心 理 学
か ら
芸 術
へ の アプ
ロー
チ
D
北
岡
明
佳
sZ
命 館 大 学Psychological
apProaches
to
art
Akiyoshi
KITAoKA
Ritsumeik
αnUniversity
*Three kinds of psychological approaches toward art are discussed
.
Thefirst
is
the rating method,
which is thought tobe
a standard butsharp probe to understand art from psychology.
The secondis
a mathematical approach,
in
which,
to understand !ine
perspective better,
a novelequation 【)f coordinate transformati〔〕n from the real world to the retinal coordinatcs is proposed
,
The thirdis
an approach usirlg visuahllusion,
whichdepends
on a rule that thelarger
theillusion
magnitude the皿 ore
bcautiful
theimage・
Key words :psychology
,
art,
visual illusion,
rating,
line perspective昨 年の暮 (2006 年 12月)
,
筆 者は 「第 9回ロ レ ア ル 色の科 学と芸 術 賞 」の金賞を受 賞し た
.
こ の賞は,
色の科 学と芸 術の 出 会い に貢献し た人に与えられる賞で あ る,
ど ち ら か とい うと, 科 学の賞 と して よ り も,
芸 術 の賞と して の 色 彩 が 濃い.
こ の賞で評 価さ れ たの は, 「錯 視デザ イン」で あ る
,
錯 視デザ イ ンにおい て は,
刺激図形の作 成の動 機は,
錯 視 を 心 理学的 (科学 的 )に解 明す るこ とであ り,
そ の過 程 は錯 視の科 学 的 知識に従う.
ところ が,
で き あ がっ て み る と,
い つ の まに か 芸術 作 品の よ うに な る (北 岡, 2005 ).
こ の性 質を色が関 係す る錯 視にっ い て 明 らか に し たこと が,
色の科学と 芸術の 出 会い に貢献し た, と評 価さ れた もの と筆 者は考えて い る.
近年
,
科学の 世界に おい て も,
芸術へ の 関 心が高ま一
・
て い る (Rentschler
,
Herzberger,
&Epstein,1988
;Zeki,
1999).
お も し ろい だ けで 役に立たない こと を科 学 的に 探 求する ゆ とりが あ ること は,
人 間だ けに与え ら れ た特*
Department
of Psychol ()gy,
Ritsumeikan Uni−
versity
,
Kita−
ku,
Kyoto 603−8577
E−
mail :akitaoka @lt.
ritg.
urnei.
ac.
jp
1’
) 本 研 究は,
平 成 18・
19・
20 年 度 科 学 研 究 費 補 助 金・
基 盤 研 究 〔B)(研究代 表 者
・
行 場 次 朗 ) 「『心の デザイン」モ デル に よ る視 覚 芸 術の特 性と脳 内基 盤の 解
明
.
」 (課 題 番 号 18330151 )の 助 成を受 けた.
権である と 思 うの で,
こ の よ うな研 究が行わ れ る よ う に なっ た ことは喜ば しい。
身 近 な例でい うと,
筆 者が 研究 分担 者と し て参 加して い る研究に, 「『心の デザ イ ン』モ デル に よ る視覚 芸 術の特 性と脳 内 基 盤の 解明 」 (研 究 代 表 者・
行 場 次 朗 東 北 大 学教 授)が あ るが,
こ れに は 2006 年度か ら科 学 研 究 費 補 助金 がつ い て お り,
こ こ で も心 理学か ら芸 術へ の アプ ロー
チが始まっ
て いる.
そこ で,
こ の機 会に 「心 理学が芸 術に何 を 貢 献で き る か」を筆 者な りに考えて み た い,
その1 一 普
通にアプロー
チ心理学の研 究におい て広 く用い ら れてい る方 法に
,
評 定 法 (rating )が あ る.
あ る絵画 あるい は絵 画の構成 要素 を,
「美 し い」「暖かい」「鋭い 」 「お もしろ い」「ゆっ く り と し た」 とい っ た形 容 詞 群,
あ るい は 「美 し い一
醜い」 「暖かい…
冷たい」 とい っ た形 容 詞 対の リス ト で評 価さ せ る方 法で あ る.
