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eラーニングにおける学習支援に向けた瞳孔反応取得システムの構築

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Academic year: 2021

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(1)Vol.2010-CLE-2 No.3 2010/9/2. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. e ラーニングにおける学習支援に向けた 瞳孔反応取得システムの構築 野間慶子. 1. はじめに e ラーニング学習では,時間場所を問わず,自分のペースで学習を行えるという利 点を持つ一方で,対面学習と比較していくつかの課題があると言われている.主に, 質問がしにくい,スケジュール管理を自分で行わないといけない,そして臨場感が尐 ない,の 3 つをあげることができる.これら 3 つの課題の 1 つである「質問がしにく い」の解決方法の一つとして,学習者が質問したいタイミングを見極め,ヒントなど を提示するという方法が考えられる.これまでにも,学習ログの解析を行うことによ る学習形態に合わせた学習方法のフィードバックの検討 [1]や,キーボードやマウス の操作を履歴データとして活用した学習者の行動パターンの分析 [2]によって,学習 者が問題に対して,行き詰まりや諦めなどを感じたタイミングを判定し,ヒントの提 示に向けた研究が行われている.これらはデータマイニングによる解析を用いた手法 であるが,この他にも,学習者の学習時の心理状態を把握できる指標として,生体情 報があり,心拍数や呼吸数,脳波[3],学習者の視線[4]などを用いた解析手法が挙げら れる.そこで,本研究ではその中でも非接触で測定が可能かつ,集中力や眠気などに よって変化をする瞳孔の変化[5]に着目し,瞳孔の変化を解析してリアルタイムに学習 者の行き詰まりなどを判定するシステムの提案及び,瞳孔反応からの諦め判定の解析 を行った. また,従来の瞳孔反応測定装置は解像度の高いカメラや,小型で精度の良いものを 使う為,コストがかかるものが多かった.しかし,e ラーニングで利用するにあたっ て,幅広い導入が難しい.そこで,昨今のデジタル技術の向上により,高解像度な web カメラが普及してきていることから,web カメラで,瞳孔反応を検出できるシステム が構築できれば,コストも掛からず個人での準備も可能であると考えられる.この事 から,安価な web カメラを利用したシステムの構築をおこなった.. 小川賀代. あらまし e ラーニング学習では,対面学習と比較して質問がしにくい事が課題 となっている. そこで,興味や関心によって散瞳する事が知られている瞳孔反 応から, 提示された問題に対して学習者が,行き詰まりや諦めなどを感じたか どうかを判断することが出来れば,ヒントの提示など,フォローが可能になる. 本研究では瞳孔反応を取得可能な学習支援システムの提案及び,瞳孔反応からの 諦め判定の解析を行った.. Measurement system of pupillary responses for e-learning support system Keiko Noma. Kayo Ogawa. Abstract When learners have questions on e-learning, it is more difficult to ask questions than face-to-face learning. If we judge their resignation for problems, it enables them to follow up by giving hints. It is said that a pupillary response indicates papillary dilatation by one’s own interests. In this paper, we describe the proposal learning-aid-system which can obtain pupillary responses and analysis results.. 2. 心理状態と瞳孔の関係 瞳孔は,明るさによって変化することが有名であるが,心理状態によってもわずか に変化することが知られている[5].実際の変化量は明るさによる瞳孔径の変化が平均 半径1~3mmの間で変動するのに対して,心理状態の変化は同じ光源下で,0.2mm 程度とわずかである.この変化は,虹彩内を通る不随意の自律神経の働きによる2つ の筋肉の働きによって生じる.虹彩内を円形に走る瞳孔括約筋は,副交換神経の筋肉 である.この為,眠たい時など,体が休息に向かっているときに筋肉が収縮し,縮瞳 現象が起きる.また,虹彩内を放射状に走る瞳孔散大筋は,交感神経系の筋肉である. 日本女子大学 Faculty of Science, Japan Women’s University. 1. ⓒ2010 Information Processing Society of Japan.

