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資産をめぐる税務 問答式 シリーズ相続と贈与に関する税務 特定贈与財産 婚姻 25 年以上になる主人が亡くなる半年前贈与により家屋等を取得していた場合 質問 私は 平成 29 年 10 月に自宅の家屋と敷地を主人から贈与により取得しました この家屋と敷地は 平成 3 年に夫の名義で購入したもので 私

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わかりやすい税務判例・事例情報誌

No.

1487

資 産 税 広 報

《主 な も く じ》

●資産をめぐる税務

[問答式] ■シリーズ相続と贈与に関する税務 《特定贈与財産》 ▼婚姻25年以上になる主人が亡くなる半年前に、贈与により家屋とその敷地 を取得 …… 2 ■シリーズ譲渡に関する税務 《事業用資産の買い換えの特例》 ▼事業用資産の買換えの特例を適用した場合における買換資産に係る取壊し 費用等 …… 4 ■資産の評価に関する税務 《無道路地の評価》 ▼通路部分については両宅地ともに所有者が同一のため明確な区分を設けて いない …… 5

□判・審判事例特報

本件各土地は利用価値が著しく低下していると認められることから、財産評 価額から10%を減額して評価すべきであり、本件意見価額は客観的な根拠が 何ら示されておらず、請求人の主張には理由がない …… 7 ●ニュース 財務省/大学授業料/出世払い案に難色 ……16

(2)

資産をめぐる税務

問答式

■シリーズ相続と贈与に関する税務

《特定贈与財産》

婚 姻 25年 以 上 に な る 主 人 が

亡 く な る 半 年 前 贈 与 に よ り

家 屋 等 を 取 得 し て い た 場 合

◇ 私は、平成29年10月に自宅の家屋と敷 地を主人から贈与により取得しました。 この家屋と敷地は、平成3年に夫の名義 で購入したもので、私たち夫婦及び子供 たちが居住していました。 この贈与について、私は贈与税の配偶 者控除の適用を受けるつもりでいました が、同年12月に主人が急死してしまいま した。 主人には、居宅の他にも財産があり相 続税の申告が必要ですが、「相続開始前 3年以内に被相続人から贈与を受けた財 産がある場合には、その財産相続財産に 加算される」と聞きました。 私の場合、主人から贈与を受けた自宅 の家屋と敷地(評価額家屋500万円、敷 地2,500万円)はどのようになるのでし ょうか。申告手続についても教えてくだ さい。 なお、贈与税の配偶者控除の要件は満 たしています。 (東京都・HKさん) ◆

◆ 相続税法第19条《相続開始前3年以内に贈 与があった場合の相続税額》の規定により、 相続税の課税価格に算入すべき贈与財産の価 額は、①その者(相続人等)が、相続により 財産を取得した者であり、②相続開始前3年 以内に、その相続に係る被相続人から贈与を 受けた③贈与税の課税価格の基礎に算入され るもの(特定贈与財産を除きます)に限られ ます。

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このことから、相続開始の日に属する年に 被相続人から贈与により取得した財産がある 場合には、その財産については相続税が課税 され、したがって、贈与税は課税されないこ ととなっています。 (注) 相続した財産が赤字のとき(相続した 債務が相続した財産より多い場合)、その 赤字と加算された贈与税の価額は通算でき ません。すなわちこのような場合には、加 算された贈与の価額がその者の相続税の課 税価額となります。 ところで、相続開始前3年以内に被相続人 から贈与により取得した財産のうち、「特定 贈与財産」に該当するものについては、上記 の適用はなく、したがって、相続税の課税価 格に加算されないこととされています。 この「特定贈与財産」とは、相続税法第21 条の6《贈与税の配偶者控除》に規定する婚 姻期間が20年以上である配偶者に該当する被 相続人から贈与により取得した居住用不動産 を取得するための金銭で次に掲げる部分に該 当するもので、それぞれに定める部分の金額 をいいます。 (1) その贈与が贈与開始の日の属する年の 前年以前に行われている場合で、その贈与 につき贈与税の配偶者控除の適用を受けて いるとき 控除された配偶者控除 (2) その贈与が相続開始の日の属する年と 同年中に行われた場合で、受贈者である配 偶者が、その被相続人から贈与につき既に 贈与税の配偶者控除の適用を受けた者でな いとき 贈与税の配偶者控除の適用があるものと した場合に、控除されることとなる配偶者 控除額の金額 したがって、ご質問の場合、亡くなったご 主人から贈与を受けた居住用財産について、 上記の要件を満たす場合には贈与税の配偶者 控除の適用を受けることができるものと考え ます。 次に、あなたが贈与を受けた財産について、 贈与税の配偶者控除の適用を受けるためには、 贈与を受けた居住用不動産又は金銭の価額を 贈与税の課税価格に算入する旨及び次に掲げ る事項を記載した書類等を相続税の申告書に 添付する必要があります。 (1) 次の事項を記載した書類 ① 贈与により取得した居住用不動産又は 金銭の種類、数量、価額及び所在地の明 細並びにその取得の年月日 ② 居住用不動産又は金銭のうち贈与税の 課税価格に算入する部分のこれらの財産 の価額 ③ 相続開始の年の前年以前の各年分の贈 与税について、贈与税の配偶者控除の適 用を受けていない旨 ④ その他参考となるべき事項 (2) 戸籍の謄本又は抄本及び戸籍の附票の 写し(贈与を受けた日から10日を経過した ものに限ります) (3) 贈与を受けた居住用不動産に関する登 記簿の謄本又は抄本 (注) 土地信託に係る信託財産についてこの 特例の適用を受ける場合は、信託財産に属 する居住用不動産に係る信託原簿の謄本又 は抄本も含まれます。 参照条文=相法19①、21の2④、 相規1の2①、②

