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地域包括ケア病棟患者の退院後療養生活に関連した退院支援・退院調整

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Academic year: 2021

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(1)公益社団法人 在宅医療助成. 勇美記念財団. 2016 年度(後期) 一般公募「在宅医療研究への助成」完了報告書. 地域包括ケア病棟患者の退院後療養生活に関連した 退院支援・退院調整. <申請者> 澁江仁美 社会福祉法人. 恩賜財団. 済生会広島病院. 〒731-4311 広島県安芸郡坂町北新地 2-3-10. <共同研究者> 岡田淳子 (県立広島大学. 保健福祉学部. 看護学科. 成人看護学. 片山友里 (県立広島大学. 保健福祉学部. 看護学科. 助手). 提出日:2018 年 3 月 30 日. 教授).

(2) 目次 Ⅰ.諸言 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 Ⅱ.研究目的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 Ⅲ.研究対象および方法 1.研究対象者・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 2.調査内容・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 3.調査手順及び方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 4.データ分析方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 5.調査期間・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 6.倫理的配慮・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 Ⅳ.結果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 1. 心身機能・身体構造・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4. 2. 活動・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5. 3. 参加・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6. 4. 環境因子・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7. 5. 個人因子・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8. Ⅴ.考察 1 「活動」と「参加」の関連と看護実践・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8 2 「活動」 ・ 「参加」と「環境因子」 ・ 「個人因子」の関連と看護実践・・・・・・・・9 3 「心身機能・身体構造」と「活動」 ・ 「参加」の関連と看護実践・・・・・・・・10 4. 「心身機能・身体構造」と「環境因子」・「個人因子」の関連と看護実践・・・・11. Ⅵ.結論 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13 Ⅶ.本研究の限界と今後の課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13 謝辞 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13 引用文献 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14 資料 表1. 対象患者の属性. 表2. 退院前後の心身機能・身体構. 表3. 退院前後の活動. 表4. 退院前後の参加. 表5. 退院前後の環境因子. 表6. 退院前後の個人因子.

(3) Ⅰ.緒言 2014 年に施行された「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係 法律の整備等に関する法律」では,地域包括ケアシステムの構築が目的とされ,地域住民 がどのような健康状態であっても住み慣れた地域において生活を継続できる仕組みをつく ることである。 仕組みの 1 つとして病院機能は,2016 年度に地域包括ケア病棟が創設され, 病床数が増加している。国民の 70%以上は,人生の最終段階になっても,病状が安定して いる限り自宅療養を望み(一般財団法人厚生労働統計協会,2017) ,入院中の患者の一番身 近にいるのは病棟看護師である。病棟看護師は患者のニーズをくみ取り,患者が望む地域 での生活を実現できるよう支援をする必要があり,退院支援・退院調整は地域包括ケアシ ステムにおける病棟看護師の役割である。 患者やその家族は退院支援・退院調整に対し,ニーズに沿った退院後の療養生活を見据 えたケア提供や連携を求めている(樋口ら,2008. 平松ら,2010. 吉村ら,2007)。しか. しながら,病棟看護師が行う退院支援・退院調整は不十分で(嶋崎,2012 小林,2014), 藤澤(2012)は,看護職者の課題として退院支援の知識・認識・関心の不足を挙げている。 また丸岡ら(2011)も,病棟看護師の退院調整活動で,退院準備状況の確認や退院後の療 養生活の把握の実施率が高くないことを明らかにしている。これらを補うために,退院時 までの退院支援・退院調整ツールがあり,開発も進んでいるが,患者の入院中の生活に影 響したことでしか評価できないという課題があり,中西(2013)は,退院後に評価できる 退院支援・退院調整ツールを開発する重要性を述べている。一方で,病棟看護師は退院支 援・退院調整に向けて,病状・病態予測や治療に対する患者・家族の不安を把握し,軽減 するための支援は実施していた(丸岡ら,2011)。しかし,病棟看護師によるこれらの看護 実践が在宅に移行した患者に及ぼした影響は明らかになっていない。 2016 年の診療報酬改定では,退院後訪問指導が点数化され,病棟看護師が退院した患者 の療養生活の場に訪問し,入院中の看護実践を評価することが保証された。患者が希望す る療養生活を実現するためには,病棟看護師による退院支援・退院調整は重要である。そ のためには,退院支援・退院調整を受けた患者における,退院前後の療養生活の変化を把 握し,患者・家族のニーズや必要な看護実践を明らかにする必要がある。 Ⅱ.目的 地域包括ケア病棟に入院していた患者の入院中と自宅退院後の療養生活を比較し,生活 機能に関連した退院支援・退院調整の現状を明らかにする。 Ⅲ.方法 1.研究対象 200 床以上の総合病院に設置された地域包括ケア病棟から在宅に退院し,退院後訪問指導 料・訪問看護同行加算算定要件を満たした患者で,対象病院の管理者(看護部長および病 棟看護師長)が選定した対象者のうち,協力の得られた 10 名を対象とした。 1.

(4) なお,退院後訪問指導料・訪問看護同行加算算定要件は,在宅気管切開・在宅酸素療法・ 在宅成分栄養経管栄養法・在宅人工呼吸などの指導管理を受けている又は認知症高齢者の 日常生活自立度判定基準Ⅲ以上を満たしている者(清水,2016)である。 2.調査内容 入院中と退院後における対象患者の療養生活の調査・分析は,すべて国際生活機能分類 (International Classification of Functioning, Disability and Health:以下 ICF とする) に沿って行った。ICF は健康のすべての側面を取り扱うもので,全ての人のあらゆる健康 状態に関連した健康状況や健康関連状況を記述することが可能である。さらに ICF による 情報の整理は,予防と健康増進を含む個人的な保健ケア,および社会的障壁の除去や軽減 による参加促進,社会的支援の推進に応用でき, 「人が生きることの全体像」をとらえるこ とができる。そして,実際の保健・医療・福祉に関連するサービスを受ける対象者のニー ズ評価,結果の評価に適用でき,対策の立案にも活用できるものである。 以上より,患者の療養生活における全体像の把握を行い,共通言語として他職種連携が 必要とされる退院支援・退院調整の実践の影響について示唆を得るためには,ICF による 調査・分析が有効であるため,本研究で使用することとした。 3.調査手順及び方法 1)入院中のデータ収集 ①患者の基礎情報 患者の年齢,性別,入院時の病名,要介護度,認知症高齢患者の日常生活自立度,医療 処置,主介護者と患者との関係について,カルテ内のデータベースや看護記録,リハビリ 記録,病棟で独自に作成した退院支援・退院調整に関わる情報シート,退院時看護要約, 受け持ち看護師の聴取からフィールドノートに記載した。 ②患者の病状・ADL・意向(退院時) ICF 構成要素に当てはまる内容を看護記録,リハビリ記録,退院時看護要約,受け持ち 看護師の聴取からフィールドノートに記載した。 ③入院中の治療・ケア内容及び退院支援・退院調整内容 退院時の患者の病状・ADL・意向に関連する支援内容を,カルテ内の看護記録や医師記 録,リハビリ記録,退院時看護要約,受け持ち看護師の聴取を行い,フィールドノートに 記載した。この時,丹羽ら(2002)が作成した「退院計画の評価」として列挙している退 院支援・退院調整に必要な 12 項目をもとに病棟看護師の実施の有無を記載した。 2)退院後のデータ収集 ①退院後訪問指導時 地域包括ケア病棟看護師による患者宅への退院後訪問指導に同行し,入院中に収集した 2.

