ヨ ー ロ ッ パ で は、 家 父 長 制 か ら の 家 族 員 (個 人) の 解 放 で あ り、 と り わ け 女 性 の 解 放 を 意 味 し た。 半 面、 日 本 で は 明 治 維 新 を 近 代 化 へ の 一 つ の 転 換 期 と み れ ば、 そ れ は 日本 的 な イ エ 制 度 (直 系 家 父 長 制) を 整 備 ・ 強 化 す る 過 程 で あ っ た。 制 度 と して の 女 性 をイ エ の 中 に 構 造 的 に 組 み 込 ん で いく 歴 史 的 過 程 で あ っ た。 こ の よ う な 観 点 か ら、 家 族 の 変 化 を 明 ら か に す る に は、 制 度 的 ア プ ロ ー チ が 必 要 で あ る。 一 5 一家 族 制 度 の 変 化 を 系 統 的 に 跡 づ け て い く に は、 当 該 社 会 の 文 化 的特 質 を 視 野 に 入 れ て、 そ れ を 歴 史 的 に 考 察 し て い く こ と が 不 可 欠 で あ る。 ま た、 家 族制 度 に は、 戸 籍 の よ う な 法 制 度 的 な フ ォ ー マ ル な 側 面 も あ る が、 日 常 ・ 非 日 常 の 家 庭生 活 に お い て、 家 族 機 能、 家 族 関 係 や 行 動 パ タ ー ン 等 を 規 制 し て い る の は、 む し ろ、 家 族 の 生 活 文 化 と し て の 家 族 慣 行 で あ る 。 家 族 慣 行 は 地 域 社 会 に 根 ざ し て い る の で、 そ う い う 観 点 か ら す れ ば、 家 族 に 地 域 性 が 現 れ る こ と に な る 。 だ と す れ ば、 日 本 の 中 で 「沖 縄 の 家 族」 が 存 在 す る こ と に な る。 沖 縄 の 家 族 の 特 性 を そ の 制 度 的 側 面 か ら 追 求 す る な ら ば、 そ の 歴 史 的 考 察 が 必 要 で あ る。 な お、 制 度 的 ア プ ロ ー チ を 支 え る 概 念 と し て の 制 度、 社 会、 文 化、 文 化 型、 文 化 差、 機 能、 地 位、 役 割、 規 範 等 の 吟 味 が 必 要 で あ る。 (2) 構 造 ・ 機 能 的 ア プ ロ ー チ 家 族 は 夫 婦 関 係 を 基 礎 と し て、 親 子・ 兄 弟 等 の 少 数 の 近 親者 か ら構戒 さ れ て い る 小 集 団 で あ り、 親 族 体 系 で あ る。 そ の 内 部 構 造 は 地 位 ・ 役 割 の 体 系 を な し、 分 化 ・ 組 織 化 ・ 境 界 維 持 ・ 均 衡 傾 向 の 過 程 を た ど る 傾 向 に あ る。 つ ま り、 家 族 の 内 部構 造 は、 役 割 (分 業) 構 造、 勢 力 (権 威) 構 造、 情 緒 構 造、 価 値 構 造 に 分 化 し、 それ ぞ れ に 対 応 し た 機 能 的 要 件 が 遂 行 さ れ る こ と に よ っ て、 全 体 と し て の 家 族 体 系 が 維 持 さ れ て い る。 家 族 体 系 の 中 で、 夫 婦 関 係、 i親 子 関 係、 兄 弟 関 係、 そ の 他 の 派 生 的 な 家 族 関 係 は、 分 析 的 に は そ れ ぞ れ 下 位 体 系 を 構 城 す る こ と に な る。 こ れ らの 下 位 体 系 に対 して、 そ れ ぞ れの 地 位 を 占有 す る 家 族員 は パ ー ソ ナ リ テ ィ 体 系 と し て、 更 に 下 位 の 体 系 を 構 成 す る こ と に な る。 一 方、 家 族 は 「半 ば閉 ざさ れ た」 社会 体 系 で あ る。 言 い 換 え たな ら ば、 家 族 は 外 部 の 社 会 体 系 に 対 し て 独 自 の 境 界 を 張 り な が ら 半 ば 開 か れ た 体 系 で あ る。 そ の よ う な 観 点 か ら、 家 族 は 常 に 外 部 社 会 と 機 能 的 な ト ラ ン ズ ア ク シ ョ ン を 繰 り 返 し て い る の で あ る 。 例 え ば、 家 族 を 主 位 体 系 と す れ ば、 親 族 行 事 に 際 し て は、 そ の 家 族 が 上 位 体系 の 親 族 体 系 と 相 互 作 用 す る こ と に な る。 そ の 前 提 は、 自 己の 家 族 体系 が他 の 親 族 体系 を 含 む社 会 体系 に 開 か れ て い る と い う こ と で あ る。 そ う い う 認 識 に 立 て ば、 家 族 と 近 隣 集 団、 地 域 社 会、 及 び 諸 組 織 や 機 関 と の ト ラ ン ズ ア ク シ ョ ン が 説 明 可 能 と な る。 し か し、 家 族 と 相 互 作用 す る 外 部 社会 は、 家族 の 意 向 に 関 係 なく、 近代 化 の 過 程 で 大 き く 変 わ っ た 。 と り わ け、 家 族 と の 関 係 で い え ば、 社 会 の 経 済 構 造、 産 業 構 造、 就 業 構 造 等 の 変 化 は 顕 著 で あ っ た 。 こ れ ら の 社 会 変 動 は、 人 口 構 造 や 家 族 の ラ イ フ サ イ ク ル の 変 化 と 連 動 し て 家 族 変 動 を 引 き 起 こ し た。 近代 化 の過 程 で家 族 は そ の 体系 の 維 持を 図り な がら、 こ の よ う な 社 会 変 動 に 首 尾 よ く 適 応 す る 必 要 に 迫 ら れ た。 家 族 変 動 は、 社 会 変動 へ の 家 族 の 適 応 過 程 に 他 な ら な い。 そ の 過 程 で、 家 族 はさ ま ざま な 家 族 問 題 に 直 面す る こ と に な っ 一6 一
た。 一 方、 家 族 の 多 く の 機 能 が 外部 社 会 の 機 関 や 組 織 に 移 行 し、 家 族 機 能 の 単 純 化、 専 門 化 が 進 ん だ。 現 代 家 族 の 典型 と して の 核 家 族 の 観 点 か ら、 その 代 表的 な 機 能 は、 「子 ど も の (愛 育 的 ) 社 会 化」 と 、 「緊 張 の 処 理 と 成 人 の パ ー ソ ナ リ テ ィ の 安 定 化」 (T.Parsons) に 集 約 さ れ る と の 見 解 が 示 さ れ た。 と こ ろ で、 構 造 ・ 機 能 的 ア プ ロ ー チ で 沖 縄 の 家 族 を 捉 え た と き に、 そ の 特 色 は ど こ に あ る の だ ろ う か。 そ の 一 面 は、「ヤ ー ニ ン ジ ュ」 の 例 に 見 ら れ る よ う に、 概 し て 家 族 境 界 が 不 明 確 な 点 に あ ろ う。 境 界維 持 が家 族 体 系 の 維 持 に不 可 欠 な要 件 であ る 以 上、 そ の 不 明 性 は 問 題 と 言 え よ う。 な お、 構 造、 機 能 的 ア プ ロ ー チ を 構 成 す る 基 本 概 念 は、 体 系、 社 会 体 系、 構 造、 機 能、 地 位、 役 割、 機 能 的 要 件、 構 造 的 要 件 等 で あ る。 (3) 相 互 作 用 的 ア プ ロ ー チ 家 族 を ミ ク ロ 的 に 捉 え た な ら ば、 そ れ は 「相 互 作 用 す る 諸 パ ー ソ ナ リ テ ィ の 統 体」 (E.Burgess) で あ る。 個 々 の 家 族 員 を パ ー ソ ナ リ テ ィ と し て 位 置 づ け、 し か も、 各 家 族 員 は 家 族 シ ス テ ム の 中 で、 他 者 と 相 互 作 用 の 過 程 に あ る。 相 互 作 用 は、 行 為 主 体 と 行 為 客 体 の 間 で 社 会 関 係 に 規 定 さ れ な が ら 展 開 さ れ る。 相 互作 用 と して の 家 族 シス テ ム は、 相 互 期 待 的 な 社 会 的 行 為 の 交 換 過 程 で あ る。 そ れ は 通 常 役割 を 媒介 して 展 開 さ れ る の で、 そ れ に は 行 為 に 先 行 し て 役 割 期 待 や 役 割 認 知 を 伴 う こ と に な る。 夫 婦 家 族 制 の 下 で、 家 族 の 中 に も 個 人 主 義 が 浸 透 す る 傾 向 に あ る。 家 族 意 識 の 面 で も多 様 化 と 個 別 化 が 見 ら れ る よ う に な っ た。 果 た して 沖 縄 の 家 族 の 中 で、 各 成員 は 相 互 作用 的 ア プ ロ ー チ が 示 唆 す る よ う に、 主 体 的 な 行 為 者 な い し 自 律 的 単 位 と し て 位 置 づ け ら れ る で あ ろ う か。 い ず れ に し て も、 家 族 の 個 人 化、 私 化 の 傾 向 も 含 め て、 家 族 が 大 き く 変 わ り つ つ あ る 現 在、 こ の ア プ ロ ー チ は 家 族 関 係 を 捉 え る に は 有 効 な 手 掛 か り と 言 え よ う。 特 に、 配 偶 者 選 択、 夫 婦 の 情 緒 関 係、 夫 婦 間 の 問 題 解 決 過程 や、 意 志 決定 過 程 等 を め ぐる 夫 婦 関 係 を 明 ら か に す る の に、 重 要 な ア プ ロ ー チ で あ る 。 ま た、 子 ど も の 社 会 化 を め ぐ る 親 子 関 係、 特 に、 母 子 関 係 を は じ め、 共 働 き 夫 婦、 出 稼 ぎ 家 族、 貧 困 家 族、 単 親 家 族、 障 害 者 を も つ 家 族 、 そ の 他 の ス ト レ ス 下 の、 家 族 等 に お け る 家 族 の 適 応 過 程 を 研 究 す る の に、 有 効 な ア プ ロ ー チ で あ る 。 な お、 相 互 作 用 的 ア プ ロ ー チ に お け る キ ー 概 念 は、 相 互 作 用、 象 徴 的 相 互 作 用、 象 徴 的 環 境、 人 間 関 係 、 場 の 規 定 等 で あ る 。 (4) 発 達 的 ア プ ロ ー チ 生 命 体 と し て の 個 人 に 出 生 か ら 死 亡 に 至 る ま で の 一 生 が あ る よ う に、 家 族 に も 結 婚 に よ る 形 成 か ら、 配 偶 者 の 死亡 に よ る 消 滅に 至 る 発 達 の 過 程 (ライ フ サイ ク ル) があ る。 夫婦 一 7 一