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■シリーズ譲渡に関する税務

《事業用資産の買換えの特例》

事 業 用 資 産 の 買 換 え の 特 例

を 適 用 し た 場 合 に お け る 買

換 資 産 に 係 る 取 壊 し 費 用 等

◇ 私は平成25年9月に事業用資産を譲渡 しました。そして、2月に自己の所有地 上にあった貸家を取り壊すとともに、そ の跡地に賃貸用マンションを建築し、今 年中には全室賃貸する予定です。 そこで私は、譲渡資産について事業用 資産の買換えの特例を適用して申告しよ うと考えていますが、この場合、私が支 払った次の費用は買換資産の取得額に算 入することができるでしょうか。 ① 貸家の取壊し費用 ② 借家人に支払った立退料 ③ 不動産取得税及び登録免許税 (東京都・ES氏) ◆

◆ 資産の取壊し費用のうち、不動産所得、事 業所得、山林所得を生ずべき事業の用に供さ れる資産の取壊し費用(資産の譲渡により、 又はこれに関連して生じたものを除きます) は、不動産所得の必要経費に算入することと なります。 また、不動産所得の基因となっている建物 の賃借人を立ち退かすために支払う立退料に ついては、その建物を譲渡するためやその建 物を取り壊してその敷地となっていた土地等 を譲渡するために支出するものであるときは、 建物の取壊し費用とともに譲渡所得の金額の 計算上譲渡費用として取り扱われますが、そ の支払う原因が譲渡に関するものでないとき は、不動産所得の金額の計算上必要経費に算 入されます。 次に、事業の用に供される資産に係る登録 免許税や不動産所得税については、業務の用 に供された後に支出される場合があり、また、 取得価額に算入されても、減価償却を通じて 必要経費に算入される場合もあることから、 その事業に係る各種所得の金額の計算上必要 経費に算入することを原則としています。 なお、事業用資産の買換えの特例を適用し た場合における買換資産に係る登録免許税や 不動産取得税は、その買換資産が事業の用に 供する資産であることから上記の取扱いとな りますが、非事業用の資産に係る登録免許税 や不動産取得税は、その資産の取得価額に算 入されることとなります。 したがって、ご質問の費用はいずれも買換 資産の取得額に算入することはできないもの と考えます。 参照条文=所法51①、所基通37-23、37-5

(5)

■資産の評価に関する税務

《無道路地の評価》

通 路 部 分 に つ い て は 両 宅 地

と も に 所 有 者 が 同 一 の た め

明 確 な 区 分 を 設 け て い な い

◇ 下図のようなY宅地を評価する場合に は、無道路地として取り扱って評価する ことになるのではないかといわれました が、無道路地としての評価とはどのよう に行うのでしょうか。 公 道 X宅地 建物 甲所有 ㈱甲所有 Y宅地 建物 甲所有 甲所有 イ X宅地及びY宅地ともに個人甲が所 有し、X宅地については賃貸借契約に より建物の所有を目的として㈱甲(同 族会社)が借り受けている。 通 路 部 分 ロ Y宅地については個人甲の居住の用 に供している建物が建っている。 ハ Y宅地に通ずる通路部分については、 X宅地の所有者も個人甲であるため特 に明確な区分を設けているわけではな い。 (東京都・EK氏) ◆

