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目的語の認知と行為連鎖の二方向性

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目的語の認知 と行為 連鎖 の二方 向性

1.は じめ に   基 本 的 に は学 校 文 法 で は 、 目的 語 は他 動 詞 の動 作 や 行 為 の 対 象 と な る名 詞 の こ と を言 う。 「に」 は 間 接 目的語 を導 き、 「を」 は直 接 目的 語 を 導 くと捉 え る。 例 え ば、 「トム が ボ ー ル を メア リ ー に投 げ た」 の 文 で考 え る と 「トム が 」 の 部 分 は主 語 で 、 「ボ ー ル を」 は 直接 目 的語 で 、 「メ ア リ0に 」 は 間接 目的 語 の 機 能 を持 ち 、格 助 詞 の 「が 」 「を」 「に」 は前 に名 詞 を従 え て 、 そ れ ぞ れ の 機 能 を果 た す 構 造 格 の 資 格 を持 つ1。 私 達 は 「*トムが メ ア リー を ボ ー ル に投 げ た 」 はす ぐ にお か しい と感 じる。 不 自然 な部 分 は 「?メ ア リ ー を投 げ た」 「*ボー ル に投 げ た 」 の箇 所 に あ る と誰 もが 気 づ く2。なぜ な ら、 「を 」 は 「投 げ る」 と い う動 作 の対 象 を表 す が 、 一 般 的 に は 投 げ る対 象 は 「物 」 で 、 「人 」 を投 げ る対 象 に し な い か らで あ る 。 しか し、 も っ とお か しい の は 受 け手 とな る対 象 が 「ボー ル に」 で表 され て い る 点 で あ る。 「メ ア リー」 は 「ボ ー ル」 の 受 け 手 と な る が 、 明 らか に 「ボ ー ル 」 は 「メ ア リー 」 の受 け 手 に は な らな い 。 「?メ ア リー を投 げ た 」 は例 え ば、 喧 嘩 を して い る状 況 を想 定 す る と、 「トム が メ ア リー を ソ フ ァー に 投 げ た」 とい うの は 正 し く解 釈 さ れ る。 「ソ フ ァー 」 とい う 「物 」 が 場 所 と して 解 釈 され 、 メ ア リー の 「着 点 」 に な る可 能 性 が あ       3 る か ら で あ る 。

  本 稿 で は 、 英 語 の 「動 詞+目 的 語 」(e.g.  Tom  climbed  the mountain)と 「動 詞+前 置 詞+目 的 語 」(e.g. Tom  climbed  up the mountain)の 構 文 に お け る 目 的 語 の 解 釈 の 仕 方 に 焦 点 を 合 わ せ る 。 す な わ ち 、 「トム は 山 に 登 っ た 」 の か 「トム は 山 を 登 っ た 」 の ど ち ら の 格 標 示 の 解 釈 が そ れ ぞ れ の 構 文 の 訳 と し て 相 応 し い の か 。 ま た 、 「トム は 山 を 下 りた 」(Tom  climbed  down  the moun一

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面n.)と 言 う が 「*トム は 山 に 下 りた 」 と は 言 わ な い 。 そ し て 、 「山 の 頂 上 か ら 下 り た 」(cf. Tom  climbed  down  from the top of the mountain)と 言 う が 、 「*山 の 頂 上 を 下 り た 」(cf*Tom  climbed  down  the top of the mountain)と は 言 わ な い 。(cf.?ト ム は 山 か ら下 りた 。?Tom  climbed  down  from the mountain)。

日英 語 に 同 じ よ う な 関 係 が な ぜ 成 立 す る の だ ろ う か 。

  次 の 第2節 で は 、Tom  climbed  the mountainとTom  climbed  up the moun-tainの 解 釈 と し て 「山 を 登 っ た 」 と 「山 に 登 っ た 」 の ど ち ら が 妥 当 で あ る か を 検 証 す る た め に 、 英 語 の 「動 詞+目 的 語 」 と 「動 詞+前 置 詞+目 的 語 」 構 文 に お け る 移 動 動 詞 と 目 的 語 名 詞 の 意 味 的 関 係 を 見 る 。 具 体 的 手 順 と し て 、 2.1節 で は 「に 」 「を 」 「か ら 」 の 格 助 詞 の 意 味 を 田 中 ・松 本(1997)と 森 田 (2006)の 分 析 に 従 い 検 討 す る 。 次 に 、2.2節 で は 「に 」 「を 」 「か ら」 の 格 助 詞 が 移 動 動 詞 と ど の よ う に 関 係 す る か に つ い て 、 「起 点 」 「経 路 ・場 所 ・経 由 点 ・方 向 」 「帰 着 点 」 の 助 詞 の 意 味 に 基 づ き 分 析 す る 。 ま た 、 「山 に登 る」 「山 を 登 る 」 の 「に 」 「を 」 と 「登 る 」 の 意 味 的 関 係 を 捉 え る た め に 時 間 の ア ス ペ ク トの 観 点 か ら 「=登る 」 の 語 彙 的 意 味 に つ い て 言 及 す る 。   第3節 で は 、 谷 ロ(2005)の 行 為 連 鎖(action  chain)の 観 点 か ら 移 動 動 詞 を 見 る と 英 語 の 「動 詞+目 的 語 」 と 「動 詞+前 置 詞+目 的 語 」 の 構 文 が 日 本 語 の 助 詞 の 「に 」 「を 」 と ど の よ う に 関 係 し 、 エ ネ ル ギ ー の 伝 達 と して は ど の よ う な 構 図 に な る か を 考 え る 。 従 来 のLangacker(1990)の ビ リ ヤ ー ドボ ー ル ・モ デ ル と は 異 な る 行 為 連 鎖 の 二 方 向 性 の 提 案 を 行 う 。   第4節 で は 、 「に 」 「を 」 「か ら」 と 移 動 動 詞 の 関 係 だ け で は 説 明 で き な い 問 題 点 を 指 摘 す る 。 解 決 法 と し て 、Pustejovsky(1995)の ク オ リ ア 構 造 を 導 入 し た 方 向 性 を 探 る 。 具 体 的 に は 、 目 的 語 名 詞 や 主 語 名 詞 の 目 的 役 割(ク オ リ ァ)を 考 慮 に 入 れ る こ と に よ り、 「に 」 「を 」 「か ら」 の 格 助 詞 と移 動 動 詞 の 関 係 を 考 察 す る 。   第5節 は ま と め で あ る 。

