光 弾 性学 論 文 集 第21巻 第2号(2000)
高 力 ボル ト ・ナ ッ トの新 締 結 機 構 の解 析 と光 弾 性 実験*
浅 井 貞 重**
Analysis
and Photoelastic
Experiment
of New Fastening
Functions
on the High Strength
Bolts
Sadashige
ASAI
The stress distribution in bolts of variously bolted joints have been determined theoretically and experimentally. Theoretical stress distributions involved the determination of shear lag analyses from ratio of tensile rigidity of bolt and nut. By means of a theory of elasticity, loosening predictions were make for four specimens. Three-dimensional photoelastic experiments were conducted on one ordinary nut and three
flange-lip nuts subjected to end load without torsional moment. The agreement between the theoretical results and the experimental values was found to be excellent.
Key Words: Bolt and nut fastenings, Flange-lip nut, Shear lag, Gibbs phenomenon, Elastic analysis, photoelasticity
1. は し が き 一 般 に ボル トとナ ッ トに よ る接 合 は、剪 断接 合 と摩擦 接 合 の二種類 に大別 されて い る。す なわ ち前 者 は接 合面 およ びボ ル ト孔 とボル ト円筒部 の嵌 め合 わせ が精密 に で きて い る場 合 であ り、主 に ボル ト円筒 部 の勇断力 が抵抗 す る。 ま た後者 は接 合面 ・ボル ト・ボ ル ト孔 が精密 に加 工 されて い ない場 合で 、 ボル トで締 め付 け られ た部 材相 互 の摩 擦 抵抗 に よ り接 合 する もの であ って 、部材 の 固定化 、 お よ び土木建 築 の部 門 にお いて は トンネル の シー ル ドセ グメ ン トの継 手 、鋼 橋 や建物 の鉄 骨部材 のよ うな長 尺物 の 接合 な どが あ り、そ れ らの接合 面 には締 め付 け力 を増 す た め多数 の ボル ト孔 が明 け られ高力 ボル トで締 め付 け られ てい る。 こ こでは後 者 、す なわ ち摩擦接 合 につ き考 え る事 にす る。 そ の摩 擦締 結 されて い るね じに過大 の軸力 や繰 り返 し 荷重 が長 時 間作 用す ると、 ね じは ク リー プや疲 労 をす る の で 、ね じの予 張力 す なわ ち初期 の締 め付 け力 が緩 んで 剛 性 は低下 す る。従 って、 この緩 ん だ状 態 で更 に振動 ・ 衝撃 ・輪 荷重 や風 荷重 の如 き、繰 り返 し荷重 を継 続 して 受 け る と、ボ ル ト ・ナ ッ トの締結 力 は一 層緩 ん で振 幅 は 増加 し、終 に は脱 落 す るの で構造物 全 体 と しての安 全性 は損 なわ れ る。そ れゆ え、 ね じの緩 み防止対 策 につ い て は既 に多 くの人 々 に よ り研究 ・考 察 がな されて い る。 そ こで それ らの研 究 の内 容を調 べ る と、接 触 面 の凹凸 のへ た り ・温度 差 ・な ど色 々挙 げ られて い るが、主 因 とな っ て い るもの は大 抵 の場合 、 ボル ト・ナ ッ トの締結 体 の静 的応 力分布 で あ る。 それ故 ここで は、そ れ らの研究 に倣 い 、高 力 ボル トの摩 擦接 合 につ いて 、 ボル トとナ ッ ト間 の応 力授受 の平 滑化 につ き研 究 を したの で報告 す る。な お ボル トとナ ッ トに は、締 め付 けの 時 に生 じる引張 力 と 捩 りモ ー メ ン トによ る軸 応 力 と剪断応 力 が共存 す るが、 後者 は前 者 に比べ て極 め て小 さい と思 わ れ るので 、剪断 応力 は省 略す るこ とに した。 2. 高 力 ボ ル ト ・ ナ ッ ト の 締 結 機 構 高力 ボル トは土 木 ・建築 の分 野 にお いて は色 々の所 で 使 用 されて い るが、典 型 的な道 路橋 示方 書1)に よれ ば、 鋼 橋構 造用 に用 い られ るハ スナ ーの規格 は一 般機 械用 と は別 に定 めて いる。 その 別 に定 め た規格 を観 ると、主 と な ってい る ものは文献2)に 在 る"高 力 ボル トに よ る摩擦 接 合継 手"と 呼 ばれ る もの であ る3)。 な お この文 献2)は 題 目が示 す よ うに、 ボ ル トとナ ッ トと座金 の3点 が セ ッ トに成 ってい る(座 金 の必要 は部材 の締 め付 け面 が仕上 が ってい ない の と、長尺 部材 を ボル トで締 結す る とき、 ボル ト孔 に食 い違 いが生 じやす く、 ドリフ トピンの使 用 に よ り締 め付 け面 に凹 凸が生 じた り、過大孔 な どの現 場 加 工 が必要 とな る場 合 があ るか らで あ る1)4))。 摩擦 接 合継手 の機 構 は、 ボル トとナ ッ トで ガセ ッ トお よ び部 材 を締 め付 け、 その 時に生 じる部材 相互 間 の摩擦 力 によ り結合 す る もの であ って 、ボ ル トには勇 断力 は殆 ど作 用 しない が、 引張力 は大 き く作用 す る もので あ ると されて い る。 なお 、 この ボル トの締 め付 け力 が大 きけれ * 原稿 受 付 平 成12年8月3日 ** 正員 、東 洋大 学工 学部(〒350-8585 埼玉 県 川越 市鯨井2100)
