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Ⅰ 穀物 1 小麦 (1) 国際的な小麦需給の概要 ( 詳細は右表を参照 ) < 米国農務省 (USDA) の見通し > 生産量 2017/18 年度前年度比前月比生産量は インド EU 等で増加するものの 米国で冬小麦の収穫面積が 100 年以上ぶりの低水準となること等から減少 豪州 ロシア等でも

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1 -Ⅰ 穀物 1 小麦 (1) 国際的な小麦需給の概要(詳細は右表を参照) <米国農務省(USDA)の見通し> 【生産量】 2017/18年度 前年度比 前月比 生産量は、インド、EU等で増加するものの、米国で冬小麦の収穫面積が100年以 上ぶりの低水準となること等から減少、豪州、ロシア等でも減少が見込まれることか ら、世界全体では史上最高となった前年度を下回り739.5百万トンとなる見込み。 なお、前月からの予測の改訂は、世界全体で上方修正され、国別には、ロシア、米 国で上方修正、インド、EUで下方修正された。 【消費量】 2017/18年度 前年度比 前月比 消費量は、インド等で増加するものの、中国等で減少が見込まれることから、世界 全体では史上最高となった前年度を下回り734.8百万トンとなる見込み。 なお、前月からの予測の改訂は、世界全体で下方修正され、国別には、ロシアで上 方修正、インドで下方修正された。 【貿易量】 2017/18年度 前年度比 前月比 世界全体の貿易量は、前年度より減少し、178.6百万トンとなる見込み。 国別には、輸出国では、EU、カナダ等で増加し、豪州、ウクライナ等で減少する 見込み。輸入国では、EU等で増加し、日本で減少する見込み。 なお、前月からの予測の改訂は、世界全体で上方修正され、輸出国では、アルゼン チンで上方修正、EUで下方修正、輸入国では、ブラジルで上方修正された。 【期末在庫量】 2017/18年度 前年度比 前月比 世界全体の期末在庫量は、前年度より増加し、史上最高の261.2百万トンの見込み。 国別には、米国、イラン等で在庫が取り崩されるものの、中国等で積み増しされる 見込み。世界全体の期末在庫率は35.5%と前年度より上昇する見込み。 なお、前月からの予測の改訂は、世界全体で上方修正され、国別には、ロシア、米 国、EUで上方修正、イラン、インドで下方修正された。 表-1 世界の小麦需給(米国農務省) (単位:百万トン) 予 測 値 からの変更前月予測 増減率(%)対前年度 生   産   量 7 3 7. 0 7 5 4. 1 73 9 .5 1 . 7 ▲ 1 . 9 EU 160.5 145.5 150.8 ▲ 0.3 3.6 中国 130.2 128.9 131.0 - 1.7 インド 86.5 87.0 96.0 ▲ 1.0 10.3 ロシア 61.0 72.5 69.0 2.0 ▲ 4.9 米国 56.1 62.9 49.6 0.1 ▲ 21.0 カナダ 27.6 31.7 28.4 - ▲ 10.6 豪州 24.2 35.0 25.0 - ▲ 28.6 消   費   量 7 1 2. 0 7 4 0. 3 73 4 .8 ▲ 0 .1 ▲ 0 . 7 うち飼料用 136.5 147.3 139.1 0.6 ▲ 5.5 EU 129.9 128.5 127.3 - ▲ 1.0 中国 112.0 118.5 116.0 - ▲ 2.1 インド 88.6 97.5 99.0 ▲ 1.0 1.5 ロシア 37.0 40.0 40.0 0.5 - 米国 32.0 32.8 32.4 - ▲ 1.2 パキスタン 24.4 24.5 25.4 - 3.7 エジプト 19.2 19.7 20.0 - 1.5 貿   易   量 1 7 2. 8 1 8 0. 3 17 8 .6 0 . 2 ▲ 1 . 0 (輸出) EU 34.7 27.0 30.5 ▲ 0.5 13.0 ロシア 25.5 27.5 29.0 - 5.5 米国 21.1 28.2 27.2 - ▲ 3.4 カナダ 22.1 20.0 22.0 - 10.0 豪州 16.1 24.0 19.0 - ▲ 20.8 ウクライナ 17.4 17.8 14.5 - ▲ 18.5 アルゼンチン 9.6 11.2 11.5 0.5 2.7 (輸入) 170.0 175.9 178.7 0.2 1.6 エジプト 11.9 11.5 12.0 - 4.3 インドネシア 10.1 9.0 9.5 - 5.6 アルジェリア 8.2 8.0 8.0 - - ブラジル 6.8 7.0 7.0 0.1 - EU 6.9 5.5 6.5 - 18.2 バングラデシュ 4.7 6.0 6.8 - 13.3 日本 5.7 5.9 5.8 - ▲ 1.7 期 末 在 庫 量 2 4 2. 6 2 5 6. 4 26 1 .2 2 . 9 1 . 9 中国 97.0 110.8 128.0 - 15.5 米国 26.6 31.6 25.2 0.3 ▲ 20.4 EU 15.6 11.0 10.5 0.3 ▲ 4.5 インド 14.5 9.5 10.0 ▲ 0.1 5.2 ロシア 5.6 11.1 11.6 2.0 4.5 豪州 5.6 8.8 7.0 - ▲ 21.0 イラン 8.2 6.5 4.1 ▲ 0.7 ▲ 37.1 期 末 在 庫 率 3 4. 1 % 3 4. 6 % 3 5 .5 % 0 . 4 0 . 9 資料:USDA 「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、

「Grain:World Markets and Trade」、「PS&D」(9 June 2017) 20 1 7/ 1 8 年   度 20 1 5/ 1 6 2 0 16 / 17 ( 見 込 み ) 図-1 世界の小麦のシェア(2017/18年度) EU 17% ロシア 16% 米国 15% カナダ 12% 豪州 11% ウクライナ 8% アルゼンチン 7% カザフスタン 4% その他 10% 輸出量 1.8億トン EU 20% 中国 18% インド 13% ロシア 9% 米国 7% カナダ 4% パキスタン 4% 豪州 3% その他 22% 生産量 7.4億トン