家 族 制 の 下 で は、 構 造 上 夫 婦 と い う 対 に な っ た 二 つ の 位 座 で 始ま っ た 家 族 は、 子 ども の 出 生 に よ っ て そ の 地 位 ・ 役 割 体 系 は 拡 大 す る。 子 ど も の 成 長 に つ れ て、 家 族 員 を 結 び つ け る 役 割 内 容 は 変 化 し て い く。 親 によ る 子 の 扶 養 期 間 で あ る 学 齢 期 を 通 っ て、 子 ども が 離 家 (婚 出 ) す る と、 家 族 は 脱 親 性 期 に 入 り、 構 造 的 に 縮 小 化 し て い く。 そ の 後、 夫 = 父 が 退 職 し、 死 を 迎 え る。 こ の よ う に 家 族 の 生 活 周 期 に は 、 家 族 の 形 成 か ら 消 滅 に 至 る 間 に、 発 達 段 階 的 に 示 さ れ る 生 活 パ タ ー ン の 時 系 列 的 変 化 が、 家 族 経 歴と し て 見 ら れ る。 家 族周 期 に お け る 段 階 (ス テ ー ジ) を 構 造 化 す る の が、 家 族 の 発達 課 題で あ る が、 そ れ は家 族 の 目 標 達 成 の た め の 課 題 群 で あ り、 ま た、 家 族 員 の 成 熟 の た め に 必 要 な 欲 求 群 で あ る。 と こ ろ で、 現 代 家 族 は、 愛 情と 信 頼 に 基 づ く 夫 婦 関 係 を 基 礎 に し た ゆ る や か な結 合 の家 族 で あ る の で 、 解 体 し や す い。 家 族 解 体 の 最 大 要 因 は 離 婚 で あ る 。 離 婚 家 族 は、 子 ど も が 存 在 す る 場 合 は、 い ず れ か のi親 (主 と し て 母 親) に よ る 単 親 家 族 を 形 成 す る。 そ れも、 後 続 す る 段 階 に お い て 再 婚 す れ ば、 ブ レ ン ド 家 族 を 形 成 し て 発 達 し て い く こ と に な る。 結 婚 や 離 婚 を め ぐ る 価 値 観 が 多 様 化 し て い る 現 在、 夫婦 と 子 ども か ら 成 る 典 型 的な 核 家 族 と い え ど も、 理 想 的 な 家 族 と い え る の か と い う 疑 問 も あ る。 それ を 反 映 す る か の よ う に 、 個 人 は、 よ り 自 由 な 生 き 方 を 求 め て、 非 婚 主 義、 同 棲 婚、 DINKS等 の ラ イ フ ス タ イ ル を 追 求 す る よ う に な り、 そ こ に、 いわ ば 、 擬 似 的 家 族 の よ う な 非 典 型 的 な 核 家 族 が 見 ら れ る 。 非 婚 主 義 の ラ イ フ サ イ ク ル の 追 求 に は、 ライ フ コ ー ス と い う 視 点 が 提 起 さ れ て い る。 非 典 型 的 な 核 家 族 は、 従 来 発 達 的 ア プ ロ ー チ で は、 逸 脱 型 と し て 排 除 さ れ る 傾 向 に あ っ た が、 現 在 で は、 そ れ ら を ノ ー マ ル 家 族 と し て 発 達 的 に ア プ ロ ー チ で き る よ う に、 そ の 枠 組 み に 工 夫 が な さ れ て い る。 い ず れ に せよ、 短 寿 命 多 子 社 会 か ら 長寿 少子 社 会 へ 移 行 した 現 在、 発 達 的 ア プ ロ ー チ は、 家 族 の 分 析 的 研 究 に も っ と も 優 れ た ア プ ロ ー チ と 言 え よ う。 特 に、 女 性 の ラ イ フ サ イ ク ル の 顕 著 な 変 化 は、 家 族 問 題 を 女 性 の 立 場 か ら 解 明 す る の に 不 可 欠 な 視 点 と 言 え よ う 。 な お、 発 達 的 ア プ ロ ー チ を 構 成 す る 基 本 概 念 は、 発 達、 発 達 課 題、 地 位 ・ 役 割、 役 割 群、 サ ン ク シ ョ ン、 家 族 経 歴、 位 座 の キ ャ リ ア 等 で あ る。 (5) 形 態 的 ア プ ロ ー チ 家 族 の 形 態 は、 家 族 を 構 城 す る 位 座 の 数、 及 び 位 座 の 続 柄 別 組 織 で あ る が、 そ れ は、 そ れ ぞ れ の 社 会 に お い て 歴 史 的 に 変 化 す る。 家 族 形 態 を 規 制 し て い る 文 化 的 要 因 は 家 族制 度 で あ る の で、 一 般 に 家 族 形 態 は、 社 会 の 近代 化 につ れて 拡 大 家 族 か ら 構 造 的 に 自立 し た単 一 の 核 家 族 へ と 変 化 し て き た。 家 族 形 態 はそ の構 成 員 の 多 少 に よ っ て、 大 小 に 分 か れ る の で、 社 会 の 人 口 動 態 の 変 化 と 不 可 分 の 関 係 に あ る と 言 え る 。 す な わ ち、 家 族 形 態 に 影 響 を 及 ぼ す 、 主 要 な 社 会 的 要 因 と し て、 出 生 率、 死 亡 率、 婚 姻 率、 離 婚 率、 再 婚 率 等 が あ げ ら 一 8 一
れ よ う。 ま た、 続 柄 別 家 族構 城 で は、 既婚 子 が 親と 同 居 す る 場合、 子 ども の 性 別 や 長 幼 が 明 ら か に さ れ ね ば な ら な い。 現 在 の 修 正直 系 家 族は、 非 典 型 的 な 家族 形 態 で あ る が、 そ の 続 柄 別 家 族 構 成 を 明 ら か に す る こ と は、 家 族 の 変化 を 跡 づ ける 重 要な 作 業 と 言 え よ う。 そ れ と 並 行 し て、 形 態 に よ る 世 帯 の 家 族 類別 の 調 査も 重 要 な 側 面 であ る。 な お、 形 態 的 ア プ ロ ー チ を 構 域 す る 基 本 概 念 は、 形 態、 世 帯 、 主 婦、 親 族 世 帯、 他 出 家 族 員 等 で あ る。 以 上、 五 つ の ア プ ロ ー チ は、 そ れ ぞ れ の 特 徴 を 持 ち な が ら も、 単 独 で は 家 族 の 一 面 し か 明 ら か に す る こ と が で き な い。 方 法 論 と して の概 念 枠 組 や ア プロ ー チ に 完 壁 な も の は 存 在 し な い。 そ れ ら は 家 族 理 論 で は な い が、 家 族 理 論 と い え ど も、 家 族 の す べ て に 対 し て 妥 当 性 を 持 つ も の で は な い 。 従 っ て、 こ こ に 示 し た ア プ ロ ー チ は、 相 互 に 補 完 し あ っ て、 家 族 を よ り 系 統 的 に 浮 き 彫 り に す る こ と が 期 待 さ れ る。 H 家 族 に 関 す る 調 査 項 目 調 査 項 目 の 種 類 や 量 は、 基 本 的 に 調 査 の 目 的、 方 法 等 の 理 由 に よ っ て 規 定 さ れ る 。 こ こ で は 基 本 項 目 に 関 す る か ぎ り ア ン ケ ー ト 調 査 の み な ら ず、 イ ン テ ン シ ィ ブ な 面 接 調 査 を 想 定 し て 項 目 を 設 定 す る。 一 般 項 目 に つ い て は 大 項 目 な い し 中 項 目 に と ど め、 そ の 設 定 根 拠 を 明 ら か に す る。 1 基 本 項 目 ① 性 :男 女 ② 年 齢 (生 年) : 明 治 ・ 大 正 ・ 昭 和 年 (満 歳) (※ ア ン ケ ー ト で は 5 歳 な い し10歳 階 級 に 区 分) ③ 生 ま れ 順 : 長 男 次 男 三 男 … … 長 女 次 女 三 女 … … (※ 回 答 者 が 既 婚 女 性 の 場 合 は、 そ の 夫 の 生 ま れ 順 を 確 認) ④ 父 親 の 生 ま れ 順 : 長 男 次 男 三 男 … … (※ 回 答 者 が 既 婚 女 性 の 場 合 は、 夫 の 父 親 の 生 ま れ 順 を 確 認) ⑤ 兄 弟 姉 妹 : 兄 人 ・ 弟 人 姉 人 ・ 妹 人 ⑥ 家 族 構 成 : ひ と り 暮 ら し ・ 夫 婦 の み ・ 夫 婦 と 子 ど も ・ 母 子 家 族 ・ 父 子 家 族 ・ 三 世 代 家 族 ・ 四 世 代 家 族 (※ 多 世 代 家 族 の 場 合、 高 齢 者 が夫、 妻 い ず れ の 親 な い し 祖 親 かを 確 認) 一 9一
