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東京電力福島第一原子力発電所事故で影響を受けた森林 の放射性セシウムの挙動 誌名 日本森林学会誌 ISSN 著者 巻 / 号 梶本, 卓也齊藤, 哲川崎, 達郎壁谷, 大介矢崎, 健一田中, 浩太田, 敬之松本, 陽介田淵, 隆一清野, 嘉之高野, 勉黒田, 克史藤原, 健鈴木,

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(1)

東京電力福島第一原子力発電所事故で影響を受けた森林

の放射性セシウムの挙動

誌名

誌名

日本森林学会誌

ISSN

ISSN

13498509

著者

著者

梶本, 卓也

齊藤, 哲

川崎, 達郎

壁谷, 大介

矢崎, 健一

田中, 浩

太田, 敬之

松本, 陽介

田淵, 隆一

清野, 嘉之

高野, 勉

黒田, 克史

藤原, 健

鈴木, 養樹

小松, 雅史

大橋, 伸太

金子, 真司

赤間, 亮夫

高橋, 正通

巻/号

巻/号

97巻1号

掲載ページ

掲載ページ

p. 33-43

発行年月

発行年月

2015年2月

農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター

Tsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research Council Secretariat

(2)

日林誌(2015) 97: 33-43

特集「東京電力福島第一原子力発電所事故による森林の放射能汚染

J

東京電力福島第一原子力発電所事故で影響を受けた森林の放射性セシウムの挙動

一事故後

2

年間の林冠から地表への移行過程からみた樹種特性一

梶本卓也*,

I・費藤

1

・ 川 崎 達 郎

1

・ 壁 谷 大 介I・ 矢 崎 健 一

1

・田中

浩l・ 太 田 敬 之I

松 本 陽 介

1

・ 田 淵 隆 一

1

・ 清 野 嘉 之

I

・高野

1

・ 黒 田 克 史

1

・藤原

l

・ 鈴 木 養 樹

I

小 松 雅 史I・ 大 橋 伸 太1・ 金 子 真 司1・ 赤 間 亮 夫I

•高橋正通I

東京電力福島第一原子力発電所事故から2年間(2011∼2013年),福島・茨城県の計5カ所で樹木地上部の放射性セシウム の濃度と蓄積量を調査し,林冠から林床への移行過程と優占樹種の関係を検討した。調査地は,スギ

4

林分,ヒノキ

2

林分, アカマツ

1

林分,落葉広葉樹(コナラ優占)

1

林分の計

8

林分である。各林分では,毎年優占種

3

個 体 を 伐 倒 し 葉 ・ 校 ・ 幹 (樹皮・辺材・心材別)の採取試料で放射性Cs濃度を測定し,その平均値を現存量に乗じて林分の放射性Cs蓄積量を推定した。 既報のリターや土壌の測定結果も加えて検討したところ,林分の印Cs総蓄積量に占める樹木の割合は,いずれの林分も2年間 で大きく減少したが, 2013年の割合はスギ林(6∼24%)やヒノキ林(10∼12%)がアカマツ林(2%)や落葉広葉樹林(3%) より高かった。また,葉の町Cs濃度や蓄積量の経年変化は,同じ常緑樹でもスギ・ヒノキとアカマツとでは異なった。事故後 初期の枝葉の枯死に伴う林冠から林床への放射性Csの移行過程は,林冠の初期沈着量とともに,優占樹種による葉の寿命や葉 量の違いによって異なることが示唆された。 キーワード:地上部現存量,広葉樹林,針葉樹人工林,放射性Cs蓄積量,葉の寿命 Takuya Kajimoto,*・' Satoshi Saito,' Tatsuro K剖 刊saki,'Daisuke Kabeya,' Kenichi Yazaki,' Hiroshi Tanaka,' Takayuki Ota,' Y osuke Matsurr削o,' Ryuichi Tabuchi,' Y oshiyuki阻yono,' Tsutomu Takano,' Katsushi Kuroda,' Takeshi Fujiwara,' Youki Suzul《i,'Masafurr

sium in Forest Ecosystems Affected by the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant Accident: Species-related Transfer Processes of Radiocesium from Tree Crowns to Ground Floor during the First Two Years. J Jpn For Soc 97: 33-43 We examined the dy -namics of radiocesium in the forest ecosystems which were contaminated by the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant Accident. Field meas町ementand sampling were conducted in eight stands; plantat悶1sof Japanese cedar ( C.ηptomeriα,japonica, n

=

4) , Hinoki cypress ( Chamaecyparis obt山α

n= 2), Japanese red pine (Pinus de問所ora,n = 1), and dec凶10usbroad-leaved forest dominated by oak (Quer -C附 serrata,n = 1) . In each stand, 即Csdeposition in甘巴eswas estimated s,p巴aratelyfor each aboveground component (leaves, branches, and stems) using the data of specific '"Cs activities and biomass of these components obtained during 2011-2013. We found that tree -137Cs decreased substantially during the period for all forest types. In 2013, however, the 137Cs ratio of trees to stand total (i.e., trees plus litter and soil) differed by forest type: Japanese cedar (6-24%) and Hinoki cypress (10-12%) were higher than pine (2%) and decidu -ous broad-leaved (3 % ) forests. The results su銘estedthat the early 2-year transfer process of radioces山n企omthe出ecrown to the ground differed depending on出eamount of initial 137Cs deposition and differences in leaf longevity and biomass of dominant species. Key words: aboveground biomass, broad-leaved forest, conifer plantation, initial radiocesium deposition, leaf lifespan

I

.

は じ め に

2

0

1

1年 3月に発生した東京電力福島第一原子力発電所

事故(以下,福島原発事故)は,

25

年前のチェルノブイ

リ原発事故後最大の規模であり,大量の放射性物質を大気

中に放出し,広範囲に汚染をもたらした(

Yoshida and Kanda 2012 ; Hashimoto et al. 2012, 2013

)。福島原発事故

後の放射性物質の分布や挙動については,河川や水田・畑

地,森林などで調査が行われ,それぞれの生態系の特徴が

徐々に明らかにされつつある(山口ら

2012

;中西

2013

森林の植物についても,関東や東北に自生する樹木の葉や

枝・幹(

Tagamiet al. 2012 ; Yoshihara et al. 2013 ; Ohashi et al. 2014

),果実(杉浦ら

2014

),花粉(

Akama et al. 2013

),また林床の山菜類(

Kiyonoand Akama 2013

)など

で放射性セシウム(出

Cs

,問

Cs

)の濃度が測定され,部位

ごとの違いや,種ごとの成育特性の違い(例えば,高木一

低木,常緑性一落葉性)や立地条件と汚染の関係などが検

討されている。

一方,こうした森林の構成要素ごとに放射性

Cs

の測定

値を積み上げて,林分レベルの蓄積量から汚染の実態を把

握しようとする研究は,時間と労力がかかるせいもありま

だ限られている(金子ら

2012

,福田ら

2013

)。チェルノ

ブイリ原発事故後には,ウクライナやロシアを始め,欧州

各地でこうした手法の研究がいくつか行われた。それらの

研究事例によると,爆発直後に林冠に降下,沈着した放射

l訂Cs

は,事故後数年を過ぎれば大半が土壌表層に集積

し,その後は樹木への移行や循環を繰り返しながら生態系

内に長く滞留し続ける

e

.

g

.

,

Tikhomirov and Shcheglov *連絡先著者(Correspondingauthor) E-mail: tkaji@坤ri.affrc.go.jp

1独立行政法人森林総合研究所 干305-8687 茨城県つくば市松の里1 (Fores町 andForest Products Research Institute, 1 Matsunosato, Tsukuba, Ibaraki 305-8687, Japan)

(3)

34

梶本卓也ほか

1994 ; Riesen 2002 ; IAEA 2006

)。福島原発事故において

も,かなり広範囲の森林が長期的な汚染源になることが懸

念され,汚染の程度に応じてゾーニングするなど,早急に

森林の取り扱い方を決める必要がある。そのためには,異

なるタイプの森林を含めて林分レベルの放射性 Cs蓄積量

を把握し,モデルなどを用いた将来予測に役立つデータを

継続的に蓄積する研究アプローチがことさら重要と思われる。

以上の観点から,森林総合研究所の研究グループでは,

福島・茨城両県の複数の森林タイプを対象に,樹木地上部

や林床のリター(落葉枝等の堆積有機物),土壌を含む林

分レベルでの放射性 Csの空間分布とその挙動に関する研

究に取り組んできた。研究の手法や結果の概要はすでに報

告されているが(林野庁

2013. 2014;高橋ら 2014

),詳

細な解析結果については,幹材(Kurodae

t

a

l

.

