• 検索結果がありません。

高齢者の身体情報処理特性に基づくバーチャル・リアリティ転倒予防プログラム開発に向けて

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "高齢者の身体情報処理特性に基づくバーチャル・リアリティ転倒予防プログラム開発に向けて"

Copied!
10
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

DOI: http://doi.org/10.14947/psychono.39.13

高齢者の身体情報処理特性に基づく

バーチャル・リアリティ転倒予防プログラム開発に向けて

1

寺 本   渉

熊本大学大学院

Development of fall prevention virtual-reality programs based

on older adults’

body-related information processing

Wataru Teramoto

Graduate School of Humanities and Social Sciences, Kumamoto University

Falls are a significant concern for older adults because they can sometimes drive the development of dementia. With age, sensory noise increases at the input level, while the precision, frequency, and diversity of physical move-ments decrease at the output level. These changes could prevent the brain from appropriately reweighting several sensory signals for body perception and action and from recalibrating representations related to the body and body movements, resulting in increased risk of falling. In fact, our data demonstrate that the sense of body ownership of the foot (but not the hand),peripersonal space representations, and motor imagery of gait are differently estab-lished between older adults with a higher risk of falling and those with a lower risk. Physical exercise is not only use-ful for the prevention of muscle weakness, the enhancement of the cardiovascular systems, and an increase in brain blood flow, but also contributes to the statistical reduction of sensory noise because several sensory feedback signals are available, enabling appropriate recalibration. However, physical exercise is sometimes unsafe for older adults who already have physical weakness. Fall prevention programs implemented through a virtual reality system would pro-vide them with another exercise tool to effectively stimulate the sensory-motor circuits in the brain and recalibrate their multisensory integration process and body-related representations in a safe, diversified, and individually tuned environment.

Keywords: older adults, body ownership, peripersonal space, motor imagery, virtual reality fall prevention

program, Bayesian Integration theory

1. は じ め に 我が国の総人口に占める 65歳以上の割合は,2019年 9月16日総務省発表の人口推計によれば28.4%に達して いる。2025年には30%に達し,そのうち3人に1人は認 知症およびその予備群になると予測されている(高齢社 会白書: 内閣府,2019)。認知機能低下による行動への 影響は顕著であり,記憶障害のみならず無理な横断や危 険運転などはすでに社会問題となっている。認知機能の 低下を防止し,いかに健康寿命,すなわち介護を必要と しない自立した生活ができる存命期間の向上を図るかが 喫緊の課題である。 高齢者における転倒は,寝たきりなど要介護状態を引 き起こす原因の一つであり(国民生活基礎調査の概況: 厚生労働省,2018),認知症の副次的促進要因である。 高齢者の転倒の原因には大きく分けて転倒する本人に起 因する内的要因と,室内の段差や照明など環境に起因す る外的要因がある(海老原,2019)。内的要因には,加 齢変化によるもの,身体的疾病(心不全などの循環器疾 患や変形性関節症などの骨関節疾患など)によるもの, Copyright 2020. The Japanese Psychonomic Society. All rights reserved. 1 本 研 究 は JSPS 科 研 費 19H00631 (代 表: 寺 本  渉),

16H06325 (代 表: 積 山  薫),25245068 (代 表: 積 山  薫)による支援を受けた。

* Corresponding address: Cognitive Psychology Lab., Gradu-ate School of Humanities and Social Sciences, Kumamoto University, 2–40–1 Kurokami, Chuo-ku, Kumamoto, Kuma-moto 860–8555 Japan. E-mail: teraKuma-moto@kumaKuma-moto-u. ac.jp

(2)

普段服用している薬剤(睡眠薬や血糖降下薬など)によ るものの3種類が挙げられる。このうち加齢変化による ものは,感覚機能低下や身体運動機能低下など一般に (身体的)フレイルと称される(荒井,2015)。フレイル は「動きにくい→動かない→廃用性機能障害→動けな い」という流れで軽度な状態から次第に重度化していく と言われ(新開,2015),さらに転倒リスクを高める状 態が引き起こされる。その一方で,適切な介入によりフ レイル前の状態に戻すことも可能と考えられている( 谷,2015)。 本稿においては,まず,感覚機能低下や身体運動機能 低下により,身体に関する感覚統合プロセスや自己身体 に関する知識の脳内表現に生じるであろう変化について ベイズ理論の観点から簡潔に整理する。次に,転倒リス クの高い高齢者が示す特徴的な身体知覚・認知に関し て,我々の研究成果を示す。そして最後に,転倒予防の ためのバーチャル・リアリティ(VR)を利用したリハ ビリテーションの可能性について述べる。 2. 高齢者の知覚–運動循環 我々は常に外界の情報を複数の感覚で取り込み,それ に基づき外界に働きかけを行い,働きかけた結果を再度 取り込み,再び働きかけを行う。歩行,障害物の回避, 他者との協働行為などヒトが身体を介して外界に対して 働きかけを行うためには,感覚入力に加えて,四肢の位 置や関節の角度情報,身体の動力学・運動学的情報など 先行経験から得た自己身体や身体運動に関する知識が必 要不可欠である。これには自己身体の大きさや形,身体 部位同士の関係性情報などの知識のほか,感覚入力に基 づき,結果を予測しながら行為を制御する運動制御に関 する知識が含まれる。これらの情報は,従来,身体イ メージ,身体図式,身体表象,運動表象,運動制御の内 部モデル(順モデルや逆モデル)など様々に呼ばれてき たものであるが,本稿ではすべてを包含したものとして 身体モデルと呼ぶ。複数の感覚入力と既存の身体モデル の統合の仕方は,ベイズ理論の枠組みによって理解可能 であることが示されている (Ernst & Bülthoff, 2004; Körd-ing & Wolpert, 2004) 。ベイズ理論に基づけば,事前に形 成された知識である身体モデルと外界からの最新の感覚 入力に基づき,もっとも確度の高い出力(知覚や行為) が形成され,その出力に応じて内的な事前知識が更新さ れる。若齢者はこの感覚–運動循環が適切に行われてお り,安定した知覚世界が構築され,効率的・効果的に行 為を生成し,外界との相互作用が実現できていると考え られる。 一方,高齢者においては,加齢に伴いフレイル状態が 進行すると,感覚入力段階では感度精度低下・ノイズの 増加が,出力段階では筋力低下等に伴う運動精度・頻 度・多様性の減少が固有の問題として生起する。その結 果,各感覚入力に対する重み付けや先行知識への重み付 けに変化が生じる。また,感覚精度・運動精度の低下 は,計算結果として出力される知覚や運動の正確な誤差 検出を妨げ,運動頻度・多様性の減少は計算結果の検証 機会を奪う。不十分な検証のまま身体モデルは更新され るため,感覚統合の仕方や身体モデルに歪みが生じ,か つ循環的に歪みが増大していくという形で,知覚や行動 に大きな影響が生じると考えられる(Figure 1)。高齢者 の転倒は,椅子から立ち上がるときや,階段を上ると き,部屋に入るときなど日常のちょっとした場面で生起 する。この背後には,こうした身体に関する感覚統合プ ロセス及び身体モデルの形成・更新プロセスの歪みが関 連している可能性がある。次節では,これまで若齢成人 で安定的に報告されてきた身体知覚・認知に関する諸現 象に関して,転倒リスクとの関係を調べた我々の研究を 解説する。