◆ 無道路地とは、一般には道路(路線価の付 設されていない道路も含まれます)に直接接 しない土地のことをいいます。また民法210 条では「ある土地が他の土地に囲繞されてい て公路に通じないときは、その土地の所有者 は公路にいたるため囲繞地を通行することが できる」と定められています。 また、財産評価基本通達においては、私道 を介して公路に通ずることのできるものを間 口が狭小な宅地等として取り扱い、そうでな いものを無道路地として取り扱うこととして います。ただし、無道路地に該当し、他人の 土地に取り囲まれていても、その他人の土地 に対して囲繞地通行権以外の地役権や賃借権 等を設定してその通行の用に供している場合 には、その評価対象地は無道路地としての評 価は行いません。 なお、平成11年7月19日付「財産評価基本 通達の一部改正について(法令解釈通達)」 (課評2-12他)により、道路に接していて

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もその接する間口距離が建築基準法その他の 法令において規定されている建築物を建築す るために必要な道路に接すべき最小限の間口 距離の要件(以下、接道義務といいます)を 満たしていない宅地についても、その価値効 用が無道路地と同様に著しく低下するものと 考えられるところから無道路地と同様に評価 するものとして取り扱われることになりまし た。 無道路地(道路(路線価の付設されていな い道路も含まれます)に接しない宅地(接道 義務を満たしていない宅地を含みます)をい います)の価額については、実際に利用して いる路線の路線価に基づいて、財産評価基本 通達20《不整形地の評価》の定めによって計 算した価額(不整形地補正後の価額(注1)) から、無道路地であることの斟酌として、そ の価額の100分の40の範囲内において相当と 認める金額を控除した価額により評価するも のとされています。 この場合において、100分の40の範囲内に おいて相当と認める金額(無道路地であるこ との斟酌額)は、当該評価対象地である無道 路地について、接道義務に基づき最小限度の 道路を開設する場合のその通路に相当する部 分の価額(注2)によるものとされています。 (注1) 不整形地補正後の価額 財産評価基本通達20の定めにより、不整 形地補正率表を用いる場合に係る下記記載 項目の適用に際しては、当該評価対象地で ある無道路地が接道義務に基づく最小限度 の間口距離を有するものとして間口狭小補 正率を適用するものとします。 ・ 間口狭小補正率の適用がある場合の取 扱い 間口狭小補正率の適用がある場合にお いては、不整形地補正率表により求めた 不整形地補正率に間口狭小補正率を乗じ て得た数値を不整形地補正率とする。た だし、その最小値は不整形地補正率表に 定める不整形地補正率の最小値(0.60) とする。 また、奥行長大補正率の適用がある場 合においては、選択により、不整形地補 正率を適用せず、間口狭小補正率に奥行 長大補正率を乗じて得た数値によって差 し支えない。 (注2) 通路に相当する部分の価額 この通路に相当する部分の価額は、実際 に利用している路線の路線価に通路に相当 する部分の地積を乗じた価額(下記算式を 参照)とし、奥行価格補正率、間口狭小補 正率及び奥行長大補正率等の画地調整率の 適用を行わないものとされています。 〔算式〕 実際に利用して × 通路に相当する いる路線の路線価 部分の地積 さて、Y宅地の評価についてですが、Y宅 地は評価単位の考え方からすると、X宅地と は別の評価単位となることとなりますが、X 宅地及びY宅地の所有者が同一であること等 を考慮した場合には、Y宅地を無道路地とし て取り扱うことは適当ではないと考えます。 この場合のY宅地の評価は、通路部分が明 確に区分されていませんので、原則として、 幅員2mの通路が設置されている袋地である 不整形地として評価するものと考えます。な お、通路部分の面積はY宅地の面積には算入 しません。 参照条文=評基通20-2

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□判・審判事例特報

本件各土地は利用価値が著しく低下し

ていると認められることから、財産評

価額から10%を減額して評価すべきで

あり、本件意見価額は客観的な根拠が

何ら示されておらず、請求人の主張に

は理由がない

一部取消し 〔国税不服審判所=平成29年4月7日 ・裁決〕

□問

《事

実》

本件相続に係る共同相続人の間で遺産

分割協議が成立し、本件各土地を取得

(1) 事案の概要 請求人が、相続により取得した土地につい て、財産評価基本通達(昭和39年4月25日付 直資56ほか国税庁長官通達。ただし、平成27 年4月3日付課評2-5ほかによる改正前の ものをいい、以下、評価通達という)に定め る評価方法に基づき評価した価額により相続 税の申告及び修正申告をした後、当該土地の 価額は評価通達の定めによるのではなく、不 動産業者により意見された価額によるべきで あるなどとして相続税の更正の請求をした。 (2) 関係法令等の要旨 イ 相続税法第22条《評価の原則》は、相続 により取得した財産の価額は、同法第23条 《地上権及び永小作権の評価》ないし第26 条《立木の評価》に定めがあるものを除き、 当該財産の取得の時における時価による旨 規定している。 ロ 評価通達1《評価の原則》の(2)は、財 産の価額は、時価によるものとし、時価と は、課税時期において、それぞれの財産の 現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由 な取引が行われる場合に通常成立すると認