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目的語 の認知 と行為連鎖の二方向性   53 2.移 動 動 詞 と 目的 語 名 詞 の 意 味 的 関 係 2.1  「に 」 「を」 「か ら」 の格 助 詞 の 意 味   次 の例 に 基 づ い て、 「に 」 「を」 「か ら」 の 本 質 的 な違 い に つ い て検 討 して み よ う 。 (1)a.{?川/木/山}に の ぼ っ た 。     b.{川/木/?空}を の ぼ っ た 。 (2)a.{玄 関/応 接 間/ト イ レ}に 入 っ た 。     b.{玄 関/?応 接 間/*ト イ レ}を 入 っ た 。 (3)  a.門{を/か ら}出 る。     b.廊 下{を/?か ら}歩 く。     c.公 園{を/?か ら}散 歩 す る 。   田 中 ・松 本(1997:29-40)に よ る と、 「に」 の 機 能 は 「着 点 」 「場 所 」 「受 け手 」 「目標 」 「随 伴 」 「割 合 」 「原 因」 な どさ ま ざ まで あ るが 、 基 本 的 には 「X に 」 は 「Xを 対 象 指 定 し、 動 詞 的 チ ャ ンク に 差 し向 け よ」 とい う こ とで あ る。 分 か りに くい が言 っ て い る こ と は、 例 えば(1a)に お い て 「?川 に上 る」 が 「木 に登 る」 や 「山 に登 る」 よ り も違 和 感 をお ぼ え るの は、 「川 」 が 「木 」 「山」 と違 っ て 対 象 指 定(固 体 化)し に くい か ら動 詞 と整 合 しな い とい う こ とで あ る。 一 方 、 「Xを 」 は 「Xを 動 作 が す る 対 象 と して取 り立 て よ」 とい う こ と で、 (1b)に お い て 「?空 を昇 る」 が不 自然 な の は 「空 」 が 動 作 の 対 象 に な りに くい か らで あ り、 「川 を上 る」 「木 を昇 る」 が 自然 な の は 「川 」 「木」 を経 路 に して 移 動 す る とい う解 釈 が で き るか らで あ る4。   森 田(2006:250-253)も 「を」 が 移 動 動 詞 と一 緒 に用 い られ る と 「経 路 」5 を示 し、 「玄 関 を入 る」 はそ の奥 へ 進 む(つ ま り家 に上 が る)一 過 程 と して捉 え、 「玄 関 に入 る」 と言 え ば、 家 の外 か ら玄 関 の 中へ 位 置 を移 す 、 「入 る こ と」 に 目的 意 識 が あ る と見 て い る 。 (4)a.玄 関 を 入 っ て 右 側 に応 接 間 が あ り ます 。     b.ど う ぞ 寒 い で す か ら玄 関 に 入 っ て お 待 ち くだ さ い 。

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(2b)で 「玄 関 を入 っ た」 に対 して、 「?応 接 間 を入 っ た」 「*トイ レ を入 った 」 が 不 自然 な の は 「玄 関」 は 起 点 や 途 中経 路 と して家 の 中 に進 む こ とが で き る が 「応 接 間」 や 「トイ レ」 は最 終 目 的地 で あ り、 普 通 の 状 況 で は さ ら に奥 に 進 む 必 要 が ない か らで あ ろ う。 もち ろ ん、 「応 接間 」 や 「トイ レ」 を経 路 と仮 定 す る と 「応 接 間 を通 っ て 、 庭 に 出 た」 は家 の造 り に よ っ て は 可 能 な解 釈 で あ る が 、 「?ト イ レ を通 って 、 庭 に 出 た」 は 「トイ レ」 は一 般 的 に は経 路 解 釈 が し に くい場 所 な の で不 自然 に 聞 こ える 。 基 本 的 に は 「入 る 」 は(2a)の 例 が 示 す よ うに 、 「に 」 の 着 点 と折 り合 いが つ く。 「出 る」 は起 点 の 「を」 と折 り合 い が つ く(e.g,{玄 関/応 接 間/ト イ レ}を 出 た)。 しか し、 「出 る」 に は 「着 点 」(「出 て きた」)の 意 味 もあ り、 「に 」 に対 応 す る表 現 が で き る(i.e.{? 玄 関6/*応 接 間/*ト イ レ}に 出 た)。   i森田(2006:254-256)は 「を 」 の 「起 点 」 を持 つ 例 と して 「門 を 出 る」 「故 郷 を離 れ る」 「東 京 を 出発 す る」 を挙 げ て い る。 この 場 合 に、 「を」 は 「か ら」 と言 い換 え る こ とが で き るが 両 者 に は違 いが あ る こ と を述 べ て い る。 「を」 は 「移 動 行 為 の始 ま る地 点 が ほ か の 場 所 で は な い 、 こ こ だ 」 と示 し、 「か ら」 は 「一 つ の 境 界 線 を 設 定 し、 そ の 境 界 線 を越 え て 他 方 側 へ と移 る こ と」 を示 す 。 「か ら」 は要 す る に二 つ の 領 域 問 の 移 動 な の で(3b,c)の 「?廊 下 か ら 歩 く」 「?公 園 か ら散 歩 す る」 の よ う な 同一 領 域 の場 所 の移 動 には 用 い られ な いo   「を」 と 「か ら」 の 区 別 に つ い て は 田 中 ・松 本(1997:30-31)も 議 論 し て い る 。 「Xか ら」 はXを 「地 点 」 と して 、 「Xを 」 はXを 「対 象 」 と して 捉 え る違 い が あ る と考 え る。 「バ ス の 中 か ら外 へ 出 た 」 は良 い が 、 「?バ ス の 中 を外 へ 出 た」 は不 自然 で あ る。 なぜ な ら、 「バ ス の 中 」 は 「起 点 」 と して 明 示 され るが 、 「バ ス の 中」 は 「出 る」 とい う動作 の 対 象 に は な りに くいか らで あ る 。 「?階 段 か ら降 りる」 が や や 不 自然 な の も階段 が 「地 点 」 と して 解 釈 しに くい か らで あ り、 母 親 が 子 供 に 向 か っ て 「階 段 か ら降 りな さ い」 と言 え るの は 「階段 」 が 前 景 化 さ れ て 「階段 」 が 「地 点 」 とな るか らで あ ろ う。 「階段 の 一 番 上 か ら飛 び 降 りな さい 」 は 「地 点 」 を さ らに 明確 に して い る。 た だ し、

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目的語の 認知 と行為連鎖の二方向性   55

飛 び 降 り る の は 「階 段 」 を 経 路 と す る 行 為 で は な い の で 「を 」 格 を 使 っ た 「*階段 の 一 番 上 を 飛 び 降 り な さ い 」 は 不 自 然 に な る(cf「 階 段 を 下 り な さ い 」)。   英 語 もfromを 使 用 す る 場 合 と し な い 場 合 の 違 い は 日本 語 と 同 じ で あ る 。 Tom  climbed  down  from the top of the mountainと 言 う が 、*Tom  climbed  down the top of the mountainと 言 わ な い の は 、 山 の 頂 上 が 「地 点 」 と な りfromと 一

緒 に 使 用 さ れ る の に 対 し、 「山 の 頂 上 」 が 「下 り る 」 動 作 の 「対 象 」 や 「経 路 」 に な り に くい か ら で あ る(cf. Tom  climbed  down  the mountain.)。

