Title
Inhibitory Effects of Fluorquinolones on Cytochrome P-450 1A
and 3A in Dogs( 内容の要旨(Summary) )
Author(s)
NANDA, Lal Regmi
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(獣医学) 甲第220号
Issue Date
2007-03-13
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/21403
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。氏 名(国籍) 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与年月 自 学位授与の要件 研究科及び専攻 研究指導を受けた大学 学 位 論 文 題 目 審 査 委 員 (16) Nanda LalRegmi(ネパール王国) 博士(獣医) 獣医博甲第220号 平成19年3月13日 学位規則第3条第1項該当 連合獣医学研究科 獣医学専攻 東京農工大学 Inhibitory Effects of Fluorquinolones on
Cytochrome P-4501A and3Ain Dogs
(イヌの肝チトクロームP・4501Aおよび3Aに対する数種 のフルオロキノロンの阻害作用) 主査 東京農工大学 教 授 副査 帯広畜産大学 教 授 副査 岩 手 大 学 教 授 副査 東京農工大学 教 授 副査 岐阜 大 学 教 授 実 数 男 郎 義 昌 晴 利 田 村 林 崎 脇 下 西 小 岩 武 論 文 の 内 容 の 要 旨 学位申請者は,フルオロキノロン(FQ)のチトクロームP450(CYP)1Aおよび 3A活性に対する阻害作用をイヌにおいて検討し,これらの阻害作用が臨床において問 題となる薬物間相互作用につながるか否かを明らかにすることを目的として本研究を 実施した。 学位申請論文は5つの牽から成り,実験研究の部分は第2牽から第5章に革述され ている。第2章では,エトキシレゾルフィンの脱エチル化をCYPIA活性の指標とし, オフロキサシン(OFX),エンロフロキシン(EFX),オルビフロキサシン(OBf-Ⅹ), ノルフロキサシン(NFX)およびシプロフロキサシン(CFX)のCYPIA活性に対す る阻害作用をイヌの肝マイクロソームを用いて検討した。その結果,いずれのFQも 非競合的にCYPIA活性を阻害したが,得られた阻害定数からその作用はかなり弱いも のであることを明らかにした。しかし,OFX,OBFXおよびCFXはmechaniBmbased inhibitionによる非可逆阻害も示したことから,OFX,OBFXおよびCFXでイヌを治 療する際にCYPIAの基質となる薬物を併用すると,併用薬の体内蓄積を招く可能性が あることを示唆した。また,EFXは体内でCEXに変換されるので,EFXにも同様の 可能性があることを示唆した。 第3章では,第2章の結果を受け,FQの非競合阻害やmechanismbasedinhibition
がCYPIAの基質との薬物間相互作用の原因になりうるか否かを明らかにする目的で, CYPIAの基質であるテオフイリンの体内動態に対するOFXやNFX処置の影響をイヌ において検討した。いずれのFQも1回投与では影響しなかったが,非可逆阻害も示 すOFXの反復投与ではテオフイリンの全身クリアランスが有意に減少し,半減期も有 意に延長した。これに対し,可逆阻害だけを示すNFXでは,反復投与によっても影響 は認められなかった。以上の結果によって,Of'ⅩのようにCYPIAに対する非可逆阻 害を示すFQは,CYPIAの基質となる薬物と薬物間相互作用を引き起こす可能性があ ることを示した。 第4章では,FQのCYP3A活性に対する阻害作用をイヌの肝マイクロソームを用い て検討した。ミダゾラム(MDZ)の4位および1'位の水酸化反応をCYP3A活性の指 標とし,EFX,OFX,OBFXおよびCFXの可逆的および非可逆的阻害作用を評価した。 MDZの水酸化反応のVma又とEmはFQの影響を受けず,CYP3A活性はFQに対する 曝露時間によってもこの水酸化反応は影響されなかった。以上の結果をもとに,試験 に用いたFQはCYP3A活性に影響しないことを示唆した。また,この事実を確認する 目的で,Of'ⅩおよびEFXのキニジンの体内動態に対する影響を検討したが,いずれ のFQもキニジンの体内動態に影響しなかった。以上の療果から,イヌにおいてFQ はCYP3A活性を阻害しないことを明らかにした。 以上,第2牽から5章までの研究成果を解析し,内外の文献と照合し,第6章で総 合考察としてまとめた。その結果,イヌの臨床において,①CYPIAに対して非可逆阻 害を示すFQは,CYPIAの基質となる薬物と問題となる薬物間相互作用を引き起こす 可能性がある,②FQはCYP3Aの基質となる薬物とは併用しても差し支えないことを 結論として導いた。 