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められる価額をいい、その価額は、この通 達の定めによって評価した価額による旨、 また、評価通達1の(3)は、財産の評価に 当たっては、その財産の価額に影響を及ぼ すべき全ての事情を考慮する旨定めている。 ハ 評価通達7《土地の評価上の区分》は、 土地の価額は、宅地、田、畑、山林、原野、 牧場、池沼、鉱泉地及び雑種地の地目の別 に評価する旨定めているところ、一体とし て利用されている一団の土地が2以上の地 目からなる場合には、その一団の土地は、 そのうちの主たる地目からなるものとして、 その一団の土地ごとに評価するものとする 旨、また、地目は、課税時期の現況によっ て判定する旨定めている。 ニ 評価通達7-2《評価単位》の(1)は、 宅地は、利用の単位となっている1区画の 宅地を評価単位とする旨、また、評価通達 7-2の(2)は、田及び畑(以下、農地と いう)は、耕作の単位となっている1区画 の農地を評価単位とする旨定めている。 ホ 評価通達11《評価の方式》は、宅地の評 価は、原則として、市街地的形態を形成す る地域にある宅地については、路線価方式 により、それ以外の宅地については、倍率 方式により行う旨定めている。 ヘ 評価通達13《路線価方式》は、路線価方 式とは、その宅地の面する路線に付された 路線価を基とし、評価通達15《奥行価格補 正》から20-5《容積率の異なる2以上の 地域にわたる宅地の評価》までの定めによ り計算した金額によって評価する方式をい う旨定めている。 ト 評価通達14《路線価》は、路線価は、宅 地の価額がおおむね同一と認められる一連 の宅地が面している路線ごとに設定する旨 定め、路線価は、路線に接する宅地で、① その路線のほぼ中央部にあること、②その 一連の宅地に共通している地勢にあること、 ③その路線だけに接していること、④その 路線に面している宅地の標準的な間口距離 及び奥行距離を有するく形又は正方形のも のであることの全ての事項に該当するもの について、売買実例価額、公示価格(地価 公示法第6条《標準地の価格等の公示》の 規定により公示された標準地の価格をいう)、 不動産鑑定士等による鑑定評価額(不動産 鑑定士又は不動産鑑定士補が国税局長の委 嘱により鑑定評価した価額をいう)、精通 者意見価格等を基として国税局長がその路 線ごとに評定した1㎡当たりの価額とする 旨定めている。 チ 評価通達14-2《地区》は路線価方式に より評価する地域については、宅地の利用 状況がおおむね同一と認められる一定の地 域ごとに、国税局長がビル街地区、高度商 業地区、繁華街地区、普通商業・併用住宅 地区、普通住宅地区、中小工場地区及び大 工場地区を定めるものとする旨定めている。 リ 評価通達34《農地の分類》は、農地を評 価する場合、その農地を評価通達36《純農 地の範囲》から36-4《市街地農地の範囲》 までに定めるところに従い、純農地、中間 農地、市街地周辺農地及び市街地農地のい ずれかに分類する旨定めている。 ヌ 評価通達36-4は、市街地農地とは、農 地法第4条《農地の転用の制限》又は第5 条《農地又は採草放牧地の転用のための権 利移動の制限》に規定する許可を受けた農 地、市街化区域内にある農地、農地法の規 定により、転用許可を要しない農地として、 都道府県知事の指定を受けたもののいずれ かに該当するものをいう旨定めている。 ル 評価通達40《市街地農地の評価》は、市 街地農地の価額は、その農地が宅地である とした場合の1㎡当たりの価額からその農

