C阻cer23: 19-25 (2014) Carcinological Society of Japan
飼育下におけるラスパンマメガニの
フサゴカイ科の
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種への寄寓
Symbiotic relationship between the pinnotherid crab
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and the terebellid tube worm伊藤寿茂
l ToshishigeI
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oh ABSTRACT: We investigated therelationshipbetween the pinnnotherid crabPinnixa rathbuniand its host tube worrns (Terebellidae sp.) by culturing them in transparent plastic tanks. The worrns wereplaced in tanks with a small quantity ofmud to allow themto build mud tubes (nests) along the walls oftheta凶α.Then, some crabs andthe worms werere -leased in thetanks and observed on their activities The crabs activated aroundin tanksindependently ofthe position of wo口ntubes. The crabs自ttedthemselves within the tubes ofthe worrns andused the tubes for shelter when threatened. Further, the crabs sometimes destroyed the tube and expelled the hostwo口nsfromthe tubes. The ratio ofthe crabs having a symbiotic relationship with the worms was not high(average19.6%). Some crabs didnotdepend on the tubes at all, and others couldlive inand skill白llyuse the tubeswithoutthe worms.Key Words:mud ωbe, Pinnixa rathbuni, Symbioticrela -tionship, Terebellidaesp. 圃 は じ め に カクレガニ科Pinnotheridaeは世界で252種類以上 が知られ(武田,2001),日本には29種類を産する 小型のカニ類である(小西, 1996).多くの種類が 寄生もしくは共生(以下,寄寓と表記)生態を有し ており,中には生涯自由生活をする種や,生活史の 一部分だけ寄寓生活を行なう種もおり,種類によっ て宿主への依存の度合いは様々である(小西, 1996; 1新江ノ島水族館 干251-u035 神奈川県藤沢市片瀬海岸2ー19ーl Enoshima Aquarium, 2-19-1 Katase-Kaigan, Fujisawa City25トー0035,Japan E・mail:itou@enosui目com 武田, 2001;伊谷ら,2005). ラスパンマメガニ Pinnixarathbuniは日本各地の 内湾浅海域から370m0深の深海域まで広く分布す るカクレ力。ニ科のl種で,最大甲幅22.5mmほどに なる(池田, 1998).本種については,各地におけ る分布,出現状況 CSekiguchi,1977, 1981, 1983)や, 幼 生 の 記 載 CSekiguchi,1978;村岡, 1979)が行わ れているほか,その生態については,ベントスとし て大量に出現する(小西, 1996),海面に浮上して 群泳する(西村, 1995)といった自由生活者として の記述に加えて,チンチロフサゴカイLoimiaverru -cosaの巣(棲管)に寄寓する(和田, 1995;松尾, 1999)という報告がある.フサゴカイ類は周りの泥 や砂を集めて棲管と呼ばれる巣をつくるが(内田, 1992), ラスパンマメガニによるフサゴカイ類の棲 管利用行動の詳細はほとんど知られていない.この たび著者は,両者を飼育下で同居させて両穫の行動 を観察し,若干の知見を得たので報告する. .材料および方法 -a ' 生物の採集と輸送 観察に用いたラスパンマメガニとフサゴカイ科の l種は,共に2007年6月5- 7日に鹿児島湾奥部の 若尊プロトカルデラ周辺海域(水深約100m)にお いて(独)海洋研究開発機構 CJAMSTEC)の調査船 「なつしま」 の 無人探査機ハイバードルフィンに よって得られた(調査航海番号:NT07-09).当海 域には海底から熱水とガスが立ち上がる 「タギリ」 日本甲般類学会 Report
