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Minimally Invasive Diagnosis of Vascular Disease by

MDCT: Current Status of Three-dimensional CT

Angiography and Its Potential as a Method

for Treatment Planning

Hiromitsu Hayashi, M.D., Ryo Takagi, M.D., Katsuya Takahama, M.D., Toshihide Kaizu, M.D., Yasuhiro Shimizu, M.D., Ryo Matsuda, M.D.,

Nobuyuki Tateno, M.D., Shigehiko Kuribayashi, M.D., Fumitaka Hidaka, M.D., Hisashi Yoshihara, M.D., Hidetaka Satou, M.D., Tomoyuki Kuwako, M.D., and Tatsuo Kumazaki, M.D.

NICHIDOKU-IHO

Vol. 50 No. 1 183–193 (2005) Department of Radiology and Center for Advanced Medical Technology Nippon Medical School

放射線診療の過去・現在・未来

最先端技術の臨床応用

5.MDCTによる血管疾患の低侵襲的診断:

三次元CT血管造影の現状と治療支援画像としての可能性

日本医科大学 放射線科・ハイテクリサーチセンター

林  宏光,高木  亮,高浜 克也,貝津 俊英,清水 康弘,松田  亮

舘野 展之,栗林 茂彦,日高 史貴,吉原 尚志,佐藤 英尊,桑子 智之,隈崎 達夫

Summary

Computed tomography (CT) is an objective, minimally invasive diagnostic technique that can be performed rapidly, enabling evaluation of the vascular wall, where the true nature of vascular disease is found. In many instances, however, conventional CT has not served as the primary diagnostic test, presumably for the following reasons: mechanical limitations, such as the significant partial volume effect resulting from the large slice thickness and poor differentiation of the small vessels due to the decline in contrast enhancement with the prolongation of examination time; the complexity of constructing the vasculature three-dimensionally in mind from a number of slice images; and the difficulty of diagnosing any stenotic or occlusive lesions in this difficult process. Nevertheless, recent advances in diagnostic imaging have been outstanding. In the area of CT, the advent of he-lical CT has made it possible to obtain volumetric data sets with favorable continuity in the body axis direction within a short examination time, and has opened the way to three-dimensional CT angiography (CTA). Furthermore, following helical CT, multidetector row CT (MDCT) has been developed. Consequently, it is now possible to ex-amine a large area over 1 m in length with spatial resolution of 1 mm or less in the body axis direction within only about 10 seconds.

For aortic aneurysm, CTA can provide the following information: location, morphological type, presence of in-traluminal thrombus, relation with the major branches or the surrounding organs, any complications including peripheral arterial occlusive disease, and quantitative evaluation of the aneurysm. Three-dimensional CTA can be used in preoperative simulation of the procedure or as reference imaging for informed consent. CTA also can en-able qualitative and quantitative evaluation of treatment response, together with evaluation of complications after treatment.

In cases of aortic dissection, CTA can provide sufficient information on the classification of disease, including the extent of involvement or status of the false lumen. To determine the extent of dissection to the major branches, angiography conventionally has been used, but CTA also can be used with its improved spatial resolution. CTA also is useful to evaluate thrombus formation in the remaining false lumen or to provide quantitative evaluation of aortic

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dilation after surgical or endovascular intervention. Paraplegia of the lower extremities may occur immediately after the onset of aortic dissection or after surgery for aortic aneurysm or dissection. As a possible cause, spinal cord ischemia due to occlusion of the Adamkiewicz artery has been considered. With MDCT, the Adamkiewicz artery can be visualized in as many as 70–90% of cases, and MDCT is considered to be promising as a minimally invasive diagnostic method.

Peripheral arterial occlusive disease is a disease with atherosclerotic change predominantly of the main trunk arteries of the upper and lower extremities, resulting in stenosis or occlusion of the artery, thereby causing ischemic lesions of varying degree in the peripheral areas. In association with recent westernization of the diet and aging resulting from prolongation of the average lifespan, peripheral arterial occlusive disease is increasing in Japan.