(5) 患者の病状・ADL・意向を元に参加観察を行った。観察した内容はフィールドノートに記 載した。 ②退院後訪問指導終了後 患者から,入院中に収集したデータと,退院後訪問で参加観察した内容の事実確認を行 い,その他新たに発生していた事象について確認した。この時,主介護者にも同席しても らい,患者の発言や記憶について補足してもらった。面接内容は対象者の許可を得て IC レ コーダーに録音し,逐語録を作成した。 4.データ分析方法 フィールドノートと逐語録の記述データは,入院中と退院後それぞれで 1 つの意味を成 す文脈で区切りコード化した。これらは ICF の構成要素別に分類した。その際,医学モデ ルにとらわれないために,まず「活動」・「参加」に関するコードを抽出し,続いて「環境 因子」・ 「個人因子」・「心身機能・身体構造」の順に抽出した。それぞれの構成要素に該当 する領域の第 4・第 3 レベルに一致するコードを分類し,サブカテゴリーとした。さらに, 第 2・第 1 レベルに振り分けカテゴリーとした。 「個人因子」のみ,類似性を考慮しながら, サブカテゴリー・カテゴリーにわけネーミングを行った。その後,「活動」 ・「参加」と「心 身機能・身体構造」・「環境因子」 ・「個人因子」の関連を確認した。さらに,入院中と退院 後の変化の特徴・各カテゴリーの相互作用の関連・看護実践の影響を分析した。 5.調査期間 2017 年 3 月~10 月 6.倫理的配慮 対象者と対象施設の看護管理責任者に対して,研究の目的,方法,プライバシー保護に ついて口頭と書面による説明を行い,同意書への署名で同意を得た。また本研究は県立広 島大学研究倫理委員会(承認番号:16MH046)と対象病院倫理審査委員会(承認番号:90) の承認を得て実施した。 Ⅳ.結果 対象者の属性は男性 3 名,女性 7 名で平均年齢は 82.4±9.6 歳であった。主介護者の属性 は対象患者の子供が 6 名,配偶者が 2 名,兄弟が 1 名,嫁が 1 名であった。対象者が必要 としていた医療処置は,人工呼吸器・吸引・胃瘻・マスク式人工呼吸器(以下,ASV とす る) ・在宅酸素療法(以下,HOT とする) ・ギプス固定であった。また認知症高齢患者の日 常生活自立度判定Ⅲa 以上に当てはまる患者は,Ⅲa:5 名,Ⅳ:3 名であった(表 2)。退 院後の調査における面接時間は 30~40 分であった。 ICF の各項目に該当するコード数は,「心身機能・身体構造」41, 「活動」61,「参加」24, 3.

(6) 「環境因子」52, 「個人因子」15 であった。 1.心身機能・身体構造 カテゴリーは【全般的精神機能の維持】【心血管・呼吸器系の機能維持】【消化器系・代 謝系の機能維持・向上】 【尿路機能・尿路系に関連した構造の維持・向上】【神経骨格機能 の維持・向上】 【皮膚機能の維持】 【血管・呼吸器系の機能低下】の 6 つであった。 【全般的精神機能の維持】では,パーキンソン病である C 氏・F 氏が入院中に処方され たメネシットやリタリンを,退院後も内服を継続し『意識の連続性維持』ができていた。 『見 当識機能向上』では,入院中に見当識障害による混乱があった複数の対象者が,退院後は 自宅であることがわかり混乱がなくなっており,認知症高齢患者の日常生活自立度判定Ⅲa 以上の対象者 8 名全員が該当していた。また,うつ症状がある H 氏が入院中からの内服を 継続し『精神的安定性の維持』ができていた。さらに,A 氏に対する入眠前のカフアシスト やソラナックス内服を退院後も継続して,夜間良眠できていたことや,E 氏に対して入院中 から日中に囲碁や読書を行い,覚醒を促すことで睡眠時間を確保していたことを退院後も 継続している『睡眠機能維持』があった。 【心血管・呼吸器系の機能維持】では I 氏の血圧が正常範囲で保たれていた『血圧維持機 能の維持』 ,C 氏の入院中に行った体位調整や半固形注入食を退院後も継続し,喀痰が増加 していない『呼吸器系の付加機能維持』 ,また ASV・HOT 使用継続している I 氏の『運動 耐容能維持』があった。 【消化器系・代謝系の機能維持・向上】では,入院中 1 錠ずつしか内服できなかった D 氏が, 退院後にゼリーを用いることで一度に 3 錠以上の内服ができるようになったことや, 入院中には口腔内で溶解するアイスクリームのみの経口摂取であった F 氏が,退院後はお かゆや水ようかん・柔らかく煮たなすを食べられるようになっていた。さらに,G 氏に対 し入院中嗜好に合わせたエンシュア・介護用食パンの提供や間食を行っていたことが退院 後も継続できている『摂食機能維持・向上』があった。また,胃全摘の既往がある D 氏は, 入院中は分割食でないとダンピング症候群様の症状が出現していたが,退院後は本人が食 べられる量を摂取し『消化器症状なく経過』していた。『排便機能の維持』では,I 氏・J 氏が入院中からの下剤内服コントロールを継続し,退院後も定期的な排便があった。さら に,J 氏が退院後に食事・水分摂取量が増えたことによる『体重維持機能向上』 ,E 氏が入 院中に摂取していた「のみや水」による水分量を退院後も維持した『水分バランスの機能 維持』によって,脱水症状を起こすことなく経過していた。 『体温調整機能維持』では,入 院中に体温調整を掛物調整で行っていた C 氏が,自宅でも継続し体温調整ができていた。 【尿路機能・尿路系に関連した構造の維持・向上】では,G 氏は腎盂腎炎,H 氏は尿路 感染を再発していない『尿路・腎の構造維持』や,E 氏・I 氏の頻尿が改善した『排尿機能 改善』があった。 【神経骨格機能の向上】では,入院中は全介助の体位変換であった C 氏が,ヒップアッ 4.

(7) プができるようになり軽介助になったことや,左大腿骨頸部骨折に対する人工骨頭置換術 後の H 氏は左股関節内転傾向のため脱臼予防に対し良肢位を保つように援助していたこと で,退院後も内転の悪化を防げている『関節の可動性機能向上』があった。また,J 氏の左 下肢免荷が退院後に全荷重となり,下肢に筋力がついてきた『筋力機能の向上』があった。 【皮膚機能の維持】では,H 氏の入院中に起きた左臀部膿瘍が退院時には治癒しており, 退院後も皮膚損傷なく経過していた『皮膚保護機能の維持』があった。 【心血管・呼吸器系の機能低下】では,A 氏の退院後のカフアシスト制限による呼吸困難 感が増大した『呼吸筋の機能低下』があった。また,退院後に I 氏の端座位機会が増え,下 肢浮腫が増大した『静脈の機能低下』があった。さらに,I 氏は入院中,看護師がマグミッ ト内服量を調整して排便コントロールができていたが,退院後は毎食後 1 錠ずつマグミッ ト内服し,トイレに行くたびに下痢便が出ていたことによる血圧低下が生じた『血圧の機 能低下』があった(表 2) 。 2.活動 カテゴリーは, 【目的を持った感覚的経験の実行状況向上】 【学習の応用能力維持】 【運動・ 移動能力と実行状況の維持・向上】【セルフケア能力と実行状況の維持・向上】【社会生活 実行状況の向上】 【コミュニケーション能力・実行状況の維持】の 6 つであった。 【目的を持った感覚的経験の実行状況向上】では,A 氏は入院中に経口摂取への介入がな かったが,自宅では言語聴覚士(以下,ST とする)の介入による経口摂取し,さらにベッ ド周囲の装飾で季節を感じていた『目的のある感覚の実行状況向上』があった。 【学習の応用能力維持】では入院中は理学療法士(以下,PT とする)による歩行訓練や 関節可動域訓練を平日のみ 20~40 分実施や看護師による拘縮予防運動を行っていた C 氏・ D 氏・F 氏・I 氏において,退院後は家族や通所サービスによって継続できている『基礎的 学習の継続ができる』があった。 【運動・移動能力・実行状況の維持・向上】では,C 氏において,入院中は看護師が全介 助で実施していた体位変換や車いす移乗が,自宅では軽介助になっていて,家族でもでき るようになっていたため『姿勢変換能力の向上』がおきていた。G 氏・H 氏において入院 中は 5 分程度しかできていなかった端座位保持時間が退院後に延長したことや,入院中に 立位は見守りや介助が必要であったが,退院後に自力で行えるようになった『姿勢保持能 力の向上』があった。B 氏では,入院中の連続歩行が 10m 程度であったが,退院後スーパ ーのカートを利用し 10 分程度連続歩行できていた『歩行能力の維持・向上』があった。I 氏では,退院後は移動が可能な酸素吸入器に変更したことにより屋内での自力移動ができ るようになった『屋内移動実行状況の向上』があった。B 氏,D 氏,I 氏では,入院中は屋 内のみの移動だったが,屋外でも移動できている『屋外移動能力の向上』があった。 【セルフケア能力と実行状況の維持・向上】では,対象者全員が入院中に行っていた入 浴方法が継続できていた『身体を洗う実行状況の維持』や,口腔ケアの継続が出来ていた 5.