(2) Vol.2010-CLE-2 No.3 2010/9/2. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. この為,集中時など脳が活性化している時,筋肉が収縮し,これによって散瞳現象が 起きると考えられている.. 瞳孔検出は,図 2 中のフローの点線部で行っている.web カメラから取り込んだ画像 を2値化画像に変換し,変換した画像から円を検出することによって行う.. 瞳孔散大筋 瞳孔括約筋. 図1. 瞳孔散大筋と瞳孔 括約筋 この仕組から,瞳孔からは集中力や眠気の情報を得ることができると言われ,音環境 が与える集中力の変化を判断する実験[6]などに利用されていることから,この仕組が システムへ利用できると考えられる.. 図3. 円検出には,Lab-View Vision の Find Circular Edge の関数を利用する.Find Circular Edge の VI この関数は検出範囲内の円形エッジを読み取り,0.5pixel の精度で円検出を行 う関数である.円形エッジの検出範囲は単純な円でも可能だが,持続的に検出を行う にあたって,瞳孔の検出は尐しまぶたが下がった時など,本来円形である瞳孔が尐し かけてしまった場合でも検出を行い続けたいため,検出範囲を図 4 の破線部の様に設 定し,範囲内にある円弧エッジを検出できるように改良した.. 3. 瞳孔反応取得システムの概要 心理状態の変化を示す微小な瞳孔反応を取得するシステムを Lab-View によって構 築を行った.指標動画の再生は再生速度の安定化を図るため,Lab-View 上でなく,別 途に立ち上げた web ブラウザで並列的に再生を行うこととした.再生開始時のタイミ ングのみ Lab-View 上で出力させた.また,瞳孔反応の取得として,瞳孔の半径,瞳孔 の中心座標などを画像処理した画像から算出した後,Lab-View 上で結果を出力させた. システムのフローチャートを図 2 に示す.. 図4. 図2. 測定画像の2値化. 瞳孔の検出範囲. 検出範囲の角度,大きさは手動で調整可能である.また,光源は,瞳孔の取得が容易 であると共に,光による瞳孔反応を防ぐ赤外光を使用した.検出にかかる時間は web カメラのフレームレートに依存し,現在は使用した web カメラの最大速度 30fps で測 定が可能である. 実際の実験システムの操作盤は図 5 のようになっており,各ボタンで,指標動画の再. 瞳孔検出システムの流れ. 2. ⓒ2010 Information Processing Society of Japan.

(3) Vol.2010-CLE-2 No.3 2010/9/2. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. 生や,瞳孔の検出範囲などの操作を行うことが出来る様になっている. また,指標動画,及び測定画像はボタンを押す事で別窓に表示される.. 4. 実験及び結果 4.1 実験環境 実験環境を図 7 に示す.. PC 被 験 者. アゴ台. webカメラ 図7. 図5. システムの操作盤. 実験環境. 測定に使用した web カメラは,瞳孔の取得が容易,光の影響を受けないなどの事から, 赤外光源付のカメラを利用した.. 通常光源 通常光源 図8. 図6. モニタ(指標). 赤外光源 赤外光源. 赤外光源は瞳孔の取得が容易. 測定条件は以下のようになっている. ・ 外部光の影響を避けるために暗室で測定 ・ web カメラは被験者の眼の前(5cm 程度)に設置 ・ 頭部が動かないよう,アゴ置き台を使用 ・ web カメラはフレームレート 30fps を出すために,画像サイズ640×480で 撮影 ・ web カメラは被験者の左目のみ撮影(画面上のどこを見ているかを判別するため. 測定画像. 3. ⓒ2010 Information Processing Society of Japan.

(4) Vol.2010-CLE-2 No.3 2010/9/2. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. には両目の画像が必要だが,今回は瞳孔の大きさのみの測定の為,片目だけの 情報で問題ない.) ・ モニタから被験者までの距離は 20~30cm 程度 この実験環境を用いて,測定を行った. 4.2 動作確認実験 システムの動作確認として,実験を行った.集中力による散瞳を測る実験として, 正常な視力を持つ 20 代の女性 5 人に一桁の足し算を行ってもらい,その間の瞳孔半径  画像 pixel 白のみカウント 画像 pixel 白のみカウント  数 画像 pixel 数 数 白のみカウント を測った.実験環境は,前項で示したものに合わせて,人前で 1 桁の足し算を行わせ 1+1 17682 17682 1+1 1+1 17682 ることで被験者に精神的な負担を掛けて行った.実験に利用した指標は以下の様に, 8+8 26986 26986 8+8 8+8 26986 15000~30000 以内で揃える以内で揃える 15000~30000 以内で揃える 15000~30000 明るさの影響を受けないように輝度を揃えたものを使った.足し算は1問3秒で合計 測定開始 41603 →41603 25291→ →25291 測定開始 41603 25291 測定開始 3分間になる. 測定終了. 41212 測定終了 測定終了. 瞳孔相対値(刺激前の平均経を1とする). 1.4. →41212 27591→ →27591 41212 27591. →. → → →. → → →. A. 1.2 1.1. B. 1 0.9. C. 0.8. 散瞳. 0.7 0.6. 刺 激 前. 0 ~ 1 分. D. 刺激中 1 ~ 2 分. 2 ~ 3 分. 刺 激 後. E. 図 11 刺激前後の瞳孔平均半径の差 この結果から,刺激開始直後には 0.1%程度の散瞳が,また刺激開始後,3 分では, 集中力の低下による縮瞳が読み取れる.この結果より,構築したシステムによって, 被験者の 3 分間の集中力の推移を測定することができ,e ラーニングへの利用に向け た可能性を示すことができた. 4.3 諦め判定実験 本システムが,集中力による動向の変化を取得することが出来るシステムであるこ とが分かったところで,正常な視力を持つ 20 代の女性 3 人で諦め判定実験を行った. 実験指標は,5□6□5=35 のように,虫食い問題を 1 問ずつ計 9 問解かせる図 12 のよ うな指標になっている.. → →. 指示画面(45 秒)→足し算(3 秒×60)→指示画面(30 秒)  時間延長  時間延長 時間延長 図 9 実験指標 測定開始画面測定開始画面 30 秒→45 秒(平均は 15~45 秒で出す) 測定開始画面 30 秒→45 秒(平均は 15~45 秒で出す) 30 秒→45 秒(平均は 15~45 秒で出す) 測定終了画面測定終了画面 10 秒程度→30 測定終了画面 10 秒程度→30 秒(測定終了ポイントも分かりやすくしました) 10 秒(測定終了ポイントも分かりやすくしました) 秒程度→30 秒(測定終了ポイントも分かりやすくしました) この測定条件で実験を行った結果, 瞬きによるノイズなどを取り除くと図 10 の様な結 カウントの表示方法変更(輝度が変わらないようにあんまり目立たないようになりました。 ) カウントの表示方法変更(輝度が変わらないようにあんまり目立たないようになりました。 ) カウントの表示方法変更(輝度が変わらないようにあんまり目立たないようになりました。 ) 果を得ることが出来た. 合計時間が 4合計時間が 分 14 秒になってしまいました・・・orz 合計時間が 14 秒になってしまいました・・・orz 4 分40414分秒になってしまいました・・・orz 38 36 カウント表示変更 カウント表示変更   カウント表示変更. 瞳孔半径(pixel). . 縮瞳. 1.3. 34. 開始前カウント 開始前カウント 開始前カウント 32. 測定中カウント 測定中カウント 測定中カウント. 30 28 26. → → 指示画面(60 秒)→計算問題×9→指示画面(60 秒) 図 12 実験指標. 24. →. 20. 刺激中. → →. 22. →. → → 255. 245. 235. 225. 215. 205. 195. 185. 175. 165. 155. 145. 135. 125. 95. 115. 85. 105. 75. 65. 55. 45. 35. 25. 15. 開始前カウントの数字=計算中カウント(pixel 数&表示位置) 開始前カウントの数字=計算中カウント(pixel 数&表示位置) 開始前カウントの数字=計算中カウント(pixel 数&表示位置) 経過時間(秒). 図 10. 回答時間は設けず,自己申告で,分かった場合は「NEXT」のボタンを,わからなか った場合は「?」のボタンをクリックすると次の問題が表示されるようになっている. 問題は,ランダムに解ける問題と解けない問題が表示されるようになっている.ボタ ンを操作したタイミング,及び自己申告による問題の分かったか,分からなかったかは, 最後に表示されるようになっている.また,この指標も測定中に明るさによる瞳孔の 変化が起きないように輝度を揃えたものを使う.. 実験結果取得例. 5 人の結果を比較するために,刺激前,刺激後,刺激中1分毎の瞳孔の平均半径の変 化をまとめたグラフを図 11 に示す.. 4. ⓒ2010 Information Processing Society of Japan.