CTA can provide the location and extent of the lesion, morphological type of stenosis and stenotic ratio, charac-teristics of the vascular wall of the lesion and evaluation of the vasculature distal and proximal to the target lesion, diagnosis of any multiple concurrent lesions, and evaluation of any collateral circulation and peripheral run-off. It has been reported that, compared with angiography, MDCT angiography provides favorable diagnosis of stenotic or occlusive lesions, with sensitivity of 89–96%, specificity of 86–93%, and accuracy of diagnosis of 94%. After sur-gical or endovascular treatment, CTA enables treatment efficacy to be assessed, provides evaluation of multiple lesions, and is able to search for any new lesions.

It has been just 10 years since CTA was introduced for practical use in the clinical field, and diagnostic imaging in vascular diseases has been steadily shifting from invasive angiography to this minimally invasive diagnostic method. Presently, active efforts are ongoing for the further development and improvement of MDCT, and, in this respect, CTA can be considered a diagnostic method that is still in the developmental process. It is expected that MDCT and CTA will be further improved in the future to be less invasive while providing more biological information.

はじめに

 わが国における心臓血管疾患の頻度は増加傾向にあ る。これには疾患そのものの増加と、人口構成の高齢化 による疾患構造の変化の 2 つの側面がある1)。前者にお いては食生活の欧米化による動脈硬化性疾患の増加の影 響が大きい。また後者は平均寿命の延長による高齢化に よる動脈硬化性疾患の増加で説明される。加えて画像診 断の進歩、ならびに疾患に対する医師および一般の人々 の認識の広まりも重要な因子と考えられる。  血管疾患の画像診断において、その優れた時間・空間 分解能から血管造影はgold standardとして広く認知され ている。しかし大動脈解離を例にとると血管造影の感度 は88%、特異度94%、また偽腔の描出率は88%、剥離 内膜の検出率70%、エントリーの検出率56%とも報告 されている2、3)。しかしこれらの報告には血栓閉塞型大 動脈解離は含まれておらず、これを含めると血管造影の 感度は77%と、必ずしも高くはない4、5)。また血管造影 から血流動態の評価は可能なものの、濃度分解能が低い ために血管壁の変化を知ることや、閉塞性動脈硬化症の 術後に認められるグラフト遠位吻合部から中枢側動脈へ のわずかな逆行性血流などを指摘することはしばしば困 難である。さらに撮影方向には制限があり、得られる情 報は二次元的投影像である。侵襲的診断法であることか ら繰り返しての検査は困難で、手技に伴う危険性をはら んでいる点は否めない6)  これに対しCTは客観的で、短時間で施行が可能な低 侵襲的診断法であり、血管疾患の本質ともいえる血管壁 の評価が可能であるものの、これまで診断の主軸になれ ない場面も多かった。この理由としては、得られるスラ イス幅が厚くpartial volume効果の影響が大きいこと、 データの連続性に乏しく画像解釈が曖昧なこと、検査時 間が長いため造影効果が低下して血管分離が不良となる こと、などの機械的な制約に加え、何枚もの断層像を頭 のなかで三次元構築して血管走行を把握することの複雑 さと、この過程において狭窄あるいは閉塞病変を診断し ていくことの困難さにあったと考えられる7)

CTの進歩と三次元CT血管造影法の発達

 ところが近年の画像診断の進歩には目覚ましいものが ある。CTにおいては高速らせんCT(ヘリカルCT)の登 場により体軸方向への連続性に優れた容積情報が短時間 で取得できるようになり、三次元CT血管造影法(CTA)

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が 可 能 と な っ た 。 さ ら に 高 速 ら せ ん C T に 引 き 続 き multidetector-row CT(MDCT:マルチスライスCT)が 開発されたことにより、高速らせんCTにて 1 本の筆で 一筆書きするように取得してきた容積情報を、4 本から 16本さらには64本の筆を束ねるようにして情報収集す ることができるようになった8、9)。この結果、体軸方向 の空間分解能が 1mm以下で 1mを超える広範囲の検査 を、わずか10秒程度で行うことが可能となった。  本稿では血管疾患のなかの大動脈病変として大動脈 瘤、大動脈解離を、末梢血管病変として閉塞性動脈硬化 症を取り上げ、カテーテルを用いた血管造影像との比較 を通じて三次元CT血管造影法による低侵襲的画像診断 の現状とその治療支援画像としての可能性について述べ る。