22 光 弾 性 学 論 文 集 第21巻 第2号(2000) ば、ボ ル トの数 また は径 を減 らせ るの で経 済的 とな る が、 施 工誤 差 、応力 集 中、 ボ ル トの材 質 の ク リープ と引張 強 さ、 な どに よ り制 限 され示 方書1)で は 、 締 結軸 力= (すべ り係数=0.4)×(降 伏 点 に対 す る 比率=0.75)×(ボ ル トの 降 伏点応 力)×(ね じ部の 有効断面 積)/ (継 手 の す べ りに 対 す る 安 全 率=1.7) =0 .18×(ボ ル トの 降 伏 軸 力) と定 め られ てい る。 すな わ ち降伏軸 力 の約18%の 軸 力 で 締 め付 けて い る事 にな る。従 って、摩 擦接 合継 手 の機構 に おい て締 付力 が低 下す るとい う ことは 、部材 相互 間 に お け る軸 力 の伝達 機構 が損 なわれ る事 を意 味 す るので注 意 が必要 で あ る。 そ こで関係 論文 を詮索 して、 ね じが緩 む主 因 を調 べ る と、ね じは螺 旋 形 なの で ナ ッ トの座圧 は必然 的 にボ ル ト の 中心 に対 して点対 称 とはな らない とい うこ との外 に、 ボル トとナ ッ ト間 にお け る剪 断遅 れ現 象(こ れ はボ ル ト とナ ッ トのね じ山 が噛 み合 って い る層 の剪断 剛性 の採 り 方 に よ り大 き く変化 す る)が 基 とな って、静 的 には ボル トの ク リープ が、 ま た動 的 に は結 合 してい る部 材 に振 動 な どの力 が働 くと、部材 の板厚 は ポア ソ ン比 に よ り増 減 す るので 、締結 して いる ボル トの軸 力 も増減 し疲 労 をす る ことが挙 げ られ て い る。す なわ ち静 的 ・動 的 の何 れに せ よ、締結 され たボ ル トの破壊 は 、ボ ル トとナ ッ ト間 に お ける剪 断遅 れ現 象 が基 因 とな る事 が弾 性理 論 お よび実 験 によ り明 らか とな り、 その対 策 が採 られ てい る5∼10)。 そ こで、 こ こでは剪 断遅 れ の緩和 につ き考 え る こ とに した。 3. ボ ル ト と ナ ッ ト の 締 結 機 構 に お け る 剪 断 遅 れ 前 章 にお いて は、摩 擦継 手 の締結 機 能 はボル トとナ ッ ト間に お ける剪断 遅 れが大 き く影響 す る こ とを述べ た 。 ここで は、 その 剪断遅 れ につ き 、まずJISで 規格 されて い るナ ッ トについ て述 べ 、次 いで提 案 した ナ ッ トにつ い て 述 べて両 者 を比較 検討 をす る ことに した 。 3.1 JIS2)の ナ ッ ト に つ い て ボ ル トとナ ッ トに生 じる応 力 は、共 に座 面近 傍 のね じ 底部 に集 中 して 生 じるが、 その範 囲 はSt. Venantの 原理 によ り外皮 付近 に止 ま り、 中心部 に はほ とん ど影響 しな い(後 述 図11参 考)、 従 ってボ ル トの中心 軸 を含 む二 次 元 光弾 性実 験 を用 い る事 が で きる。 そ こで先 ず二 次元 的 に調 べ る。図1は 単 位厚 さで あ っ て 、 ボル トに 当た る(2)の部材 は 、ナ ッ トに当 た る(1)なる 二 つ の部材 と、hの 区 間 は、ね じ山 の数 は密 に あ り、均 等 に接 着 され てい る もの とす る。そ う して(2)の部材 に図 示 の よ うにPが 作用 した とき、 その反 力 と して(1)の部材 にP/2が 惹 起 して釣 合 った とす る。 かか る場 合の接 着 層 にお け る剪 断遅 れ を求 め る。な お 、 この よ うな問題 は既 に多 くの人 が求 め てい るの で大要 を示 す と11)、 先 ずx 座 標 を図示 の よ うにナ ッ トの底面 よ りと り、x=xに お け る微 小 要 素 の釣 合 を 示 す と 図2の よ う に な る 。 こ こ で (1), (2)の部 材 に 、 そ れ ぞ れ 脚 字1, 2を つ け る と 、 図1と 図2よ り P1(x)=-P2(x) (1) 図2の(I)ま た は(V)よ り d(P1/2)-τdx=0 (2) 図2の(III)よ り dP2+2τdx=0 (3) 式(2)と(3)よ り d(P1/2)/dx=-d(P2/2)/dx=τ (4) こ こ で ね じ 山 の 層 の 剪 断 歪 γ は 、Geを ね じ山 層 の 剪 断 係 数 とす る と 、 (5)
Fig. 1. Fastening function of bolt and nut for two-dimension
浅 井:高 力 ボル ト ・ナ ッ トの新 締結 機構 の解 析 と光弾 性実 験
23 で あ る 。 次 に フ ッ クの 式 σ=Eε は 、 単 位 厚 さ 当 た りの P1に つ き 、 で あ る か ら 、 引 張 剛 性 をt1E1=K1, t2E2=K2と 略 す と 、u1とu2は 、 そ れ ぞ れ 、 (6) と 書 け る 。 次 に 式(5)の τをxで 微 分 し て 、 式(1), (6)を 代 入 す る と、 (7) と な る。 一 方 、 式(4)は 、 (8) で あ るか ら 、 式(8)を 式(7)に 代 入 す る と 、 (9) を 得 る。 た だ し 、 (10) で あ る 。 式(9)の 解 は 、 P2=c1sinhλ ξ+c2coshλ ξ (11) で あ る 。 こ こ で 境 界 条 件 を 適 用 し てc1, c2を 求 め と 、 ξ=0でP2=Pよ り ∴P=c2 ξ=1でP2=0よ り ∴0=c1sinhλ+Pcoshλ 従 っ てP2は 、 (12) と求 ま る 。 次 に τ は式(8)よ り 、 (13) と な る 。 こ こ で 検 算 と して 、 式(13)に ∫h0dx=∫10h dξ を 遂 行 す る と と な っ て 、力 の 釣 合 条 件 を 満 足 す る こ と が分 か る。 こ こ で 、 以 上 に お い て 求 め た 式 に 高 力 ボ ル トを 適 用 す る 。 こ の よ うな 場 合 、文 献12)は 二 次 元 的 に求 め た 解 析 式 の 荷 重 と単 位 厚 さ を三 次 元 的 に 換 算 して 、三 次 元 的 の 式 を 誘 導 して い る 。 こ れ に 倣 っ て 、 ね じの 呼 びM24×3(後 述 の 図9を 参 照)に つ き 、 式(12)よ りP2/Pを 求 め る。 な お ボ ル トと ナ ッ トは 同 質 材 で あ っ て 、 ポ ア ソ ン比 、 ヤ ン グ 率 、 剪 断 係 数 、 摩 擦 係 数 を 、 そ れ ぞ れ ν 、E、G、 μ 、 と す る 。 そ う して 、E1=E2=E,ボ ル トの 谷 径 d=20.8mm,ナ ッ トの 谷 径D=24.0mm,有 効 径de= 22.05mm,と す る と 、 ボ ル トの 断 面 積A2=(π/4)dd2=(π/4)・20.820.82 =340mmmm2Fig. 3. Variation of the axial force of bolt with height of nut
Fig. 4. Distribution of τ for Fig . 3
ナ ッ トの 断面積 リ ー ド角 β=p/πde=3/22.05π=0 .0433 rad. で あ り 、 図1の 各 値 は 、 t2=20.8mm h=24.0mm と な る 。
24
光 弾性 学論 文集 第21巻 第2号(2000)