(5) Vol.2010-CLE-2 No.3 2010/9/2. 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. この測定条件で実験を行った結果,図 13 のような結果を得ることが出来た.グラフ 上に×印が付いているのが,解けないと自己判断した場合である.. 集中力を取得し,問題に対する諦め判定への利用に向けたシステムの提案及び,実験 を行い,諦め判定の可能性を得ることができた.今後は,更に様々な実験を行ない, より明確に学習者が諦めを感じたタイミングを得られるようにして行く.また,現在 のシステムをより汎用性のあるものへと改良を目指すとともに,瞳孔だけでなく,視 線の動きやまたたき回数なども加味した諦め状態の判定を行っていきたいと考えてい る.. 参考文献 1) 2). 図 13. 実験結果取得例. 3). 3 人の被験者が実験開始後最初に,解けないと判断した時の瞳孔変化を抜き出したも のを図 14 に示す.抜き出したグラフには,1 フレームごとの瞳孔半径,問題解答中の 平均瞳孔半径,5 秒ごとの平均瞳孔半径が示してある.なだらかな線である 5 秒ごと の平均瞳孔半径を比較したところ,3 人の被験者で,解けないと判断し,ボタンを押 すまでの間に,1 度問題解答中の平均瞳孔径より縮瞳するという一様の傾向を確認す ることができた.. 被験者 A. 被験者 B. 4) 5) 6). 佐々木未来,“CMS 学習履歴データの活用に向けた学習パターン分析の提案及び検証”, 情報処理学会研究グループ報告,第 12,CMS 研究発表会,pp.1~5,2009 堀口祐樹, “e-learning における学習時の潜在的な意識変化の抽出システム”,人工知能学 会全国大会論文集,巻:22nd,pp.1C1-02,2008 K. Nosu and T. Kurokawa,“A Multi-Modal Emotion-Diagnosis System to Support e-Learning” information and Control, vol.2 pp.274-278 2006 中村他,情報処理学会論文誌, vol.47 No.7,2006 松永勝也,“瞳孔運動の心理学,”ナカニシヤ出版,1990. 中山実, “音環境が与える音読速度への影響と瞳孔面積変化”,日本音響学会誌 45 巻 5 号, pp.368~373,1989. 被験者 C. 図 14 問題を諦めた場合の瞳孔の変化 この結果から,瞳孔の解析による諦め判定の可能性を得ることができた.. 5. まとめ 今回は,e-ラーニングシステムへの利用へ向けた,Web カメラによる瞳孔反応から. 5. ⓒ2010 Information Processing Society of Japan.

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