大動脈瘤

 大動脈瘤とは大動脈壁がその弾性を失い、恒常的に限 局性に拡張をきたした状態をいう10)。発生部位からは胸 部(Valsalva洞、上行大動脈、大動脈弓部、下行大動 脈)、胸腹部、および腹部大動脈瘤に分けられる。  胸部大動脈瘤のなかで最も頻度の高いものは動脈硬化 性大動脈瘤であり、中高年の男性に多い。通常、大動脈 弓部および下行大動脈に認められ、その30%に腎動脈 分岐下の腹部大動脈が合併する(図 1)。胸部大動脈瘤は 紡錘状で壁在血栓を伴うものが多い。なかでも左鎖骨下 動脈(left subclavian artery:LSCA)分岐直後の下行大 動脈に認められる遠位弓部大動脈瘤は、47%にも達す る高い破裂頻度から注意を要する動脈瘤である(図 2)。 一般に胸部大動脈瘤の拡大率は0.42cm/年とされ、特に 弓部大動脈瘤では拡大速度が0.56cm/年と速い11)。大動 脈瘤径ならびに拡大率は外科的処置の重要な指標とな る。胸部大動脈周囲の結合組織は強固でないため、破裂 は致死的転帰をたどることが多い。通常、胸腔内破裂の 形式をとるが、肺内、気管・気管支内、食道内破裂の例 もある。  腹部大動脈瘤の原因としては動脈硬化性のものが圧倒 的多数を占める。動脈硬化性腹部大動脈瘤の多くは腎動 脈分岐部から 2∼3cm下方より始まる紡錘状動脈瘤であ るが(図 1)12)、なかには腎動脈起始部近傍にまで及ぶ juxtarenal aneurysmも認められ、外科手術の際に問題 となる。しばしば腹部大動脈瘤は総腸骨動脈から内腸骨 動脈にまで及ぶことがあるが、外腸骨動脈に瘤をきたす ことは稀である。手術適応の判断には、胸部大動脈瘤と 同様に瘤径とその拡大率が大切である。最大横径が 6cmを超えるものの破裂頻度は極めて高いとされるが、 4cm未満でもその9.5%が破裂していたとする報告もあ り注意が必要である13)。腹部大動脈瘤の拡大速度は0.2 ∼0.8cm/年とされ、一般に瘤径の大きなものほど拡大 速度は速い。0.5cm/3 カ月を超える急速な拡大は破裂の 危険性が高く、厳重な注意が必要である。破裂は80% 以上が後腹膜腔に起こる(図 3)。この際には血腫による 一時的なタンポナーデ効果により小康状態を得る場合も あるが、腹腔内破裂では速やかに重篤なショック状態と なる。  CTAにて情報提供が可能な事項としては、瘤の存在 とその位置、形態と長さ・幅、壁在血栓の有無とその程 度、主要分枝との関係、周囲臓器との関連、閉塞性動脈 硬化症をはじめとする合併症の有無、ステントグラフト の設計のための瘤の定量評価(図 4)とaccess routeの確 認、などが挙げられる14)。また得られた三次元画像をも とに手術前シミュレーションを行ったり、インフォーム ド・コンセントのための参照画像に用いることもでき る。治療後では治療効果の確認について定性的ならびに 図 1 症例 1:胸部および腹部大動脈瘤のCTA 全大動脈のCTAにて,大動脈弓部から胸部下行大動脈の左側壁 より突出するN状の大動脈瘤(矢印)ならびに腎動脈分岐下の腹部 大動脈瘤(矢頭)を認める.

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図 2 症例 2:遠位弓部の紡錘状大動脈瘤のCTA  

A 左鎖骨下動脈(LSCA)分岐直後の遠位弓部に紡錘状の大動脈瘤を認める(矢印). B 厚い壁在血栓(矢頭)も同時に描出することが可能である.

