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大形直流電動機の最近の技術開発

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Academic year: 2021

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特集圧延設備新技術

大形直i充電動機の最近の技術開発

RecentTechnologY

DevelopementforLargeDC

Motors

圧延用を主体とする大形直流電動機に対する最近のニーズは高性能・高信相性に 加え,省資源,省エネルギ】,省メンテナンスか挙げられる。日立製作所は,これら の二廿ズにこたえるため,関連部門との連携のもとで幅広い技術開発を進めてきた。 その結果,高性能・高信頼件の代表としては「リアクタンス電圧均一化電機子の 実用化+があり,繁流性能が大幅に向上することが確認された。また,省資源対 ̄策 としては高出力化を年々着実に伸ばしており,省エネルギーでは主電動機の高効率 化の目標を明確にした。一方,省メンテナンスとしては整流子面の凹凸監視装置な ど,予防保全技術の充実に努める一方,整流子面を荒視せず,しかも摩耗の少ない GH-930シリーズ新形ブラシの開発に成功した。 小

言 大形直流電動機に対する最近のニーズとして従来からの高 性能・高信束馴隼に加え,省資源,省エネルギー,省メンテナン スが重要なテーマとして挙げられている。 日立製作所は,これらのテーマに対し横板果敢に二取り組み, 着実にその成果を挙げてきているが,それらの要点を図1に 示す。これらのうち,H種絶縁,機械耐力の向上及び整流特 件の解析につし、ては既に本誌にも紹介した1ト3)。ここでは,

(1)高性能・高信頼性・‥……リアクタンス電圧均一化電機子

(2)省資盲原…・・・…高出力化

(3)省エネルギー・…‥…高効率化の考え方

(4)省メンテナンス……・t・予防保全枝術,新形カ"ポンプラシ

などについて,その概要を述べ参考に供したい。 臣l

新技術とその効果

2.1高出力化(HPD機)

高出力化とは別名HPD機(High Power DensityInaChine)

で,小形・軽量化を意味する。このことは単機製作限界の拡 大と電気装荷(AC)の増加が基本となる。 一般に回転電機の製作限界はP九値〔=容量(kW)×回転速度 (rpm)〕で表わすが,直流機の場合は整流能力の制限で決ま る場合が多い。一方,整流の難易度を示すリアクタンス電圧 の大きさは,ACに比例することはもとより,単電機了・製作限 界の指標である〃値〔=P,1×FieldRange〕にほぼ比例するた め,ACを増加させるためには整流.能力の向上が不可欠となる。 また,直流機で最大の問題であるフラソシオーバの起こしや すさを示すフラソシオーバ係数は,平出Jセグメント電圧をブ ラシアーム間移動時間で割ったものであり,この値も高出力 化に対し重要なポイ ントとなる。 図2は〟値の変遷を主体にして開発過程を示したものであ り,H種絶縁の実用化,整流性能の向上により〟値が飛躍的 に上昇したことを示している。 2.2 リアクタンス電圧均一化電機子"HICOM”の実用化 先に高出力化に伴い整テ充性能の向上が必要であることを述 べたが,この開発のために詳細な整流解析が行なえるように なってきている3)。更に,リアクタンス電圧均一化電機子を採 用した直子充機"HICOM

DCM''を新たに開発し4),整流性能の

軸端 高性能・高信頼性 ①機械耐力の向上 キーレス軸端 △アームスパイダ 特殊ダブテール構造 △ライザ ②整流能力の向上

(

整涜電圧分布の最適化リアクタンス電圧均 一化電枚子 軸受 ㊥ /ヾ-ス

\1ノ

固定子 ∪.D.C.占21.313.2-181.2

竹村

明*』丘iγ。r。たem加r。 省 エ ギ ①高効率設計 (巻線抵抗損の低減ほか) (卦システム効率の改善 電機子鉄心 継鉄 中空軸 軸受 ◎ 省資源(高出力化) ①②③④ H種絶縁 高速機化 構造の合王里化 高電圧化 補極 主極 整流子カバー \

[]

省メ ンテナ ン ス ①予防保全技術

(鮎ごレ墓;充歪亮詣鮎化)