2013

)や土

壌(金子ら

2013; Fujii

e

t

a

l

.

2014

)など一部の調査項目

に限られている。そこで,本論では,樹木地上部を対象に

した調査結果から,福島原発事故後の放射性 Csの林冠部

への沈着量と,その後

2

年間の林床・土壌への移行過程を

中心に報告する。こうした初期の挙動については,降雨水

の放射性 Cs濃度の測定データから,林冠部への沈着量や

降雨の洗脱に伴う移行量が解析されている(Kato e

t

a

l

.

2012

)。本論では,手法は異なるが,樹木各部位の放射性

Cs

濃度や蓄積量をベースに林冠から林床への移行過程に

ついて,とくに樹種や林分構造との関係に着目して議論す

概 自 ︸

v d

ザ ん A U

ト旬

, ︽ d ノ n b

m

調

σ

ρ し v

n

1 ム ド H

る。さらに既報のリターや土壌の調査結果も踏まえて,林

分全体の放射性 Csの挙動を考察する。

E

材 料 と 方 法

1

. 調査地および林分概況

調査は,汚染程度の違いを考慮して,福島県の川内村

(大津辺山と上川内の

2

カ所),大玉村および只見町(各

l

カ所)に,茨城県の筑波山を加えた計

5

カ所,

8

林 分 で

行った(表−

1

)。本研究では,スギ林の調査林分を福島県

4

カ所に設定した。川内村・大津辺山(K U

S

l

),大玉

村(OT

S

)および只見町(TD

s

)の

3

カ所ではほぼ同齢

(41∼43

年生)のスギ林を選ぴ,川内村・上川内(KU-S2)

ではやや高齢の林分(56

年生)を選定した。大玉村以外

のスギ林には落葉広葉樹が混交し上川内の林分(KU-S

2

)にはアカマツやカラマツ(40

∼50

年生)なども少し混

植されている(表−

1

)。大玉村では,アカマツと落葉広葉

樹が混交する二次林で,アカマツとコナラが比較的多い林

分をそれぞれアカマツ林(OT-P.

43

年生),広葉樹林(OT-Q

)として調査林分に選定した。両林分はほぼ隣接してお

り,スギ林(OT-S)から数 100

mの範囲に位置する。さ

らに,ヒノキの人工林を,筑波山(

TB-H,43

年生)と川

内村・大津辺山(KU-H, 26

年生)の

2カ所で選定した。

福島県の各調査林分の樹種構成や直径分布などの詳細は梶

本ら(2014

)を,また筑波山のヒノキ林については

Inagaki Mt. Otsupe Kami-Kawauchi Kawauchi (KU) Otama (OT) Tadami (TD) Mt. T,印刷切(TB) Stand name KU-Sl Distance from FDNPP' (

26 Altitude (m) 660 Forest type Cedar Dominant sp町田# Cj Stand age (yrs-old) 43 KU-S2 28 TB-H 160 KU-H 27 730 690 Cypress Co 26 Cedar Cj 56 Tree density (ha 1) Diameter (cm) Tree height (m) Stem volume (m3 ha-1) CON DBL CON DBL 975 ( 519) 1330 19. 1 (14. 8) 17. 6 14. 4 (13. 4) 16. 5 254 ( 68) 278 DBL CON CON 733 ( 225) lll7 30. 9 (25. 8) 25. 2 19. 2 (13. 8) 18. 1 546 ( 86) 508 OT-S 66 TD-S 134 790 350 OT-Q 66 日 渇 mmuvβ σ t 7 p j d 730 760 Cedar Cedar Broad-leaved Cypress Co 43 Qs 43 Cj 41 Cj 42 DBL CON DBL 917 ( 375) 19. 0 (15. 9) 12. 6 (10. 9) 180 ( 45) CON DBL 629 ( 550) 19.3 (17.7) 12. 6 (11. 3) 124 ( 85) CON DBL CON DBL 1105 ( 133) 2133 20.3 (17.8) 20.6 14.4 (11.4) 17.6 316 ( 20) 667 Aboveground biomass' (Mg ha ') Needles/Leaves 12. 0 ( 1. 7) 9. 1 28. 6 ( 1. 9) 23. 9 4. 5 ( 1. 3) 3目1 ( 2. 8) 15. 5 ( 0. 6) 23. 5 Branches 7. 2 ( 7. 8) 11. 0 - 21. 1 ( 5. 6) 15. 2 - 10. 4 ( 6. 2) 7. 2 (13.1) 9. 5 ( 3. 0) 33. 3 Bark 4.4 ( 7.1) 6.0 ー 7.9 ( 2. 0) 9. 4 - 3. 9 ( 3. 8) 2. 7 ( 7. 2) 7. 0 ( 1. 7) 10. 3 Sapwood 48. 7 (29. 8) 67. 4 - 95. 5 (29. 3) 93. 8 - 61. 5 (14. 3) 42. 6 (27. 4) 51. 4 ( 6. 5) 132. 9 Heartwood 20. 2 ( 3. 2) 31. 3 74. 1 ( 3. 4) 47. 5 6. 4 ( 8. 1) 4. 4 (15. 5) 35. 9 ( 3. 7) 114. 4 Stem sub-total 73. 4 ( 40.1)104. 7 ー 177.5 (34. 7) 150. 7 ー 71.8 (26. 3) 49. 7 (50. 1) 94. 3 (11. 9) 257. 6 Tree total 92. 6 (49. 6) 124. 8 - 227. 2 (42. 2) 189. 8 - 86. 7 (33. 8) 59. 9 (66. 0) 119. 3 05. 5) 314. 4

立木密度や直径などの平均値および現存量は,左側が常緑針葉樹(CON

,右側カッコ内が落葉広葉樹(DBL

)の値を示す。ただし上川内(KU-S2

DBL

は一部混植された針葉樹(アカマツ,カラマツ)も含む値を示す(梶本ら

2014)0 '福島第 1

原発(FDNPP

)からのおよその直線距離。#優占種は,

q

,スギ,

Co

,ヒノキ;

Pd

,アカマツ;

Qs

,コナラ。+現存量は,

2012

年の毎木データによる推定値。

Values of甘eedensity, mean size p町ameters,and biomass町eshown sep町a臼lyfor evergreen conifer仕・ees(CON) and the other species (mostly deciduous broad

-leavedtr田s) (DBL), except for KU-S2 (DBL includes values of some pine and larch甘関心(K句imotoet al.2014).事Distance企omFukushima Daiichi Nuclear Power Plant (FDNPP〕.•Domin:阻tspecies:Cj, Cryptomeria japonica; Co, Chamaecyparis obtuse; Pd, Pin回 densザlora;Qs, Quercus serratα,. 'Biomass of each stand was estimated企omthe census data in 2012.

(4)

福島原発事故後 2年間における森林の放射性セシウムの挙動

3

5

e

t

a

l

.

(

2

0

1

2

)を参照されたい。

2

.

地上部現存量の推定

各調査林分では,

2

0

1

1

7

9

月に固定プロット(面積

0

.

1

0

0

.

2

4

h

a

)を設置し,胸高直径(

DBH

,地上高

1

.

3

m

)が

10cm

以上の生存個体を対象に,樹種の記載と

DBH

の測定を行った。一部の個体(各林分

2

0

本程度)では樹

高を測定し,後述する幹材積の計算に必要な樹高の推定式

(DBH

一樹高曲線)を作成した(梶本ら

2

0

1

4

)。毎木調査

は,翌年以降(

2

0

1

2

, 2

0

1

3

)も実施し生死の確認と

DBH

の再測とから成長量を計算した。表−1には,これらの毎

木データから各林分で推定された樹木の部位別現存量

(

2

0

1

2

年分)を示しである。現存量の推定方法の概略は,

以下のとおりである。

枝と葉の乾重は,スギ,ヒノキ,アカマツおよび落葉広

葉樹(おもにコナラ)の樹種別に,既存の伐倒木資料から

DBH

を変数とする相対成長式を作成して推定した。各式

の決定係数と用いた試料木の本数は,スギ(枝

0

.