⑦ 婚 姻 上 の 位 置 : 未 婚 ・ 既 婚 ・ 離 婚 ・ 再 婚 ⑧ 初 婚 年 齢 : 本 人 歳 酒己偶 者 歳 ⑨ 生 ん だ 子 ど も の 数 : 息 子 人 ・ 娘 人 ⑩ 配 偶 者 の 死 亡 年 : 本 人 歳 の 時 ・ 配 偶 者 歳 の 時 ⑪ 配 偶 者 の 死 亡 原 因 : 病 気 ・ 戦 争 ・ 災 害 ・ 事 故 ・ 事 件 ・ そ の 他 ⑫ 本 人 の 出 身 地 : 県 市 ・ 町 ・ 村 国 外 (国名) (※ 回 答 者 の15歳 頃 ま で の 主 な る 生 育 地) ⑬ 配 偶 者 の 出 身 地 : 県 市 ・ 町 ・ 村 国 外 (国 名) ⑭ 現 住 所 : 沖 縄 県 市 ・ 町 ・ 村 ⑮ 年 間 所 得 : (※ ア ン ケ ー ト で は 所 得 を 層 化 し て 五 つ 程 度 の 選 択 肢 を 準 備 す る / 一 家 族 に 複 数 の 稼 得 者 が い る 場 合 は、 総 計 で 表す) ⑯ 最 終 学 歴 : 小 学 校 卒 ・ 中 学 校 卒 ・ 高 校 卒 ・ 専 門 学 校 卒 ・ 短 大 卒 ・ 大 学 卒 ・ 大 学 院 卒 ⑰ 宗 教 : 仏 教 ・ 神 道 ・ 創 価 学 会 ・ キ リ ス ト 教 ・ 新 興 宗 教 ・ 祖 先 崇 拝 ・ 無 宗 教 ・ そ の 他 2 調 査 項 目 と そ の 設 定 理 由 (1) 家 族 ・ 女 性 の ラ イ フ サ イ ク ル と 人 口 構 造 ① 明 治 コ ー ホ ー ト の ラ イ フ サ イ ク ル ② 大 正 コ ー ホ ー ト の ラ イ フ サ イ ク ル ③ 昭 和 コ ー ホ ー ト の ラ イ フ サ イ ク ル ④ 県、 市 町 村 別 出 生 率、 死 亡率 の推 移 ⑤ 県、 市 町 村 別 人 口 の 年 齢 構成 の推 移 ⑥ 島 懊 別 人 口 及 び 年 齢 構 成 の 推 移 ⑦ 島 嗅 別 年 少 人 口 指 数、 生 産 人 口 指 数、 老年 化 指 数 の 推移 過 去 ・ 現 在 ・ 未 来 を 通 し て、 生 殖 は 家 族 の 固 有 機 能 で あ る。 そ の 機 能 (役 割) の 担 い 手 は、 申 す ま でも なく 生 み手 の 女 性 で あ る。 そ の 女 性の 合 計 特 殊 出 生 率 は低 下 の一 途を た ど り、 平 均 出 生 時 数 も 着 実 に 減 少 し 続 け て い る。 世 はま さ に少 産 少 死 時 代 で ある。 その 背 景 に は、 産 業構 造 の 変化、 女 性 の 家 庭 外 就 労 と 高 学 歴 化、 医 療 や 公 衆 衛 生 の 発 達、 家族 計 画 の 普 及、 個 人 主 義 の浸 透等、 多 く の 要 因 が 複 合 的 に作 用 して い る と 考 え ら れ る。 い ず れ に し て も、 こ れ ら の 変 化 は急 速 な 高 齢 化 を 促 進 す る だ け で なく、 少 子 時 代 に お ける 高 齢者 間 一 10 一
題 を 引 き 起 こ し て い る。 そ の イ ン パ ク ト は 世帯 員 の 構 成 及 び 世 帯員 の 年 齢構 成 に も 及 ん で い る 。 更 に、 女 性 の ラ イ フ サ イ ク ル に 対 す る そ の 影 響 は、 出 産 期 間 を 大 幅 に 短 縮 さ せ、 半 面、 エ シ プ テ ィ ・ ネ ス ト 期 を 著 し く 伸 長 さ せ、 高 齢期 を い か に 生 き る か の 課 題 を 提 起 し て い る。 (2) 結 婚 ① 見 合 い結婚 (協定結婚) ② 恋 愛 結 婚 (自 由 結 婚) ③ 婚 前 交 際 期 間 : デ ー ト ・ 求 婚 期 間 ・ 配 偶 者 選 択 ・ 婚 約 ④ 結 婚 相 手 に 求 め る 条 件 : 女 の 立 場 ・ 男 の 立 場 ⑤ 結 婚 の 居 住 : 夫 居 ・ 妻 居 ・ 新 居 / 嫁 入 婚 ・ 婿 入 婚 ・ 妻 一 夫 居 ⑥ 婚 姻 率 の 推 移 ⑦ 年 齢 階 級 別 配偶 関 係 の 推 移 ⑧ 年 齢 階 級 別 未 婚 者 の 推 移 ⑨ 平 均 初 婚 年 齢の推移 結 婚 の 分 類 に 用 い ら れ る 基 準 は、 次 の 通 り で あ る (D.Kingsley) 。 ① 配 偶 者 の 数 (単 婚 ・ 複 婚) ② 配偶 者 の 種 類 ③ 権 威 の 程 度 ④ 結 合 の 強 さ ⑤ 再 婚 の 可 能 性 ⑥ 結 婚 年 齢 ⑦ 配偶 者 の 選 択 ⑧ 結 婚 に 際 し て の 交 換 ⑨ 結 婚 後 の 居 住 制 ⑩ Singles (非 婚 主 義 者 ) ⑪ DINKS (無 子 夫 婦 家 族) ⑫ 同 棲 婚 そ の う ち、 特 に、 注 目 す べ き は 居 住 規 則 で あ る。「制 度 か ら 友 愛」 へ の 移 行 は、 制 度 と し て の 結 婚 か ら 選 択 に よ る 結 婚 を 意 味 す る。 更 に、 そ れ は居 住 規 則 にお け る 夫 居 制 か ら 新 居 制 へ の 変 化 を 意 味 し よ う。 家 族 の 居 住 形 態 は 複 合 的 な 要因 によ っ て 規 定 さ れ る が、 い ず れ に せ よ 、 そ れ は 老i親 の 扶 養i・ 介 護 や 親 族 交 渉 に 連 動 す る の で、 重 要 な 調 査 項 目 と 書 え る。 一11 一
な お、 伝 統 社 会 に お け る 結 婚 は、 部 落 (村) 内 結 婚 で あ っ た。 村 落 共 同 体 の 秩序 と利 益 を 守 る た め に、 結 婚 は 共 同 体主 義 的 で あ っ た 。 部 落 内 に お け る 内 婚 で あ っ た の で、 毛 遊 び を 媒 介 と し た 幼 な じ み の 自 由 結 婚 が 多 か っ た と 考 え ら れる。 次 に、 結 婚 は イ エ の 繁 栄 と永 続 の た め の 手 段 と 考 え ら れ る よ う に な る と、 結 婚 決 定権 が 集 中 した 家 長によるイ エ (家族) 主 義 的 な も の と な っ た。 近 代 の 家 父 長制 の も と に お ける 結婚 が そ れで、 そ こ で は 同 格 の家 を 求 め て 遠 方 婚 が 多 く な り が ち で あ っ た。 翻 っ て 現 在 で は、 結 婚 その も の に 価 値 が 認 め ら れ、 そ れ 自 体 が 目 的 化 さ れ て い る。 個 人 の 自 由 選 択 意 志 に よ っ て 配 偶 者 が 選 択 さ れ る、 個 人 主 義 的 な 自 由 結 婚 が 広 く 浸 透 して い る。 (3) 離 婚 ① 離 婚 件 数 及 び 離 婚 率 の 年 次 推 移 (県、 市 町 村 別) ② 婚 姻 継 続 期 間 別 離 婚 率 と そ の 年 次 推 移 ③ 年 齢 階 級 別 離 婚 率 と そ の 年 次 推 移 ④ 世 帯 形 態 別 離 婚 率 と そ の 年 次 推 移 ⑤ 離 婚 の 個 人 的 理 由 (動機) ⑥ 離 婚 後 の 親 権 の 行 方 ⑦ 離 婚 後 の 財 産 分 与 ⑧ 潜 在 的 離 婚 (家 族 内 離 婚 ・ 別 居 ・ 遺 棄) ⑨ 離 婚 観 (ポ ジ テ ィ ブ vs ネ ガテ ィ ブ) 離 婚 が 増 加 傾 向 に あ る 現 代 社 会 に は、 それ を 生 み 出 す 社 会 的 要 因 の 存 在 が 考 え ら れ る。 例 え ば、 産 業 化 の 進 展 に よ る 家 族 の 共 同 生 活 の 阻 害、 職住の 分離 によ る夫婦 間コ ミュ ニケー シ ョ ン の 阻 害、 妻 の 家庭 外 就 労 によ る 女 性 の 自 立 意 識 の 高揚 と 経 済 的 自 立 の 促 進、 都 市 化 に よ る 家 族 の 孤 立 化、 情 報 化 に よ る 価 値 観 の 多 様 化、 性 愛を 強 調 しす ぎる 恋 愛 結 婚、 個 人 主 義 の 浸 透 等 は、 複 合 的 に作 用 しあ っ て 離 婚 を 促 進 し て いる と 考え ら れる。 そ れ に し て も、 離 婚 率 日 本 一 を 維 持 し て い る 沖 縄 県 の 高 離 婚 率 の 要 因 は 何 で あ ろ う か。 前 記 の 離 婚 の 社 会 的 条 件 は、 沖 縄 と い う 地 域 に 偏 在 し て い る の で は な い。 む し ろ、 大 都 市 を 中 心 に 日 本 本 土 に 広 く 見 ら れ よ う。 ま た、 法 制 度 的 に は 離婚 は 夫婦 関 係 の 法 的 解 消 であ る の で、 地 域 を超 え て 画 一 性 が 見 ら れよ う。 だと す れ ば、 離婚 は当 該 社 会 が 構 造 的 に 生み 出 す 社 会 事 象 と 考 え ら れ る。 こ のよ う な 観 点 か ら す れ ば、 沖 縄 の共 同 体 的 な 社 会構 造 や社 会 関 係 は、 離 婚 を 促 進 し て い る こ と に な る。 逆 に、 そ れ は 離 婚 に 対 す る 阻 止 機 能 が 弱 い と 言 え よ う 。 血 縁 ・ 地 縁 を 基 軸 と す る 沖 縄 社 会 に は、 他 者 に 対 す る 高 い 許 容 性 と、 自 己 の 行 為 を 相 対 化 し て 正 当 化 し よ う と す る 合 理 化 の メ カ ニ ズ ム が 見 ら れ る。 若 い 娘 が 未 婚 の 母 に 一 12 一