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(2) 小麦の主要生産・輸出国等の需給状況 ア 米国 【需給状況】(詳細は右表を参照) <米国農務省の見通し> 生産量は、冬小麦の収穫面積が100年以上ぶりの低水準となること等から 前年度より減少し、49.6百万トンとなる見込み。 消費量は、前年度より減少し、32.4百万トンとなる見込み。 輸出量は、前年度より減少し、27.2百万トンとなる見込み。 期末在庫量は、前年度より減少し、期末在庫率も42.2%に低下する見込み。 なお、前月からの予測の改訂は、2016/17年度の輸入量、期末在庫量で上 方修正、2017/18年度の生産量、輸入量で上方修正された。結果として、期 末在庫量が上方修正された。 【生育進捗状況及び作柄】 <冬小麦> 冬小麦は米国の小麦生産量の約7割を占め、大平原を中心に各地で栽培され、 例年、播種は9~10月頃、収穫は翌年6~7月頃に行われる。 2017/18年度の冬小麦の播種作業は2016年9~11月に行われた。秋~冬の大平 原と中西部の乾燥は2017年4月以降の降雨で緩和したものの、4月下旬の季節 はずれの雪と強風により、大平原東部の多くの硬質赤色冬小麦(HRW)に被害が発 生。収穫作業は5月下旬頃から南部のテキサス州中央部~オクラホマ州南西部 で開始された。米国農務省(USDA)「Crop Progress」によれば、6月18日時点の主要 18州の収穫進捗率は28%と、前年(23%)及び過去5年平均(25%)を上回ってい る。作柄評価は、良/やや良の割合が49%と前年(61%)を下回っている(図-2)。 <春小麦> 春小麦は主に北部で栽培され、例年、播種は4~5月頃、収穫は8~9月頃 に行われる。2017/18年度の春小麦の播種作業は、2017年4月の低温湿潤型の天 候で遅れ気味となったものの5月下旬にほぼ終了。6月以降、大平原北部で高 温・乾燥型の天候により作柄が悪化している。USDA「Crop Progress」によれば、 6月18日時点の主要6州の作柄評価は、良/やや良の割合が41%と、前週(45%) から悪化し、前年(76%)を下回っている(図-3)。出穂進捗率は15%と、前年 同期(25%)を下回るものの過去5年平均(17%)を上回っている。 図-2 冬小麦の作柄評価(主要18州) 図-3 春小麦の作柄評価(主要6州) 資料:USDA「Crop Progress」(2017.6.19)をもとに農林水産省で作成。 2 7 30 49 12 5 11 34 42 8 5 11 35 41 8 悪い やや悪い 普通 やや良い 良い 前年 前週 2017/6/18 (%) 1 3 20 64 12 7 13 35 38 7 9 18 32 35 6 悪い やや悪い 普通 やや良い 良い 前年 前週 2017/6/18 (%) 我が国の輸入先国シェア1位(2016年数量ベース 46.3%) 世界の生産量シェア 5位(2017/18年度 6.7%) 輸出量シェア 3位(2017/18年度 15.2%) 表-2 米国の小麦需給(市場年度:6月~翌年5月) 写真-1 米国・テキサス州中部バートレット -終盤を迎える収穫作業の様子-(2017年5月26日撮影) 撮影:Allen Meissner氏 (単位:百万トン) 予 測 値 からの変更前月予測 増減率(%)対前年度 生 産 量 56.1 62.9 49.6 0.1 ▲ 21.0 消 費 量 32.0 32.8 32.4 - ▲ 1.2 うち飼料用 4.1 5.2 4.6 - ▲ 10.4 輸 出 量 21.1 28.2 27.2 - ▲ 3.4 輸 入 量 3.1 3.2 3.5 0.1 11.3 期末在庫量 26.6 31.6 25.2 0.3 ▲ 20.4 期末在庫率 50.0% 51.8% 42.2% 0.5 ▲ 9.6 (参考) 収穫面積(百万ha) 19.15 17.76 15.59 - ▲ 12.2 単収(t/ha) 2.93 3.54 3.18 - ▲ 10.2 年   度 2015/16 2016/17 (見 込 み ) 2017/18

資料:USDA 「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、 「Grain: World Markets and Trade」、

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3 -イ カナダ 【需給状況】(詳細は右表を参照) <米国農務省の見通し> 生産量は、収穫面積が増加するものの、単収が低下することから前年度よ り減少し、28.4百万トンとなる見込み。 消費量は、前年度より減少し、8.8百万トンとなる見込み。 輸出量は、引き続きたんぱく含有量が高い小麦への需要があること等から、 前年度より増加し、22.0百万トンとなる見込み。 期末在庫量は、前年度より減少し、期末在庫率も16.8%に低下する見込み。 なお、前月からの予測の改訂は行われていない。 【生育進捗状況及び作柄】 <春小麦> カナダの小麦生産量の約9割を占める春小麦及びデュラム小麦は、主にプレ ーリー(同国西部のアルバータ州南東部からマニトバ州南西部の平原)で栽培さ れ、例年、播種は5月頃、収穫は8~10月頃に行われる。 2017/18年度の播種作業は、2017年4月下旬から開始されたが、4月の冷涼湿 潤型の天候により作業に遅れが生じた。5月以降は、北部の一部で土壌水分過 多の状態が続いたものの、大半で温暖乾燥型の天候となり圃場の状態が改善し て作業が進展し、6月半ばにほぼ終了した。 州別の作物報告によれば、サスカチュワン州では、播種作業の進捗率が6月12 日時点で99%となりほぼ終了。南部で5月下旬~6月初旬に乾燥に見舞われた ものの、その後の降雨により土壌の乾燥状態が緩和。6月19日時点の春穀物の 生育進展は、40%が遅れているものの、60%は平年並み/平年以上となっている。 アルバータ州では、6月13日時点の春穀物全体の播種進捗率は96%とほぼ終 了。作柄評価は、春小麦の良/やや良の割合が80.4%、デュラム小麦は82.8%。 カナダ農務農産食品省(AAFC)「Outlook for Principal Field Crops」(2017.6. 15)及びカナダ統計局(StatCan)データによれば、2017/18年度の播種面積は、デ ュラム小麦が期首在庫が潤沢なことから前年度を17%下回る2.1百万ヘクタール となる一方、春小麦は期首在庫が少なく、冬小麦及びデュラム小麦からのシフ トにより前年度を8%上回る6.7百万ヘクタールとなる見込み。 <冬小麦> 冬小麦は主に東部のオンタリオ州で栽培され、播種は9月頃、収穫は翌年7 ~8月頃に行われる。 2017/18年度の播種作業は2016年9月に行われた。価格低迷や西部での前作の 収穫遅延により、播種面積は前年度を12%下回る0.6百万ヘクタールとなった。 冬季の休眠を終えて2017年春以降生育を再開した作物の作柄は総じて良好。 【貿易情報】