9

2

,葉

0.86:n=25

),ヒノキ(枝

0

.7

7

,葉

0

.8

6

;

n

=20

),アカ

マツ(枝

0

.

5

3

,葉

0

.3

9

;

n

=

2

3

),落葉広葉樹(枝

0

.6

9

,

0

.6

8

;

n

=49

)である(式の係数などの詳細は,梶本ら

(

2

0

1

4

)を参照)。幹については,本研究で、は三つの部位(樹

皮・辺材・心材)に分けて放射性

C

s

の蓄積量を推定する

ために,一度幹材積を計算して,それに各部位の容積比

(幹材積に占める割合,%)と容積密度(乾重/容積,

kg

m 3

)を乗じて,それぞれ乾重に換算する方法を用いた。

幹材積は,地域や樹種別に調整された

DBH

と樹高を変数

とする材積式(細田ら

2

0

1

0

)から計算した。幹各部位の

容積比と容積密度の値は,後述するように林分ごとの試料

木(毎年

3

本)の測定値の平均を用いた(

2

0

1

1

1

2

年は

6

2

0

1

3

年は

9

本の平均とした)。以上,部位別の容積比

や容積密度の測定手順(試料の調整は後述)など現存量の

推定方法の詳細については,梶本ら(

2

0

1

4

)を参照された

3

.

放射性

Cs

濃度の測定用試料の採取と調整

各林分では,毎年優占樹種を

3

本(大・中・小;中がほ

ぼ平均

DBH

)伐倒し,葉,枝および幹各部位の放射性

C

s

濃度測定用の試料を採取した。試料木は,幹や樹冠の状態

が健全な個体から選定した。コナラの試料木は,大玉村の

落葉広葉樹林(

OT-Q

)以外には,比較的広葉樹が林内に

多く混交する川内村のスギ林(

KU-Sl

)で,それらの印

C

s

蓄積量推定のために採取した。ただし試料木はこのスギ

林よりもヒノキ林(

KU-H

)に近い広葉樹林で選定した。

各試料木は,樹皮に落葉や土壌が付着するのを避けるた

めに,地上高

0

.

5

3m

にブルーシートを巻き付けてから,

地際より少し上部で伐倒した。幹の各部位の試料は,まず

胸高部(高さ

1

.

3

m)の周囲に沿って樹皮(外樹皮)をス

クレーパ一等で、剥がして採取しこの剥皮部分から円板を

l

2

枚,材部の試料として採取した。小さい個体の場合

は,濃度測定に必要な試料を確保するために,さらに胸高

部の上下で複数の円板を採取した。円板は実験室に持ち

帰って辺材と心材に分けて,樹皮試料とともに

2日以上乾

燥(

1

0

0

℃)後,粉砕してそれぞれ測定試料を調整した。

辺材と心材は,目視により移行材付近で区別した(

Kuroda

e

t

a

l

.

2

0

1

3

枝と葉の試料は,伐倒後,樹冠をおよそ

3

等分(上・

中・下層)した各層から枝を数本採取し,枝と葉により分

けて,それぞれ一度よく混ぜてから濃度測定用の試料(各

1

0

0

g

)を採取した。枝は,太さを揃えるために,直径

がおよそ

2cm

以下の細めの枝を適当に混ぜ、て採取した。

枝葉の試料は,実験室で

2

∼3

日乾燥(

7

0

℃)後粉砕して

濃度の測定を行った。

各部位試料の放射性

C

s

濃度は

ゲルマニウム半導体検

出器(

GEM20-70

,セイコー

EG&G

)を用いて,

I剖

C

s

m

C

s

別に測定した。ただし

2

0

1

1

年の枝葉試料は外注し

(日本冷凍食品検査協会),ガンマ線スペクトロメトリーで

計測した。検出限界値以下の試料は,

2

年間で只見のスギ

試料木の幹材および樹皮の一部にみられたが,それらにつ

いては平均の検出限界値(樹皮が約

5

0

Bq k

g

-

1

,幹材が約

5

Bq k

g

-

1

)を用いて

3

個体の平均濃度を算出した。

4

.

幹各部位の容積比と容積密度の測定

各試料木については,放射性

C

s

濃度の測定用円板とは

別に,切り株高と地上高

2

.5

,

4

.

5m

,さらに上部は

3

4

m

間 隔 で 円 板 を 採 取 し 皮 付 色 皮 な し お よ び 心 材 部 の

各直径を直交する

2方向に沿って測定した。これらの平均

直径から,通常の樹幹解析の手順で各区間の皮付き,皮な

しおよび心材部の材積をスマリアン式で計算し樹皮,辺

材および心材の各容積比を求めた。各部位の容積密度は,

2

カ所(地上高

2.5m

4

.5m

)で幹の円板試料を採取し,

辺材と心材は小木片を作製して乾重と水中での浮力の測定

から求めた。

以上の伐倒調査と試料採取は,調査地ごとに毎年ほぼ閉

じ時期になるよう,大玉村は 7月下∼8月上旬,

I

J

I

内村は

8月下旬,只見町は 9月上旬に行った。ただし川内村・

上 川 内 の ス ギ 林 (

KU-S2

)では

2

0

1

1

年 の み

1

1

月 下 旬

2

0

1

2

年以降は

9

月に実施した。試料採取時期が多少

違うため,本論ではこれらの調査地の試料については,放

射性セシウム(山

C

s

,

1訂Cs

)の濃度はそれぞれの半減期を

f

吏って各年の基準日(

9

l

日)に補正した値を用いた。

一方,筑波山のヒノキ林(

TB-H

)では,最初

2

回の試料

採取は冬(

2

0

1

2

2

月および

2

0

1

3

1

月)に実施し,

3

回目から他の調査地にあわせて夏季(

2

0

1

3

9

月)に行

うようにした。そのため,冬に採取した最初

2回分の試料

のみ,それぞれ

2

1

日に補正した値を用いた。なお,川

内村・大津辺山のヒノキとコナラの試料採取は,福島原発

事故の翌年(

2

0

1

2

年)から実施した。

5

.

林分の放射性

Cs

蓄積量の推定

各林分の樹木の放射性

Cs

蓄積量は,針葉樹(

OT-Q

外は優占種)とその他(落葉広葉樹)に分けて,部位別の

現存量(表−1

)にそれぞれの放射性

C

s

濃度(各年の試料

3

本の平均値)を乗じて推定した。川内村のスギ林(

KU

(5)

梶本卓也ほか

KU-S2を除く 3林分では,部位別の濃度の大小関係

2012

年以降もおよそ

2011年と同じ傾向を示した。

3

に,スギ以外の試料木の部位別に得られた平均放

射性

Cs

濃度をまとめた。ヒノキについては,筑波山(

TB-H)の場合,初年度の137Cs

濃度は葉が最も高く,次いで枝

と樹皮が同じくらい高かった

(

p

<

O

.

05

)。川内村のヒノ

キ林(KU-H

)についても,

2012

年の結果ではあるが葉が

最も高い濃度を示した。どちらの林分も,

2013

年の1

37Cs

濃度は,樹皮かあるいは枝が葉と同じくらい高い値を示し

た。大玉村のアカマツ(OT-P

)については,上述のスギ

やヒノキと同様,

20

日年の1

37Cs

濃度は葉が最も高かった

(

p

<

O

.

05)

−3

)。しかし

2013

年には葉の濃度は大き

く低下し,枝や樹皮を下回った。落葉樹のコナラについて

は,大玉村(OT-Q

)の試料の場合,即Cs

濃度は枝と樹皮

3年間通じて差がなく, 2012

年以降,これらの部位の

濃度は葉や材部より高く推移したい<

O

.

05

2012年か

ら測定した川内村のコナラ(K U

つでも,各部位の1

37Cs

度の大小関係は大玉村(OT-Q

)の試料の傾向とおおむね

一致し,枝と樹皮が葉や辺材,心材に比べて高かった

(

p

<

O

.

05

2

.