こ こ でGeの 値 を 求 め る の で あ る が 、 この 値 は ね じ理 論 の 中 枢 を な す も の で 実 験 に よ り求 め る の は難 し い 。 そ こ で 文 献6)7)12)は 、 ね じ山 を 台 形 状 と 見 做 して 、ね じ山 の 、 曲 げ 、 剪 断 、 付 け 根 の 勢 断 と 傾 き 、半 径 方 向 へ の 拡 大 ・収 縮 、 な ど に つ き複 雑 な 解 析 を して 弾 性 変 形 を 求 め て い る が 、 こ こ で は 以 下 の よ う に 考 え た 。 す な わ ち 、 Ge=μG (14) と 仮 定 し た 。 こ れ は 、 ね じ山 は 変 形 しな い で 、 ボ ル トと ナ ッ トの ね じ山 が 互 い に 摺 動 す る こ と に よ り 、 式(5)の u1, u2が 生 じ る と した も の で あ る 。 な お μ は1気 圧 で は 、 金 属 と 金 属 と の 間 で あ れ ば 約0.16程 度13)で あ る。 ま た 、Junker7)も ボ ル トと ナ ッ トの 表 面 状 態 が 色 々 の 場 合 に つ き 実 験 を し て 、 表 面 が 無 処 理 で 潤 滑 剤 を 使 用 し て い な い と き は μ=0.14∼0.18と 求 め て い る 。 そ こ で μ= 0.16と お き 、 ν=0.3と す る と 、 式(10)は 、 ∴ λ=2.09 (15) と な る の で 、 式(12), (13)は 、 そ れ ぞ れ 、 (16) (17) と な る 。 これ を グ ラ フ に示 す と 図3と 図4と な る 。 な お 図3に は 参 考 値 と し て4論 文 のP2/Pの 値 を ξ の 関 数 と し て 載 せ て お い た 。 こ の 図3を 観 る と 、P2/Pの 値 は ξ ≒1.0の 近 傍 で 、 ば らつ き が 大 き くな って い る 。 そ れ は 噛 み 合 っ て い る ボ ル トと ナ ッ トの ね じ 山 の 数 を 有 限 と す るか 無 限(本 論 文)と す る か に よ る もの で あ ろ う 。 3.2 締 結 機 構 の 提 案(そ の1) Martinagliaに よ れ ば 、 通 常 の ボ ル トと ナ ッ トの 締 結 体 が 破 断 す る 箇 所 は 、15%が ボ ル トヘ ッ ドの ヒ レ ッ ト部 、 20%が ボ ル トに 刻 ま れ て い る ね じの 末 端 部 、65%が ナ ッ トに 嵌 ま っ て い る ボ ル トの 第 一 番 目の ね じ底 部 で あ る と い う5)。 す な わ ち 、 こ の 資 料 に よ れ ば ナ ッ トは圧 縮 を 受 け る の で 破 断 しな い で 、 引 張 を 受 け る ボ ル トの み が破 断 を す る こ と に な る 。 そ こ で 前 節 で は 、 上 述 の 最 弱 の 場 合 に つ き 、 ボ ル トに 生 じ る 引 張 り の 応 力 分 布 を 求 め て 図3 に 示 した 。 こ こ で は 更 に 図3の 応 力 集 中 の 緩 和 に つ き考 え る 事 に した 。 な お 、 こ の よ う な 場 合 の 応 力 緩 和 法 と し て 最 も簡 単 な もの は ナ ッ トの 底 面 部 を 円 錐 状 に 削 る こ と で あ り、 こ れ だ け で も疲 労 強 度 は20%上 が る と さ れ て い る7)。 そ の 具 体 的 の 例 と して 、 文 献5)は 光 弾 性 実 験 に よ りナ ッ トの ね じ孔 を2.5° の 半 円 錐 角 に す る と 、 最 大 応 力 は 標 準 の ナ ッ トに 対 して 、 約20%減 少 す る 事 を 示 して い る 。 他 に も色 々 発 表 さ れ て い る が7,8)14)15)16)、 そ れ ら の 内 容 は 、 殆 ど現 今 の ボ ル ト ・ナ ッ ト間 の 応 力 授 受 機 構を"重 ね 継 手(lap joint)→ そ ぎ継 手(scarf joint)"の 状 態 に 近 づ け る も の で あ る 。 こ の 思 想 は タ ー ビ ン ・ブ レ
ー ドを ロ ー タ ー に連 結 す る と き 、 そ の 形 状 をdovetail型 や ク リ ス マ ス ・ツ リ ー 型 に す る の と類 似 し て い る 。 そ こ
Fig. 5. Reducing the magnitude of the highly localized stresses at
roots the threads of nut (This
figure is a quotation from
Fig. 86 of Ref.15))
Fig. 6. Bolt and nut for par. 3.2
で 、 実 用 性 を 考 慮 し、 ア タ ッ チ メ ン トを 必 要 とせ ず 、 か つ 被 締 結 材 は ボ ル ト孔 の 穿 孔 の み で 済 む 簡 易 な 方 法 を探 す と、 図1のt1を2段 階 に分 け てP2の 分 布 の 均 一 化 を 図 った もの と して 図5が あ る 。 この 図5の 形 状 に つ い て は 、Wiegandが 色 々 の 場 合 に つ き 実 験 資 料 を 提 供 して い る(そ の 一 部 は文 献14)15)に 掲 載 さ れ て い る)。 そ こで そ れ らの 資 料 と緩 み 防 止16)を 考 慮 して 決 め た 図6に つ き 、 以 下 に考 え る こ と に す る 。 図6に つ い て は 図1と 同 様 に 解 析 す る 。 た だ し、x= 0∼h1, h1∼h,間 のt1は 、 そ れ ぞ れ 一 定 と し、 二 段 か い に別 け て 考 え る事 に した 。 [x=0∼h1に つ い て] ナ ッ トの この 部 分 は 前 節 と異 な り、 引 張 りを 受 け る こ と に 注 意 。 次 にP2に つ い て の 微 分 方 程 式 を3.1と 同 様 に求 め る と 、 (18) と な る 。 た だ し、 で あ る 。 式(18)の 解 は 、
浅 井:高 力 ボル ト ・ナ ッ トの新締 結機構 の解析 と光弾 性 実験
25 (19) と な る 。 次 に 境 界 条 件 を 適 用 してc1, c2を 求 め る と、 ξ=0でP2=Pよ り (20) ξ=h1/h=ξ1に お い てP2は 、 (21) と な る 。 次 に τ は 、c1, c2を 用 い て 式(19)よ り 、 (22) と な る。 式(22)を 積 分 す る と 、 (23) と な る 。 [x=h1∼hに つ い て] こ の場 合 は 図6を 参 照 し て 、P2に つ い て の 微 分 方 程 式 を 導 く と、 (24) と な る 。 た だ し、 で あ る 。 次 に 式(24)の 解 は 、 P2=c3sinhλ2ξ+c4coshλ2ξ (25) と な る 。 次 に τ は 、 (26) と な る。 式(26)を 積 分 す る と 、 (27) と な る 。 [x=h1に お け る 連 続 と釣 合 に つ い て] こ こ で ξ1に お け る 連 続 条 件 と釣 合 条 件 を 適 用 す る と 、 式(21)=式(25),式(22)=式(26),式(23)+式(27)=P /2よ り(た だ しc2は 式(20)を 代 入 し て い る)、 (28) と な る 。 