カナダ穀物協会(CGC)「Grain Statistics Weekly」によれば、2016/17年度 (2016年8月~)の輸出量は、2017年6月18日時点で普通小麦が12.7百万トン(対 前年同期比11.3%減)、デュラム小麦が3.8百万トン(同3.3%減)となっている。 我が国の輸入先国シェア2位(2016年数量ベース 33.0%) 世界の生産量シェア 6位(2017/18年度 3.8%) 輸出量シェア 4位(2017/18年度 12.3%) 表-3 カナダの小麦需給(市場年度:8月~翌年7月) 写真-2 カナダ西部アルバータ州(2017年6月5日撮影) -生育は順調で、第4~5葉期から分げつ期を迎えた春小麦畑- 写真提供:Gerry Good氏 (単位:百万トン) 前月予測 からの変更 対前年度 増減率(%) 生 産 量 27.6 31.7 28.4 (29.5) - ▲ 10.6 消 費 量 7.9 10.2 8.8 (9.0) - ▲ 13.7 うち飼料用 2.7 5.0 3.5 (4.6) - ▲ 30.0 輸 出 量 22.1 20.0 22.0 (20.9) - 10.0 輸 入 量 0.5 0.5 0.5 (0.1) - ▲ 8.2 期末在庫量 5.2 7.2 5.2 (6.3) - ▲ 27.9 期末在庫率 17.3% 23.7% 16.8% (21.1%) - ▲ 7.0 (参考) 収穫面積(百万ha) 9.58 8.88 9.00 (9.22) - 1.4 単収(t/ha) 2.88 3.57 3.15 (3.20) - ▲ 11.8

資料:USDA 「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、 「World Agricultural Production」(9 June 2017)   AAFC 「Outlook For Principal Field Crops」(15 June 2017)

2016/17 (見 込 み ) 2015/16 2 017/18 年   度 予測値、( )はAAFC

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ウ 豪州 【需給状況】(詳細は右表を参照) <米国農務省の見通し> 生産量は、史上最高となった前年度から単収が低下するとともに、低水準 な国際価格を背景に作付面積も減少することから、前年度より減少し、25.0 百万トンとなる見込み。 消費量は、ほぼ前年度並みの8.0百万トンとなる見込み。 輸出量は、前年度より減少し、19.0百万トンとなる見込み。 期末在庫量は、前年度より減少し、期末在庫率も25.9%に低下する見込み。 なお、前月からの予測の改訂は行われていない。 【生育進捗状況及び作柄】 豪州の小麦は、主に西部や南東部で栽培され、播種は例年4~6月頃、収穫 は10~12月頃に行われる。 2017/18年度は、2017年3月中旬~下旬に東部の広い範囲で降雨が観測され て播種を控えた小麦産地で土壌水分量が増加し、早いところでは3月下旬から 播種作業が開始された。 現地調査会社によれば、5月末時点の播種進捗率は、ビクトリア州で75%、 南オーストラリア州で70%、ニューサウスウェールズ州で65%、西オーストラ リア州で60%、クィーンズランド州で45%となっている。 豪州農業経済資源科学局(ABARES)「Australian Commodities」(2017.6.20)に よれば、播種面積は、前年度を1.3%下回る12.7百万ヘクタールとなる見込み。 播種時期の気象条件は産地によりばらつきがあるものの、全体としては良好 で、東部の産地、特にビクトリア州では平年を上回る降雨に恵まれた。一方、 ニューサウスウェールズ州北西部、南オーストラリア州南部のエア半島・ヨー ク半島、西オーストラリア州北部及び中部では、乾燥により土壌水分量が不足 している圃場に播種したことから、更なる降雨が必要な状況となっている。 豪州気象局(BOM)の今後の降雨見通しによれば、冬季(6~8月)は大部分の 産地で平年より乾燥型の天候となる見込み。土壌水分量は初期生育には足りる ものの、平年並みの単収を維持するためには、冬季終盤から春にかけて適期の 十分な降雨が望まれる。 生産量は豊作となった前年度を31.1%下回る24.2百万トンとなる見込み。 【貿易情報】 ABARES「Australian Commodities」(2017.6.20)によれば、2017/18年度は、 前年度の豊作を受けて期首在庫が史上最高となるものの生産量が減少すること から、輸出量は前年度を3.7%下回る20.9百万トンとなる見込み。国別には、 インド、中国向けの輸出量が減少するものの、インドネシアでは豪州からの製 粉用小麦の輸入が以前に比べて多くなっており、今年度もここ数年と同程度と なる見通し。 我が国の輸入先国シェア3位(2016年数量ベース 15.5%) 世界の生産量シェア 8位(2017/18年度 3.4%) 輸出量シェア 5位(2017/18年度 10.6%) 表-4 豪州の小麦需給(市場年度:10月~翌年9月) 写真-3 豪州 ビクトリア州(2017年5月31日撮影) -土壌水分量が十分な圃場に播種を行う様子-