審 査 結 果 の 要 旨 学位申請者は,フルオロキノロン(FQ)のチトクロームP450(CYP)1Aおよび 3A活性に対する阻害作用をイヌにおいて検討し,これらの阻害作用が臨床において 問題となる薬物間相互作用につながるか否かを明らかにすることを目的として本研 究を実施した。 学位申請論文は5つの牽から成り,実験研究の部分は第2牽から第5章に記述さ れている。第2章では,エトキシレゾルフィンの脱羊チル化をCYPIA活性の指標 とし,オフロキサシン(OFX),エンロフロキシン(EFX),オルビフロキサシン (OBFX),ノルフロキサシン(NFX)およびシプロフロキサシン(CFX)のCYPIA 活性に対する阻害作用をイヌの肝マイクロソームを用いて検討した。その結果,い ずれのFQも非競合的にCYPIA活性を阻害したが,得られた阻害定数から,その作 用はかなり轟いものであることを明らかにした。しかし,OFX,OBFXおよびCF文 はmechanismbased,inhibitionによる非可逆阻害も示したことから,OFX,OBFX およびCFXでイヌを治療する際にCYPIAの基質となる薬物を併用すると,併用薬 の体内蓄積を招く可能性があることを示唆した。また,EFXは体内でCEXに変換 されるので,EFXにも同様の可能性があることを示唆した。
第3章では,第2章の結果を受け,FQの非競合阻害やmechanismbasedinhibiti。n がCYPIAの基質との薬物間相互作用の原因になりうるか否かを明らかにする目的 で,CYPIAの基質であるテオフイリンの体内動態に対するOFXやNFX処置の影 響をイヌにおいて検討した。いずれのFQも1回投与では影響しなかったが,非可 逆阻害も示すOFXの反復投与ではテオフイリンの全身クリアランスが有意に減少 し,半減期も有意に延長した。これに対し,可逆阻害だけを示すNFXでは,反復投 与によっても影響は認められなかった。以上の結束によって,OFXのようにCYPIA に対する非可逆阻害を示すFQは,CYPIAの基質となる薬物と薬物間相互作用を引 き起こす可能性があることを示した。 第4章では,FQのCYP3A活性に対する阻害作用を,イヌの肝マイクロソームを 用いて検討した。ミグゾラム(MDZ)の4位および1,位の水酸化反応をCYP3A活 性の指標とし,Ef'Ⅹ,OFX,OBFXおよびCf、Ⅹの可逆的および非可逆的阻害作用を 評価した。MDZの水酸化反応のVma又とEmはFQの影響を受けず,CYP3A活性は FQに対する曝露時間によってもこの水酸化反応は影響されなかった。以上の結果を もとに,試験に用いたFQはCYP3A活性に影響しないことを示唆した。また,この 事実を確認する目的で,OFXおよびEFXのキニジンの体内動態に対する影響を検 討したが,いずれのFQもキニジンの体内動態に影響しなかった。以上の結果から, イヌにおいてFQはCYP3A活性を阻害しないことを明らかにした。 以上,第2牽から5章までの研究成果を解析し,内外の文献と照合し,第6章で 総合考察としてまとめた。その結果,イヌの臨床において,①CYPIAに対して非可 逆阻害を示すFQは,CYPIAの基質となる薬物と問題となる薬物間相互作用を引き 起こす可能性がある,②FQはCYP3Aの基質となる薬物とは併用しても差し支えな いことを結論として導いた。 以上の論文内容について,審査委貞全員一致で本論文が岐阜大学大学院連合獣医 学研究科の学位論文として十分価値のあるものと認めた。 基礎となる学術論文
1)題 目:Inhibitoryeffect ofseveralfluoroquinolones on hepatic
micro$Omalcytochrome P-4501A activitiesin dogs 著 者 名 ‥ Regmi,N・L・,AbdEl・Aty;A.M.,Kuroha,M.,Nakamura,
M.and Shimoda,M.
学術雑誌名:JournalofVeterinaryPharmacologyandTherapeutics 巻・号・貫・発行年:28(6):553-557,2005
2)題 目‥ Effect of ofloxacin on theophylline pharmacokinetics
at clinicaldosagein dogs 著 者 名 ‥ Regmi,N.L.,AbdEl・Aty;A.M.,Kubota,R.,Tbmita,A.
and Shimoda,M.
学術雑誌名:JournalofVeterinaryPharmacologyandTherapeutics 巻・号・頁・発行年:29(5):403・408,2006
3)題 目:Lack ofinhibitory effects of several
fluoroquinolones on cytochrome P・4503A
activities at clinicaldosagein dogs
著 者 名:Regmi,N.L.,Abd El・Aty;A.M.,Kubota,R.,Shah,S.S. and Sbimoda,M.
学術雑誌名:JournalofVeterinaryPharmacology andTherapeutics