こ こ で 式(28)に つ き以 下 の 数 値 を 使 用 して 、 第 3.1節 の 計 算 例 と 同 様 に 計 算 を す る と 、式(28)は 式(29) と な る。 ξ1=0.5, t=1.6mm, (た だ し ξ=0∼0.5) t1=10.1mm(た だ し ξ=0.5∼1.0) t2=20.8mm α1=t2/t1=20.8/3.0=6.93 α2=t2/t1=20.8/10.1=2.06 λ1=3.08 ∴ λ1ξ1=1.540 λ2λ22=9.51×(2+α2)/(2+α1)=4.40 λ2=2.09 ∴ λ2ξ1=1.045 (29) 式(29)を 解 き 、 式(20)のc2を 加 え てciは 、 c1=-0.377P, c2=[2/(2+α1)]P=0.224P, c3=-1.593P, c4=1.545P, と な る 。 従 っ てP2/Pは 、 式(19), (25)よ り P2/P=-0.377sinh3.08ξ+0.224cosh3.08ξ +0.776(た だ し ξ=0∼ ξ1) (30.1) P2/P=-1.593sinh2.09ξ+1.545cosh2.09ξ (た だ し ξ=ξ1∼1) (30.2) ま た τ/(P/2h)は 、 式(22), (26)よ り τ/(P/2h)=-3.08[-0.377cosh3.08ξ+0.224 ×sinh3.08ξ](ξ=0∼ ξ1) (31.1) τ/(P/2h)=-2.09[-1.593cosh2.09ξ+1.545 ×sinh2.09ξ](ξ=ξ1∼1) (31.2) と な る 。 式(30.1), (30.2)のP2/Pを 図3に 記 す 。 図3 のP2/Pは ξ に 対 し て 、 ほ ぼ 一 次 関 数 と な る の で 、 τ は 式(4)よ り 、 ほ と ん ど 一 定 に な る こ と が 推 定 で き る 。 現 に 式(31.1), (31.2)の τ/(P/2h)を 図4に 示 す と τ/(P /2h)≒1.0と な る 事 が 分 か る 。 3.3 締 結 機 構 の 提 案(そ の2) 前 節 の3.2を 更 に理 想 化 し た 先 細 重 ね 継 手(tapered lap joint)を 図7(A)に 示 す 。 こ の よ う な 継 手 は 、 既 に 厚 手 の プ ラ ス チ ッ ク製 の パ イ プ を 継 ぐ と き 、 良 く用 い ら れ て い る17)。 次 に 図7(A)のP2に つ い て 微 分 方 程 式 を 誘 導 す る と 、 ξ=x/h, K=(μhh2G)/(tE)と 置 くこ と に よ り、 (32) を 得 る 。 こ こ で 、t1=ξt0, t2=(1-ξ)t0と お く と 式(32)は 、 (33) と な る の で 、P2の 境 界 条 件 と して 、P2(0)=P, P2(1)26 光 弾 性 学 論 文 集 第21巻 第2号(2000) =0 ,と す る と 、 式(33)のP2は 、 P2=(1-ξ)P (34) と 求 ま る 。 従 って τは 式(8)よ り 、 (35) と な る 。 以 上 は 周 知 の 事 で あ る 。 式(34), (35)を 、そ れ ぞ れ 図3, 4に 示 す 。 す な わ ち 、は め あ い ね じ部 の 全 長 に つ き 、 τと σ が一 定 と な る の で 破 壊 が 何 処 か ら生 じ る の か 分 か ら な い 。 な お 、この よ う な 問 題 に つ き 河 田 ・武 田18) は 接 着 層 の 両 端 末 に 接 着 が不 完 全 の 小 部 分 が あ る場 合 を 想 定 し 、 そ こ に 応 力 集 中 が生 じる と し て 、Griffithの 破 壊 条 件 を 適 用 して 破 壊 荷 重 を 求 め て い る 。 さ て 、 式(35)をM24×3の ボ ル ト ・ナ ッ トに適 用 す る に は 、 図7(A)をC-C軸 周 りに 一 回 転 し た も の を 考 え れ ば 、 ボ ル ト ・ナ ッ ト系 と し て の 力 の 作 用 線 は 一 致 す る の で 、 力 の 作 用 線 の 不 一 致 に よ る 曲 げ モ ー メ ン トは 生 じ な い(peeling stressは 生 じ な い)。 そ れ 故 、 そ ぎ継 手 と考 え られ る 。 す な わ ちC-C軸 が ボ ル トの 中 心 線 と一 致 す る 図7(B)を 考 え れ ば よ い 。 そ こ で 、図7(B)のt1, t2 の 形 状 を 求 め る 。t1, t2は 、そ れ ぞ れ ナ ッ トと ボ ル トの 断 面 積 に相 当 し、 共 に ξの 関 数 とな る の で 表1の よ う に
Fig.
7. Bolt and nut for par.
3.3
Table 1. Calculations
for t1'
and t2'
して 求 め た 。 す な わ ち 、 (1)はx座 標 で3.2mm毎 に 採 っ た 。 こ れ はh>0.8Dと す れ ば 並 目ね じの 場 合 に は 、 ボ ル トが 切 断 す る以 前 に ナ ッ トが 抜 け る よ う な こ と は な い か ら で あ る 。 本 例 で は 、0.8D=0.8×24.0=19.2mmと な る の で 、h= 19.2mmと し、 そ れ を6等 分 した 値3.2mmと した 。 (2)は ボ ル トの 断 面 積A2=(π/4)×20.820.82=340mmmm2と な るの で 、 こ れ を6等 分 し累 加 し た 。 (3)は ボ ル トに つ い て の 切 削 直 径 で 、 dB=[20.820.82-(4/π)A2']0.5よ り求 め た 。 (4)は ナ ッ トに つ い て の 切 削 直 径 で 、 dN=[24.024.02+(4/π)(340-A2')]0.5よ り求 め た 。 (5)はt1に 相 当 す る も の で で あ る 。 (6)はt2に 相 当 す る も の で で あ る 。 以 上 よ り 、 この 場 合 の ボ ル ト・ナ ッ トの 結 合 は 図7(B)の よ う に な る 。
3.4
締 結 機 構 の 提 案(そ
の3)
前 掲 の 図7(B)の 載 荷 状 態 は 理 想 的 な の で 、 こ こ で は 実 用 的 な 場 合 と して 図8を 考 え た 。 す な わ ち ボ ル トの 余 長 が 長 す ぎ て ナ ッ トの 上 面 よ り大 き く突 出 す る と 、 施 工 時 の 安 全 性 お よ び 二 次 覆 工 の 際 、 支 障 を き た す こ と が あ る の で 、 通 常 は 、 ね じの2∼3ピ ッチ 程 度 に して い る 。 そ こ で 余 長 が ナ ッ トの 上 面 内 で あ る と し、t1, t2を 、 t1=ξt0, t2=t0=const (36) と す る と式(32)は 、 (37) と な る 。 こ こ でP2の 境 界 条 件 は 、 P2(0)=P, P2(1)=0 (38) で あ る 。 式(37)を 求 積 法 で 解 くの は 難 しい の で 、 反 復 法 に よ り解 く こ と に す る 。 式(37)を2回 積 分 す る と 、 (39) とな る 。 こ こ で 積 分 定 数c1, c2は 式(38)を 適 用 す る と 、 c2=1, (40) と求 ま る 。 以 上 でP2が 求 ま れ ば τは 、 (41)浅井:高 力 ボル ト ・ナ ッ トの新 締 結機構 の解 析 と光弾 性実 験