(8) 『口腔ケア実行状況の維持』があった。また,入院中見守りや着脱介助,排泄物の処理が 必要であった 7 名の対象者の排泄が自分でトイレに行き自立した『排泄管理能力向上』が おきていた。さらに,F 氏・G 氏・H 氏・J 氏においては,入院中から実施していた座位姿 勢での注入食や食事摂取を,退院後も継続されていて『姿勢保持による食事能力・実行状 況維持』ができていた。注意すべき食事や服薬管理を入院中は看護師が説明しながら介助 していた I 氏が,退院後は家族と協力しながら食事や内服管理を意識的に行うようになって いた。また,病棟看護師は I 氏に対し ASV や HOT を取り扱う時は患者に指導しており, 退院後は ASV・HOT を自己管理できるようになった『健康維持能力向上』があった。 【社会生活実行状況の向上】では,入院中はテレビ鑑賞のみだった A 氏が,自宅ではリ フトなどの福祉用具を活用し新聞や趣味の百人一首を読むなど『レクレーション・レジャ ー実行状況の向上』があった。 【コミュニケーション能力・と実行状況の維持】では,対象者全員が入院中はレクレー ションなどで病棟スタッフや他患者との会話することや文字盤の使用によるコミュニケー ションをしており,退院後も患者に関わる在宅療養支援スタッフや家族・友人と会話を行 い『会話能力の維持』や『コミュニケーション技法実行状況の維持』ができていた(表 5) 。 3.参加 カテゴリーは, 【社会生活への参加能力の維持】【家庭生活の実行状況を維持】 【特別な対 人関係能力の維持・向上】 【特別な対人関係能力低下】の 4 つであった。 【社会生活への参加能力の維持・向上】では,入院中に病棟スタッフの関わりにより囲 碁や読書,院内デイケアの参加,他者との交流,家族や病棟スタッフとの散歩を行ってい た。退院後,C 氏はデイケアで囲碁や他者との会話をし,E 氏は囲碁や読書を続け,F 氏は 祭りに参加していた。さらに,G 氏はデイサービスやショートステイでレクリエーション に参加し,H 氏は親せきや子供と遊びや会話をし,J 氏はショッピングモールにもでかけら れるようになった。これらのように,6 名の対象者で『レクリエーション・レジャーへの参 加能力維持・向上』があった。 【家庭生活の実行状況を維持】では,7 名の対象者が,入院中に他患者や家族,病棟スタ ッフいずれかと食事摂取し,退院後も家族と食事摂取している『他者との食事実行状況を 維持』があった。 【特別な対人関係作りの能力維持】では,入院中に思いを表出できていた A 氏は,退院 後も変わらず専門職や友人と良好な関係を築き,D 氏は入院中促せば他患者と会話してい たが,毎日自ら近所の友達の家に行きお茶をしている『サービス提供者や友人との関係作 り能力維持』あった。また,それ以外の対象者も,入院中・退院後に関わらず,時に意思 疎通が難しい場合であっても,病棟看護師や訪問スタッフ,通所スタッフの看護や介護を 受け入れられている『よく知らない人やサービス提供者との関係づくり能力維持』があっ た。 6.

(9) 【特別な対人関係能力低下】では,入院中は患者同士の中心的存在となっていた B 氏が, デイサービスには半日しか行けず他者とも話せていない『よく知らない人との対人関係づ くりの能力低下』があった(表 6) 。 4.環境因子 【装具や用具,設計を整えている】【家族の支援と関係の構築ができている】【家族支援 の不足】 【専門職による継続的な支援・サービス体制が整っている】【保健サービスの不足】 【周囲の態度が肯定的】 【周囲の態度に伴う阻害因子がある】の 7 つであった。 【装具や用具,設計を整えている】では,A 氏は入院中,床上用の便器を使用し排泄して いたが,退院後は自動採尿器を導入し,B 氏は家族の工夫でトイレ前にセンサーライトを設 置し,自動で明かりがつくようにしていた。また,6 名の対象者において,患者の状態に応 じて入院中に導入を決めた,スロープ,ベッド,手すり,可動式ベッド柵(以下,P バーと する) ,据え置き型の HOT・酸素チューブの延長といった福祉用具の調整を行っていた『日 常生活における個人用の装置や用具を用意する』があった。さらに H 氏では,入院中退院 前訪問による住宅環境調整の必要性をアセスメントしたことで,自宅で車いすが使用でき るよう入院中からリフォームをはじめ,退院後も H 氏の状態に合わせ適宜行っていた『自 宅内の設計を整える』があった。 【家族の支援と関係の構築ができている】では,サブカテゴリーは『家族による支援が ある』であり,すべての対象者に家族による身の回りのお世話の支援があった。C 氏・F 氏・ I 氏では病棟看護師が入院中に対象者または主介護者へ内服指導を行い,退院後も内服継続 ができていた。さらに I 氏では,入院中妻が栄養指導を受けられるよう病棟看護師が調整し, 退院後も減塩や食事量に注意した食事提供を行っていた。 【家族支援の不足】には,H 氏において入院中は病棟看護師が排便コントロールをして いたが,その方法を家族が知らなかったという現状があった。 【専門職による継続的な支援・サービス体制が整っている】では,すべての対象者にお いて入院中にカンファレンスを行い,病棟看護師がケアマネージャーや訪問看護師,ヘル パー,施設職員,福祉用具担当者,リハビリ担当者と連携をとっていた。さらに,体調管 理や ADL 介助,住宅環境調整の必要性について情報共有し,退院後にケアマネージャーが 個別的なケアプランを立案し提供できていた『継続的に支援できる対人提供者・保健医療 の専門職・保健サービスが整っている』があった。10 名中 7 名の対象者が,デイサービス やデイケアといった通所サービスを利用し,2 名の対象者がショートステイを利用していた。 また,訪問看護利用者は 7 名で,うち 2 名では体調管理だけでなく,自宅で入浴介助やリ ハビリをしてもらっていた。入院中の支援として経済負担を軽減できるよう,栄養補助食 を保険適用のものへの変更を行い,退院後も継続して処方されていた。 【保健サービスの不足】 では, C 氏は入院中 ST による嚥下機能維持訓練を行っていたが, C 氏の地域には ST による訪問サービスがないことにより退院後に継続できなかったという 7.

(10) 現状があった。 【周囲の態度が肯定的】では,入院中,8 名の対象者において,ほぼ毎日主介護者が介護 指導や様子を見に来るために来院していた。退院後は,すべての対象者において,主介護 者の介護負担が少ない状態で自宅退院でき,主介護者が対象者にとっても自宅退院できて よかったと感じている場合が多かった『家族・友人の態度が肯定的』があった。 【周囲の態度に伴う阻害因子がある】では,I 氏の呼吸困難感を精神的要因と判断し,カ フアシストを制限していた『保健専門職による決めつけがある』があった(表 7) 。 5.個人因子 カテゴリーは【主観が肯定的】の 1 つであり, 『会話や食事の継続は意欲に繋がる』や『自 宅に帰り,笑顔が増えた』 , 『家に帰れて良かった』 ,患者が笑顔で「今まで十分生きてこら れた,死ぬ時期を整えてほしい」と話すという『死生観がある』といった肯定的な主観が 表出された。また,入院中は失禁が恥ずかしいという思いから頻尿になっており,退院後 には自分のペースで排泄ができるようになり頻尿がなくなった『自宅に帰り,羞恥心によ る頻尿がなくなった』があった(表 8) 。 Ⅴ.考察 1. 「活動」と「参加」の関連と看護実践 病棟看護師は,患者が多くの時間をベッド上で過ごすのではなく,入院中の時間を有効 利用して,患者の趣味を活かすことや患者同士の食事・会話をできるように環境調整し, 院内デイケアを企画するなど「参加」を促進するための看護を実践していた。これらは対 象者がベッドから離れるために移動し,姿勢を保持して手や腕を使って作業を行い,二人 以上の人と対話するといった「活動」を維持向上させる要因になっていた。活動は課題や 行為の個人による遂行のことで,参加は生活・人生場面への関わりと定義され,両者は生 活のすべての領域を網羅し「参加」の向上は「活動」の向上に直結するように密接な関係 があるといわれている(上田,2005) 。本調査においても,入院中の「参加」を促進させる 看護実践は患者が何らかの行為を実行することを可能にさせ,その行為を継続できたこと が「活動」の能力を維持・向上させたと考えられる。 一方, 「参加」の低下は, 「活動」の低下にもなるとされている(上田,2005)。しかしな がら,1 事例において「参加」で【特別な対人関係能力低下】があったが, 「活動」は低下 したコードがなかった。対象者は退院後自宅以外ではデイサービスなどで過ごすことがあ り,新しい環境に慣れないため, 「参加」は低下したが,入院中から家族と一緒に過ごす時 間を大事にしていたことを退院後も継続し, 「活動」は低下していなかった。大平ら(2008) は,自宅退院した患者は入院中と比較して,テレビ鑑賞や家族との団欒をするときの身体 活動量が有意に増加したと報告していることからも,「参加」が低下しても,必ずしも「活 動」が低下するとは限らないことが明らかになった。退院後に継続できていないことがあ 8.