写真提供:Australian Crop Forecasters

(単位:百万トン) 前月予測 からの変更 対前年度 増減率(%) 生 産 量 24.2 35.0 25.0 (24.2) - ▲ 28.6 消 費 量 7.2 8.0 8.0 (…) - 0.5 うち飼料用 3.8 4.5 4.5 (…) - - 輸 出 量 16.1 24.0 19.0 (20.9) - ▲ 20.8 輸 入 量 0.2 0.2 0.2 (…) - - 期末在庫量 5.6 8.8 7.0 (…) - ▲ 21.0 期末在庫率 24.2% 27.6% 25.9% (…) - ▲ 1.8 (参考) 収穫面積(百万ha)※ 12.80 12.90 12.80 (12.69) - ▲ 0.8 単収(t/ha) 1.89 2.71 1.95 (1.91) - ▲ 28.0

資料:USDA 「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、 「World Agricultural Production」(9 June 2017)

ABARES「Agricultual commodities」(20 June 2017)(※ABARESは播種面積)

予測値、( )はABARES

年   度 2015/16 2016/17 (見 込 み )

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5 -エ EU 【需給状況】(詳細は右表を参照) <米国農務省の見通し> 生産量は、収穫面積が減少するものの、単収が上昇することから前年度よ り増加し、150.8百万トンとなる見込み。 消費量は、前年度より減少し、127.3百万トンとなる見込み。 輸出量は、前年度より増加して30.5百万トンと、世界最大となる見込み。 輸入量は、乾燥によるスペインでのデュラム小麦の生産減等に伴い前年度 より増加し、6.5百万トンとなる見込み。 期末在庫量は、前年度より減少し、期末在庫率も6.7%に低下する見込み。 なお、前月からの予測の改訂は、生産量、輸出量で下方修正された。結果 として、期末在庫量が上方修正された。 【生育進捗状況及び作柄】 EUの小麦生産量の大部分を占める冬小麦は、フランス、ドイツ等を中心に 各地で栽培され、例年、播種は10~11月頃、収穫は翌年7~8月頃に行われる。 2017/18年度の播種作業は、2016年10月から開始され、一部で降雨により作業 が遅れたものの12月中にほぼ終了した。冬季の休眠期には、2017年1月の気温低 下により一部で凍害が発生したものの、2~3月の気温上昇に伴い作物は平年よ り早く生長を再開した。4月は乾燥型の天候になるとともに、下旬の急激な気温 低下により、主産地のドイツ、フランス、ポーランド等の一部で霜害、欧州北部 ・北東部では生育に遅れが生じた。5月は温暖湿潤型の天候となり、欧州西部で 降雨が観測され、乾燥が続いていた英国、フランス、ドイツでは出穂期~登熟期 の作物には恵みの雨となり、バルカン半島でも良好な作柄が維持された。一方、 生育が進んでいたスペイン中部・北部ではその降雨は遅きに失したと見られる。 欧州委員会のMARS報告「Crop monitoring in Europe」(2017.5.22)によれば、4 月の悪天候を受けて、単収予測が5.66トン/ヘクタールと、前月予測(5.79トン/ ヘクタール)から下方修正されたものの、依然として過去5年平均(5.60トン/ヘ クタール)を上回っている。国別には、スペイン、フランスでは単収が過去5年 平均を下回るものの、ドイツ、ポーランド、イタリア等ではほぼ平均並み、英国、 ルーマニア等では平年を上回る見込み。 米国農務省(USDA)「Wheat Outlook」(2017.6.13)によれば、生産量は、乾燥型 の天候により単収の低下が予想されることから、前月から0.2百万トン下方修正 されたものの、依然として前年度を3.6%上回り150.8百万トンとなる見込み。 【貿易情報】 欧州連合の輸出入統計によれば、2016/17年度(2016年7月~)の輸出量は、 2017年6月14日時点で、普通小麦は22.6百万トンと前年度同期を24.4%下回り、 国別内訳は、アルジェリアが4.0百万トンと最大で全体の17.5%を占め、次いで、 サウジアラビア(3.0百万トン)、エジプト(1.5百万トン)等となっている。一方、 デュラム小麦は1.1百万トンと前年度同期を25.9%上回り、国別内訳は、チュニ ジアが0.7百万トンと最大で63.4%を占め、次いでトルコ(0.1百万トン)等。 我が国の輸入先国シェア4位(2016年数量ベース 2.9%) 世界の生産量シェア 1位(2017/18年度 20.4%) 輸出量シェア 1位(2017/18年度 17.1%) 表-5 EUの小麦需給(市場年度:7月~翌年6月) 写真-4 スペイン南部アンダルシア州(2017年6月6日撮影) -今春の乾燥により単収低下が見込まれる冬小麦畑- 撮影:Conrad Caspari氏 (単位:百万トン) 前月予測 からの変更 対前年度 増減率(%) 生 産 量 160.5 145.5 150.8 (150.0) ▲ 0.2 3.6 消 費 量 129.9 128.5 127.3 (125.2) - ▲ 1.0 うち飼料用 59.0 56.5 55.5 (52.0) - ▲ 1.8 輸 出 量 34.7 27.0 30.5 (30.3) ▲ 0.5 13.0 輸 入 量 6.9 5.5 6.5 (5.0) - 18.2 期末在庫量 15.6 11.0 10.5 (14.5) 0.3 ▲ 4.5 期末在庫率 9.5% 7.1% 6.7% (9.3%) 0.2 ▲ 0.4 (参考) 収穫面積(百万ha) 26.83 27.20 26.62 (26.55) 0.12 ▲ 2.1 単収(t/ha) 5.98 5.35 5.66 (5.7) ▲ 0.04 5.8

資料:USDA 「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、 「World Agricultural Production」(9 June 2017)

   EU「Balance Sheets For Cereals and Oilseeds and Rice」(30 May 2017)

年   度 2015/16 2016/17 (見 込 み )