27Table 2. Calculations for P2/P and τ/(P/2h)
と な る 。 つ ぎ に 、 t0=20.8/2=10.4mm と して 、式(39)を5-8法 則19∼21)に よ り不 定 積 分 を す る 。 そ の 過 程 を 表2に 示 す 。 表2を 説 明 す る と 、 [1]は ξ の 座 標 で あ る 。 [2]は1/ξ で あ る 。 た だ し ξ=0の 位 置 は ∞ と な り、 現 実 的 で な い の で ξ=0.05と し、20.000と した 。 [3]は ∫ ξ0(1/ξ)dξ で あ る 。[2]の 仮 定 を した の で 求 積 法 で 求 め る の は 煩 わ しい 。 そ こ で5-8法 則 に よ る 数 値 積 分 を し た 。 た だ し積 分 の 上 限 の ξ 、 下 限 の0、 線 分dξ の 記 号 は 省 略 した 。 以 下 、同 様 に 省 略 す る。 [4]は ∬(1/ξ)で あ る 。 [5]はK'∫ ∫(1/ξ)で あ る 。 た だ しK'=K/t0=14.18/ 10.4=1.363で あ る 。 [6]は1+(1/ξ)で あ る 。 [7]はP2/Pの 第0次 の 近 似 値 で 、 勝 手 に 仮 定 す る 。 な お 近 似 次 数 を 脚 字 で 示 す こ と に す る 。 [8], [9], [10], [11]の 説 明 は 略 す 。 [12]はc1ξ で あ り、c1は 式(40)で あ る 。 す な わ ち ξ= 1.0の 値 を使 っ て c1=-[11]+[5]-1=-3.672+3.845-1=-0.827 と な る 。 [13]は 式(39)のP2/Pの 第1近 似 値 で あ り、 [13]=[11]-[5]-[12]+1 で あ る 。 以 下 、 同 様 に してP2/Pの 近 似 値 を 求 め る と、 [19]∼[49]お よ び[55]と な り収 束 す る 。 な お 、最 終 回 に つ い て の[54]のc1は c1=-[53]+[5]-1=-3.767+3.845-1=-0.922 で あ り、[55]の(P2/P)8は 、 [55]=[53]-[5]-[54]+1 で あ る 。 [56]は τ/(P/2h)で あ る 。 す な わ ち 、以 上 でP2が 収 束 した の で 、 式(41)の τは 、 τ/(P/2h)=-K'[51]+K'[3]-0.922 とな る の で 、 こ の 値 を[56]に 記 した 。 以 上 の[55], [56]を 、 そ れ ぞ れ 図3, 4に 記 した 。 こ こ で 図3を 観 る と 、 ξ に よ るP2の 減 少 傾 向 は 、現 行 の 場 合 よ り も 、 提 案 の 場 合 の方 が緩 慢 で あ り、 特 に[55] は 顕 著 で あ る 。 こ の 現 象 は 、P2がhの 範 囲 内 に お い て 、 現 行 の 場 合 よ り も均 等 に 分 布 し て い る事 を 意 味 して お り 衝 撃 や 振 動 の 荷 重 に 対 して は 、 ば ね の 役 目 を す るの で 有 利 と言 え る 。 ま た 図4を 観 る と、 τの 平 均 値 は 当 然1.0 と な っ て い る事 が 分 か る 。 ま た τmaxは 、 そ の 大 き さを 表 す と共 に 、 ね じ山 が 剪 断 破 壊 す る位 置 を 表 し、 そ の 位 置 が大 き く変 化 す る 事 を 示 して い る。 す な わ ち 、[56]は τ(1)/τ(0)=1.370/0.922=1.486で あ る か ら ξ=1.0 の 位 置 は 、 ξ=0.0の 位 置 よ り も、 疲 労 や 破 壊 が 生 じや す い事 を 示 して い る 。 こ れ は現 行 の 場 合 と 逆 で あ る 。
4.
光 弾 性 実 験
第3章 で数値 計算 例 と して示 した現 行 と提 案 につ いて ボ ル ト ・ナ ッ ト間 の応力 授受 を実験 で検 証 す るに は、光 弾 性実 験 の応力 凍結 法 に よるの が最 も適宜 であ ろ う。 そ こで 、 こ こで は以下 に示 す4.1∼4.4の4ケ ース につ き実験 を した 。す なわ ち対象 とす るね じは、3.1で 示 し たM24×3と し、 その試 験片 をエ ポ キ シ樹脂 で作 った。 そ の4ケ ー スの試験 の 内、2ケ ースを 図9に 示 す。 図9 の上部 は現 行 、下部 は提 案の ナ ッ トで あ る。た だ し提 案28
光 弾性 学論 文集 第21巻 第2号(2000)
の 六 角 ナ ッ トは フ レヤ ー(flare)の 部 分 の 加 工 が 難 しい の で 、 円 錐 状 の部 分 は 階 段 状 と した 。 ま た 試 験 片 の 寸 法 は 図9の 寸 法 を1.5倍 した 大 き さ と した 。 そ う して 、 こ の 試 験 片 を 図10の よ う に セ ッ ト し、 引 張 荷 重20.6kgfを か け て 応 力 凍 結 を した 。 次 に 応 力 凍 結 した 試 験 片 よ り 図9に 示 した 直 角2方 向 に つ き 厚 さ3mmの ス ラ イ ス を 削 り 出 し、 等 色 線 写 真 を 撮 っ た 。 そ れ が 図11で あ る 。 な お 図11に は 光 弾 性 縞 次 数 nの 値 を 記 入 して お い た 。 図11の ボ ル トの 中央 部 のnは 2.45で あ る の で 、 ス ラ イ ス の 厚 さ をt0と す る と 、 光 弾 性 感 度 α は、 光 弾 性 効 果 の 式 αt0(σ1-σ2)=nよ り 、 と 求 ま る 。 4.1 JIS2)の ナ ッ ト に つ い て こ の 実 験 は3.1に 相 当 す る も の で あ る 。 まず 、第11図 (A), (B)の 上 部 に 示 した 現 行 の ボ ル ト・ナ ッ トを 拡 大 し て 図12に 示 す 。 こ の 図12よ り ボ ル トと ナ ッ トが 噛 み 合 っ て い る 同 一 位 置 の 、 ね じ底 の 縞 次 数 の 値nを 調 べ る と 、 い ず れ の 位 置 に お い て も、 ボ ル トの 方 が 大 き い の で 、 図12 の(A)∼(D)よ り、 ボ ル トの ね じ底 のnの み を 、 ナ ッ トの 上 面 よ り、 下 面 方 向 に 順 次 に 測 定 す る と 、 表3を 得 る 。 た だ し 、 表3のn=9.0の 値 は 、 光 弾 性 縞 が 混 み 入 っ て 直 接 に は 求 め ら れ な か っ た の で 、 そ の 測 定 部 分 の厚 さ を 約2mm程 削 り取 っ てnの 値 を 測 定 し 、 そ の 値 を ス ラ イ ス の 厚 さ倍 しFig.