(11) っても,看護実践が退院後の生活を見据えたものとなっていれば,家庭内における「活動」 の維持・向上に寄与し, 「参加」の低下を補完できると思われる。 2. 「活動」 ・ 「参加」と「環境因子」 ・ 「個人因子」の関連と看護実践 入院中に病棟看護師は,福祉用具・住宅環境の調整を行うための退院前訪問の設定や, 多職種を交えたカンファレンス開催など「環境因子」の調整を行っていた。そして,全対 象者において,訪問看護や訪問リハビリ,デイサービス,デイケア,ショートステイ,訪 問入浴,訪問診療といった,様々な介護保険サービスを利用していた。滝本ら(2005)は, 身体機能面に重点を置いたアプローチよりも,環境整備や福祉用具を使用したアプローチ のほうが対象者の ADL を向上させたと報告している。対象者の多くは自宅地域に利用でき るサービス環境が整っていたこともあり,退院後に必要な「環境因子」の調整により,福 祉用具や住宅環境が整備され,移動やセルフケア・家庭生活・社会生活などの「参加」 ・ 「活 動」における能力や実行状況を維持・向上させたと推察できる。 特に,地域包括ケア病棟に入院する対象者は,生活において何かしらの問題点が残って いる場合が多いため,それを補完し,希望する生活が継続できるような「環境因子」を整 える必要がある。本調査では,医療処置のある対象者が多いこともあり,入院中に病棟看 護師主催の他職種カンファレンスを開催し,退院後に訪問看護を 7 名が利用することにな った。対象者は訪問看護で,体調管理だけでなく,移動動作確認や入浴介助など運動やセ ルフケアといった「活動」を維持できるような支援を受けていた。在院日数の短縮化や疾 病の複雑化により医療依存度が高い在宅療養者も増加しているため,在宅生活継続のため には,診療の補助と療養上の世話を業とする看護師(訪問看護師も含む)の存在は大きい。 しかしながら,退院後のケアプランを立案するケアマネージャーは介護職が 69.2%占め(三 菱総合研究所,2010) ,訪問看護師が多角的にケアできる専門職であることを認識していな いことが多い。さらに,下吹越ら(2016)は介護職ケアマネージャーの医療知識不足や看 護師への苦手意識があることが訪問看護導入の判断に影響し,妨げる一因となっていたと 報告している。本調査では,入院中の生活を把握している病棟看護師が対象者・主介護者 の生活に対する意思確認を行ったうえでカンファレンスを開催し,訪問看護導入について ケアマネージャーらと一緒に判断した「環境因子」が, 「活動」の維持・向上につながった と考えられる。 また, 「個人因子」に意欲や『家に帰って良かった』 ,『死生観がある』など肯定的な主観 があった。高齢者の価値観の質を向上させる因子として,近くに心配事や悩みを聞いてく れる人がいること(松本ら,2001)やデイサービスの利用や近所付きあいであること(中 尾ら,2006)が明らかとなっている。自宅退院により『家族の支援がある』や『家族・友 人の態度が肯定的』 ,保健サービスが利用できるという「環境因子」の安定が関連したと考 えられる。さらに,人が生活を営むために普段からあたりまえに行っている食事・排泄・ 清潔・移動といった行為を,病棟看護師は全対象者全員に入院中から支援したことが「活 9.

(12) 動」の維持となり,肯定的な「個人因子」が多くなったと思われる。 3. 「心身機能・身体構造」と「活動」・「参加」の関連と看護実践 「心身機能・身体構造」は,入院中に積極的な治療提供はなかったが,退院後に変化な しか向上が 9 割以上を占めていた。Kwak ら(2008)は認知症高齢者に対する運動プログ ラムの実施により,ミニメンタルステート検査(Mini-Mental State Examination)が 20% 改善し,筋力・柔軟性も有意に向上したことを報告し,Tappen(1994)も認知症高齢者に 対する運動介入が心肺機能の低下率を有意に減少させること報告している。本調査におい て,理学療法士による運動療法は 20~40 分で毎日ではないことから,特別な運動プログラ ムは実施されてはいない。しかし「活動」では,退院後に【運動・移動の能力と実行状況 の維持・向上】や, 【セルフケア能力・実行状況の維持・向上】 , 【コミュ二ケーション能力・ 実行状況の維持】が確認できた。対象者は入院中に,歩行訓練や関節可動域訓練以外に, 座位での食事,トイレ移動,他者との交流場面の設定などの日常生活動作を病棟看護師の 計画立案によって,毎日実施していた。三好(1989)は, 「生活リハビリ」という言葉を用 い, ADL 全介助の脳出血後の利用者に対して,食事という生活行為から座る動作と座る時 間を作り,食事を食堂で行うことから人間関係の場へ引き出し,人との関係構築により自 力での食事を可能にし,笑顔が見られるようになり,褥瘡も改善したという事例を紹介し, 生活ケアの重要性を述べている。地域包括ケア病棟に入院している対象者は,必要な医療 が終了している,もしくは良い状態で維持し,今後の生活のための準備段階にある場合が 多い。本調査においても,生活ケアを重視した病棟看護師による看護提供が,対象者を自 然と日常生活動作に結び付けられるものであり,退院後の「活動」の維持・向上に寄与し, 「心身機能・身体構造」全体の維持向上に関連したと考えられる。 セルフケアにおける食事援助で病棟看護師は可能な限り座位での食事を実施していた。 食事摂取時は 30 度よりも 90 度の座位のほうが,咀嚼効率が良いという原口ら(2012)の 報告からも,入院中の食事援助が退院後も継続できていたことにより『摂食機能維持・向 上』 『消化器症状なく経過』に関連したと考えられる。また,形上ら(2011)はトイレ誘導 を行うことで尿失禁率が有意に低下したと報告している。7 名の対象者に対し,入院中に病 棟看護師がトイレ誘導を行っていたことは,定期的な排尿が促すことになり退院後の『排 泄管理能力向上』に寄与し, 【尿路機能と尿路系に関連した構造の維持・向上】に関連した と推察できる。このように,病棟看護師は患者の身体状態に合わせて日常生活行動におけ る「できる」ことを増やし,患者のセルフケア向上を目指している。これらの援助が身体 機能の維持・向上につながっていることが示唆された。 さらに, 「活動」では I 氏が内服管理や ASV・HOT のマスク・カニュラを自力で装着で きるようになった【セルフケア能力の向上】を認めた。回復期リハビリテーション病棟患 者は退院前と比較し退院後 1 ヶ月の調査でセルフケアが有意に低下していた(芳野ら, 2008) 。しかし本調査では,ICF におけるセルフケア能力に関する項目の低下はなく,むし 10.