な る と か、 身 内 の 者 が 離 婚 し た 場 合、 そ の 結 果 に対 す る 行 為 者 本 人 の責 任 は 厳 しく 追 求 す る こ と は し な い 。 む し ろ、 「今 時 の 若 い 娘 に あ り が ち な こ と だ か ら … …」、 「世 間 に あ り が ち な こ と だ か ら … …」 の よ う に、 他者 の 了 解 と 家族 的 な 態 度 を期 待す る かの よ う に、 そ の こ と を 合 理 化 す る の で あ る 。 沖 縄 の 血 縁 共 同 体 に は、 離 婚 が 引 き 起 こ す 不 安、 世 間 体、 そ の 他 さ ま ざ ま な 負 の イ メ ー ジ を 吸 収 す る 機 能 が あ る と 考 え ら れ る。 こ の よ う な 状 況 で は、 個 人 の 共 同 体へ の 一 体 化と 依 存 は 助 長 さ れ ても、 自 己 の 確 立 と い う こ と は 阻 害 さ れ る で あ ろ う。 母 性 性の き わ め て強 い 沖 縄 の 社 会 は、 離 婚 に 対 して 許 容 的 で あ る の で、 離 婚 経 験 者 に 対 し て も 厳 し い レ ッ テ ル 貼 は し な い。 元 来、 沖 縄 の イ エ (家 族) に は、 一 部 特 権 階 級 を 除 け ば、 守 っ て、 継 承 (相 続) し な け れ ば な ら な い 家 格 ・ 家 風、 家 業 等 が な か っ た。 屋 号 は あ っ て も 汚 さ れた ら世 間 体に 差 しさ わる よう な 家 名 があ っ た わ け で は な い。 沖 縄 の 家 族 を 基 底 に し た共 同 体 に は、 仮 に そ の 成員 が 共同 体 の 規 範 に 反 す る 行 為 ( 逸 脱 行 為 ) を し た に し て も、 一 定 の 時 間 が 経 過 す れ ば、 何 事 も な か っ た か の よ う に、 「ナ ー シ ム サ (も う い い で し ょ う)」 と 相 互 に 受 容 す る 性 格 が あ る。 要す る に、 沖 縄 の 離 婚 問 題 は、 沖 縄 の 共 同 体 的 な 社 会 の 仕組 み の 中 か ら生 み 出 さ れる も の であ ろう (この 観点 は、 筆 者 の、 永 年 にわ た る 家 庭 裁 判 所 にお ける 家事 調 停 員 と して の 経 験 によ る 観 察 に 基 づ い て い る )。 (4) 再 婚 ① 性 別 再 婚 の 年 次 推 移 ② 年 齢 階 級 別 再 婚 の 推 移 ③ 性 別 再 婚 の 意 志 ・ 動 機 ④ 再 婚 の 促 進 要 因 vs 阻 止要 因 (社 会 的 ・ 個 人 的) ⑤ 再 婚 の 形 態 再 婚 は、 法 制 度 的 に は 離 婚 ない し配 偶 者 の 死 亡 に よ っ て、 前 の 結 婚 が法 的 に 解 消 さ れ た 後、 と い う 前 提 に 立 っ て い る の で、 現 代 社 会 に お け る 再 婚 は、 主 に 離 婚 に よ っ て 規 定 さ れ る こ と に な る。 日 本 で も 離 婚 の 増 加 に 伴 い、 1970年 代 か ら 再 婚 が 増 加 し て き た 。 再 婚 増 加 の 背 景 に は、 社 会 規 範 的 な 面 か ら 捉 え る と、 離 婚 に 対 す る 価 値 観 の 変 化 が あ る。 つ ま り、 日 本 一 般 で 言 う と、 従 来、 離 婚 に 対 し て さ ま ざ ま な サ ン ク シ ョ ン を 加 え て き た。 し か も、 そ の サ ン ク シ ョ ン は ダ ブ ル ス タ ン ダ ー ド 的 で、 男性 よ り も 女 性 に、 若 者 や 中 年 世 代 よ り も 高 齢 者 に 厳 し く 適 用 さ れ て き た。 現 在 で も、 性 規 範 の ダ ブ ル ス タ ン ダ ー ド は、 完 全 に 解 消 さ れ た と は い え な い。 し か し、 そ れが 男 女 平 等 の 理 念 の 実現 を 目 指 して 変 わ り つ つ あ る こ と は 事 実 で あ ろ う。 そ の 変 化 の一 面 は、 離 婚 観 の 変 化 に 反 映 さ れ て い よ う。 つ ま り、 離 婚 一 13 一
を 自 由、 自 立、 決 断、 勇 気 と い っ た 肯 定 的 な イ メ ー ジ で 捉 え る 面 も 出 て き た。 こ の よ う な 規 範 意 識 に お け る 離 婚 観 の 変 化 は、 実 態 と して の 離 婚 を増 加 さ せ、 一 方 離 婚 の増 加 は、 ポ ジ テ ィ ブ な 離 婚 観 を 社 会 的 に 正 当 化 す る 傾 向 に あ る。 加 えて、 イ エ 制 度 の崩 壊 と 都 市 化社 会 の 匿 名 性 は、 離 婚 増 加 の 促 進 要 因 と し て 機 能 し て い よ う。 更 に、 こ れ ら の 諸 条 件 は、 同 様 な 観 点 か ら 再 婚 増 加 の 促 進 要 因 と し て 機 能 し て い る と 考 え ら れ る。 と こ ろ で、 結 婚 ・ 離 婚 ・ 再 婚 には、 適 齢 期 が な く な っ た と い う 見 方 も 一 部 に は あ り え よ う 。 し か し、 現 実 に は、 そ れ ぞ れ に 性 ・ 年 齢 規 範 が 作 用 し て い る の で あ る。 大 衆 長 寿 時 代 に お け る 高 齢 化 の 進 展 は、 高 齢単 身者 を 増 加 さ せ て い る。 そ の こ と は、 高 齢期 に お け る 再 婚 可 能 な 潜 在 的 人 口 を 増 大 せ し め る こ と に な る。 特 に、 長寿 日 本一 の 沖 縄 県 の 立 場 か ら す れ ば、 名 目 的 な 再 婚 予 備 軍 は 多 い と言 え よ う。 1990年 の 国勢 調 査 で み る と、 沖 縄 県 の 場 合 後 期 高 齢 期 の 人 口 (75歳 ∼79 歳) で の 有 配 偶 率 は、 男80.5% に 対 し 女29.2% と、 両 者 に 大 き な 差 が あ る 。 そ の 段 階 に お け る 死 別 は、 男 女 そ れ ぞ れ15.4%、 63.8%、 離 別 は そ れ ぞ れ 2 .2 %、 4.2 %、 未 婚 は そ れ ぞ れ 1.3 %、 1.4 % と な っ て い る 。 一 方 、 超 高 齢 期 (85 歳 以 上 ) で み る と、 有 配 偶 は そ れ ぞ れ 52.9 %、 8.0 %、 死 別 は そ れ ぞ れ 43.2 % 、 86.0 %、 離 別 は そ れ ぞ れ 1 .4 %、 2.6 %、 未 婚 は そ れ ぞ れ 1.2 %、 1.2 % と な っ て い る 。 有 配 偶 の 中 に 占 め る 再 婚 の 割 合 は 不 明 で あ る が、 そ れ は 微々 たる も の で あ ろ う。 前期 高 齢期 から 後 期 高 齢 期 に か け て は、 男 性 の 約 8 割 か ら 9 割 が 有 配偶 者 なの で、 再 婚 は 多く 望 めな いこ と に な る。 超 高 齢 期 で は、 男 性 の 有 配 偶 者 は 2 人 に 1 人 の 割 合 に な る が、 そ の こ と は 再 婚 の 増 加 に ス ト レ ー ト に 結 び つ か な い で あ ろ う 。 高 齢 者 の 再 婚 が 欧 米 に 比 べ て 著 し く 少 な い の は、 日 本に は そ れ を 阻害 す る よ う な 社 会 的 要 因 や パ ー ソ ナ リ テ ィ 的 要 因 が あ る と 考 え ら れ る。 高 齢 期 に お ける 男 女交 際と 結 婚 志 向 と は、 次 元 の 異 な る 問 題 で あ る が、 日 本 で は 高 齢 者 の デ ー ト さ え も、 世 間 体 が 悪 い と い っ て ネ ガ テ ィ ブ に 評 価 し が ち で あ る。 高 齢 者 の 再 婚 と も な れ ば、 遺 産 相 続 分 が 減る こ とへ の 危 惧 か ら、 ま ず、 子 ど も や 身 内 の 者 が 反 対 す る 場 合 が 多 い と 言 わ れ る。 加 え て 沖 縄 の 場 合 は、 高 齢 者 の 再 婚 は “元 祖 事” を 引 き 起 こ し が ち な の で、 そ れ も 阻 害 要 因 の 一 つ と な っ て い よ う 。 一 方 、 パ ー ソ ナ リ テ ィ の 面 か ら 見 れ ば、 日 本 人 に は、 全 ラ イ フ サ イ ク ル を 通 し て 自 分 の 家 族 (親 族) と の 一 体 化 を 図 る こ と に よ っ て、 自 己 の ア イ デ ン テ ィ テ ィ を 維 持 し て 行 く 傾 向 が 見 ら れ る。 欧 米 社 会 で は 夫婦 関 係 を 基 軸 に して、 家 族共 同 体を ライ フ サイ ク ル を 通 し て 維 持 し て き た。 夫 婦 家 族 制 の下 に お け る 夫 婦 関 係 を 貫く 価 値 観 は 個 人 主 義 で あ る。 夫 婦 関 係 と そ れ に 拠 っ て 立 つ 家 族 生 活 は、 個 人 主 義 の 実 践 過 程 であ る。 個 人 主 義 に 基 づ く 夫 婦 関 係 を 維 持 し て 行 く に は、 配 偶者 双 方 が定 位 家 族 か ら 解 放さ れ た自 立 した 人 格 と して 相 互 一 14 一
