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首都高速道路株式会社様向けITS道路インフラへの取組み

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Academic year: 2021

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首都高速道路株式会社様向け

ITS道路インフラへの取組み

Action Plan for Metropolitan Expressway Co., Ltd.

あ ら ま し 首都高速道路の維持運営において,道路上に設置された情報板,非常電話,交通量計測 設備やITS設備であるETCなど常時連続稼働する設備を監視することが不可欠である。この 社会的設備の監視を支えるネットワークインフラは非常に重要であり,設備の高度化による 急速なデータ量の増加などに対応するために,新たな技術を取り入れたネットワークインフ ラの高速化・高信頼化が求められている。 本稿では,道路維持管理の運用性,将来性,コスト面などでの課題を抽出し,従来技術 と新たな技術の融合,運用コストの低減,および道路監視でのサービスレベルの維持向上, さらには新たなITSに柔軟に対応できるネットワークインフラ構築の取組みを紹介する。 Abstract

It is essential for the maintenance administration of metropolitan expressways to constantly monitor facilities that operate on a 24/7 basis, such as information boards, emergency roadside telephones, traffic congestion measuring devices, and electronic toll collection (ETC). Since the network infrastructure that supports the monitoring of these socially important facilities is obviously essential, there are growing demands for a faster, more reliable network infrastructure in response to the increased amounts of data resulting from advances made in new technology. We extracted the objects of operation, prospects, and costs of road management, and then introduced our action plan for a network infrastructure that fuses existing technology with new technology, reduces operating costs, improves the service level of road monitoring, and can flexibly cope with new types of Intelligent Transport Systems (ITS).

鈴木新也(すずき しんや) パブリックソリューション統括部第 三システム部 所属 現在,高速道路のネットワークイン フラのSI業務に従事。 高橋誠司(たかはし せいじ) パブリックソリューション統括部第 三システム部 所属 現在,高速道路のネットワークイン フラのSI業務に従事。 石川文夫(いしかわ ふみお) パブリックソリューション統括部第 三システム部 所属 現在,高速道路のIPネットワークイ ンフラのSI業務に従事。

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首都高速道路株式会社様向けITS道路インフラへの取組み

ま え が き

富士通では,首都高速道路株式会社様(以下,首 都高様)のITS(Intelligent Transport Systems: 高度道路交通システム)構築を支えるネットワーク インフラを長年にわたり提供してきた。しかし,最 近ではITSの高度化が進みつつありネットワークイ ンフラに求められる要求も様々に増加してきた。近 年のネットワーク技術は,インターネットの目覚し い技術発展もありIP(Internet Protocol)技術も選 択肢と考えられ,次期ITSに向けたインフラ整備に 向けて既存技術とIP技術を融合したネットワーク インフラが重要となっている。 交通管制室 施設制御室 パトロールカー ハイウェイラジオ設備 気象観測設備 情報表示板設備 トンネル内防災設備 交通量計測設備 業務/非常電話設備 カメラ設備 可変式速度規制標識設備 図-1 道路監視システムの概要 Fig.1-Road monitor system.

本稿では,まず現状のネットワークインフラを紹 介し,つぎに道路維持に向けた課題とその課題解決 の技術,最後に道路維持に求められるインフラ技術 について紹介する。 首都高速道路を取り巻く環境とインフラ 首都高速道路の交通網は,首都圏内の交通だけで なく,首都高速道路に接続された高速道路間の乗換 えにも利用されており,路線総延長は約300 km, 毎日115万台・200万人が利用している。(1) 首都高様 では,首都圏の大動脈である高速道路の安全・円 滑・快適化を目指し,事故発生状況や交通流を24 時間365日体制で監視すると同時に,運用設備の改 良を続けている。道路監視システムの概要を図-1に 示す。道路を維持運用する上で,事故情報や渋滞情 報などを表示する情報板や道路状況を監視するカメ ラなど各設備の役割は重要なものとなっている。 また最近の首都高速道路建設の特徴として, 2007年12月に開通した山手トンネルや現在建設中 の中央環状品川線のように全線トンネルで造られる 路線が増えている。トンネル内の安全確保には,火 災などの災害時に迅速な対応をするための換気設 備・防災設備が重要である。 さらに,2008年10月には,これまでの均一通行 料金から距離別料金へ変更予定であり,新たな ETC(Electronic Toll Collection system:ノンス トップ自動料金支払いシステム)設備の設置が増加 するなど,従来の道路監視設備だけではなく新しい 運用設備の監視対応が必要となっている。こうした 道路監視設備や料金設備などには,トンネル画像を 画像処理して自動的に異常を検出する装置やVICS (Vehicle Information and Communication System: 道路交通情報通信システム)による情報配信設備な ど新旧混在した設備構成があり,同時にデータ量も 大小様々である。