(13) ろ【心血管・呼吸器系の機能維持】に寄与していたと考えられる。看護師は個々の能力を アセスメントし,セルフケア向上のための「活動」を自宅退院後も継続できるように介入 していた。実際,I 氏は入院中に指導されたセルフケアが自立に至らないまま退院したが, 退院後に「活動」を継続できていた。これらのことから,看護師は入院中と退院後のセル フケア能力の変化の因子を予測し,その人の能力に応じた指導を継続的に行っていくこと の重要性が示唆された。 一方で, 【心血管・呼吸器系の機能低下】のうち,下肢浮腫という『静脈の機能低下』が 起きていた。とくに高齢者では,疾患の多元多様性やホメオスターシス保持に必要な予備 能力の低下,薬剤の使用や食事の偏り,運動機会の減少といった生活様式の変化などが誘 因となり,若年者と比較して浮腫が起こりやすい織田ら,1993)。また長時間の座位では, 下肢を下げた状態であるため,下肢浮腫などが発生する可能性がある(小野,2010)。本調 査では,入院中に ADL を重視した看護実践による【運動・移動の能力と実行状況の維持・ 向上】の『姿勢保持能力の向上』により,退院後に端座位時間が長くなり,下肢浮腫が出 現したと考えられる。黒田ら(2006)は,臥床休養により浮腫軽減に効果があることを示 唆していることから,自宅退院後は「活動」が向上する事を予測し,入院中から臥床する 時間も確保できるような指導が必要であったと思われる。 「参加」における看護実践では,入院中に病棟スタッフの介入で,囲碁や読書,散歩や 院内デイケアといった日中のコミュニティ場面を設定していた。このことは対象者のベッ ド上だけの生活を改善し,日中の覚醒を促すことになり,退院後も継続的に行えたことで, 関節の可動性や筋力の維持向上,夜間睡眠の維持に関連したと考えられる。水野ら(2007) は認知症高齢者に対する運動介入によって,うつや不安が有意に改善したことを報告し, 中村ら(2004)は,在宅要援護高齢者における“社会参加”は,体を動かし身体的機能低 下を抑制することを明らかにしている。本調査でも,対象者の「参加」が【全般的精神機 能維持・向上】や【神経骨格機能の維持・向上】に寄与したと思われる。 これらのことから,日常生活動作による運動や移動という「活動」や,コミュティへの 「参加」が継続できる看護実践を入院中に行えば,退院後の「心身機能・身体構造」は維 持・向上することが明らかになった。病棟看護師は患者の日常生活なかで「できる活動」 「し ている活動」の促進・支援を行っていたが,これらのことを早期に抽出し,継続できるよ うな看護の提供が必要であることが示唆された。 4. 「心身機能・身体構造」と「環境因子」・ 「個人因子」の関連と看護実践 入院中に病棟看護師が対象者や主介護者の意思を確認し,自宅退院できるよう「心身機 能・身体構造における」摂食機能や水分バランスの項目において,対象者の嗜好に合わせ た栄養・水分補助食品を提供し,点滴が不要な状態まで改善させた。これらの情報を元に, 入院中に多職種とカンファレンスを行い,退院後に必要な訪問・通所サービスによる体調 管理を継続できるように「環境因子」を調整し,退院後も継続できていたことが「心身機 11.

(14) 能・身体構造」を維持・向上させたと推察できる。在宅医療において,訪問サービスや他 職種協働による包括的な支援が,うつ症状の改善や,再入院リスクの低下,生存率の改善 に寄与することが示されているように(葛谷,2017),本調査でも多職種連携の重要性が示 唆された。 また,本調査における主介護者は,8 名が入院中毎日来院し対象者の様子を見たり,介護 指導も積極的に受けていた。そして対象者全員,退院後は何らかの介護保険サービスを受 け,自宅での生活が継続できていた。右田ら(2001)は,介護の肯定的側面を高める支援 として,介護者を孤立させない社会的支援を充実させ,介護者自身が肯定的側面に気づく ことができ,よりよい介護経験の積み重ねができたと感じられるような働きかけが必要で あると述べている。入院中の病棟スタッフや他職種協働による指導やサービス調整といっ た支援が,退院後も継続できることで,家族支援が肯定的な態度で得られ,体調管理や医 療処置が継続でき,対象者のすべての「心身機能・身体構造」の維持向上に関連したと考 えられる。 「個人因子」においては,自宅退院できたことが肯定的な感情として抽出された。認知 症ケアの原則の 1 つに, 「家族や地域とともに進むケア:なじみの暮らしの環境を継続」が ある(認知症介護研究,2006) 。自宅退院は,患者にとってなじみの環境継続となっている ため, 「心身機能」における見当識障害や精神機能は向上したと思われる。さらに,退院後, 食事摂取量が増加したのは,自宅で好みに工夫ができることも要因として考えられ,なじ みの暮らしの環境であるからこそ,食事が進んだのではないかと思われる。また,何らか の心理的緊張により尿意を催し,執着してしまう病態である心因性頻尿は,自宅にいると 尿意を起こさないことを患者は自覚している(高橋,2011) 。対象者にとって自宅退院は心 理的緊張が緩和され,排泄に対する羞恥心が軽減されたことで頻尿が改善したと思われる。 一方で, 「環境因子」と「心身機能・身体構造」には約 1 割の低下があった。呼吸状態の 管理が必要な患者に対し,退院後に I 氏の呼吸困難感を精神的要因によるものと決めつけた 判断をし,カフアシストを制限していたことが判明した。入院中と異なった医療支援を行 っていたため,呼吸機能低下が起きていた。訪問看護師は病棟看護師に対し早期から積極 的に情報提供してほしいと認識している(樋口ら,2013)が,本調査では, 「環境因子」で ある病棟看護師と訪問看護師の連携不足によって,患者の「心身機能」を低下させた可能 性がある。さらに,I 氏の場合レスパイト入院であったが, 「カフアシストが 20 回/日程度」 という状態を入院中にアセスメントを行い,呼吸器の設定変更の必要性など情報教諭が必 要であったと思われる。医療サービスの導入決がされている場合には,退院時のサマリー 提供による情報共有だけでなく,入院早期からケアマネージャーや訪問看護師などの他職 種との情報共有を行い,自宅療養におけるケア方法を協働して検討する必要があることが 示唆された。さらに, 「心身機能」の低下に,I 氏において入院中は看護師による適切な排 便管理を行えていたが,家族が排便コントロール方法を知らなかったため【家族支援の不 足】が生じ,下痢を誘発し血圧低下が生じていた。本ケースにおける血圧低下は,退院後 12.

(15) 訪問指導により発見することができ,重篤な状態に至ることを防ぐことができた。しかし, 高齢者にとって生命の根幹である排泄行為におけるストレスを軽減すれば QOL 向上につな がること(奥田,2012)を考慮すれば,服薬指導の重要性がわかる。しかし,本調査では, 看護師による服薬指導は実施されていたが,入院中の薬剤師による本人・家族への服薬指 導が行われていなかった。奥野ら(2001)の調査では,薬剤師が指導を行うと,看護師と 比較しコンプライアンスが向上していることからも,入院中に病棟看護師が連携し薬剤師 の介入による服薬管理・指導を強化する必要があることが示唆された。 Ⅵ.結論 ・「参加」に関連する介入を入院中から行い,退院後も継続することで,「活動」が維持・ 向上する。 ・ 「参加」の低下は,家族と過ごす「活動」により補完される。 ・病棟看護師による日常生活動作における「活動」やコミュニティ場面への「参加」の介 入により,退院後の日常生活動作が維持向上し, 「心身機能・身体構造」の維持・向上につ ながる。 ・自宅退院後に「活動」の向上による, 「心身機能」低下が出現する可能性があるため,入 院中からアセスメントし,適切な指導を行う必要がある。 ・多角的なケアを行うことのできる看護師による早期の「環境因子」の調整が, 「活動」の 能力や実行状況を維持向上させ,さらに主介護者の介護肯定感に寄与し,患者の「心身機 能・身体構造」の維持向上となる。 ・自宅退院後も「環境因子」が整っていれば,生活を営むためにあたりまえに行っている セルフケアが維持でき, 「個人因子」が肯定的となり, 「心身機能・身体構造」が向上する。 ・病棟看護師と多職種の連携不足により,「心身機能」が低下していたため,退院後も適切 なケア提供が継続されるよう,入院中から患者の変化に応じた連携が必要である。 Ⅶ.本研究の限界と今後の課題 本研究は 1 病院を対象としたものであった。地域包括ケア病棟の機能は,地域環境によっ て異なるため,施設の特徴に応じたデータの蓄積が必要である。退院後療養生活の現状は 個人差が大きいため,退院支援・退院調整の統一を図るためには,類似のケースを蓄積す る必要がある 謝辞 本研究は,公益社団法人 在宅医療助成 勇美記念財団の助成を受けて行われた。 本研究の実施にあたり,研究の趣旨をご理解いただきご協力くださった,対象患者様を はじめ主介護者様,対象病院の皆様には,心より感謝申し上げます。. 13.