に 向 き 合 い、 日 常 的 に 積 極 的 な コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を 維 持 し て い く こ と が 必 要 と さ れ る 。 そ れ に は 相 当 の コ ミ ッ ト メ ン ト が 必 要 で あ る。 継 続 に は、 夫 婦 両 方 の 努 力 と 役 割 協 力 が 不 可 欠 で あ る。 ロ マ ン ス ラ ブ の パ ッ シ ョ ン だ け で は、 こ の よ う な 夫 婦 関 係 は 維 持 で き な い の で あ る。 そ れ だ け に、 人 間 関 係と して の 夫 婦 関 係 は 解 体 (離 婚) しや す い し、 一 方 再 婚 も し や す い こ と に な る 。 と い う の は、 一 般 に 再 婚 に 際 して、 日 本 の よ う に 身 内 の 者 が 反 対 す る こ と は な い か ら で あ る。 再 婚 は 個 人 の 年 齢 を 超 え て、 そ の 人 の 責 任 と 意 志 決 定 に よ っ て 行 わ れ る か ら で あ る。 人 間 関 係 が希 薄 に な り がち な 高 齢 者ほ ど、 そ の 心 理 的 ニ ー ズ の 充 足 の 面 か ら も 良 き 伴 侶 が 必 要 で あ ろ う。 翻 っ て、 日 本 の 場 合 は 家 族 主 義 的 で あ っ た し、 現 在 で も そ う で あ る。 日 本 の 家 共 同 体 は、 祖 先 祭 祀 の 観 念 を 基 礎 に、 親 子 によ る 継 承 を 基 本 原 則 と して い た。 親 子 関 係 の 維 持 が 目 的 だ と す れ ば、 夫 婦 関 係 は 手 段 で あっ たと 言 え よ う。 夫 婦 関係 に 対 して 親 子 関 係 が 優 越 して い る と い う こ と は、 と り わ け、 高 齢 者 の 再 婚 を 阻 害 す る 要 因 と 言 え よ う。 し か し、 高 齢 者 の 離 婚 ・ 再 婚 に 対 す る 社 会 の 偏 見 や 規 範 意 識 が 変 化 す れ ば、 将 来、 高 齢者 の 再 婚 も 多 少増 加 す る で あ ろ う。 現 在、 年 齢 階 級別 にみ た 再 婚 者 の 割 合 は、 男 女と も30代 前 半 が 最 も 高 い が、 傾 向 と し て は40代 の 再 婚 割 合 が 上 昇 し て い る。 そ れ か ら す れ ば、 再 婚 年 齢 は 上 昇 を 続 け て、 50代、 60代 へ と 波 及 し て い く で あ ろ う。 (5> 家 族 構 成 (世 帯 構 成) ① 世 帯 数 の 年 次 推 移 : 県、 市 町村 別 ② 世 帯 規 模 (世 帯 人 員) の 年 次 推 移 : 県、 市 町 村 別 ③ 世 帯 の 家 族 類 型 別 割 合 と 年 次 推 移 : 県、 市 町 村 別 家 族 と 世 帯 は、 そ れ ぞ れ 概 念 を 異 に す る。 家 族 は 時 問 ・ 空 間 を 超 越 し て 存 在 しう る の で、 全 国 的 ・ 全 県 的 に マ ク ロ 調 査 は 事 実 上 不 可 能 に 近 い。 そ れ に 対 し て、 世 帯 は 非 血 縁 者 を も そ の 中 に 取 り 込 み う る が、 生 計 の 単 位 を 形 成 し、 具 体 的 な 形 態 を 整 え て い る の で、 マ ク ロ な 調 査 に も 耐 え う る。 そ の 典 型 が 国 勢 調 査 で あ る。 こ こ で の 項 目 の 調 査 は、 基 本 的 に 年 次 ご と の 国 勢 調 査、 及 び そ の 他 の 行 政 資 料 に 依 拠 す る こ と に な る。 沖 縄 の 家 族 (世 帯) 構 城 (形 態) の 特 色 を 明 ら か に す る に は、 そ の 背 景 に あ る 人 口 動 態 的 要 因 と、 地 理 的 ・ 社 会 的 要 因 を 考 慮 す る 必 要 が あ る。 出 生 率 全 国 1 位 と い う こ と は、 世 帯 規 模 の 拡 大 に 寄 与 す る こ と に な る。 半 面、 年 次 的 な出 生 率 の 低 下 は、 世 帯 規 模 の 縮 小 を 意 味 す る。 未婚 の 母 に 対 す る 社 会 的 態 度 が 寛 容 で あ れ ば、 母 子 家 族 の 発生 を 助 長 し、 核 家 族 世 帯 に お け る 母 子 家 族 (世 帯) の 割 合 を 押 し 上 げ る こ と に な る。 一 方、 平 均 寿 命 が 長 い と い う こ と は、 老 年 人 口 の 割 合 が高 い と か、 高 齢 者 (65歳以 上) の い る 一 般 世 帯 の 割 合 が 一 15 一
高 い と い う こ と で は な い。 人 口 の 高 齢 化 が顕 著 であ る 地 域 で は、 高 齢 夫 婦世 帯 及 び高 齢 単 身 世 帯 の 割 合 が 著 し く 高 い と い う こ と で あ る。 こ れら の 状 況 が 特 徴 的 に 見 ら れる の は、 過 疎 地 域 で あ る。 過 疎 地 域 と い え ば、 本 島 北 部 の 5 町 村 (国 頭 村、 大 宜 味 村、 東 村、 今 帰 仁 村、 本 部 町) を 除 け ば、 そ の す べ て は 小 離 島 に 集 中 し て い る。 こ れ ら の 地 域 で は、 地 域 の プ ッ シ ュ (push) 要 因 に よ っ て、 一 般 に 多 世 代 家 族 (世 帯) の 形 成 ・ 維 持 が 構 造 的 に 不 可 能 に な っ て い る の で あ る 。 こ れ ら の 地 域 で は、 核 家 族 と い え ど も そ の ほ と ん ど は、 高 齢 者 の 単 身 世 帯 か そ の 予 備 軍 と し て の 高 齢 者 の 夫 婦 の み 世 帯 で 占 め ら れ る 状 況 で あ る。 こ の よ う に 沖 縄 の 家 族 構 成 を 考 察 す る に は、 沖 縄 の 島 喚 性 を 考 慮 す る 必 要 が あ る。 そ の 他、 沖 縄 と い う 地 域 を 超 え て、 世 帯 構 成 の 社 会 的 な規 定 要因 と して、 核 家 族 化 に伴 う 新 居 制 に よ る 世 帯 分 離 、 離 婚 に よ る 世 帯 分 離、 住 宅 事 情、 i親 子 の 折 り 合 い の 良 し 悪 し 等 が あ げ ら れ る。 (6) 家 族 の 内 部 構 造 ① 役 割 (分 業) 構 造 ② 権 威 (勢 力) 構 造 ③ 情 緒 構 造 ④ 価 値 構 造 ま ず、 家 族 の 構 造 は、 地 位 ・ 役 割 の 体 系 と し て 捉 え ら れ る。 家 族 内 の 地 位 の 種 類 と 数 は、 家 族 の 形 態 的、 構 成 的 な 局 面 を 規 定 す る。 一 方、 役 割 は 家 族 関 係 と 相 互 作 用 (interaction) を 方 向 づ け、 同 時 に 家 族 体 系 と 外 部 体 系 を 結 び つ け る 結 節 的 機 能 (transaction) を 果 た す。 役 割 は 規 範 群 か ら 構 城 さ れ て い る。 家 族 の 規 範 は、 制 度 化 さ れ て 家 族 集 団 に 外 在 し、 一 方、 意 識 (規 範 意 識) と し て 内 面 化 さ れ、 成 員 内 (パ ー ソ ナリ ティ) に 内在 す る。 規 範 の 内 面 化 に 際 し て は、 家 族 内 外 か ら の サ ン ク シ ョ ン が 加 え ら れ る。 こ れ ら の 諸 要 素 か ら 構 成 さ れ る の が、 家 族 本 体 と して の 役 割 (分業) 構 造 で あ る。 従っ て、 家 族の 歴 史的 変 化 を 系 統 的 に 跡 づ け る に は、 家 族 内 の 地 位 (位 座) 構 造 を 明 ら か に する と 同 時 に、 各 地 位 の 内 容 を構 成 す る 役 割 群 の 変 化 を 吟 味 す る こ と が 必 要 で あ る。 加 え て、 家 族 規範 と 家 族 意 識 の 変 化 を 明 ら か に す る 必 要 が あ る 。 ま た、 ラ イ フ サ イ ク ル の 視 点 か ら す れ ば、 家 族 の 地 位 ・ 役 割 は 発 達 的 に 変 化 し て い く の で、 そ れ ぞ れ の 発 達 段 階 を 通 し て キ ャ リ ア (career) と し て 捉 え る 必 要 が あ る 。 役 割 は 行 為 の 次 元 で は、 家 族 員 そ れ ぞ れ の 立 場 に お け る 生 活 活 動 で あ り、 日 課 で あ る。 そ の 役 割 分 担 を 規 定 す る の が 勢 力 構 造 で あ る。 家 父 長制 の下 で は、 家 長に 権 威 と 権 力 が 集 中 す る 傾 向 が あ っ た の で、 役 割 を め ぐ る 意 志 決 定 に は 夫 ; 父 優 位、 妻 = 母 劣 位、 親 世 代 優 位、 子 世 代 劣 位 の 構 図 が 見 ら れ た で あ ろう。 一 方、 夫婦 平 等 の 理念 に 立 脚 す る 現代 家 族 に 一 16 一
お い て は、 意 志 決 定の あ り 方 に は 典 型と して の平 等 型 が 想 定 さ れる が、 果 た して 沖 縄 の 場 合 は ど う で あ ろ う 。 家 族 内 の 役 割 は、 依 然 と し て 性 ・ 世 代 的 に 規 定 さ れ て い る 傾 向 が あ る の で、 一 致 型 が む し ろ 典 型 (?) か も し れ な い。 家 族 は 優 れ て 情 緒 集 団 と 言 え よ う。 家 族 は 甘え の 構 造 で あ る。 家族 は家 族 愛 に 支 え ら れ た ゲ マ イ ン シ ャ フ ト 的 な 共 同 体 で あ る と 同 時 に、 最 も 激 しい葛 藤 や対 立を 引 き 起 こ すメ カ ニ ズ ム を 持 っ て い る 。 地 位 ・ 役 割 が 明 確 で あ っ た 伝 統 家 族 の 中 に お い て さ え も、 嫁 ・ 姑 問 題 を 始 め と し て、 夫 婦 間、 親 子 間、 兄 弟 ・ 姉 妹 間 に さ ま ざ ま な 軋 礫 や 葛 藤 が あ っ た 。 夫 婦 間 の 感 情 の 論 理 の 上 に 成 り 立 っ て い る 現 代 家 族 に お い て は、 尚 更 であ ろ う。 夫 婦 関 係 の 安 定 化 は、 現 代 家 族 の 重 要 な 課 題 と な っ て い る。 ま た、 親 孝 行 の 終 焉を 迎 え た と い わ れる 今 日、 現 代 家 族 の 感 情 構 造 は 高 齢 者 に も 冷 た い と 言 え よ う。 