評定 法は,
心理学の研 究 法と して は特 殊なもの で は なく,
普通で平凡 な もの である とい う印 象 が あ る が,
芸 術に対 する心 理学の プロー
ブ と して は切れ 味の よい有力な もの で ある.
芸術の本 質が芸 術 的 体 験だ と する な ら,
評定法は芸 術の心 理 学 的 研 究において は, 欠かすこ と がで きな い.
方
,
芸 術→ 感 性→ 個 人 的なもの,
と連想す ると,
ク オ リア とい う概 念が思い出される.
クオ リア と は刺激の98
基礎心 理学研 究 第26
巻 第1
号 質 感の ことで,
物理的実 在に還.
元で きない (と さ れる) 心理学 的 性 質で あ る.
茂 木(1997)は,
クオ リア は 「心」 と 「脳」の間にある深い溝を象 徴 するもの で あり, その 溝を 埋 め る ため に は神 経細胞の活 動か らク オ リアを説 明 する必 要がある と主 張す る.
また,
行場(2002 )は, Ra−
rnachandran & Blakeslcc (1998}やGregQry
(1998 )のか考え方を継 承
・
発展させ, ク オ リアは刺 激 情 報を確 定 し,
そ の変 更 不 可能 性を保 証し,
記 憶か らの 表象と区別 す る ため に,
現在を標 識 化 する フ ラグの役 割を担う とい う考え方を取る.
心 理 学を離れる と,
ク オ リ アとい う用語は,
一・
人称的 で , 他人 「司士で は互い に了解 不 可 能か も し れ ない とい う (a) cr=
o’
(b> α高
go’
(d》 a=
O’
Figurel.
An
instarユce of retinal coordinates.
SupPosc that tweDtyby
twenty squares(each
being
lO
cm ×10cm
)aredrawn
at thccenter of an infinitely
−
cxtendedfiat
plane andobserved from 50 cm apart
,
(a)When theplane
is
perpendicular to the visual axis,
thcmesh appears to
bulgc
out thoughit
reallyhas no curves
.
(b
)When
the vlsua 】axisis
parallel to the plane
,
the lines parallel to theViSUal axis apPear tO ConVerge at the Center
of the visual
ficld
while the lines perpen−
dicular
to thc visual axis 〔except those thatcross the visual axis)apPear to curve out
−
ward
.
(c)When the planeis
σbserved
ob−
Iiquely
,
both (bulging and converging ) ap−
pearances
coexist.
(d
)Parallel lincs on a planeperpendicular to thc vlsual axis meet at
two
points on the surrounding circle
,
The
gray circle at the center in each pane ] representsthe
foveal
vision.
The radius of the circle is
90degree
of visual angle.
点を議 論す る哲学的概念で あ る場 合が 多い よ うに思 う
.
しか し,
心 理学的に言え ば,
ク オ リア は普 通の 心 理 現 象 で あ る.
同 じ名 称で呼ば れ る ク オ リ ア は,
被 験.
者が 違っ
て も同じであ る と (心 理 学は)みなす.
そ して,
その測 定は評 定 法で あ る.
もっ とも,
評 定 法に も弱 点はある.
意 識 化あ るい は言 語 化で き ない もの は測 定で きな い ことで ある.
1
一
芸 術1
と い う と,
何か無 意 識 的・
超 感 覚 的な もの を連 想さぜ るこ と も少な く ない の で,
芸 術に は評 定 法で はアプロー
チで き ない部 分も残る か も し れ ない,
と い う控え め な認 識は 持っ て いたぽ うが よいだ ろう,
そ の2 一
計 算でアブ囗一
チ 第二 に,
芸 術で用い られて い る手 法を知 覚の計 算 論 と 照 らし合わぜる,
とい うアプロー
チが考え ら れ る。
こ の 視点で は,
黄金 分 割,
らせ ん,
シ ン メ トリー,
フ ラ ク タ ル とい っ たテー
マ が好ま れ る と思 わ れ る,
その中か ら,
ル ネサ ン ス期よ り知 られ る線 遠 近 法 (線 透 視 画 法 )にっ い て,
こ こで は考えて みたい,
線 遠 近 法 (
line
perspective>とは, (11 視線と’
ド行な直 線は一・
点に収 斂する直 線と して描き,
〔2
)視 線と 垂直な 面にあ る 平 行 な直 線は平 行な直 線と して描 くとい う手 法 で ある.