(16) 引用文献 藤澤まこと:医療機関の退院支援の質向上に向けた看護の在り方に関する研究(第一部)医療機関の看護 職が取り組む退院支援の課題の明確化,岐阜県立看護大学紀要,12(1):57-65,2012. 原口裕希,山村千絵:健常者の体幹および頭頸部の姿勢変化が咀嚼の効率に及ぼす影響,理学療法科学,27(2), 171-175,2012. 樋口キエ子,原田静香,カーン洋子,他 2 名:患者家族が求める退院支援に関する研究―退院後の患者家 族の退院支援への要望・意見から―,順天堂大学医療看護学部医療看護研究 4(1),42-49,2008. 樋口キエ子,山崎恵子,玄永春奈,他 2 名:訪問看護師が認識する在宅移行時の連携促進要因と阻害要因,医 療看護研究,10(1),38-44,2013. 平松瑞子,中村裕美子:療養者とその家族の退院に関連する療養生活への不安,大阪府立大学看護学部紀 要,16(1):9-19,2010. 一般財団法人厚生労働統計協会:国民衛生の動向―2017/2018 年―64(9) ,188-197,2017 形上五月,陶山啓子,小岡亜希子,他 1 名:尿意を訴えない介護老人保健施設入所高齢者に対する尿意確認に 基づく排尿援助の効果,老年看護学,15(1),13-20,2011. 小林利彦:退院支援・退院調整業務に関するインターネットアンケート調査,日本医療マネジメント学会 雑誌,14(4):203-208,2014. 黒田和子,栗木淳子,木戸里香,他 2 名:座りきりが居眠りや浮腫に与える影響について─介護療養型医 療施設における検討─,理学療法研究,34,80-82,2006. 葛谷雅文:在宅医療に関するエビデンス,第 1 回全国在宅医療会議 WG 資料,3-1,4-6,2017. Kwak YS, Um SY, Son TG,他 1 名: Effect of regular exercise on senile dementia patients,International Journal Of Sports Medicine,29 (6) ,471-474,2008 松本清子,東候光雄:一人暮らしの高齢者へのソーシャルサポートと精神的健康の関連性,日本保健福祉 学会誌,7(2),81-89,2001. 丸岡直子,佐藤弘美,川島和代,他 2 名:退院患者に提供された看護サービスの実態からみた退院調整に おける病院看護師の役割,石川看護雑誌,1,31-38,2011. 丸岡直子,洞内志湖,川島和代,他4名:病棟看護師による退院調整活動の実態と課題退院調整活動質指 標を用いた調査から,石川看護雑誌,8,29-39,2011. 右田周平,服部ユカリ:痴呆性高齢者の家族介護の肯定的側面に関する因子構造とその関連要因,日本老 年看護学会誌,6(1),129-137,2001 三菱総合研究所:居宅介護支援事業所及び介護支援専門員業務の実態に関する調査報告書,2010. 三好春樹:生活リハビリとはなにか,筒井書房,1989. 水野裕,渡辺智之:認知症高齢者に対する運動介入の効果について―無作為割り付け比較試験―,老年精神 医学雑誌,18,68-76,2007. 中西一葉:高齢患者自宅支援のツールに関する課題―リロケーション第四形態のダメージ軽減を目的とし た包括的システムの開発に向けて―,北海道医療大学看護福祉学部学会誌,9(1),125-132,2013.. 14.

(17) 中尾寛子,平松正臣:訪問介護サービスを利用している独居高齢者の主観的健康感に影響する社会関係要 因とその独居年数による相違,厚生の指標,53(13),20-27,2006. 中村一平,奥田昌之,鹿毛治子,他 6 名:高齢者に対する筋力増強訓練が身体能力に及ぼす効果に関する クロスオーバー研究,山口医学,53(6),279-289,2004. 認知症介護研究・研修東京・大阪・仙台センター編:改訂認知症の人のためのケアマネジメントセンター 方式の使い方・生かし方,認知症介護研究研修東京センター,28-45,2006 織田邦義,長瀬光昌:足のむくみ,31(12),1576-1578,1993. 奥田由美:高齢者の排便コントロールの重要性,月刊ナーシング,32,ll7−120,2012. 奥野純子,柳久子,戸村成男:在宅要介護高齢者における薬剤供給方法と薬剤知識・服薬コンプライアン ス,日本老年医学会雑誌,38(5),644-650,2001 小野光美:高齢者に日中のほとんどの時間を車椅子に座って過ごさせてはいけない,編集・川西千恵美, やってはいけない看護ケア,東京,照林社,178,2010. 大平雄一,西田宗幹,大西和弘,他 1 名:自宅退院する入院患者における退院前後での身体活動量の比較 検討,理学療法科学,23(2),313-317,2008. 嶋崎明美:急性期病院における退院困難な患者・家族の満足過程に及ぼす要因,日本医療マネジメント学 会雑誌,13(1):17-21,2012. 清水尊:診療点数早見表-退院後訪問指導料,医学通信社,252-253,2016 下吹越直子,八代利香:介護職ケアマネージャーの訪問看護導入を判断する根拠,日農職災医誌,64,46 -53,2016. 高橋さゆり:心因性頻尿とは,どのような病態でしょうか?ほかの頻尿と鑑別する方法と,治療法について 教えてください,治療 93(6),1470-1471,2011. 滝本幸治,西川典男:環境因子を重視したアプローチにより生活機能が向上した症例 QOL―介護者の介護 負担感を視野に入れて―,土佐リハビリテーションジャーナル,(4),27-34,2005. 丹羽敦,下田信明,伊藤まゆみ,他 6 名:ケアプランの立案状況と患者・家族の満足度からみた退院計画 の有効性,在宅ケア学会誌,5(3),75-81,2002. Tappen RM:The effect of skill training on functional abilities of nursing home residents with dementia, Research In Nursing & Health,17 (3),159-165,1994. 上田敏:ICFの理解と活用―人が「生きること」 「生きることの困難(障害)」をどうとらえるか,28-31,発 行:きょうされん,発売:萌文堂,2005. 吉村優佳里,吉村繁子,後藤裕子,他 1 名:退院支援を受けて在宅移行した患者の現状―今後の退院支援 への検討―,日本看護学会論文集:地域看護,37,137-139,2007. 芳野純,佐々木祐介,臼田滋:回復期リハビリテーション病棟患者の退院後日常生活活動変化の特徴と関 連因子,理学療法化学,23(4),495-499,2008.. 15.

(18) 表1 対象患者の属性 対象者. 性別 年代. 入院日 数. 病名. 自立度※1. 医療処置. 主介護者. 自宅での利用サービス. 妹. 訪問診療,訪問看護,ヘ ルパー,訪問入浴,電動 ベッド,体圧分散マット, 自動採尿器,人工呼吸器. 長男. 手すり,車いす,デイサ ービス 訪問看護,ヘルパー,デ イサービス,電動ベッド, 体圧分散マット,車いす, スロープ. A. 女 70 代. ALS※2. なし. 人工呼吸器 吸引・胃瘻. B. 女 80 代. 左踵骨折. Ⅲa. なし. C. 男 70 代. インフルエンザ パーキンソン病. Ⅳ. 吸引・胃瘻. 妻. D. 女 80 代. 右大腿骨頸部骨折 (術式:γ ネイル). Ⅲa. なし. 長女. E. 男 80 代. 肺炎. Ⅲa. なし. 妻. F. 女 90 代. 変形性腰椎症 パーキンソン病. Ⅳ. 胃瘻. 長女. G. 女 90 代. クロストリジウム感染 腎盂腎炎. Ⅲa. なし. 長男嫁. H. 女 90 代. 左大腿骨頚部骨折 (術式:人工骨頭). Ⅲa. なし. 長女. I. 男 70 代. 慢性心不全. なし. ASV・HOT※3. 妻. J. 女 60 代. 左腓骨骨折. Ⅳ. デイサービス 訪問看護,デイサービス, セーフティアームウォー カー,電動ベッド,シャ ワーチェア,手すり 訪問診療,訪問歯科,訪 問看護,デイサービス, ショートステイ,車いす, 電動ベッド,体圧分散マ ット デイサービス,ショート ステイ,手すり,オーバ ーテーブル 訪問診療,訪問看護,訪 問リハビリ,電動ベッド, ベッド柵(P バー),ポ ータブルトイレ,手すり, 車いす 訪問看護,ASV,HOT, デイサービス. 訪問看護,訪問リハビリ, 訪問入浴,車いす,電動 長女 ベッド,ポータブルトイ レ,スロープ ※1 認知症高齢患者の日常自立度判定基準 ※2 ALS:筋萎縮性側索硬化症 ※3 ASV:マスク式人工呼吸器(陽圧呼吸療法) HOT:在宅酸素療法 左下腿シャーレ 固定(免荷).

