離別体験時を回想したFDT(Famiy Drawing Test)の変法による主観的な家族イメージの理解をめざした研究

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− 113 − 離別体験時を回想したFDT (Family Drawing Test)の変法による 主観的な家族イメージの理解をめざした研究 人間教育専攻 臨床心理士養成コース 新里椋 1.問題と目的 自分にとって大切な人と南針もて暮らすとい うことは、我々にとってとても辛く、寂しいも のである。田中(1997)らは父親との商問JI・死 別体験は操病と神経性無食欲症の有無で有意差 が認められたと述べている。小此木 (1979)は 愛する者や大切な物に分かれを告げる事を対処 喪失としており、対象喪失を3つに分類してい る。本研究では、近親者のとの生き別れ、子の 成長に伴う青春期の親離れなどを指す、第

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の 対象喪失に着目し、それに伴う心離句な負担を 感じる事を、商問JI体験として扱う事とした。 堀田 (2015)は離別体験について、中核的な信 念や世界観を脅かすかどうかであると述べ、そ の出来事をどのように捉えたかとし1う視育、も重 要であるとしている。再臨

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体験を経験した者へ の治療的介入法では、投影描画法が用いられる 事がある。言葉にしづらい気持ちゃ無意識的な 部分の表現、話すのが苦手な被験者にとっては 自分を表現する手法として、適している点であ ろう。合同家族画(Bing,1970)キ動的家族画 (Burns, Kaufman, 1970)など家族画の「変法jが 多くの研究者によって考案されている。 f変法」 とは代表的な家族画FamilyDrawing Test(以 下 回IT) から派生した手法で、主に実施の際の 教示方法に違いがある。本研究では、研究参加 者の離別体験時に被験者が主観的にイメージし ている家族の理解に努めるため、 FDTを採用し、 指導教員今回雄三 また、障問JI体験時を回想させるような教示を行 った。障問

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体験と描画法における研究において は、郷司 (1987)と鍛冶 (2011)がその医療的 な効果や今まで知りえなかった気持ちの理解に 繋がった事を確認している。この事からも分か るように描画は研究参加者の過去体験を語り、 気持ちを整理する手助けになったと思われる。 これまで、述べてきたように、離別体験は、体 験者の主観的なイメージを理解することが重要 であるため、研究参加者が話したかった内容も 考慮することが求められる。そのように面接を 行う方法は半構造化面接と呼ばれている(中鳥, 2015)。本研究ではFDTに回想法を加味した変法 と半構造化面接により、絵と面接で得られた情 報から、描き手の離別体験時における主観的な 家族イメージの理解につなげることを目的とす る。 方 法 A大判に判完に通う臨床心理学を学ぶ大判完 生に調査依頼をし、同意を得られた3名(男: 1名、女:2名)を調査対象とした。本来のFDT は「あなたの家族の絵を描いて下さい」とだけ 教示するが、本研究では「自分にとって身近な 大切な人と会えなくなり、辛かったり、寂しい と感じた頃のあなたの家族画をお描きくださしリ と教示した。用具に関しては、高橋 (1986)の の「描画テストの実施法」を参照している。半 構造化面接においては、絵と家族関係に関する

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− 114 − 質問をいくつか用意し、行う。回想法を加味し た

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実施後、後日描いてもらった家族画を見 ながら面接を行った。絵の解釈仮説には、寺嶋 (1996)らが作成した30の分析項目を採用した。 面接内容を十分に考慮し、他の様々な家族画の 技法における解釈仮説を用いて絵の解釈を行っ た。 3.結果と考察 分析項目をもとに、調査協力者ごとに分析を 行った。 [Aさん、 20代女性】現在実家を南街Lて くらしているため、離別状態が続いている。絵 は写実的で家具や人物の配置が細かく表現され ているものの、表情や手の省略が見られた。語 りや表現からは消極的なパーソナリティー、自 立する事への不安や家族が集まる機会が少ない という寂しさが表れていた。姉と仲が良く高館L て暮らす事への語りはもちろんで、あったが、主 に、将来の家族関係や自立する事への不安が語 られた。家族関係は良好との事であったため、 子どもが自立した後の家族の将来へ不安はAさ ん自身のパーソナリティーが影響しているかも しれなし

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さん、 20代女性}現在でも南街もて 暮らしているため、離別尚

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概している。絵は 棒伏の人間で描かれ、。当時の家族に対して明確 な距障臨

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があり、色々持を用いてそのイメージ が表現されていた。当時、家族を lつの集団で はなく、自らを含めた3つのグノいープとして明 確にわけでおり、その表現から孤独感や酬感 が表れていた。しかし、兄の病気以降、家族関 係が変化した事も語られ、過去の出来事を整理 し、現在の関係がある事が語られた。また、母 や祖母を守っていきたいという語りもあり、今 後自分が家族に対して,恩返しをしたいという世 代交代のような語りもあった。【Cさん、 20代男 性}友人との死別である。絵は棒伏の人間で描 かれ、黒鉛筆以外の色彩がなく、描画に対する 抵抗を強く感じたと同時に、家族関係を示す矢 印や、面接時の様子や語りから、筆者に家族イ メージを伝えようとする意志も同程度に感じ

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4, 主に兄と母の関係性について語られ、 Cさんが 兄に抱いたであろう毛嫌いする気持ちをとても 強く語っており、距離を置きたかったという思 いが表れている。自分の辛い気持ちなどを家庭 で出した事ないという語りもあって、商問IJ体験 が家族と共有しづらい状況にあり、家族との間 でその出来事を乗り越えたわけで、はなかったと 推測される。現在は家族と距離を置けた事で楽 になり、本研究をきっかけとして、当時の家族 関係について整理されたのではと考えられる。 本研究では商問│体験を経験した者の瑚卒の上で 「区分化J

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グルーヒ。ング

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最近の人物」 に注目することが重要なのではと考えられ

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4, 高橋 (1986)が上げた、検査者と協力者の信頼 関係、 l対 Iの落ち着ける空間、簡単な会話に よる緊張感や警戒心の解消という 3つの被験者 の心の状態を十分に表す条件、を満たせた事で、 得られたデータなのではと考えられる。しかし、 今回は調査依頼に対しての応募が少なかった。 五十嵐 (2008)らが述べたように、家族関係へ の直面化を避けた事によって、少なくなったと 考えられるため、教示も含めた実施方法の検討 が必要になってくるだろう。

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本研究の課題 商問リ体験者の主観的な家族イメージを理解す る上で4つの項目に注目することが重要なので はなし、かと考えられた。全ての対象者に当ては まるわけで、はない。対象者を増やし、分析項目 を検討してし、く必要があるだろう。また、発達 段階ごとに実施する事で、重要な項目の相違点 の鞘敷を調査することも重要だと考えられる。

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