A B

図 3 症例 3:腎動脈分岐下腹部大動脈瘤破裂の2D画像ならび

にcarved planar reconstruction(CPR)像,CTA A CTAの元画像にて腎動脈分岐下の腹部大動脈瘤と後腹膜 血腫(*)を認める. B 腹部大動脈から右外腸骨動脈の走行に沿ったCPR像に て,後腹膜腔に連続する血腫(*)を認める.右外腸骨動 脈の狭窄(矢印),および左内腸骨動脈に瘤の合併を認め る. C CTAにて腹部大動脈瘤の破裂部に一致するくちばし状の 突出部を認める(矢印). A B C D LSCA * * *

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定量的に評価することができる。また合併症の評価にも 有用である。

大動脈解離

 大動脈解離とは大動脈壁が中膜のレベルで 2 層に剥離 し、大動脈の走行に沿いある長さをもち 2 腔になった状 態であり、動脈壁内には血流もしくは血腫が存在する動 的な病態である15)。急性大動脈解離の診断においては、 存在診断、病型分類、合併症診断が大切である16)。存在 診断とは解離に関連する症状を認めた場合に、これが解 離によるか否かを判断することである。解離の存在が確 認 さ れ た 場 合 に は 、 病 型 分 類 を 行 う 。 こ の 際 に は Stanford分類あるいはDeBakey分類、ならびに偽腔の血 流状態による分類が用いられる。合併症診断のなかでも 緊急処置の必要となる心タンポナーデ、破裂、臓器・四 肢虚血の診断は、時期を逸することなく正確に行い、速 やかに治療することが大切である。  急性大動脈解離の画像診断の主軸は、現在、超音波検 査とCT(図 5)とされる。超音波検査はベッドサイドで 施行が可能な非侵襲的検査であり、まず試みられる検査 ではあるが、観察範囲に制約がありまた術者により情報 量が左右されることがある。一方、CTは客観的で死角 なく大動脈を検索できるため、大動脈解離の診断に必要 不可欠であるとする意見も多い。しかしCT室まで患者を 搬送し、原則的にヨード造影剤を使用する必要がある。  近年、血栓閉塞型大動脈解離における血栓化偽腔の部 分的な欠損像であるulcerlike projectionが注目されてい る17)(図 6、7)。なかにはulcerlike projectionが経時的 に拡大して瘤形成に至るものや、これを交通口として偽 図 4 症例 4:遠位弓部のN状大動脈瘤に対するステントグラフ ト治療前のCTAによる計測 A CTAにて遠位弓部に頭側に突出するN状動脈瘤を認める (矢印). B 頭側から見下ろすように表示したCTAにて,瘤の前後径 51.7mm瘤と左鎖骨下動脈(LSCA)との距離3.3mm,瘤と 左総頸動脈(LCCA)との距離14.9mmであることがわか る. C 側面から表示したMIP法によるCTAにて,瘤前後の大動 脈短径ならびに近位・遠位側のランディングゾーンの距離 が計測できる. A B C D LCCA LSCA LCCA LSCA

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図 5 症例 5:Stanford A 型(IIIb + R)大動脈解離のCTAならびに2D画像 A 左鎖骨下動脈(LSCA)分岐直後の下行大動脈から両側の内腸骨動脈にまで連続 する解離を認める.(T:真腔,F:偽腔) B CTAの元画像にてエントリー(矢印)が明瞭に認められる.上行大動脈にわずか な逆行性解離を認める(矢頭).(T:真腔,F:偽腔) C CTAの元画像にて上腸間膜動脈への解離の進展が明瞭に描出されている(矢 印).右腎動脈は真腔から,左腎動脈は偽腔から起始している.(T:真腔, F:偽腔) A B C

図 6 症例 6:Stanford A型血栓閉塞型大動脈解離に認められたulcerlike projection A 血流腔を描出したCTAにて,上行大動脈から突出するulcerlike projectionを認める(矢印). B 血栓化解離腔(矢頭)も同時に表示することで,ulcerlike projectionが血栓化解離腔のなかに存在する ことがわかる. A B T F T F F T F T F T LSCA