②新形カーボンブラシ 図l 大形直流電動機の開発ポイント 高性能・高信頼性に加え,省 資源,省エネルギー,省メンテナンスが重要なテーマである0 飛躍的向上を図っている。図3は"HICOM DCM''の原理を示 すもので,各整ラ充コイルの自己及び相互漏れインダクタンス は整i充開始から終了時まで1整i充子片同期ずれて同一値とな り,また整流起電力についても同様のことがいえることから、 各整流コイルの無火花帯の幅と中心位置が一致することを意 味している。国4は"HICOM''を適用した製品の工場での組 立時の外観を示す。 * 日立製作所日立工場 47

(2)

138 日立評論 VOL.65 No,2=983-2)

〔董ヰェ(圭㍗上×垂垂

5 3 住友金属工業 株式会社(和歌山) 4,500kW lOO/215rpm F種絶縁実用化 環状積層継鉄の開発 温度・磁束分布の解析 電子計算機による自動設計 大形整涛仙試仏紙機完成 1,500kW 250/900rpm 盲同耐力同H転子の開発 1,875kW 250′/900rpm 整流性能の向上 SALEM(インド) 1.550kW 285〃,000rpm 日本親管 株式会社 2×4.200kW 135/385rpm 大洋製舗株式会社 2×1.900kW 330ノ′870rpm H種絶縁実用化 高電圧化 株式会社神戸 製舗所(真剛 3.000kW 200/500rpm リアクタンス電圧均一化電機子 2.3

省エネルギー(高効率化)

プラントの高効率化を考える場合,高効率化によるコスト

アップとの関係で各機器をどこまで高効率化を図ればよいか が問題となる。その考え方として,まずプラント電気品に対 する損失分布を調べ,各機器の高効率化により主機及び付帯 設備の変化(付帯設備に必要な動力はすべて損失とみなせる。) を考慮しで最適効率点を求める必要がある。図5はあるプラ ント(主機総出力2万5,500kW)の損失発生源を損失の大きい順 にホしたものである。これにより電動機とその冷却設備での損 失が半分以上であることが分かり,また主電動機の損失を下 電頼子巻線製作(日動化 ○日本舗管珠式会社 5.000kW 35/70rpm 西 歴 年 図2 大形直;充電動機の開発過程 H種絶縁の実用化整流性能の向上 により.M値が飛躍的に上昇Lたことを示Lている。 図4"川COM”適用の2×2′750kW直流電動機 ミル用主電動機に適 用Lた第l号機であるが,従来形に比べて.整流性能向上に効果があることが 確認された。 リアクタンス電圧均一化電機子 Prl モード:Ⅰ コ ルaの 整流終了時 コイル 電機子 鉄心(Ⅰ) (Ⅰり アイース

/

スロット

圧二

臣二

コイル コット漏れ磁束 ー整流子 \、ブラシ 鉄′し(1)側でコイルaとコイルb間で相互誘導 作用が働く。 イル 電機子鉄心 \スロット コイルaとコイルb間で相互誘導作用が働く。

、/短絡コ

\ここ-、

こ/

モード Il コ ルbの 整流終了時 鉄心(Ⅰ)

(Ⅰり∃

鉄心(ⅠⅠ)側でコイルbとコイルC間で相互誘導 作用が働く。 〆「ヽ

コイルbとコイルCが異なるスロットにあるため, 相互誘導作用がない。 整流終了時の リアクタンス電圧 どrl,ぐr2 ビ‖く(ノrコ 特 長 補極磁束分布とリアクタンス電圧積上の形状を 合わせやすい。 栴檀磁束分布とリアクタンス電圧積上の形状を 合わせにくし、。 図3 リアクタンス電圧均一イヒ 電機子の動作原理 コイルa,b のし、ずれの整流終了時も,同一スロッ ト内に必ず'アラシで短絡されたコイル が存在するので,各整;充コイルのリア クタンス電圧は等しく なる。

(3)

大形直流電動機の最近の技術開発139 げることによって冷却設ノ備が小さくなり,i令却設備としての ‡員失もi成少することを考慮すれば,電動機を高効率化するの が最も大切であることが分かる。以上の考え方を図で表わし たのが図6である。電動機単体だけで‡員失低i戒量に対するコ スト上昇を評価したものが④の曲線であるが,手貝失低i城によ るランニングコスト低i成に見合うイニシャルコスト上昇限度 ラインの交点以上の高効率化,すなわち冷却設備のイニシャ ルコスト減少,冷却設備及び主回路機器の損失低減量も考慮 した(9の曲線で評価する必要がある。 2.4 省メンテナンス