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首都高速道路株式会社様向けITS道路インフラへの取組み

これらの情報は,図-2のようにネットワークイン フラを利用し中央設備で監視・運用制御している。 そして,既設設備あるいは新たに増大する設備の データなどを道路維持運用に活用する上で,現行の ネットワークインフラに求める大きな要件として高 信頼性,次期ITSに向けた新たな設備へ対応できる ことが挙げられる。 交通量計測 風向風速計 情報板 VICS 非常電話 トンネル換気 交通管制中央装置 照明制御 施設管制中央装置 料金中央装置 カメラ ETC ネットワークインフラ 図-2 道路監視とインフラのかかわり Fig.2-Road monitor and relation of infrastructure.

現状ネットワークインフラ

首都高様にとってネットワークインフラの停止は 道路運用を停止することになり,社会インフラに与 える影響は多大である。現在運用中のネットワーク インフラは,主にNTTなどの通信事業者でも採用さ れているSDH(Synchronous Digital Hierarchy) 技術を使用した装置で構築されており,信頼性の高 いデータ伝送を実現している。 監視設備などの高信頼性対応として,SDH伝送 装置では基本部・電源部の冗長化や通信経路(光 ファイバ)で経路冗長化を行い,障害時も停止時間 がほとんど発生しないネットワークを実現している。 また,時分割多重技術を用いることで各設備のデー タを帯域ごとに分離し,他設備に影響のない安定し た通信を提供している。SDH伝送装置では監視設 備の様々なデータ回線があり,設備用途に応じた回 線ボードで構成している。このような伝送装置は, 空調設備を完備した通信機械室に設置されるのが一 般的であるが,首都高速道路は都心の限られた場所 に道路建設されることからその確保が難しく,大部 分は高速道路上や高速道路高架下に約1 kmごとに 設置された変電塔と呼ばれる屋外環境の場所に設置 され情報の受渡しを行っている。とくに高速道路上 の変電塔は,直射日光・照返し・振動・排気ガス・ 湾岸部の潮風など過酷な環境条件下での安定稼働が 必要であり,それに対応している。変電塔の一例と して屋外設置例を図-3に示す。 道路維持に向けた課題 これまで記載した首都高様の様々なネットワーク インフラへの要求はSDH技術で実現してきたが, 近年のネットワーク技術はIP化へと急速に変化し ている。これにより首都高様でも設備更新,次期 VICSやETCに代表されるITS設備への対応を行う 上でIPによるネットワークインフラ整備が不可欠 と考え検討を進めており,以下の課題が挙げられて いた。 (1) 課題① IP装置による基本部・電源部の冗長化を従来と 同等にするには高価な装置構成になる。 (2) 課題② IPネットワークに対応するためには既設路上設 備をIP系設備に更新する必要があるが,すべての 設備の更新には費用が大きい。 (3) 課題③ IPネットワークはSDHのような帯域分離ではな いため,高品質の通信回線の確保が困難である。 (4) 課題④ 厳しい設置環境条件を克服する必要がある。