葉,枝,樹皮の放射性

Cs

濃度の経年変化

1

には,福島原発事故後に降下した放射性

Csが直接

沈着した葉,枝および樹皮について,

137Cs

濃度(表−2

, 3)

の経年変化を樹種ごとにまとめて比較した。スギについて

は,葉の

137Cs

濃 度 は

20

日 年 に 比 べ て

2012

年(TD-S以

1

.

部位別放射性

Cs

濃度

表−2に

, 4カ所のスギ林の試料木で得られた部位別の平

均放射性

Cs

濃度をまとめた。なお,

l担Csに関する部位聞

の比較や経年変化についてはl

訂Csとほぼ同じ傾向がみら

れたこともあり,ここでは半減期が長く今後の挙動でより

重要と思われる

137Cs

の結果についてのみ述べる。

2011年

1訂Cs

i

農度は,葉が最も高いか(KU-Sl, OT-S, TD-S),

葉と枝が同じくらい高かった(KU-S2)

(

p

<

O

.

05, Tukey;

以下,検定法は同じ)。いずれの林分も,葉に比べると樹

皮や材部の1

37Cs

濃度は低く,辺材と心材では差がなかっ

36 Sl

)と大玉村のアカマツ林(OT-P

)に混交する落葉広葉

樹の蓄積量は,それぞれ同じ調査地のコナラ試料木で測定

した放射性

Cs

濃度をすべての広葉樹種に代用して計算し

た。調査地で直接コナラの試料を採取しなかった

2

カ所の

スギ林(KU-S2, TD-S

)の場合は,毎年スギとコナラ両

方で実測した大玉村のデータを用いて,各部位における両

種の放射性

Cs

濃度の比(コナラ/スギ)が他の場所でも

成り立つと仮定して,各林内に混交する落葉広葉樹の個体

の放射性

Cs

濃度を計算した。なお,これらの

2

カ所のス

ギ林では,混交する落葉広葉樹が林分現存量に占める割合

はそれぞれ

16% (KU-S2), 11 % (TD-S

)とそれほど多く

はないが,その放射性

Cs

蓄積量の推定値には上の仮定に

伴う誤差がある程度含まれていることに注意がいる。

I

I

I

.

−2

.

スギの試料木で測定した樹木の部位別放射性

Cs

濃度

Specific radiocesium activities measured for each aboveground component of the sample位eesof Japanese cedar(Cryptomeria japonica)in the four study stands. 間Cs(Bq kg-1dw) 2012 出Cs(Bq kg I dw) 2012 2013 KU-Sl

0 a a a b b 11839±6826 15580±6709 9361 ±2312 163±57 167± 108 LULU a

h a h −b b 35334 ± 20882 22911士16926 10725±3278 164±26 166±66 a

0 c c c 2011 182817土25281 62476 ± 12735 16055±8208 220±76 84±24 2013 5444±3243 7180± 3106 4177土1163 72±23 74土43 22430 ± 13153 14187 ± 10284 6679±2109 104±9 113±45 2011 157188 ± 22716 52949 ± 10364 13806±7062 186±62 74±20 Component Needle Branch Bark Sapwood Heartwood Sampling site 気 uau ’uaagu 8274±3405 16485土15832 2486±525 114±29 65±7 n u a“ ・ n u ’n υ ’n u 10203± 3849 14805± 5003 2258± 1516 101 ±23 43±5 a a b b b 25272土2072 25899 ± 12240 1464± 387 66± 17 24±21 3784± 1525 7549± 7153 1187± 245 48± 11 32±6 6500±2447 9311 ±3110 1466±972 62± 14 26土3 21597± 1959 21948 ± 10490 1275±343 63±23 16± 14 Needle Branch Bark Sapwood Heartwood KU-S2 b c

, ,

a u e a ’n u n − P 1378±326 1082土145 646±460 15±2 13±4 a b b, c c c 2586±448 956±623 482± 156 11±6 11± 1 ’ U1nupupup 6241 ± 1467 2823±608 736±355 15±4 5±1 642± 140 491 ± 60 298± 166 6±2 7±2 1596±301 571 ±333 332± 166 7±3 7±1 5484± 1455 2326±506 573± 188 12±4 3士1 Needle Branch Bark Sapwood Heartwood OT-S Needle 104品±367 313 ± 118 98 ± 15 1183 ± 504 a 503 ± 170 a Branch 336 ± 103 214± 50 112 ± 17 366 ± 90 b 377 ± 38 a Bark 139±51 78±36 38±7 178±94 b 117±64 b Sap明ood 6±1 3±0 4±0 7±1 b 3±1 b Heartwood 6±1 3±0 16±6 5±1 b 3±0 b 値は,各林分で毎年採取した

3

個体の平均値と標準偏差を示す。放射性Cs濃度は,各年の基準日(9月 1日)に補正後の値。同じ小文字(a,b)は,部位 聞で凹Cs濃度に差がない場合(T池ey,p=0.05)。

Each value shows mean土SDof threetr,田s(large, medi山田,andsmall) sampled世omeach stand every year. Radioc四iumactivity is expres田das白evalue corrected on 1 st September in each yeぽ For白e間 百plesof each stand and ye民 sameletters (a, b) indicate即 時nificantdifferences in 137Cs activiti田(T此 句test,p = 0. 05). a a ’bku 唱b 224± 18 245±28 57±34 7土2 34± 11 TD-S

(6)

3

7

−3

. ヒノキ,アカマツおよびコナラの試料木で測定した樹木の部位別放射性

Cs

濃度

Specific radiocesium activities observed for each component of the sample trees of Hinoki cypress, Japanese red pine, and Konara oak in the different study sites.

福島原発事故後

2

年間における森林の放射性セシウムの挙動

問。(BqkgI dw) 2ゆ12

cs(Bqkg-I dw) 2012 2013 Cypr沼田 C. ob加sa −h u a b a h −b b 39797 ± 18949 11153±6592 20384± 11413 259± 182 181 ± 130 a b b b b 82561 ± 27683 20273±2405 30264±8994 237±50 147±61 2011 2013 18278±8692 5073±3038 9295± 5273 115±84 84±62 52337 ± 17362 12518± 1370 18866± 5424 158±42 95±44 2011 Component Needle Branch Bark Sapwood Heartwood Stand KU目H Species 1 0 a h a b b 637土381 235±90 556±7 18±2 15±5 a b a b b 780± 192 258±50 576± 154 23±3 15±11 a b b c c 1909±376 653±90 1105±246 31土20 8±1 285± 179 106±40 264± 12 9±1 6±1 420± 142 116± 32 321 ±40 15土2 8±6 1452± 251 509±85 831 ± 157 24± 15 6±0 N田die Branch Bark Sapwood Heartwood TB-H Cypress C. obtusa a b b a a 106土30 569±72 460±92 2±1 2±1 a a, b b b b 1194±512 844±241 493± 138 3土1 2±1 a b b b b 12596±3824 2644±415 1056±832 6±4 2土l 41± 10 262±23 200±41 1±1 1±0 751±317 550± 159 294±82 2±1 1±0 10669±2923 2379±517 847±700 4土3 1±0 Needle Branch Bark Sapwood Heartwood OT-P Pine P. d,朗sij/ora a b b a a 231 ±79 605± 110 785± 166 15±3 3±2 q u ’n uh u a a a “ 110± 35 863±281 772± 190 11土2 6±3 L U 弘 a a b b 288±28 1216±596 1283±768 7±2 1±0 94±32 281土57 311 ±92 7±2 1±1 61±14 559± 192 453± 128 6±1 4土2 296± 19 1029±541 1118 ± 731 5±2 1±0 Leaf Branch Bark Sapwood Heartwood OT-Q Oak Q.serra臼 Leaf - 2667 ± 872 2496 ± 354 - 4246 ± 1475 a Branch - 13605 ± 4319 5479 ± 1856 - 21642 ± 6660 b Bark - 11893 ± 6441 9336 ± 4332 ー 1幻48± 10590 b Sap附 od - 238±80 313±88 - 374±124 a Heartwood - 137 ± 43 129 ± 57 212 ± 54 a 値は,各林分で毎年採取した3個体の平均値と標準偏差を示す。放射性Cs濃度は,各年の基準日(9月l日)に補正後の値。ただし筑波山のヒノキで 冬に採取した2011, 2012年の試料はそれぞれ 2月 1日に補正後の値を示す。つII内村のコナラ試料木の即Cs濃度は,スギ林(KU-Sl)に混交する落葉広葉 樹の蓄積量推定に用いた。同じ小文字(a,b)は,部位聞で印Cs濃度に差がない場合(Tukeヴ・ p=O. 05)。 Each value shows mean土SDof three田 副 (I町ge,medium, and small) samp凶 fromeach stand every ye町 Radiocesium配tivityis回pressed田thevalue corrected on 1st Septemb町ineach ye町 事Valuesof specific activity of Oak田 町let悶 sin Kawauchi site (KU) were applied to耐 側imationof stand-level 137Cs deposition for all deciduous broadleaved甘右目inthe cedar stand (KU-Sl) . For the samples of each stand and ye町,samele杭 町s(a, b) indicate n岨significantdifferences in印Csac -tivities (Tukey test,p = 0. 05). c b 九 九 b c c 5426±741 11896±3943 2lll6±8943 660± 178 284± 135 KU* Oak Q.serrata 2013

年の各部位の濃度変化は,

傾向を示した。

3

.