(1)予防保全技術

圧延機駆動用電動機は,頻繁な速度及び負荷の変動,衝撃 トルクや変動するスラストなどの過大な外力を′受けるため, 運転中の二状態を十分に管理する必要がある。この目的のため, 外力に対しては軸トルク及びスラストカ監視装置により,温 度に対しては固定子サーチコイル及びFMテレメータ使用によ る回転子温度監視,更に入・排気監視などにより著しく寿命 を縮めるような運転を監視する。 整i充子回りのメンテナンス軽減あるいはメンテナンス時期 把握という面では,察流火花監視,ブラシのJ賛耗限度監視, 更にはGapセンサを用いた整流子面凹凸の常時監視などを開 発している。 絶縁の劣化斗犬さ比は目視点検だけでなく,絶縁抵抗値やその 電圧依存特性,成極指数などにより定量的に把握したり,開発 済みである絶縁診断装置(HIT:HitachiInsulation Tester) を用いて異常発生時に異常場所を的確に判定することができ る5)。 表1にこれらのまとめを示す。

(2)新形カーボンブラシの採用

ブラシの性能評価は,従来の無火花常による評価から更に 1,875 kW XlOO lO 9 8 7 6 5 4 3 2 380 33(う 466 注:(り主電動横の総出力25月00kW (2)補機の総出力630kW (3)主電動彼の冷却は内冷循環方式 (4)ロールクーラント庄油ポンプ(1.300kW)は除く 320 211 165 125 86 75 60 200 その他(配線など) サイリスタ リアクトルファン その他の変圧器 補 機 空調機 電気室ファン 界 磁 直流リアクトル 主サイリスタ 主サイリスタ変圧器 電動機用ファン 主電動機 図5 コールドタンデムミル電気設備損失の内訳(主電動機川0% 負荷時) 全損失は4′299kWであり,主電動機とその冷却設備での損失だけで 54%を占める。 甘味→エKn 楚糸賀エK[ ファン ‥M 電源 クーラ ‖州 C nU lM

享l

主電動機; l -_._._ __+ ポンプ

伝)㊤

(む

イニシャルコスト 上昇限度ライン 最適点 電動機高効率最適値 冷却設備動力及び 主回路機器損失低減量 岬横車水喋雑輩密回州 b両市甫準州川南焚 、---冷却設備イニシャル コスト減少曲線

(み

電動機単体のコスト上昇曲線

(亙に対し冷却設備を含めたコスト上昇曲線

(む

横軸をシステム損失としたとき,システムコスト上昇曲線 損失低減量 区16 最適効率決定の考え方 主電動機の高効率化は,イニシャルコス ト上昇限度ラインと冷却設備のイニシャルコスト低減,冷去帽箕備及び主回路機 器の損失低減量も考慮Lた(¢との交点が最適値となる。 表l 直i充電動機の予防保全技術 既に開発済みのものについて一覧 表にして示す。 N(〕. 目 内 容 目 的 l 機械耐力 川軸トルク

軌州ナゲージ十FMテレメーター(雪害三上)

④.⑧.⑥ (2)軸スラストカ

軸受主板は仰ナゲージー(芸三:上)

2 温度上昇 川電機子巻線温度

サーミスタ+FMテレメータ→(望雪空慧)

叫羞悪霊悪霊霊

サーチコイルー()

(3)軸受温度 サーチコイル→( ) (4)入排気三見度 サーチコイルー( ) 3 整 流 川整涜火花 光電管による増幅一( ) (2)整流子面の凹凸

Gapセンサー(雪㌍慧)

④.⑧ (3)カーボンの摩耗 光ビームによるリミットスイッチー( ) 4 絶縁劣化 川絶縁抵抗 接地抵抗に流れる電流→( ) ④.⑧.⑥ (2)絶縁診断 絶縁診断装置(HIT) ⑥ 注:目的④監視保守の省力化 目的(昏保守時期の予知 目的⑥異常診断 時悪税明 HIT(Hitachllnsulat10n Tester) 広義のメンテナンスの少ないブラシという評価に移ってきて おり,この背景のもとに開発されたのがGH-930シリーズ新形 ブラシである。 ブラシの重要な性能は潤滑性と座乗性であり,生成と脱落 を繰り返しながら均衡を保っている整流子皮膜を常に安定に 保持する必要がある。従来の高抵抗ブラシは油煙をJ京料とす るが,難黒鉛化性炭素材のため潤滑性に乏しく,このため長 期的に見た場合整流子損傷を引き起こしやすい傾向にある。 これに対し整流子を荒損せず,しかも摩耗が少ない特性を 49