  さ て 、 細 か い と こ ろ で は 説 明 の 仕 方 が 違 う が 、 先 行 研 究 で 言 っ て い る こ と を 森 田(2006:250-251,255)に 従 い 整 理 す る と 、 「に 」 「を 」 「か ら 」 の 機 能 は 「移 動 動 詞 」 と の 組 み 合 わ せ で 、 概 略 以 下 の よ う に ま と め ら れ る で あ ろ う。 (5)  「に 」 の 機 能:動 作 ・作 用 の 方 向 ・帰 着 点(「 前 に進 む 」 「駅 に 着 く」)。       経 路 を 表 さ な い(「 川 に 沿 う 」)。     「を」 の 機 能1移 動 行 為 の 起 点(「 席 を 離 れ る」 「電 車 を 降 りる 」)。       移 動 の 経 由 点(「 門 を入 る」)。       移 動 の 経 路 ・場 所(「 道 を歩 く」 「公 園 を 散 歩 す る」)。     「か ら」 の 機 能:移 動 の 起 点(「 バ ス か ら 降 りる 」 「屋 根 か ら落 ち る 」)。       移 動 の 経 由 点(「 門 か ら 出 る」 「窓 か ら部 屋 に 入 る 」)。 2.2  「に 」 「を」 「か ら」 と移 動 動 詞 の 関 係   (5)で言 っ て い る こ と を時 間 の 流 れ で 図式 す る と次 の よ うに な るで あ ろ う。 (6) 起 点 (を) (か ら) 経 路 ・場 所 ・経 由 点 ・方 向 (を)・ (か ら) (に) 帰着 点 (に)   「に」 は基 本 的 に 着 点 を 表 す に は、 「移 動 動 詞 」 の 中 で も 「着 く」 「届 く」 「戻 る」 の よ う な着 点 を含 意 す る有 方 向動 詞 に 限 られ 、 「向 か う」 「近 づ く」 「迫 る」 の よ う な動 詞 そ れ 自体 で 着 点 を含 意 しな い 有 方 向 動 詞 や 、 「走 る」 「歩 く」 「飛 ぶ」 の よ うな 移 動 様 態 動 詞 は着 点 よ り も途 中 の プ ロセ ス を示 して い る。

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(7)  a.ト ム は駅 に着 い た 。     b.本 が 研 究 室 に 届 い た 。     c.ト ム は 自 宅 に 戻 っ た 。 (8)  a.ト ム は駅 に 向 か っ た 。     b.電 車 が 駅 に近 づ い た 。     c.ス トー カ ー が 女 性 に迫 っ た 。 (9)a.ト ム は駅 に走 っ た 。     b.ト ム は駅 に歩 い た 。     c.セ ス ナ 機 は成 田 に 飛 ん だ。   (9)の動 詞 は そ れ 自体 で 方 向 を示 さ な い 。 「に 」 が 方 向 を表 し、 「∼ の 方 に」 の 意 味 で あ る。 動 詞 に 「∼ て 行 っ た 」 を付 け る と 「走 っ て 行 っ た 」7「歩 い て 行 っ た」 「飛 ん で行 っ た 」 と な り着 点 を示 す こ とが で き るが 、 そ の 一 方 で(8)の そ れ ぞ れ の 動 詞 に 「∼ て行 っ た 」 を付 け て も着 点 を 表 さ な い(e.g.「*ト ム は 駅 に 向 か っ て行 っ た の で 電 車 に 間 に合 っ た」cf.「 トム は駅 に 走 っ て行 っ た の で 電 車 に 間 に合 っ た」)。   ま とめ る と、(7)の移 動 動 詞 は そ れ 自体 で 着 点 を表 し、⑥ にお け る 「帰 着 点 」 を示 す 格 助 詞 の 「に」 と折 り合 い が つ く。 こ の タイ プ の 動 詞 はVendler(1967) で 言 う と こ ろ の 到 達 動 詞(achievement  verb)に 属 す る 。(8)の移 動 動 詞 は プ ロ セ ス の み を表 し、 複 合 動 詞 に して も着 点 の 結 果 を表 さ な い こ とか ら、(6)に お け る 「方 向 」 を示 す格 助 詞 の 「に」 と折 り合 い が つ く。 そ の 一 方 で、(9)の 移 動 動 詞 は複 合 動 詞 に す る と着 点 を表 し(6)にお け る 「帰 着 点 」 の 「に」 と折 り合 い が つ く。 複 合 動 詞 に しな け れ ば単 な る方 向 を 示 し、(6)にお け る 「方 向」 の 「に」 と折 り合 い が つ くこ とに な る。   と こ ろ で 「登 る」 は 上 記 の どの タ イ プ の 動 詞 に な る の で あ ろ う か 。最 初 に 、 「に」 と 「登 る」 の 関 係 を見 て み よ う。 「トム は 山 に登 った 」 を考 え る と、 「登 る 」 は上 に向 か う有 方 向動 詞 で あ る8。 しか し、 「1時 間 で 山 に登 っ た」 と も 「1時 間、 山 に登 っ た」 と も言 え る。 前 者 の 「に」 は 「山 頂 に着 い た 」 の 着 点 を 表 す 。 後 者 の 「に 」 は何 を表 す の だ ろ うか 。(6)の方 向 の 「に」 で あ ろ うか 。 「?? 1時 間、 山 の 方 に登 っ た」 が 変 なの で 「方 向 」 の 「に」 で は な い 。 「に」

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目的語の認知 と行為連鎖 の二方向性   57 は 山 を 登 る 経 路 で も な い 。 な ぜ な ら 、 「?1時 間 、 山 道 に 登 っ た 」(cf.「1時 間 、 山 道 を 登 っ た 」)は 不 自 然 な の で 「に 」 に は 「を 」 の 経 路 的 解 釈 は で き な い 。 「道 か ら離 れ て 山 に 登 っ た 」 が 可 能 で あ る こ と か ら も 「に 」 は 「経 路 」 で は な い 。 今 の 段 階 で は 「1時 間 、 山 に 登 っ た 」 の 「に 」 は(6)に お け る 移 動 の 行 為 の 「場 所 」 と し て 捉 え て お こ う 。 「山 に 登 っ て い る 」 と 「∼ て い る 」 を 付 け る と 「結 果 状 態 」 と 「継 続 」 の2つ の 意 味 を 持 つ こ とか ら考 え る と 、 「登 る 」 は(7)(8)の 動 詞 の 両 面 の 語 彙 的 ア ス ペ ク トを 持 つ と言 え よ う9。   次 に 、 「を 」 と 「登 る 」 の 関 係 を 見 て み よ う 。 「山 を 登 る 」 は 「山 に 登 る 」 と 同 様 に 、 「1時 間 で 、 山 を 登 っ た 」 と も 「1時 間 、 山 を 登 っ た 」 と も 言 え る 。 前 者 の 「1時 間 で 、 山 を 登 っ た 」 は 「山 を 登 り切 っ た 」 感 が 「1時 間 で 山 に 登 っ た 」 よ り も強 く感 じ ら れ る 。 「1時 間 で 山 を征 服 し た 」 と 言 え る が 、 「*1 時 間 で 山 に 征 服 し た 」 と 言 え な い の は 「を 」 と 「に 」 の こ の 違 い か ら 来 る の で あ ろ う か 。 「山 を 登 っ た 」 は 「山 に 登 っ た 」 と 同 じ よ う に 「山 」 は 経 路 で は な く 行 為 の 場 所 と し て お こ う(cf.「 迷 い な が ら1時 間 、 山 を登 っ た 」)。   英 語 で は 、Tom  climbed  up the mountainと す る と 後 半 に 、 but he gave up climbing  it on the wayを 続 け る こ と が で き る が 、 Tom  climbed  the mountain