2017/18 予測値、( )はEU

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オ 中国 【需給状況】(詳細は右表を参照) <米国農務省の見通し> 生産量は、前年度より増加し、131.0百万トンとなる見込み。 消費量は、前年度より減少し、116.0百万トンとなる見込み。 輸入量は、前年度より減少し、3.0百万トンとなる見込み。 期末在庫量は、前年度より増加し、期末在庫率も109.6%に上昇する見込み。 なお、前月からの予測の改訂は行われていない。 【生育進捗状況及び作柄】 <冬小麦> 中国の小麦生産量の95%超を占める冬小麦は、主に華北平原で栽培され、例 年、播種は10~11月、収穫は翌年5~6月頃に行われる。 2017/18年度の播種作業は2016年9~10月に行われ、好天に恵まれて初期生育 が進展した。冬季は気温が平年を上回ったため休眠入りは例年より遅れ、一部 では緑色のまま越冬して分げつが緩やかに進展。2017年3~4月の雨がちな天 候により長江中・下流域の一部で出穂・開花が阻害されたもののその後は天候 が好転して生育が進展。北部では総じて好天に恵まれ生育は順調に進展。 収穫作業は5月中旬から開始され、中国農業部によれば、6月18日時点の中 国全体の収穫進捗率は95%に達している。 中国中央気象台「農業気象月報」(2017.6.9)及び「農業気象週報」(2017.6.19)に よれば、5月は大部分の産地で日照量や降水量が十分となり、開花・登熟や収 穫作業が順調に進展したものの、一部で5月下旬の強風や大雨により倒伏が発 生し、収穫遅延や単収低下の懸念が浮上している。生育進捗は、6月17日現在、 西北地区の大半が乳熟期、一部が成熟期~収穫期、華北地区の大半と黄淮地域 (黄河と淮河の間)北部で成熟期~収穫期、西南地区、長江中・下流域では収 穫がほぼ終了している。播種以降の冬小麦の気象条件は平年及び前年に比べて 総じて良好で、平均単収は前年度を0.9%上回る見通し。一類苗(良好)と二類苗 (普通)の割合は前年並みとなっている。 <春小麦> 春小麦は主に北部で栽培され、例年、播種は5~6月頃、収穫は8~9月頃 に行われる。 2017/18年度の播種作業は、2017年3月中旬~5月上旬に行われた、中国中央 気象台「農業気象週報」(2017.6.19)によれば、6月17日現在、東北地区黒龍江省 で節間伸長期、華北地区内モンゴル自治区と西北地区の大部分で出穂期~開花 期を迎えている。 【貿易情報】 中国税関(海関)統計によれば、2017年1~5月の輸入量累計は、217.5万トン (対前年同期比67.6%増)。国別内訳は、オーストラリア110.2万トン、米国80.4 万トン、カザフスタン17.9万トン、カナダ8.8万トン等。 (世界の生産量シェア 2位(2017/18年度 17.7%)) 表-6 中国の小麦需給(市場年度:7月~翌年6月) 写真-5 中国華東地区 山東省(2017年6月1日撮影) -収穫直前に豪雨に見舞われ倒伏した冬小麦畑- 撮影:Mr.Yang (単位:百万トン) 前月予測 からの変更 対前年度 増減率(%) 生 産 量 130.2 128.9 131.0 (128.3) - 1.7 消 費 量 112.0 118.5 116.0 (123.0) - ▲ 2.1 うち飼料用 10.5 16.5 13.0 (20.0) - ▲ 21.2 輸 出 量 0.7 0.8 0.8 (1.1) - - 輸 入 量 3.5 4.2 3.0 (3.9) - ▲ 28.6 期末在庫量 97.0 110.8 128.0 (99.2) - 15.5 期末在庫率 86.1% 92.9% 109.6% (79.9%) - 16.7 (参考) 収穫面積(百万ha) 24.14 24.19 24.20 (24.20) - 0.0 単収(t/ha) 5.39 5.33 5.41 (5.30) - 1.5

資料:USDA 「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、 「World Agricultural Production」(9 June 2017) IGC 「Grain Market Report」(25 May 2017)

年   度 2 01 5/ 16 ( 見 込 み )20 16 /1 7

予測値、( )はIGC

(7)