な お,
これ は,
線遠近法の中で も 最 も標 準 的な一
点 透 視 法の説 明で ある.
線遠近法に従え ば,
写 真の よ うな現 実 感の ある絵が描 け る,
しか し,
線遠 近 法で描か れ た図は特定の一
.
・
点 から 見ない と,
現 実の場 面と同じ よ うに は 見 えてい ない.
そ の理 由は,
それ 以 外の場 所か ら.
見る と,
上 記2条 件とも 妥当で な くな る か らで ある.
この ことは経 験 的に は明ら かで あるが,
数 学 的な説 明が な さ れて い る文 献 を 筆 者は 見いだ せ な かっ たの で,
こ こ で試みに計 算 して み た.
こ こで は,
網 膜 座 標と して,
視 野 巾 心か ら視 角90 度 の範 囲が見え るもの と して, 視 野の 各点は中心窩を基準 と し た方 位と視 角を用い て,
視 野を極座標 系表示 した (Figure
l).
この 図で は,
外 側の円は視 角 90°
の点を結ん だもの であ る.
す な わ ち,
全 視 野は 円の内側と して表さ れ る2},
Figure laは,
視 方 向に垂直な平 面上 に 10cmx10crn
の正 方 形 を20×20個 並べ て,
そ の 中心を 5G cm 離れて 見た場 合の計算上の見えを承 して いる.
これ らの 物 理 的に は垂 直・
水 平の格 子は,
上 下 左 右に膨ら ん だ よ う な格子模 様に見え るこ とになる.
実 際に正 方 形 を 並べ 2〕実際の 単 眼の視野 は,
上 ドと鼻 側に狭 く (60〜
70 度),
耳側に 広 い (約100
度 )(本郷・
廣 重・
豊 日ヨ・
負旨E
日 (編 ),
1996).
{a }/
厂 一、
丶 \ノ
,
1
(
\
ノ
\
.
/
°
t−一一一
’
α=
o°
(1
ン
ズ 丶 \『
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1
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命〉
〔
丶.
.
、
一
〆ド
α;
30b.
\.
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一.
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〆
α召
60°
(d)/厂 一
丶・
、
▽
だ
丶
\
◎
:
:
◎
)
◎
、
一一.
ノ
α=
0°
丶
一 〆
α=
30D、
一一
一
ノ
α=
60°
Figure
2.
Extended
retinal coordinates.
The radius of the outer circle represerlts l80degrees
Qf“
visualanglc
”
while the radius of theinner
one g.
hows
90
degrees
of visual angle.
(a)The
image
of Figure ld is placed in these coordinates.
〔b)and (c)The same imageis
seen oblique 】y.
{d)The sameilnage
is
seenin parallel to the plane
.
〔e)一
(h)The thick hne shows the line at in丘nity of a plane within which theentire plane is represented
.
た図 を 描い て観 察 する と
,
Figurela
の よ うに直 線 が 曲 がっ
て 見 え るこ と が 確 認で き る.
こ の図を描 くた めの計 算 式〔Appendix )か らは,
視 線 と平 行な直 線は網 膜 座 標 上 も直 線と な り,一
点に収 斂す るこ と が数 学 的に導か れ る 〔Figure lb>.
すなわち,
条 件 〔1)とは整 合して い る こと がわか る.
また,
ある乎 面に対 して垂 直で も平行で も ない角度で 見る と,
その面はFig−
urelc
の よ う に な る.
膨ら ん だ感じ と収斂し た印 象の両 方が 見られ る,
さ らに,
ある平 面 上に無 限の長 さの平 行 線が10cm
間隔で21
本 引か れ ていた と し て, その平 面 を 50cm 離れて垂直に見 る と,
Figure ld の よ うに な る.
す な わ ち,
それ らの平 行 線は曲 線と して見え3),
視 野 の端におい て2
点で交わ る4).
「視 野 は 曲 がっ て い る」とい うこと は,
よ く観察す れ ば 自明の ことで あ る し, フェ
ル メー
ルやエ ッ シ ャー
な どの アー
ティ ス トの 作 晶に,
その応 用 が 数 多 く見 られる.