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地を宅地に転用する場合において通常必要 と認められる1㎡当たりの造成費に相当す る金額として、整地、土盛り又は土止めに 要する費用の額がおおむね同一と認められ る地域ごとに国税局長の定める金額を控除 した金額に、その農地の地積を乗じて計算 した金額によって評価する旨定めている。 (3) 基礎事実 イ 請求人は、平成26年7月○日に死亡した D(以下、本件被相続人といい、本件被相 続人に係る相続を本件相続という)の長男 である。   本件相続に係る共同相続人は、請求人、 本件被相続人の長女であるE、同二女であ るF及び同二男であるGの4名である。 ロ 平成26年12月6日、本件相続に係る共同 相続人の間で遺産分割協議が成立し、請求 人は別表1の順号1の畑(以下、本件畑と いう)並びに同順号2及び3の各宅地(以 下、本件各宅地といい、本件畑と併せて本 件各土地という)等を取得した。 ハ H国税局長が定めた平成26年分の財産評 価基準書によれば、本件各土地は評価通達 13及び14-2に定める路線価方式による評 価を行う普通住宅地区に所在しており、そ の評価の基礎となる路線(本件各土地の南 側の道路であり、以下、本件道路という) に付された路線価は37,000円である。 (4) 審査請求に至る経緯 イ 請求人は、原処分庁に対して、本件相続 に係る相続税について、相続税の申告書を 法定申告期限までに、本件相続に係る他の 共同相続人らと共同で提出した。   なお、請求人は当該申告書において、本 件各土地の価額を、本件各土地を一の評価 単位として評価通達の定めにより算定した 価額(以下、評価通達の定めにより算定し た価額を財産評価額という)22,228,620円 (ただし、がけ地補正率を乗じていないも の)から更に財産評価額に60%を乗じた金 額を控除した価額8,891,448円としている。 ロ 次いで、請求人は、原処分庁所属の調査 担当職員の調査に基づく勧奨に従い、相続 税の修正申告書を提出した(以下、この修 正申告書の提出を本件修正申告という)。   なお、請求人は、当該申告書において、 本件各土地の価額を、本件各土地を一の評 価単位とした財産評価額18,226,572円から 更に財産評価額に10%を乗じた金額を控除 した価額16,403,914円としている(この財 産評価額の10%の控除は、国税庁ホームペ ージのタックスアンサー「No4617利用価値 が著しく低下している宅地の評価」に示さ れており、以下、ここに示された10%の控 除を本件取扱いという)。 ハ 原処分庁は、本件修正申告の内容を前提 とする過少申告加算税の賦課決定処分(以 下、本件賦課決定処分という)をした。 ニ その後、請求人は本件各土地の価額は、 請求人が依頼した不動産業者が作成した意 見書(以下、本件意見書という)のとおり 10,000,000円であるなどとして、更正の請 求をしたところ、原処分庁は更正をすべき 理由がない旨の通知処分(以下、本件通知 処分という)をした。 ホ 請求人は本件通知処分を不服として異議 申立てをしたところ、異議審理庁は棄却の 異議決定をした。 ヘ 請求人は本件各土地の価額は上記イの申 告書に記載した価額(8,891,448円)が正 当であるから、異議決定を経た後の本件通 知処分に不服があるとして、当該処分の取 消しを求めて審査請求をした。

(10)

(5) 争点 本件各土地の評価に当たって、その財産評 価額からの減額割合を60%とすべきか否か。

請求人の主張

隣家にしか売却することができないと

いう事情を十分に考慮すべきである

本件各土地の評価に当たって、本件各土地 ががけ地を含む上、本件道路から本件各土地 まで重機が届かないという制約のために本件 各土地の上の建物を取り壊すことができず、 隣家にしか売却することができないという事 情を十分に考慮すべきである。  そして、①本件意見書によると本件各土地 の価額が10,000,000円であるとされているこ と、②平成28年11月29日時点で本件各土地に 隣接する土地について1㎡当たり○○○○円 で売買の商談が行われていること、③一般に 無道路地が近隣の土地の価額の約40%ないし 60%の価額で売買されている旨の不動産鑑定 士の見解が示されていることなどからすると、 本件各土地の評価に当たって、その財産評価 額からの減額割合を60%とすべきである。

原処分庁の主張

請求人が主張する事情が、いずれも将

来的に想定されるものにすぎない

本件各土地の評価に当たって、本件各土地 が本件道路よりも高い位置にある宅地で、そ の付近の宅地に比べて著しく高低差があるこ とを踏まえると、本件取扱いにより、その利 用価値が付近にある他の宅地の利用状況から みて著しく低下している宅地として、その財 産評価額からの減額割合を10%とすることが 相当である。  そして、請求人が主張する事情がいずれも 将来的に想定されるものにすぎないことから しても、本件各土地の評価に当たって、その 財産評価額からの減額割合を60%とすべきで はない。