樹木地上部の叩

Cs

蓄積量

4

に,各林分における樹木の

137Cs

蓄積量の推定結果

を示す。

4

カ所のスギ林の場合

2011

年の

l幻Cs

総蓄積量

は,福島第

1

原発に近い川内村の

2

林分が高く(

KU-Sl, 303 kBq m-2; KU-S2, 148 kBq m 2

),大玉村(

O T

19 kBq m 2

)や只見町(

TD-S, 2 kBq m 2

)と原発から遠方に

なるほど大きく低下した。ヒノキ林の場合も,

2012

年の

推定値の比較にはなるが,やはり川内村の林分(

KU-H, 118kBq m 2

)が原発から離れた筑波山(

TB-H, 4 kBq m -2)

20

倍以上と高かった。アカマツ林(

OT-P, lOkBqm-2)

と落葉広葉樹林(

OT-Q, 9 kBq m-2

)の蓄積量はほぼ同じ

レベルで,同じ大玉村のスギ林の半分程度であった。

2

には,

4

カ所のスギ林について,樹木の

137Cs

蓄積

量の経年変化を,葉,枝および幹(樹皮,辺材,心材の合

計)に分けて描いた。なお,林分間で広葉樹の混交程度が

違うため(表−1

),ここではスギ個体だけの蓄積量(表−4

.

CON

)で比較した。

KU-S2

を除く

3

林分では傾向が似て

OT-Q

のコナラによく似た

外).

2013

年(全林分)は低く

(

p

<

O

.

05, Tukey). 2

間を通して対数軸上でほぼ直線的に減少する傾向がみられ

た(図−

1(a

))。枝の

137Cs

濃度は,

2

林分(

KU-Sl, O T・S)

のみ

2

年後低下したが

(

p

<

O

.

05)

l(b

)),樹皮の

137Cs

濃度はいずれの林分も明瞭な年変化はみられなかった(図−

l(c

スギ以外の樹種については,ヒノキ(

TB-H

)の場合,

どの部位も

2012

年は

2011

年に比べて

137Cs

濃度は低下し

たが

(

p

<

O

.

05). 2012

年から

2013

年にかけては,川内村

の林分(

KU-H

)も含めて有意な変化はみられなかった(図−

l(d). (e),

(の)。アカマツは,スギと同様,葉の

137Cs

度は

2年間を通じでほぼ指数関数的に減少した(図−l

(

g)

枝や樹皮の

137Cs

濃度も,葉と同様

2012

年は

2011

年に比

べて低下したが

(

p

<

O

.

05

),それ以降の変化は緩やかで

あった(図一

l(h). (i

2

カ所で測定したコナラについて

は,大玉村(

OT-Q

)の試料の場合,葉の

137Cs

濃度は

2012

年に一度低下したが,その翌年増加した

(

p

<

O

.

05)

l

(

g))。枝や樹皮では, 2年間で明瞭な変化はみられな

かった(図−

1(

h

)

.

(

i

))。川内村の試料(

K U

つも,

2012

(7)

梶本卓也ほか

おり,

2011

年は葉ーが

Cs

蓄積

70∼80%

を占め,幹

ほとんど樹皮

5%

と最も少なかった(図

2(a), (c),

(

d

葉が

Cs

蓄積

で大半を占めたのは,葉は現存量

の配分で幹や枝より少ないが(

12∼ 13%

,表

1

)

,

137Cs

度が幹や枝より 1

2桁高かった(表

2

ことが影響して

いる

その結果,翌年以降の蓄積

も,おもに葉のi

幻Cs

濃度の減少

l(a

を反映して低下した

しかし

137Cs

蓄積量の

2013

2011

年比を比べると,

KU-Sl(19%), OT-S (30%), TD-S (37%

)と原発から遠く,初期の

Cs

蓄積

が少ない林分ほど

2

年間で減少した割合が小さくな

る傾向にあった

。一

方,上川内のスギ林

KU-S2

につい

ては,

3

年間を通じて

137Cs

蓄積

は葉と枝がほぼ半分ずつ

で推移した(図

2(b

3

には,スギ以外の各林分における

137Cs

蓄積

量(

占樹種のみ

の経年変化を示した

ヒノキ林については

筑波山

TBH

)の場合,

2

年間に

137Cs

蓄積量は減少

した

が,葉の割合はあまり変

せず(

40∼50%

に 上 述 の ス ギ

3

林分に比べると枝や幹への配分

は高めで推移した(図

3(b

川内村

のヒノキ林(

KU-H

)も,

2012∼2013

年の

変化はスギ林に比べると幹や校の配分比がやや高めで推移

した

3

(

a)

アカマツ林の場合,

7

Cs蓄積

は 2年間

で大きく低下しそれに応じて葉の占める割合も約

70% (2011

年)から

1%

以下(

2013

と大幅に減少した

3

(

c

))。一

方,コナラの試料木で落葉広葉樹類の合計を推

定した

OT-Q

の場合は,校と幹がほぼ半分ずつの配分で

Cs蓄積

は徐々に減少した(図

3(d

I

V

.考 察

38 Japanesecedar(C.japonica) (b)Branch (c) Bark 1伊 ( '.) 102 帆 内 吋 10 102 I I I I I 102 10' ' ' ' ' 10 20112012 2013 2011 2012 2013 2011 2012 2013 Hinoki cypress(C.obtus)日 (d)Needle (e)Branch

I

:;

:亡R'.o伊5 制U二

.

t

μ

l

;

r

f

t

f

e

:

叩 L『、、 10'

f

w

TB-円一 1::

~

101

I← δ10' ::' 、 、 一 己 時 : :' 10 2011 2012 2013 2011 2012 2013 2011 2012 2013 戸 、1伊 ~ 105

g

、ノ10

~

10'

"

'

δ10' 仇 M 吋 10 Pine(P. densiflora)andOak(Q.serrata) (g)Needle/Leaf (h) Branch . A ・ 11伊 I I t I I 10' 20112012 2013 Year 2011 2Y0ea12 r2013 2011 2Y0ea1r2 2013

−1

.

各林分の試料木における葉,枝および、樹皮の

137Cs

濃度の

経年変化

Cha暗esin137Cs activities ofneedle(orleaf),branchandbarkob -served for the sample treesofdifferentspeciesduring20ll-2013. Allvalues(mean土SD,n = 3)are summarizedinTables2 and3 300 (a) KU-51 n

U 4 1

Needle rzzlBranch

Stem 120 100 80 60 40 20 250 ( N E 200

c

i

5

150 主ι 』 」 100 n u n u R d n u R J n U 5 2 2 1 1 的 u u b E

E 0 5 50 a u 刀 間 一 U h

2011 2012 2013 2011 2012 2013 (d)TD-S (c) OT-S 2.5 1.5 0.5 2011 2012 2013 Year 2011 Y2e01a2r 2013

2.

スギ

4

林分における樹木の

137Cs

蓄積量の経年変

Changesin137Cs deposition in theaboveground treecomponents of thefourJapanesecedar standsduring20ll-2013. 蓄有'ti置は,スギ個体のみの積算値(表−4)を示す幹は,樹皮,辺材,心 材の合計 The value shows the deposition estimatedonly forthe cedartrees(see CON; Ta ble 4). Stemincludesbark, sapwood, andheartwood

1

.