要 す る に、 離 婚 問 題 を 始 め、 子 ど も の 問 題、 老 人 問 題 に 対 処 し て い く に は、 家 族 の 情 緒 構 造の 安 定化 を 促 進 す る こ と が 必 要 で あ る 。 例 え ば、 孫 飢 餓 の 状 況 に あ る 現 在、 祖 親【生 は 高 齢 者 に と っ て 希 少 価 値 が あ ろ う。 そ の 役 割 を 演 ず る 祖 父 母 は、 孫 の世 話を す る こ と に 楽 しみ と 充 実感 を 感 じる で あ ろう。 し か し、 そ の 役 割 が 期 待 さ れ る の も、 嫁 や 娘 と の 世 代 関 係 が 良 好 な 場 合 で あ る。 逆 に、 世 代 関 係 が う ま く い っ て な い 場 合 は、 子 世 代 (嫁 ・ 娘) は 老 親 か ら 孫 を 引 き 離 す こ と に よ っ て、 彼 ら を 疎 外 す る こ と が 起 こ り う る の で あ る。 こ れは 孫 思 い の 強 い高 齢 者 に 対 す る 厳 しい 仕 打 ち と 言 え よ う 。 (7) 家 族 制 度 ・ 慣 行 ① 遺 産 相 続 ② 位 牌 継 承 ③ 居 住 規 則 ④ 親 族 交 渉 ⑤ 近 隣 交 渉 沖 縄 の 家 族 制 度 な い し 制 度 的 慣 行 で 根 幹 を な す 基 本 原 理 は、 象 徴 と し て の 位 牌 を 正 統 に 超 世 代 的 に 継 承 し て 行 く こ と で あ る。 位牌 継 承 の 正 統性 を 規 定 して い る構 成 原 理 は、 父系 主 義 で あ り、 長 男 優 先 の 男 性 原 理 で あ る。 そ の 原 理 を 貫 徹 す る た め に、 チ ャ ッ チ ウ シ ク ミ (嫡 子 押 し 込 み)、 チ ョ ー デ ー カ サ バ イ ( 兄 弟 重 な り) 、 タ チ イ ー マ ジ ク イ ( 他 系 混 合)、 イ ナ グ グ ワ ン ス ( 女 元 祖) 等 の 規 範 的 な サ ン ク シ ョ ン メ カ ニ ズ ム が 機 能 し て い る 。 こ の よ う な 位 牌 継 承 に 関 す る、 い わ ば正 統 性 の 原 理 は、 過去 の 歴 史 的 な 所 産 と し て、 文 化 的 な価 値 を 持 ち え た で あ ろ う。 ま た 、 そ れ は、 生 活 の 知 恵 と し て 、 家 族 ( 親 族) の 結 合 と 存 続 維 持 の た め に 機 能 し た で あ ろ う。 個 人 の一 生 を 通 して、 家 族 が 唯 一 の 保 証 (拠り 所) であ っ 一 17 一
た、 多 産 多 死 の 前 近 代 的 な 社 会 に お い て は、 こ の 原 理 は 機 能 的 で あ っ た。 と こ ろ で、 現 代 家 族 は 夫 婦 制 の下 で核 家 族 化 して いる。 夫婦 制 は 家 族 関 係 が 夫 婦 中 心 主 義 で、 夫 婦 の 実 質 的 平 等 を 理 念 と して い る。 夫 婦 制 の 下 で家 族 が家 族と して 機能 する には、 そ の 成 員 の パ ー ソ ナ リ テ ィ が、 自 立 し て い な け れ ば な ら な い。 そ の 要 と な る の が 夫 婦 関 係 で あ る の で、 夫 婦 は 夫 婦 関 係 に お い て こ そ、 主 体 性 を 発 揮 す る こ と が 必 要 で あ る。 つ ま り、 個 の 確 立 し た 男 女 が 結 婚 し た と き に、 そ れ は 夫 婦 制 に 相 応 しい 夫婦 関 係 を 結 ん だ と 言 え よ う。 それ に は、 前 提 条 件 と し て、 伝 統 的 な 血 縁 の 呪 縛 か ら 男 女 が 解 放 さ れ る 必 要 が あ る 。 位 牌 継 承 に 見 ら れ る 沖 縄 の 家 族 慣 行 に は、 夫婦 制 的 な 現 代 家族 を確 立 す る に あ た っ て の 阻 害 要 因 が 見 ら れ る 。 き わ め て 硬 直 し た サ ン ク シ ョ ンメ カ ニ ズ ム は、 家 族員 を 系 譜 関 係 に よ っ て 拘 束 し、 ひい て は そ の 人 間 性 (人格) の 発展 を 阻害 しが ち であ る。 文 化 と して の 位 牌 継 承 が ポ ジ テ ィ ブ に 評 価 さ れ る に は、 そ れ が 家 族 に 対 し て 統 合 の 機 能 を 果 た し、 な お か つ、 家 族 員 の 人 間 性 の 発 展 に 寄 与 す る も の で な け れ ば な ら な い。 い ず れに して も、 古 く て 新 し い 沖 縄 の ト ー ト ー メ ー 問 題 に 関 し て は、 そ の 構 造 を 明 ら か に す る だ け で な く、 そ の 解 決 へ 向 け て の 実 践 的 な 方 法 論 の 確 立 が 必 要 で あ る。 遺 産 相 続 は 法 制 度 的 に は、 長 男 単 独相 続 か ら均 分相 続 へ と 移 行 した。 法 律 は 改 正 さ れ た も の の 、 果 た し て 実 態 は ど う な っ て い る の だ ろ う か。 相 続 関 係 を 規 定 し て い る の は、 法 規 範 と い う よ り も、 む し ろ、 そ れ ぞ れ の 地 域 に 根 ざ し た 慣 行 が 優 位 に 機 能 し て い る の で は な か ろ う か。 し かも、 相 続 意 識 (理 念) と相 続 行為 (実態) の 問 に は、 大き な ズ レが 見 ら れ る の が 現 状 で あ る 。 意 識 と 実 態 の 乖 離 は、 位 牌 継 承 に つ い て も 確 認 で き る。 し か し、 家 族 問 題 と し て の 両 者 の 性 格 に は 大 き な 違 い が あ る。 つ ま り、 位 牌 継 承 の 問 題は 聖 (後 世) ・ 俗 (現 世) の 両 世 界 を 貫 き、 そ の 解 決 が超 自 然 の 世 界に 求 め ら れ る か ら であ る。 そ れ に対 し、 遣 産 相 続 の 問 題 は、 現 実 の 家 族 (親 族) 次 元 で 解 決 が求 め ら れる。 も っ と も、 土地 が 財 産 化 し、 一 方、 権 利 意 識 が強 く な っ て い る 現 在 で は、 財 産 問 題 は 深刻 な家 族問 題 と な り が ち で あ る。 い ず れ に せよ こ れ らの 問 題 は、 現 代 家 族及 び21世 紀 の 未 来 家 族 の 視点 か ら解 決 を 図 ら な け れ ば な ら な い。 ま た、 こ れ ら の 問 題、 と り わ け 位 牌 継 承 を め ぐ る 問 題 は、 生 み 手 で あ る 女 性 に 理 不 尽 な 負 担 を 押 し つ け る 傾 向 に あ る の で、 女 性 解 放 の 視 点 か ら の 解 決 が 望 ま れ よ う 。 (8) 居 住 ① 同 居 ② 異 居 (別 居) 家 族 制 度 と し て の 居 住 規 則 に は、 夫 居 制、 妻 居 制、 選 択 制 、 新 居 綱 が あ る が、 伝 統 家 族 一 18 一
に お い て は 夫 居 制 が 典 型 で あ っ た。 居 住 規則 は、 結 婚の 種 類 や 家 族 類 型 と 構 造 一機 能的 な 連 関 を も ち、 時代 とと も に変 化 す る も の で あ る。 「制 度 か ら友 愛 へ」 へ の 歴 史 的 変 化 は、 「夫 居 制 か ら 新 居 制」 へ の 移 行 を 意 味 す る。 そ の こ と は、 現 代 家 族 の 典 型 が、 核 家 族 で あ る こ と に よ っ て 示 さ れ て い る 。 も ち ろ ん、 現 在 で も 家 族 の 存 在 形 態 に は 非 典 型 の 多 世 代 家 族、 つ ま り、 複 数 の核 家 族 が同 一 世 帯 を構 成 す る と いう、 い わ ゆ る 修 正 直 系 家 族も 見 ら れ る 。 し か し、 そ れ は 世 代 間 の 選 択 的 同 居 で あ っ て、 伝 統 的 な 直 系 家 族 に お け る 二 つ の 核 家 族 の 義 務 的 同 居 と は 異 質 の も の と 言 え よ う 。 半 面、 過 去 に ラ イ フ サ イ ク ル の 段 階 に お い て、 構 造 的 に 独 立 し て 存 在 し た 核 家 族 は、 遅 か れ 早 か れ 制 度 的 に 直 系 家 族 へ と 発 達 し て 行 っ た。 跡 取 り は 結 婚 後 も 定 位 家 族 に 居 残 っ て、 親 と の 同 居 が規 範 的 に 義 務 づ け ら れ て いた か らで あ る 。 つ ま り、 夫 居 制 で あ っ た。 さ て、 新 居 制の 下 にあ る 現 代 社 会 に お い て、 現 実 の居 住 形 態 を 規 定 して い る 要因 はさ ま ざ ま で あ ろ う 。 核 家 族 化、 家 族 関 係、 家 族 意 識、 価 値 観、 家 計 ・ 住 宅 事 情、 居 住 の 位 置、 世 間 体、 ライ フ サ イ ク ル、 疾 病、 障 害、 そ の 他 の 社 会 的、 個 人 的 要 因 が 考 え ら れ る が、 そ れ ら は い ず れ も 調 査 項 目 に 該 当 し よ う。 こ れ ら の 諸 要 因 を 踏 ま え た 上 で 居 住 形 態 を 考 察 す れ ば、 同 居 に も 多様 な形 態が有 りうる。 例 え ば、 世 代 関係 で見 れ ば、 典 型 的 な 三 世 代 世 帯 (祖 父母 ・ 父 母 ・ 子 = 孫) 及 び四 世 代 世 帯 ( 祖 父 母 ・ 父 母 ・ 子 = 孫 ・ 玄 孫」 等 の 多 世 代 家 族、 構 造 的 に 父 母 の 位 座 が 欠 落 し た、 い わ ば 、 隔 世 代 家 族 (祖 父 母 ・ 子 = 孫 ・ 玄 孫) 等 の 非 典 型 的 な 形 態 が 見 ら れ る。 