Figure 1. Schematic illustration of the sensory-motor loop assumed in older adults and its possible conse-quences. Prior knowledge or representations related to the body include body schema, body image, and inter-nal models of motor control. With age, noise in senso-ry signals increases and output motor action and its variety decrease, which could prevent the brain from appropriately recalibrating the multisensory processing and body-related representations, likely inducing falls.

(3)

3. 高齢者の身体情報処理

3.1 高齢者におけるラバーハンド/フット錯覚

身体知覚は,視覚や触覚,固有感覚など複数の感覚か らの情報と身体モデルの統合によって構築される。これ を端的に示す現象がラバーハンド錯覚(RHI: Rubber Hand Illusion, Botvinick & Cohen, 1998)である。典型的 なRHI実験では,観察者の一方の手を見えないようにし た状況で,偽物の手が目の前に置かれる。数分間見えな い本物の手と眼前の偽物の手を同期して刺激すると,偽 物の手が本物の手として感じられるようになる。また, RHI生起後に本物の手の位置を指し示させると偽物の手 の位置にずれた位置を指し示す。本物の手と偽物の手を 非同期で刺激した場合(Botvinick & Cohen, 1998)や偽 物の手が本物と見た目が完全に異なる場合(Armel & Ramachandran, 2003)にはRHIの生起率は下がる。この ことはRHIには複数感覚及び身体モデルの統合過程が深 く関与することを示唆する。 感覚統合プロセスは加齢とともに変化し,多くの場 合,高齢者においては若齢者よりも強い感覚間相互作用 が見 ら れ る(Mozolic, Hugenschmidt, Peiffer, & Laurienti, 2012)。しかし,65歳以上の高齢者を対象としたRHI研 究では,若齢者との間に大きな差は見いだされていない (例えば,Campos, El-Khechen Richandi, Taati, & Keshavarz,

2018)。そこで我々は 65歳以上の高齢者を対象として, 転倒リスクのほか,身体部位特異性という新たな側面を 検討項目として加え,身体知覚の加齢変化について調べ

た2。これまでの研究により,偽物の身体を自分の身体

と錯覚する現象は,手(RHI)にとどまらず,顔(Pala-dino, Mazzurega, Pavani, & Schubert, 2010)や頭(Ramach-andran, Krause, & Case, 2011),身体全体(Ehrsson, 2007; Lenggenhager, Tadi, Metzinger, & Blanke, 2007)など様々な 身体部位で生起することが報告されている。これには足 も含まれており(RFI: Rubber Foot Illusion, Crea, D’Alonzo, Vitiello, & Cipriani, 2015; Flögel, Kalveram, Christ, & Vogt, 2016),手と類似したやり方で身体知覚が構築されてい ることが示唆される。高齢になるとほぼすべての感覚が 衰える一方で,歩行能力が著しく低下することを考える と(Osoba, Rao, Agrawal, & Lalwani, 2019),下肢の固有感 覚が特に衰えやすいと考えられる。信頼性の高い感覚信

号により大きな重み付けを与え,足し合わせるという多 感覚統合の最適重みづけ仮説(Ernst & Banks, 2002)を 踏まえると,手よりも足に加齢の影響が現れやすいと考 えられる。 本物の右手または右足を遮蔽物により見えない状態に し,体幹側に偽物の手や足をおいた。この本物の手/足 と偽物の手/足を絵筆を用いて約1 Hzで3分間同期して 刺激することによってRHI及びRFIを惹起した。コント ロール条件として非同期条件(本物の手/足と偽物の手 /足を交互に刺激)も設けた。RHI及びRFIの指標には, 質問紙による主観評価(Longo, Schüür, Kammers, Tsakiris, & Haggard, 2008)と固有感覚ドリフト等を用いた。主観 評価においては,下位尺度として身体所有感,身体や触 覚位置の偏位,運動主体感を測定し,またその総体であ