9. Call sign of bolt
M24 (JIS B1186),
pitch 3mm,
nary metric screw
thread (JIS B0205)
Fig.
10. Loading
rangement
for stress
freezing
て 求 め た 。 次 に 、 こ の 表3の 各n値 を 、 そ の 項 目のnの 最 大 値 で 正 規 化 して グ ラ フ に示 す と 図13を 得 る 。 こ の 図 13は 、 図3の □,△,×,○ お よ びeq. (16)に 相 当 す る もの で あ り 、 よ く一 致 し て い る の が 分 か る。 こ こ でnの 最 大 値9.0を 、nの 平 均 値2.45(図11(A)参 考)で 割 る と 、 ね じ山 の 噛 み 合 い 数 が8の と き の 応 力 集 中 係 数9.0/2.45 =3 .67を 得 る。 こ の 値 に 対 し文 献8)は 引 張 応 力 に つ い て の 応 力 集 中 係 数 と して 、 同 じ値3.67を 与 え て い る。 つ ぎ に 図13の 実 験 値 を 平 滑 化 し た もの を 図14に 示 し、 そ のd (P2/P)/dξ を 度 で 読 ん だ 値19, 20, 22……78を 図 中 に 記 した 。 そ の 平 均 値 は シ ン プ ソ ン則 よ り、 (0.1/3)×(19+20×4+22×2+24×4+28×2+32×4+37×2 +42×4+50×2+60×4+78)=36.1deg. と な る 。 こ のd(P2/P)/dξ の 値 は 、τの 分 布 に 相 当 す る もの で 、 そ の 最 大 差 τmax=78°-19°=59° を 、 図4の 現 行 の τmaxと 同 じ ス ケ ー ル で 記 入 す る と 、 両 者 は 、 ほ ぼ 全 域 に お い て 一 致 す る の が 分 か る 。4.2
締 結 機 構 の 提 案(そ
の1)
こ の 実 験 は3.2に 相 当 す る もの で あ る 。 実 験 お よ び 計 算 の 方 法 は4.1の 場 合 と 同 じな の で 、実 験 過 程 を 簡 略 に 説 明 す る 事 に す る 。 ま ず 図11の 下 部 の 写 真 を拡 大 し天 地 を 逆 に して 図15に 示 す 。 図15よ り こ の 場 合 も、 ね じ底 に お け るnの 値 は ナ ッ トよ り ボ ル トの 方 が 大 き い の で 、 ボ ル トの 、 ね じ底 のnの み を 示 す と表4を 得 る。 表4と 表3を 比 べ る と大 差 は 無 い が 、 ナ ッ ト底 部 に お い て は 、 (9.0-7.0)/9.0=0.22 す な わ ち 、 表4のnは 表3のnよ り約22%小 さ い る の が 分 か る 。 次 に 表4を 正 規 化 した も の を 図16に 示 し、 図16 のP2/Pを 平 滑 化 した 一 本 の 線 を 図17に 示 す。 そ う し て d(P2/P)/dξ の 値 を 度 で 測 っ て 記 入 す る 。 そ の 平 均Fig.
11. Fringe photograph of slice
for Fig.
10
浅 井:高 力 ボル ト ・ナ ッ トの新 締結 機構 の解 析 と光 弾性 実験
29Fig. 12. Fringe photograph for par. 4.1
Table 3. Fringe values at the roots of conventional bolt threads
値 は35.5° で あ る 。 な お 図17のP2/Pは 図3のeqs. (31. 1), (31.2)に 、 ま た 図17のd(P2/P)/dξ は 図4のeqs. (31.1), (31.2)に 対 応 す る も の で あ り 、 共 に ξ=1.0の 近 傍 を 除 き 、 傾 向 は よ く合 っ て い る の が 分 か る 。 次 に 図15の ナ ッ トの 空 隙 の 上 部 を 観 る と 、 等 色 線 の 最 も大 き く張 り出 す 方 向 は空 隙 の 軸 方 向 と 同 じで あ る 。 こ れ は 応 力 拡 大 係 数 のK2、 す な わ ち剪 断 力 が 大 き く作 用 し て い る事 を 示 して い る22)。 ま た空 隙 の 先 端 部 を 観 る と 、 光 弾 性 縞 が 集 中 して い る処 が3箇 所 あ る の が 分 か る 。 そ こで 、 そ の 特 性 を 明 か す た め1例 と し て 、 図15(B)を 拡 大 してn値 を 記 入 し た も の を 図18(A)に 示 す 。 図18(A) よ り、 空 隙 の 底 部 のnの 極 値 は 、引 張 側 に8.7、 特 異 点 の 0、 圧 縮 側 に6.6が 測 定 され る。 そ こ で 、空 隙 底 部 の 自 由
Fig. 13. Normalized of ●,○,△,□ for Tab. 3
Fig. 14. Standardization of Fig. 13, and its changing ratio 境 界 線 上 のnが 主 応 力 に 対 応 す る と して 、 境 界 線 上 のn を 描 く と 図18(B)を 得 る。 図18(B)の 曲線 の 上 下 の 膨 ら み 方 は 、Gibbsの 現 象 に 似 て い る の で 、 数 学 上 で の現 象 を 実 験 に よ り証 明 して い る よ う で 面 白 い 。 さ て 図18(B) よ り応 力 集 中係 数 を 求 め る の に 、 こ の よ うな 場 合 、 基 準 応 力 を 如 何 に採 れ ば 良 い の か 定 説 は 無 い の で 、 図 中 の よ う に 延 長 線 が 示 した 値 を 基 準 応 力 と す る と 、 引 張 お よ び 圧 縮 の 応 力 集 中 係 数 は 、 そ れ ぞ れ8.7/5.4=1.6、(-6.6) /(-4.7)=1.4と 求 ま る。 な お上 述 のn=8.7は 、 表4お よ び 図15, 18(A)に お い て 、最 大 値 で あ る の で 、 破 壊 は 此 処 か ら生 じる 可 能 性 が あ る 。 4.3 締 結 機 構 の 提 案(そ の2) この実験 は3.3に つい ての もの であ る。 た だ しボル トとナ ッ トの上面 は一 致 させ た。 な お、 この試験 片 はボ ル トとナ ッ トの贅 肉を極端 に とったの で応力 凍結 中 に ク リー プに よ り破 壊 しな いか心配 を した が無事 完了 した。
30 光 弾 性 学 論 文 集 第21巻 第2号(2000)
Fig.