と 3)エ ッ シ ャー
の 作 品の 透 視 図法 を 研究 し たErnst (1976)は,
こ の種の 曲 線をサ イ ンカー
ブ と考え た.
本 計 算 式が正 しけ れ ば,
それは サ イ ンカー
ブで は な い.
4) 数学 的に拡 張 して背面の見 え まで計 算に入 れ る と,
世 界は半 径 180 度の 円と な る.
その 「拡 張 網 膜 座 標」上におい て は,
ある平 而 上の い か な る平 行 線 も 2点に収 斂 する.
わ か りやすくい う と,
同 じ平面 上 の平 行 線は何 本 あっ て も ある一
点 から始ま り,
分か れて, 再び集ま り, も う一
点に終わ る.
そ の2
点 は, 数 学 的に は無 限遠点とい うこ とにな る,
こ の性 質か ら,
拡張 網膜座標 系は非ユー
グ リッ ド空 間の一.
種で あ ること が わ か るt
ま た,
拡 張 網 膜 座 標 系で は 無 限 遠 点を図 示で きる こ と が特 長で ある (Figure 2).
こ ろが,
どの よ うに視 野 内の 線を曲 げれ ば絵の リア リ テ ィー
や迫 力 といっ
た 心 理学的要 因に促 進的ある いは抑 制 的に働 くか,
ある い は影 響 しない のか,
とい うこと は あ ま り 明 らか になっ て い ない.
大きい絵や大 きい画 面は迫 力が感 じ られる が,
刺 激の 視 角が大きいだ けで な く,
網 膜 像の 形の歪み も大きい.
とい うこ と は,
網 膜像の歪 み が芸術 的知覚に及ぼ して い る とい う可能 性 も考えられ るわけで ある.
こうい っ た可 能 性を倹 討 して い くこ と は,
心 理学が芸 術を 研究す る手 が か りの一
っ と な る だ ろ う.
その3 一
錯 視でア ブ囗一
チ 錯 視 研 究に は 心 埋学 と同 じ か少 し長い 歴史が あ る が (後 藤・
田巾,
2005 ),
錯 視が芸 術の理解に役立つ か も し れ ない と考え ら れる ようになっ たの は,
比 較 的 最 近の こ とで ある.
その きっ か けとなっ たの は,
「錯 視 図 形は錯 視 量 が多い ほ ど美しい1
とい う法 則が提 唱さ れ たこ とで あ る (Noguchi & Rentschler,
1999 ).
筆 者の作る錯 視デ ザ イ ンが 人 気 を 得っ っ あ る こ とや5:1,
錯 視デ ザ イ ン で ロ レ アル 賞とい う芸術 賞を受賞で き たこと も考え る と,
その 法 則が 正 しい可 能 性が高まっ
た.
問題はこ こか らで あ る.
「良質の錯視図形は美 しい」と [1〕筆 者の錯 視デ ザ イ ン の ホー
ム ペー
ジ (http
://www.
ritsurncLac
,
jp
ズakitaoka /)は, 2DO7
年 1月 現 在,
日本 語 版と英 語 版を合わ ぜて 累 計500 万 件の ア クセ ス を得た
.
最 初の公 開 (2002 年 5月 )から 4年 半で の ス ピー
ド到 達で ある.
そ の理 由と して,
「錯 視はお もし ろい」 とい うこ と以 外に,
「錯 視は美 し100 基礎心 理学 研 究 第 26巻 第 1号
(a!
Cb}
Figure 3
.
(a)The optimizedFraser−Wilcox
Musion ,
Type I.
The left half appears to rotate counterclockwise whilc the right oneclockwise
.
This effect is strongin
theperiphcral vision
.
(b) The Frascr−Wilcox
illusion
,
a variant.
For
many observers,
the
lcft
half
appears to rotate counterclockwisewhile the right one clockwise
,
This effect isstrorlg in the peripheral visiQn
.
い う 堺 合
,
(1)錯 視を 起 こす 特 定の刺 激 配 置が美 し さ を 引 き起 こす 可 能 性 と,
(2
)錯 視が美 し さ を引き起こす可 能 性,
の二 っ を検討 し な け れ ば な ら ない.