7 -カ インド 【需給状況】(詳細は右表を参照) <米国農務省の見通し> 生産量は、収穫面積が増加するとともに、主産地で好天に恵まれて単収が 上昇することから、前年度より増加し、96.0百万トンとなる見込み。 消費量は、前年度より増加し、99.0百万トンとなる見込み。 輸入量は、生産増に伴い前年度より減少し、4.0百万トンとなる見込み。 期末在庫量は、前年度より増加し、期末在庫率も10.1%に上昇する見込み。 なお、前月からの予測の改訂は、2016/17年度の輸入量、期末在庫量で下 方修正、2017/18年度の生産量、消費量で下方修正された。結果として、期 末在庫量が下方修正された。 【生育進捗状況及び作柄】 インドの小麦は主に北部で栽培され、例年、播種は10~12月頃、収穫は翌年 3~5月頃に行われる。 2017/18年度の播種作業は2016年10月~2017年1月頃に行われ、播種面積は史 上最高の31.78百万ヘクタールとなった。これは、モンスーンの降雨が平年並み となるとともに、比較的高い国内市場価格や政府買入れにおける最低支持価格 の上昇により収益見通しが良好となったため。 生育初期に降雨に恵まれるとともに、乳熟期を迎える2017年4月頃までの気 温が理想的な水準で推移し、4月は高温に見舞われたものの、既に収穫時期に 入っていたため作柄への影響はなかった模様。収穫作業は、同国主産地で5月 上旬にほぼ終了。インド農業省の第3次生産高予想(2017.5.9)によれば、生産 量は前年度(92.3百万トン)を上回り、史上最高の97.4百万トンとなる見通し。 【貿易情報・その他】 インド食料供給公社(FCI)によれば、2017/18年度の買入目標数量が33.0百万 トンとなっているところ、買入れは2017年3月中旬から開始され、6月20日時 点で30.7百万トンとなっている。インドでは、政府買入れの一部は、食料安全 保障や貧困対策等のため備蓄されており、政府は7月1日時点で必要な在庫水 準を27.6百万トンと定めている。前年度までの2年連続の不作を背景に、2017 年4月1日時点の在庫量は8.1百万トンまで低下したものの、今期の収穫・買入 れの進展に伴い、2017年6月1日には33.4百万トンまで回復した。 現地報道(2017.6.3)によれば、マディア・プラデーシュ州では、市場価格の 高止まりを期待して政府買入れの事前登録をしなかった生産者が、豊作による 価格下落に伴い、最低支持価格(16,250ルピー(27,706円)/トン)を下回る価格で の販売を余儀なくされており、そのことが市場価格を更に押し下げている模様。 現地調査会社によれば、通貨ルピー高、国際価格の低迷、輸出用穀物の輸送 制限等により輸出が停滞しており、2017年のモンスーン期の十分な降雨により 来期も豊作になれば、更なる価格下落につながるおそれもある。モディ首相率 いるインド人民党は、困窮する農家の救済策として農家の債務免除を打ち出し、 4月にはウッタル・プラデーシュ州で小規模農家への債務免除が決定され、他 州でも農家が債務免除や穀物価格の値上げ等を求める動きが見られる模様。 (世界の生産量シェア 3位(2017/18年度 13.0%)) 表-7 インドの小麦需給(市場年度:4月~翌年3月) 図-4 インドの小麦需給の推移 -2017/18年度は生産量の回復により、 期末在庫は増加し、輸入量は減少する見通し- 資料:USDA「PS&D」を基に農林水産省で作成。 (単位:百万トン) 前月予測 からの変更 対前年度 増減率(%) 生 産 量 86.5 87.0 96.0 (96.5) ▲ 1.0 10.3 消 費 量 88.6 97.5 99.0 (98.4) ▲ 1.0 1.5 うち飼料用 4.2 4.7 5.0 (3.5) - 6.4 輸 出 量 1.1 0.4 0.5 (0.3) - 25.0 輸 入 量 0.5 5.9 4.0 (3.0) - ▲ 32.2 期末在庫量 14.5 9.5 10.0 (10.6) ▲ 0.1 5.2 期末在庫率 16.2% 9.7% 10.1% (10.7%) 0.0 0.3 (参考) 収穫面積(百万ha) 31.47 30.22 30.72 (31.75) ▲ 1.03 1.7 単収(t/ha) 2.75 2.88 3.13 (3.04) 0.07 8.7

資料:USDA 「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、 「World Agricultural Production」(9 June 2017) IGC 「Grain Market Report」(25 May 2017)

年   度 2 01 5/ 16 20 16 /1 7 ( 見 込 み ) 2 01 7/ 18 予測値、( )はIGC 59 4095 100 870 960 975 990 0 200 400 600 800 1,000 2000/01 2005/06 2010/11 2015/16 (万トン) (年度) 生産量 消費量 期末在庫量 輸入量

(8)

キ ロシア 【需給状況】(詳細は右表を参照) <米国農務省の見通し> 生産量は、史上最高の前年度を下回り、69.0百万トンとなる見込み。 消費量は、前年度と変わらず、40.0百万トンとなる見込み。 輸出量は、前年度より増加し、史上最高の29.0百万トンとなる見込み。 期末在庫量は、前年度より増加し、期末在庫率も16.9%に上昇する見込み。 なお、前月からの予測の改訂は、2016/17年度の期末在庫量で上方修正、輸 出量で下方修正、2017/18年度の生産量、消費量で上方修正された。結果とし て、期末在庫量が上方修正された。 【生育進捗状況及び作柄】 <冬小麦> ロシアの小麦生産量の約7割を占める冬小麦は、主に欧州に近い南部や西部 で栽培され、例年、播種は8~10月頃、収穫は翌年7~8月頃に行われる。 2017/18年度の播種作業は、2016年8~10月に行われ、初期生育は順調に進展。 冬季には一時的な寒波が到来したものの積雪(スノーカバー)に守られたため、 作物への悪影響はほとんどなく、秋の乾燥や冬の霜害による損失は最小限に留 まる見通し。2017年3月中旬から生長を再開したものの、現地調査会社によれ ば、5月の冷え込みにより一部で生育が遅延し、収穫量が減るとの観測は出て いないものの、収穫遅延による刈り残しや品質低下が起きる可能性がある模様。 ロシア気象センターによれば、5月末時点の生育進捗は、中央連邦管区、沿 ヴォルガ連邦管区の大半で節間伸長期、一部で出穂期、南部邦管区、北カフカ ス連邦管区の大半で出穂期~開花期、一部で成熟期を迎えている。