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が点在し,所々にサツマハオリム、ンLamellibrachia satsumaの大群落が形成されることで知られている (藤倉ら, 2008). タギリの周辺は泥底で,海水の透 明 度 が 低 く , 水 温150 C前 後 で , 溶 存 酸 素 濃 度 が 2 mg/L前後と低い環境を呈す.そうした環境にお いて,ハイパ一ドルフィンのスラープガン(吸引採 集器)を用いて,海底の泥を無作為に採取し,船上 でふるいを用いてソーティングしたところ,泥中よ りラスパンマメガニとフサゴカイ科のl種を得た. 生物は適量の泥とともに室温100
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の冷蔵コンテナ 室に設置したアクリル製水槽(水量約100L)で数 日間蓄養した後,酸素パッキングして水族館へ輸送 して継続飼育した. フサゴカイ科の 1種と同居させたラスパンマメガニ の行動観察 4個体のラスパンマメガ、ニ:甲幅7.8mmの雌(以 後,雌lと表記),甲幅7.2mmの雌(以後,雌2と 表記),甲幅6.0mmの雌(以後,雌3と表記),甲 幅5.5mmの雄(実験期間中のl月20日に発死)と, H個体のフサゴカイ科のl種を用いて, 2008年l月 3 日 ~2 月 24 日の聞に行った. サランネット(目合約0.3mm)の蓋をした透明 プラスチック製水槽(幅15cmX奥 行10cmX高さ 9 cm)を飼育容器とし(図1), これらを水温 10~ 120C
に保たれた強化ガラスプラスチック製水槽(総 水量約3000L)内に沈めて管理した. まず,棲管から取り出したフサゴカイ科のl種 を,少量の泥とともに飼育容器に入れて1~3日間 飼育し,プラスチック面に接した部分に棲管を作ら せ,棲管の内側が観察できる状態にした(図1). その飼育容器にラスパンマメガニを追加した(図 1) .以後1~3日毎に 9~ 13回,水槽内を観察して ラスパンマメガニとフサゴカイ科のl種の位置や体 の向き,観察時の行動を観察,記録した. 行動観察は3つの異なる条件下で行った(以下, 実験,1 実験2,実験3と表記). ラスパンマメヵーニ は上記の3~4個体を各実験に連続して供し,フサ ゴカイ科のl種は11個体の中から無作為に選んだ個 体を供した. 実験lはl月 3 日~21 日に行った. 水槽内にフサ ゴカイ科のl種l個体と少量の泥を入れ,棲管完成 後に余った泥を取り去り,ラスパンマメガニ4個体 を追加して観察した.実験 2 はl月 21 臼~2月 5 日 に行った.水槽内にフサゴカイ科のl種5個体と少 量の泥を入れ,棲管完成後に余った泥を取り去り, ラスパンマメカ。ニ3個体を追加して観察した.実験 3 は 2 月 6 日 ~24 日に行った.水槽内にフサゴカイ 科のl種5個体と泥を入れて棲管を作らせ,余った 泥を厚さ lcmほど敷いたまま残し,ラスパンマメ カ。ニ3個体を追加して観察した.なお,各実験期間 中に 1~2 回ずつ,すり潰したコマセアミをラスバ サランネットの蓋m
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ラスパンマメガニ
図1. ラスパンマメガニとフサゴカイ科のl種の飼育装置. Fig.1. Experimenta1 set-upofcu1ture ofth巴crabs,Pinnixarathbuniandthe terebellidtube worms. 20I
Can偶r23(2014)フサゴカイ科の1種の棲管造成の観察 2008年2月26 日 ~3 月 4 日に実施した(以下,実 験4と表記).前実験と閉じ飼育容器に,棲管から 取り出したフサゴカイ科のl種7個体を,棲管の材 料となる砂泥とともに収容した.以後,棲管の造成 過程を1~2日毎に観察, 記録した. 棲管の形状と 造成部分の概長,破損の有無などを記録した後,棲 管造成に使用されなかった余りの砂泥を取り去り, 新たに造成した棲管が区別しやすいように異なる色 の砂泥を加えることを繰り返した.造成部分の概長 の測定は,飼育容器の外側から方眼用紙を密着させ て測定し,砂泥の色が連続して閉じ部分を増築され た部分とみなした. 飼育下におけるラスパンマメガニのフサゴカイ科の