る錯覚強度も求めた。転倒リスクの指標には,Timed

Up and Go Test (TUG)を用いた(Schumway-Cook, Brau-er, & Woollacott, 2000)。TUGでは,椅子に座った状態か ら立ち上がり,3メートル先の目標まで歩き,そこを 回って,椅子に戻り,座るまでの時間を計測する。ほか

にも全般的な認知機能を調べる検査であるMini Mental

State Examination (MMSE, Folstein, Folstein, & McHugh, 1975; Foreman, Flectcher, Mion, & Simon, 1996), 注 意 機 能・実行機能を調べるTrail Making Test A及びB (TMT-A, TMT-B),フレイル状態の指標の一つである握力検査, 視力検査(近見視力,遠見視力),触覚検出力検査等を 行った。実験には65歳以上88歳以下の地域在住高齢者 28名(78.8±6.3歳)と大学生及び大学院生25名(22.4± 2 本研究の一部は,Teramoto, W., & Hide, M. (2018).

Rub-ber hand/foot illusion in older adults. International Multi-sensory Research Forum, Chestnut Residence and Confer-ence Centre, University of Toronto, Toronto, Canada (June 14–17) より抜粋したものである.

Figure 2. Mean questionnaire scores of the rubber hand and foot illusions. The scores were calculated by aver-aging the ratings of all nine items in the questionnaire. Error bars denote the standard error of the mean.

(4)

1.8歳)が参加した。高齢者は全員MMSEの得点が24点 以上であり,認知症のスクリーニング基準を上回る得点 を有していた。転倒リスクによる分析においては, TUG成績の上位10名を低転倒リスク群,下位10名を高 転倒リスク群とした。 Figure 2には若齢者群,高齢者(高転倒リスク,低転 倒リスク)群の主観評価指標の結果を示す。RHIの主観 評価に関しては,群間差は認められず,同期条件の方が 非同期条件よりも有意に強い錯覚が生じていた。この結 果は先行研究に一致するものであった。RFIに関して は,若齢者群においては同期条件の方が非同期条件より も有意に強い錯覚が生じていた。一方,高齢者群におい ては様相が異なっていた。低転倒リスク群ではRFIの同 期条件と非同期条件の間に差が認められず,また,若齢 者や高転倒リスク群よりもRFI強度が小さかった。高転 倒リスク群は他群よりも大きなRFIを示したが,統計的 に有意な差とはならなかった。 以上の結果は,高齢者の身体知覚における視覚情報, 触覚情報,固有感覚情報及び身体モデルの統合の仕方 が,身体部位や転倒リスクによって異なることを示して いる。統計的有意差は見られなかったが,高転倒リスク 群で総じて大きなRFI値を示していた点は,視覚情報に 大きな重みを置くという高齢者の視触覚相互作用に関す る従来研究と一致したものであった(Poliakoff,

Ash-worth, Lowe, & Spence, 2006; Mahoney, Li, Oh-Park, Ver-ghese, & Holtzer, 2011)。一方で,低転倒リスク群の結果 は予想外のものであり,また,ドリフト指標等でも有意 な条件差は見られなかった。低転倒リスク群と高転倒リ スク群を他の検査項目で比べると,視力や触覚検出力, 注意機能には違いがない一方で,1日あたりの平均歩数 (3週間計測)によって定義される生活活動量や握力は, 低転倒リスク群の方が有意に大きかった。この点を踏ま えると,低転倒リスク群では日常的な運動によって身体 モデルが適切に更新されているため,信頼性の低い足に 関する感覚情報(視覚,触覚,固有感覚)よりも先行知 識としての身体モデルに重みを置いた処理を行っている ことを反映している可能性がある。 3.2 高齢者の身体近傍空間 我々が知覚する空間は分かれ目のないひと続きの空間 であるが,脳内では必ずしもそうではないことがこれまで の研究で示されている。身体表面数センチから数十セン チの空間である身体近傍空間 (PPS: Peripersonal Space) は, 身体部位ごとに特殊な空間が形成されている(Rizzolatti, Scandolara, Matelli, & Gentilucci, 1981)。また,行動上はPPS

内では強い視触覚相互作用が見られる。我々は日常いと も簡単に机の上のコップに手を伸ばしたり,障害物を避 けながら道を歩いたりしているが,そうした行為を行う 身体部位と外部環境にある対象との関係を適切に把握し, 最適な行動を導くうえでこのPPS表象が重要な役割を果 たしていると考えられる。PPS表象には可塑性があり, 道具の使用を繰り返すことで道具までもその表象にとり こまれる (Maravita & Iriki, 2004)。また,自己運動時に は進行方向側に拡大すること (Noel et al., 2015; 黒田・寺 本,2019)などが明らかになっている。これらは身体運 動と PPS表象には密接な関連性があることを示唆する。 そこで,高齢者におけるPPSと転倒リスクとの関係を調べた3 課題には単純検出課題を用いた。右または左半側に提 示される視覚刺激,触覚刺激,視触覚刺激に対してでき るだけ素早く応答させた(Figure 3)。触覚刺激は指先に 提示されるのに対して,視覚刺激は指先から5 cm (近距 離条件),32.5 cm (中距離条件),70 cm (遠距離条件)の いずれかの距離に提示された。実験参加者には左右どち ら側の刺激に応答すべきかを事前に伝えておき,応答す Figure 3. Schematic illustration of the setup in the

peripersonal space experiment (top view). Adapted from Teramoto et al. (2017).