空 間 的 な 配 置 の 面 か ら す れ ば、 文 字 通り 同 一 屋 根 の 下 で 家 計 を 同 じく して い る 多 世 代 家 族、 同 一 屋 敷 内 で 居 住 空 間 を 異 に す る が、 同 一 家 計 を 営 ん で いる 多世 代 家 族、 あ る い は、 家 計を 異 にす る 多 世 代 家 族、 屋 敷 の 範 囲 を 超 え る も の の 近 隣…に 居 住 し、 家 計 を 異 に す る 多 世 代 家 族、 そ の 他 多 様 な 形 態 が 考 え ら れ る。 事 実 上 の 同 居 に 等 し い 近 居 も あ れ ば、 逆 に 事 実 上 の 別 居 と 見 な さ れ る 近 居 や 同 居 も あ ろ う 。 ま た、 別 居 に つ い て は、 世 代 間 の 居 住 と 家 計 の 分 離 を 意 味 し よ う が、 そ れ には 相 互 の 居 住 空 間 的 遠 近 に 関 係 なく、 世 代 間 交 流 が 活 発 な ケー ス とそ う で な い (没 交 渉 的) ケ ー ス が あ ろ う。 つま り、 別 居と い う よ り も 異 居 と い っ た 状 況も 見 ら れ よ う 。 こ の よ う に、 居 住 形 態 を 同 居vs別 居 と 類 別 し て も、 そ の 間 に い ろ い ろ の 擬 似 的 形 態 が 介 在 し て い よ う。 更 に、 多 世 代 世 帯 の 居 住 形 態 を ラ イ フ サ イ ク ル の 視 点 か ら 見 る と、 そ れ ぞ れ の 世 代 の 発 達 段 階 に 対 応 し て の 変 化 が あ ろ う。 そ の 変 化 の一 面 は、 図 式 的 に 表 現 す る と 「同居 か ら別 居 へ」 「別 居 か ら 同 居 へ」 と な ろ う。 前 者 の 例 と し て、 家 族 関 係 が 悪 化 して、 同 居 形 態 の 維 持 が 困 難 に な っ た こ と や、 子 = 孫 世 代 が結 婚 して 独 立 した も の が あ げ ら れ る。 後 者の 例 と し て、 祖 父 母 や 老 親 の 疾 病 や、 死 亡、 そ の他 の 家 族 危 機 を 契 機 に し た も の が あ げ ら れ る。 一 19 一
い ず れ に せ よ、 居 住 形 態 は 家 族 関 係、 役 割 構 造、 親 族 と の ト ラ ン ス ア ク シ ョ ン、 扶 養 ・ 介 護 等 と 機 能 的 な 関 連 性 が 密 な の で、 重 要 な 調 査 項 目 で あ る。 家 族 変 動 の 一 局 則 は、 居 住 形 態 の 変 化 で あ る の で、 そ れ を もた ら した 社 会 的 要 因 を 明 らか に す る 必 要 が ある。 (9) 扶 養 ・ 介 護 ① 扶 養 意 識 ② 扶 養 の 実 態 ③ 介 護 意 識 ④ 介 護 の 実 態 ⑤ 扶 養 対 象 の属 性 ⑥ 扶 養 の 担 い 手 (扶 養 者) の 属 性 ⑦ 介 護 対 象の 属 性 ⑧ 介 護 者 (担 い 手) の属 性 伝 統 家 族 に お い て は、 扶 養 を め ぐ る 役 割 関 係 は 明 確 で あ っ た。 す な わ ち、 一 般 に 制 度 上 も 慣 行 上 も、 跡 取り は 老親 を 扶 養 す る 役 割 (責 任) を 担 っ て い た。 身 寄 り の ない 高 齢 者 と い え ど も 、 そ の 親 族 体 系 の 中 で 支 え ら れ て い た。 具 体 的 に は、 自 分 の 家 族 や 子 ど も の な い 単 身 高 齢 者 は、 そ の 兄 弟 家 族 の 所 に 身 を 寄 せ る ケ ー ス が め ず ら しく な か っ た。 親 族 関 係 で い う と、 甥 が高 齢 で 身 寄 り の な い 叔 (伯) 父 を 扶 養す る 状 況 も 事 例 的 に は 見 ら れた。 加 齢 現 象 と し て、 人 間 は 誰 しも 最 終 的 に は 自 活 能力 を 失う の で、 そう いう 意 味で は時代 を超 え、 社 会 ・ 文 化 の 違 い を 超 え て 何 ら か の 扶 養 シ ス テ ム が 必 要 で あ る。 社 会 保 障 以 前 の 状 況 で は、 家 族 が 唯 一 の 拠 り 所 で あ っ た と 言 え よ う。 そ の 点、 介 護 に つ い て も 同 様 な 見 方 が可 能 で あ ろ う 。 現 代 家 族 (i親 族) に お い て も、 老i親 扶 養 の 法 制 度 的 な 規 定 は あ っ て も、 そ の 理 念 と 実 態 の 間 に は 乖 離 が 見 ら れ よ う。 そ の 背 景 に は、 扶養 対 象 (老 親) 及 び扶 養者 (子 ども と そ の 家 族) そ れ ぞ れ の 属 性 は も と よ り、 さま ざまの 社 会 的 要 因 が 媒 介 して いよ う。 介 護 に つ い て も 同 様 で あ る 。 家 族 が 変 わ る こ と に よ っ て、 こ れ ら の 諸 条 件 (要 因) が ど う 変 化 し た か を 明 ら か に す る 必 要 が あ る。 多 産 多 死 ・ 短 寿 命の 過 去 と、 少 産 少 死の 大衆 長 寿 の 現 代 と で は、 介護 を め ぐる 家 族 の 状 況 と 社 会 的 条 件 は大きく 変 化 した であ ろう。 介護機 能が弱 っ た 核 家 族 に 取 っ て 代 わ っ て、 介 護 の 社 会 化 な い し社 会 保 障 が 充 実 して いる わ けで も な い。 長 寿 者 の 多 い 沖 縄 県 と い え ど も、 例 え ば、 寝 た きり 3 年 以 上 に 及 ぶ 者 は、 高 齢者 に 多 く 見 ら れ る 。 ま た、 寝 た き り 老 人 の 介 護 の 約 半 分 は60才 以 上 で、 い わ ば、 老 人 が 老 人 を 介 護 す る と い う 状 況 が 広 く 見 ら れ る。 介 護 老 人 は 要 介 護老 人 の 予 備 軍 を構 成 して いる。 前 者 が 介 護 疲 れ か ら、 先 に 死 亡 す る と い う 事 例 も め ず ら し く は な い で あ ろ う。 更 に、 寝 た き り 老 人 一 20一
の 9 割 近 く が、 介 護 者 と 同 居 し て い る が、 主 な る 介 護 者 は 嫁 (子 の 配 偶 者)、 配 偶 者、 子 で 占 め ら れ て い る。 寝 た き り 老 人 以外 の 寝 た き り 者 の 介 護 につ い て も、 同 居 介 護 と いう 実 態 に 変 わ り は な い 。 こ の よ う に 社 会 保 障 の 時 代 と い え ど も、 介 護 の 実 態 は 家 族 中 心 で、 し か も、 同 居 介 護 の 形 態 が 支 配 的 で あ る。 つ ま り、 居 住 形 態 と 扶 養 ・ 介 護 形 態 に は、 相 互 規 定 的 な 関 係 が 見 ら れ よ う。 (10> 親 族 交 渉 ① 親 族 (親 戚 ・ 親 類) と は (組 織 ・ 境 界 ・ 意 識) ② ヤ ー ニ ン ジ ュ と は ( 組 織 ・ 境 界 ・ 意 識 ) ③ 親 族 交 渉 の 範 囲 (境 界) ④ 親 族 交 渉 の目的 (機能) ⑤ 親 族 交 渉 の 方 法 ⑥ 親 族 交 渉 の 頻 度 家 族 と 親 族 の ト ラ ン ス ア ク シ ョ ン が 親 族 交 渉 で あ る。 こ こ で 取 り上 げる 親 族 は 法 定 親 族 で は な く、 日常 ・ 非 日 常 生 活 に お い て、 家 族 と の つ き 合 い の あ る 親 族 で あ る 。 そ う い う 意 味 に お い て は、 親戚 と 呼 ん だ 方 が よ か ろ う。 いず れ に し て も、 構 成 単 位 と し て の 家 族 や 個 入 と、 親 族 体 系 を 結 びつ け る 組 織 原 理を 明 ら か にす る 必 要 が あ る。 そ れを 通 して 親 族 の 諸 境 界 を 明 ら か に す る。 親 族 の 範 囲 は 個 人 の 位 置 と 意 識 (視 野) に よ っ て 拡 大 した り、 逆 に 縮 小 し た り も し よ う。 こ の よ う な 観 点 か ら、 親 族 交 渉 を 考 察 する 前提 と して、 親 族 を め ぐ る 組 織 ・ 境 界 ・ 意 識 を 明 ら か に す る 必 要 が あ る 。 そ の 点、 ヤ ー ニ ン ジ ュ に つ い て も 同 様 な 指 摘 が な さ れ よ う。 ヤ ー ニ ン ジ ュ を 構 成 す る 要 素 (親 族 カ テ ゴ リ ー)、 そ の 範 囲 (境 界) 及 び 意 識 は、 必 ず し も 一 様 で は な い。 そ の 境 界 の 設 定 の 仕 方 に よ っ て、 ヤ ー ニ ン ジ ュ は 下 位 体 系 の 家 族 と も 取 れ る し、 逆 に 上 位 体 系 の 親 族 と も 取 れ よ う。 し かも、 意 識 次 元 では 親 族同 様に、 血 縁 関 係 以 外 の擬 似 的 要 素 も 包 含 し え よ う。 いず れ に せ よ、 ヤー ニ ン ジ ュ と い う 概 念 か ら す る と、 沖 縄 の 家 族 は 拡 大 主 義 的 で あ る と 言 え よ う 。 ヤ ー ニ ン ジ ュ 的 な 境 界 の 張 り 方 を 分 析 す る こ と に よ っ て、 沖 縄 の 家 族 や 親 族 の 性 格 が 明 ら か に さ れ よ う。 親 族 交 渉 の 範 囲 は、 そ の 目 的 や 機 能、 方 法 等 に よ っ て 規 定 さ れ よ う。 そ れ は、 地 域 の 慣 習 と も 深 い 関 係 が あ ろ う。 血 縁 社 会 沖 縄 で は、 一 見、 個 人 や 家 族 の 行 事 や 出 来 事 と 思 え る こ と で も、 親 族 体 系 へ 広 が っ て い く 傾 向 が 見 ら れ る。 し か も、 そ れ は 一 般 に 血 縁 と 姻 縁 の 双 方 に 同 心 円 的 に 拡 大 し て い く の で、 勢 いそ の 範囲 は 大 き く、 無 境 界的 になり がち であ る。 ま た、 親 族 交 渉 の 範 囲 が 広 い と い う こ と は、 そ の 頻 度 が 高 い こ と を 意 味 す る 。 親 族 交 渉 を 一 21 一