の あ と に はbut以 下 の 文 を 続 け る こ と が で き な い(i.  e.*Tom  climbed  the mountain,  but he gave up climbing  it on the way)。 一 般 的 に 、 英 語 の 「動 詞+

目 的 語 」 は 達 成(achievement)の 全 体 的 解 釈 を 表 し 、 「動 詞+前 置 詞+目 的 語 」 は 行 為(activity)の 部 分 的 解 釈 の 意 味 が 出 て く る(Anderson  1971:392)。

と す る と 、 達 成 感 を 表 現 す る 英 語 はTom  climbed  the mountainな の でthe mountainの 訳 と し て は 「トム は 山 を 登 っ た 」 と 「を 」 格 で 日 本 語 に 標 示 す る

の が 相 応 し い と い う こ と に な る 。

  Dixon(2005:300)は 対 象 と な る 目 的 語 が 苦 労 し な い で 登 れ る 小 高 い 丘 の よ う な 場 合 に はupが 義 務 的 に 使 用 さ れ 、 エ ベ レ ス トの よ う な 困 難 な 山 に 登 る と き に はupが 省 略 さ れ る 傾 向 が あ る こ と を 指 摘 す る(e.  g. We  climbed  up the little hill in the south-east  corner  of Regent's  Park. cf. They  climbed  Everest.) Dixonの 見 方 が 正 し い とす る な らTom  climbed  up the mountainの"the  moun一

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tain"は 小 高 い 丘 の よ う な 山 で 、 Tom  climbed  the mountainの"the  mounti血"       も       も10 は 富 士 山 の よ っな 山 に な る と言 え よ っ 。   谷 口(2005:56)は 「山 に登 っ た 」 と 「?山 を登 っ た 」 を比 較 した 場 合 に 、 後 者 の 容 認 性 が低 くな る こ と を指 摘 す る。 谷 ロ は 「*去年 の 夏 、 富 士 山 を登 っ た 」 が 不 自然 な の は 「富 士 山 」 が 「登 山 」 とい う活 動 ・行 為 の場 、 す な わ ち セ ッ テ ィ ング で あ る の に対 し、 「を」 は 「山 」 を 「経 路 」 と して捉 え、 富 士 山 の 経 路 解 釈 が し に く くな る 点 を 理 由 と して 挙 げ て い る。 確 か に 、 富 士 山 を 経 路 に す る こ とは不 自然 だ が 「道 に 迷 い な が ら富 士 山 を登 っ た」 や 「1時 間 で 、 富 士 山 を登 った 」 は可 能 で あ り、 先 の 文 も 「去 年 の夏 、 雨 の 中、 富 士 山 を登 っ た 」 は 問 題 な く使 え る。 こ こ で は 、 「を」 は 経 路 解 釈 と い う よ り も 「活 動 ・行 為 」 の 「場 所 」 と して捉 えて み よ う 。 同 じ 「場 所 」 を表 す 「に 」 と違 う点 は、 Schlesinger(1995)で 言 う と こ ろ の 偉 業 の 意 味 や 、 上 で述 べ た よ う に 、 苦 労 して何 か を成 し遂 げ る と きの 「達 成 感」 が 「を」 格 に は生 じて 来 る とい う と こ ろ で あ ろ う。   そ れ で は なぜ 「を」 格 にそ の よ う な 意 味 合 い が 生 じて くる の で あ ろ うか 。 次 節 で は、 この 問題 に つ い て 検 討 して み よ う。 3.行 為 連 鎖 と 「を 」 「に 」 の 関 係   谷 ロ(2005:76)はLangackerが 提 唱 す る ビ リ ヤ ー ド ボ ー ル ・モ デ ル に 基 づ く行 為 連 鎖 と い う概 念 を 仮 定 す る 。

  行 為 連 鎖 と い う の は 簡 単 に 言 う と 、John  lifted the stone(「 ジ ョ ン は 石 を 持 ち 上 げ た 」)の 文 に お い て ジ ョ ン が 石 を 持 ち 上 げ る 行 為 者(agent)で 石 は 動

く 対 象(mover)と な り 、(1①の よ う な エ ネ ル ギ ー の 伝 達 を 示 し た も の で あ る 。

CAUSE CHANGE

(10)

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目的語 の認知 と行為連鎖 の二方 向性   59

  空 間 的 な 移 動 が な い 場 合 で も 、John  baked  the potato(「 ジ ョ ン は 芋 を 焼 い た 」)の よ う に 芋(patient)の 「状 態 変 化 は 位 置 変 化 で あ る 」 と捉 え 、(1①の 構 図 で 説 明 す る 。

  動 能 交 替 が 可 能 な 表 面 接 触 動 詞(e.g.  hit, kick, hammer)の 場 合 は 、(1Dの よ う な 構 図 と な り 、 位 置 的 ・状 態 的 変 化 は 中 立 で あ る こ と が 点 線 で 示 さ れ る (e.g. He kicked  the door, but it didn't open  at all「 彼 は ドア を 蹴 っ た が 、 ド ァ は ま っ た く 開 か な か っ た 」)。

(11)

agent the door

  行 為 連 鎖 は 、 知 覚 動 詞(e.g.  see, hear, feel)の よ う に 、 対 象 に 影 響 を 与 え な い 場 合 も 次 の よ う に 捉 え ら れ る(e.9.John  saw a rainbow「?ジ ョ ン は 虹 を

      ユユ

見 た)。

(12)

experiencer a rain bow

  谷 ロ(2005)に よ る と 、(11)(12)は(10)のプ ロ ト タ イ プ な 構 図 か ら 逸 脱 し、 他 動 性(対 象 に 対 す る エ ネ ル ギ ー の 伝 達 度)は 低 く な る と 仮 定 す る 。(12)は⑪ と 違 っ て 対 象 の 変 化 が ま っ た く含 意 さ れ な い こ と か ら 考 え る と 、 知 覚 動 詞 は 表 面 接 触 動 詞 よ り も 他 動 性 は さ ら に 低 く な る で あ ろ う 。   認 知 プ ロ セ ス に お け る 認 知 的 際 立 ち(cognitive  salience)、 す な わ ち 、 文 の ど の 部 分 に 焦 点 を 当 て る か は 基 本 的 に 、(13)(14)の流 れ で 捉 え ら れ る(1.evin  and Rappaport  2005:142.  cf.谷 口2005:68)。 (13)主 語   〉  目的語   〉  間接 目的語   〉 前 置詞 の 目的語 (功 主 格   〉  対格   〉  与格   〉  斜格

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の そ れ よ り も 認 知 的 際 立 ち が 高 く、 動 能 交 替 の(16)の場 合 は 、(16a)の 直 接 目 的 語 の"the  ba11"が(16  bの)斜 格 目 的 語 の そ れ よ り も 認 知 的 際 立 ち が 高 くな る 。 Langacker(1999:363)は 、(13)(14)は行 為 連 鎖 に 基 づ く エ ネ ル ギ ー 伝 達 の 方 向 性 を 示 す"natural  path"と 捉 え る 。

(15) a . They climbed the mountain. b . They climbed up the mountain.

(16) a . Tom kicked the ball. (cf. Tom kicked the ball into the goal.) b . Tom kicked at the ball.