■結

《裁

決》

隣家にしか売却することができないと

いう事情があるとまでは認められない

(1) 法令解釈等 イ 相続税法第22条及び評価通達について  相続税法第22条は、相続財産の価額は、特 別に定める場合を除き、当該財産の取得の時 における時価によるべき旨を規定しており、 ここにいう時価とは相続開始時における当該 財産の客観的な交換価値をいうものと解する のが相当である。  しかし、客観的交換価値は、必ずしも一義 的に確定されるものではないから、これを個 別に評価する方法をとった場合には、その評 価方式等により異なる評価額が生じたり、課 税庁の事務負担が重くなり、大量に発生する 課税事務の迅速な処理が困難となったりする おそれがある。そこで、課税実務上は、特別 の定めのあるものを除き、相続財産評価の一 般的基準が評価通達によって定められ、原則 としてこれに定められた画一的な評価方式に よって相続財産を評価することとされている。

(11)

このように、あらかじめ定められた評価方式 によってこれを画一的に評価することは、税 負担の公平、効率的な租税行政の実現という 観点から見て合理的であり、相続財産の評価 に当たっては、評価通達によって評価するこ とが著しく不適当と認められる特別の事情が ない限り、評価通達に定められた評価方法に よって画一的に評価することが相当である。 ロ 本件取扱いについて  本件取扱いのように、課税実務上、その付 近にある他の宅地の利用状況からみて、著し く利用価値が低下していると認められる部分 のある宅地の価額は、その利用価値が低下し ていると認められる部分の面積に対応する価 額を10%減額して差し支えないものとして取 り扱われており、国税庁ホームページのタッ クスアンサーでは、道路より高い位置にある 宅地又は低い位置にある宅地で、その付近に ある宅地に比べて著しく高低差のある場合を 本件取扱いが適用できる一例として示してい る。本件取扱いは、その付近にある他の宅地 の利用状況からみて、著しく利用価値が低下 していると認められる部分のある宅地の価値 に減価が生じることを考慮するものであり、 当審判所においても相当と認められる。  ところで、評価通達14は、路線価は、宅地 の価額がおおむね同一となる一連の宅地が面 している路線ごとに設定することとし、その 一連の宅地に共通した地勢にある宅地につい て評定した価額とすることとしている。  そうすると、路線価が設定された路線に面 した一連の宅地に共通した地勢が道路との高 低差のある地勢である場合には、高低差のあ ることが路線価の設定に当たって考慮されて いるから、評価する宅地とその所在地の周辺 の一連の宅地の高低差を比較検討してもなお 著しい高低差のある場合に限って、本件取扱 いを適用するのが相当である。  また、本件取扱いは、宅地についてのもの であるが、前記《関係法令等の要旨》のルの とおり、評価通達40は、市街地農地の評価に ついて宅地に比準して評価する旨定めている ことからすると、市街地農地についても、宅 地と同様に本件取扱いの適用があると解すべ きである。 (2) 認定事実 イ 本件畑は、本件道路に接しておらず、本 件道路と本件畑をつなぐ官有地(いわゆる 赤道)を通ることにより進入することがで きる無道路地である。また、本件畑は、本 件道路と比べて高い位置にあり、本件道路 に接する他の宅地と比べても著しく高い位 置にある。 ロ 本件各宅地は本件道路に接しておらず、 本件道路と本件各宅地をつなぐ私道等を通 ることにより進入することができる無道路 地である。また、本件各宅地も本件道路と 比べて高い位置にあり、本件道路に接する 他の宅地と比べても著しく高い位置にある。 ハ 本件畑と本件各宅地の間はがけ地となっ ており、最大で約4mの高低差がある。こ のほか、本件各宅地の周囲にはがけ地にな っている部分がある。 (3) 争点に関する検討及び請求人の主張に ついて イ 請求人は、本件各土地の評価に当たって、 本件各土地ががけ地を含む上、本件道路か ら本件各土地まで重機が届かないという制 約のために本件各土地の上の建物を取り壊 すことができず、隣家にしか売却すること ができないという事情を十分に考慮すべき である旨主張する。

(12)