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図 7 症例 7:Stanford B型血栓閉 塞型大動脈解離に認められた ulcerlike projection 下行大動脈の血栓化解離腔内に複数 のulcerlike projectionが認められる (黒矢頭および白矢頭).黒矢頭の ulcerlike projectionを介して,末梢 の肋間動脈(矢印)が描出されてい る. A B 腔開存型へと変化するもの、さらにはこの部から破裂を 生ずるものが報告されており、特に上行大動脈や左鎖骨 下動脈分岐直後ならびに横隔膜近傍の下行大動脈に ulcerlike projectionを認めた場合には注意が必要であ る18、19)  CTAを用いることで、存在診断、病型分類について の十分な情報提供が可能である。特に血栓閉塞型大動脈 解離の診断にはCTなどの断層情報が必須である。合併 症診断での心タンポナーデの診断には超音波検査が有用 である20)。主要分枝への解離波及の評価は従来血管造影 にて行われてきたが、空間分解能の向上によりCTA(図 5)でも可能である21)。ただし冠動脈への解離波及の有無 を評価するためには心電図同期下にて撮像する必要があ り、再現性の高さからも血管造影が優れている5)。大動 脈弁閉鎖不全の評価も心電図同期CTA(図 8)にて可能で はあるが、超音波検査の方が短時間で施行でき有用であ る。治療後における残存偽腔の血栓化の有無や大動脈径 の拡大の定量的評価にCTAは極めて有用である。  大動脈解離の発症直後あるいは大動脈瘤や解離の術後 に下肢対麻痺を生ずることがあるが、その一因として Adamkiewicz動脈の閉塞による脊髄虚血が考えられて いる。このため近年では大動脈解離ならびに胸腹部大動 脈瘤の外科あるいは血管内治療前にCTAにより低侵襲 的にAdamkiewicz動脈を評価し、術後の対麻痺を回避 しようとする試みもなされている(図 9)。MDCTによる Adamkiewicz動脈の描出能は70∼90%と比較的高く、 低侵襲的診断法として有望であると思われる22、23)

閉塞性動脈硬化症

 閉塞性動脈硬化症とは、主に四肢の主幹動脈に粥状硬 化性変化をきたし、狭窄あるいは閉塞を生じて末梢側に さまざまな程度の虚血性病変を呈する疾患であり、近年 の食生活の欧米化と平均寿命の延長に伴い本邦でも増加 傾向の著しい疾患である24)  血管造影と比較した際のMDCT angiographyによる狭 窄・閉塞性病変に対する診断能は、感度89∼96%、特 異度86∼93%、診断能94%と極めて良好であると報告 されている(図10)25–27)  CTAにて情報提供が可能な事項としては、病変の位 置とその範囲、狭窄の形態と狭窄率、狭窄部前後の血管 走行と血管壁性状の評価、多発合併病変の診断、側副路 の有無と末梢側のrun-offの評価、血管内治療の際の穿 刺部位(側)の決定、などがある7)。また外科あるいは血 管内治療後では、治療効果の判定、多発病変の評価や新 たな病変の検索が可能である。本症の治療には血管内治 療が選択される場合が多いが、特にステント留置後では その材質に注意して検査法を選択する必要がある。磁性 体であるステンレス製のステントを留置した際には MRAにて内腔を評価することは不可能であり、CTAが 適している(図11)7、28)

MDCTにて血管疾患の検査を行う場合の注意点

 同じ撮像範囲であれば、MDCTを用いることで従来 のヘリカルCTに比較してX線照射時間を短縮できるた

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図 8 症例 8:Stanford A型偽腔 開存型大動脈解離の心電図 非同期および同期CTA A 心電図非同期CTAの元画像 では,上行大動脈の剥離内 膜(矢印)は鮮明ではない. B 心電図非同期CTAの冠状断 MPR像では,心拍動に伴う アーチファクトが認められ る. C 心電図同期CTAの元画像で は,上行大動脈の剥離内膜 ( 矢 印 )が 明 瞭 に 指 摘 で き る. D 拡張期の位相で画像再構成 したため,大動脈弁(A V ) が閉鎖している様子が良好 に描出されている.左冠動 脈も指摘できる(矢頭).(矢 印:剥離内膜) 図 9 症例 9:Stanford B型偽腔開存型大動脈解離に対するステントグラフト留置 術前検査としてのAdamkiewicz動脈の検索(東京医科大学 第 2 外科症例) 慢性期のStanford B型偽腔開存型大動脈解離に対するステントグラフト留置 術前検査として,Adamkiewicz動脈の検索を目的にMDCTを施行した. A,B CTAにて拡張した偽腔(F)と,これにより圧排された真腔(T)が認められる. C 冠状断MPR像にて,左第11肋間動脈よりAdamkiewicz動脈(矢印)が起始して いるのがわかる.これに連なる前脊髄動脈(矢頭)も描出されている. A B C D A B C D AV F T F