15. Fringe
photograph
for par. 4.2
Table 4. Fringe values at the roots of examinational bolt threads (1)
当 該 実 験 の 手 順 は4.1、 4.2の 場 合 と 同 じで あ るの で 概 要 の み を 述 べ る 事 に す る 。 ま ず 図15に 相 当 す る等 色 線 写 真 は 、輪 郭 が 明 瞭 に な る よ う 明 視 野 に して 図19に 示 す 。 こ の 図19の(A)∼(D)に お い て 、 ボ ル トと ナ ッ トが 噛 み 合 っ て い る 区 間 、 す な わ ち 、 は め あ い 区 間 の ボ ル ト と ナ ッ トの 、 ね じ底 のn値 を 観 る と 、 ほ ぼ 同 位 で あ り、 ボ ル トと ナ ッ トの 応 力 の 均 一 化 が 改 善 さ れ て い る の が 分 か る。 そ れ 故 、 こ こ で は 、 は め あ い 区 間 の ボル トと ナ ッ トのn値 の み を 列 挙 す る 事 に す る 。 す な わ ち 図19(A)∼ (D)よ り 、 は め あ い 区 間 の ボ ル トと ナ ッ トの ね じ底 のn の 平 均 値 を 求 め る と 表5を 得 る。 こ の 表5を グ ラ フ に す る と 図20を 得 る 。 図20よ りnの 最 大 位 置 は 、 ナ ッ トの テ ー パ リ ッ プ の 先 端 よ り、 約70%の 所 で 、nの 値 は 約5.3
Fig. 16. Normalized of ●,○,△,□ for Tab. 4
Fig.
17. Averages out of Fig.
16, and its
changing ratio
で あ る 。 す な わ ち 、 こ の 締 結 体 が 壊 れ る と す る と、 この 位 置 よ り引 張 応 力 に よ り、 破 損 が 始 ま る と考 え られ る。 ま た 当 然 の事 な が ら 、 任 意 の ξ断 面 の ボ ル トと ナ ッ トの n値 を 加 え た も の は 、 ほ ぼconst(≒9.0)と な り境 界 条 件 を 満 す と共 に 、 表3のnの 最 大 値9.0と 一 致 す る。4.4
締 結 機 構 の 提 案(そ
の3)
こ の 実 験 は3.4に つ い て の もの で あ る 。 な お こ の 実 験 の ま と め は 、4.3の 場 合 と 同 じで あ る の で 、 等 色 線 写 真 を 図21に 示 す 。 図21の(A)∼(D)の ボ ル トと ナ ッ ト の ね じ底 に お け るnの 値 を 求 め る と 、 ほ ぼ 同位 で あ る事 が 分 か る 。 こ の 場 合 も前 者 同 様 に 応 力 の 均 一 化 が 改 善 さ れ て い る の が 分 か る 。 そ こ で 図21の(A)∼(D)の 、 は め あ い 長 さ に つ き 、 ボ ル トと ナ ッ トの ね じ底 のnの 平 均 値 の み を 求 め る と表6を 得 る。 この 表6を グ ラ フ に す る と 図22を 得 る 。 こ の 図22と 前 節 の 図20を 比 べ る と 、nの 分 布 は 図20の 方 が 均 一 化 さ れ て い る の で 、 ボ ル トとナ ッ ト を 図7(B)の よ うに セ ッ トす る と 、 さ らに 応 力 の 均 一 化浅 井:高 力 ボル ト ・ナ ッ トの新 締結 機構 の解 析 と光弾 性実験
31Fig.
18. Enlarged photograph of Fig.
15(B)
Fig.
19. Fringe
photograph
for par.
4.3
Table 5. Mean value of fringes at the root of bolt and nut threads
Fig. 20. Distribution of n for Tab. 5
Fig. 21. Fringe photograph for par. 4.4
が図れ るもの と思 わ れ る。以下 は4.3に 類似 す るの で 省 略す る。 な お図19と21に おいて 、nの 最大 値 は"C"な る部分 で あ るが、 そ この応力 は圧縮 であ るの と、 同一 水 平面 につ き平均 化 すれ ば大分緩 和 され るので、 ナ ッ トは"C"な る 部 分 で は破 壊 しな い と思 わ れ る。
32
光 弾 性学 論文 集 第21巻 第2号(2000)
Table 6. Mean value of fringes at the root of bolt and nut threads
Fig. 22. Distribution of n for Tab. 6
5.
結
論
高 力 ボル トの新 締結 機構 を提 案 し、 その数 値解 析値 お よ び三次 元光 弾性 実験 例(呼 び径M24×3 (JIS B1186)、 メ ー トル並 目ね じ(JIS B0205))を 示 し、以 下 の結論 を 得 た。 ただ し数値 解析 値 の ボル トとナ ッ トの外郭 寸法 は 現 行 規格 の ナ ッ トと座 金 を加 えた寸 法 と同 じと した 。 ま た光 弾性 実験 模型 の大 き さは現 行規 格 の1.5倍 と した。 1. 図12よ り現行 規格2)の ボル ト・ナ ッ トの締結 機構 の 応力 分布 状態 を 明 らか に した 。 2. ボ ル トの破断 を 防 ぐ― 法 と して、 ナ ッ トの ヤ ング率 は ボル トの ヤ ング率 よ り小 さ くす る こ とが勧 め られ て い る(文献13)、p.7-41、 第76表,第77表 参考)。 それ を証 す る式 と して 、式(10)の λと(12)を 誘導 し た。 ただ し、 こ こでは 引張 剛性 につ き考 え てい る。 3. 新 しい ボル ト・ナ ッ トの締 結機 構 と して3種 類 を提 案 し、 そのね じ底 の応 力分 布 を弾性 解析 して求 め、 光 弾 性実 験 によ り検証 した。 その結 果 、本 論文 では 図7の 締 結法 が最 良 であ る事 が分 か った。 しか し、 図7は 理 想的 で あ り製 作 ・施工 が難 しいの で、実 用 的 には図8が 妥 当 と思 え る。 なお この場 合、 注意 を 要 す るの は、現 行 の ナ ッ トは圧縮 を受 けて いる ので 壊 れ る事 は先 ず ない が、提 案 のナ ッ トはテ ーパ リッ プの部 分 が引 張 りを受 け るので 、破 断す る事 が十分 考 え られ る。 ま た、K2お よびGibbsの 現 象 に注意 を 要 す る。 4. 図8の ナ ッ トの上部 は、ね じ山 が削 り取 られ てい る ので 、ボ ル トが ス リー ブ(sleeve)状 にな り、 その長 さの部 分 がボ ル トの余 長 とな る。従 って ボル トの余 長 は ナ ッ トの上 面 よ り出な いの で、施 工 時の安 全性 お よび二次 覆工 の取 付 け工事 な どに おい て支障 を き たす こ とが減少 され る。Fig.
