就学前教育の中日比較研究

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− 425 − 就学前教育の中日比較研究 教科・領域教育専攻 国際教育コース 辛暢 1研究背景 世界の経済の発展につれ、教育問題は証会や 国の発展に対して大きな影響を与えるため、世 界的に注目され、多くの国が教育を優先的に発 展させることを提唱している。その教育問題に おいても、幼児教育はとりわけ重要である。幼 児教育は幼児を対象とし、生まれてから小学校 教育より前の段階にある教育を指し、就学前教 育とも呼ばれる。幼児教育は子どもの啓蒙教 育lとして、将来の子供の発達に各面の影響を 及ぼすことで、国際的に重視されつつある。 確かに、幼児期における子どもは神経系が急速 に発達している時期であり、幼児期の教育は子 どもに健やかな発達を促すだけでなく、知能の 発達や潜在力の開発にも欠かせないものである。 また、幼児期は良好な学習習慣を育成すること、 善悪の判断を学習すること、社会キ物事につい ての初歩的なコンセプトを形成することについ ても、幼児期は非常に重要な時期である。 さらに、就学前教育は子どもの学習意欲を高 めることにも重要な影響を与える。幼児期は、 子供の中枢神経システムが速やかに発展する時 期である。その時期での教育は、子どもの発達 について重要な役割を果たし、子どもの知力、 潜在力、学習の積極性、探究心や向上心などを 育む前提となる。 1 1歳から 6歳までの教育l説ける子供¢漉補助、託強力と想像力の司l蹄読書 家教育だと呼崎1ている。 指導教員 石 村 離 陸 中国共産党及び国家では近年の経済の急速 な発展につれ、政府が全人民の資質を高めるこ と(資質教育)を提唱し、その中でも、就学前 教育が資質教育の重要な段階にあるとして、そ の推進そ敬革に力を入れるようになった。 2010 年の『国家中長期教育改革と発展企画概要(2010 -2020Uでは、中国の幼児教育も発展が実現し、 素晴しい成果が出たことが述べられたが、依然 として課題は多し、。 2研究目的 中日の就学前教育において、それぞれの現状、 特徴及。可制生の問題をまとめ、中日両国の就学 前教育の異同点を整理分析する。また、日本の 優れた経験を参考し、今後中国の就学前教育発 展の方向性と取組を捺すことを目的とする。 3研究方法 上記の分野に関する先行研究をまとめつつ、 中日の就特有教育に対する比較分析を行う。そ の上で、中日の就学前教育課題を整理すること により、今後の中国の就学前教育に適合する発 展の方向性と取組を明らかにしたい。また、中 国の子どもの保護者を対象として、就学前教育 へのニーズ、満足度、期待及び意見についての アンケートとインタービューを行い、中国の就 学前教育に対する保護者の意識を把握し、今後 の就学前教育発展の方向性を検討したしも

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− 426 − 4 結論 アンケート及びインタビュー調査からみると、 幼児園教育に対する保護者のニーズ、の上位3位 は①「教育理念と方法」、②「保育とサービス」、 ③「環境と設備Jである。旧来の中国では受験 競争が激しく、幼児園から唐詩、英語また計算 などを子どもに学ばせてきた。 Lかし、近年中 国は目覚ましし吐陰発展と経済成長が遂げ、社 会や人々の考え方が変わってきた。資質教育が 提唱され、子どもの負担を軽

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食するために、教 育改革が行われている。加えて、グローバル化 が進んで、いくとともに、教育先進国の教育理念 が中国に影響をもたらし、保護者が知識の習得 より心身健康の発達が大切であることを意識し 始めた。このことから筆者は、今後中国の就学 前教育が日本と同様に質の高い保育キ教員の資 質の向上を望んでおり、子どもの個性発展や生 活教育、環境教育を重視するようになっていく と考えている。だが、中国と日本の国情及て就 学前教育の背景は大きく異なるため、そのまま 日本の理念やシステムなどを導入することには 問題がある。 以下では、中国幼児園に対する保護者の意識 調査をもとに、中国での就学前教育の現状に基 づき、改善策を提言する。 第1に、就学前教育に対する立法を加速すべ きである。法律の制定・施行は、政府が就学前 教育に対する監督管理を行うため必要である。 その際、車見すべきは管理の混乱、無秩序な費 用設定、僻章できない教育の質などの諸巴曜に 対応することである。 第 2に、政府は就学前教育への投資をさらに 拡大し、特に農村部への投資を強化すべきで、あ る。政府は国情を踏まえて、政府としての責任 を明確にし、統一的に計画しながら、都市部と 農村部、海沿と内陸、公立幼児園と私立幼児園 の発展を配慮し、教育的な資源を平等、合理的 に分配することを実現すべきである。 第3に、幼児園の教育や活動には小学校化の 傾向が強く存在している。保護者はこうした教 育方法が、子どもの勉強に対する積極性の低下 及戊在、像力そ創造力の発達の疎外をもたらすと 考え始めている。そして、就学前教育では生活 を中心とし、ゲームの形で子どもの学習意欲の 向上や探究心の養成に役立つことが導入される ことを期待し始めt:::..o今後こうした保護者のニ ーズに応じて就学前教育は更新されなければな らないと考えている。 第 4に、幼児教員チームの管理を強化すべき である。近年、幼児教員の資質向上についての 要望がより一層高くなってきた。私立幼児闘が 半分以上を占めており、就学前教育の管理が不 十分である。私立幼児閣の教員の質が中国の就 学前教育の教員の質の主体となってきたことを 考えれば、厳しく教員配置を管理監督し、教員 の専門レベルが基準に達していることを臨見す べきである。 第5に、家庭・就学前教育機関・地域の連携 を強化すべきである。就学前教育機関では子ど もの発達に適切な教育環境を作るために、三者 のお互いの理解と協力は不可欠であり、今後十 分な連携を図らなければならないと考えている。 第 6に、政府主導、社会参加、公立私立幼児 園共存の就判官教育体系を確立すべきである。 公立幼児園は教育行政機関を代表し、管理、訓 練、情報サービス、研修などの機能を果たし、 就学前教育市場を主導し、就学前教育の公平性 や公益性を確保する。私立幼児閣は公立幼児園 の補充や保護者の多様なニーズを満たす投書IJを 担う。

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