林冠の放射性 C

s

初期沈着

本研究では,

4

カ所のスギ林を比較した結果

福島原発

事故から約

半年後

2011

年夏)の樹木の

Cs

蓄積

はお

おむね福島第

l

原発から遠い林分ほど少なくなるが(表

4

いずれもその大半(>

50%

が葉に分布し

2),

森林に降下した放射性

Cs

は林冠のとくに葉にトラ

プさ

れたことが示された

これらのスギ林のうち

やや高齢

(56

年生

)な

上川内のスギ林(

K U”S2

では,

葉と

ともに

枝にも

較的多くの

137Cs

が蓄積していた(表

4

。この林

分のスギの本数密度

730

ha-1

3

林分

980∼

l

,

120

ha1)

1

)

よりも低く

一方葉に対する枝の

現存

0.74

)は

他よ

0.60∼0.63

)やや高いといっ

た違いがみられる

スギ林の場合

般に高齢になるほど

葉に対する枝の現存

は増加する

丹下ら

1990

この林

分で枝への放射性 Csの沈着が相対的に多くなった理由は

不明だが,その可能性のーっとして,こうした林分や個体

の樹冠構造の違いが

海下物質の沈

方に影響したこ

が考えられる

同じ調査地(大玉村

で異なる森林タイプを比較した結

果,樹木の

37Cs

蓄積

量(

2011

年)はス

ギ林がアカマツ林

や落葉広葉樹林より

2

3

倍多く(表

4

),蓄積

の配分も

スギ林では葉により集中するなど(図

2(b), 3(c),

(

d

)

)

,

(8)

福島原発事故後

2

年間における森林の放射性セシウムの挙動

4.

各調査林分における樹木の部位別

137Cs

蓄積量の推定結果

39 Estimates of trees-137Cs deposition (kBq m-2) of白巴eightstudy forests during 2011-2013. Kawauchi (KU) Otama (OT) Tadami (TD) Mt.Tsukuba (IB) Year Component KU-Sl CedarCJ KU-H CypressCo KU-82 CedarCJ OT-S CedarCJ OT-P OT-Q TD S PinePd Broad-leavedQs CedarCJ TB-H CypressCo

CON DBL CON DBL CON DBL CON DBL CON DBL CON DBL CON DBL CON DBL 2011 Needles/Leaves 210. 16 ( l. 40) Branch田 42.64 (20.77) Bark 6. 84 (20. 13) Sapwood l. 03 ( 0. 31) Heartwood 0. 16 ( 0. 01) 70目58( 9. 28) 14. 38 52. 94 (13. 12) 4. 12 l.13 ( 0. 41) 0. 67 0. 61 ( 0. 07) 0. 13 0目17(0. 003) 0. 02 5. 66 ( 0. 04) 3. 97 ( 0. 08) l. 72 (0. 003) 4. 41 2. 76 ( 0. 70) l. 91 ( l. 53) 0. 32 (0. 042) 2. 11 0. 41 ( 0. 46) 0. 29 ( 0. 90) 0. 12 (0. 049) 1. 08 0. 04 ( 0.01) 0. 02 ( 0. 02) 0. 03 (0. 002) 0. 39 0. 001 (0. 001) 0. 001 (0. 002) 0. 02 (0. 000) 0. 08 Total 260. 84 (42. 61) 125. 43 (22. 89) 19. 33 - 8. 87 ( 1. 21) 6目19( 2目53) 2. 21 ( 0. 10) 8. 08 (CON+ DBL) 303. 4 148. 3 19. 3 10. 1 8. 7 2. 3 8. 1 2012 2013 Needles/Leaves Branches Bark Sapwood He町twood Total (CON+DBL) Needles/Leaves Branches Bark Sapwood Heartwood 42. 42 ( 0.71) 75. 52 16. 51 (16. 97) 22. 33 4. 75 (13. 62) 18. 14 0. 80 ( l. 11) l. 59 0. 34 ( 0. 07) 0. 46 64. 83 (32. 48) 118. 05 97. 3 118. 0 14. 81 ( 0. 94) 39. 76 11. 81 ( 9. 75) 13. 73 4. 28 05. 24) 13. 21 0. 82 ( 2. 01) l. 89 0. 38 ( 0. 09) 0. 61 29. 21 ( 0. 87) 6. 17 31. 18 ( 7. 36) l. 45 1. 78 ( 0. 48) 0. 45 0. 96 ( 0. 09) 0. 10 0. 32 (0. 003) 0. 05 63. 45 (8. 80) 8. 24 72. 2 24. 30 ( 0. 13) 35. 81 ( 4. 98) 2. 65 ( 0. 36) 1.09 ( 0.06) 0. 48 (0. 003) 3.43 l.73 0. 60 0.15 0. 07 8. 2 0. 53 ( 0. 01) 0. 37 ( 0. 03) 0. 88 ( 0. 54) 0. 60 ( l.13) 0. 19 ( 0. 29) 0. 13 ( 0. 56) 0. 02 ( 0. 02) 0. 01 ( 0. 03) 0. 001 (0. 005) 0. 001 (0. 009) l. 62 ( 0. 86) 1. 12 ( l.76) 2. 5 2. 9 0. 05 ( 0. 03) 0. 03 ( 0. 07) 0. 60 ( 0. 39) 0. 41 ( 0. 84) 0. 17 ( 0. 27) 0. 12 ( 0. 52) 0. 02 ( 0. 02) 0. 01 ( 0. 05) 0. 001 (0. 002) 0. 001 (0. 005) 0. 78 ( 0. 00) 0. 36 ( 0. 10) 0. 08 (0. 032) 0. 02 (0. 002) 0. 01 (0. 001) 1. 24 ( 0. 14) l. 4 0. 37 (0. 003) 0. 25 ( 0. 05) 0. 04 ( 0. 01) 0. 04 (0. 005) 0. 12 (0. 003) 1. 84 0. 86 0. 59 0. 31 0.17 3. 76 l. 53 0. 80 0. 63 0.26 0.17 3. 8 Total 32. 10 (28. 03) 69. 20 - 64. 33 (5. 53) 5目98 - 0. 83 ( 0. 73) 0. 57 ( l.48) 0. 82 ( 0. 07) 3. 39 (CON+DBL) 60.1 69.2 69.9 6.0 1.6 2.0 0.9 3.4 印Cs蓄積量は,左側が常緑針葉樹(CON),右側カッコ内が落葉広葉樹(DBL)の推定値を示す。ただし,上川内(KU-82)の DBLは.一部混植された 針葉樹(アカマツ,カラマツ)も含む値を示す。 Yalu田 of137Cs deposition are sho附nsep町a旬lyf町 everg田enconiおr(CON) and the other sp田1田 (mostlydeciduous broad-leaved trees) (DBL in parenthesis), ex cept for KU-82 (DBL includes values of曲 目1epine and larch甘田s).即Csdeposition was estimated by multiplying mean 137Cs activity of each仕・eecomponent (Tables 2, 3) bヴthecorresponding biomass in each ye町 (e.g.,おrbiomass in 2日12,see Table 1) .

優占樹種による違いがみられた。同じ常緑針葉樹でも,ア

カマツはスギに比べて葉の

l訂Cs

濃度は

2倍ほど高いが

2

, 3

),葉の現存量がスギの約

1

/

5

と少ないことが

1

),林分レベルで葉への

137Cs

蓄積量がスギ林を大き

く下回った結果をもたらしたと思われる。一方,落葉広葉

樹林では,福島原発事故当時にコナラをはじめ広葉樹類は

まだ展葉していなかったため,降下物質がおもに沈着した

枝や樹皮で、

137Cs

濃度が高くなり,両部位の蓄積量はアカ

マツ林を上回った。これらのことは,放射性

Cs

の降下量

が同じ場合,樹木への初期沈着量には,優占種が常緑樹か

落葉樹かの違いとともに,同じ常緑樹でも種ごとの平均的

な葉量の違いが影響することを示唆している。

以上検討した

2011

年時点の樹木の

137Cs

蓄積量は,福島

原発事故から測定までの約半年間に降雨による洗脱や枝葉

の枯死脱落でそれぞれ減少した分だけ,初期沈着量より少

いことに注意が必要で、ある。ごく初期の放射性物質の挙動

については,栃木県のスギ林とヒノキ林で,事故直後から

8

月下旬まで林内・外雨と樹幹流中の放射性

Cs

濃度を測

定して解析した研究がある(

Kato

e

t

a

l

.