  Climbの 動 詞 はkickの 動 詞 と比 べ る と 、 主 語(agent)が 対 象 と な る 「山 」 を 登 る 行 為 を 行 う が 、 目 的 語(the  mountain)を 変 化 さ せ る 行 為 で は な い 。 しか し 、 足 で 歩 く と い う物 理 的 エ ネ ル ギ ー を 「山 」 に 与 え る た め 他 動 性 は(12) の 知 覚 動 詞 よ り も高 く な る と 仮 定 す る 。 そ こ でclimbの よ う な 移 動 動 詞 は(12) の 構 図 の メ ン タ ル コ ン タ ク ト(点 線)を フ ィ ジ カ ル コ ン タ ク ト(実 線)に 変 え た エ ネ ル ギ ー が 働 く と仮 定 す る 。 (17)

agent the mountain

  認 知 的 際 立 ち は(13)の流 れ よ り最 初 に 「主 語 」 に 焦 点 が 当 た る の で 、(15a) で 偉 業 の 意 味 が 出 て く る の は 「主 語 」(人)が 「対 象 」、 例 え ば 「エ ベ レ ス ト」 を 征 服 す る こ と に よ り、 「主 語 」 に 心 的 変 化 が 生 じ る こ と に 起 因 す る と仮 定 す る 。 す な わ ち 、 「山 登 り」 と い う 行 為 は 「山 」 の 対 象 に 対 す る 位 置 的 変 化 で あ る が 、 「エ ベ レ ス ト を 登 頂 し た 」 と い う 「偉 業 」 や 「達 成 感 」 と い う 「主 語 」 の 心 的 変 化 が こ の 行 為 に よ っ て 生 じ て く る と仮 定 す る 。jumpやswimの 動 詞 もclimbと 同 じ よ う に 捉 え ら れ る 可 能 性 が あ り(e. g.??John  swam  the pond. cf. John  swam  the lake)12、 エ ネ ル ギ ー の 伝 達 は 移 動 動 詞 の 場 合 、 対 格 目 的 語

に 対 す る(17)のエ ネ ル ギ ー に 加 え て(18)の よ う な 逆 方 向 の 心 的 エ ネ ル ギ0が 意 味 的 拡 張 と し て 働 く と 仮 定 す る(cf中 右1994:338)。

(11)

目的語の認知 と行為連鎖 の二方向性 61

(18)

Loc (STATE) the mountain

 他 方 、(15b)の 前 置 詞 を 伴 う斜 格 目的 語 に対 して、 移 動 動 詞 は(17)のエ ネ ル ギ ー だ け が 働 き、 「山 頂 」 に 登 り き っ た か ど う か は不 明 で あ る 。 し た が っ て 、 ⑱ の 「山 」 か ら 「主 語 」 に対 す る 心 的 エ ネ ル ギ ー は 働 か な い と仮 定 す る 。(13)⑭の 認 知 プ ロセ ス と(17)(18)の行 為 連 鎖 の 関係 を踏 ま え る と、 「を」 格 は (15a)の 文 の構 造 に対 応 し、 「に」 格 は(15b)の 文 の構 造 に基 本 的 に 対応 す る もの と考 え る。 4.目 的 語 認 知 と クオ リア 構 造 の 関 係   第2節 で は 「に 」 「を」 「か ら」 の 意 味 と移 動 動 詞 の 関 係 を見 た 。 そ こで の 説 明 は例 え ば、 「?川 に の ぼ る」 は 「川 」 が対 象 指 定 しに くい の で不 自然 で あ り、 「?空 を昇 る」 は 「空 」 が 行 為 の対 象 に は な りに くい とい う記 述 で あ っ た。 しか し、 注 の4で 述 べ た よ うに 「鮭 が 川 に 上 る」 や 「竜 が 空 を昇 る」 の 表 現 は可 能 な の で 、 主 語 名 詞 や 目的 語 名 詞 の 正確 な位 置 づ けが 必 要 で あ る 。 ま た、 「廊 下 を/?か ら歩 く」 「公 園 を/?か ら散 歩 す る」 にお け る容 認性 の 違 い を捉 え る の に、 「を」 が 「移 動 行 為 の始 ま る地 点 が ほか の場 所 で は な い 、 こ こ だ 」 を示 し、 「か ら」 は 「一 つ の 境 界 線 を設 定 し、 そ の 境 界 線 を越 え て他 方 側 へ と 移 る こ と」 を理 由 に求 め るが 、 「廊 下 」 「公 園 」 の 目的 語 自体 の 意 味 に は言 及 さ れ て い な い 。 例 え ば 、 いつ も公 園 で暮 らす ホ ー ム レス の 人 が 公 園 の 外 に散 歩 す る状 況 を考 え る と、 「あ の ホ ー ム レス は 毎 朝 、 公 園 か ら街 に散 歩 す る」 と い うの は そ れ ほ ど不 自然 に感 じ られ な い の で あ る。   注 の9で 述 べ た よ うに 、 「1時 間 、 山 に登 っ た」 は 「継 続 」 と 「結 果 状 態 」 の曖 昧 な意 味 が あ る の に 対 し、 「1時 間 、 台 に登 っ た 」 「3分 間、 象 の 背 中 に 登 っ た」 は移 動 中 の 「継 続 」 の意 味 は な く、 「登 っ て い る」 状 態 の解 釈 しか 出 来 な い。 な ぜ だ ろ う。 こ の よ う な違 い に答 え る に は 「に 」 と移 動 動 詞 の 関係 を 見 て い る だ け で は説 明 出 来 ない 。 本 節 に お い て はPustej ovsky(1995)の ク

(12)

オ リア構 造 を主 語 名 詞 や 目的 語 名 詞 解 釈 の 手段 と して 取 り入 れ る こ と に よ り、 移 動 動 詞 と 「に」 「を」 「か ら」 の格 助 詞 の 関 係 を一 層 明 確 に 出 来 る こ とを 主 張 す る 。