ど ち ら が 正し いか を決 定 するこ とはな か な か困 難なことで あ る,
こ こ で は,
静 止 画が動い て 見え る錯 視の一
種を例に とっ て考 え て み よう,
Figure
3a
は, 筆者の 用 語で は,
最 適 化 型フ レー
ザー ・
ウ ィ ル コ ッ クス錯 視・
タイ プ 1で あ る(KitaQka,
2006 )6).
こ の タ イ プ は さ らに 二 つ の サ ブタ イ ブ か ら なっ ており,
背景が明るい場 合,
暗か ら明へ の グラ デー
シ ョ ン の 方 向に動い て見える錯 視 (基 木 錯 視 1)と, 背景が 暗い場 合,
明か ら暗へ の グラデー
シ ョ ン の 方同に動いて 見 える錯 視 (基 本錯視 2)で ある,
Figure 3a に お い て 6)こ の タ イ プ は, 最近出版さ れ た錯視デ ザ イン の指 南 書 (北 岡,2007
)で は,
「グラ デー
シ ョ ン に よ る 『蛇の 回転』 錯 視」 とし て い る.
こ の タ イ プ の先行 研究 と して は,
Ashida & Kitaoka (2003 ) と Backus & OruC (2005 )が ある.
な お,
フ レー
ザー・
ウィ ル コ ッ クス錯 視の最 適化を最 初に提 唱し たの は,Kitaoka
&Ashida
(2003
)で あ る.
は,
周 辺視で観察し た と き,
左半 分は反 時 計 回りに回 転 して見え,
右 半分は時 計 回りに回 転 し て見え る.
一
方,Figure
3a
の グラデー
シ ョ ン の半分 (凵体 的に は, 臼か ら灰 色へ の グラデー
シ ョ ン)を反 転さ せて描い た Figure 3b は,
オ リ ジ ナルの フ レー
ザー。
ウィ ル コ ッ クス錯 視 (Fraser &Wilcox,
1979)に相 当す る もので あ る.
後続の研 究 (Faubert
&Herbert,
1999;Naor−
Raz & Sekuler,.
P.
OOO)に よれ ば,
Figure 3b に お い て も,
左 半 分は反 時 計 回りに回 転して見え,
右 半 分は時計回 り に1
回 転して見え る とい うことになるが,
Figure 3a よ り は錯 視量 が少な い よ う で ある.
筆 者の考え で は,
Figurc 3b の刺 激 配 置で は,
基 本 銑 視1
と基木錯 視2
力拮 抗する錯 視 図形 と なっ て い る か らであ る7),
そ れで も 回 転して 見 え るの は,
基 本 錯 視 1が基 イ錯 視 2 よ りも強いか ら と思 われる,
1
皇者の 意 見 と して は,Figure
3a
は Figure 3b よ りも 「美しい」.
そ れ が.
般 的なこ と な ら,
「錯 視 図 形は猫 視 量 が 多い ほ ど.
美しい」法 則に一
致す る.
そこで, (1
)Figure
3a
が市 松模様のよ うに見え る か ら 美しい とい う仮説 と,
(2)動い て見え る錯 視 自体が 美し さ を引き起こすとい う仮 説を考え た と しよ う.
(1)に っ い て は Figure3a
を 白 黒の市松模様に変え た もの を見 て も,
私の 評 定で はFigure
3a
や Figure 3b ほど美 し く ない.
(2)にっ い て は,
最 適 化 型フ レー
ザー ・
ウィ ル コ ッ クス錯 視は日の 動 き を 抑 制 すると錯視が弱く なる (Mu−
rakami
,
Kitaoka,
&Ashjda,2006
)こ と を利 用 して,
錯 視 的 動き を抑 制して観 察 して みて も,
図の美し さ は滅じ な い よ うに見え る.
総合 す ると,
両 仮 説 と も あっ
さ り棄 却とい うことになっ て し ま う.
上 記の考 察に は,
実は検 討を要 する.
安囚が た く さん 残っ
て い る,
市 松 模 様を白黒で は な く薄い灰 危と濃い 灰 色に変 えて み た ら ど うかとか,
動 きの錯視を止め るの な ら 陽 性 残 像 な ど を利 用すべ きで ある,
な ど で あ る.
今後 の課 題としたい.