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種への寄寓 ンマメガニの餌として与えた. 水槽内で記録されたフサゴカイ科のl種の 行動パターンの割合とラスパンマメガニと の同居率. Table1. Rate of action pa仕ernsof the terebellid tube worms with the crab, Pinnixa rathbuni 表1. カニと の同居 這い出し率(%) 行動パターン(%) 個体 No. 実験 No. l z r r f 〆 l r f r 〆 l ; J J ' ノ : J J J 〆 A Y A H V A U A U n v A H V AU A U A U A U A U Z O 今 3 つ -凋 斗 ' l ' l。
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A Y A U t i l l の 1~3倍程度であった. 3日目以降に追加で造成 された棲管の長さには個体差があり,元の棲管の概 長を100%として,30 ~ 70%/day程 度 と 概 算 さ れ た.棲管の造成は前後両方向に向かつて行われた. 棲管の一部が破損すると,多くの場合,その部分を l日以内に補修したが,破損した棲管から這い出 し,新たな棲管を造成する個体もいた. ラスパンマメガニの行動 水槽内で観察されたラスパンマメガニ各個体の行 動を,各実験の全観察回に占める割合として,図2 に示す. ラスパンマメガニの行動は,以下の9パ ターンに大別された.棲管内に定位(以下,i
滞在」 と表記),観察時に棲管内へと移動 (以下,i
侵入J
と表記),観察時に棲管を内部から破壊(以下,i
破 壊J
と表記),棲管の外側に密着して定位(以下, 「密着」と表記),観察時に棲管によ じ 登 る (以下, 「よじ登り」と表記),フサゴカイ科のl種が入って いない棲管の外側に密着して定位(以下,i
古巣密 着」と表記),フサゴカイ科のl種が入っていない 棲管によじ登る(以下,i
古巣よじ登り」 と表記), 棲管から離れて歩き回る(以下,i歩行」と表記), 実験3において棲管以外の底泥に潜行(以下,i
潜 行」と表記).これらの行動パターンのうち,i
滞 在」と「侵入」 は棲管に強く依存する行動であるこ フサゴカイ科の 1種の行動と棲管造成 実験1~3に供した計 11 個体のフサゴカイ科のl 種は, 飼育容器に入れて 1~3日間の聞に,プラス チック面に接して内側が見える状態で棲管を造成し たが,その行動そのものは観察されなかった.観察 時にフサゴカイ科のl穫に見られた行動は,以下の 3パターンに大別された.棲管内でほとんど動かな い(以下,i静止」と表記),棲管内で向きを反転さ せる(以下,i
反転J
と表記),棲管内から這い出す (以下,i
這い出し」と表記). 実 験1~3に供したフサゴカイ科のl種11 個体 (No. 1 ~ 11)について, 全観察回に占める各行動パ ターンが占める割合と,ラスパンマメガニとの同居 率を求め,表lに示す.全観察回中,すべて「静止」 していた個体はl個体のみであり(実験2に供した 個体No.6),その他の個体では「反転」や 「這い出 し」が確認されたほか,移動して新たな棲管を造成 する個体もいた.これらの行動の多寡は,ラスパン マメガニとの同居の有無とは関連が見られなかった (スピアマンの順位相関係数,n=1l,p>0.05). 実験4におけるフサゴカイ科のl種の棲管造成は, 個体を棲管から取り出して砂泥の上に置いてから2 日間以内に行われた. 造成された棲管の概長は5~ 16cmの範囲内であり,フサゴカイ科のl種の体長 果~ロ
21 伽1CIII'2
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14)行動パターン
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•
: 'I帯夜 ー寓l
寄 :侵入 依存せず :被爆 :密着 :よじ登り :古巣密着 古巣よじ登り :歩行 :潜行図図図回図
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様管の利用 観察回数ー 13回 実験1 100% 観察回数 10回 実験3