2012

)。それによ

ると,事故直後

2

週間に降雨で降下した放射性

Cs

92∼ 93%

が林冠にトラップされて,その後約半年間に林冠か

ら林床へはおもに林内雨の洗脱で移行し,

8

月下旬時点で

137Cs

降下量の

60%

程度(約

5kBq

m 2

)が林冠に沈着

していると推定されている。チェルノブイリ原発事故

(1986

4

月)の関連研究では,例えばドイツトウヒの老

齢林の場合,全

137Cs

降下量の約

70%

が事故直後に林冠に

トラップされ,その後は落葉落枝よりも降雨による洗脱で

おもに林床へ移行したと報告されている(

Bunzl

e

t

a

l

.

1989

)。こうした初期に林冠が放射性

Cs

をトラップする

割合は,常緑樹か落葉樹かで異なるが,およそ

60∼90%

程度とされている(

Tikhomirov and Shchelglov 1994

)。樹

木に初期沈着した放射性

Cs

の洗脱には,最初

1カ月程度

の降雨の強度や頻度が強く影響する(

Loffredoe

t

a

l

.

2014

また,樹種による樹形や葉,枝(樹皮)の形質の違いも,

その沈着や洗脱されやすさに影響する(

Nimis1996; Tagami

e

t

a

l

.

2012; Yoshihara e

t

a

l

.

2013

)。したがって,本来の林

冠での初期沈着量を把握するのは難しいが,本研究のスギ

林やヒノキ林の場合,上の事例区

atoe

t

a

l

.

2012

)と同じ

程度の

137Cs

が福島原発事故から測定までの約半年間にお

もに降雨の洗脱で減少した可能性がある。

(9)

2

.

林冠から林床への放射性

Cs

の移行

1

)枝葉の枯死脱落に

る移行

2011

以降の

2

年 間 は 上 述 の よ う な 降 雨 に 伴 う 洗

脱が

卓越する時期がほぼ終了

ており,樹木に沈着した放

射性

Cs

は,おもに枝葉や樹皮の枯死脱落で直接林床へ移

行したと考えられる(

Nimis1996

落葉樹のコナラはも

とより

,常緑針葉樹の

3

種も落葉は毎年秋(

9

1

0

月)か

ら初冬に集中する(

Saito1977

原発から近い

俣町のス

ギ林とアカマツ

落葉広葉樹の混交林で,

2011

年夏から約

1

年間リ

フォ

ル 中 の 放 射 性

Cs

を 測 定 し た 例 で

1

0

月中旬から冬にかけて林床への放射性

Cs

の供給量

が急増することが確認されている(久留ら

2013

本研究

では

直接リタ

フォ

ール

を測定していないが,各年の夏

の試料で推定された

mes

蓄積量の年変化の大部分は,こ

の毎年繰り返される枝葉などの枯死脱落によるものと考え

られる

こうした枯死脱落に伴う林床への放射性

Cs

の移行過程

の特徴を検討するために,図

4

には,樹木(表

4

)とリ

ター

土壊合計の防

Cs

蓄積量の関係が,

2

年間に変化した

軌跡、を林分ご、とに直線で結んで示した

なお,各林分の林

床リタ

と土壌(深さ

20cm

)中の放射性

Cs

蓄積

すでに報告された値をも

にした(金子ら

2013; Fujii

e

t

a

l

.

2014

;林野庁

2013,2014

;一部未発表)

いずれの林

分も,その軌跡が右斜め下方向であることから,この

2

間で、樹木の

137Cs

蓄積

は減少しその分,

ー・

土壌

合計の

Cs

蓄積量が増加したことがわかる

た だ し そ

れらを合計した林分の

137Cs

総蓄積量の変

では,例えば

スギ林の場合,

K U-Sl

688(2011

年)から

734(2012

kBq m 2, KU-Sl

283

から

314kBq rn-2, OT-S

58

から

68kBq m -z, TD-S

11

から

14kBqm 2

,と推定値上

はそれぞれわずかに

46,31,

1

0

,

3 kBq m 2

)増

加する

など,他の林分も含めて

土壌での増

加分と樹木の

減少分は必ずしも正確には

致しなかった

樹木各部位の

試料における濃度のばらつきや(表

2

),またリターや土

壊試料の局所的な違いの大きさ(

Fujii

e

t

a

l

.

2014

)も踏ま

えると,この結果からは,各林分の

137Cs

については事故

2

年間でまだ顕著には減少していないと考えるのが妥当

と思われる

4

には,この

137Cs

総蓄積量に対して樹木が占める割

合(

以下

,樹

林分

137Cs

比と呼ぶ

)が一定になる目安

して,

3

本の点線

(両対数軸上で傾きが

1

)を加えてある

まず,

4

カ所のスギ林を比べると

,やや高齢な

林分

KU-S2

)を除く

と,樹木

林分

137Cs

比は,

2011

年は汚染度の高

い 林 分 で 高 い が (

K U-Sl,46% ; OT-S, 34% ; T D

21 %) , 2

年後にはいずれも

6∼8 %

とほぼ同じ割合まで低

下している

一方,

KU-S2

では

,樹木

林分

137Cs

比は最初

から

40%

以上と高いが,

2

年後も

24%

とあまり低下して

いない

この違いは,上述したように

K U-S2

だけ

2011

から枝の

137Cs

蓄積量が葉と同

くらい多く,そのことに

って

l

年目以降も樹木

林分

Cs

比が高いまま推移した

梶本卓也ほか (b) TB-H C obtusa E

Needle l2Z1IBranch

Stem 10 C obtusa (a)KU-H 150 40 N E 100

g

."" -so 山 山 田 ﹂ 一 − c

E 0 2

m o

a u

℃ 目

υ

h

同 刊 2012 Yea「

3

.

ヒノキ林,アカマツ林および落葉広葉樹林における樹木

137Cs

蓄積量の経年変

Changes in137Cs deposition in theaboveground tree components of

(a), (b)the two Hinoki cypress stands,(c)Japanese red pine and

(d)deciduous broad-leaved standsduring 2011 2013.

蓄積量は,{互占樹種の個体のみの有'11r.値 (表4)を示す 材,心材の合計 The value shows the depositionestimatedonly for thedominantspecies ineach stand(seeCON for(a), (b), (c),andDBL for(d); Table 4). Stem includes bark, sapwood, and heartwood 2013 2011 2013 2012 2011 (d)OTQ 2013 2011 P.densiflora

Needle l2Z1IBranch

Stem 2013 2012 Year 2012 2011 (c)OT-P 10

幹は,樹皮,辺 n u n u n υ 司 ム ︵ Na ε U 白 色 1 10 100 1000 10000 mes deposition in iltters and soil (kBq m・2)

4

.

常緑針葉樹の

7

林分における樹木とリタ

土壌の

Cs

蓄積量の関係の変

Changes inrelationships between tree-137Cs and soil-137Cs dunng

2011 2013. コ~ヤ.叶Hイ

2

I? I tマ

i

叫 l

’R

.,

a院 r

20 1

1KU-51 202 I

I

23::KOUT 5S 2 戸二二01!ヨ

4

:・

TD-5 ー企「 KU・H 11 ゼ ケ TB・H | | −[壬ーOT・P 100 10 閉 山 由 ﹂ U E

E o z a 口 且 由 百 聞 U R 同 各林分のデータは,それぞれ直線で結んである。スギ林 (いずれも・)の 4調査地の区別は,データ上の数字を参照。医l中,傾きがlの三つの点線 は,それぞれ樹木/林分間Cs比の値は,上から 40.20.5%となるラインを 示す。 Data ofseven evergreen coniferstandsareplotted, C1yptome1 iajapan叩 (n= 4),Chamaecyparis obtusa(n = 2), and Pim日d四 日iflora(n = 1).For each stand, data ofthree years are connectedbylines, e.g.,dataofTD-S in2011is plotted at the uppermost,followed by middle(2012) and thelowest(2013),as indicated by arrows.For the fourC.japonica stands(allareshown byblackcircles),each site canbe distinguishedby small numbers(1-4). The threedotted lines with gradient=1 are shown asthe positionswhere131Cs deposition ratios of trees to total (i.e,.sum of trees, litters, and soil) are equivalentto40, 20, and 5%, re spectively