  この点に関しては、上記(2)のイないし ハのとおり、本件各土地はいずれも本件道 路と比べて高い位置にあり、本件道路に接 する他の宅地と比べても著しく高い位置に あることや、本件各土地の周囲にはがけ地 になっている部分があることからすると、 本件各土地と本件各土地の周辺の一連の土 地の高低差を比較検討してもなお著しい高 低差があり、本件各土地の全部について、 その利用価値が付近にある他の土地の利用 状況からみて著しく低下していると認めら れるから、本件取扱いを適用して、財産評 価額から10%を減額するのが相当である。 もっとも、当審判所の調査によっても、請 求人が主張する制約のために本件各土地の 上の建物を取り壊すことができず、隣家に しか売却することができないという事情が あるとまでは認められず、本件取扱いによ る10%を超える割合の減額をすべきという 主張は、その前提を欠いている。 ロ 請求人は、①本件意見書によると本件各 土地の価額が10,000,000円であるとされて いること、②平成28年11月29日時点で本件 各土地に隣接する土地について1㎡当たり ○○○○円で売買の商談が行われているこ と、③一般に無道路地が近隣の土地の価額 の約40%ないし60%の額で売買されている 旨の不動産鑑定士の見解が示されているこ と等からすると、本件各土地の評価に当た って、その財産評価額からの減額割合を60 %とすべきである旨主張する。   しかしながら、①の点については、本件 意見書において示されている本件各土地の 周辺の取引相場の裏付けを欠く上、本件意 見書においてはこの点のほかに具体的な数 値や客観的な根拠が何も示されておらず、 1,000万円ないし最大でも1,200万円という 最終的な評価額が導き出された過程が全く 明らかではないことから、適正な時価を示 していると認めることはできない。②の点 については、商談における価額は個別的な 要因に左右されるものであり、客観的に適 正な時価としては認められない。③の点に ついては、請求人の主張によっても、不動 産鑑定士が指摘したという事項は一般論に すぎない上、その判断基準が明らかでなく、 当該事項については評価通達において無道 路地としての減価を行っている点で既に適 正に考慮済みであり、重ねて減額すべきこ との根拠とならない。   そうすると、①ないし③の事情は、いず れも本件各土地の財産評価額からの減額割 合を60%とすべきとする根拠とはならない。 ハ したがって、請求人の主張にはいずれも 理由がなく、本件各土地の評価に当たって の財産評価額からの減額割合は、本件取扱 いを適用して10%とするのが相当である。 (4) 請求人のその他の主張について 請求人は前記《請求人の主張》欄のほか、 本件通知処分に係る通知書には、本件修正申 告の前に行われた前記《審査請求に至る経緯》 のロの原処分庁所属の調査担当職員による調 査が違法である旨の請求人の申立てに対する 原処分庁の見解が全く記載されていないこと から、その理由付記に不備があり、本件通知 処分は取り消されるべきである旨も主張する。  しかしながら、本件通知処分に係る通知書 に請求人が主張する事項が記載されていなく ても、本件通知処分には、更正の請求に対す る理由がない旨の理由が記載されているので あるから、本件通知処分の理由付記に不備が あるとはいえず、本件通知処分の取消事由と はなり得ない。  したがって、請求人の主張には理由がない。

(13)

別表1 請求人が取得した各土地の明細 順 号 所在地 地 目 地 積 1 a市b町○-○ 畑 254㎡ 2 a市b町○-○ 畑 142㎡ 3 a市b町○-○ 宅地 849.58㎡ 別表4 本件各土地の価額(審判所認定額) 1 本件畑 (1) 一路線に面する宅地(1㎡当たりの価額)27,237円(注1)‥‥① (2) 不整形地(1㎡当たりの価額) (①) (不整形地補正率) 27,237円 × 0.60(注2)) = 16,342円‥‥② (3) 無道路地(1㎡当たりの価額) (②) 16,342円 × (1 - 0.4(注3)) = 9,805円‥‥③ (4) 市街地農地(1㎡当たりの価額) (③) (宅地造成費の金額) 9,805円 - 3,970円(注4) = 5,835円‥‥④ (5) 本件畑の価額 (④) (本件畑の地積) 5,835円 × 254㎡ = 1,482,090円 (本件取扱いによる減額割合) (本件畑の価額) 1,482,090円 × (1 - 0.1) = 1,333,881円 (注1) 奥行価額補正後の価額の算定 1 隣接整形地の地積 (間口距離) (奥行距離) (地積) 11.4m × 34.8m = 396.72㎡‥‥⑤ 2 近似整形地と隣接整形地を合わせた全体の整形地の地積 (間口距離) (奥行距離) (地積) 11.4m × 58.2m = 663.48㎡‥‥⑥ 3 近似整形地の地積 (⑥) (⑤) 663.48㎡ - 396.72㎡ = 266.76㎡‥‥⑦ 4 近似整形地と隣接整形地を合わせた全体の整形地の価額 (正面路線価) (奥行価格補正率(全体の整形地)) (⑦) 37,000円 × 0.87 × 663.48㎡ = 21,357,421‥‥⑧

(14)