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50~也 雌3 図2. 水槽内で観察されたラスパンマメガニの行動ノマターンの割合. Rateof action pattemsof thecrab, Pinnixa rathbuniwiththe terebellid tube worrns. 雌2 雌1 0 % 雌3 雌2 雌1。
%
(約67%) はフサゴカイ科のl種及びその棲管に依 存していなかったが,棲管への 「よじ登り」がl回 (約11%),棲管内への 「侵入」が2回(約 22%) 確 認された.雌 3は全観察回のうち7回(約 78%) が 棲 管 内 で の 「滞 在」で,I
侵 入」もl回(約11%) 確認された.雌lは棲管への 「密着」や「よじ登り」 は 観 察 さ れ た も の の , 全 実 験 回 の う ち6回(約 67%) は「歩行」しており,寄寓は一度も観察され Fig.2. とから寄寓と判断した(図 2).それに対して 「歩 行」と「潜行」は棲管に依存しない行動と判断した (図2).それ以外の行動パターンは,寄寓とはせ ず,単に棲管の利用と判断した(図2). 実験lでは,雌2と雌 3の2個体について寄寓が確 認され,全観察回に占める寄寓率はともに約 33% なかった. 実験3でも,フサゴカイ科のl種の個体数はラス パンマメガニの個体数より多かったが,寄寓率は低 く,雌3とフサゴカイ科のl種1個体との聞のみで 確認されただけであった.その一方で,水槽内に敷 かれた泥への依存度が高く,ラスパンマメガニ 3個 体で棲管に依存しない行動である 「歩行」と「潜 行」が 観 察 さ れ た.I潜 行」の 回 数 は 雌lで2回 (20%),雌 2と雌 3ではともに 4回 (40%)であり, であった.それに対して雌lは棲管の 「破壊」をl 回(約 8%) 行ったほかは棲管に依存せず,棲管か ら離れて 「歩行J
していた.雄は 「密着」ゃ 「よじ 登り」の行動を見せたが,実験の後半では棲菅から 離れて 「歩行」するようになり, 実験開始II日目 で死亡した(図2). 実験2では,フサゴカイ科のl種の個体数がラス パンマメガニの個体数より多かったが,ラスパンマ メヵーニの寄寓対象となったフサゴカイ科のl種はl 個体のみであった.寄寓を見せたラスパンマメガニ は雌 2と雌 3であった.雌 2は全観察回のうち 6回 Can偲 r23 (2014) 22飼育下におけるラスパンマメガニのフサゴカイ科の 1種への寄寓 雌3でもフサゴカイ科のl種に寄寓したり利用した 回数 (3回:30%)より多かった.全実験に供した ラスパンマメガニの総観察回に占める寄寓の割合は 平均19.6%であった. 棲管への寄寓と利用の様子を写真で図3に示す. 棲管内に「滞在」する個体は,棲管外での活動時と 異なり,各胸肢を棲管の内壁に沿って窄めて揃えて おり,棲管を破壊することなくその内側を移動した (図 3A).棲管内に「滞在」する個体は,フサゴカ イ科のl種の体に触れていることがほとんどであっ たが,ゴカイの胸腹部側(図3A)と触手部側(図 38) のどちらかを選んでいる様子はなかった.ま 図3. 水槽内で観察されたラスパンマメガニによるフサゴカイ科の l種の利用例. A-B:フサゴカイ科のl種 に接して棲管内に「滞在J.C-D:棲管の入口に定位し,刺激を察知して中に「侵入J.E:棲管の一部を 「破壊J.F:フサゴカイが使わなくなった古い棲管に密着. Fig.3. Photographsofthe crabs, Pinnixa rathbuniandtheterebellidtubewonns
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た,棲管外にいた一部の個体は,直ぐに棲管内に逃 げ込めるようにその入口付近にいたり,振動などの 刺激を与えた際には,棲管の入口に肢をかけ,最短 距離で円滑に棲管内へと 「侵入」した(図3C-D). さらに刺激を与え続けると,時に棲管を 「破壊」し たり (図3E),棲管内のフサゴカイ科のl種を追い 出してしまうこともあった.また,
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古巣密着」の 場合も,I
滞在」する時と同様の姿勢でいることが 多かった(図3F). ラスパンマメガニがフサゴカイ 科のl種を捕食する行動は観察されず,I
歩行」ゃ 「潜行」している個体にコマセアミを給餌すると, 直ちに察知して食べた..