3 本研究は Teramoto, W., Honda, K., Furuta, K., & Sekiyama, K. (2017). Visuotactile interaction even in far sagittal space in older adults with decreased gait and balance functions. Experimental Brain Research, 235, 2391–2405. より抜粋したものである.

(5)

べ き で な い側 に提示される刺激(catch 試行,全体の 16%)には応答しないよう教示した。視触覚条件に見ら れる反応時間促進効果に関して,MillerによるRace Model 基準(Miller, 1982)に当てはめて評価し,Race Model基 準以上の反応時間促進効果があった場合,視触覚相互作 用があるとみなした。TUG検査のほか,感覚知覚/認知 /身体運動機能検査として,視力検査(近見視力,遠見 視力),触覚検出力検査,MMSE, TMT-A及びB等を行っ た。実験には71歳以上82歳以下の地域在住高齢者25名 (75.0±3.3歳)と大学生11名(21.4±0.7歳)が参加した。 MMSEの得点が23点以下の高齢者5名は分析から除外し た。除外後の20名の平均年齢は74.6±2.9歳であった。転 倒リスクによる分析においては,TUG成績の上位10名を 低転倒リスク群,下位10名を高転倒リスク群とした。 その結果,高齢者は若齢者よりも反応時間が遅くなる 一方で,年齢群にかかわらず反応時間促進効果が見られ

た。Figure 4には若齢者と高齢者のRace Model基準によ

る分析結果を示す。横軸には反応時間のパーセンタイ ル,縦軸には,反応時間の累積相対度数を描いた際の Race Modelによる予測(視覚条件と触覚条件から計算) と実際の視触覚条件の差分を示す。正方向はRace Model による予測よりも実際の視触覚条件の反応時間の累積分 布が大きかったことを示す。反応時間の短い方25パー センタイルまでについてRace Modelによる予測と実際の 視触覚条件の値を比較し,統計的に差があった点(視触 覚相互作用として認められた点)についてアスタリスク を付けている。若齢者および低転倒リスク群は近距離で のみ視触覚相互作用が生起したのに対して,高転倒リス ク群は全ての距離で生起していた。なお,高齢者の2群 間には単一感覚反応時間やTUG成績以外の感覚知覚/ 認知/身体運動機能検査結果に差はなかった。 以上から,71歳以上の高齢者であっても低転倒リス ク群は若齢者と同様の PPS範囲を示していたのに対し て,高転倒リスク群で特異的にPPSが拡大していること が示唆された。従来,若齢者を対象とした研究で示され ているPPSの拡大は機能的意義を見いだせるものであっ た。例えば,道具の先端にまでPPSが拡大する現象は, 道具を身体の一部として表現することによって効率的な Figure 4. Results of Miller’s race model test in the peripersonal space experiment. Cumulative probability difference curves

between visuotactile stimuli (VT) and the sum of unisensory stimuli (V+T) are shown as functions of reaction time per-centiles: near (a), middle (b), and far (c) conditions. Adapted from Teramoto et al. (2017).

(6)

道具の操作や外界との相互作用が可能になると考えられ る。また,自己運動時に進行方向側にPPSが拡大する現 象についても,事前の危機回避や予測的応答という観点 から説明可能であった。しかし,身体表面から遠く離れ た視覚対象との間に視触覚相互作用が生じるというのは どのような機能的意義があるのだろうか。一つ考えられ るのは,転倒リスクの高い高齢者は姿勢や歩行制御に時 間が必要になるため,身体的応答が必要な範囲をあらか じめ広げておくということである。あるいは機能的意義 はなく,むしろPPSを過度に拡大してしまっていること が転倒につながっている可能性もある。歩行や姿勢制御 などを対象に高齢者の視覚,固有感覚,前庭感覚の相互 作用を調べた研究では,高齢者は過度に視覚に依存し, 視覚情報が安定した歩行や姿勢制御を行ううえで有効で なくなっても視覚情報の重みを下げられないことが報告 されている(Jeka, Allison, & Kiemel, 2010; Berard, Fung, & Lamontagne, 2012)。特に転倒リスクの高い高齢者では, spatial-updating課題において視覚情報の影響が大きいこ とも報告されている(Barrett et al., 2013)。高転倒リスク におけるPPS拡大の背景メカニズムについては,今後の 研究を待つ必要がある。 3.3 高齢者の運動イメージ いま部屋の中の椅子に座ってこの文章を読んでいると する。そのとき,実際に自分の身体を動かさなくても, 自分が椅子から立ち上がり,部屋の出入口まで歩いてい く様子を簡単に思い浮かべることができる。このように 我々人間には実際に身体を動かさなくても心的に運動を 生み出す能力がある。この心的過程は運動イメージ (motor imagery)と呼ばれる。Decety & Jeannerod (1996)