  影 山(2008:267)はPustejovsky(1995)の ク オ リ ア構1造につ い て簡 潔 に

説 明 して い る 。 クオ リ ア(qualia)は 生 成 語 彙 論(Generative  Lexicon)の モ デ ル の 中 で 提 案 され た 概 念 で あ る 。 単 語 の 意 味 を多 面 的 に捉 え る こ と が 出 来 る。 特 に、 名 詞 の ク オ リア の分 析 が 盛 ん で あ るが 、 次 の4つ の 観 点 か ら単 語 の 意 味 が 捉 え られ る。 (19)a.そ れ は何 か 。      (形式 ク オ リ ア)     b.そ れ は何 で で きて い る か 。        (構成 ク オ リ ア)     c.そ れ は どの よ う に で き た の か 。  (主体 ク オ リ ア)     d.そ れ は何 の た め に あ る か 。      (目的 ク オ リ ア)   例 え ば 、 「玄 関」 の クオ リア を考 え る と家 の一 部 と して の 形 式 クオ リ アが あ り、 木 や ア ル ミ な どで で き て い る構 成 ク オ リ ア が あ り、 人 工 的 に作 られ る主 体 クオ リ ア が あ り、 人 が 出入 りす る 目的 ク オ リア が あ る と言 え る。4つ の ク オ リア の 中 で1番 、 移 動 動 詞 との 関 連性 を捉 え る の は 目的 クオ リ ァ で あ る と 仮 定 す る。 な ぜ な ら、 あ る対 象 に 向 か っ て移 動 す る に は そ れ な りの 目的 が あ る と考 え られ るか らで あ る 。 例 え ば 、 「?山 に 向 か っ て 登 っ た」 が 不 自然 で 、 「山頂 に 向 か っ て登 っ た」 が 自然 な の は、 「山」 の 目的 ク オ リ アが 「山 頂 」 よ り明確 で は な い こ とが 原 因 で あ る。 また 、 「山」 は 「借 金 の 山 」 や 「今 日一 日 が 山 だ 」 の よ う に マ イ ナ ス の イメー ジ を表 現 す る。 そ れ に対 して 、 「山頂 」 は 「山 の頂 上 」 を 意 味 し、 登 山者 は 「登 頂 」 とい う達 成 感 を味 わ うた め に、 あ る い は単 に 山 の頂 上 か ら景 色 を眺 め る 目的 で 「山頂 」 を 目指 す の で あ る。 「山頂 」 に は 「山 」 の よ うな マ イ ナ ス イ メ ー ジが な い 。 し たが っ て 、 本 稿 で は 「山」 は 漠 然 と した 、 境 界 を持 た な い 「場 所 」 を 表 す 対 象 と して 認 知 さ れ る も の と 解 釈 して お こ う。 い ず れ に し て も 「山」 は 経 路 を表 さな い と考 え る。   次 に、 あ る 「対 象 」 を 「経 路 」 と して 移 動 す る場 合 は 、 そ の対 象 物 を 「主

(13)

目的語の認知 と行為連鎖 の二方 向性   63 体 者 が 移 動 す るの に相 応 しい場 所 」 と な る か ど うか の見 極 め が 必 要 で あ る。 例 え ば 、 「?人 が 川 を上 る」 が 不 自然 で 「魚 が 川 を上 る」 が 自然 な の は、 「川」 の 目的 ク オ リア は 「子供 」 に と って 「遊 ぶ場 所 」(e.g.「 子 供 が 川 で 泳 ぐ」 は 可 能)で あ り、 「魚 」 に とっ て 「住 む 場 所 」 で あ るか ら 「川 」 は 「子 供 」 に と っ て 「経 路 」 に は な らな いが 、 「魚 」 は そ れ を 「経 路 」 にす る こ とが で き る13Q   また 、 「人 」 に と っ て 「水 」 は 「生 命 」 とな る の で 「川 を守 ろ う」 とい う表 現 が 生 ま れ る。 「鮭 が(産 卵 す る た め に)川 に上 る」 の も 「鮭 」 が 「生 命 」 を 保 つ た め で あ る 。 この 場 合 の 「川 」 の 目 的役 割 は 「人 」 や 「生 き物 」 に 「生 命 」 を与 え る ク オ リ ア を持 つ こ と に な る。   「廊 下 を歩 く」 が 自然 で 、 「?廊 下 か ら歩 く」 が 不 自然 に な る の は 「廊 下 」 の 目的 ク オ リア を考 え る と理 解 しやす い 。 「廊 下 」 は部 屋 と部 屋 を つ な ぐ通路 で 、 経 路 的 な機 能 を持 つ 。 したが っ て 、 「経 路 」 を表 す 「を」 格 と折 り合 い が つ く。 「歩 く」 は様 態動 詞 で 「廊 下 」 とい う場 所 を経 路 に して 移 動 が 可 能 とな る。 「廊 下 を走 る」 「廊 下 を通 る」 も同 じ機 能 を持 つ 。 た だ し、 「廊 下 で 歩 く」 「廊 下 で 走 る 」 とい うが 「?廊 下 で 通 る 」 と い う の は不 自然 で あ る 。 「で」 格 は 「廊 下 」 を場 所 にす る が 、 「通 る」 に は 「廊 下 」 の 経 路 解 釈 しか で き な い。 「?廊 下 を散 歩 す る」 が 不 自然 なの は 「廊 下 」 の 目的役 割 を 考 え れ ば 明 らか で 「廊 下 」 は 散 歩 す る 場 所 で は な い か らで あ る 。   「山 を登 る」 に対 す る 、 「?山 で登 る」 は不 自然 で あ る 。 これ は 「登 る」 が 「通 る」 「渡 る 」 と同 じ タ イ プ の 有 方 向 動 詞 に属 す る こ と に起 因す る。 一 方 、 「歩 く」 「走 る」 は 「山 で歩 く」 「山 で走 る」 が 可 能 で あ る 。 な ぜ な ら、 これ ら の動 詞 は 有 方 向 動 詞 で な い か らで あ る。 「通 る」 「渡 る」 「登 る 」 の よ う な有 方 向動 詞 は 「を」 格 を取 り、 目的 語 名 詞 を 「経 路 」 にす る 。 一 方 、 「歩 く」 「走 る 」 の よ う な移 動 様 態 動 詞 は 目的 語 名 詞 に対 し 「を」 格 を取 り 「経 路 」 にす る場 合 と、 「で 」 格 を取 り、 そ こで行 為 を行 う 「場 所 」 にす る2つ の可 能 性 を 持 つ 。 さ ら に、 「歩 く」 「走 る 」 は 「駅 」 や 「公 園 」 な どの 帰 着 点 を示 す こ と に よ り 「に 」 格 を 取 る こ とが で き る14。

(14)

  英 語 でTom  climbed  up the mountainとTom  climbed  on the mountainと2 つ の 前 置 詞 句 の 表 現 が 可 能 で あ る 。 こ れ ら の 文 に お い て 、 前 者 はfor one hour (1時 間)の 時 間 表 現 が 付 け ら れ る がin one hour(1時 間 で)の 時 問 表 現 は upが あ る と不 自然 に 感 じ ら れ る 。 後 者 もin one hour(1時 間 で)の 時 間 表 現 は付 け ら れ な い がfor one hour(1時 間)の 時 間 表 現 は 頂 上 に 必 ず し も 達 し た 意 味 は 合 意 し な い が 付 け ら れ る 。 他 方 、Tom  climbed  the mountainに はin one hour(1時 間 で)の 時 間 表 現 は 付 け られ る がfor one hour(1時 間)の 時

間 表 現 は 進 行 形 に し な い と不 自 然 に 感 じ ら れ る 。 以 下 に 、 そ れ ぞ れ の 英 語 の 正 し い 日 本 語 訳 を付 け て こ の 節 の ま と め に す る15。

(2 0) a . Tom climbed up the mountain for one hour/? in one hour.

(ト ム は1時 間 、 山 を/に 登 っ た 。) b . *Tom climbed on the mountain in one hour.

(?ト ム は1時 間 で 山 に 登 っ て い た 。) c . Tom climbed on the mountain for one hour.

(ト ム は1時 間 、 山 に登 っ て い た 。)

d . Tom climbed the mountain in one hour/? for one hour.

(ト ム は1時 問 で(エ ベ レス トの よ う な)山 を登 っ た 。(偉 業))

Cf. *Tom climbed up on the mountain in one hour/for one hour. Cf. *Tom climbed down from the mountain in one hour/for one hour. Cf. Tom climbed down from the top of the mountain in one hour/? for

one hour.