米国農務省(USDA)「World Agricultural Production」(2017.6.9)及び「Wheat Outlook」(2017.6.13)は、生産量を前月予測から2.0百万トン上方修正した。こ れは、冬小麦生産量の約6割を占める南部連邦管区及び北カフカス連邦管区で、 登熟期に適期の降雨に恵まれて単収の上昇が見込まれるため。一方、中央連邦管 区、沿ヴォルガ連邦管区では、気温が平年を下回り、生育に遅れが見られる。 <春小麦> 春小麦は主にシベリア連邦管区及び沿ヴォルガ連邦管区等で栽培され、例年、 播種は4~5月頃、収穫は8~9月頃に行われる。 2017/18年度の播種作業は、2017年4月頃から開始され、ロシア農業省によれ ば、2017年6月15日時点の播種進捗率は96.4%、播種済面積は1,307.9万ヘクタ ール(前年同期1,357.2万ヘクタール)となっている。 【貿易情報・その他】 ロシア連邦税関局によれば、2016/17年度(2016年7月~)の小麦輸出量累計は、 2017年4月末時点で前年度同期を10.0%上回る25.7百万トンとなった。国別内 訳は、エジプトが6.6百万トンと最大で全体の25.8%を占め、次いでトルコ(2.4 百万トン)、バングラデシュ(1.9百万トン)、イエメン(1.2百万トン)等。 世界の生産量シェア 4位(2017/18年度 9.3%) 輸出量シェア 2位(2017/18年度 16.2%) 表-8 ロシアの小麦需給(市場年度:7月~翌年6月) 写真-6 ロシア南部 ヴォルゴグラード州(2017年6月9日撮影) -出穂期を迎える冬小麦畑、作柄は概ね良好- (単位:百万トン) 前月予測 からの変更 対前年度 増減率(%) 生 産 量 61.0 72.5 69.0 (67.0) 2.0 ▲ 4.9 消 費 量 37.0 40.0 40.0 (38.7) 0.5 - うち飼料用 14.0 17.0 17.0 (16.0) 0.5 - 輸 出 量 25.5 27.5 29.0 (29.6) - 5.5 輸 入 量 0.8 0.5 0.5 (0.6) - - 期末在庫量 5.6 11.1 11.6 (10.6) 2.0 4.5 期末在庫率 9.0% 16.5% 16.9% (15.5%) 2.8 0.4 (参考) 収穫面積(百万ha) 25.58 27.00 27.50 (27.15) - 1.9 単収(t/ha) 2.39 2.69 2.51 (2.47) 0.07 ▲ 6.7

資料:USDA 「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、 「World Agricultural Production」(9 June 2017) IGC 「Grain Market Report」(25 May 2017)

年   度 2 01 5/ 16 20 16 /1 7 2 01 7/ 18 ( 見 込 み ) 予測値、( )はIGC

(9)

9 -ク ウクライナ 【需給状況】(詳細は右表を参照) <米国農務省の見通し> 生産量は、単収が過去5年平均を上回るものの史上最高となった前年度を 下回ることから、前年度より減少し、25.0百万トンとなる見込み。 消費量は、前年度より減少し、10.6百万トンとなる見込み。 輸出量は、生産減と期首在庫が少ないことから前年度より減少し、14.5百 万トンとなる見込み。 期末在庫量は、前年度より減少し、期末在庫率は8.0%に上昇する見込み。 なお、前月からの予測の改訂は、2016/17年度の輸出量で上方修正、消費 量で下方修正された。 【生育進捗状況及び作柄】 ウクライナの小麦生産量の95%以上を占める冬小麦は、主に南部や中央部で 栽培され、播種は例年8~9月頃、収穫は翌年7~8月頃に行われる。 2017/18年度の冬小麦の播種作業は、2016年9~12月に行われた。2016年12月 26日、ウクライナ国家統計局は、小麦・ライ小麦の播種面積が、前年度を2.2% 上回る6.1百万ヘクタールと発表。 8~9月の雨不足で播種や初期生育が阻害されたものの、10月の降雨で乾燥 状態が和らぎ、12月には休眠期に入った。2017年1月下旬~2月中旬の気温は 平年を下回ったものの、例年以上の積雪(スノーカバー)が、冬季の寒さから作 物を守り損失を最小限に留めるとともに、その融解により十分な土壌水分を供 給し、春以降の生長に寄与した。2月下旬には季節はずれの温暖な天候で雪が 解けて一部で生長を再開し、大半の地域でも3月中旬までに生長を再開した。 4月中旬から下旬の気温低下や土壌水分量の上昇により、生長に一時的な停滞 や遅延が生じたものの、深刻な悪影響はなかった模様。これは、急激に冷え込 んだ4月19日~21日には、大半の作物は分げつ期終盤で、寒さに弱い節間伸長 期であったのは早期に播種されたごく一部に限られたためと見られる。 現地調査会社によれば、5月上旬から中旬は気温の変動が大きく、マイナス10 度まで低下した一部地域では、凍害による枯死がかなりの割合で発生したと見 られる。降雨状況はばらつきが大きいが、小麦産地の土壌水分量は、5月20日 時点で良好/平年並みの状態を維持している。5月中旬時点の作柄は概ね良好/ 平年並みで、大半は節間伸長期、早いものは幼穂形成期~出穂期を迎えている。 米国農務省(USDA)「Commodity Intelligence Report」(2017.6.21)によれば、 同国北部中央及び西部では乾燥状態が続いて作柄が悪化し、単収低下が懸念さ れているものの、主産地の南部の作柄は良好な状態が維持されている。 【貿易情報】 ウクライナ税関によれば、2016/17年度(2016年7月~)の小麦輸出量累計は、 2017年4月末時点で、対前年度同期を11.1%上回る1,461.1万トンとなった。 国別内訳は、インドが292.6万トンと最大で全体の18.5%を占め、次いでエジプ ト(217.1万トン)、タイ(148.8万トン)等、アジアやアフリカ向けが多い。 我が国の輸入先国シェア 5位(2016年数量ベース 1.6%) 世界の生産量シェア 8位(2017/18年度 3.4%) 輸出量シェア 6位(2017/18年度 8.1%) 表-9 ウクライナの小麦需給(市場年度:7月~翌年6月) 写真-7 ウクライナ ザポロジエ州(2017年6月9日撮影) -出穂期~開花期を迎える冬小麦。作柄は良好~平年並み。- (単位:百万トン) 前月予測 からの変更 対前年度 増減率(%) 生 産 量 27.3 26.8 25.0 (24.5) - ▲ 6.7 消 費 量 12.2 10.3 10.6 (11.1) - 2.9 うち飼料用 5.1 3.6 3.9 (3.5) - 8.3 輸 出 量 17.4 17.8 14.5 (13.5) - ▲ 18.5 輸 入 量 0.0 0.0 0.0 (0.0) - ▲ 25.0 期末在庫量 3.4 2.1 2.0 (1.7) - ▲ 3.4 期末在庫率 11.3% 7.4% 8.0% (6.9%) - 0.6 (参考) 収穫面積(百万ha) 7.12 6.45 6.60 (6.65) - 2.3 単収(t/ha) 3.83 4.16 3.79 (3.68) - ▲ 8.9