は運動イメージを“a dynamic state during which a subject mentally simulates a given action”と定義している。運動 プログラムや運動準備と運動イメージは異なる脳内過程 ではなく,運動イメージは実際運動がどこかのレベルで 遮られた状態といわれる(Decety & Jeannerod, 1996)。あ るいは,行為は潜在的な過程から顕在的な運動実行まで の連続体であり,運動イメージは行為の潜在的な部分と も考えられてきた(Jeannerod, 2006)。実際,近年の脳機 能イメージング研究によれば,運動イメージ中には運動 前野,補足運動野,頭頂葉および小脳など運動実行時に も活動する領域が活動するという(Hanakawa, Dymyan, & Hallett, 2008)。また,第一次運動野など運動実行にの み関与すると考えられてきた脳領域の関与を報告する研 究もある(例えば,Lotze et al., 1999)。以上から,身体 モデルのうち特に運動に関わる側面を顕在化させたもの が運動イメージといえよう。 高齢者を対象とした運動イメージ研究では,加齢に伴 う運動イメージの変化が報告されている(詳しくは Saimpont, Malouin, Tousignant, & Jackson, 2013を参照のこ と)。Saimpont, Pozzo, & Papaxanthis (2009)は,若齢者 (23.9±2.8 歳)と高齢者(75–87 歳,平均年齢 78.3±4.5 歳)を対象にして,手のメンタルローテーション課題を 実施し,高齢者群のみ非利き手の反応時間が利き手に比 べると有意に遅くなることを報告している。これは高齢 者においては,普段あまり使わない側の手の身体モデル が衰えている可能性を示している。山田・上原(2008) は,同様の課題を用いて20–86歳までの333名を調査し, 加齢に伴ってMR課題の反応時間が遅延する傾向にある ことや,転倒リスクの高い高齢者の反応時間はより遅延 することを明らかにした。これは,手の身体モデルの運 動的側面の変化と転倒リスクとの間に関連性があること を示唆する。

Personnier, Kubicki, Laroche, & Papaxanthis (2010)は歩 行運動イメージの加齢変化を調べた。若齢者(25.5±2.5 歳) と 高 齢 者(71.4±3.2 歳) を 対 象 に, 距 離 5 m, 幅 15 cm, 25 cmまたは50 cmの通路を,はみ出さないよう に自然なスピードで実際に歩く(実際歩行)課題と自然 なスピードで歩くことを1人称視点でイメージする課題 (イメージ歩行)を行わせ,実行時間を測定した。一般 に,実際運動では正確であろうとすると実行時間が長く なり,課題の難易度が高い(通路幅が狭い)ほど実行時 間が長くなる(Fittsの法則; Fitts, 1954)。この関係は運 動イメージでも成り立つ(Jeannerod, 2006)。実験の結 果,いずれの群でも Fittsの法則に従った結果が得られ た。しかし,若齢者においては実際歩行時間とイメージ 歩行時間の間に乖離がなかった一方,高齢者においては 実際歩行よりもイメージ歩行の実行時間を長く見積も り,通路幅が狭くなるほどその過大評価は大きくなっ た。これは環境に合わせて身体モデルを適切に用いるこ とができていない可能性を示唆する。我々はPersonnier et al. (2010)と同様の課題を用いて高齢者の転倒リスク との関係を調べた4 実験には 70歳から82歳の地域在住高齢者20名(74.5 ±3.3歳)と若齢者17名(21.7±4.4歳)が参加した。イ メージ歩行条件では座位で歩行環境を観察しながら1人 称視点で自然な速さで枠内を歩行するイメージを生成す 4 本研究の一部は,Kotegawa, K., Yasumura, A., & Teramoto, W. (2020). Activity in the prefrontal cortex during motor imagery of precision gait: An fNIRS study. Experimental Brain Research, 238, 221–228.より抜粋したものである.

(7)

るよう求めた。TUG検査のほか,MMSE, TMT-A及びB, 握力検査等を行った。高齢者は全員 MMSEの得点が24 点以上であり,認知症のスクリーニング基準を上回る得 点を有していた。転倒リスクによる分析においては, TUG成績の上位10名を低転倒リスク群,下位10名を高 転倒リスク群とした。なお,この2群に関して年齢,握 力などその他の検査項目で統計的に有意な差はなかっ た。 Figure 5には実際歩行時間とイメージ歩行時間につい て,若齢者,低転倒リスク高齢者,高転倒リスク高齢者 に分けて示した。通路幅の効果は参加者群や歩行課題の 違いによらず認められ,通路幅が狭くなるにつれて実行 時間も長くなり,Fittsの法則に従っていた。また,実際 歩行課題では参加者群による違いはなかった一方で,イ メージ歩行課題では高転倒リスク群が他の群よりも有意 に実行時間が長くなっていた。さらに,実際歩行課題時 間とイメージ歩行課題時間の相関分析を行ったところ, 若齢者においてはすべての通路幅で有意な相関が見られ た。また,低転倒リスク高齢者は15 cm通路幅で有意な 相関がみられた。一方,高転倒リスク高齢者はすべての 通路幅で有意な相関は見られなかった。 以上の結果は,特に転倒リスクの高い高齢者におい て,歩行に関する身体モデルに変容が生じている可能性 を示唆する。先述のように高転倒リスク高齢者には手の 身体モデルにも変容が生じている(山田・上原,2008) ことを考えると,身体モデルが広範囲にわたって変容し ている可能性がある。ただし,データを解釈するうえで 次の点には注意が必要である。Vry et al. (2012)は,運 動イメージ中に賦活する脳ネットワークは大きく2つに 分けられることを示している。1つは運動感覚領域を中 心とする背側前頭−頭頂ネットワークで,実際運動と運 動イメージの両方に関与するネットワークである。もう 1 つは,前頭前野と頭頂間溝を中心とする腹側ネット ワークで,純粋にイメージを実行するための運動イメー ジ特有のネットワークである。加齢による機能低下は前 頭前野で顕著にみられることはよく知られている(Haug & Eggers, 1991; Raz, Gunning-Dixon, Head, Dupuis, & Acker, 1998)。本研究や山田・上原(2008)の結果も身体モデ ルの変容ではなく,運動イメージ特有の前頭前野の機能 低下としてとらえられる可能性もある。本研究では,前 頭前野の一つの機能である注意機能や実行機能(主に抑 制機能)を調べるため TMT-A/Bを実施し,高転倒リス ク群と低転倒リスク群の間に差はないことを確認してい るが,他の機能に関しては不明である。今後は,例えば ワーキングメモリ機能等を調べる検査を合わせて実施す ることにより背景メカニズムをより明確化していく必要 がある。 4. VRを利用した転倒予防訓練の可能性 近年では介護予防,自立支援を促す取り組みの一つと して全国の各自治体や地域社会が主催となって運動教室 等が開催されている。これは高齢期にみられる「運動精 度・頻度・多様性の減少」を食い止める取り組みとして 有効性が高いと考えられる。また,運動により多くの感 覚フィードバックが得られることは感覚ノイズを統計的 に減少させるうえでも有効である。しかし,すでに筋力 低下が著しい場合や転倒により入院を余儀なくされてし まった場合には,身体的負荷が大きいため参加するのが 難しいばかりか,身体的状態を悪化させる可能性すらあ る。こうしたことから近年では運動イメージを利用した リハビリテーションが注目されている(López, Monge Pereira, Centeno, & Miangolarra Page, 2019)。先述のように 実際運動と運動イメージでは多くの脳ネットワークを共 有している。このことにより,実際運動がなくても,運 Figure 5. Average duration of actual walking and mental walking as a function of walking path width in the gait motor