(4)

140 日立評論 VOL.65 No.2(1983-2) 表2 GH-930シリーズブラシの物理特性と適用 低抵抗で柔らかいので,整流子の荒嵐のめり防止に効果がある。GH-930はピーク負荷条件下でも安 定Lた摺動特性をもっており,適度の皮膜調整能力がある。 ブラシ項目 比抵抗(〟Q・Cm) 曲げ強さ(kg/cm2) 硬 さ〃∫ 摩擦係数 電〉売密度(A′/cm2) 速度(m/s) 適 用 GH-930 し700 130 27 0.17∼0.20 12 50 皮膜調整良,ピーク負荷,′ト∼大形機 GH-931 1,700 130 30 0.16∼0.19 12 50 皮膜形成良,平滑負荷.小∼大形機 GH-932 l′500 160 25 0.16∼D.19 12 60 皮膜形成良,平滑負荷.中∼大形機 条件 区分 従来形油煙系ブラシ(市販品) 新形コークス系ブラシ(GH-930) 整流子周速 40m/s 150 U

笥100

こ100

当50

ィ 00 20 40 ブラシ短絡電流密度(A′′′cm2) 昧50 1

器0。2。4。6。

ブラシ短絡電流密度(A′ノセm2) 0.9

蓋。.6

ノヵ

・1ヨ1 申王: 軸0・6 懸0・3 =J 0 鮒 壬生0.3 ・8訂 ヰ王: 懸0 0 20 40 0 20 40 60 ブラシ短絡電流密度(A′・′/cm2) ブラシ短絡電流密度(A.′′′cm2) ●0 6 2 2 8 4 0 0 (工∽O「\∈∈)淀鍵ふ小ト 0.0 整流耐力加速試験機による実測例 (20A/cm2,40m/s) 市販油煙系ブラシ GH-930 GH-931 GH-932 図8 GH-930シリーズブラシの摩耗 試験機による摩耗の実測値を 示す。GH-930シリーズは従来材の÷以下であり,ブラシの交換周期は大幅に改 善される。 もつブラシがGH-930シリーズ新形ブラシである。その物理的 特性を表2に,また長時間運転後,ブラシ短絡電流又は速度 を変えても接触状態が極めて安定していることを,従来ブラ シとの比較で図7に示す。ここで接触障害度とは,接触電圧 に含まれている高周波リップル分を表わし,実機での動特性 50 図7 ブラシすり特性の比 j較 整流子周速40m/s,短絡 電流25A/cm2で25時間運転後の ブラシのすり特性を示す。短絡 電流又は速度を変化させても, GH-930は接触状態が極めて安定 Lていることが分かる。 と相関性か大きい。 ブラシJ肇耗は図8に示すように従来材の半分以下であり, 現地でも極めて良好な成績を挙げ使用実績が着実に増加しつ つある。 田 結 言

圧延用大形直i充電動機の最近の技術成果のうち,(1)整流能

力の大幅向上を目的として開発した仙HICOM DCM'',(2)HPD

機の状況,(3)高効率化の考え方,(4)省メンテナンスのための

予防保全技術,及び新形カーボンブラシの概要について述べ た。これらの新技術は,いずれも関連部門が連携をとりなが ら,積極果敢に取り組んだ成果であり,従来から直†充機の欠 点とされていた整流子回りのメンテナンスも大幅な改善が期

待でき,直流機の特長が十分に生かせるものと確信する。

引き続きユ、サーの期待にこたえるため,技術開発に努力す る考えであI),関係各位の御指導をお噸いしたい。 参考文献 1)袴軋 外:中形回転機用新H種絶縁,日立評論,58,11, 871∼875(昭51-11) 2)園部,外:最近の大形直流電動機における機械耐力の向_L, 日立評論,62,10,755∼758(昭55-10) 3)茂木,外:大容量直流回転電機の整流特性の検証,日立評論, 61,7,487∼490(昭54-7) 4)田原,ケト:直流機の新構成電機子,電気学会論文誌,57-B48 (昭57-6) 5)松延,外:直流機用新絶縁診断法の開発,電気学会論文誌, 56-A6(昭56-1)

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