5.お わ り に

  本 稿 で は 、Tom  climbed  the mountain.とTom  climbed  up the mountain.の 文 に お け る 目 的 語 名 詞(the  mountain)の 解 釈 と し て 「を 」 と 「に 」 の ど ち ら が 良 い の か に つ い て 検 討 し て き た 。 前 者 は(20d)の よ う に 「を 」 格 で 訳 し、 目 的 語 名 詞 は エ ベ レ ス トの よ う な 誰 に で も 登 頂 で き な い 「山 」 で あ る こ と が 分 か っ た 。 ま た 、 後 者 は 英 語 で は 目 的 語 名 詞 は 前 置 詞(up)の あ と に く る の で 全 体 解 釈 は で き ず 、for one hourの よ う な 未 完 の ア ス ペ ク(atelic)を 取 る が 、 日本 語 で は 「1時 間 、 山 を/に 登 っ た 」 と言 え る の で 目 的 語 名 詞 は 「を」

(15)

目的語 の認知 と行為連鎖 の二方向性  65 で も 「に」 で も良 い と言 うこ とに な る。 本 稿 で は、 「1時 間、 山 を/に 登 った 」 に お け る 「を」 「に」 に対 す る 「山 」 は 「経 路 」 で は な くて 「場 所 」 と し解 釈 した 。 つ ま り、 「山」 に は 「山 道 」 の よ うな 明 確 な解 釈 は で きな い と考 え た 。 「私 は1時 間、 山 を/に 登 っ て行 っ た 」 は可 能 で あ るが 「私 は1時 間 、 山 道 を/*に 登 って 行 った 」 は 「?山 道 に登 る」 が 不 自然 に な る こ とが 根 拠 とな っ た16。 しか しな が ら、 「彼 は1時 間 、 山道 に 登 っ て行 っ た 」 は 自然 で あ る よ う に 思 わ れ る 。 こ の 文 を解 析 す る に は 、 「を」 「に 」 の 格 助 詞 と移 動 動 詞 の 意 味 的 関 係 に加 え て、 主 語 名 詞 や 目的 語 名 詞 の格 助 詞 に対 す る 認 知 的 働 きや17、 ク オ リ ア構 造 を さ ら に検 討 す る必 要 性 が あ る こ と を物 語 っ て い る 。 これ らの 問 題 は 今 後 の 課 題 と した い 。   本 稿 で は、 第2節 で 移 動 動 詞 と 目的 語 名 詞 の 意 味 的 関 係 を捉 え る た め に、 「を」 「に」 「か ら」 の格 助 詞 の 意 味 を考 察 し(2.1節)、 そ れ らの格 助 詞 と移 動 動 詞 の 関 係 を見 た(2.2節)。 第3節 で は移 動 動 動 詞 と 「を」 と 「に」 の 関 係 を行 為 連 鎖 の 観 点 か ら見 る と どの よ う な構 図 に な るの か 、 「偉 業 」 を表 す 「を」 は なぜ 生 じ るの か につ い て 考 察 した 。 結 論 と して 、 「偉 業 」 を表 す 「を」 は(17) の よ う な物 理 的 エ ネ ル ギ ー と(18)のよ う な対 象 か ら主 語 に対 す る 逆 の 心 的 エ ネ ル ギ0が 働 くこ と を提 案 した 。 さ らに 、 第4節 で は 移 動 動 詞 と 「を 」 「に」 「か ら」 の 格 助 詞 の意 味 的 関係 を厳 密 に捉 え るた め に は、 移 動 動 詞 の あ と に来 る 目的 語 名 詞 の ク オ リア を考 慮 に 入 れ る こ とが 重 要 で あ る こ と を主 張 し た。 注 1.「 が 」 「を」 「に」(間 接 目的 語)は 文法 的 な機 能 で 決 定 され る構 造 格 で 、 「か ら」 「で」   な どの 意 味 的 な機 能 で 決 定 さ れ る 内在格 と区別 され る。 2.本 稿 で は?マ ー ク は意 味 的 に少 し不 自然 であ る こ と を示 し、*マ ー ク は ま っ た く文 と   して容 認 で きな い こ とを 示 す の に使 用 す る。 3.「 行 く」 「来 る」 の移 動 動 詞 は 、 その 対 象 が 「場 所 」 の場 合 は 「∼ に行 く」 「∼ に来 る」   と直接 に言 え るが 、 「人 」 や 「物 」 の場 合 は 「∼ の と こ ろ に行 く ・来 る」 の よ う に 「の   とこ ろ」 を補 う意 味 的 制 限 が あ る(三 宅2007:18)。   (1)a,私 の研 究 室 に 来 な さい(*私 の研 究 室 の とこ ろ に来 な さ い)       b,*私 に来 な さい(私 の ところ に 来 な さい)

(16)

      c.*机 に 来 な さ い(机 の と こ ろ に 来 な さ い)     しか し 、 「投 げ る」 「蹴 る 」 の 動 詞 は こ の 制 限 が 働 か な い よ う に 思 わ れ る 。 (2)a.ト ム が ボ ー ル を 私 の 研 究 室 に 投 げ た(?ト ム が ボ ー ル を 私 の 研 究 室 の と こ ろ に       投 げ た)       b.ト ム が ボ ー ル を メ ア リ ー に 投 げ た(ト ム が ボ ー ル を メ ア リ ー の と こ ろ に 投 げ        た)       c.ト ム が ボ ー ル を 机 に 投 げ た(ト ム が ボ ー ル を 机 の と こ ろ に 投 げ た) 4.「 鮭 が 川 に 上 る 」 や 「竜 が 空 を 昇 る 」 の 表 現 は 可 能 な の で 「人 」 が 川 に 上 る こ と や 、   空 を 昇 る と い う の が 不 自然 な 行 為 で あ る と解 釈 す る の が こ こ で は 正 し い で あ ろ う 。

5.田 中 ・松 本(1997:9-ll)はacross  the road(道 路 を 横 切 っ て)やthrough  the tun-ne1(ト ン ネ ル を 通 り抜 け て)は 経 路 を 表 す が 、 along the river(川 に1合・っ て)は 「沿 う 」   と い う動 詞 が 「横 切 る 」 「通 り 抜 け る 」 と は 異 な り 「移 動 経 路 」 を 表 す 動 詞 で は な い と   し て 「道 を 沿 う 」 は 不 自 然 に な る と 説 明 す る 。 要 す る に 、 「沿 う 」 は 「に 」 格 を 取 る と   い う こ と を 言 っ て い る 。 な お 、(4b)は 森 田(2006:253)か ら の 引 用 例 。 6.「 玄 関 先 に 出 た 」 は 可 能 。 「玄 関 」 は 家 の 一 部 と考 え る の が 一 般 的 で あ る 。 「出 る 」 に   は 起 点(∼ か ら)の 意 味 と 、 着 点(∼ に)の 両 面 が あ り、 「玄 関 先 に 出 た 」 は 後 者 の 意   味 で 、 「玄 関 先 に 出 て き た 」 を 含 意 す る 。 な お 、 「出 か け る 」(e.g.デ ィ ズ ニ ー ラ ン ドに   出 か け た)は 「に 」 を と り 、 「を 」 を と ら な い(e.g.*デ ィ ズ ニ ー ラ ン ド を 出 か け た)。   「出 か け る 」 が 着 点 指 向 の 動 詞 の 意 味 を 持 つ か ら で あ る 。 7.英 語 と 日 本 語 で は 着 点 の 表 し方 が 異 な る 。 「トム は 、駅 に 走 っ て 行 っ た 」 は``Tom  ran to   the station"とtoの 前 置 詞 で 示 す こ と が で き る 。 「ト ム は 駅 に 走 っ た 」 は プ ロ セ ス を 表   し 、 着 点 を 示 し て い な い の で 英 語 で は"1'om  ran toward  the station"と 言 わ な け れ ば な ら   な い が 多 くの 英 語 の 学 習 者 は``Tom  ran to the station"を 「トム は 駅 に 走 っ た 」 と 訳 し 、   駅 に トム は 着 い て い る か ど う か を 尋 ね る と 、 間 違 っ て トム は 駅 に 着 い て い な い と 答 え る   傾 向 が あ る 。