(8)

動イメージによって運動出力に関わる脳ネットワークを 活性化させ,特定の運動出力を維持・向上させるという ものである。一方で,高齢者の運動イメージ想起能力に は個人差が大きいことも指摘されており(Saimpont et al., 2013),視覚情報や聴覚情報を付加することによって 運動イメージ想起を促進するといった試みもある(Here-mans et al., 2012)。 身体的負荷を増加させずに「運動精度・頻度・多様性 の減少」を食い止める別の方法にはVRを用いることが 考えられる。これは外的刺激によって「あたかも運動し ているかのような感覚」を惹起させ,運動イメージと同 様に運動実行と同じネットワークを刺激することを狙っ たものである。VRを用いる利点をまとめると次の3つ になる。第 1は,ここまで議論してきたように身体的 (肉体的)負荷が実際運動よりも少ないことである。こ れにより筋力が多少衰えても,ベッドのうえでも訓練を 実施することができる。また,実際場面よりも安全対策 に多くの人的/物的資源を割くことなく実施できる。第 2は,より現実的な場面を提示できることにある。現実 に極めて近い様々な場面を,利用者の状況に合わせて自 由に切り替えることができるため,運動イメージの欠点 を補うものとなる。第3は,非現実的な場面を容易に提 示できることにある。これにより,様々な環境変数や感 覚要素を恣意的に強調/減弱させることで,衰えた感覚 情報や運動成分のみを補完したり,矯正したりすること も可能になる。 Figure 6には,我々が作成したVR訓練プログラムの試 作品を高齢者が体験している様子を示している5。これ は,ヘッドマウントディスプレイ(HMD; Oculus Rift DK2)及びコントローラ(Oculus touch)を使用したも のである。参加者は椅子に座った状態で HMDを装着 し,コントローラをそれぞれの手に保持する。1人称視 点で仮想空間を観察している状態にし,コントローラに より腕振りの加速度を検出することによって自己運動速 度を制御している(速く繰り返し腕振りを行えばその分 だけ速く前に進む)。進行方向は,頭部中心に一致する。 Unity で用いて作成した訓練プログラムは,木や岩と いった障害物や橋などがある森や海辺などの仮想環境内 を散策して,できるだけたくさんの宝箱を探すというも のである。地域在住高齢者 28名(78.9±5.7歳)に対し て行った予備実験においては,1日あたり9分間(3分間 ×3回)を週2回のペースで6週間行うと,生活活動量 (6週間計測した際の1日の平均歩数)が低いほどTUG 成績が向上するが示されている。ただし,1回あたりの 時間や1日あたりの回数は高齢者を対象とした事前調査 により約8割の高齢者がVR酔い等を経験せずに体験で きる時間及び回数としたためか,効果は極めて弱いもの であった。今後は介入時間や訓練プログラムの内容など 詳細に決めていく必要がある。 5. ま と め 高齢者における転倒は認知症の副次的促進要因であ り,健康寿命の向上を図るためには早急に対策を講じる 必要がある。本稿では,高齢者においてフレイル状態の 進行に伴い,身体に関する感覚統合プロセスや身体モデ ルに生じうる変化についてベイズ理論の観点から整理し た。また,実際の実験データによって,自己身体知覚, 身体運動に関わる空間表現,身体運動表現に至るまで 様々な身体情報処理のレベルで変化が生じ,それが転倒 リスクと関係が深いことを示した。高齢者における運動 習慣は,筋力低下予防,心臓血管系強化,脳血流量増加 のため有効である。加えて,多くの感覚フィードバック を得て感覚ノイズを低減し,感覚機能や身体機能の現状 に合わせて感覚統合プロセスや身体モデルを適切に更新 するためにも極めて重要である。しかし,すでに筋肉量 が低下している高齢者にとっては身体的負荷が大きい。 5 本研究は,神田将寿・寺本 渉(2018)バーチャルリ アリティを用いた座位での擬似歩行運動介入の開発と 検証第 5回日本予防理学療法学会,北九州国際会議 場,2018年10月20日–21日.より抜粋したものであ る.