促 進 す る さ ま ざ ま な 行 事 や 出 来 事 へ の 参 加 が、 相 互期待 的と なって いる から である。 交通 ・ 通 信 の 利 便 性 の 高 ま り と あ い ま っ て、 親 族 交 渉 の 範 囲 は 広 が り をみ て い る と 言 え よう。 一 方、 都 市 化 の 中 で 生 じ て き た 核 家 族 化、 人 間 関 係 の 希 薄 化、 社 会的 連 帯 の 喪 失、 個 人 の 疎 外 な ど の 状 況 の 下 で、 精 神 的 な 拠 り 所と して の 親 族 交 渉 の 機 能 が 指摘 さ れ よ う。 (11) 近 隣 交 渉 ① 近 隣 の 地 理 (空 間 的) 範 囲 ② 近 隣 の 社 会 (人 間) 関 係 的 範 囲 ③ 近 隣 交渉 の 性格 (内 容) ④ 近 隣 交 渉 の 方 法 ・ 頻 度 社 会 が ど う 変 わ ろ う と、 近 隣 集 団 の 基 本 的 な構城 単 位 が、 家 族 (世帯) であ る こ と に 変 わ り は な い。 し か し、 近 隣 集 団 の 中 に、 家 族 が ど の よ う に 位 置 づ け ら れ、 そ れ に 対 し て 家 族 が ど の よ う な 機 能 を 果 た す か は、 時 代 と 共 に 変 化 す る で あ ろ う。 伝 統 的 な村 落 共 同 体 で は、 家 族 ・ 親 族 ・ 近 隣 集 団 は、 日常 ・ 非 日 常 の 生 活 を 通 し て、 構 造 的 に も 機 能 的 に も 一 体 化 し て い た。 近 隣 集 団 は、 い わ ば 擬 似 的 親 族 と し て 機 能 し て い た。 基 礎 集 団 と し て の 近 隣i 集 団 は、 個 人 や 家 族 の 全 ラ イ フ サ イ ク ル を 通 し て、 そ れ を サ ポ ー ト し た。 そ こ に お け る 近 隣 交 渉 は、 優 れ て 全 人 格 的 で あ っ た と 言 え よ う。 と こ ろ で、 近 隣 集 団 は ど の よ う に 変 わ っ た の だ ろ う か。 そ の 変 化 の 背 景 に は、 多 く の 社 会 的 要 因 が 考 え ら れ よ う。 産 業 化と そ れ に 伴う 都 市 化 の 進展 は、 地 域 社 会 を崩 壊 さ せ、 そ の 再 組 織 が 課 題 と な っ て い る。 都 市 部 の 過 密 の 状 況 の 下 で、 人間 は 相 互に 物理 的 (空間的) に は 近 接 し て い て も、 安 定 し た 近 隣 関 係 を 維 持 し て い る わ け で は な い。 む し ろ、 相 互 に 相 手 に 対 し て 無 関 心 で、 没 交 渉 的 な場 合 が 多 い。 そ の 上、 職 住 の 分離 に 伴 う 生 活 (居 住) 圏 と 社 会 (労 働) 圏 の 構 造 的 な 分 離 は、 地 域 社 会 の 統 合 と 安 定 を 阻害 し、 近 隣 関 係 を 弱 体 化 さ せ て い る。 そ れ は 家 族 を 孤 立 化 さ せ て い る。 ま た、 都 市 部 に お け る 近 隣 関 係 の 弱 体 化、 不 安 定 化 に 寄 与 し て い る 要 因 と し て、 そ こ に お け る 人 口 の 高 い 移 動 性、 個 人 主 義 化に 加 え て、 沖 縄 の 多く の 人々 に見 ら れる 地 縁 意 識 が あ げ ら れ よ う。 そ の 典 型 は、 母 村 (古 里) 地 縁 意 識で あ る。 そ れ が 具現 した の が 郷 友 会 で あ る。 同 一 近 隣 集 団 な い し地 域 社 会 (コ ミ ュ ニ テ ィ) が、 そ れ ぞ れ 異 なっ た 地 縁 (母村 瓢 シ マ) に よ っ て モ ザイ ク 的 に 形 成 さ れる と、 そ れ が相 互 排 他 的 に 機 能 した 場 合 は、 近 隣 集 団 は そ の 統 合 性 と 安 定 性 を 喪 失 す る こ と に な る。 そう い う 状 況 の 下 で は、 個 々 の 家 族 がア ノ ミ ッ ク に 孤 立 す る こ と に な ろ う 。 以 上、 家 族 制 度 及 び 制 度 的 慣 行 に 関 す る 主 な る 調 査 項 目 と し て、 位 牌 継 承、 遺 産 相 続、 一 22 一
居 住 規 則、 老 親 の 扶 養 ・ 介 護、 親 族 交 渉、 近 隣 交 渉 を あ げ た。 こ れ ら の 諸 項 目 は、 相互 に 関 連 し て い る の で、 家 族 変 動 を 跡 づ け る に は、 各 項 目の 変 化 と 同 時 に そ れ ら の 関 連 性の 変 化 も 明 ら か に す る 必 要 が あ ろ う 。 家 族 変 動 の 一 局 面 と し て の 家 族 規 範、 と り わ け 性 ・ 長 幼 の 規 範 が、 上 記 の 家 族 制 度 及 び 慣 行 の 上 で ど う 変 化 し た か が、 明 ら か に さ れ ね ばな ら な い で あ ろ う 。 (吻 家 族 の 機 能 ① 機 能 の 分 析 次 元 ② 機 能 の 種 類 ③ 機 能 の 変 化 家 族 の 機 能 に は、 性、 生 殖、 子 ど も の 社 会 化 (子 育 て) 等 の、 家 族 に 固 有 な 本 質 機能、 生 産 ・ 就 労、 消 費 ・ 扶 養 等 の、 基 礎 機 能、 そ れ に 教 育、 保 護、 休 息、 娯 楽、 信 仰 等 の 派 生 機 能 の よ う に、 そ れ ぞ れ 次 元 を 異 に す る 多 様 な 機 能 が 見 ら れ る。 そ れ ぞ れ の 機 能 は、 対 内 的 に は、 家 族 員 の 諸 ニ ー ズ を 充 足 し な が ら、 家 族 シ ス テ ム の 安 定 化 を 図 り、 対 外 的 に は、 社 会 の 機 能 的 要 件 を 遂 行 し な が ら、 社 会 シス テ ム の 安 定化 に 寄 与 して い る。 家 族機 能の 観 点 か ら 家 族 変 動 を 捉 え る に は、 対 内 的 機 能 と 対 外 的 機 能の 両 極 面 か ら、 機 能 項 目 ご と に、 そ れ ぞ れ の 変 化 を 跡 づ け る 必 要 が あ る。 個 々 の 変 化 の 背景 には、 さ ま ざま な 社 会 的 要 因 が 作 用 し て い る こ と は 申 す ま で も な い。 諸 項 目 の 中 で も、 特 に、 重 点 項 目 に あ げ て 調 査 す る 必 要 が あ る の は、 子 ども の 社 会 化 (子 育 て) と既 婚 女 性 の 家庭 的 就 労 であ ろ う。 こ こ で は こ の 二 つ の 機 能 に つ い て、 検 討 す る こ と に し よ う。 す べ て の 家 族 機 能 は、 そ の 担 い 手 の 視 点 か らす れ ば、 基 本 的 に 家 族員 の 役割 を通 して 遂 行 さ れ る 。 従 っ て、 特 に、 家 族 の 対 内 的 機 能 が 遂 行 さ れ る メ カ ニズ ム は、 当 該 家 族 の 内 部 構 造、 な か ん ず く 役 割 構 造 を 通 して 明 ら か に さ れよ う。 例 え ば、 家 族 の 社 会 化 (子 育 て) 機 能 の 変 化 を 明 ら か に す る に は、 家 族 に お け る 社 会 化の 構造 の 変 化 を 明 確 に す る 必 要 があ る 。 社 会 化 の 構 造 は、 社 会 化 の 担 い 手 (授 け 手 agent) 、 受 け 手 (対 象)、 目 標、 方 針、 内 容、 方 法、 環 境 等 の 諸 要 素 か ら 成 り 立 っ て い よ う。 社 会 化 の 構 造 変 化 は、 こ れ ら 諸 要 素 の 性 格 ・ 内 容 と 要 素 間 の 諸 関 係 が 変 化 し た こ と を 意 味 す る 。 具 体 的 に は、 担 い 手 と し て の 親 と い え ど も、 家 父 長 制 の 下 に お け る 親 と、 夫 婦 制 の 下 に お け る 親 は、 そ れ ぞ れ 異 質 な 存 在 で あ る し、 親の 性 別 に よ っ て も そ の 役 割 は 異 な ろ う。 家 族労 働 を 中心 と した 過 去 の 農 業 経 済 の 段 階 に お け る 親 を と り ま く 諸 条 件 と、 現 代 の 産 業 社 会 の下 にお ける そ れと は、 大 き く 異 な っ て い よ う 。 同 様 な こ と は、 対 象 で あ る 子 ど も に つ い て も 言 え よ う。 す な わ ち、 多 子 時 代 の 過 去 と 少 子 時 代 の 現 在 で は、 子 ども を と り ま く 環 境 に 大 差 が 見 ら れる。 恵 ま れた 一 23 一