最 後に,
筆 者の構 想 を 述べ たい.
「錯視は美しい」だ け でなく,
「美 しい もの には錯 視がある」とい う逆 説 的な仮 説を提 唱 し たい の で ある.
し か し,
まだ根 拠が1
一
分で な い ので,
そ の一
歩は踏み出して い ない.
も ちろんそ こま で いか な くて も,「錯 視か ら芸 術に アプロー
チ」とい う方7)Fraser and
Wilcox
(1979
)で は,
錯 視の方 向は被験 者に よっ て決ま
っ
て いて,
黒か ら白の 方 向に動いて見 え る被験者と
,
白か ら黒の方 向に動い て見え る被 験 者が区 別 されて い た
,
これ は,
フ レー
ザー 。
ウ ィル コ ッ ク ス 錯視に は
2
種 類の 錯 視が拮 抗 的に 混 在 して い た と考え れ ば,
辻 褄が合う.
向 性は
,
今は萌 芽 的な部 分が多いが,
魅 力 的な 心 理学 的 手 法になりうる と思 う.
謝 辞 本 稿 は 「原 者 論 文 」で も 「研 究 ノー
ト」で もな く,
「そ の他 」とい う区 分の もの で,
本 来は編 集 委 員 長の チェ ッ クのみで褐 載さ れ るもの であっ たが,
筆 者 白身が書 き過 ぎ を懸念 し,
特 例で編 集 委 員 会に査 読 を依 頼 し た もの で ある.
匿 名の査 読 者に は有 意 義なコ メ ン トを頂 くこと が で き,
適 切な修正が施せ た.
こ こ に査読 者 と編 集 委 員 会 に深く感 謝 を 中 しL
げる次 第で ある.
引 用 文 献Ashida
,
H.
,
& Kitaoka,
A.
2003.
A gradient−
basedmode ]of thc peripheral drift illusion
,
Percel)tion,
32supplement
,
106.
(ECVP 2003,
Paris,
France)Backus
,
B,
T.
,
&Orug,
1,
2005.
Illusory
motionfrom
change over time
in
the resporlse to contrast andluminance
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ノburnat(ゾ1!ision,
5,
1055−
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エ ッ シ ャー
の宇 宙 朝rl
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廣 重 力・
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Phenornena !charac−
teristics of the peripheral
drift
illus
正on.
VISfOrVT
(
fburn
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見た 「日1界 日本 経 済 新 聞 祉 )Appendix
ある平 面 上の 点 (x,
y)を網 膜 座 標E
の 点 (ρ,
O
)(極 座 標 系 表示 )に射影 す る.
こ の と き,
・一
・・c…(
ysin α 十dcOS
α , ibe2+y2 +d2
)
・一
・ ・c ・an(
yc °Sαヂ
sin α)
と表される.
ただ し,
そ の 平 面の 原 点は,
眼 を 通る そ の’
F
面の法 線 がその平 面 と交 わる点 と し,
そ の法 線からの y 軸 方 向(網膜 座慓E
で も子 午 線の上 方 向 )の 「仰 角」を α と し た.
また,
眼から平 面まで の 距 離をd と し た 〔Fig−
ure A).
102
Z
tieeJLxtlj#-y{
Figure
A.
The
method coordinates(p,
e)
from
pose
t,hatthc seen objcct isplane where a target cated, and that
on theg-axis with the
height
of "d".angle
betwecn
thc when the eye see$that is]ocatcd on the
.v-axis,
Thc visua]"p"
of the target the linefrom the
(vector
1)
andthc
target point T(vector
is
obtainedfrom
these two vectors. The anglee
is
given as theparallc] tothc x-axis through thc fovca]point
F and the ]ine another point T'
vectorlmeet$ the plane that
is
perpendicular to the visual axisthrough the
feveal
point F,n
a,o)
・・----・-,・・・,
't
)
''ti'.
T
X
to obtain the retinal
the visual world.
placed
on thex-ypoint T
(x,
y, O)is lo-an observing eye islocated"a"
is
the
visual axis and thc z-axis
a point F
(foveal
point)angle point isthe angle between
eye to the foveal point F
line
from
the eyeto
thc
i).
The visual angle pangle
between
theline
from the fovea] point F towhere the extension of