Figure 6. A photo taken of an older adult participant experiencing our VR training program. A 2D screen capture is shown in the bottom-right corner.

(9)

VRは身体的負荷をあまりかけることなく,感覚−運動 循環を刺激できるため,実際運動と併用することによっ て将来転倒予防するための有効な手段となりうると考え られる。 引用文献 荒井秀典 (2015).フレイルと介護予防 エイジングア ンドヘルス,72, 21–23.

Armel, K. C., & Ramachandran, V. S. (2003). Projecting sensa-tions to external objects: Evidence from skin conductance response. Proceedings of the Royal Society London B: Biologi-cal Sciences, 270, 1499–1506.

Barrett, M. M., Doheny, E. P., Setti, A., Maguinness, C., Foran, T. G., Kenny, R. A., & Newell F. N. (2013). Reduced vision selectively impairs spatial updating in fall-prone older adults. Multisensory Research, 26, 69–94.

Berard, J., Fung, J., & Lamontagne, A. (2012). Impact of aging on visual reweighting during locomotion. Clinical Neuro-physiology, 123, 1422–1428.

Botvinick, M., & Cohen, J. (1998). Rubber hands ‘feel’ touch that eyes see. Nature, 391, 756.

Campos, J. L., El-Khechen Richandi, G., Taati, B., & Kesha-varz, B. (2018). The rubber hand illusion in healthy younger and older adults. Multisensory Research, 31, 537–555. Couth, S., Gowen, E., & Poliakoff, E. (2016). Investigating the

spatial and temporal modulation of visuotactile interactions in older adults. Experimental Brain Research, 234, 1233– 1248.

Crea, S., D’Alonzo, M., Vitiello, N., & Cipriani, C. (2015). The rubber foot illusion. Journal of NeuroEngineering Rehabilita-tion, 12, 77.

Decety, J., & Jeannerod, M. (1996). Mentally simulated move-ments in virtual reality: Does Fitts’s law hold in motor im-agery? Behavioural Brain Research, 72, 127–134.

海老原 覚 (2019).高齢者転倒予防の新機軸 The Japa-nese Journal of Rehabilitation Medicine, 56, 408–411. Ehrsson, H. H. (2007). The experimental induction of

out-of-body experiences. Science, 317, 1048.

Ernst, M. O., & Banks, M. S. (2002). Humans integrate visual and haptic information in a statistically optimal fashion. Nature, 415, 429–433.

Ernst, M. O., & Bülthoff, H. H. (2004). Merging the senses into a robust percept. Trends in Cognitive Science, 8, 162–169. Fitts, P. M. (1954). The information capacity of the human

motor system in controlling the amplitude of movement. Journal of Experimental Psychology, 47, 381–391.

Flögel, M., Kalveram, K. T., Christ, O., & Vogt, J. (2016). Ap-plication of the rubber hand illusion paradigm: Comparison between upper and lower limbs. Psychological Research, 80, 298–306.

Folstein, M. F., Folstein, S. E., & McHugh, P. R. (1975). ‘Mini-mental state’: A practical method for grading the cognitive state of patients for the clinician. Journal of Psychiatric Re-search, 12, 189–198.

Foreman, M. D., Fletcher, K., Mion, L. C., & Simon, L. (1996). Assessing cognitive function. Geriatric Nursing, 17, 228– 232.

Hanakawa, T., Dymyan, M. A., & Hallett, M. (2008). Motor planning, imagery, and execution in the distributed motor network: A time–course study with functional MRI. Cere-bral Cortex, 18, 2775–2788.

Haug, H., & Eggers, R. (1991). Morphometry of the human cortex cerebri and corpus striatum during aging. Neurobiol-ogy of Aging, 12, 336–355.

Heremans, E., Nieuwboer, A., Feys, P., Vercruysse, S., Vanden-berghe, W., Sharma, N., & Helsen, W. F. (2012). External cueing improves motor imagery quality in patients with Parkinson disease. Neurorehabilitation and Neural Repair, 26, 27–35.

Jeannerod, M. (2006). Motor cognition: What actions tell the self. New York: Oxford University Press.

Jeka, J. J., Allison, L. K., & Kiemel, T. (2010). The dynamics of visual reweighting in healthy and fall-prone older adults. Journal of Motor Behavior, 42, 97–208.

Körding, K. P., & Wolpert, D. M. (2004). Bayesian integration in sensorimotor learning. Nature, 427, 244–247.

厚生労働省 (2018).国民生活基礎調査の概況 黒田尚輝・寺本 渉 (2019).自己運動速度が身体近傍 空間の範囲に及ぼす影響 日本バーチャルリアリティ 学会論文誌,24, 325–328. 谷雅文 (2015).超高齢社会におけるサイコペニアと フレイル 日本内科学会雑誌,104, 2602–2607.

Lenggenhager, B., Tadi, T., Metzinger, T., & Blanke, O. (2007). Video ergo sum: Manipulating bodily self-consciousness. Science, 317, 1096–1099.

Longo, M. R., Schüür, F., Kammers, M. P. M., Tsakiris, M., & Haggard, P. (2008). What is embodiment?: A psychometric approach. Cognition, 107, 978–998.

