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高温構造材料の粒界局所応力解析手法の開発―クリープ条件下のボイド成長シミュレーションへの適用―

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Academic year: 2021

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(1)主要な研究成果. 高温構造材料の粒界局所応力解析手法の開発 −クリープ条件下のボイド成長シミュレーションへの適用− 背 景 高温機器の詳細な組織検査においてクリープボイド(微視的損傷)が観察される場合がある。高温下で一定 負荷が長時間持続する状況(クリープ条件)下でクリープボイドは成長して微小き裂の発生につながる。この ことから当所では、既に実用レベルのクリープおよび負荷変動の影響が加わるクリープ疲労条件下での高温機 器の微視的損傷状態を評価するためのボイド成長シミュレーションプログラムを開発している* 1。同プログ ラムでは巨視的応力に基づくシミュレーションを行うため、予測精度の向上には粒界近傍の微視的応力(粒界 局所応力)を詳細に把握する必要がある。. 目 的 クリープ条件下の粒界局所応力状態を明らかにする解析手法を提案し、有限要素法(FEM)による解析プ ログラムを開発する。本プログラムにより得られた粒界局所応力状態でボイド成長シミュレーションを行い、 妥当性を確認する。. 主な成果 1.粒界局所応力解析手法の開発 高温構造材料の微視的なクリープ変形挙動の記述に材料特性の結晶方位依存性を考慮する結晶塑性モデル* 2 を用いる粒界局所応力解析手法を提案した(図 1)。同解析手法を組み込んだ FEM 解析プログラムを開発す ることで、従来困難であった粒界局所応力状態の詳細な把握が可能になった。また、結晶粒の要素分割(モ デル化)をプログラム内で自動化することで、複雑な結晶粒形状の FEM 解析を簡便に行えるようにした。 2.クリープ条件下のボイド成長シミュレーションへの適用 タービンロータ材の微視組織を再現したモデル(図 2)を対象に同プログラムによるクリープ条件下の粒 界局所応力解析を行い、その結果をもとにボイド成長シミュレーションを実施し、以下の結果を得た。 (1)クリープ条件下では粒界局所の微視的な応力再配分により不均一な粒界局所応力分布(図 3)となり、 クリープひずみの局所集中(図 4)が起こることを明らかにした。また、クリープ変形中に粒界中央で 応力が最大となる粒界は弾性変形時とは異なることを明らかにした(図 5)。このような事象は巨視的 なクリープ変形のみを考慮する従来の解析手法では再現が困難であり、粒界局所の微視的なクリープ変 形を考慮する本解析手法を用いることで可能となった。 (2)本解析手法で得られた粒界局所応力を用いたボイド成長シミュレーションで予測された最大ボイド長さ は、巨視的応力にもとづく既開発プログラムによる予測と比べ、電子顕微鏡によるボイド観察結果に近 い予測結果を与えた(図 6)。. 今後の展開 クリープ疲労条件下の粒界局所応力解析も行えるように本手法の改良を行い、既開発プログラムの高度化を 図り、実機高温機器の定量的なボイド成長シミュレーションに適用する。 主担当者 関連報告書. 材料科学研究所 火力材料領域 主任研究員 酒井 高行、上席研究員 緒方 隆志 「高温構造材料の粒界局所応力解析手法の開発(クリープ条件下のボイド成長シミュレー ションへの適用)」電力中央研究所報告: Q07011(2008 年 6 月). * 1 :緒方、電力中央研究所報告: T03007(2003) * 2 :結晶中の転位(線欠陥)の微視的な移動量から巨視的な非弾性変形量を評価するモデル. 112.

(2) 6.化石燃料発電. (1) 結 晶 粒 の 要 素 分 割. (2) 弾 性 応 力 解 析. (3) 結 晶 塑 性 応 力 解 析. 図1 解析手法の流れ. 図2 解析対象(自動要素分割結果). (1)結晶粒形状を考慮して要素分割し、(2)各結晶 粒を直交異方性材料として弾性解析を行い、(3)結 晶塑性モデルによるクリープ解析を実施する。. 温度 580℃で引張応力 180MPaをモデルに対し紙面横方 向に負荷し、その状態を5000 時間保持する。同条件で のクリープ破断寿命は4800 時間(実験値)である。 . 弾性変形時の応力最大粒界における結果 クリープ変形時の応力最大粒界における結果. 応力(MPa). 250 200 150 100 50 0 0. 1000. 2000 3000 4000 5000 経過時間(Hour). 図3 荷重負荷方向応力分布 (5000時間応力保持後). 図5 弾性変形およびクリープ変形時の粒界 中央で応力が最大となる粒界での応力の時間変化. 各結晶粒が互いにクリープ変形を拘束しあうこと で粒界局所応力は不均一になる。. クリープ変形中に粒界中央で応力が最大となる粒 界はクリープ変形前(弾性変形時)とは異なる。. ボイド長さ(μm). 本解析手法による結果 既開発プログラムによる結果 ボイド観察結果. 15 10 5 0 0. 1000. 2000. 3000. 4000. 5000. 経過時間(Hour). 図4 荷重負荷方向クリープひずみ分布 (5000時間応力保持後). 図6 最大ボイド長さの時間変化. 結晶塑性モデルによるクリープ解析を行うこと で、クリープひずみが集中している領域などを識 別できるようになった。. 粒界局所応力を考慮することで、より観察(実 験)結果に近いボイド成長シミュレーション結果 が得られるようになった。. 113. 6.

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