奇 麗
カクレガニ科が寄寓する相手は二枚貝類がもっと も多く,その他に巻員類, ウニ類,ナマコ類,ホヤ 類,ゴカイ類などが知られている(小西, 1996;武田, 2001;伊谷ら,2005).その中にはアサリRuditapes philippinarum,マガキ Crassostreagigas,アコヤガイ Pinctadaル
catamartensii,ム ラ サ キ イ ガ イ Mytilus galloprovincia/is, トリガイ Fu/viamutica(杉浦ら, 1960;坂口, 1979;小西, 1996),チョウセンハマグ リMeretrix/ama陀kii(池田, 1993)といった食用有 用種も含まれる.食用有用種に関しては,カニの寄 寓による宿主の舞死,外套膜や鰐といった軟体部の 損傷や成長阻害,有機物の異常分泌など様々な弊害 が起こることが報告されており,小西 (1996)はカ クレガニ類の寄寓はその宿主にとって利益はない, つまり寄生もしくは片利共生の関係にあるとした. ラスパンマメガニのようにフサゴカイ類に寄寓す るカクレガニ科として,オヨギピンノ Tritodynamia ho。
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nthiが知られる(荒川, 1973;松尾, 1991, 1998, 1999).オヨギピンノは日本各地でときに大発生し, 水面を群泳する例が報告されている種である.松尾 (1957)は, 1955年に諌早湾の干潟に多産したチン チロフサゴカイの棲管内にオヨギピンノ, ラスパン マメガ、ニ,オオヨコナガピンノ T.rathbunae,ホンコ ンマメガニPpenultipeda/isといったマメガニ類が寄 寓していたと報告している.これら4種のうち,オ ヨギピンノとラスパンマメ力、ニは,宿主に対する寄 寓三容が40~50% と高く,オヨギピンノではもろくて2
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壊れやすい棲管からの出入り行動も観察されたこと などから,少なくともフサゴカイ類に対して無害な 片利共生の事例として示されていた(松尾, 1957). 本実験により,ラスパンマメガ、ニによるフサゴカ イ科のl種への依存を示す行動が再認された.棲管 内部への 「滞 在」ゃ 「侵 入J
が複数回認められ, 「滞在」中の移動や 「侵入」の動作も確認されたこ とから,既知の知見にあるとおり(松尾, 1957), ラスパンマメカ。ニはフサゴカイ科のl種に対する寄 寓生態を持っと判断される.本実験では,概略的な がらも複数回の観察結果からラスパンマメガニのフ サゴカイ科のl種に対する寄寓や棲管利用の割合を 定量的に求めることも試みた.ただし,供したラス パンマメガニの個体数が少なく,複数回の実験に同 一個体を重複して用いたことで,個体差や飼育環境 への思[1致の影響などがあり得たことに留意する必要 がある.本実験で用いた4個体のラスパンマメガニ に関して言えば,フサゴカイ科のl種に対する依存 度は個体間で差があり,寄寓の割合は高くない.利 用可能な棲管が増えても 「滞在」や「侵入」を行わ なかったり,底泥の追加に伴い 「歩行」や「潜行」 といった行動を行うことが多くなったことを鑑みる と,本種のフサゴカイ科のl種に対する依存は必須 ではないか,その生活史の一時期にみられる行動な のかもしれない.