López, N. D., Monge Pereira, E., Centeno, E. J., & Miangolarra Page, J. C. (2019). Motor imagery as a complementary tech-nique for functional recovery after stroke: A systematic review. Topics in Stroke Rehabilitation, 26, 576–587. Lotze, M., Montoya, P., Erb, M., Hülsmann, E., Flor, H., Klose,

N., . . . Grodd, W. (1999). Activation of cortical and cerebel-lar motor areas during executed and imagined hand move-ments: An fMRI study. Journal of Cognitive Neuroscience, 11, 491–501.

Mahoney, J. R., Li, P. C. C., Oh-Park, M., Verghese, J., & Holtzer, R. (2011). Multisensory integration across the sens-es in young and old adults. Brain Rsens-esearch, 1426, 43–53. Maravita, A., & Iriki, A. (2004). Tools for the body (schema).

Trends in Cognitive Sciences, 8, 79–86.

Miller, J. (1982). Divided attention evidence for coactivation with redundant signals. Cognitive Psychology, 14, 247–279. Mozolic, J. L., Hugenschmidt, C. E., Peiffer, A. M., & Laurienti,

P. J. (2012). Multisensory integration and aging. In M. M. Murray & M. T. Wallace (Eds.), The neural bases of multi-sensory processes. Boca Raton, FL: CRC Press.

内閣府 (2019).令和元年版高齢社会白書

(10)

Serino, A. (2015). Full body action remapping of periper-sonal space: The case of walking. Neuropsychologia, 70, 375–384.

Osoba, M. Y., Rao, A. K., Agrawal, S. K., & Lalwani, A. K. (2019). Balance and gait in the elderly: A contemporary re-view. Laryngoscope Investigative Otolaryngology, 4, 143–153. Paladino, M.-P., Mazzurega, M., Pavani, F., & Schubert, T. W.

(2010). Synchronous multisensory stimulation blurs self-other boundaries. Psychological Science, 21, 1202–1207. Personnier, P., Kubicki, A., Laroche, D., & Papaxanthis, C.

(2010) Temporal features of imagined locomotion in nor-mal aging. Neuroscience Letters, 476, 146–149.

Poliakoff, E., Ashworth, S., Lowe, C., & Spence, C. (2006). Vi-sion and touch in ageing: Crossmodal selective attention and visuotactile spatial interactions. Neuropsychologia, 44, 507–517.

Ramachandran, V. S., Krause, B., & Case, L. K. (2011). The phantom head. Perception, 40, 367–370.

Raz, N., Gunning-Dixon, F. M., Head, D., Dupuis, J. H., & Acker, J. D. (1998). Neuroanatomical correlates of cognitive aging: evidence from structural magnetic resonance imag-ing. Neuropsychology, 12, 95–114.

Rizzolatti, G., Scandolara, C., Matelli, M., & Gentilucci. M.

(1981). Afferent properties of periarcuate neurons in ma-caque monkeys. II. Visual responses. Behavioural Brain Research, 2, 147–163.

Saimpont, A., Malouin, F., Tousignant, B., & Jackson, P. L. (2013). Motor imagery and aging. Journal of Motor Behav-ior, 45, 21–28.

Saimpont, A., Pozzo, T., & Papaxanthis, C. (2009). Aging af-fects the mental rotation of left and right hands. PLoS ONE, 4, e6714.

Shumway-Cook, A., Brauer, S., & Woollacott, M. (2000). Pre-dicting the probability for falls in community-dwelling old-er adults using the Timed Up & Go Test. Physical Thold-erapy, 80, 896–903. 新開省二 (2015).身体機能とフレイル エイジングア ンドヘルス,72, 24–26. 山田 実・上原稔章 (2008).運動イメージ想起能力の 年代別基準値の作成および高齢者における転倒との関 係――手・足の写真によるメンタルローテーションを 用いた検討―― 理学療法科学,23, 579–584.

Vry, M. S., Saur, D., Rijntjes, M., Umarova, R., Kellmeyer, P., Schnell, S., . . . Weiller, C. (2012). Ventral and dorsal fiber systems for imagined and executed movement. Experimen-tal Brain Research, 219, 203–216.

Figure 1. Schematic illustration of the sensory-motor  loop assumed in older adults and its possible  conse-quences
Figure 2. Mean questionnaire scores of the rubber hand  and foot illusions. The scores were calculated by  aver-aging the ratings of all nine items in the questionnaire
Figure 6. A photo taken of an older adult participant  experiencing our VR training program

参照

関連したドキュメント

In the previous section, we revisited the problem of the American put close to expiry and used an asymptotic expansion of the Black-Scholes-Merton PDE to find expressions for

The only thing left to observe that (−) ∨ is a functor from the ordinary category of cartesian (respectively, cocartesian) fibrations to the ordinary category of cocartesian

The inclusion of the cell shedding mechanism leads to modification of the boundary conditions employed in the model of Ward and King (199910) and it will be

Keywords: Convex order ; Fréchet distribution ; Median ; Mittag-Leffler distribution ; Mittag- Leffler function ; Stable distribution ; Stochastic order.. AMS MSC 2010: Primary 60E05

Inside this class, we identify a new subclass of Liouvillian integrable systems, under suitable conditions such Liouvillian integrable systems can have at most one limit cycle, and

Answering a question of de la Harpe and Bridson in the Kourovka Notebook, we build the explicit embeddings of the additive group of rational numbers Q in a finitely generated group

Analogs of this theorem were proved by Roitberg for nonregular elliptic boundary- value problems and for general elliptic systems of differential equations, the mod- ified scale of

Then it follows immediately from a suitable version of “Hensel’s Lemma” [cf., e.g., the argument of [4], Lemma 2.1] that S may be obtained, as the notation suggests, as the m A