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図10 症例10:閉塞性動脈硬 化症のCTAとIADSA A CTAにて右外腸骨動脈 から浅大腿動脈までの 完全閉塞と,左浅大腿 動脈近位側の完全閉塞 ならびに側副路である 深大腿動脈(矢印)を介 する末梢の描出が認め られる. B IADSAにて右外腸骨動 脈から浅大腿動脈まで の完全閉塞と,左浅大 腿動脈近位側の完全閉 塞ならびに深大腿動脈 を側副路(矢印)とする 末梢の描出が確認でき る. 図11 症例11:閉塞性動脈硬化症に対するステント留置術後のCTAおよびCPR像 A 左総腸骨動脈から外腸骨動脈にかけて,ならびに右総腸骨動脈にステント(矢印)が留置されている.ボリュー ムレンダリング法によるCTAではステント内腔の評価は不可能である. B,C 血管走行に沿うCPR像によりステント内腔の評価が可能である(矢印). A B C A B

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め、原則的に医療X線被曝を軽減することは可能であ る。しかし造影C T 後期相などの追加スキャンを行え ば、X線被曝量が倍増することはいうまでもない。また 高分解能MDCT検査の際に、予想外の高X線被曝量に驚 かされる場合がある。したがって管電流を低下させる、 ヘリカルピッチを大きくする、など常にX線被曝量を低 減するための配慮を行う必要がある。またCTAには造 影剤の使用が必須であるが、動脈瘤や閉塞性動脈硬化症 のなかには腎動脈狭窄を合併している場合もある。また 大動脈解離では腎動脈に解離が波及することで腎機能が 低下していることもある。検査前後での水分負荷に加 え、可能な限り造影剤量を少なく検査する努力が必要で ある。使用造影剤量に関してはMDCTを用いることで ヘリカルCTの場合より減量することが可能である29)

おわりに

 大血管・末梢血管病変を含めた心臓血管疾患の頻度は 増加傾向にあり、これらの疾患の診断・治療における画 像診断とこれを利用した血管内治療は極めて重要な位置 を占めるようになった。CTAが本格的に臨床に導入さ れるようになってまだ10年余の歴史しかないものの、 血管疾患の画像診断は侵襲的な血管造影法から低侵襲的 診断法へと着実にシフトしつつある。MDCTのさらな る開発・改良は現在も精力的に行われており、この観点 からはC T A もまだ発展過程にある診断法と考えられ る。今後、M D C TならびにC T A は、さらに低侵襲的 で、より多くの生体情報を提供するものに成長していく ものと期待される。 【参考文献】

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図 2 症例 2:遠位弓部の紡錘状大動脈瘤のCTA  
図 6 症例 6:Stanford A型血栓閉塞型大動脈解離に認められたulcerlike projection A 血流腔を描出したCTAにて,上行大動脈から突出するulcerlike projectionを認める(矢印). B 血栓化解離腔(矢頭)も同時に表示することで,ulcerlike projectionが血栓化解離腔のなかに存在する ことがわかる. A      BTFTFTFTFFTLSCA
図 7 症例 7:Stanford B型血栓閉 塞型大動脈解離に認められた ulcerlike projection 下行大動脈の血栓化解離腔内に複数 のulcerlike projectionが認められる (黒矢頭および白矢頭).黒矢頭の ulcerlike projectionを介して,末梢 の肋間動脈(矢印)が描出されてい る. A      B 腔開存型へと変化するもの、さらにはこの部から破裂を 生ずるものが報告されており、特に上行大動脈や左鎖骨 下動脈分岐直後ならびに横隔膜近傍の下行大動脈に ul
図 8 症例 8:Stanford A型偽腔 開存型大動脈解離の心電図 非同期および同期CTA A 心電図非同期CTAの元画像 では,上行大動脈の剥離内 膜(矢印)は鮮明ではない. B 心電図非同期CTAの冠状断 MPR像では,心拍動に伴う アーチファクトが認められ る. C 心電図同期CTAの元画像で は,上行大動脈の剥離内膜 ( 矢 印 )が 明 瞭 に 指 摘 で き る. D 拡張期の位相で画像再構成 したため,大動脈弁(A V ) が閉鎖している様子が良好 に描出されている.左冠動 脈も指摘できる

参照

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