8.「 登 る 」 は 上 方 へ の 有 方 向 動 詞 で あ る が 、climbは"climb  down  from  the roof'「 屋 根   か ら 降 り る 」 と 下 方 へ の 移 動 も 可 能 と な る 点 に 気 を 付 け た い 。

9.た だ し、 「1時 間 、 台 に 登 っ た 」 「3分 間 、 象 の 背 中 に 登 っ た 」 は 移 動 の 「継 続 」 の 意   味 は な く、 「登 っ て い る 」 状 態 の 解 釈 し か 出 来 な い 。 そ の 理 由 を 考 え る に は 、 「に 」 と   「登 る 」 の 対 象 と な る 名 詞 の 目 的 役 割(ク オ リ ア)を 考 慮 す る 必 要 が あ る で あ ろ う 。 10.Tom  climbed  the mountainは 、 トム が 山 を登 る こ と に よ っ て 山 に 影 響 を 与 え る わ け で   は な い 。 しか し 、Tom  climbed  up the mountainと は 異 な る偉 業 や 功 績(feat)の 意 味 が   出 て く る と言 わ れ て い る(Schlesinger  l995:65)。 前 者 の 文 で は 例 え ば 、 「エ ベ レス ト」   の よ う な 山 を 登 り き っ た こ と が 含 意 さ れ る 。*Jack  climbed  the bedが 不 自 然 に 感 じ ら れ   る の は 「ベ ッ ド」 に 登 る こ と は 功 績 や 偉 業 に 値 し な い か ら で あ る 。Schlesingerは 他 の   例 と し て"1 have already jumped  this gutter"の よ う な 文 は"over"が な い と 非 常 に 不 自 然   な 文 で あ る と す る が 、 「近 所 に あ る す べ て の 排 水 溝 を 跳 び 越 え る 賭 け に 出 た 人 」 が そ れ   を 達 成 し た こ と(completion)を 強 調 し た い 場 合 に は 「偉 業 」 を 達 成 し た こ と に な り 、   "over"が な く て も使 え る 可 能 性 が あ る こ と を 示 唆 す る 。

(17)

目的語 の認知 と行為連鎖 の二方 向性    67

  い も の の 注 意 や 意 識 を 向 け る 心 的 作 用 が あ り、 し た が っ て メ ン タ ル コ ン タ ク トが 対 象 に 働 くの で 知 覚 動 詞 が 目 的 語 を 取 り う る と 仮 定 す る 。 し か し 、 こ の 考 え 方 はseeやhear   の 対 象 と な る 目 的 語 の 解 釈 が 日 本 語 で は 「を 」 格 で は な く 「が 」 格 に な る 点 を 踏 ま え て   い な い の で 問 題 で あ る(e.9.John  saw  the rainbow.「 ジ ョ ン は 虹 が 見 え た 」,John heard   a strange sound.「 ジ ョ ン に は 妙 な 音 が 聞 こ え た 」)。

12.Schlesinger(1995:65)の 例 。 Dixon(2005:300)は"He  swam  across  the mill-  stream"「 水 路 を 泳 い で 渡 っ た 」 の 文 に お け る 「水 路 」 は 誰 で も泳 い で 渡 る こ と が で き、   "She  swam  the English  Channel"の よ う に 「偉 業 」 を な す わ け で は な い の で"across"が   省 略 さ れ な い と説 明 す る 。 13.「 釣 り人 が(ア マ ゴ を取 り に)川 を 上 る 」 は 「川 」 を 経 路 に し て 移 動 が で き る 。 14.三 宅(1996:145)は 、 『「着 点 」 を も 同 時 に 含 意 す る 場 合 は 、 「起 点 」 を対 格 で 標 示 す   る こ と は で き な い 。』 と い う 一 般 化 を す る 。 例 え ば 、 「太 郎 が 部 屋*を/か ら 庭 に 出 た 。」   の 文 に お け る 制 限 で あ る 。三 宅 は さ ら に 『意 識 的 に コ ン トロ ー ル さ れ な い 移 動 の 場 合 は 、   「起 点 」 は 対 格 で 標 示 で き な い 。』 と い う 一 般 化 も し て い る 。 例 え ば 、 「け む り が 煙 突   *を/か ら 出 た 。」 の 文 に お け る 制 限 で あ る 。     前 者 の 制 限 は 「に 」 の 「着 点 」 が 「か ら」 を 明 確 に し、 「か ら 」 は2つ の 領 域 の 移 動   と い う 「を 」 の 「起 点 」 と 異 な る 意 味 制 約 が あ る の で 、 「部 屋 」 を 地 点 と して 庭 に 出 る   こ とが 可 能 で あ る 。 しか し、 「?部 屋 の 中 か ら 庭 に 出 た 」 は 不 自 然 な 感 じが す る 。 「部 屋   の 中 か ら外 に 出 た 」 は 自 然 な の で 内 と外 の 空 間 的 な 地 点 の 関 係 を 前 者 の 制 限 を 踏 ま え る   際 に さ ら に 考 慮 す る 必 要 が あ る で あ ろ う。

15.こ れ らの 文 の 容 認 性 の チ ェ ッ ク をJan  Gordon,  Francisco  Martinez,  Eileen Wamerの   三 人 の 先 生 に お 願 い した 。 16.「 台 」 や 「象 の 背 中 」 は 目 的 ク オ リ ア と し て 「経 路 」 に な ら な い 対 象 で あ る 。 し た   が っ て 、 「1時 間 、 台 に 登 っ た 」 「1時 間 、 象 の 背 中 に登 っ た 」 は 「継 続 」 の 解 釈 が な さ   れ ず 、 「登 っ て い る 状 態 」 の 解 釈 しか 出 て こ な い と 考 え ら れ る 。 17.例 え ば 、 工angackerの 認 知 的 プ ロ セ ス を 援 用 し た 森 山(2001)や 森 山(2003)に お け   る 「源 泉 領 域 」 と 「目標 領 域 」 の 概 念 は 「を 」 と 「に」 の 違 い を ス キ ー マ 的 に 捉 え て い   る 。 参考文献

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