(19) 感想 診療報酬でも評価されている退院後訪問により、在宅療養をされている方々の自宅へ訪問できたことで、入院 中の看護の方向性が確認でき、今後の示唆を得ることができました。 本来であれば、修士の学生であり、研究費が得られることもないのですが、交通費などの助成をしていただい たことで、対象者にも負担感を与えることなく研究を進めることができました。深く感謝申し上げます。.

(20) 表2 退院前後の心身機能・身体構造(一部抜粋) 構成要素 対象者 変化. C. ±. F. ±. D. +. J. +. H. ±. A. ±. 入院中. 退院後訪問時. パーキンソン病による覚醒にムラ あり,メネシット内服調整を行 い,日中の覚醒を促した リタリン内服で覚醒良好 場所がわからず病棟廊下を徘徊す る,認知機能低下による注意力低 下あり,センサーマット使用し見 守りをする 統合失調症による不定期な幻覚幻 聴あり,眉間にしわを寄せている ことが多い,病院だとわからず帰 宅願望訴える うつ症状があったが,心療内科の 薬を内服し改善 入眠前の吸引・カフアシストと, ソラナックス内服注入で,夜間良 眠. メネシット内服継続で,日中も 覚醒できている. 日中は,談話室まで歩き,囲碁や 読書をし,夜間の睡眠時間を確保 する 起立性低血圧があり,フロリネフ 内服開始し,血圧低下がなくなっ た. 囲碁や読書を継続し,入眠時間 も確保できている. 心不全治療薬内服調整を行い,血 圧:88~100/60~70mmHg,浮腫 なく,尿量確保できている,体 重:52.6㎏ 体位調整や,注入食を半固形にす る介入で,吸引回数は3回以内. 血圧:94/68mmHg,浮腫なく, 尿量も減っていない,体重: 51.2㎏. サブカテゴリー. カテゴリー. 意識の連続性維持. リタリン内服継続で覚醒良好 自宅環境,周囲の環境に慣れて いるため,徘徊や危険行為なく 過ごせている 不定期な幻覚幻聴あるが,笑顔 が増えた 心療内科の内服継続し、うつ症 状なし 同左. 見当識機能向上 全般的精神機能 の維持 精神的安定性の維持. 睡眠機能維持. E C. I C. 心身機能 身体構造. ± ±. ± ±. I. ±. D. +. G. ±. C. ±. D. ±. I. ±. J. ±. J. +. E. ±. C. ±. フロリネフ内服継続し,血圧低 下なく経過している. 体位調整と,入院中の注入食継 続し,吸引回数増えていない. ASV(酸素無し):就寝~起床ま ASV・HOTは入院中と同様使用 で,午前午後2時間使用,酸素1L できている,SPO2:97%前後, カニュラでSPO2:97%前後,易疲 易疲労性なし 労性なし 薬がのどに引っかかることがある ため,見守りで,水と一緒に1錠 ずつ内服している 転入時は栄養状態低下のため点滴 をしていたが,病棟看護師が計画 立案し,嗜好に合わせ,エンシュ ア1日1缶や介護用食パンを提供す ると全量摂取し、お菓子の間食も 行え,点滴がなくなった 胃瘻造設,吐き気や腹満感なし. 呼吸器系の付加機能維 持. 心血管・呼吸器 系の機能維持. 運動耐容能維持. 内服3錠以上をゼリーを活用し問 題なく飲めている エンシュアは1日1缶飲んでい る,食事はなんでも食べられ て、食事量は減ってない. 9年前に胃全摘,分割食でないと ダンピング症状を起こす. 吐き気や腹満感なく,胃瘻から の栄養管理できている 本人が食べられる量を食べ,ダ ンピング症状なし. 内服調整し毎日排便あり. 内服・浣腸を使用し排便あり. 内服・座薬使用し,2~3日おきに 内服で,毎日排便あり 排便あり 本人の好みに合わせ,おむすびを ご飯はよく食べ,エンシュアを1 提供し,毎食全量摂取するが,副 日1缶摂取,お茶は1日500ml以 食は好みの関係で,摂取にムラが 上摂取,測定値不明だが,体重 ある,水分摂取は1日500ml未満 が増えてきている 病棟看護師が計画立案し,のみや のみや水摂取継続し,脱水症状 水(高齢者でも嚥下しやすい離水 なし のないゼリー飲料)を毎食時に提 供することで,水分摂取500ml以 上確保でき,点滴の必要がなくな る,脱水症状なし 体温調整は掛物調整で行える. 心機能・血圧維持機能 の維持. こもり熱が出るが掛け物調整で 対応できている. 摂食機能維持・向上. 消化器症状なく経過. 排便機能の維持. 体重維持機能向上. 水分バランスの機能維 持. 体温調整機能維持. 消化器系・代謝 系の機能維持・ 向上.

(21) 表2 退院前後の心身機能・身体構造(一部抜粋) 構成要素 対象者 変化. G. 心身機能 身体構造. ±. H. ±. E. +. C. +. H. ±. J. +. H. ±. A. ‐. H. -. H. -. 入院中. 腎盂腎炎に起因する,発熱なし. 退院後訪問時. 排尿量・正常ともに良好で,発 熱なし 尿量も確保でき,発熱なし. 転入して間もなく,尿路感染が あったが,エンシュアの提供を行 い水分摂取維持し,尿路感染によ る発熱なく経過 約10分~30分おきの頻尿あり 3時間に1回程度の排尿で,頻尿 なし 体位変換は全介助 左大腿骨頸部骨折人工骨頭置換術 後,左股関節内転傾向のため,良 肢位になるよう座位時は整える 左下肢免荷,下腿シャーレ固定, 疼痛なく足趾の動き良好,膝関節 の拘縮なし 左臀部膿瘍があったが,退院まで に治癒 吸引回数・カフアシスト回数が20 回/日以上,首が締め付けられるよ うな苦しさがある。ソラナックス 使用すると,1~2時間は呼吸苦落 ち着き休息がとれる. ヒップアップができる 左股関節内転傾向悪化なく,脱 臼の兆候なし. 左下肢全荷重になっており,疼 痛増強なく,左下肢に力が入っ てきている 左臀部膿瘍痕,皮膚損傷なく経 過している カフアシストの制限(1回/h)が かかり呼吸困難感増大。精神的 な問題と在宅医療スタッフに評 価され,ソラナックスの使用回 数増加とレクサプロの処方で様 子を見ているが,効果無し 左大腿骨の人工骨頭術後で,左足 左足背の浮腫が増大 背の浮腫があるが、自覚症状な く,軽度 マグミット内服調整し,1日1回 マグミットを毎食1錠ずつ内服 軟便~正常便が出ていた,血圧正 し,トイレに行くたびに下痢便 が出ている,血圧低下傾向 常(収縮期血圧100以上)エン シュアを1日1本摂取し,それ以外 (91/64),エンシュアは1日1 本,水分補給も同じくらいして に水分補給200~400ml いる. サブカテゴリー. 尿路・腎の構造維持. カテゴリー. 尿路機能・尿路 系に関連した構 造の維持・向上. 排尿機能改善. 関節の可動性機能維 持・向上. 神経骨格機能の 維持・向上. 筋力機能の向上 皮膚の保護機能維持. 皮膚機能の維持. 呼吸筋の機能低下. 静脈の機能低下. 血圧の機能低下. 心血管・呼吸器 系の機能低下.