一方で, ラスパンマメカゃニはフサ ゴカイ科の l種を捕食したり,棲管を大きく破壊す ることはなく,棲管周辺において円滑に行動したこ とから,フサゴカイ科のl種の棲管を生活場所の一 部として有効に利用しているものと考えられる. さらに,フサゴカイ科のl種は,多くの個体がラ スパンマメガニの有無に影響されることなく,棲管 内の移動や棲管の増築を行うことが確かめられた. ラスパンマメガ、ニがフサゴカイ科のl穫の棲管を 「破壊」することもあったが,その程度は棲管の増 築や修繕の速度からすれば軽微なものであり,また ラスパンマメガニの寄寓によってフサゴカイ科のl 種の移動や棲管の造成活動が妨げられるような様子 も見られなかったことから,フサゴカイ科のl種の 生存や活動に与える影響は極めて軽微なものと考え られる. 本報告からは,フサゴカイ科のl種はラスパンマ メガニによる害をほとんど受けないものの,特に利飼育下におけるラスパンマメガニのフサゴカイ科の1種への寄寓 益も受けておらず,両者の関係は,ラスパンマメガ ニ側にだけ利益のある片利共生であることが示唆さ れる.
置
語 辞
本研究の遂行に際して独立行政法人 海洋研究開 発機構のNT06-04調査航海の首席研究者である岡山 大学理学部地球科学科の山中寿朗博士,北里大学海 洋生命科学部の三宅裕志博士をはじめとする乗船研 究者および調査船 「なつしま」の乗組員の皆様には サンプルの採集及び試供に多大なご協力を頂いた. また,新江ノ島水族館の堀由紀子館長,堀 一久氏 ならびに展示飼育部の北田 貢氏をはじめとする皆 様には本研究に報告の機会を与えて頂き多大なご助 言,ご助力を頂いた.これらの皆様に心からお礼申 し上げる. 圃 引 用 文 献 荒川好満, 1973. 1971年広島県下で発生したオヨギピ ンノ(カクレガニ科,甲殻類)の「赤潮J
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広島 県水産試験場研究報告,4:129ー131 藤倉克則・奥谷喬司・丸山 正, 2008.潜水調査船が 観た深海生物 深海生物研究の現在一.東海大学 出版会,神奈川, 487pp. 池田 等, 1993.ツメタガイに寄生していたフジナマ コカ‘ニ.Cancer, 3:9. 池田 等編著, 1998.ラスパンマメガニ.相模湾産深 海性蟹類.葉山しおさい博物館,神奈川, pp.47 伊谷 行・伊知地稔・植田拓史,2005.瀬戸内海燈灘 でユムシの巣穴から採集されたカニ類.Cancer, 14: 1--4 小西光一, 1996.カクレガニ類の最近の話題.Cancer, 5:15-21. 松尾美好, 1957.オヨギピン/(かくれがに科)の生 態.動物学雑誌, 66:96 松尾美好, 1991.群泳する蟹,オヨギピンノ(かくれ がに科)の出現水域と遊泳機構.Cancer, 1: 15. 松尾美好,1998. オヨギピンノの生活史1.Cancer, 7 1-8. 松尾美好, 1999.オヨギピン/の生活史1.1Cancer, 8 3-11. 村岡健作, 1979. ラスパンマメガニPinnixarathbuni Sakai(短尾類,カクレガニ科)の後期幼生.動物 学雑誌,88:288-294. 西村三郎編著, 1995. シロナマコガニ.原色検索日本 海岸動物図鑑11.保育社,大阪, pp.412--413 坂口清次, 1979. アサリ,アコヤガイなどのカクレカ ニ寄生症.水産庁(編)魚類等防疫指針, 3:119 120. Sekiguchi, H.,
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