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首都高速道路株式会社様向けITS道路インフラへの取組み

課題解決の技術 富士通では,前章で述べた課題に対し,新規開発 した製品と汎用製品を組み合わせ,実機を使用した 技術検証試験を行い,解決を図った。 課題①の冗長化の解決には,光ファイバ切断時に ネットワーク障害が波及しないRPR(Resilient Packet Ring)技術を採用することとし,富士通の 光IP装置FLASHWAVE2740A2(以下,FW2740) を1局あたり2台ずつ設置し,光の2重ループを構成 し,2台のFW2740配下に変電塔との伝送用にレイ ヤ3スイッチ(以下,L3-SW)を接続して上位と下 位に分離した。FW2740とは別の光ネットワークを 構築することで,情報の効率的な伝送と上位の多重 障害にも対応できる3重ループネットワークを構築 した(図-4)。またL3-SWのパラメタをチューニン グすることでFW2740が1台ダウンした場合でも瞬 時に回線の切替えを可能とした。回線の切替えは, 首都高様と既存設備の要件を整理し監視設備の条件 とIP機器の性能,構築コストから妥当な時間を設 定した。 課題②である既存設備の取込方法として,既設の 路上設備を更新することなくIPネットワークに対 応するために既存インタフェース(低速モデム,音 声,電話,シリアルデータなど)を上位レイヤプロ トコルに依存せずにIP化する装置が必要であった。 富士通では,新規に様々な既存インタフェースに対 応可能なIP変換装置を開発した。図-5に示すIP変 換装置は,IPネットワークで発生する遅延・揺ら ぎに対応する機能や非同期であるIPネットワーク でも同期データを伝送するための機能を搭載するこ とで既存の監視設備との通信を実現している。 課題③の高品質の通信回線を確保する方法として, 首都高様のデータ種類を「最重要(防災設備データ など)」「重要(多少のパケットロスは許可されるカ メラ画像など)」「再送処理を持つリアルタイム性を 必要としない端末データ」に3分類し,データを FW2740で3段階の帯域制御を設定し,L3-SWで優 先制御することで回線品質を確保している。 変電塔 課題④の厳しい設置環境としては,一般的なIP 装 置 に 比 べ て 温 度 環 境 が ±20 ℃ 耐 環 境 で あ る FW2740やIP変換装置を適用した。また装置を搭載 図-3 変電塔設置例(屋外) Fig.3-Outdoor Substation. FW2740光ループ L3-SW光ループ FW2740 FW2740 FW2740 FW2740 FW2740 FW2740 L3-SW L3-SW L3-SW L3-SW L3-SW L3-SW L3-SW L3-SW 図-4 ネットワーク概念 Fig.4-Network conception diagram.

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首都高速道路株式会社様向けITS道路インフラへの取組み

ラック型(15ch実装) 卓上型(2ch実装) 既存端末 既存端末 音声など 音声など (a)IP変換装置 (b)運用形態 図-5 IP変換装置の運用形態 Fig.5-IP converter and operative form.

する筐体は,クーラによって装置内を35℃に維持 し,停電時でも3時間電源バックアップできるよう バッテリを搭載した筐体を新設計した。こうしたこ とにより,過酷な条件に耐えることを可能とした。 このように課題を解決することにより,既存設備 とIP設備が混在する首都高様のネットワークイン フラの整備を進めている。 道路維持に求められるインフラ技術 SDH装置によるネットワークでは,中央設備と 路上設備はPoint to Pointの固定接続が基本であり, 路上設備の構築には制約を受ける場合があったが, IPネットワークを整備することでPoint to Multi-pointの自由な接続が可能となり,路上などを含む 監視設備の自由なシステム構築が可能になる。今回 はIPネットワーク装置とIP変換装置により既設路 上設備を更新することなくIPネットワークインフ ラを実現した。今後は路上設備のIP化あるいは ETC機器の機能拡張,次期VICSの導入など次期 ITSに向けて様々なサービスの充実とともにデータ 量の増加と高信頼ネットワークが求められる。今回 採用したFW2740は,帯域2.4 Gbps伝送が可能であ り,データ容量が増大しても耐え得るネットワーク となっている。将来,車は更にインテリジェンスを 持ち,車と車間の通信,車と路上設備間の通信形態 も 考 え ら れ ,DSRC ( Dedicated Short Range Communication:専用狭域通信)や路上アクセス で のWireless MAN ( 無 線 MAN : Wireless Metropolitan Area Network)による路上末端まで をIP化するネットワークインフラが必要になると 予想される。 む す び 本稿で紹介したネットワークインフラは,既存技 術とIPの融合を実現したものである。今まで別々 に監視していた交通管制と施設防災をIP化するこ とで,設備間の連携がスムーズとなり,新規開通し た山手トンネルでは,交通管制と施設防災の運用連 携強化が図られている。 今後も,様々な社会・経済効果を生み出す高速道 路の適正かつ効率的な維持管理を進める首都高様の 運用性向上を支えるネットワークインフラを提供し ていきたいと考える。 参 考 文 献 (1) 首都高速道路株式会社:会社案内(2008). http://www.shutoko.jp/company/info/document/ corporateprofile2008J.pdf

参照

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