(10)

福島原発事故後

2

年間における森林の放射性セシウムの挙動

4

1

ことに関係があると思われる。スギの場合,針葉の寿命は

シュート単位で観察すると

4

6

年で(清野ら未発表),

林分レベルの現存量だと毎年 20%ほど新しい葉が枯死す

る旧葉と入れ替わる(宮浦ら 1

9

9

5)。葉に比べると,一般

に枝の年間の枯死脱落量は少なく,その結果,枝の現存量

に対する脱落量の割合(回転率)もかなり小さい(M

i

y

a

u

r

a

a

n

d

Hozumi 1

9

8

5)。したがって,このスギ林(KU

S

2)の

場合, 1

3

7

C

s濃度の高い枝がより長く樹冠内にとどまる分,

枝と葉合計の枯死脱落に伴う林床への放射性 Csの移行

は,葉への1

3

7

C

sの沈着がより集中した他の 3林分よりも

緩やかに進んで、いることが推察される。

スギ林以外をみると,ヒノキ林については,筑波山

(TB-H)の場合,樹木/林分1

3

7

C

s比は 2年 間 で 33%から

10%に低下している(図−4)。川内村の林分(KU-H)も,

2

0

1

1年のデータはないが, 2

0

1

3年にはこの林分と近い値

(12%)にまで低下している。アカマツ林については,樹

木/林分1

3

7

C

s比は 2

0

1

1年の当初から 19%と低く,

l

年後

5%以下まで低下し, 2年後は 2%とスギやヒノキ林の値

を大きく下回った。以上の比較結果は,同じ常緑針葉樹で

もアカマツとスギ・ヒノキとでは,事故後の初期段階にお

ける樹木から林床への放射性 Csの移行速度には明瞭な違

いがあることを示唆している。

アカマツの針葉の平均的な寿命はおよそ

2

3

年とスギ

の半分程度で,年間落葉量/葉量の比でみると,毎年 3

0

40%の古い葉が枯死脱落して新しい葉と入れ替わること

になる(S

a

i

t

o1

9

7

7)。一方,ヒノキの場合,葉齢の区別は

難しいが,年間落葉量/葉量の比は 20%程度(Miyamoto

e

t

a

l

.

2

0

1

3)で,葉の寿命は 4∼6年とスギと同じくらいとさ

れる。したがって,アカマツ林の方がスギやヒノキ林に比

べて林冠に沈着した放射性 Csがより早く林床へ移行した

ことには,こうした樹種間での葉の寿命の違い,すなわち

樹冠内で毎年葉が入れ替わる割合が違うことが影響したと

考えられる。ただし本研究では旧葉と当年葉を区別せず

に葉の試料を採取したため,この考え方は,事故以降に出

た新しい葉(当年葉)の放射性 Cs濃度が,事故前の旧葉

より十分低いことを前提としている。この点については,

スギやヒノキなどで事故後

l

∼2

年は旧葉の方が当年葉よ

りも 1

3

7

C

s濃度が高いとの報告がある(Y

o

s

h

i

h

a

r

a

e

t

a

l

.

2

0

1

3

.

2

0

1

4)。なお,落葉広葉樹林(OT-Q)の結果は図−4

に示していないが,その変化は同じ大玉村のアカマツ林

(

O

T

-

P)の軌跡にほぼ一致し, 2年後の樹木/林分印Cs比は

3%であった。

チェルノブイリの事故に関連して,本研究のように林分

全体の1

3

7

C

s蓄積量を推定した例では,ウクライナの針広

混交林(欧州アカマツとカンパ, 5

5年生)や落葉広葉樹

林(カンパ・ハンノキ類, 4

5年生)で樹木/林分1

3

7

C

s比が

事故の発生年(1

9

8

6年,測定季節は不明)が 1

7∼18%

, 2年後は 5∼6%まで低下している(Mamikhin

e

t

a

l

.

1

9

9

7)。本研究の調査地だと,アカマツ林や落葉広葉樹林

がこれに近い挙動を示している(図−

4

)。また,常緑針葉

樹林については,スウェーデンの針葉樹の混交林(欧州ア

カマツとドイツトウヒ, 1

0

0年生)で 1

4% (

M

e

l

i

n

e

t

a

l

.

1

9

9

4

)

.

トウヒの純林(8

4年生以上)で約 7% (McGee

e

t

a

l

.

2

0

0

0),デンマークの欧州アカマツ林で 3%

C

s

仕 組d

b

e

r

g

e

t

a

l

.

1

9

9

4)といった値が報告されている。ただしこれ

ら北欧各地の報告例の場合,事故からすでに

4

6

年が経

過してから測定されたもので,その聞の枝葉の枯死脱落や

その他のプロセス(樹体内の転流,経根吸収など)もある

ため厳密な比較は難しいが,本研究の各針葉樹林はこれら

に近い値で推移している。

2)幹各部位における挙動

枝葉以外の部位では,幹の樹皮がどの樹種においても放

射性 Csの経年変化が小さい点で共通していた(表−

2

. 3

落葉広葉樹のコナラは,樹皮の

l訂

Cs濃度がほとんど低下

せず,

2

年後にはむしろ葉や枝と同じかそれ以上となった

1

(

g

i

))。常緑針葉樹では,スギやアカマツの場

合,いずれも 2年間を通じて樹皮の1

3

7

C

s濃度は葉や枝よ

り低かったが,ヒノキでは樹皮の濃度が枝よりも高く推移

した(図−

1

,表−

2

. 3

)。本研究では,試料木(

3

個体)に

よる 1

3

7

C

s濃度の測定値は大きく変動するが,これらの差

異は,樹種により樹皮への放射性 Csの沈着されやすさに

多少違いがあることを示唆している。

樹皮に吸着された放射性 Csが溶出されにくいことは,

樹幹流の測定や(K

a

t

o

e

t

a

l

.

2

0

1

2),スギとコナラの樹皮

に1

3

3

C

sを吸着させた実験(岩瀬ら 2

0

1

3)からも示唆され

ている。ブルガリア南部のナラ (

Q

u

e

r

c

u

s p

e

t

r

a

e

)で測定

された例では,チェルノブイリ事故から

2

2

年後でも樹皮

の1

3

7

C

s濃度は高く,事故直後の初期沈着分が長期間残留

したためと推察されている(Z

h

i

y

a

n

s

k

i

e

t

a

l

.

2

0

1

0)。樹皮

は現存量では幹材部(辺材,心材)はもとより,枝や葉に

比べてもかなり少ない(表−1

)。しかしこうした挙動の

少なさを考えると,樹木に初期沈着した放射性 Csの長期

的なプールとして重要な役割を果たす可能性がある。今後

は,樹皮の吸着能力やその枯死脱落量などの種間差を調べ

る必要がある。

幹の材部については,いずれの樹種も測定部位の中で放

射性 Cs濃度は最も低く,その結果,林分当りの蓄積量も

葉や枝に比べるとごくわず、かであった(図−

2

. 3

)。事故後

2

年間の段階では,スギ林の

4

カ所の比較から汚染度の違

いに応じた材部の1

3

7

C

s濃度の差(絶対値)はみられたが

2

. 3

),樹種間で明瞭な違いは認められなかった。し

かし,今後は,材部には土壌から放射性 Csが移行,蓄積

していくことが予想される(K

u

r

o

d

a

e

t

a

l

.

2

0

1

3)

林冠に初期沈着した放射性 Csは,上述の降雨による洗

脱や枯死脱落での移行以外に,葉などの表面からすみやか

に内部に取り込まれ,その一部は別の葉や枝などに転流す

る(T

o

b

l

e

r

e

t

a

l

.

1

9

8

8

;

T

a

g

a

m

i

e

t

a

l

.

2

0

1

2)。樹体中の可溶

性 Csは比較的容易に移動するため(W

i

t

h

e

r

s

p

o

o

n 1

9

6

4

)

,

とくに新しく成長する葉や枝に多く配分される(N

i

m

i

s

1

9

9

6)。これらのことは,チェルノブイリ事故から 4∼6年

参照

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