資料:USDA 「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、 「World Agricultural Production」(9 June 2017) IGC 「Grain Market Report」(25 May 2017)

年   度 2015/16 2016/17 (見 込 み )

2017/18

(10)

ケ カザフスタン (世界の輸出量シェア 8位(2017/18年度 3.9%)) 表-10 カザフスタンの小麦需給(市場年度:9月~翌年8月) 【生育進捗状況及び作柄】 カザフスタンの小麦生産量の9割以上を占める春小麦は、主に北 部(アクモラ州、コスタナイ州、北カザフスタン州)で栽培され、例 年、播種は5~6月頃、収穫は8~10月頃に行われる。 2017/18年度の播種作業は、主産地の北部で5月中旬から開始さ れた。5月下旬の気象条件は総じて良好で、北部の全域で降雨が観 測され、土壌水分量は十分となった。一部で大雨により作業が停滞 したものの、6月上旬には終了した。播種後の作物の作柄は良好/ 並で、5月末時点で発芽期~第3葉形成期を迎えている。 カザフスタン農業省によれば、2017/18年度の小麦の播種面積は、 他の作物へのシフトにより前年度から33.8万ヘクタール減少し、 12.0百万ヘクタールとなる見通し。 同省アイトゥガノフ第一次官(2017.5.30)によれば、1~3等小 麦の生産量の割合は2011年の88%から2016年には45%まで低下し、 低等級小麦が増加している。この状況を改善するため、同省では、 優良品種の育種業者への補助金等、新たな法整備を検討している。 【貿易情報・その他】 カザフスタン財務省税関監督委員会によれば、2016/17貿易年度 (2016年7月~)の小麦輸出量累計(ユーラシア経済連合加盟国(E EU)向けを除く)は、2017年4月末時点で前年度同期を0.7%上回る 300.2万トンとなった。国別には、ウズベキスタン(143.6万トン)、 タジキスタン(83.7万トン)、アフガニスタン(23.5万トン)と近隣諸 国が上位を占めているが、近年は中国向けも伸びており、20.6万ト ンとなっている。 (単位:百万トン) 前月予測 からの変更 対前年度 増減率(%) 生 産 量 13.8 15.0 13.0 (13.3) - ▲ 13.3 消 費 量 6.9 6.9 6.9 (6.8) - - うち飼料用 2.1 2.1 2.1 (2.0) - - 輸 出 量 7.6 6.8 7.0 (7.0) - 2.9 輸 入 量 0.1 0.1 0.1 (0.1) - ▲ 44.4 期末在庫量 2.6 3.9 3.1 (2.8) 0.2 ▲ 21.6 期末在庫率 17.7% 28.7% 22.2% (20.3%) 1.4 ▲ 6.5 (参考) 収穫面積(百万ha) 11.57 12.37 11.50 (11.70) - ▲ 7.0 単収(t/ha) 1.19 1.21 1.13 (1.14) - ▲ 6.6

資料:USDA 「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、 「World Agricultural Production」(9 June 2017) IGC 「Grain Market Report」(25 May 2017)

20 16 /1 7 (見 込 み ) 20 17 /18 予測値、( )はIGC 年   度 20 15/ 16 コ アルゼンチン (世界の輸出量シェア 7位(2017/18年度 6.4%)) 表-11 アルゼンチンの小麦需給(市場年度:12月~翌年11月) 【生育進捗状況及び作柄】 アルゼンチンの小麦は、主にパンパ地方のブエノスアイレス州、 コルドバ州、サンタフェ州等で栽培され、例年、播種は5~7月頃、 収穫は11月~翌年1月頃に行われる。 2017/18年度の播種作業は、2017年5月初旬から開始されている ものの、一部で4~5月の雨がちな天候により、作業に遅れが見ら れる状況。 ブエノスアイレス穀物取引所週報(2017.6.15)によれば、ブエノ スアイレス州西部・中央部、ラパンパ州北部、コルドバ州南部、サ ンタフェ州南部では、土壌水分過多により播種作業が遅延している ものの、同国北西部、北東部、サンタフェ州北部中央では作業が順 調に進展し、播種開始が早かった地域では、発芽期から葉の分化期 を迎えている。同国全体の播種進捗率は、6月15時点で36.6%と前 年度を6.6ポイント上回っており、播種面積は前年度(5.1百万ヘク タール)を上回る5.5百万ヘクタールとなる見込み。 【貿易情報・その他】 アルゼンチン農産業省農畜食糧衛生品質管理センター(SENASA) によれば、2017年1~4月の輸出量累計は前年同期を43.9%上回 る650.4万トン。国別には、隣国ブラジル(165.8万トン)が最大だが、 アルジェリア(85.1万トン)、ベトナム(65.5万トン)、バングラデシ ュ(50.3万トン)、タイ(40.6トン)、ケニア(35.0トン)等、アフリカ ・アジア向けも多い。 (単位:百万トン) 前月予測 からの変更 対前年度 増減率 (%) 生 産 量 11.3 17.0 17.5 (16.5) 0.5 2.9 消 費 量 5.9 5.9 6.0 (6.4) - 1.7 うち飼料用 0.2 0.1 0.1 (0.5) - - 輸 出 量 9.6 11.2 11.5 (10.6) 0.5 2.7 輸 入 量 0.0 0.0 0.0 (0.0) - - 期末在庫量 0.6 0.5 0.5 (0.7) - 1.9 期末在庫率 4.0% 3.0% 3.0% (4.1%) ▲ 0.1 ▲ 0.0 (参考) 収穫面積(百万ha) 3.95 5.20 5.60 (5.70) 0.20 7.7 単収(t/ha) 2.86 3.27 3.13 (2.89) ▲ 0.02 ▲ 4.3

資料:USDA 「World Agricultural Supply and Demand Estimates」、 「World Agricultural Production」(9 June 2017) IGC 「Grain Market Report」(25 May 2017)

年   度 2015 /16 (見 込 み )201 6/17 20 17/1 8

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