23. Fiber flow of bolt for aircraft
5. 提 案 ナ ッ トの接触 底 面 は、 ナ ッ トの 中心 に対 して環 状 の フ レヤー とな って いるの で座 金 を兼 用 で きる。 またナ ッ トの底部 の 内側 は空 隙 とな ってい るの で、 そ の分 、軽量 に寄与 す ると共 に、 ナ ッ トの引張 剛性 が減少 す るの でバ ネ の役 目を し、緩 み防止 に役 立つ と考 え られ る。 また この空隙 は ナ ッ トの底 面の ね じ 底 に働 く応力 集 中を緩 和 す る。 6. 理論 解 析値 にお いて は ボル トとナ ッ トの、 ね じ山の 噛 み合 い を一 様 の層 と仮 定 して、 その剪 断係 数 を式 (14)で 表 して、二 次元 的 に求 めた解 析結 果 を三 次元 的 に拡大 解釈 して求 めて いる。 ま た光 弾性 実験 値 も 各場 合 につ き一 例 で あ り、 かつ等 方性 体 につ いてで あ る ことに注意 す る必要 が あ る。 また規格 で は、ね じの製 造 は鍛造 ・転 圧 に よ り密 な材 質 の繊維 流 が表 面 の輪 郭 に沿 う様 にす るので異 方性 体 とな る。 7. P2/Pの 理論 値 は、 ξが1.0に 近ず くと実験値 よ り 逸脱 す るの で、理 論式 を解 くため の境界 条件 を検討 す る必要 が あ る。
浅 井:高 力 ボル ト ・ナ ッ トの新 締 結機構 の解 析 と光弾 性実 験
33 8. 以上 は すべ て机上 で の計算 結 果 と光弾 性模 型実 験 の 結 果で あ る。 これ を実証 し確 実 な ものに す る意 味 か ら実 物実 験 に よる強 度 、 ク リー プ と リラクゼ ィシ ョ ン、疲 労 、緩 み防止 、 化学変 化 に よ り生 じる遅 れ破 壊 、大 量生 産性 、製 造費 用 、実用 性 な どの試験 お よ び検討 が必 要 であ る ことは言 を待 た ない 。 本研 究 の過程 におい て神 奈川大 学 名誉 教授 宮 田忠 治 先 生 よ り、ね じ全般 につ き色々 教 えて頂 きま した。 また 本 学 、機械 工学 科 ・機 械実 習担 当主 任 新井 栄 先生 よ り、現 場 に おけ る締結 ね じの挙 動 につ き色 々啓発 され ま した。 さ らに ミネ ビア株式 会社 藤 沢工場 は図23の 提示 を 許可 され ま した。 こ こに記 して謝意 を表 します 。付
録
本 項 は 本 論 文 と は 直 接 の 関 係 は な い 参 考 資 料 で あ る 。 一 般 に、 ボ ル トの 頭 部 は 鍛 造 して 首 の 部 分 は ロ ー ラ ー で 転 圧 す る 。 ま た 、 ね じ部 は転 造 す る 。 そ の よ う に して 、 そ れ ぞ れ 密 な 材 質 の 繊 維 流 が 表 面 の 輪 郭 に 沿 う よ う に す る と 、切 削 加 工 した ボ ル トと比 べ て 疲 労 寿 命 は 約3倍 に 、 ま た 引 張 強 さ は 約10%高 くな る と言 わ れ て い る 。 そ の 繊 維 流 の 例 と して 航 空 機 の 翼 ・胴 体 結 合 用 ボ ル ト(MIL-B-7838Aに 合 格 、 ミネ ビア 株 式 会 社 藤 沢 工 場 よ り提 供)の 縦 断 面 を エ ッチ ン グ した もの を 図23(A)∼(C)に 示 す 。 た だ し 、 (A)は 転 造 ダ イ ス に よ る ユ ニ フ ァ イ ね じで あ る 。 (B)は 一 回 の 鍛 造 に よ る ボ ル トの 頭 部 で あ る 。 (C)はBJT 100021 (13/8-12)、 材 質4340、 1050℃ で 鍛 造 に よ る ボ ル トの 頭 部 で あ る 。 参 考 文 献 1) 日本 道路 協 会:道 路 橋 示方 書 ・同解 説(I共 通編,II鋼 橋編)、 日本 道路 協 会 、pp. 72-73, 130-131, 401-411、1990. 2) 日本 規格 協会:摩 擦 接 合用 高力 六 角 ボ ル ト ・六 角 ナ ッ ト・ 平 座 金 のセ ッ ト(JIS B1186)、 日本規 格 協会 、1995. 3) 日本 道路 協 会:鋼 道 路 橋施 工便 覧、 日本 道路 協 会 、2.5.1. 高 力 ボ ル ト継 手 の 種 類 、pp. 187-188、1987. 4) 日本 鋼 構 造 協 会 ・鋼 材 倶 楽 部:鋼 構 造 接 合 資 料 集 成(リ ベ ッ ト接 合 、 高 力 ボ ル ト接 合)、 技 報 堂 、pp. 415-418、1977.5) Hetenyi, M.: The distribution of stress in threaded connections、Proc. SESA、1、1、1943. 6) 大 滝 英 征:ボ ル ト ・ナ ッ ト接 合 体 の ボ ル ト谷 底 に お け る応 力 分 布 、 日 本 機 械 学 会 論 文 集(第2部)、38、311、pp. 1885 -1894、1972. 7) 山 本 晃:ね じ締 結 の 理 論 と 計 算 、 養 賢 堂 、pp. 78-79, 99, 120、1987. 8) 西 田 正 孝:応 力 集 中 、 森 北 出 版 、pp. 666-677、1973. 9) 日 本 規 格 協 会:ね じ締 付 機 構 設 計 の ポ イ ン ト(JIS使 い 方 シ リー ズ)、 日本 規 格 協 会 、p.183、1977. 10) 日 本 建 築 学 会:高 力 ボ ル ト接 合 設 計 施 工 指 針(1972制 定)、 日本 建 築 学 会 、pp. 31-34、1973.
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18) 河 田幸 三 ・武 田 展 雄:接 着 破 壊 の 力 学(第3報)、 宇 宙 航 空 材 料 シ ン ポ ジ ウ ム(第6回)1975年 度 、pp. 67-71、 東 京 大 学 宇 宙 航 空 研 究 所 、1976. 19) 日 本 造 船 学 会 編:改 訂 ・船 舶 工 学 便 覧(第10編 、 船 舶 算 法 、 シ ン プ ソ ン法 則 の 拡 張)、 コ ロ ナ 社 、p. 502、1969. 20) 浅 井 貞 重:5-8法 則 の 橋 梁 工 学 へ の 応 用 、 橋 梁 、25、7、pp. 56-64、1989. 21) 浅 井 貞 重:エ ラ ス チ カ と し て の ア ー チ カ ル バ ー トの 横 断 面 の 性 状 と光 弾 性 模 型 に よ る検 証 、 光 弾 性 学 論 文 集 、18、2、 pp. 48-57、1998. 22) た と え ば 岡 村 弘 之:線 形 破 壊 力 学 入 門(破 壊 力 学 と 材 料 強 度 講 座1)、 培 風 館 、pp. 64-65、1994.