5 隣接整形地の価額 (正面路線価) (奥行価格補正率(隣接整形地)) (⑤) 37,000円 × 0.96 × 396.72㎡ = 14,091,494円‥‥⑨ 6 奥行価額補正後の1㎡当たりの価額 (⑧) (⑨) (⑦) (21,357,421円 - 14,091,494円) ÷ 266.76㎡ = 27,237円 (注2) 不整形地補正率 (想定整形地の間口距離) (想定整形地の奥行距離) (想定整形地の地積) 13.2m × 61.8m = 815.76㎡‥‥⑩ (⑩) (本件畑の地積) (⑩) (かげ地割合) (815.76㎡ - 254㎡) ÷ 815.76㎡ = 68.86%   普通住宅地区、地積区分:A、不整形地補正率表による補正率:0.60 (注3) 無道路地による減額割合 (正面路線価) (通路部分の地積) (②) (本件畑の地積) (37,000円 × 104.4㎡) ÷ (16,342円 × 254㎡) = 0.93060053945   上記の計算結果が0.4を超えているため、減額割合は0.4となる。 (注4) 宅地造成費の計算 (整地費) (伐採・抜根費) (土盛費) (平均の高さ) ○○○○円 + ○○○○円 + (○○○○円 × 0.7m) = 3,970円 2 本件各宅地 (1) 一路線に面する宅地(1㎡当たりの価額) 28,867円(注1)‥‥① (2) 不整形地(1㎡当たりの価額) (①) (不整形地補正率) 28,867円 × 0.74(注2) = 21,361円‥‥② (3) 無道路地(1㎡当たりの価額) (②) 21,361円 × (1-0.10350009303(注3)) = 19,150円‥‥③ (4) がけ地等を有する宅地(1㎡当たりの価額) (③) (がけ地補正率) 19,150円 × 0.87(注4) = 16,660円‥‥④ (5) 本件各宅地の価額 (④) (本件各宅地の地積) 16,660円 × 991.58㎡ = 16,519,722円 (本件取扱いによる減額割合)(本件各宅地の価額) 16,519,722円 × (1 - 0.1) = 14,867,749円

(15)

(注1) 奥行価額補正後の価額の算定 1 隣接整形地の地積 (間口距離) (奥行距離) (地積) 35.4m × 23.7m = 838.98㎡‥‥⑤ 2 近似整形地と隣接整形地を合わせた全体の整形地の地積 (間口距離) (奥行距離) (地積) 35.4m × 52.2m = 1,847.88㎡‥‥⑥ 3 近似整形地の地積 (⑥) (⑤) 1,847.88㎡ - 838.98㎡ = 1,008.9㎡‥‥⑦ 4 近似整形地と隣接整形地を合わせた全体の整形地の価額 (正面路線価) (奥行価格補正率(全体の整形地)) (⑥) 37,000円 × 0.88 × 1,847.88㎡ = 60,166,972円‥‥⑧ 5 隣接整形地の価額 (正面路線価) (奥行価格補正率(隣接整形地)) (⑤) 37,000円 × 1.00 × 838,98㎡ = 31,042,260円‥‥⑨ 6 奥行価格補正後の1㎡当たりの価額 (⑧) (⑨) (⑦) (60,166,972円 - 31,042,260円) ÷ 1,008.9㎡ = 28,867円 (注2) 不整形地補正率 (想定整形地の間口距離) (想定整形地の奥行距離) (想定整形地の地積) 41.1m × 54.9m = 2,256.39㎡‥‥⑩ (⑩) (本件各宅地の地積) (⑩) (かげ地割合) (2,256.39㎡ - 991.58㎡) ÷ 2,256.39㎡ = 56.05%   普通住宅地区、地積区分:C、不整形地補正率表による補正率:0.83‥‥⑪ (⑪) (間口狭小補正率)(不整形地補正率) 0.83 × 0.90 = 0.74 (注3) 無道路地による減額割合 (正面路線価) (通路部分の地積) (②) (本件各宅地の地積) (37,000円 × 59.25㎡) ÷ (21,361円 × 991.58㎡) = 0.10350009303 (注4) がけ地補正率 がけ地部分の地積:129.5㎡(東斜面)12、243㎡(南斜面)13、 本件宅地の地積に占めるがけ地部分の割合:0.37566308316、 がけ地補正率:0.87(東斜面)14、0.88(南斜面)15 (⑭) (⑫) (⑮) (⑬) (⑫) (⑬) (かげ地補正率) ((0.87 × 129.5㎡) + (0.88 × 243㎡)) ÷ (129.5㎡ + 243㎡) = 0.87

参照

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