(22) 表3 退院前後の活動(一部抜粋) 構成要素 対象者 変化. A. +. A. +. B. ±. I. ±. C. +. G. 活動. +. H. +. B. +. D. ±. I. +. B. +. D. +. A. ±. I. ±. J. ±. D. ±. G. ±. B. +. D. F. +. ±. H. ±. I. +. I. +. 入院中. 退院後訪問時. 胃瘻注入中であり,嚥下に関する介 入なし ベッド周囲の装飾無し. 週1回STの訪問を再開し,季節に応 じたゼリーやアイスを摂取する ベッド周囲に写真を貼ったり,季節 に応じた装飾をしている 平日は1~2単位分,PTによる歩行訓 週1回デイサービスに行き,リハビリ 練をする で歩行訓練を行う 平日は1~2単位分PTのリハビリで, 週2日デイサービス+週4日の訪問看 運動耐容のための歩行訓練を行って 護でのリハビリ(30分程度)をして いる いる 全介助で体位変換や全介助による車 上下肢動き活発,体位変換は軽介 いす移乗が可能,病棟看護師の計画 助,家族の介助で車いす移乗,ヒッ 立案で昼食の注入時は車いすに座 プアップ可能 り,離床機会を作っていた 腰を支える軽介助で立位可能,5分程 自力での立位保持可能,端座位保持 度の端座位保持可能,食事以外に, できる時間が延長する 病棟看護師の計画立案で午前・午後1 時間程度,車いすでの離床機会を 作った 端座位保持不安定,立位はPバーを持 つ指導をしながら見守りで行う,病 棟看護師の計画立案で病棟でのレク レーションに参加し車いすに座り, 離床機会を作った 伝え歩きで10m歩行可能,それ以上 は車いす使用 伝え歩き可能 排泄時ナースコールあり,歩行器歩 行見守りし,トイレ誘導(酸素の持 ち運びが必要なため) 転入時はベッド上の生活が主体で あったが,病棟看護師の計画立案 で,日中は車いすに乗る時間を作る と,車いすで自走するようになった 付き添いの元,伝え歩き・手引き歩 行で,病棟廊下を歩行する ストレッチャー式の機械浴で,全介 助で入浴する 酸素1L使用しながらシャワーチェア に座り,洗身の一部介助を行う. 端座位安定し食事するくらいは座れ る,立位はPバーを持ち自力でスムー ズ. 転入後,排泄時にベッドから離床す ることが分かったが,場所がわから ず迷い失禁もあったため,センサー マット使用しトイレ誘導を行い,排 泄は動作は見守りで可能であった, 便失禁はあるため,服やリハビリパ ンツ介の着替えは介助する. 排泄動作・オムツの処理は自力で可 能. 胃瘻造設し,状態が安定した後か ら,昼食は,車いすに座り,注入食 を行うようになった,アイス摂取時 も車いすに座る. 昼食は,車いすに座り,注入食を行 う,経口摂取時は車いすに座る. スーパーのカートを押せば,10分程 度歩行できる 一本杖歩行安定. サブカテゴリー. カテゴリー. 目的のある感覚の 実行状況向上 (d120). 目的を持った 感覚的経験の 実行状況向上. 基礎的学習の 継続ができる (d155). 学習の応用能 力維持. 姿勢の変換能力が向上 (d410). 姿勢保持能力の向上. 運動・移動能 力・実行状況 の維持・向上 歩行能力維持・向上. 据え置き型のHOT使用し,5m以上の 延長チューブ接続にて,トイレやリ 屋内移動の実行状況が向上 ビングまで伝え歩きしている 毎日夕方にスーパーの買い物につい ていき,歩行している 屋外移動の能力が向上. 一本杖歩行自立で,一人で近所に外 出でき,自宅に戻れる 訪問入浴サービスで,全介助で入浴 する デイサービスで酸素1L使用しながら シャワーチェアに座り,洗身の一部介助 身体を洗う実行状況の維持 を行う ストレッチャー式の機械浴にて全介 訪問入浴サービスで全介助で入浴・ 助で入浴・洗身を行う 洗身してもらっている 病棟看護師が洗面所まで誘導し,コップ 自宅の洗面所で自力で歯磨きする と歯ブラシを準備すると自力で歯磨きを する 口腔ケア実行状況の維持 病棟看護師が洗面所まで誘導し,コップ 次男嫁がガーグルベースンとコップを用 を準備すると自力でうがいをする,義歯 意し,自力でうがいする,義歯洗浄は次 洗浄は全介助 男嫁の介助で行う 転入当初はおむつ内排泄であった 自力歩行でトイレまで行き,排泄動 が,病棟看護師による計画立案で車 作自立 いすでトイレ誘導し,排泄動作は見 守りとなった. 転入後1か月経過したころから,病棟 同左 看護師の計画立案で毎食,車いすに 座り,食堂で食事摂取 注意すべき食事や内服管理に指導を しながら,看護師で管理する. 排泄管理能力向上. 姿勢保持能力を 維持した状態で, 食事することができる. 妻に手伝ってもらいながら,内服や 食事管理を意識的にしている. HOT・ASVのチューブやマスクの脱 HOT・ASVのチューブ・マスの脱着 着は,指導しながら看護師で管理す を自力で行う る. 健康維持能力向上. セルフケア能 力・実行状況 の維持・向上.

(23) 表3 退院前後の活動(一部抜粋) 入院中. 構成要素 対象者 変化. テレビ鑑賞. 退院後訪問時. テレビ鑑賞だけでなく,リフトを活 用し新聞を読む,百人一首を読む, ラジオを聞く事をしている 家族や訪問に来た病棟看護師と会話 する. サブカテゴリー. カテゴリー. レクリエーションとレ ジャーの実行状況が向上. 社会生活実行 状況の向上. 会話能力の維持. コミュニケー ション能力・ 実行状況の維 持. A. +. B. ±. 食事やレクリエーションで他患者と 会話する. F. ±. 昼食時は車いす移乗し,スタッフと 会話する毎日リハビリスタッフと会 話する. 家族や訪問・通所スタッフ,訪問に 来た病棟看護師とと会話できる. A. +. 文字盤や口唇の動きで病棟スタッフ と会話をする. 文字盤や口唇の動きで友達や家族と コミュニケーション技法の 会話する 実行状況維持. 活動.

(24) 表4 退院前後の参加(一部抜粋) 構成要素 対象者 変化. C. 退院後訪問時. 病棟スタッフが車いすに全介助 2週間に1回は家族と車いすで一緒 移乗し,家族と散歩する時間が に受診に行ったり,土日は近隣の あった ショッピングモールに遊びに行く. J. +. B. ±. 毎食他患者と食事摂取する. 家族と毎日食事をする. ±. 毎食他患者と食事摂取する. 家族と毎日食事をする. H A D. 参加. ±. 入院中. 毎日病棟看護師が全介助で車い 週4回デイサービスに行き,囲碁を す移乗し,家族と散歩できる時 うつこともある,顔見知りの方と 間があった も話をする. C. E. F. I. B. ±. 病棟スタッフに思いを表出する 訪問スタッフや友人との良好な関 ことができ,必要な看護や介護 係が築けている を受けられている. +. 臥床していることが多い促せば 毎日近所の友達の家に行きお茶を 談話室で,他患者と談笑し過ご する,デイサービスにも拒否なく せる 行けている. ±. パーキンソン病により,意思疎 訪問看護にも拒否なく受け入れ, 通が難しいこともあるが,病棟 デイケアにも行けている スタッフの介護や看護に拒否な く応じ,笑顔もみられる. ±. 病院であることを理解し,希望 訪問看護による入浴介助や,デイ を訴えながら,病棟スタッフの サービスへの参加を拒否なく受け 介護や看護に拒否なく応じられ られている ている. ±. 病棟スタッフと表情良く会話 訪問スタッフの支援を受け入れ, し,必要な看護や介護を拒否な デイサービスやショートステイに く受けられている も拒否なく行けている. ±. ‐. 病棟スタッフにと良好な関係を 訪問看護スタッフを受け入れ,信 築き,必要な看護や介護を受け 頼している られてる,当初は訪問看護の導 入に対し好意的でなかったが, 何度か顔を合わせると受け入れ られた 談話室で患者同士の中でも中心 新しい環境は苦手なので,デイ 的存在となり,歌を合唱する サービスを週1回,半日から始め, 慣れてきたら回数を増やしていく 予定,知らない人の前では静かに なる. サブカテゴリー. カテゴリー. レクリエーション レジャーへの 参加能力維持. 社会生活への参 加能力の維持. 他者との食事実行状 家庭生活の実行 況を維持 状況を維持. サービス提供者や友 人との関係作り能力 維持. 特別な対人関係 能力の維持・向 上 よく知らない人や サービス提供者との 関係づくり能力維持. よく知らない人やサービ 特別な対人関係 ス提供者との関係づくり 能力の維持・向 能力維持 上. よく知らない人との 特別な対人関係 関係づくりの低下 能力低下.

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